(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
白金族金属系触媒が、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、及び塩化白金酸とアルコールとの反応物から選ばれる少なくとも1である、請求項1又は2記載のシリコーン粘着剤組成物。
(B)成分が1分子内に少なくとも2個の不飽和炭化水素基を有し、且つ、2個の(ポリ)オキシアルキレン残基を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーン粘着剤組成物。
(B)成分が1分子内に少なくとも1個の不飽和炭化水素基を有し、且つ、1個の(ポリ)オキシアルキレン残基を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーン粘着剤組成物。
(C)イオン液体が、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、及びピロリジニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれか1項記載のシリコーン粘着剤組成物。
(C)イオン液体が、第4級アンモニウムカチオンとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンから構成される第4級アンモニウム塩である、請求項11記載のシリコーン粘着剤組成物。
(A)付加硬化型シリコーンの合計100質量部に対して、(B)成分の量が0.27〜3.3質量部であり、(C)成分の量が0.003〜1.5質量部である、請求項1〜12のいずれか1項記載のシリコーン粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明のシリコーン粘着剤組成物は、付加反応硬化型シリコーン組成物であり、第一に(B)特定構造の(ポリ)オキシアルキレン化合物と(C)特定のイオン液体を含有することを特徴とする。第二に、付加反応触媒として(e)不飽和炭化水素結合を有する化合物の錯体でない白金族金属系触媒を使用することを特徴とする。付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物に含まれる(B)成分、(C)成分及び(e)成分以外の構成は特に制限されるものでない。(A)付加硬化型シリコーンは、従来公知のオルガノポリシロキサンであればよく、例えば、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、シリコーンレジン、及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン等である。以下、先ず、本発明の特徴である(B)成分、(C)成分、及び(e)成分について説明する。
【0017】
(B)(ポリ)オキシアルキレン化合物
(B)成分は、1分子内に少なくとも1個の不飽和炭化水素基を有し、且つ、少なくとも1個の(ポリ)オキシアルキレン残基を有する化合物である。(B)成分は、一つ目の特徴として、1分子内に少なくとも1個の不飽和炭化水素基を有する。これにより、該化合物は付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物と相溶し、組成物中のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと反応して硬化物に結合することができる。そのため、経時で(ポリ)オキシアルキレン化合物が粘着剤層から分離することはなく、被着体汚染を低減することができる。
【0018】
(B)成分の二つ目の特徴は、分子中に少なくとも1個の(ポリ)オキシアルキレン残基を有することである。(ポリ)オキシアルキレン残基は、好ましくは−(C
2H
4O)
m−(C
3H
6O)
n−で示される(式中、mは0〜20の実数であり、nは0〜10の実数であり、m+nは1〜30である。C
2H
4O)と(C
3H
6O)の結合順序はランダムであってもよい)。該構造を有するオキシアルキレン化合物を後述する(C)イオン液体と併せてシリコーン粘着剤組成物に配合することにより、シリコーン粘着剤層の表面抵抗率を低下することができる。これはオキシアルキレンがイオン液体のイオンを捕捉して、該イオンを硬化物(粘着剤層)中で効率よく移動させるためと考えられる。表面抵抗率の低下についてより詳細に説明すると、イオン液体及び(ポリ)オキシアルキレン化合物を含まないシリコーン粘着剤組成物は1E+15Ω/sq.(1×10
15Ω/sq.)を超える表面抵抗率を有し、イオン液体のみを配合したシリコーン粘着剤組成物は表面抵抗率1E+13〜1E+14Ω/sq.(1×10
13〜1×10
14Ω/sq.)を有するのに対し、イオン液体及びオキシアルキレン化合物を含有するシリコーン粘着剤組成物は表面抵抗率1E+9〜1E+13未満Ω/sq.(1×10
9〜1×10
13未満Ω/sq.)となることができる。本発明における表面抵抗率はJIS K6911に準じて測定された値である。好ましくは、本発明の(B)成分は1分子内に1個または2個の上記(ポリ)オキシアルキレン残基を有する。
【0019】
上記不飽和炭化水素基は、好ましくは炭素原子数2〜12、好ましくは炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、ビニル基及びアリル基が好ましい。上記(ポリ)オキシアルキレン化合物は、該不飽和炭化水素基を有する有機基を一分子中に少なくとも1個有する。該不飽和炭化水素基を有する有機基とは、好ましくは、酸素原子を有していてもよい、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基であり、特には炭素原子数2〜12、好ましくは炭素原子数2〜10の、酸素原子を有していてもよい、アルケニル基含有脂肪族炭化水素基が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基、アリルオキシ基、及びアリルオキシメチル基などが挙げられる。中でも、アリル基、ビニル基、アリルオキシ基、及びアリルオキシメチル基が好ましく、工業的な観点からはビニル基が好ましい。
【0020】
上記(ポリ)オキシアルキレン化合物は、常圧において130℃以下でほとんど揮発しないことが好ましい。130℃以下で揮発する(ポリ)オキシアルキレン化合物は、粘着剤組成物を硬化する工程にて揮発してしまい、シリコーン粘着剤硬化物中に残存することができない。その為、十分な帯電防止効果を硬化物に与えることができないおそれがある。
【0021】
上記(B)成分は、好ましくは、1分子内に少なくとも2個の不飽和炭化水素基を有し、且つ、2個の(ポリ)オキシアルキレン残基を有する化合物である(以下、化合物(b1)という)。不飽和炭化水素基の個数は、好ましくは2〜4個、特には2個であるのがよい。該化合物(b1)は下記式(1)で表される。下記式(1)において(C
2H
4O)と(C
3H
6O)の結合順序はランダムであってもよい。下記式(1)は平均式であってもよい。
【化1】
【0022】
上記式(1)中、Aは炭素数2〜22の4価の炭化水素基であり、R
1は、互いに独立に、水素原子、アシル基、または炭素数1〜12の、不飽和結合を有していてよく、酸素原子を有してよい一価炭化水素基であり、R
1のうち少なくとも2つは、炭素数2〜12の、酸素原子を有してよい不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基である。
【0023】
上記式(1)中、m
1及びm
2は、互いに独立に、0〜20の実数であり、n
1及びn
2は、互いに独立に、0〜10の実数であり、ただし、m
1+n
1は0でなく、m
2+n
2は0でない。m
1、m
2、n
1、及びn
2は平均値であってよい。好ましくはm
1+n
1は1〜30であり、m
2+n
2は1〜30であり、より好ましくは、m
1+n
1は4〜20であり、m
2+n
2は4〜20であるのがよく、特には、m
1+n
1+m
2+n
2が40以下であるのが好ましい。m
1、m
2、n
1、及びn
2の値が上記上限値より大きいと、ポリオキシアルキレン化合物の粘度が上昇するため、分散性が悪くなり、シリコーン粘着剤組成物中に均一に混合することが困難になる恐れがある。
【0024】
特には、酸素原子と酸素原子の間が短いほうがイオンを効果的に移動させることができ有利であることから、(ポリ)オキシアルキレン化合物(b1)は、上記式(1)においてn
1およびn
2が共に0である、即ちエチレンオキサイドのみを有する構造を有するのが好ましい。該(ポリ)オキシアルキレン化合物は、下記式(2)で表される。
【化2】
上記式(2)中、A及びR
1は上記の通りであり、m
3及びm
4は、互いに独立に、1〜20の実数であり、好ましくは1〜10の実数であり、さらに好ましくは2〜10の実数である。m
3及びm
4の数が上記上限値超では、ポリオキシアルキレン化合物の粘度が上昇するため、分散性が悪くなり、シリコーン粘着剤組成物中に均一に混合することが困難になる恐れがある。
【0025】
上記式(1)及び(2)においてR
1は、互いに独立に、水素原子、アシル基、または炭素数1〜12の、不飽和結合を有していてよく、酸素原子を有してよい一価炭化水素基であり、R
1のうち少なくとも2つは、炭素数2〜12の、酸素原子を有してよい、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基である。該不飽和脂肪族炭化水素基を有する基としては上記したものが挙げられる。特には、アリル基、ビニル基、アリルオキシ基、及びアリルオキシメチル基が好ましい。該不飽和脂肪族炭化水素基以外の基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基:及びベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基が挙げられる。これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子等で置換したもの、例えば、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化一価炭化水素基、3−メタクリルオキシプロピル基、3−グリシジルオキシプロピル基であってもよい。これらの中でも、メチル基が特に好ましい。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びオクタノイル基等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基以外の基としては、水素原子が特に好ましい。
