(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する高次モードのブリルアン散乱光を遮断する高次モード遮断部をさらに備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の光ファイバの測定装置。
前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する高次モードのブリルアン散乱光が基底モードに変換されたブリルアン散乱光を遮断する変換基底モード遮断部をさらに備えることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに記載の光ファイバの測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、公知技術では、シングルモードファイバ内で発生したブリルアン散乱を測定対象としている。これに対して、本発明者らが上述した測定方法を、マルチモードファイバを被測定光ファイバとして適用しようとしたところ、ブリルアン散乱光のシフト量が精度よく測定できず、マルチモードファイバの歪量を精度よく測定できない場合があるという問題を見出した。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、マルチモードファイバの歪量を精度よく測定できる光ファイバの測定方法および測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光ファイバの測定方法は、被測定光ファイバの歪みを測定するための光ファイバの測定方法であって、マルチモードファイバである前記被測定光ファイバに試験光を基底モードの光として入力し、前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する基底モードのブリルアン散乱光を測定することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定方法は、前記試験光をポンプ光として入力し、前記被測定光ファイバに、前記ブリルアン散乱光の波長に対応する波長を有するプローブ光を入力することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定方法は、前記プローブ光を基底モードの光として入力することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定方法は、前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する高次モードのブリルアン散乱光を遮断することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定方法は、前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する高次モードのブリルアン散乱光が基底モードに変換されたブリルアン散乱光を遮断することを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定装置は、被測定光ファイバの歪みを測定するための光ファイバの測定装置であって、試験光を発生する試験光源部と、前記被測定光ファイバであるマルチモードファイバに前記試験光を基底モードの光として入力する試験光入力部と、前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する基底モードのブリルアン散乱光を測定する測定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定装置は、前記ブリルアン散乱光の波長に対応する波長を有するプローブ光を発生するプローブ光源部をさらに備え、前記試験光をポンプ光として前記被測定光ファイバに入力し、前記被測定光ファイバに前記プローブ光を入力することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定装置は、前記プローブ光を基底モードの光として入力するプローブ光入力部をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定装置は、前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する高次モードのブリルアン散乱光を遮断する高次モード遮断部をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る光ファイバの測定装置は、前記試験光に起因して前記被測定光ファイバ中で発生する高次モードのブリルアン散乱光が基底モードに変換されたブリルアン散乱光を遮断する変換基底モード遮断部をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マルチモードファイバの歪量を精度よく測定できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバの測定方法および測定装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る光ファイバの測定装置の模式的な構成図である。
