特許第6356908号(P6356908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356908高効率ハイブリッド水平型反応器を利用したポリシリコン製造装置及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356908
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】高効率ハイブリッド水平型反応器を利用したポリシリコン製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/03 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   C01B33/03
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-513091(P2017-513091)
(86)(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公表番号】特表2017-530077(P2017-530077A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】KR2015006879
(87)【国際公開番号】WO2016052841
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0129908
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウンス・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ソク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・キュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジンヒョン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンウ・イ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−298740(JP,A)
【文献】 特開2014−088275(JP,A)
【文献】 特開平10−287413(JP,A)
【文献】 特開2008−143774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱管内に位置し、反応ガスと還元ガスとを含む原料ガス供給口、残留ガス排出口、及び原料ガスが接触する反応面と原料ガスとの反応により生成された溶融ポリシリコンを排出するための開口部が底面に形成された横型反応管と、
前記横型反応管の反応面を加熱するための第1加熱手段と、を備え、
前記横型反応管は、ポリシリコンの析出のための第1領域と、反応副産物を前記反応ガスに切り替えるための第2領域とが直列連結されてなされた反応領域を一つ以上含むポリシリコン製造装置。
【請求項2】
前記反応領域の前記第1領域と第2領域とは、反応温度が独立して制御される、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項3】
前記横型反応管の底面の開口部から排出される溶融シリコンを捕集するためのポリシリコン収去容器をさらに備える、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項4】
前記反応ガスは、三塩化シラン(TCS)を含み、前記反応副産物は、モノシラン、モノ塩化シラン、二塩化シラン(DTC)、及び四塩化シラン(STC)のうちいずれか一つ以上を含み、前記還元ガスは、水素を含む、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項5】
前記横型反応管の底面に形成された開口部は、反応領域の第1領域に形成された、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項6】
前記横型反応管の反応領域は、第1領域と第2領域とが交互に位置するが、最後には第1領域が位置する、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項7】
前記反応領域の第2領域は、還元ガス供給口をさらに備える、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項8】
前記反応領域の第2領域は、前記反応副産物を前記反応ガスに切り替える反応を促進させる触媒を含む、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項9】
前記触媒は、ポリシリコン析出工程に不純物を提供しないSi、SiCまたはこれらの混合物からなる、請求項8に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項10】
前記第2領域は、更なる反応面を提供するための内部構造物を備える、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項11】
前記ポリシリコン収去容器は、第2加熱手段をさらに備えることにより、捕集されたポリシリコンを溶融状態に維持する、または、
前記ポリシリコン収去容器は、別の加熱手段なしに捕集されたポリシリコンを固状に維持する、請求項3に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項12】
前記反応面は、前記横型反応管の内面である、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項13】
前記横型反応管の底面に形成された開口部から排出されるポリシリコンは、液滴状に排出されて、収去容器に捕集される、請求項1に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項14】
前記横型反応管は、前記ポリシリコン収去容器と共に断熱反応管内に位置する、請求項3に記載のポリシリコン製造装置。
【請求項15】
反応ガスと還元ガスとを含む原料ガスを、ガス供給口を通じて、断熱管内に位置し、ポリシリコンの析出のための第1領域と、反応副産物を前記反応ガスに切り替えるための第2領域とが直列連結されてなされた反応領域を一つ以上有する横型反応管の第1領域に注入させる段階と、
前記横型反応管の第1領域を、前記原料ガスの反応温度で加熱して、ポリシリコンを析出する段階と、
前記第1領域の反応により生成された副産物を、前記第2領域で反応ガスに切り替えた後、再びポリシリコン析出反応に参与させる段階と、
前記析出されたポリシリコンは、横型反応管の底面の開口部を通じて、液滴状に排出する段階と、を含むポリシリコン製造方法。
【請求項16】
前記横型反応管の底面の開口部から排出された液滴状のポリシリコンを、収去容器に捕集する段階をさらに含む、請求項15に記載のポリシリコン製造方法。
【請求項17】
前記収去容器を加熱して、捕集されたポリシリコンを液状に維持する段階、または
前記収去容器に捕集されたポリシリコンを固状に維持する段階をさらに含む、請求項16に記載のポリシリコン製造方法。