【0026】
上記式(1)及び(2)においてAは炭素原子数2〜22の4価の炭化水素基である。該4価炭化水素基としては、炭素原子数2〜16、好ましくは炭素原子数2〜8の、鎖状又は分岐状の脂肪族飽和炭化水素基、または、炭素原子数6〜22、好ましくは炭素数6〜14の、分岐鎖を有してよい環状炭化水素基がよい。4価の鎖状又は分岐状の脂肪族飽和炭化水素基としては、例えば、下記に示される構造が挙げられる。
【化3】
上記式において、nは、互いに独立に、炭素数1〜8の整数である。
4価の環状炭化水素基としては、例えば、下記に示される構造が挙げられる。
【化4】
上記式において、nは、互いに独立に、炭素数1〜8の整数である。
【0027】
上記(ポリ)オキシアルキレン化合物(b1)としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化5】
【0028】
また(B)成分としては、1分子内に少なくとも1個の不飽和炭化水素基を有し、且つ、1個の(ポリ)オキシアルキレン残基を有する化合物も好ましい(以下、化合物(b2)という)。該化合物(b2)は、特には下記式(3)で示すことができる。下記式(3)において(C
2H
4O)と(C
3H
6O)の結合順序はランダムであってもよい。下記式(3)は平均式であってもよい。
【化6】
(R
3は、炭素原子数2〜12の、不飽和結合を有する一価脂肪族炭化水素基であり、R
2は水素原子、炭素原子数1〜8の飽和一価炭化水素基、またはR
3の選択肢から選ばれる基であり、m
5は0〜20の実数であり、n
5は0〜10の実数であり、ただしm
5+n
5は0でない)。
【0029】
上記式(3)中、m
5は0〜20の実数であり、n
5は0〜10の実数であり、ただし、m
5+n
5は0でない。m
5及びn
5は平均値であってよい。好ましくはm
5+n
5は1〜30であり、より好ましくはm
5+n
5は4〜20であるのがよい。m
5及びn
5の値が上記上限値より大きいと、ポリオキシアルキレン化合物の粘度が上昇するため、分散性が悪くなり、シリコーン粘着剤組成物中に均一に混合することが困難になるおそれがある。
【0030】
特には、酸素原子と酸素原子の間が短いほうがイオンを効果的に移動させることができ有利であることから、(ポリ)オキシアルキレン化合物(b2)は、上記式(3)においてn
5が0である、即ちエチレンオキサイドのみを有する構造を有するのが好ましい。該(ポリ)オキシアルキレン化合物は、下記式(4)で表される。
【化7】
上記式(4)において、R
2及びR
3は上記の通りである。m
5は1〜20の実数、好ましくは1〜10の実数、さらに好ましくは2〜10の実数である。m
5が多くなるほど、(ポリ)オキシアルキレン化合物とシリコーン粘着剤との相溶性が悪くなり、硬化の際に十分な硬化が出来なくなるおそれがある。また(ポリ)オキシアルキレン化合物の粘度が上昇してシリコーン粘着剤との均一混合が困難になる恐れがある。
【0031】
上記式(3)及び(4)においてR
3は炭素原子数2〜12の、不飽和結合を有する一価の脂肪族炭化水素基であり、R
2は水素原子、炭素原子数1〜8の飽和一価炭化水素基、またはR
3の選択肢から選ばれる基である。該不飽和脂肪族炭化水素基としては上記したものが挙げられる。特には、アリル基、及びビニル基が好ましい。炭素原子数1〜8の飽和一価炭化水素基は、特にはアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、及びオクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基が好ましい。R
2で示される基として特に好ましくは、メチル基、水素原子、又はR
3の選択肢から選ばれる基である。
【0032】
上記(ポリ)オキシアルキレン化合物(b2)としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる
【化8】
【0033】
特には、本発明の(B)成分としては、上記(ポリ)オキシアルキレン化合物(b1)が好ましい。
【0034】
シリコーン粘着剤組成物中の(B)成分量は、シリコーン粘着剤組成物中に含まれる付加硬化型シリコーンの合計100質量部に対し0.27〜3.3質量部となる量がよく、好ましくは0.3〜3質量部となる量であり、最も好ましくは0.6〜1.8質量部となる量である。(B)成分の量が上記下限値より少ないと、帯電防止性を与える効果が不十分となる。また、(B)成分の量が上記上限値より多いと、シリコーン粘着剤組成物の粘着力が低下する、硬化性が悪くなる、及び基材への密着性が悪くなるおそれがある。尚、上記付加硬化型シリコーンとは、例えば、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びシリコーンレジンなど、従来公知のシリコーン粘着剤組成物中に含まれるシロキサンである。また、該(B)成分の配合量は、(B)成分及びシリコーン粘着剤組成物中に含まれる不飽和炭化水素基の合計個数に対するシリコーン粘着剤組成物中に含まれるSiH基の合計個数の比が1〜20、好ましくは1〜15となる量であるのがよい。これにより、(B)成分が粘着層に良好に結合することができ、上述した糊残りを抑制することができる。
【0035】
(C)イオン液体
イオン液体とはアニオンとカチオンから構成される塩であり、Z
+Y
−で示される(Zはカチオンであり、Yはアニオンである)。本発明における(C)成分としてはイオン液体として公知のものが使用できる。該イオン液体は一般的には常温溶融塩であるが、イオン液体として知られている常温固体の塩であってもよい。イオン液体は、本発明のシリコーン組成物を硬化して得られる硬化物(粘着剤層)中でイオンを移動させて表面抵抗率を低下させる、帯電防止剤として機能する。該帯電防止剤として特許文献10にはリチウム塩が記載されている。しかしシリコーン粘着剤組成物がリチウムを含むと、得られる粘着層が被着する被着体の腐食が大きくなり、また、プライマー等を用いても基材への密着性が不十分であり、さらに該粘着剤組成物から得られる粘着テープを被着体から剥離した際に被着体に粘着物質が残ってしまう、いわゆる糊移りが生じるため適切ではない。上記リチウム塩は、例えば、LiBF
4、LiClO
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiSbF
6、LiSO
3CF
3、LiN(SO
2CF
3)
2、LiSO
3C
4F
9、LiC(SO
2CF
3)
3、及びLiB(C
6H
5)
4などである。これらの中にはイオン液体として知られているものがある。従って、本発明の(C)成分はリチウムを含まないイオン液体であることを特徴とする。
【0036】
本発明のイオン液体は、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、及びピロリジニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。即ち、上記カチオン(Z
+)が、第4級アンモニウムカチオン、第4級ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、及びピロリジニウムカチオンから選ばれるイオン液体である。特に好ましくは、第4級アンモニウム塩であるのがよい。これらイオン液体のアニオン(Y
−)は、特に限定されるものでなく公知のイオン液体であればよい。
【0037】
上記アニオン(Y
−)としては、例えば、ハロゲン化物イオン、シアニドイオン、ジシアノアミンアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、テトラフルオロエタンスルホン酸イオン、乳酸アニオン、サリチル酸イオン、チオサリチル酸イオン、ジブチルリン酸イオン、酢酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、テトラクロロアルミン酸イオン、チオシアン酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、アミノ酢酸イオン、アミノプロピオン酸イオン、ジエチルリン酸イオン、ジメチルリン酸イオン、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、水酸化物イオン、ビス(トリメチルペンチル)ホスフィン酸イオン、デカン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、鉄酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、スルホニルアミド、ブタンスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、エチルスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロエチルスルホニル)イミドアニオン、及びビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドアニオン等が挙げられる。中でも、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンが好ましい。
【0038】
上記イオン液体としては、例えば、下記に示す塩が挙げられる。
ブチルトリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
エチルジメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
2-ヒドロキシメチル-トリメチルアンモニウム L-(+)-ラクテート、
メチルトリオクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
メチルトリオクチルアンモニウム チオサリチル酸塩、
テトラブチルアンモニウム ノナフロロブタンスルホネート、
テトラエチルアンモニウム トリフロロメタンスルホネート、
テトラヘプチルアンモニウム クロライド、
トリブチルメチルアンモニウム ジブチルホスフェート、
トリブチルメチルアンモニウム メチルサルフェイト、
トリエチルメチルアンモニウム ジブチルホスフェート、
トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム メチルサルフェイト、
1-アリル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-アリル-3-メチルイミダゾリウム ブロマイド、
1-アリル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、
1-アリル-3-メチルイミダゾリウム ジシアナミド、
1-アリル-3-メチルイミダゾリウム アイオダイド、
1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、
1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウム クロライド、
1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1,3-ビス(シアノプロピル)イミダゾリウム クロライド、
1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム クロライド、
1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
4-(3-ブチル-1-イミダゾイリオ)-1-ブタンスルホネート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ブロマイド、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ジブチルホスフェート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ジシアナミド、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフロロアンチモン塩、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ハイドロゲンサルフェイト、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム アイオダイド、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム メタンスルホネート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ナイトレート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム オクチルサルフェート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム テトラクロロアルミニウム、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム チオシアネイト、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム トリフロロメタンスルホネート、
1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフロロメタルンスルホニル) アミド、
1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム ジシアナミド、
1-デチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、
1-デチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1,3-ジエトキシイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1,3-ジエトキシイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェイト、
1,3-ジジヒドロキシイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1,3-ジヒドロキシ-2-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1、3-ジメトキシイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1、3-ジメトキシイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1、3-ジメトキシ-2-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
1、3-ジメトキシ-2-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1、3-ジメチルイミダゾリウム ジメチルホスフェート、
1、3-ジメチルイミダゾリウム メタンスルホネート、
1、3-ジメチルイミダゾリウム メチルサルフェイト、
1、2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1、2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム トリス(トリフルオロメチルスルホニル) メチド、
1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム アイオダイド、
1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム クロライド、
1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム トリフロロメタンスルホネート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アミノアセテート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム (S)-2-アミノプロピオン酸塩、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(ペンタフロロエチルスルホニル)イミド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ブロマイド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ジブチルホスフェート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ジシアナミド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ジエチルホスフェート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ジメチルホスフェート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム エチル サルフェイト、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ハイドロゲンサルフェイト、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム 水酸化物溶液、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アイオダイド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム L-(+)-ラクテート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム メチル サルフェイト、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ナイトレート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラクロロアルミニウム、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム 1,1,2,2-テトラフロロエタンスルホネート、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム チオシアネイト、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム トリフロロメタンスルホネート、
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム アイオダイド、
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム トリフロロメタンスルホネート、
1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウム ジシアナミド、
1-メチルイミダゾリウムクロライド、
1-メチルイミダゾリウムハイドロゲンサルフェイト、
1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム クロライド、
1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム トリフロロメタンスルホネート、
1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム アイオダイド、
1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1、2、3-トリメチルイミダゾリウム メチルサルフェイト、
1、2、3-トリメチルイミダゾリウム トリフロロメタンスルホネート、
テトラブチルホスホニウム メタンスルホネート、
トリブチルメチルホスホニウム ジブチル ホスフェイト、
トリブチルメチルホスホニウム メチルサルフェイト、
