特許第6356824号(P6356824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356824フレキシブル基板を処理するための装置、及びその処理チャンバを洗浄するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356824
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】フレキシブル基板を処理するための装置、及びその処理チャンバを洗浄するための方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20180702BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20180702BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20180702BHJP
   C23C 14/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   C23C16/44 J
   C23C16/54
   C23C14/56 A
   C23C14/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-559548(P2016-559548)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2017-509798(P2017-509798A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2014056826
(87)【国際公開番号】WO2015149869
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リース, フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ザウアー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】モリソン, ニール
(72)【発明者】
【氏名】ストーレイ, トビアス
【審査官】 原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5215589(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102012209051(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/065282(US,A1)
【文献】 特開2000−239849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板を処理するための装置であって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバの中にあり、前記フレキシブル基板を支持するように構成されたコーティングドラムと、
前記処理チャンバの中に配置された一又は複数の堆積源と、
前記処理チャンバ内部に提供され、前記コーティングドラムと前記一又は複数の堆積源との間でシールド箔を移動させるように構成されたシャッターデバイスと
を備える装置。
【請求項2】
前記シールド箔を巻く及び/又は巻き出すように構成された一又は複数のロール受容部を更に含み、前記一又は複数のロール受容部の少なくとも1つが、前記コーティングドラムの下に提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一又は複数のロール受容部が、前記処理チャンバ内部に提供される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ロール受容部が、
前記シールド箔を巻く及び巻き出すように構成された第1のロール受容部であって、前記シールド箔の第1の端部が、前記第1のロール受容部に連結可能である、第1のロール受容部と、
前記シールド箔を巻く及び巻き出すように構成された第2のロール受容部であって、前記シールド箔の第2の端部が、前記第2のロール受容部に連結可能である、第2のロール受容部と
を含む、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のロール受容部が、前記コーティングドラムの下に提供され、及び/又は前記第2のロール受容部が、前記コーティングドラムの上に提供される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シャッターデバイスが、第1の部分及び第2の部分を有する少なくとも1つのアームを含み、前記第1の部分が、前記アームの回転軸を提供し、前記シールド箔が前記第2の部分に連結可能である、請求項1から5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記アームの前記回転軸が、前記コーティングドラムの回転軸に実質的に平行であり、前記アームの前記回転軸が、前記コーティングドラムの前記回転軸に対応する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の部分が、前記コーティングドラムの前記回転軸に実質的に垂直に、前記コーティングドラムの前記回転軸から少なくとも前記コーティングドラムの外周面まで延び、及び/又は前記第2の部分が、前記コーティングドラムの前記回転軸に実質的に平行に、前記コーティングドラムの前記外周面の少なくとも一部に沿って延びる、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記シャッターデバイスが、第1の端部及び第2の端部を有するワイヤ又はバンドを更に含み、前記第1の端部が、前記第1のロール受容部に提供され、前記第2の端部が、前記第2のロール受容部に提供され、前記ワイヤ又はバンドの中間部分が、前記コーティングドラムと前記一又は複数の堆積源との間で前記シールド箔を移動させるために、前記シールド箔に連結可能である、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項10】
前記シャッターデバイスが、ガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動可能であるように構成されたキャリッジとを更に含み、前記キャリッジが、前記コーティングドラムと前記一又は複数の堆積源との間で前記シールド箔を移動させるために前記シールド箔に連結可能である、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項11】
前記シャッターデバイスが、前記コーティングドラムと前記一又は複数の堆積源との間で前記シールド箔を移動させるように構成されたドライバを更に含み、前記ドライバがモータである、請求項1から10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
一又は複数の切り欠きを含み、前記一又は複数の切り欠きが、前記一又は複数の堆積源の位置にそれぞれ対応する、請求項1から11の何れか一項に記載の装置で使用するためのシールド箔。
【請求項13】
前記シールド箔が、金属合金から成る、請求項12に記載のシールド箔。
【請求項14】
フレキシブル基板処理装置の処理チャンバの中の真空を破壊せずに、前記処理チャンバを洗浄するための方法であって、前記装置が、前記処理チャンバ内部に提供され、コーティングドラムと一又は複数の堆積源との間でシールド箔を移動させるように構成されたシャッターデバイスを含んでおり、
前記シャッターデバイスによって、前記コーティングドラムと前記一又は複数の堆積源との間で前記シールド箔を案内することと、
前記処理チャンバの中で第1のポンプ及びパージプロセスを開始することと、
前記処理チャンバに洗浄又はエッチングガスを提供することと、
前記処理チャンバをプラズマ洗浄することと、
前記処理チャンバの中で第2のポンプ及びパージプロセスを開始することと
を含む方法。
【請求項15】
前記コーティングドラムと前記一又は複数の堆積源との間で前記シールド箔を案内することが、
記コーティングドラム又はその上に配置された前記フレキシブル基板と接触せずに、前記コーティングドラム又はその上に配置された前記フレキシブル基板と前記一又は複数の堆積源との間に提供された間隙内部で、前記シールド箔を案内すること