図1に示すように、測定装置100は、BOCDA法を用いた測定装置であって、レーザ光源1と、信号発生器2と、光カプラ3と、変調器5と、信号発生器6と、偏波コントローラ7と、光増幅器8と、光フィルタ9と、温度コントローラ10と、光増幅器11と、光フィルタ12と、偏波コントローラ13と、光減衰器14と、入力光ファイバ15とを備えている。測定装置100は、さらに、偏波コントローラ20と、光遅延器21と、変調器22と、信号発生器23と、光増幅器24と、偏波コントローラ25と、光サーキュレータ26と、入力光ファイバ27とを備えている。測定装置100は、さらに、光フィルタ30、31と、受光器32と、ロックインアンプ33と、制御解析装置34とを備えている。被測定光ファイバFは、マルチモードファイバであり、入力光ファイバ15と入力光ファイバ27との間に接続される。
【0021】
測定装置100の構成と機能について具体的に説明する。
レーザ光源1は、ブリルアン散乱を発生させるための試験光としてのポンプ光とプローブ光との元となるレーザ光を発生させるものである。レーザ光源はたとえば1.55μm波長帯の連続光としてのレーザ光を出力するDFB(Distributed FeedBack)レーザダイオードとDFBレーザダイオードを駆動するための駆動回路とを備えている。信号発生器2は、駆動回路にRF信号である変調信号を出力するものである。この変調信号によりDFBレーザダイオードの駆動電流がたとえば正弦波状に周波数変調または位相変調され、DFBレーザダイオードは変調されたレーザ光を出力する。ここで、変調周波数をfmとする。
【0022】
光カプラ3は、レーザ光源1からレーザ光を入力され、これを所定の分岐比で分岐して光ファイバポート3a、3bに出力する。本実施の形態では光ファイバポート3a、3bの分岐比が9:1であるとする。
【0023】
変調器5は、光ファイバポート3aからレーザ光を入力されるとともに信号発生器6から変調信号を入力され、これによりレーザ光をたとえば正弦波状に強度変調する。この強度変調により搬送波としてのレーザ光に対して側帯波としてのレーザ光が発生する。ここで、強度変調の変調周波数は、ブリルアンシフトに相当する値とする。ここで、ブリルアンシフトとは、試験光に起因して発生するブリルアン散乱光のピーク波長と、試験光の波長との差分を、光の周波数で表した量である。本実施の形態では、強度変調の変調周波数を10GHz程度で調整する。すると、側帯波としてのレーザ光は、周波数スペクトル上で搬送波としてのレーザ光から高周波側と低周波側とに変調周波数だけ離れた位置に発生する。
【0024】
偏波コントローラ7は、強度変調されたレーザ光の偏波状態を調整する。光増幅器8は、偏波状態を調整されたレーザ光を光増幅する。光増幅器8はたとえばEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)などの光ファイバ増幅器である。光フィルタ9は、強度変調されたレーザ光のうち低周波側の側帯波としてのレーザ光(プローブ光とする)のみを主に透過し、それ以外の波長の光を遮断するバンドパスフィルタである。光フィルタ9は、温度コントローラ10により温度が制御されており、プローブ光のみを好適に透過する透過波長特性に制御されている。光増幅器11は、たとえば光ファイバ増幅器であり、プローブ光を光増幅する。光フィルタ12は、プローブ光のみを主に透過し、それ以外の波長の光を遮断するバンドパスフィルタである。偏波コントローラ13は、光フィルタ12を透過したプローブ光の偏波状態を調整する。光減衰器14は、プローブ光の強度を減衰し、その光強度を調整する。これにより、プローブ光Prは入力光ファイバ15に入力される。入力光ファイバ15はプローブ光Prを被測定光ファイバFに入力する。
【0025】
なお、少なくともレーザ光源1と、変調器5と、信号発生器6と、光フィルタ9とはプローブ光源部を構成している。
【0026】
一方、偏波コントローラ20は、光ファイバポート3bから分岐されたレーザ光の偏波状態を調整する。光遅延器21は、たとえば所定の長さの光ファイバで構成されており、偏波状態を調整されたレーザ光の伝搬を遅延させる。変調器22は、遅延されたレーザ光を入力されるとともに信号発生器23から変調信号を入力され、これによりレーザ光をたとえば矩形波状に強度変調する。光増幅器24は、たとえば光ファイバ増幅器であり、強度変調された光を光増幅する。偏波コントローラ25は、強度変調されたレーザ光(試験光であるポンプ光)の偏波状態を調整する。光サーキュレータ26は、偏波コントローラ25から入力されたポンプ光Puを入力光ファイバ27へ出力する。入力光ファイバ27はポンプ光Puを被測定光ファイバFに入力する。