トリエチルメチルホスホニウム ジブチルホスフェート、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ビス(トリフロロメチルスルホニル)アミド、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ビス(2,4,4-トリメチルペンチル) ホスフィナート、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ブロマイド、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウム クロライド、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウム デカノエイト、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ジシアナミド、
3-(トリフェニルホスフィナート)プロパン-1-スルホネート、
1-ブチル-4-メチルピリジニウム ブロマイド、
1-ブチル-4-メチルピリジニウム クロライド、
1-ブチル-4-メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ブチル-4-メチルピリジニウム アイオダイド、
1-ブチル-4-メチルピリジニウム テトラフルオロボレイト、
1-ブチルピリジニウムブロマイド、
1-(3-シアノプロピル)ピリジニウム クロライド、
1-エチルピリジニウムテトラフルオロボレイト、
3-メチル-1-プロピルピリジニウム ビス(トリフロロメチルスルホル)イミド、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ブロマイド、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ジシアナミド、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム アイオダイド、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム テトラフルオロボレイト、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム トリフロロメタンスルホネート、
1-エチル-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-エチル-1-メチルピロリジニウム ブロマイド、
1-エチル-1-メチルピロリジニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-エチル-1-メチルピロリジニウム テトラフルオロボレイト、
1-ブチル-1-メチルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-1-メチルピペリジニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ブチル-1-メチルピペリジニウム テトラフルオロボレイト、
トリエチルスルホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム メタンスルホネート、
メチル-トリ-n-ブチルアンモニウム メチルサルフェイト、
1,2,4-トリメチルピラゾリウムメチルサルフェイト、
1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム エチルサルフェイト、
メチルイミダゾリウム クロライド、
メチルイミダゾリウム ハイドロゲンサルフェイト、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラクロロアルミニウム、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム エチルサルフェイト、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム メチルサルフェイト、
コリン アセテート、
コリン サリチル酸、
メチルトリオクチルアンモニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
テトラブチルホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
トリブチルドデシルホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
トリメチルヘキシルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
トリメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-オクチル-4-メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ヘキシル-4-メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ヘキシル-4-メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1、2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム アイオダイド、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート、
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム テトラクロロ鉄(III)、
1-メチル-1-プロピルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-3-メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-4-メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-メチル-1-ピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-1-メチルピロリジニウム クロライド、
1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1-(3-ヒドロキシプロピル)-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレイト、
1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェイト、
1-ブチル-3-メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレイト、
1-ブチル-3-メチルピリジニウム テトラフルオロボレイト、
1-ブチルピリジニウムクロライド、
トリブチルメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
テトラブチルアンモニウム ヘキサフルオロホスフェイト、
テトラブチルアンモニウム ブロマイド、
テトラペンチルアンモニウム ブロマイド、
テトラブチルホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト、及び
トリブチルメチルホスホニウム アイオダイド。
【0039】
上記の中でも、特に好ましいのは、アニオンがビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンであるイオン液体である。ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンを有することにより、付加硬化型シリコーン粘着剤の硬化阻害が発生しにくくなる。
【0040】
さらには、4級アンモニウムカチオンとビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンから構成される塩が好ましく、最も硬化阻害が起こりにくい。該イオン液体としては、下記に示す塩が挙げられる。
ブチルトリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
エチルジメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
メチルトリオクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
トリメチルヘキシルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
トリメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、及び
トリブチルメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド。
【0041】
上記イオン液体は、そのままの状態でシリコーン粘着剤組成物に配合しても良いし、予め有機溶剤に希釈した状態あるいはシリコーンオイルに分散させてペースト状にした状態で配合してもよく、これらに限定されるものでない。
【0042】
(C)成分の量は、シリコーン粘着剤組成物中の付加硬化型シリコーンの合計100質量部に対し0.003〜1.5質量部であるのがよく、好ましくは0.006〜1.2質量部であり、さらに好ましくは0.06〜1.2質量部、特に好ましくは0.06〜0.6質量部である。(C)成分の量が上記下限値より少ないと、帯電防止性を与える効果が不十分となる。(C)成分の量が上記上限値より多いと、シリコーン粘着剤組成物の粘着力が低下する、硬化性が悪くなる、基材との密着性が悪くなるといった問題が生じるおそれがある。
【0043】
(e)白金族金属触媒
本発明のシリコーン粘着剤組成物は、付加反応触媒として、不飽和炭化水素結合を有する化合物との錯体でない白金族金属系触媒を使用することを特徴とする。不飽和炭化水素結合を有する化合物とは、特にはオレフィン化合物又はビニル基含有シロキサンである。錯体を形成する白金族金属元素としては、白金、パラジウム、ロジウム、及びルテニウムが挙げられる。
【0044】