を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、薄膜処理装置、特にフレキシブル基板を処理するための装置、より具体的にはロールツーロール(R2R)システムに関する。本開示の実施形態は、特に、R2R化学気相堆積(CVD)システムの処理チャンバのプラズマ洗浄のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック膜又はプラスチック箔などのフレキシブル基板の処理は、パッケージング業界、半導体業界及びその他の業界で需要が高い。処理は、金属、半導体、及び誘電体材料などの所望の材料によるフレキシブル基板のコーティング、エッチング及び所望の用途のために基板上で行われるその他の処理ステップから成りうる。この作業を実施するシステムは、一般に、基板を搬送する処理システムに結合されたコーティングドラム、例えば、円筒形ローラを含み、このコーティングドラムの上で基板の少なくとも一部分が処理される。これにより、ロールツーロールコーティングシステムは、高いスループットシステムを提供することができる。
【0003】
典型的には、化学蒸発プロセス又は熱蒸発プロセスなどのコーティングプロセスは、材料の薄い層をフレキシブル基板上に堆積させるために用いることができる。しかしながら、ロールツーロール堆積システムはまた、ディスプレイ業界及び光電池(PC)業界で、好調な需要の高まりを経験しつつある。例えば、タッチパネル要素、フレキシブルディスプレイ、及びフレキシブルPVモジュールによって、とりわけ低い製造高コストで、ロールツーロールコーターに適する層を堆積させる需要が高まっている。しかしながら、そのようなデバイスは、通常、CVDプロセス、またとりわけPECVDプロセスで製造されるいくつかの層を通常は有している。
【0004】
例えば、CVD、PECVD及び/又はPVD源などを有する堆積装置は、堆積源のシールド及び/又は周辺部品上に堆積を生成しうる。機器の次の使用のために、洗浄手順は、相互汚染効果を回避し、長期プロセスの安定性を保証するために、行われなければならない。一般的に、この目的のため、処理チャンバは、手動で開放及び洗浄される。しかしながら、これは時間の浪費であり、結果的に機械の休止時間を増大させる可能性があり、チャンバの換気前と同一の条件下で、後続のフレキシブル基板又は取り替えられたフレキシブル基板上で処理を実行することが難しくなる。
【0005】
したがって、基板スループットの最大化及び機械休止時間の最小化を保証するための、OLED構造、半導体構造及びその他の最新のより高機能なデバイスなど、フレキシブル基板を処理するための有効な装置に関する技術が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
上記を鑑み、フレキシブル基板を処理するための装置及びその処理チャンバを洗浄するための方法が提供される。本発明のさらなる態様、利点及び特徴は、従属請求項、明細書及び添付の図面から明らかとなる。
【0007】
1つの態様では、フレキシブル基板を処理するための装置が提供される。装置は、処理チャンバと、処理チャンバの中にあり、フレキシブル基板を支持するように構成されたコーティングドラムと、処理チャンバの中に配置された一又は複数の堆積源と、処理チャンバ内部に提供され、コーティングドラムと一又は複数の堆積源との間でシールド箔を移動させるように構成されたシャッターデバイスとを備える。
【0008】
別の態様では、フレキシブル基板を処理する装置のためのシールド箔が提供される。シールド箔は、装置の一又は複数の堆積源の位置に対応する一又は複数の切り欠きを含む。
【0009】
更なる別の態様では、処理チャンバの中の真空を破壊せずに、フレキシブル基板処理装置の処理チャンバを洗浄するための方法が提供される。装置は、処理チャンバ内部に提供され、コーティングドラムと一又は複数の堆積源との間でシールド箔を移動させるように構成されたシャッターデバイスとを含む。方法は、シャッターデバイスによって、コーティングドラムと一又は複数の堆積源との間でシールド箔を案内することと;処理チャンバの中で第1のポンプ及びパージプロセスを開始することと;処理チャンバに洗浄又はエッチングガスを提供することと;処理チャンバをプラズマ洗浄することと;処理チャンバの中で第2のポンプ及びパージプロセスを開始することとを含む。
【0010】
更に別の態様では、フレキシブル基板を処理するための装置が提供される。装置は、処理チャンバと、処理チャンバの中にあり、フレキシブル基板を支持するように構成されたコーティングドラムと、処理チャンバの中に配置された一又は複数の堆積源と、処理チャンバ内部に提供されたシャッターデバイスとを含む。シャッターデバイスは、第1の部分及び第2の部分を有する少なくとも1つのアームを含み、第1の部分がアームの回転軸を提供し、シールド箔が第2の部分に連結可能である。シャッターデバイスは、アームの回転軸周囲の回転によって、コーティングドラムと一又は複数の堆積源との間でシールド箔を移動させるように構成される。
【0011】
実施形態はまた、開示された方法を実行する装置も対象とし、記載されたそれぞれの方法ステップを実行する装置部分も含む。これらの方法ステップは、ハードウェア構成要素、適当なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータを手段として、又はこれらの2つの任意の組合せによって、あるいは任意の他の方式で実行することができる。更に、本発明による実施形態は、記載された装置が動作する方法も対象とする。方法は、装置のあらゆる機能を実行する方法ステップを含む。
【0012】
本発明の上記の特徴が詳細に理解されるように、上記で概要を述べた本発明について、実施形態を参照して詳細に説明する。添付の図面は、本発明の実施形態に関連し、以下の記述において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための装置の処理チャンバの一部の概略図を示す。
図1B】本明細書に記載の実施形態による薄膜を堆積させる又はコーティングするためのロールツーロール堆積装置の概略図を示す。
図2】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための装置のコーティングドラムの側断面図を示す。
図3図2で示されたフレキシブル基板を処理するための装置のシャッターデバイスの概略図を示す。
図4】シャッターデバイスが異なる位置にある、フレキシブル基板を処理するための装置の詳細な斜視図を示す。
図5】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための装置のコーティングドラムの前方断面図を示す。
図6】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための装置の部分の平面図を示す。
図7】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための別の装置の処理部分の側断面図を示す。
図8】本明細書に記載の実施形態による図7の装置及び切り欠きを有するシールド箔の正面図を示す。
図9】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための更に別の装置の処理部分の側断面図を示す。
図10】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板処理装置の処理チャンバを洗浄するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これより本発明の様々な実施形態が詳細に参照されるが、その1ないし複数の例が図示されている。図面に関する以下の説明の中で、同一の参照番号は、同一の構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各例は、本発明の説明として提供されているが、本発明を限定することを意図するものではない。更に、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴を、他の実施形態で使用し、又は他の実施形態と併用して、更なる実施形態を得ることが可能である。本明細書には、こうした修正及び改変が含まれることが意図されている。
【0015】
ここで、本明細書に記載の実施形態で用いられるようなフレキシブル基板又はウェブは、典型的には、屈曲自在である点で特徴付けられ得ることに留意されたい。用語「ウェブ」は、用語「ストリップ」又は用語「フレキシブル基板」と同意語として使用され得る。例えば、本明細書の実施形態で説明されるようなウェブは、ホイル又は別のフレキシブル基板であり得る。
【0016】
本明細書で使用されるように、用語「シールド箔」は、典型的には、フレキシブル基板の材料と異なる材料で作られている、箔を代表するものと意図される。例えば、箔は、例えば、ステンレス鋼などの金属合金から成りうる。本明細書の実施形態によれば、シールド箔は、例えば、10μmから300μm、特に50μmから125μmの厚さを有しうる。用語「シールド箔」は、用語「犠牲箔(sacrificial foil)」と同義語として使用されうる。