【0027】
なお、少なくともレーザ光源1と、変調器22と、信号発生器23と、光増幅器24とはポンプ光源部(試験光源部)を構成している。
【0028】
また、光サーキュレータ26は、被測定光ファイバFで発生して入力光ファイバ27を伝送してきたブリルアン散乱光Brを光フィルタ30に出力する。光フィルタ30、31は、ブリルアン散乱光Brのみを主に透過し、それ以外の波長の光を遮断するバンドパスフィルタである。受光器32は、たとえばフォトダイオードで構成されており、光フィルタ30、31を透過してきたブリルアン散乱光Brを受光し、その光強度に応じた電気信号を出力する。ロックインアンプ33は、受光器32からの電気信号を入力されるとともに、信号発生器23から、ポンプ光に対する強度変調にも使用されている変調信号を入力されている。これにより、ポンプ光により発生したブリルアン散乱光が同期検波され、ブリルアン散乱光の強度を検出できる。制御解析装置34は、信号発生器2、6を制御するとともに、ロックインアンプ33から出力される検出信号を入力され、これを解析する。制御解析装置34は、たとえばパーソナルコンピュータをもちいて構成される。
【0029】
なお、少なくとも受光器32と、ロックインアンプ33と、制御解析装置34とは測定部を構成している。
【0030】
測定装置100を用いた測定方法についてさらに説明する。
本測定方法では、被測定光ファイバFの第1端部F1側から入力光ファイバ27によりポンプ光Puを入力するととともに、第1端部F1とは反対側に位置する第2端部F2側から入力光ファイバ15によりプローブ光Prを入力する。なお、プローブ光Prの強度はポンプ光Puの強度より低く設定されている。また、偏波コントローラ7、13、20、25により、ポンプ光とプローブ光との偏波状態が、ブリルアン散乱光の強度が強くなるような偏波状態の関係に調整される。
【0031】
すると、ポンプ光Puとプローブ光Prとは、信号発生器2により同じ変調(fm)が与えられているため、被測定光ファイバF内でポンプ光Puとプローブ光Prとの位相が適合して干渉し、相関が強くなった位置において誘導ブリルアン散乱光としてのブリルアン散乱光Brが発生する。
図2は、被測定光ファイバと相関ピークとの位置関係を説明する図である。
図2に示すように、相関プロファイルPにおいて相関ピークは、被測定光ファイバF、入力光ファイバ15、27に沿って一定の周期で現れる。ここで、変調周波数fmを調整して相関ピークが被測定光ファイバF内に一つだけ含まれるようにし、かつその一つの相関ピークの位置を調整すると、相関ピークの位置においてブリルアン散乱光Brを発生させることができる。上述したように、ブリルアン散乱光の波長(または波長を光の周波数に変換したもの)は光ファイバの歪量に応じてシフトするので、ブリルアン散乱光のシフト量を測定することにより、相関ピークの位置における被測定光ファイバFの歪量を測定できる。
【0032】
なお、ブリルアン散乱光のシフト量および被測定光ファイバFの歪量は以下のように測定する。まず、制御解析装置34により制御された信号発生器6から変調器5を介して与える強度変調周波数を調整することでプローブ光の波長を変化させる。そして、制御解析装置34は、ロックインアンプ33によって検出されるブリルアン散乱光Brの強度が最も高くなるような強度変調周波数をブリルアンシフトとする。制御解析装置34は、このブリルアンシフトと基準となるブリルアンシフトとの差を、ブリルアン散乱光のシフト量とする。基準となるブリルアンシフトとしては、被測定光ファイバFに歪みが発生していない場合のブリルアンシフトを使用することができる。さらに、制御解析装置34は、予め記憶されているブリルアン散乱光のシフト量と被測定光ファイバFの歪み量との関係を示すテーブルデータまたは関数を用いて、被測定光ファイバFの歪量を算出する。
【0033】
ここで、上述したように、被測定光ファイバFがマルチモードファイバの場合、ブリルアン散乱光のシフト量が精度よく測定できず、歪量を精度よく測定できない場合がある。
【0034】
本発明者らがその原因を精査したところ、以下の現象を確認した。すなわち、被測定光ファイバがシングルモードファイバの場合は、ブリルアン散乱光のスペクトルが、
図3のスペクトルS1で示すように比較的周波数幅が狭いものとなる。なお、
図3において横軸は光の周波数を示している。これに対して、被測定光ファイバがマルチモードファイバの場合は、ブリルアン散乱光のスペクトルが、スペクトルS2で示すように周波数幅が広くなってピークの明確性が低くなり、かつピーク強度も低くなる。その結果、プローブ光の波長を変化させてブリルアンシフトを検出する際に、強度ピークの検出精度が低下する。なお、このようにブリルアン散乱光のスペクトルの周波数幅が広くなってピークの明確性が低くなる理由は、被測定光ファイバがマルチモードファイバの場合はポンプ光が多数のモードで伝搬するため、各モードに対する干渉条件の相違やブリルアン散乱光のモード分散などにより、ブリルアン散乱光のスペクトル形状がなまるためと考えられる。