白金族金属元素と不飽和炭化水素結合を有する化合物との錯体とは、例えば、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物、白金−オレフィン化合物錯体、及び白金−ビニル基含有シロキサン錯体、ロジウム−オレフィン錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)等が挙げられる。これらは付加反応触媒として一般に用いられているが、該触媒を、上記(B)不飽和基含有ポリオキシアルキレン化合物を含有するシリコーン粘着剤組成物にて使用すると、硬化性が不十分となり、触媒の添加量が通常より多く必要となり、かつ、硬化に必要な加熱温度が高くなり、加熱時間も長くなる。この原因は明らかではないが、上記錯体化合物は、例えば白金原子を安定的に溶液中に存在させるためにオレフィンやビニル基が白金原子に配位して錯体を形成している。通常の付加硬化型シリコーン粘着剤組成物では錯体を形成していても問題ないが、不飽和基含有ポリオキシアルキレン化合物を配合する本発明のシリコーン粘着剤組成物において該触媒を使用すると組成物の硬化性が低下する。これは、オレフィンやビニル基含有シロキサンが加熱により除去されたあとに不飽和基含有ポリオキシアルキレン化合物の不飽和基が白金原子に配位して、白金原子の早期活性化を阻害すると推察される。
【0045】
従って本発明のシリコーン粘着剤組成物においては、不飽和炭化水素結合を有する化合物との錯体以外の白金族金属系触媒を使用することを特徴とする。これにより該シリコーン粘着剤組成物は、通常の加熱温度下、短時間の加熱時間、特には5分未満の加熱、さらに特には30秒〜3分の加熱によって良好に硬化できる。これは、不飽和炭化水素結合を有する化合物との錯体でない白金族金属系触媒、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物は、白金原子にオレフィン化合物やビニル基含有シロキサンが配位していないため、これらの触媒を添加したときにポリオキシアルキレン化合物の不飽和基が白金原子に配位したとしても、白金原子が早期に活性化できるためと考えられる。
【0046】
本発明で使用される白金族金属系触媒は、不飽和炭化水素結合を有する化合物との錯体以外の触媒であればよく、従来付加反応触媒として使用されている触媒から選択されればよい。例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H
2PtCl
4・kH
2O、H
2PtCl
6・kH
2O、NaHPtCl
6・kH
2O、KHPtCl
6・kH
2O、Na
2PtCl
6・kH
2O、K
2PtCl
4・kH
2O、PtCl
4・kH
2O、PtCl
2、Na
2HPtCl
4・kH
2O(但し、式中、kは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの等が挙げられる。中でも白金系触媒が好ましく、さらには塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、及び塩化白金酸とアルコールとの反応物が好ましい。
【0047】
さらに特には、塩化白金酸のアルコール溶液及び塩化白金酸とアルコールとの反応物が好ましい。これらは従来公知のものであってよい。例えば、塩化白金酸をアルコールに溶解したもの、あるいは塩化白金酸をアルコールに溶解したのち、室温から80℃で撹拌したものなどが挙げられる。
【0048】
塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物に用いるアルコールの好ましい例としては、沸点が200℃以下の炭素数1から8までのアルコールが挙げられる。特に好ましくは炭素原子数3〜7のアルコールである。アルコールの沸点が低いと、保管の際に塩化白金酸濃度が変わってしまうおそれがある。また、沸点が高すぎると乾燥時にアルコールが粘着剤内に残ってしまうおそれがある。
【0049】
触媒の添加量は触媒量であればよい。触媒量とは上記(a)成分及び(B)成分と(c)成分との付加反応を進行させるための有効量である。特には、(a)成分及び(B)成分及び(b)成分の合計質量部に対し、白金族金属分として1〜5,000ppm、特には5〜1,000ppmとすることが好ましい。上記下限値未満では、シリコーン粘着剤組成物の硬化性が低下し、得られる硬化物は架橋密度が低くなり、基材を保持する力(粘着強度)が低下することがある。上記上限値超では処理浴の使用可能時間が短くなる場合がある。
【0050】
付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物
本発明の付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物に含まれる上記(B)成分、(C)成分、及び(e)成分以外の成分は、上記の通り従来公知の付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物に含まれる成分であればよい。例えば(A)付加硬化型シリコーンが下記(a)〜(c)成分であり、さらに下記(d)成分を含むものが挙げられる。
(a)1分子中に2個以上のアルケニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン (b)R
43SiO
0.5単位およびSiO
2単位を含有し、R
43SiO
0.5単位/SiO
2単位のモル比が0.6〜1.7であるオルガノポリシロキサン(R
4は炭素数1〜10の1価炭化水素基)
(c)1分子中に2個以上のSiH基を含有するオルガノポリシロキサン
(d)任意成分として反応制御剤
【0051】
以下、(a)成分〜(d)成分についてさらに詳しく説明する。
(a)アルケニル基含有直鎖状ジオルガノポリシロキサン
アルケニル基含有直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上のアルケニル基を有すればよく、特に限定されるものでない。
【0052】
該ジオルガノポリシロキサンはオイル状又は生ゴム状であってよい。オイル状であるジオルガノポリシロキサンの粘度は、25℃において、1000mPa・s以上、特には10、000mPa・s以上が好ましい。粘度が上記下限値未満では粘着剤組成物の硬化性が低下したり、凝集力(保持力)が低下するため不適である。生ゴム状であるジオルガノポリシロキサンの粘度は、30%の濃度となるようにトルエンで溶解したときの粘度が25℃において100,000mPa・s以下であるのが好ましい。100,000mPa・sを越えると、組成物が高粘度となりすぎるため、該組成物を製造する時の撹拌が困難になる。上記粘度はBM型回転粘度計を用いて測定することができる。上記ジオルガノポリシロキサンは2種以上の併用であってもよい。
【0053】
該アルケニル基含有直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、例えば、下記式(3)又は(4)で示される。
【化9】
【化10】
上記式中、R
2は、互いに独立に、脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基含有有機基であり、aは0〜3の整数であり、好ましくは1であり、pは0以上の整数であり、qは100以上の整数であり、但しaとpは同時に0にならない。p+qは、上記ジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が1,000mPa・s以上となる値である。
【0054】
R
2としては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜7の、脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;及びフェニル基、及びトリル基などのアリール基などが挙げられる。特には、メチル基又はフェニル基が好ましい。
【0055】
Xとしては、炭素数2〜10のアルケニル基含有有機基が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基、シクロヘキセニルエチル基、及びビニルオキシプロピル基などが挙げられる。中でも工業的観点からビニル基が好ましい。
【0056】
(b)M単位およびQ単位を含有するオルガノポリシロキサン
該オルガノポリシロキサンは、R
43SiO
0.5単位およびSiO
2単位を有するオルガノポリシロキサンであり、従来公知のものを使用できる。該オルガノポリシロキサンは、R
43SiO
0.5単位およびSiO
2単位を、R
43SiO
0.5単位/SiO
2単位のモル比:0.6〜1.7、好ましくは0.7〜1.3で含有するのがよい。R
4は炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、上記R
2の為に例示したものが挙げられる。R
43SiO
0.5単位/SiO
2単位のモル比が上記下限値未満では、得られる粘着剤層の粘着力やタックが低下することがあり、また上記上限値を超えると、得られる粘着剤層の粘着力や保持力が低下することがある。該オルガノポリシロキサンはOH基を有していてもよい。その場合、OH基の含有量は、該オルガノポリシロキサンの総質量に対して4.0質量%以下であるのが好ましい。OH基が上記上限値を超えると粘着剤の硬化性が低下するおそれがあるため好ましくない。
【0057】
上記オルガノポリシロキサンは2種以上の併用であってもよい。また、本発明の特性を損なわない範囲でR
4SiO
1.5単位及び/又はR
42SiO単位を有していても良い。
【0058】
上記(a)成分と(b)成分は単純に混合して使用してもよいし、(a)成分として上記式(4)で示されるオルガノポリシロキサンを含有する場合には(a)成分及び(b)成分を予め反応させて得られる縮合反応物として使用してもよい。縮合反応は、(a)及び(b)成分の混合物をトルエンなどの溶剤に溶解し、アルカリ性触媒を用いて室温乃至還流下で反応させればよい。
【0059】
(a)及び(b)成分の質量比は、20/80〜100/0であればよく、好ましくは30/70〜95/5である。(a)成分の量が上記下限値より少ないと、得られる粘着剤層の粘着力や保持力が低下する。
【0060】
(c)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤であり、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有する。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、又は環状であってよい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度1〜5、000mPa・sを有することが好ましく、さらに好ましくは5〜500mPa・sがよい。上記粘度はBM型回転粘度計を用いて測定することができる。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、従来公知のものを使用することができる。