【0017】
本明細書に記載の実施形態は、概して、フレキシブル基板を処理するための装置、及び処理チャンバの中の真空を破壊せずに、フレキシブル基板処理装置の処理チャンバを洗浄するための方法に関する。装置は、処理チャンバ内部にシャッターデバイスを含む。シャッターデバイスは、コーティングドラムと一又は複数の堆積源との間でシールド箔を移動させるように構成される。特に、シールド箔は、堆積源下のエリアを覆うことがあり、プラズマ洗浄は、フレキシブル基板及び/又はコーティングドラムに影響を与えずに、行うことができる。
【0018】
本明細書に記載の実施形態では、処理チャンバが密閉及び排気されるときでさえ、シャッターデバイスが、洗浄プロセス中にコーティングドラムを保護するためにシールド箔を移動させることができるので、洗浄前に真空を破壊する必要がない。更に、本実施形態は、例えば、プラズマ洗浄領域などから、フレキシブル基板を除去せずに、NF3洗浄プロセスなどの洗浄プロセスを実行することを可能にする。フレキシブル基板を除去するためのチャンバのパージング及び換気は、必要ではない。ウェブ箔などのフレキシブル基板の長さは、数百メートルまでとすることができるだろう。あるプロセスにより、例えば、基板長全体が処理される前などに、中間を洗浄することが必要になっても、フレキシブル基板を除去せずに、これを行うことができる。本明細書に記載されるような実施形態は、特に、ウェブコーティング機で使用されうる。
【0019】
本明細書に記載の実施形態による、フレキシブル基板を処理するための、特にフレキシブル基板上に薄膜を堆積させるための、装置100の処理チャンバの一部が、図1Aに例示的に示される。
【0020】
装置100は、処理チャンバと、処理チャンバの中にあり、フレキシブル基板300を支持するように構成されたコーティングドラム110と、処理チャンバの中に配置された一又は複数の堆積源と、処理チャンバ内部に提供され、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源との間でシールド箔300を移動させるように構成されたシャッターデバイス200とを備える。典型的には、一又は複数の堆積源は、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源との間に存在する間隙により位置付けられる。間隙は、約0.5〜50mmの幅を有しうる。いくつかの実施態様では、シャッターデバイス200は、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源との間の間隙でシールド箔300を移動させるように構成されうる。典型的には、装置100は、偏向ローラ、ガイドローラ、スプレッダローラ、及びウェブを巻き出し、巻き戻すためのローラなどのいくつかのローラを含む、ウェブガイドシステムを更に含む。
【0021】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、少なくとも1つの第1の部分及び少なくとも1つの第2の部分を含むことができる。第1の部分は、シャッターデバイス200の回転軸を提供しうる。シールド箔300は、例えば、クランピング、グリッピング、糊付け、磁力、はんだ付け及び溶接のうちの少なくとも1つによって、第2の部分に連結可能でありうる。シールド箔300は、「ジャロジー」とも呼ばれることもある。シャッターデバイス200は、「ジャロジーシャッター」と呼ばれることもある。
【0022】
回転軸周囲の回転によって、第2の部分に取り付けられたシールド箔300は、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源との間を移動させることができる。シールド箔300が堆積源下のエリアを覆うと、プラズマ洗浄を行うことができる。シールド箔300は、例えば、開始した洗浄シーケンスの初めなどに、自動作動により移動させることができる。
【0023】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、コーティングドラム110下に(下方に)位置付けられうる。シールド箔300は、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源との間に位置付けられるように、コーティングドラム110下から上方向に移動させることができる。コーティングドラム110下にシャッターデバイス200を位置付けることによって、コーティングドラム110上の、任意の数の装置部分、特に移動する装置部品を最小化することができる。更に、シャッターデバイス200及び/又はシールド箔300から放出された粒子は、堆積ゾーンに到達せずに又は堆積ゾーンを横切らずに、例えば、処理チャンバの底に落下する。この点から見て、不純物による堆積プロセスの汚染、特にコーティング層の汚染を防止することができる。要するに、粒子リスクが最小化される。シールド箔は、洗浄物質に抵抗力があり、したがって、シールド箔が再利用できる、即ち、シールド箔は、各洗浄プロセス後に取り換える必要がない。
【0024】
図1Aに示されるように、いくつかの実施態様では、コーティングドラム110は、シールド構造真空フランジ112によって取り囲まれうる。真空フランジ112は、そこに取り付けられた処理チャンバのカバーを有しうる。そのようなカバーは、処理ツールを受け入れるための開口を含みうる。
【0025】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、装置は、例えば、コーティングドラム110の側面などに提供された少なくとも1つのスペーサデバイス115を含みうる。いくつかの実施形態では、装置100は、コーティングドラム110の各側面に1つのスペーサデバイス115を含みうる。スペーサデバイス115は、円形であってもよく、又は円の一部であってもよく、その直径は、コーティングドラム110の直径より大きくてもよい。スペーサデバイス115は、特にシールド箔300が、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間を移動するときに、シールド箔300を支持するように構成されうる。スペーサデバイス115は、コーティングドラム110又はその上に配置されたフレキシブル基板とシールド箔300との間に間隙を提供しうる。これにより、シールド箔300が、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間を移動するときに、コーティングドラム110又はフレキシブル基板と接触しないので、コーティングドラム110又はフレキシブル基板の損傷リスクを最小化することができる。
【0026】
いくつかの他の実施態様では、装置は、少なくとも1つのスペーサデバイス115を含まなくてもよく、シールド箔300が、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間を移動するときに、コーティングドラム110又はその上に配置されたフレキシブル基板と接触又はコンタクトしうる。この場合、シールド箔300及びフレキシブル基板を運ぶコーティングドラム110は、同じ速度で移動する。要するに、シールド箔300のコーティングドラム110に対する相対運動は、実質的に存在し得ない。
【0027】
図1Bは、本明細書に記載の実施形態による薄膜を堆積させる又はコーティングするためのロールツーロール堆積装置1000の概略図を示す。装置1000は、本明細書に記載の実施形態によるシャッターデバイスを含むことができる。装置1000は、少なくとも3つのチャンバ部分1020A、1020B及び1020Cを含むことができる。チャンバ部分1020Cには、処理ツールである堆積源6300及びエッチングステーション4300を提供することができる。本明細書に記載された洗浄プロセスに対して、例えば、堆積源6300及びエッチングステーション4300などの処理ツールを、処理チャンバ洗浄用のエッチングツールとして使用することができる。フレキシブル基板1060は、例えば、巻軸を有するなどの第1のロール7640上に提供される。フレキシブル基板1060は、矢印1080で示された基板の移動方向によって示されるように、ロール7640から巻き出される。分離壁7010は、チャンバ部分1020Aと1020Bとの分離のために提供される。分離壁7010には、基板1060を通過させるための間隙スルース1400を更に提供することができる。チャンバ部分1020Bと1020Cとの間に提供され、図1Aを参照して先ほど記載された真空フランジ1120には、処理ツールを受け入れるための開口が提供されうる。
【0028】
基板1060は、コーティングドラム1100に提供され、堆積源6300の位置に対応する堆積エリアを通って移動する。操作中に、コーティングドラム1100は、基板1060が矢印1080の方向に移動するように、軸周囲を回転する。典型的な実施形態によれば、基板は、例えば、その処理後に巻かれる巻軸を有しているなどの、ロール7640からコーティングドラム1100まで、及びコーティングドラム1100から第2のロール7640’までの1つ、2つ又はそれを上回るローラを介して案内される。