【0035】
これに対して、本実施の形態1では、ポンプ光を基底モードの光として被測定光ファイバFに入力するので、
図3にスペクトルS3で示すように、スペクトルS2の場合よりも周波数幅が狭くなってピークがより明確となる。その結果、ブリルアンシフトを高精度に検出でき、マルチモードファイバである被測定光ファイバFの歪量を精度よく測定できる。
【0036】
具体的には、本実施の形態1に係る測定装置100では、試験光入力部40としての入力光ファイバ27がシングルモードファイバで構成されている。
図4は、
図1におけるポンプ光およびブリルアン散乱光の伝搬の様子を説明する図である。
図4において、被測定光ファイバFはコア部Faとクラッド部Fbとを備えるマルチモードファイバである。
【0037】
図4に示すように、ポンプ光として、基底モードのポンプ光Pu1と高次モードのポンプ光Pu2とが入力光ファイバ27に入力されたとしても、入力光ファイバ27がシングルモードファイバであるためポンプ光Pu2は被測定光ファイバFにほとんど出力されず、主にポンプ光Pu1が出力される。基底モードのポンプ光Pu1と不図示のプローブ光との干渉により発生したブリルアン散乱光Br1は、高次モードに変換される成分もあるが、主に基底モードの成分からなっており、被測定光ファイバFを伝搬後は入力光ファイバ27を伝搬してシングルモード性が高められた状態で出力される。その後ブリルアン散乱光Br1は、測定部にて精度よくブリルアンシフトおよび被測定光ファイバFの歪量の測定がなされる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態1に係る測定装置100および測定方法によれば、マルチモードファイバである被測定光ファイバFの歪量を精度よく測定できる。
【0039】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2に係る光ファイバの測定装置は、本実施の形態1に係る測定装置100の入力光ファイバ15をシングルモードファイバで構成したものである。その他の構成は本実施の形態2に係る測定装置と測定装置100とは同一なので、説明を省略する。
【0040】
図5は、実施の形態2に係る光ファイバの測定装置におけるポンプ光、プローブ光およびブリルアン散乱光の伝搬の様子を説明する図である。本実施の形態2に係る測定装置では、プローブ光を入力する入力光ファイバ15が、シングルモードファイバで構成されており、プローブ光を基底モードの光として入力するプローブ光入力部41として機能する。これにより、
図5に示すように、プローブ光として基底モードのプローブ光Pr1と高次モードのプローブ光Pr2とが入力光ファイバ15に入力されたとしても、入力光ファイバ15がシングルモードファイバであるためプローブ光Pr2は被測定光ファイバFにほとんど出力されず、主にプローブ光Pr1が出力される。
【0041】
また、測定装置100の場合と同様に、基底モードのポンプ光Pu1と高次モードのポンプ光Pu2とが入力光ファイバ27に入力されたとしても、主にポンプ光Pu1が被測定光ファイバFに出力される。
【0042】
ここで、被測定光ファイバFはマルチモードファイバであるため、基底モードのポンプ光Pu1が被測定光ファイバFを伝搬する間に高次モードが励振され、基底モードのポンプ光Pu11と高次モードのポンプ光Pu12とが発生する場合がある。この場合、基底モードのポンプ光Pu11と基底モードのプローブ光Pr1とにより基底モードのブリルアン散乱光Br11が発生するとともに、高次モードのポンプ光Pu12と基底モードのプローブ光Pr1とにより、高次モードの成分をより多く含むブリルアン散乱光Br12が発生する。ただし、この場合も、被測定光ファイバFを伝搬した後に、主に基底モードのブリルアン散乱光Br11は入力光ファイバ27から出力されるが、入力光ファイバ27は高次モード遮断部として機能するので、高次モードの成分をより多く含むブリルアン散乱光Br12は出力されないか、きわめてその光強度が減衰する。これにより、その後測定部にて精度よくブリルアンシフトおよび被測定光ファイバFの歪量の測定がなされる。
【0043】
本実施の形態2に係る測定装置および測定方法によれば、ポンプ光とプローブ光との両方を基底モードで被測定光ファイバFに入力するので、被測定光ファイバFの歪量を、より精度よく測定できる。
【0044】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3に係る光ファイバの測定装置は、本実施の形態1に係る測定装置100の入力光ファイバ15をシングルモードファイバで構成し、かつ入力光ファイバ27の後段(光フィルタ30側)に時間的なフィルタ42を設けたものである。その他の構成は本実施の形態3に係る測定装置と測定装置100とは同一なので、説明を省略する。