【0061】
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記式(6)で示す直鎖状シロキサン、及び下記式(7)で示す環状シロキサンが挙げられる。
【化11】
【化12】
式中、R
3は炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、bは0または1であり、r及びsは整数であり、該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5、000mPa・s、好ましくは5〜500mPa・sとなる値である。tは2以上の整数であり、vは0以上の整数であり、かつt+v≧3であり、好ましくは8≧t+v≧3である。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは2種以上の混合物であってもよい。
【0062】
R
3は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜7の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;及びフェニル基、及びトリル基などのアリール基、ビニル基及びアリル基などのアルケニル基が挙げられる。特には、メチル基又はフェニル基が好ましい。
【0063】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(a)成分中のアルケニル基の個数に対する(c)成分中のSiH基の個数の比が1〜20となる量が好ましく、特に好ましくは1〜15となる量である。上記下限値未満では、得られる硬化物の架橋密度が低くなるため、粘着剤層が基材を保持する力が低くなるおそれがある。上記上限値を超えると得られる硬化物の架橋密度が高くなり過ぎ、粘着剤層は十分な粘着力及びタックが得られないおそれがある。また、上記上限値を超えると粘着剤組成物(処理液)の使用可能時間が短くなる場合がある。また、上記の通り、本発明のシリコーン粘着剤組成物は、不飽和炭化水素基を有する(ポリ)オキシアルキレン化合物(B)を含有するため、(B)成分及び(a)成分が有する不飽和炭化水素基の合計個数に対する(c)成分中のSiH基の個数の比が1〜20、好ましくは1〜15となるのがよい。
【0064】
(d)反応制御剤
上記シリコーン粘着剤組成物は任意成分として反応制御剤を含有することができる。反応制御剤は、シリコーン粘着剤組成物を調合して基材に塗工する際に、加熱硬化する前に組成物が増粘したりゲル化しないようにするために機能するものであり、従来公知の反応制御剤を使用することができる。例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3、5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3、5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2、2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1、3、5、7−テトラメチル−1、3、5、7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、及び1、1、3、3−テトラメチル−1、3−ジビニルジシロキサンなどが挙げられる。
【0065】
反応制御剤の量は(a)成分及び(b)成分の合計100質量部に対して0〜8質量部であればよく、好ましくは0.01〜8質量部であり、特には0.05〜2質量部が好ましい。反応制御剤の量が上記上限値を超えると硬化性が低下することがある。
【0066】
本発明のシリコーン粘着剤組成物は、市販の付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物に上記(B)成分、(C)成分及び(e)成分を添加して得ることもできる。該市販の付加硬化型シリコーン粘着剤としては、KR−3700、KR−3701、KR−3704、X−40−3237、KR−3706(信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。(B)成分及び(C)成分を該市販品のシリコーン粘着剤組成物に配合すると、シリコーン粘着剤組成物中に含まれるSiH基の合計個数と不飽和炭化水素基の合計個数の比率が上記範囲内とならない場合がある。このような場合には、上述した(c)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンをさらに添加して比率を調整すればよい。
【0067】
本発明のシリコーン粘着剤組成物は、塗工の際の粘度を下げるために、さらに有機溶剤を含有してもよい。該有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1、4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤などが使用される。
【0068】
また、本発明においては、上記成分以外のイオン導電性物質(但し、リチウム塩は除く)やその他の有機高分子系の帯電防止剤などを本シリコーン粘着剤組成物の性能を損なわない範囲で併用することもできる。
【0069】
本発明のシリコーン粘着剤組成物には、上記した各成分以外にさらに任意成分を添加することができる。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサンなどの非反応性のポリオルガノシロキサン;フェノール系、キノン系、アミン系、リン系、ホスファイト系、イオウ系、チオエーテル系などの酸化防止剤;トリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤;リン酸エステル系、ハロゲン系、リン系、アンチモン系などの難燃剤;カチオン活性剤、アニオン活性剤、非イオン系活性剤などの帯電防止剤が挙げられる。
【0070】
本発明のシリコーン粘着剤組成物は、上記した各成分を混合、溶解することにより調製される。調製方法は従来公知の方法に従えばよい。混合は、上記した(B)成分及び(C)成分以外の成分を予め混合しておいた混合物に、(B)成分及び(C)成分を添加し、混合してもよいし、全ての成分を一段階で混合してもよい。特には、上述した(a)〜(d)成分を先ず混合し、該混合物に(B)成分及び(C)成分を添加し、任意でさらに(c)成分を添加し、均一になるように混合し、次いで、(e)付加反応触媒を加え、任意で溶剤を加えて混合することで、本発明のシリコーン粘着剤組成物が調製される。
【0071】
該シリコーン粘着剤組成物を種々のシート状基材に塗工し、所定の条件にて硬化させることにより、粘着剤層を有する粘着テープ又は粘着フィルムを得ることができる。シリコーン粘着剤組成物を塗工する基材は、特に制限されるものでない。例えば、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム;アルミニウム箔、銅箔などの金属箔;和紙、合成紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙;布;ガラス繊維;これらのうちの複数を積層してなる複合基材等のシート状基材が挙げられる。シリコーン粘着剤層とこれらの基材との密着性を向上させるために、基材に予めプライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、又はプラズマ処理してもよい。
【0072】
本発明のシリコーン粘着剤組成物は短時間の加熱により、帯電防止性にが良好な粘着層(硬化物)を与える。該粘着層の表面抵抗率は帯電防止用途として適用できればいかなる範囲の抵抗率でもよいが、好ましくは1E+9〜1E+13未満Ω/sq.(1×10
9〜1×10
13未満Ω/sq.)、より好ましくは1E+9〜9.9E+12Ω/sq.(1×10
9〜9.9×10
12Ω/sq.)を有する粘着剤層、さらには1E+9〜1E+12未満Ω/sq.(1×10
9〜1×10
12未満Ω/sq.)、特には1E+10〜9.9E+11Ω/sq.(1×10
10〜9.9×10
11Ω/sq.)を有する粘着剤層を提供することができる。本発明における表面抵抗率はJIS K6911に準じて測定された値である。
【0073】
シリコーン粘着剤組成物の塗工方法は、従来公知の方法に従えばよい。例えば、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター、グラビアコーター、スクリーン塗工、浸漬塗工、及びキャスト塗工などが使用できる。組成物の塗工量は、硬化したあとの粘着剤層の厚みが2〜200μm、特に3〜100μmとする量であるのが好ましい。組成物の硬化条件は、好ましくは80〜150℃で30秒〜5分未満、特に好ましくは80〜140℃で30秒〜3分であるのがよい。
【0074】
粘着テープの製造方法は従来公知の方法に従えばよい。例えば、上記のように基材に粘着剤組成物を直接塗工し、硬化して製造することができる。また、剥離コーティングを行った剥離フィルムや剥離紙に粘着剤組成物を塗工し、硬化を行った後、上記基材に該フィルムの粘着層面を貼り合わせること(所謂、転写法)により製造することもできる。
【0075】
本発明の粘着テープは上記の通り優れた帯電防止性を有し、且つ、被着体から該粘着テープをはがす際に糊残りを生じない。従って、帯電防止性粘着テープとして各種基材に好適に使用することができる。本発明の粘着テープを施与される被着体は特に限定されないが、例えば、ステンレス、銅、鉄などの金属;表面がメッキ処理や防錆処理されたこれらの金属;ガラス、陶磁器等のセラミックス;ポリテトラフロロエチレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂などの樹脂、さらにこれらのうちの複数が複合されて構成された基材が挙げられる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0077】
下記実施例及び比較例にて使用した各成分は、以下の通りである。下記において、粘度はブルックフィールド回転粘度計(BM型粘度計)を用いて測定された25℃での値である。
(A)付加硬化型シリコーン
・ポリシロキサン(a1):分子鎖両末端がジメチルビニルシリル基(SiMe