【0029】
いくつかの実施態様では、第1のチャンバ部分1020Aは、間紙チャンバ部分ユニット1020A1及び基板チャンバ部分ユニット1020A2の中で分離される。これによって、間紙ロール7660/7660’及び間紙ローラ1050は、装置1000のモジュラー要素として提供することができる。装置1000は、フレキシブル基板を加熱するための予熱ユニット1940を更に含むことができる。更に、加えて又は代替的には、RFプラズマ源などの前処理プラズマ源1920を、チャンバ部分1020Cに侵入する前に、プラズマで基板を処理するために、提供することができる。
【0030】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、任意選択的にまた、基板処理の結果を評価するための光学的測定ユニット4940及び/又は電荷を基板上に適合するための一又は複数のイオン化ユニット4920を提供することができる。
【0031】
図2は、本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための装置のコーティングドラム110の側断面図を示す。図3は、図2の装置のシャッターデバイス200の概略図を示す。
【0032】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、少なくとも1つの第1の部分211及び少なくとも1つの第2の部分212を有する少なくとも1つのアーム210を含むことができる。第1の部分211は、アーム210の回転軸を提供しうる。装置は、コーティングドラム110の側面の1つに提供された1つの第1の部分211を有していてもよく、又は2つの第1の部分211、即ち、コーティングドラム110の側面毎に1つを有していていもよい。シールド箔300は、例えば、クランピング、グリッピング、糊付け、磁力、はんだ付け及び溶接のうちの少なくとも1つによって、第2の部分212に連結可能でありうる。
【0033】
第1の部分211によって画定された回転軸周囲でアーム210を回転させることによって、第2の部分212に取り付けられるシールド箔300は、コーティングドラム110と堆積源120との間を移動することができ、特に、コーティングドラム110と堆積源120との間に提供された上述の間隙内部を移動することができる。エッチングシーケンスが開始されると、アーム210は、コーティングドラム110の回転軸111周囲を移動し、コーティングドラム110周囲の取り付けられたシールド箔300を搬送することができる。いくつかの実施態様では、シールド箔300は、コーティングドラム100又はその上に配置されたフレキシブル基板に接触しうる。シールド箔300が堆積源120下のエリアを覆うと、プラズマ洗浄を行うことができる。
【0034】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、アーム210の回転軸は、コーティングドラム110の回転軸111に実質的に平行である。特に、アーム210の回転軸は、コーティングドラム110の回転軸111に対応しうる。いくつかの実施態様では、第1の部分211は、回転軸111周囲を回転可能であるコーティングドラム110の当該回転軸111に装着可能でありうる。いくつかの実施態様では、回転可能なアーム210を提供するための、ブッシュ軸受又はローラ軸受などの軸受を提供することができる。例えば、アーム210、特に第1の部分211は、ブッシュ軸受又はローラ軸受などの軸受を介して、コーティングドラム110の回転軸111に取り付けることができる。
【0035】
いくつかの実施態様では、第1の部分211は、回転軸111に実質的に垂直に延びることができ、特に、コーティングドラム110の回転軸111から、少なくともその外周面まで延びることができるだろう。第1の部分の長さは、少なくともコーティングドラム110の直径以上とすることができる。
【0036】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、第2の部分212は、コーティングドラム110の回転軸111と実質的に平行に延び得、特に、コーティングドラム110の外周面の少なくとも一部に沿って延び得る。いくつかの実施態様では、第2の部分312は、実質的にコーティングドラム110の外周面の長さ全体に沿って延びうる。いくつかの実施態様では、第2の部分212は、第1の部分211から延びることができる。
【0037】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、第1の部分211は、第1の方向に沿って延びることができ、第2の部分212は、第2の方向に沿って延びることができるだろうが、この場合、第2の方向は、第1の方向に実質的に垂直でありうる。いくつかの実施態様では、第1の方向は、コーティングドラム110の回転軸111に実質的に垂直であり、及び/又は第2の方向は、コーティングドラム110の回転軸111に実質的に平行であるとすることができよう。
【0038】
原則として、洗浄手順中にコーティングドラムを覆い保護するために、フレキシブル基板の搬送方向に垂直にシールド手段を移動させることは可能であるかもしれないが、この場合、コーティングドラムの曲率及びシールド箔の曲率は、搬送方向に平行ではない。シールド箔は、その幅方向に屈曲される必要があろう。しかしながら、シールド箔は、ロール受容部220のようなローラ上にロールアップされると、その長さ方向に屈曲されるだろう。したがって、金属から作られたシールド箔のような硬い材料は、破壊されうる。
【0039】
図3を参照すると、2つの第1の部分211、及び2つの第1の部分211と連結した1つの第2の部分212を含むアームを有するシャッターデバイス200が示される。第1の部分211は、コーティングドラム110の対向する側面に配置されうる。要するに、第1の部分211は、コーティングドラム110の各側面に提供することができよう。
【0040】
第1の部分211は、例えば、コーティングドラム110の回転軸111などの軸又はシャフトとの連結を提供するように構成されたボア又は中心ボア213を含みうる。ブッシュ軸受又はローラ軸受などの軸受(図示されず)が、中心ボア213と関連付けられうるため、これにより第1の部分211が回転可能になる。例として、軸受をボア213内部に配置することができるであろうし、又はボア213を取り囲むように提供することができるだろう。
【0041】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間でシールド箔300を移動させるように構成されたドライバを含みうる。いくつかの実施態様では、ドライバは、第1の部分211によって提供された回転軸周囲でアーム210を回転させるように構成することができる。いくつかの実施形態によれば、ドライバは、電気モータ及び/又は空気圧モータなどのモータを含みうる。
【0042】
いくつかの実施態様では、ドライバは、ギアアセンブリを介して、第1の部分211に連結させることができる。ギアアセンブリは、第1の部分211に提供された第1のギアホイール214を含みうる。例として、第1のギアホイール214は、第1の部分211、特に中心ボア213によって画定された回転軸を少なくとも部分的に取り囲むように提供することができよう。ギアアセンブリはまた、例えば、電気モータ及び/又は空気圧モータのようなモータなどの駆動機構に直接的又は間接的に連結された第2のギアホイール215を含みうる。
【0043】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイス200は、シールド箔300を巻く及び/又は巻き出すように構成された一又は複数のロール受容部220を含みうる。一又は複数のロール受容部220は、シールド箔300を受容するように、特にシールド箔300をその上に巻くロールを受容又は保持するように構成される。これにより、シールド箔300を含むロールは、必要なときに容易に取り換えることができる。いくつかの実施形態では、シールド箔300の第1の端部は、ロール受容部に連結可能である。例として、シールド箔300の第1の端部は、ロール受容部220に連結可能であり、シールド箔300の第2の端は、アーム210の第2の部分212に連結可能でありうる。
【0044】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、一又は複数のロール受容部220は、処理チャンバ内部に提供することができる。また、シールド箔300は、処理チャンバ内部に(例えば、完全に)提供することができ、その外部に提供されることはない。この観点から、外部から処理チャンバ内に、例えば、真空ロックを通して、シールド箔を案内する必要がない。このため、処理チャンバの中の真空を破壊せずに、処理チャンバの洗浄が容易になる。