【0045】
図6は、実施の形態3に係る光ファイバの測定装置におけるポンプ光、プローブ光およびブリルアン散乱光の伝搬の様子を説明する図である。本実施の形態3に係る測定装置では、実施の形態2の場合と同様に、プローブ光を入力する入力光ファイバ15が、プローブ光入力部41として機能する。これにより、
図6に示すように、プローブ光として基底モードのプローブ光Pr1と高次モードのプローブ光Pr2とが入力光ファイバ15に入力されたとしても、プローブ光Pr2は被測定光ファイバFにほとんど出力されず、主にプローブ光Pr1が出力される。
【0046】
また、測定装置100の場合と同様に、基底モードのポンプ光Pu1と高次モードのポンプ光Pu2とが入力光ファイバ27に入力されたとしても、主にポンプ光Pu1が被測定光ファイバFに出力される。
【0047】
ここで、被測定光ファイバFはマルチモードファイバであるため、実施の形態2の場合と同様に、基底モードのポンプ光Pu1から基底モードのポンプ光Pu11と高次モードのポンプ光Pu12とが発生する場合がある。さらに、高次モードのポンプ光Pu12から、再び基底モードにモード変換されたポンプ光Pu13が発生する場合がある。この場合、基底モードのポンプ光Pu11と基底モードのプローブ光Pr1とにより基底モードのブリルアン散乱光Br11が発生し、高次モードのポンプ光Pu12と基底モードのプローブ光Pr1とにより高次モードの成分をより多く含むブリルアン散乱光Br12が発生するとともに、基底モードのポンプ光Pu13と基底モードのプローブ光Pr1とにより基底モードのブリルアン散乱光Br13が発生する。
【0048】
この場合も、高次モードの成分をより多く含むブリルアン散乱光Br12は入力光ファイバ27からはほとんど出力されないが、主に基底モードのブリルアン散乱光Br11、Br13は入力光ファイバ27から出力される。しかし、このようなブリルアン散乱光Br13は、測定部においてブリルアン散乱光Br11に対してはノイズとなる。
【0049】
これに対して、本実施の形態3に係る測定装置では、変換基底モード遮断部としてのフィルタ42によりブリルアン散乱光Br13を遮断し、除去している。すなわち、
図6に示すように、被測定光ファイバFを主に基底モードのまま伝搬したブリルアン散乱光Br11と、被測定光ファイバFにて高次モードから変換されてから再び基底モードに変換されたブリルアン散乱光Br13とでは、モード分散の影響でフィルタ42に到達する時間が異なる。たとえば、ブリルアン散乱光Br11は時間t
1にフィルタ42に到達するが、ブリルアン散乱光Br13はそれよりも遅い時間である時間t
3にフィルタ42に到達する。したがって、フィルタ42が時間t
1に光を透過し、時間t
3に光を遮断するように動作することで、ブリルアン散乱光Br13を遮断し、除去できるので、その後測定部にて精度よくブリルアンシフトおよび被測定光ファイバFの歪量の測定がなされる。なお、このようなフィルタ42は、たとえば光ゲートスイッチ等によって実現することができる。ただし、このような変換基底モード遮断部は、フィルタ42に換えて、制御解析装置34においてロックインアンプ33からの検知信号をソフトウェアまたはハードウェアにて信号処理することにより実現してもよい。また、この際に公知の光MIMO処理技術を応用して信号処理を行ってもよい。
【0050】
本実施の形態3に係る測定装置および測定方法によれば、ポンプ光とプローブ光との両方を基底モードで被測定光ファイバFに入力し、かつ高次モードから基底モードに変換されたブリルアン散乱光は除去するので、被測定光ファイバFの歪量を、より精度よく測定できる。
【0051】
なお、上記実施の形態では、試験光(ポンプ光)やプローブ光を基底モードの光として被測定光ファイバFに入力する試験光入力部40やプローブ光入力部41として、シングルモードファイバを使用しているが、試験光入力部40およびプローブ光入力部41はこれに限られない。試験光入力部40およびプローブ光入力部41は、たとえば位相板やホログラム素子を用いて構成されている公知のモードフィルタであって、マルチモードの光から基底モードの光を取り出すことができるモードフィルタにより構成してもよい。
【0052】
また、上記実施の形態に係る測定装置は、BOCDA法を用いた測定装置であるが、本発明はブリルアン散乱を用いて被測定光ファイバの歪量を測定するあらゆる測定装置および測定方法に適用できるものである。上記実施の形態に係る測定装置では、ポンプ光とプローブ光は周波数変調または位相変調したレーザ光であるが、パルス光でもよい。また、ポンプ光とパルス光とは被測定光ファイバの同じ側の端部から入力するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。