2Vi基)で封鎖されたビニル基含有ポリジメチルシロキサン 30%トルエン溶液での粘度27000mPa・sを有し、ビニル基含有量0.075モル%を有する
・ポリシロキサン(a2):分子鎖両末端がジメチルビニルシリル基(SiMe
2Vi基)で封鎖されたビニル基含有ポリジメチルシロキサン 30%トルエン溶液での粘度27000mPa・sを有し、ビニル基含有量が0.15モル%を有する
・ポリシロキサン(b):Me
3SiO
0.5単位及びSiO
2単位からなるポリシロキサン(Me
3SiO
0.5単位/SiO
2単位=0.82)の60%トルエン溶液
・ポリシロキサン(c1):下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【化13】
・ポリシロキサン(c2):下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【化14】
【0078】
(B)成分:下記式で表されるポリオキシアルキレン化合物:
(B−1):下記式(a)又は(b)で表される、不飽和炭化水素基を1つ有するポリオキシアルキレン化合物
【化15】
式中、m及びnの値は、(m,n)=(8,0),(16,0),(0,10),(12,2)のいずれかである。各例で使用したポリオキシアルキレン化合物のm及びnの値を表中に記載する。
【化16】
式中、m及びnの値は、(m,n)=(6,0)である。
(B−2):下記式(c)で表される、不飽和炭化水素基を2つ有するポリオキシアルキレン化合物
【化17】
式中、m及びnの値は、(m,n)=(8,0),(16,0),(0,10),(12,2)のいずれかである。各例で使用したポリオキシアルキレン化合物のm及びnの値を表中に記載する。
(B−3)成分:下記式で表されるポリオキシアルキレン化合物:
【化18】
式中、m及びnの値は、(m,n)=(2,0)、(10,0)、(20,0)のいずれかである。各実施例及び比較例で使用した(B)成分のm及びnの値を表中に記載する。
【0079】
(C)成分
イオン液体A:トリメチルプロピルアンモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
イオン液体B:ブチルトリメチルアンモニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
イオン液体C:エチルジメチルプロピルアンモニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【0080】
・触媒
白金系触媒A:塩化白金酸−1−ブタノール溶液
白金系触媒B:塩化白金酸−2−エチルヘキシルアルコール溶液
比較例用触媒C:塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物(錯体)
【0081】
[調製例1]
シリコーン粘着剤組成物(α)の調製
ポリシロキサン(a1)を40質量部、ポリシロキサン(b)を83.3質量部、ポリシロキサン(c1)を0.4質量部、及びトルエン33.3質量部を混合してなる溶液に、1−エチニルシクロヘキサノール0.2質量部を添加して混合し、シロキサン分約60質量%の混合物を得た((a2)成分中のアルケニル基の個数に対する(c1)成分中のSiH基の個数の比は15であった)。該混合物100質量部に下記表に示す(ポリ)オキシアルキレン化合物、同表に示すイオン液体、及びポリシロキサン(c2)を、同表に示す組成および添加量(質量部)で添加し、均一になるように撹拌した。該混合物100質量部にトルエン50質量部を添加してさらに混合し、シロキサン分約40質量%である混合物を調製した。さらに表中に示す各触媒を白金原子の質量が(a)成分と(b)成分の合計質量に対して250ppmとなるように添加し、十分に撹拌混合して、シリコーン粘着剤組成物(α)を得た。尚、ポリシロキサン(c2)は、(B)成分中のアルケニル基の個数に対するポリシロキサン(c2)中のSiH基の個数の比が1となる量で添加されたものである。
【0082】
[調製例2]
シリコーン粘着剤組成物(β)の調製
ポリシロキサン(a2)を95質量部、ポリシロキサン(b)を8.3質量部、ポリシロキサン(c1)を0.6質量部、及びトルエン33.3質量部を混合してなる溶液に、1−エチニルシクロヘキサノール0.2質量部を添加して混合し、シロキサン分約60質量%の混合物を得た((a2)成分中のアルケニル基の個数に対する(c1)成分中のSiH基の個数の比は5であった)。該混合物100質量部に下記表に示す(ポリ)オキシアルキレン化合物、同表に示すイオン液体、及びポリシロキサン(c2)を、同表に示す組成および添加量(質量部)で添加し、均一になるように撹拌した。該混合物100質量部にトルエン50質量部を添加してさらに混合し、シロキサン分約40質量%である混合物を調製した。さらに表中に示す各触媒を白金原子の質量が(a)成分と(b)成分の合計質量に対して250ppmとなるように添加し、十分に撹拌混合して、シリコーン粘着剤組成物(β)を得た。尚、ポリシロキサン(c2)は、(B)成分中のアルケニル基の個数に対するポリシロキサン(c2)中のSiH基の個数の比が1となる量で添加されたものである。
【0083】
得られた各シリコーン粘着剤組成物について、以下の試験を行った。
硬化性
シリコーン粘着剤組成物を、厚み25μm、110mm角のポリイミドフィルムに硬化後の厚みが30μmとなるようにアプリケータを用いて塗工した後、130℃で加熱して粘着シートを作成した。加熱時間は1分、3分、または5分として粘着シートを作成した。これら粘着シートを#280の紙やすりで磨いたSUS304の表面に貼り合せたのち、2kgのローラーで1往復させ、粘着した後、粘着シートを剥離して、硬化性を評価した。粘着シートを剥離した際に、SUS表面に粘着物質が残っていない場合(即ち、硬化が十分に完了しているため粘着物質が被着体に移行しない)をOKと評価し、SUS表面に粘着剤が残っている場合(即ち、硬化が不十分であり粘着物質が被着体に移行する)をNGと評価した。また、5分加熱した時点で硬化が完了していなかった場合にも硬化性はNGと評価した。
【0084】
表面抵抗率
シリコーン粘着剤組成物溶液を、厚み25μm、110mm角のポリイミドフィルムに硬化後の厚みが30μmとなるようにアプリケータを用いて塗工した後、130℃、2分の条件で加熱し硬化させ、粘着シートを作成した。この粘着シートの表面抵抗率をJIS−K6911に基づきハイレスタ−UP MCT−UP450(株式会社ダイヤインスツルメンツ製)を用い、印加電圧を500Vとして測定した。複数回測定を行い,表面抵抗率が1E+9〜5E+9Ω/sq.(1×10
9〜5×10
9Ω/sq.)の範囲にあった場合を9乗前半、5E+9超〜9.9E+9Ω/sq.(5×10
9超〜9.9×10
9Ω/sq.)の場合を9乗後半として表中に記載した。
以下、同様に、下記の通り表中に記載した。
1E+10〜5E+10Ω/sq.(1×10
10〜5×10
10Ω/sq.):10乗前半、
5E+10超〜9.9E+10Ω/sq.(5×10
10超〜9.9×10
10Ω/sq.):10乗後半、
1E+11〜5E+11Ω/sq.(1×10
11〜5×10
11Ω/sq.):11乗前半、
5E+11超〜9.9E+11Ω/sq.(5×10
11超〜9.9×10
11Ω/sq.):11乗後半、
1E+12〜5E+12Ω/sq.(1×10
12〜5×10
12Ω/sq.):12乗前半、
5E+12超〜9.9E+12Ω/sq.(5×10
12超〜9.9×10
12Ω/sq.):12乗後半、
1E+13〜5E+13Ω/sq.(1×10
13〜5×10
13Ω/sq.):13乗前半、
5E+13超〜9.9E+13Ω/sq.(5×10
13超〜9.9×10
13Ω/sq.):13乗後半、
1E+14〜5E+14Ω/sq.(1×10
14〜5×10
14Ω/sq.):14乗前半、
5E+14超〜9.9E+14Ω/sq.(5×10
14超〜9.9×10
14Ω/sq.):14乗後半、
1E+15Ω/sq.以上(1×10
15Ω/sq.以上):15乗以上
【0085】
上記シリコーン粘着剤組成物αについてオキシアルキレン化合物、イオン液体、及び触媒の組成を変えて評価した結果を下記表1〜15及び30〜32に示す。シリコーン粘着剤組成物βについてオキシアルキレン化合物、イオン液体、及び触媒の組成を変えて評価した結果を下記表16〜29に示す。
【0086】
シリコーン粘着剤組成物α
下記表1〜表10に示すのは、不飽和炭化水素基を1つ有するポリオキシアルキレン化合物(B−1)を使用した例である。
実施例1〜4及び比較例1及び2ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=8、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例5〜8及び比較例3及び4ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=16、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表1に示す。
【表1】
【0087】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例9〜12及び比較例5及び6ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=0、n=10)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例13〜16及び比較例7及び8ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=12、n=2)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表2に示す。
【表2】
【0088】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例17〜20及び比較例9及び10ではポリオキシアルキレン化合物(b)(m=6、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表3に示す。
【表3】
【0089】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例11〜25では、イオン液体Aを使用し、比較用触媒Cを使用し、(B−1)成分の組成を以下の通り変えた。結果を下記表4に示す。(B−1)成分として比較例11〜21では式(a)の化合物を、比較例22〜25では式(b)の化合物を使用した。