【0045】
しかしながら、他の実施態様では、少なくとも1つのロール受容部を処理チャンバの外部に提供することができる。そのような場合、シールド箔300は、外部から処理チャンバ内に、例えば、エアロックを通して、供給することができよう。この構成において、シールド箔300の第1の端部は、なおもロール受容部220に連結可能であり、シールド箔300の第2の端は、シャッターデバイス、特に、アーム210の第2の部分212に連結可能でありうる。
【0046】
いくつかの実施態様では、一又は複数のロール受容部220の少なくとも1つは、コーティングドラム110の下に提供することができる。一又は複数のロール受容部220をコーティングドラム110下に位置付けることによって、一又は複数のロール受容部220及び/又はシールド箔300から放出された粒子は、堆積ゾーンに到達せずに又は堆積ゾーンを横切らずに、例えば、処理チャンバの底に落下する。これを考慮すると、堆積プロセスの、特に不純物を含むコーティング層の汚染を防止することができる。
【0047】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ロール受容部220は、シールド箔300又はシールド箔300を含むロールを受容するように、特にシールド箔300をその上に巻くロールを受容するように構成された受容部分222を含みうる。
【0048】
典型的な実施態様では、ロール受容部220は、少なくとも1つの取り付け部分221を有しうる。取り付け部分221は、ロール受容部222又はシールド箔300を含むロールと処理チャンバとの間に回転可能な連結を提供するように構成されうる。ロール受容部222は、特に、少なくとも1つの取り付け部分221を介して、処理チャンバ内部に装着されうる。例として、取付け部分221は、回転可能な連結を提供するための、ブッシュ軸受及び/又はローラ軸受などの軸受を含みうる、又はそのような軸受に連結可能でありうる。いくつかの実施形態では、取付け部分221は、少なくとも受容部分222が回転軸周囲を回転可能であるように構成されうる。受容部分222の回転軸は、コーティングドラムの回転軸に実質的に平行であり得る。典型的な実施態様では、受容部分222は、2つの取り付け部分221、即ち、受容部分222の各側面毎に1つを有しうる。
【0049】
他の実施形態では、ロール受容部は、取り付け部分を含んでいてもよく、ロール受容部を含んでいなくてもよい。ロール受容部は、少なくとも2つの独立した、例えば、非連結式の取り付け部分を含みうる。ロール受容部は、特に、2つの取り付け部分を含みうる。取り付け部分は、シールド箔300をその上に巻くロールに連結可能に構成され、特に、シールド箔300をその上に巻くロールの側面に連結可能に構成されうる。取り付け部分は、シールド箔300を含むロールと処理チャンバとの間に回転可能な連結を提供するように構成されうる。このような目的で、取付け部分は、ブッシュ軸受及び/又はローラ軸受などの軸受を含みうる、又はそのような軸受に連結可能でありうる。
【0050】
いくつかの実施態様では、シールド箔300は、ロール受容部220上に提供され、シールド箔300の第1の端は、アーム210の第2の部分212に連結される。アーム210が回転軸111周囲を回転すると、シールド箔300は、ロール受容部220から巻き出され又は展開され、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間を移動し、特に、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間の間隙内部を移動する。このことは、図4を参照して更に説明される。
【0051】
図4は、シャッターデバイスが異なる位置にある、フレキシブル基板を処理するための装置の処理部分の詳細な斜視図を示す。
【0052】
例えば、堆積プロセス中に、シャッターデバイス200のアーム210は、第1の位置240にありうる。第1の位置240において、シールド箔300は、コーティングドラム110と堆積源120との間に配置されていない。例として、第1の位置240では、シールド箔300は、巻かれた状態又はロールアップされた状態でありうる。コーティングドラム110と堆積源120との間でシールド箔300を移動させるために、アーム210は、第1の位置240から第2の位置250内に移動又は回転しうる(矢印260で示される)。特に、アーム210を移動させることによって、シールド箔300は、ロール受容部220から巻き出され、展開され、又は伸ばされる。
【0053】
いくつかの実施態様では、ロール受容部220は、シールド箔300及び/又はアーム210の移動と反対の力、特に第1の位置240から第2の位置250内へのシールド箔300及び/又はアーム210の移動と反対の力を提供する、例えば、ねじベースの引込機構などの引込機構を含みうる。これにより、シールド箔300は、引張を受け、その結果、例えば、コーティングドラム110と堆積源210との間などで、しわ及び/又は巻き込みが起こることなく、コーティングドラム110と堆積源210との間でシールド箔300を案内することができる。
【0054】
例えば、洗浄プロセス完了後などに、アーム210が第2の位置250から第1の位置240内に戻ると、シールド箔300は、ロール受容部220に巻き戻す又は再び巻き付けることができる。いくつかの実施態様では、ロール受容部220は、前述の引込機構を含み得、それにより、シールド箔300は、しわ及び/又は巻き込みが起こらないように、特に引張状態で、巻き付けることができる。
【0055】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ロール受容部220は、引込機構を含まなくてもよいが、ロール受容部210にシールド箔300を巻き戻すためのモータなどのドライバを含みうる。
【0056】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、アーム210は、少なくとも約90度、特に、130度、140度、143度、150度又は180度回転するように構成されうる。要するに、第1の位置240と第2の位置250との間の角度又は回転角度は、少なくとも約90度であり、特に、130度、140度、143度、150度又は180度でありうる。
【0057】
このことを考慮すると、シールド箔300は、堆積源120下のエリアを覆うことがあり、プラズマ洗浄は、フレキシブル基板及び/又はコーティングドラム110に影響を与えずに、行うことができる。この点に関しては、処理チャンバが密閉及び排気されるときでさえ、シャッターデバイス200が、洗浄プロセス中にコーティングドラム110を保護するためにシールド箔300を移動させることができるので、洗浄前に真空を破壊する必要がない。更に、本実施形態は、例えば、プラズマ洗浄領域などから、フレキシブル基板を除去せずに、NF3洗浄プロセスなどの洗浄プロセスを実行することを可能にする。フレキシブル基板を除去するためのチャンバのパージング及び換気は、必要ではない。
【0058】
図5は、シャッターデバイスを含む、フレキシブル基板を処理するための装置の処理部分の別の斜視図を示す。
【0059】
図5のシャッターデバイスは、図3を参照して先ほど記載されたシャッターデバイス200として構成されうる。図5では、2つの第1の部分211が、コーティングドラム110の各側面毎に1つ、提供される。ロール受容部220は、コーティングドラム110の下に適用することができる。例として、シールド箔300の第1の端部は、ロール受容部220に連結可能であり、シールド箔300の第2の端は、アーム210の第2の部分212に連結可能でありうる。
【0060】
いくつかの実施形態では、コーティングドラム111の回転軸は、第1の部分211によって提供されたアーム210の回転軸でありうる、又はその回転軸に対応しうる。特に、回転軸111又はそのシャフトは、コーティングドラム110及びアーム210の両方、特にアーム210の第1の部分211を保持するように構成されうる。
【0061】
図6は、本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための装置の処理部分の平面図を示す。
【0062】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シールド箔300の第1の端部は、ロール受容部、特に受容部分222に連結可能であり、シールド箔300の第2の端は、アームの第2の部分212に連結可能でありうる。いくつかの実施態様では、シールド箔300を案内する又は偏向させるための一又は複数のガイドローラ又は偏向ローラ223、224は、ロール受容部の位置と第二の位置212との間に提供することができるだろう。ローラ223、224は、コーティングドラム110の外周面の接面とシールド箔300の上面との間に画定された角度を提供するように構成することができるだろう。例として、画定された角度は、平坦な角度でありうる。
【0063】
フレキシブル基板400は、コーティングドラム110上に配置することができる。シャッターデバイスは、堆積源120とフレキシブル基板400との間でシールド箔300を移動させるように構成することができ、特に、堆積源120とフレキシブル基板400との間の間隙内部でシールド箔300を移動させるように構成することができる。これにより、フレキシブル基板400がNF3及びSF6などの洗浄基板から保護されるので、プラズマ洗浄プロセスなどの洗浄プロセスを開始する前に、処理チャンバからフレキシブル基板400を除去する必要がない。
【0064】
図7は、本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための別の装500の処理部分の側断面図を示す。図8は、本明細書に記載の実施形態による図7の装置500及び切り欠き301を有するシールド箔300の正面図を示す。
【0065】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、装置500は、シールド箔300を巻く及び/又は巻き出すように構成された一又は複数のロール受容部510、520を含むことができる。いくつかの実施態様では、装置500は、第1のロール受容部510と第2のロール受容部520とを含むことができる。例として、シールド箔300の第1の端部は、第1のロール受容部510に連結可能であり、シールド箔300の第2の端部は、第2のロール受容部520に連結可能である。ロール受容部510及び520は、上述のロール受容部220の何れかとして構成することができる。
【0066】
いくつかの実施態様では、第1のロール受容部510が、コーティングドラム110の下に提供され、第2のロール受容部520が、コーティングドラム110の上に提供される。要するに、第1のロール受容部510及び第2のロール受容部520は、コーティングドラム110の実質的に対向する側面に提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1のロール受容部510及び/又は第2のロール受容部520は、シールド箔300を巻く又はロールアップする傾向がある力を提供する引込機構、例えば、ばねベースの引込機構などを含むことができるだろう。これによって、シールド箔300は、張力を受け、その結果、コーティングドラム110と堆積源210との間で、特にそれらの間にしわ又は巻き込みが起こることなく、シールド箔300を案内することができる。
【0068】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シールド箔300は、一又は複数の切り欠き301を含む。いくつかの実施態様では、一又は複数の切り欠きは、それぞれ一又は複数の堆積源120の位置に対応する。
【0069】
いくつかの実施態様では、シャッターデバイスは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間でシールド箔300を移動させるように構成される。例として、第1の位置では、一又は複数の切り欠きは、一又は複数の堆積源120の位置に対応するように、コーティングドラム110に対して位置付けられうる。フレキシブル基板を処理するための堆積プロセスは、シールド箔300が堆積源120の間に配置されずに、堆積源120がフレキシブル基板と面しているので、実行することができる。第2の位置では、シールド箔300は、シールドを提供するために、堆積源120とコーティングドラム110との間に配置されうる。特に、シールド箔300は、堆積源120下のエリアを覆うことがあり、プラズマ洗浄は、フレキシブル基板及び/又はコーティングドラム110に影響を与えずに、行うことができる。より具体的には、シールド箔300は、例えば、堆積源120などの処理ツールすべての下のエリアを覆うことがある。
【0070】
この点に関しては、処理チャンバが密閉及び排気されるときでさえ、シャッターデバイスが、洗浄プロセス中にコーティングドラム110を保護するためにシールド箔300を移動させることができるので、洗浄前に真空を破壊する必要がない。更に、本実施形態は、例えば、プラズマ洗浄領域などから、フレキシブル基板を除去せずに、NF3洗浄プロセスなどの洗浄プロセスを実行することを可能にする。フレキシブル基板を除去するためのチャンバのパージング及び換気は、必要ではない。
【0071】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シールド箔300は、金属合金、特に、ステンレス鋼から成る。これにより、シールド箔300は、NF3及びSF6などの洗浄プロセスで使用される洗浄物質に抵抗力を持つ。
【0072】
シャッターデバイスは、少なくとも第1の位置と第2の位置との間でシールド箔300を移動させるように構成することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイスは、第1の位置と第2の位置との間でシールド箔300を移動させるように構成されたドライバを含みうる。いくつかの実施態様では、ドライバは、第1のロール受容部510及び/又は第2のロール受容部520を駆動する及び/又は回転させるように構成することができる。いくつかの実施形態によれば、ドライバは、電気モータ及び/又は空気圧モータなどのモータを含みうる。
【0073】
例として、ドライバは、コーティングドラム110の下に提供することができる、第1のロール受容部510を回転させるように構成することができる。第2のロール受容部520は、シールド箔300を巻く又はロールアップする傾向がある力を提供する引込機構、例えば、ばねベースの引込機構などを含むことができる。これによって、シールド箔300は、第1のロール受容部510がドライバによって回転するときでさえ、張力を受け、その結果、シールド箔300を、コーティングドラム110と堆積源210との間を、特にそれらの間にしわ又は巻き込みが起こることなく、案内することができる。
【0074】
別の例として、ドライバは、コーティングドラム110の下に提供することができる、第2のロール受容部520を回転させるように構成することができる。第1のロール受容部510は、シールド箔300を巻く又はロールアップする傾向がある力を提供する引込機構、例えば、ばねベースの引込機構などを含むことができる。これによって、シールド箔300は、第2のロール受容部520がドライバによって回転するときでさえ、張力を受け、その結果、シールド箔300を、コーティングドラム110と堆積源210との間で、特にそれらの間にしわ又は巻き込みが起こることなく、案内することができる。
【0075】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイスは、第1の位置と第2の位置との間でシールド箔300を移動させるためのワイヤ又はバンドを含みうる。ワイヤ又はバンドは、第1の端、第2の端及び中間部分を有しうる。第1の端は、第1のロール受容部510に又はそれに接近して提供することができ、第2の端は、第2のロール受容部520に又はそれに接近して提供することができる。ワイヤ又はバンドの中間部分は、第1の位置と第2の位置との間でシールド箔300を移動させるために、シールド箔300に連結可能とすることができる。これにより、シールド箔300は、ワイヤ又はバンドの移動によって移動させることができる。シールド箔300の「中間部分」という用語は、第1の端部と第2の端部との間のシールド箔300の任意の部分を指しうる。
【0076】
シャッターデバイスは、第1の位置と第2の位置との間でシールド箔300を移動させるために、ワイヤ若しくはバンドを巻き、及び/又はワイヤ若しくはバンドを巻き出すように構成されたドライバを含みうる。特に、ワイヤ若しくはバンドの第1の端又は第2の端は、ドライバに連結することができ、他の端は、引込デバイスに連結することができるだろう。代替的には、第1の端は、第1のドライバに連結することができ、第2の端は、第2のドライバに連結することができるだろう。すべての場合において、シールド箔300は、ワイヤ若しくはバンドを巻く及び/又は巻き出すことによって、第1の位置と第2の位置との間を移動させることができる。いくつかの実施態様では、ワイヤ又はバンドは、鋼、特にステンレス鋼で作られる。
【0077】
いくつかの実施態様では、スペーサデバイス115は、その外周面にワイヤを受容及び案内するための切り欠き又は面取り部を含むことができる。切り欠き又は面取り部の深さは、ワイヤの中間部分のシールド箔300との連結を確保するために、実質的にワイヤの直径に対応しうる。
【0078】