【表4】
【0090】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例21〜32及び比較例26及び27では、イオン液体B又はCを0.5質量部使用し、触媒Aを使用し、(B−1)成分の組成を以下の通り変えた。結果を下記表5に示す。
【表5】
【0091】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例28〜39では、実施例21〜32における触媒Aを触媒Cに変えた。結果を下記表6に示す。
【表6】
【0092】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例33〜40ではイオン液体Aの量を0.01質量部又は2質量部にした。結果を下記表7に示す。
【表7】
【0093】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例40〜45ではイオン液体Aの量を上限値超にした。比較例46〜49ではイオン液体を配合しなかった。結果を下記表8に示す。
【表8】
【0094】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例50〜57では、実施例33〜40における触媒Aを比較用触媒Cに変えた。結果を下記表9に示す。
【表9】
【0095】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例41〜53及び比較例58〜60では触媒Bを使用した。結果を下記表10に示す。
【表10】
【0096】
シリコーン粘着剤組成物α
下記表11〜表15に示すのは、不飽和炭化水素基を2つ有するポリオキシアルキレン化合物(B−2)を使用した例である。
実施例54〜57及び比較例61及び62ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=8、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例58〜61及び比較例63及び64ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=16、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表11に示す。
【表11】
【0097】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例62〜65及び比較例65及び66ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=0、n=10)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例66〜69及び比較例67及び68ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=12、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表12に示す。
【表12】
【0098】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例69〜82では、イオン液体Aを使用し、比較用触媒Cを使用し、(B−2)成分の組成を以下の通り変えた。結果を下記表13に示す。
【表13】
【0099】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例70〜81及び比較例83及び84では、イオン液体B又はCを使用した。結果を下記表14に示す。
【表14】
【0100】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例85〜93では、実施例70〜81における触媒Aを触媒Cに変えた。結果を下記表15に示す。
【表15】
【0101】
シリコーン粘着剤組成物β
下記表16〜表24に示すのは、不飽和炭化水素基を1つ有するポリオキシアルキレン化合物(B−1)を使用した例である。
実施例82〜85及び比較例94及び95ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=8、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例86〜89及び比較例96及び97ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=16、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表16に示す。
【表16】
【0102】
シリコーン粘着剤組成物β
実施例90〜93及び比較例98及び99ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=0、n=10)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例94〜97及び比較例100及び101ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=12、n=2)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表17に示す。
【表17】
【0103】
シリコーン粘着剤組成物β
実施例98〜101及び比較例102及び103ではポリオキシアルキレン化合物(b)(m=6、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表18に示す。
【表18】
【0104】
シリコーン粘着剤組成物β
比較例104〜118では、イオン液体Aを使用し、比較用触媒Cを使用し、(B−1)成分の組成を以下の通り変えた。結果を下記表19に示す。(B−1)成分として比較例104〜114では式(a)の化合物を、比較例115〜118では式(b)の化合物を使用した。
【表19】
【0105】
シリコーン粘着剤組成物β
実施例102〜113及び比較例119及び120では、イオン液体B又はCを0.5質量部使用し、触媒Aを使用し、(B−1)成分の組成を以下の通り変えた。結果を下記表20に示す。
【表20】
【0106】
シリコーン粘着剤組成物β
比較例121〜132では、実施例102〜113における触媒Aを触媒Cに変えた。結果を下記表21に示す。
【表21】
【0107】
シリコーン粘着剤組成物β
実施例114〜121ではイオン液体Aの量を0.01質量部又は2質量部にした。結果を下記表22に示す。
【表22】
【0108】
シリコーン粘着剤組成物β
比較例133〜138ではイオン液体Aの量を上限値超にした。比較例139〜142ではイオン液体を含まなかった。結果を下記表23に示す。
【表23】
【0109】
シリコーン粘着剤組成物β
比較例143〜150では、実施例114〜121における触媒Aを比較用触媒Cに変えた。結果を下記表24に示す。
【表24】
【0110】
シリコーン粘着剤組成物β
下記表25〜表29に示すのは、不飽和炭化水素基を2つ有するポリオキシアルキレン化合物(B−2)を使用した例である。
実施例122〜125及び比較例151及び152ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=8、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例126〜129及び比較例153及び154ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=16、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表25に示す。
【表25】
【0111】
シリコーン粘着剤組成物β
実施例130〜133及び比較例155及び156ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=8、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。実施例134〜137及び比較例157及び158ではポリオキシアルキレン化合物(a)(m=16、n=0)、イオン液体A、及び触媒Aを使用し、ポリオキシアルキレン化合物の添加量を変化させた。結果を下記表26に示す。
【表26】
【0112】
シリコーン粘着剤組成物β
比較例159〜172では、イオン液体Aを使用し、比較用触媒Cを使用し、(B−2)成分の組成を以下の通り変えた。結果を下記表27に示す。
【表27】
【0113】
シリコーン粘着剤組成物β
実施例138〜149及び比較例173及び174ではイオン液体B又はCを使用した。結果を下記表28に示す。
【表28】
【0114】
シリコーン粘着剤組成物β
比較例175〜183では実施例138〜149における触媒Aを触媒Cに変えた。結果を下記表29に示す。
【表29】
【0115】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例184〜188では(B)成分を添加しなかった。(B)成分を添加しないため(c2)成分の添加も不要である。
結果を下記表30に示す。
【表30】
【0116】
シリコーン粘着剤組成物α
実施例150〜152では(B−3)成分を使用し、触媒Aを使用した。結果を下記表31に示す。
【表31】
【0117】
シリコーン粘着剤組成物α
比較例189〜191では(B−3)成分を使用し、触媒Cを使用した。結果を下記表32に示す。
【表32】
【0118】
上記比較例に示す通り、不飽和炭化水素基を有するオキシアルキレン化合物を含み付加反応触媒として白金−ビニル基含有シロキサン錯体を使用した組成物は硬化性に劣り5分未満の加熱で十分に硬化することができない。これに対し、本発明のシリコーン粘着剤組成物はいずれも硬化性が良好であり、加熱時間5分未満、特には3分以内に十分に硬化し、得られた粘着層を有する粘着テープを被着体から剥がした時に糊残りを生じない。また、上記実施例に示す通り、本発明のオキシアルキレン化合物とイオン液体を組合せて含有する組成物の硬化物はいずれも、表面抵抗率10乗前半〜12乗後半:1E+10〜9.9E+12Ω/sq.(1×10
10〜9.9×10
12Ω/sq.)を有し、表面抵抗率が低く、帯電防止性に優れる。