図9は、本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理するための更に別の装置600の処理部分の側断面図を示す。
【0079】
装置600は、処理チャンバと、処理チャンバの中にあり、フレキシブル基板を支持するように構成されたコーティングドラム110と、処理チャンバの中に配置された一又は複数の堆積源120と、処理チャンバ内部に提供され、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間でシールド箔300を移動させるように構成されたシャッターデバイスとを含む。
【0080】
いくつかの実施態様では、コーティングドラム110は、例えば、コーティングドラム110、冷却手段及び電気デバイスなどに対するドライバなどの処理チャンバ内部に提供された少なくともいくつかの要素を、堆積材料で汚染又はコーティングされることから守るために、シールド構造112によって取り囲まれうる。
【0081】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シャッターデバイスは、少なくとも1つのガイドレール620と、ガイドレール620に沿って移動可能に構成された、少なくとも1つのキャリッジ621とを含みうる。キャリッジ621は、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間でシールド箔300を移動させるように、特に、コーティングドラム110と一又は複数の堆積源120との間の間隙でシールド箔300を移動させるように、シールド箔300と連結可能であり得る。少なくとも1つのガイドレール620及び少なくとも1つのキャリッジ621は、コーティングドラム110の一方の側面だけに提供することができるだろう。また、少なくとも1つのガイドレール620及び少なくとも1つのキャリッジ621は、コーティングドラム110の各側面に提供することができるだろう。例として、ガイドレール620は、図9に示されるように、スペーサデバイス115に装着することができるだろう。シャッターデバイス115は、図1を参照して先ほど記載されたように構成することができるだろう。
【0082】
いくつかの実施態様では、シャッターデバイスは、シールド箔300を巻く及び/又は巻き出すように構成された一又は複数のロール受容部610を含みうる。一又は複数のロール受容部610は、シールド箔300、特にシールド箔300をその上に巻くロールを受容するように構成することができるだろう。これにより、シールド箔300を含むロールは、必要なときに容易に取り換えることができるだろう。いくつかの実施形態では、シールド箔300の第1の端部は、ロール受容部610に連結可能とすることができるだろう。例として、シールド箔300の第1の端部は、ロール受容部610に連結可能であり、シールド箔300の第2の端部は、キャリッジ621に連結可能でありうる。
【0083】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、一又は複数のロール受容部610は、処理チャンバ内部に提供することができるだろう。また、シールド箔300は、処理チャンバ内部に(例えば、完全に)提供することができ、その外部に提供されることはない。外部から処理チャンバ内に、例えば、真空ロックを通して、シールド箔を案内する必要がない。このため、処理チャンバの中の真空を破壊せずに、処理チャンバの洗浄が容易になる。
【0084】
しかしながら、他の実施態様では、少なくとも1つのロール受容部610を処理チャンバの外部に提供することができるだろう。そのような場合、シールド箔300は、外部から処理チャンバ内に、例えば、エアロックを通して、供給することができよう。この構成において、シールド箔300の第1の端部は、なおもロール受容部610に連結可能であり、シールド箔300の第2の端は、シャッターデバイス、特にキャリッジ621に、連結可能でありうる。
【0085】
いくつかの実施態様では、一又は複数のロール受容部610は、コーティングドラム110の下に提供することができるだろう。一又は複数のロール受容部610をコーティングドラム110下に位置付けることによって、一又は複数のロール受容部610及び/又はシールド箔300から放出された粒子は、堆積ゾーンに到達せずに又は堆積ゾーンを横切らずに、例えば、処理チャンバの底に落下する。これを考慮すると、堆積プロセスの、特に不純物を含むコーティング層の汚染を防止することができる。
【0086】
一又は複数のロール受容部610は、図1から図8を参照して先ほど記載されたロール受容部220の任意の1つとして構成することができる。
【0087】
いくつかの実施態様では、装置600は、第1のロール受容部と第2のロール受容部とを含みうる。例として、シールド箔300の第1の端部は、第1のロール受容部に連結可能であり、シールド箔300の第2の端部は、第2のロール受容部に連結可能である。第1のロール受容部及び第2のロール受容部は、上述のロール受容部220の何れかとして構成することができるだろう。シールド箔300の中間部分は、キャリッジ621に連結可能とすることができるだろう。これにより、シールド箔300は、キャリッジ621の移動によって、特にガイドレール620に沿ったキャリッジの移動によって、移動させることができる。シールド箔300の「中間部分」という用語は、第1の端部と第2の端部との間のシールド箔300の任意の部分を指しうる。
【0088】
いくつかの実施態様では、第1のロール受容部が、コーティングドラム110の下に提供され、第2のロール受容部が、コーティングドラム110の上に提供される。要するに、第1のロール受容部及び第2のロール受容部は、コーティングドラム110の実質的に対向する側面に提供される。
【0089】
いくつかの実施形態では、第1のロール受容部及び/又は第2のロール受容部は、シールド箔300を巻く又はロールアップする傾向がある力を提供する引込機構、例えば、ばねベースの引込機構などを含む。これによって、シールド箔300は、張力を受け、その結果、コーティングドラム110と堆積源210との間で、特にそれらの間に巻き込みが起こることなく、シールド箔300を案内することができる。
【0090】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、シールド箔300は、一又は複数の切り欠き301を含む。いくつかの実施態様では、一又は複数の切り欠きは、それぞれ一又は複数の堆積源120の位置に対応する。
【0091】
いくつかの実施態様では、シャッターデバイスのキャリッジ621は、少なくとも第1の位置と第2の位置との間でシールド箔300を移動させるように構成される。例として、第1の位置では、一又は複数の切り欠きは、一又は複数の堆積源120の位置に対応するように、コーティングドラム110に対して位置付けられうる。フレキシブル基板を処理するための堆積プロセスは、シールド箔300が堆積源120の間に配置されずに、堆積源120がフレキシブル基板と面しているので、実行することができる。第2の位置では、シールド箔300は、シールドを提供するために、堆積源120とコーティングドラムとの間に配置されうる。特に、シールド箔300は、堆積源下のエリアを覆うことがあり、プラズマ洗浄は、フレキシブル基板及び/又はコーティングドラムに影響を与えずに、行うことができる。より具体的には、シールド箔300は、例えば、堆積源120などの処理ツールすべての下のエリアを覆うことがある。
【0092】
この点に関しては、処理チャンバが密閉及び排気されるときでさえ、シャッターデバイスのキャリッジ621が、洗浄プロセス中にコーティングドラム110を保護するためにシールド箔300を移動させることができるので、洗浄前に真空を破壊する必要がない。更に、本実施形態は、例えば、プラズマ洗浄領域などから、フレキシブル基板を除去せずに、NF3洗浄プロセスなどの洗浄プロセスを実行することを可能にする。フレキシブル基板を除去するためのチャンバのパージング及び換気は、必要ではない。
【0093】
図10は、本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板処理装置の処理チャンバを洗浄するための方法のフローチャートを示す。
【0094】
概して、本明細書に記載の実施形態は、先ほど例示的に記載されたフレキシブル基板装置、及び特にそのような装置の処理チャンバを洗浄するための方法及びデバイスに関する。例えば、図10は、処理チャンバの中の真空を破壊せずに、及び/又はフレキシブル基板を除去せずに、フレキシブル基板処理装置の処理チャンバを洗浄するための方法700を図示する。方法は、コーティングドラムと少なくとも1つの堆積源との間の処理チャンバ内部に提供されたシールド箔を案内すること(ブロック701)と;処理チャンバの中で第1のポンプ及びパージプロセスを開始すること(ブロック702)と;処理チャンバに洗浄又はエッチングガスを提供すること(ブロック703)と;処理チャンバをプラズマ洗浄すること(ブロック704)と;処理チャンバの中で第2のポンプ及びパージプロセスを開始すること(ブロック705)とを含む。
【0095】
これによって、ステップの順番は、特にポンプステップ及びパージステップについては、シールド箔が、プラズマ洗浄中に、コーティングドラムと少なくとも1つの堆積源との間に提供される限り、任意とすることができる。
【0096】
本明細書に記載の実施形態によれば、フレキシブル基板処理装置の処理チャンバを洗浄するための上記方法は、要求に応じて開始されうる多くの追加のステップ及び/又はプロセスを含みうる。
【0097】
コーティングドラムと少なくとも1つの堆積源との間の処理チャンバ内部に提供されたシールド箔を案内するブロック701は、図1から図9を参照して先ほど記載された任意のシャッターデバイスを利用しうる。
【0098】
第1のポンプ及び/又はパージ手順702は、処理チャンバから残りの処理ガスを除去するために、開始されうる。概して、ポンプは、まず、処理チャンバから、処理ガス、例えば、高反応性処理ガスを排気するために作動する。その後、アルゴン及び窒素などの任意選択的なパージガスが、パージプロセスを促進するために、処理チャンバ内に導入されうる。パージガスは次いで、処理チャンバからポンプで送られうる。ポンプは、常に処理チャンバ内部の高い真空に媒体を形成する。例えば、処理チャンバ内部の真空は、50 10−1mbarから10−7mbarまで、特に10−2mbarから10 6mbarまで、例えば、10−3mbarなど、の範囲でありうる。いくつかの実施形態によれば、ガス又は固体材料など、いくつかのプロセス残留物は、不所望な化学反応を回避するために、洗浄ステップの前に除去される必要があろう。これは、典型的には、ポンプ及びパージプロセスで行われる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載のポンプ及びパージプロセスは、例えば、10−2mbar又はそれを下回るくらいまでのポンプダウンと、10mbarから20mbarくらいの圧力まで、例えば、Ar又はN2などの不活性ガスによるパージとの少なくとも2つ又は少なくとも3つのサイクルなど、複数のサイクルを含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態について、洗浄用の処理装置を準備するには、ポンピングのみ、又はパージングのみで十分であろう。
【0099】
典型的には、ポンプ及び/又はパージ手順702は、例えば20分など、5分から30分の範囲で持続しうる。更に、手順は、複数の連続的なポンプ及びパージサイクル、例えば、各5分ずつ持続する3つのサイクルを含みうる。本明細書に記載の実施形態によれば、検出機構(例えば、センサの形態)は、連続的なポンプ及びパージサイクルが、処理チャンバから処理ガスを除去するために必要かどうかを検出しうる。検出機構は、パージ及び/又は洗浄プロセスを自律的に開始しうる。
【0100】
概して、高い発熱反応を含みうるコーティング手順の後に、フレキシブル基板処理装置のコーティングドラムを冷却することが所望でありうる。例えば、コーティングドラムの冷却は、第1のポンプ及び/若しくはパージ手順の後並びに/又はその手順の間に、任意選択的ステップで発生しうる。
【0101】
本明細書に記載の実施形態によれば、処理チャンバ内部の表面から不純物及び汚染物質を除去しうる、プラズマ洗浄(例えば、プラズマエッチング)手順703が、開始されうる。典型的には、プラズマ洗浄手順は、第1のポンプ及び/又はパージ手順の後に開始される。プラズマ洗浄は、例えば、処理チャンバ内に導入されたフッ素化ガスを部分的に及び/又は完全にイオン化する、RF高周波(2MHz−2.45GHz)電圧を印加することによって、開始されうる。本明細書に記載の実施形態では、処理チャンバは、プラズマ洗浄手順中に低圧で維持される。例えば、処理チャンバは、10−1mbarから10−4mbarまでの範囲、例えば、10−2mbarなどの圧力で維持される。
【0102】
典型的には、RF高周波(2MHz−2.45GHz)エネルギーの強度は、処理チャンバ内部の汚染物質除去速度を制御するために、調節可能でありうる。概して、十分なRF高周波(2MHz−2.45GHz)エネルギーは、高速の汚染物質除去を保証しうる高いプラズマ密度を生成するために印加されうる。更に、高いプラズマ密度により、汚染物質の下層が3次元でクロスリンクし、安定しているが除去されない新しい構造を形成するのを回避しうる。本明細書に記載の実施形態では、センサ及びコントローラは、プラズマ密度をモニタ及び調節するために用いられうる。
【0103】
本明細書に記載の実施形態によれば、プラズマ洗浄手順中に、コーティングドラムは、典型的には静止状態でありうる。シールド箔は、概して、コーティングドラムを覆い、これによって、洗浄プラズマからコーティングドラムの表面を保護する。洗浄プラズマと反応し、それにより損傷しうるフレキシブル基板とは対照的に、本明細書に記載の実施形態によるシールド箔は、洗浄プラズマに対して不活性であり、他の洗浄手順で再利用されうる。これにより、浪費される材料(基板)の量が減り、CoOがかなり減る可能性がある。更に、ドラムが基板の損傷部分を通して洗浄プラズマにさらされるような基板の損傷リスクは、低下する又は回避される。
【0104】
本明細書に記載の実施形態によれば、プラズマ洗浄手順は、汚染の程度及び処理チャンバのサイズ次第で継続時間が変化しうる。例えば、プラズマ洗浄手順は、2分から25分、特に5分から20分、例えば、15分、持続しうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、洗浄プロセスの時間は、堆積プロセスの時間の約10%から15%でありうる。本明細書の実施形態では、プラズマ洗浄手順はまた、処理チャンバから洗浄ガスを除去する一又は複数のポンプ及び/又はパージサイクルが挿入される一連のプラズマ洗浄サイクルを含みうる。明瞭にするために、これらのポンプ及び/又はパージサイクルは、これ以降、第2のポンプ及び/又はパージ手順として参照されることになるだろう。
【0105】
本明細書に記載の実施形態では、検出機構は、汚染物質が処理チャンバの中にまだ残っているかどうかを検出し、別のポンプ及び/若しくはパージ手順、並びに/若しくは別のポンプ及び/又はパージ手順によって続く更なるプラズマ洗浄手順を開始しうる。検出機構は、汚染物質、洗浄ガス及び/又は処理ガスのすべてが処理チャンバから除去されてしまうまで、そのような洗浄手順を何度も開始しうる。
【0106】
本明細書に記載の実施形態によれば、処理チャンバが許容レベル又は所定レベルまで洗浄され、第2のポンプ及び/又はパージ手順704が終了した後で、フレキシブル基板の処理を開始しうる。
【0107】
本明細書に記載の実施形態は、概して、フレキシブル基板を処理するための装置、及び処理チャンバの中の真空を破壊せずに、フレキシブル基板処理装置の処理チャンバを洗浄するための方法に関する。装置は、処理チャンバ内部にシャッターデバイスを含む。シャッターデバイスは、コーティングドラムと一又は複数の堆積源との間で、処理チャンバ内部にも提供されうる、シールド箔を移動させるように構成される。特に、シールド箔は、堆積源下のエリアを覆うことがあり、プラズマ洗浄は、フレキシブル基板及び/又はコーティングドラムに影響を与えずに、行うことができる。より具体的には、シールド箔300は、例えば、堆積源120などの処理ツールすべての下のエリアを覆うことがある。
【0108】
この点に関しては、処理チャンバが密閉及び排気されるときでさえ、シャッターデバイスが、処理チャンバ内部に提供され、洗浄プロセス中にコーティングドラムを保護するためにシールド箔を移動させることができるので、洗浄前に真空を破壊する必要がない。更に、本実施形態は、例えば、プラズマ洗浄領域などから、フレキシブル基板を除去せずに、NF3洗浄プロセスなどの洗浄プロセスを実行することを可能にする。フレキシブル基板を除去するためのチャンバのパージング及び換気は、必要ではない。ウェブ箔などのフレキシブル基板の長さは、数百メートルまでとすることができるだろう。あるプロセスにより、例えば、基板長全体が処理される前などに、中間を洗浄することが必要になっても、フレキシブル基板を除去せずに、これを行うことができる。本明細書に記載されるような実施形態は、特に、エッチングプロセスが行われる前に、ウェブコーティング機で使用されうる。
【0109】
上記は本発明の実施形態を対象にしているが、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく、本発明の他の更なる実施形態が考案される可能性があり、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10