【請求項18】
前記第1領域は、ポリシリコン析出反応温度で、前記第2領域は、反応副産物の切り替え反応温度でそれぞれ独立して調節する、請求項15に記載のポリシリコン製造方法。
【請求項19】
前記第2領域に還元ガスをさらに供給して、触媒なしに切り替え反応を行う段階、または、
前記第2領域に触媒を供給して切り替え反応を行段階を含む、請求項15に記載のポリシリコン製造方法。
【請求項20】
前記反応ガスは、三塩化シランを含み、前記反応副産物は、モノシラン、モノ塩化シラン、二塩化シラン、及び四塩化シラン(STC)のうちいずれか一つを含み、前記還元ガスは、水素を含む、請求項15に記載のポリシリコン製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシリコン製造装置及び製造方法に係り、より詳しくは、水平型反応器を利用したポリシリコン製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシリコンは、半導体素子、太陽電池素子などの原料となる物質であって、近年、その需要が次第に増加している勢いである。従来、半導体または太陽光発電用電池の原料として使われるシリコンを製造する方法は、色々なものが知られており、そのうち一部は既に工業的に実施されている。
【0003】
現在、常用される高純度用ポリシリコンは、ほとんど化学気相蒸着法により製造されている。具体的には、下記反応式1に表したように、三塩化シラン気体を水素気体のような還元性気体と反応させて製造される。
[反応式1]
SiHCl(gas)+H(gas)→Si(solid)+3HCl(gas)
SiHCl→Si+2HCl
SiCl+2H→Si+4HCl
SiH→Si+2H
【0004】
ポリシリコンを製造するための常用化された工法のうち一つを例として挙げると、シーメンス法(Siemens method)がある。シーメンス法では、反応ガスとしてのシラン系ガスと、還元ガスとしての水素ガスとを縦型反応管に共に投入し、縦型反応管に設けられたシリコンロードを加熱することにより、シリコンの析出温度以上の熱が反応ガス及び還元ガスに伝達されると、還元反応によってポリシリコンが析出される。
【0005】
しかし、このような従来のシーメンス反応器は、通常、約65〜200KWh/kgの多くの電気エネルギーを消費し、この電気エネルギーに対するコストが、ポリシリコンの製造コストのうち非常に大きい比重を占めている。また、析出がバッチ式であるため、シリコンロードの設置、通電加熱、析出、冷却、取出、縦型反応管の洗浄など、極めて煩雑な工程を行わなければならないという問題点がある。
【0006】
他の方法としては、流動層による析出方法がある。該方法は、流動層を利用して、約100ミクロンの微粒子を析出核として供給しながら、シラン類を供給し、シリコン微粒子上にシリコンを析出して、1〜2mmのシリコン粒子として連続的に製造する方法である。該方法は、比較的長期連続運転が可能であるという長所があるが、析出温度の低いモノシランをシリコン原料として使用するため、比較的低い温度でもモノシランの熱分解による微粉シリコン生成や、反応器壁へのシリコン析出が行われやすいので、反応容器の定期的な洗浄や交換が必要となる。
【0007】
一方、特許文献1には、垂直型還元反応器を利用した多結晶シリコン製造装置が開示されている。前記装置は、シリコン析出面となる加熱体を筒状にして、熱効率を高めた装置であり、(a)下端にシリコン取出口となる開口部を有する筒状容器、(b)前記筒状容器の下端から任意の高さまでの内壁を、シリコン融点以上の温度で加熱する加熱装置、(c)前記筒状容器の内径よりも小さい外径を有する内管からなり、シリコンの融点以上に加熱された内壁により取り囲まれた空間に、前記内管の一方の開口を下方へ向かって設置することで構成されたクロロシラン類供給管、(d)筒状容器の内壁と、クロロシラン類供給管の外壁とにより形成されるギャップに、密封ガスを供給する第1密封ガス供給管、及び場合によって、(e)前記筒状容器内に水素ガスを供給する水素供給管をさらに備える。
【0008】
図1には、垂直型還元反応器の類型に属するポリシリコン製造装置が概略的に示されている。
【0009】
図1を参照すれば、ポリシリコン製造装置は、反応器10の上部10aに、反応ガス流入口11が備えられ、反応器10の中間部10bの一側に、真空導管12及び排出導管13が備えられている。反応器10の下部10cには、溶融シリコンの捕集、冷却、キャスティング部が形成されている。
【0010】
前記反応ガス流入口11を通じて、モノシラン、二塩化シラン、三塩化シラン(TCS)、または四塩化シラン(STC)のようなシラン系ガスである反応ガスを供給する。反応器10の運転後、内部空間のクリーニング、パージングのための真空雰囲気を形成するために、真空導管12が用いられ、反応時に生じる廃ガスを排出するために、排出導管13が用いられる。反応器10の上部10aには、加熱コイル14が備えられる。前記誘導加熱コイル14にRF電気が印加されることにより、反応管21に渦電流が生成されて発熱し、高温に加熱された反応管21の壁面を通じて、ガス流入口に流入されるガスに熱を加えて、析出反応を誘導する。
【0011】
図2には、図1に示した反応器の上部10aの概略的な断面図が示されている。
【0012】
図2を参照すれば、反応器の上部10aには、反応管21が備えられ、前記反応管21には、反応ガス供給管11を通じて、シラン系ガスのような反応ガスが供給される。反応管21の外側には、絶縁管22の表面に加熱コイル23が配置される。図示していない密封ガス供給管を通じて、密封ガス25が供給されて、反応管21と絶縁管22との間、及び絶縁管22と外側容器26との間に充填される。密封ガス25は、反応ガスが、反応管21と絶縁管22との間、及び絶縁管22と外側容器26との間の間隙を通じて漏れることを抑制するために供給される。なお、図示していない還元ガス供給管を通じて、水素のような還元ガスが供給されたり、還元ガスとシランガスとの混合形態に供給されたりする。
【0013】
図2の断面図において、Aで表示された反応管21の上部領域には、加熱コイル23が巻き取られていない一方、Bで表示された反応管21の下部領域には、加熱コイル23が巻き取られている。このような構造は、供給管の熱的安定性と全体的な等温分布のためのものであり、B領域は、反応管の直径の3〜4倍の長さが必要となる。
【0014】
vしたがって、加熱コイル23により反応管21に伝達される熱は、Aで表示された上部領域よりは、Bで表示された下部領域に集中している。図1及び図2を参照して述べられたポリシリコン製造装置では、反応管21の内部に流入された反応ガスと還元ガスとが、壁面と接触して、高温での析出反応が行われず、単純に通過する量が多くなるという問題点を有している。
【0015】
すなわち、加熱コイル23からの距離が最も遠い反応管21の中心部を通じて流動するガスに対しては、熱伝達が円滑でなく、還元反応が遅く発生するので、全体的な生産効率が低下し、エネルギー効率も低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国公開特許10−0692444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、前記のような従来の技術の問題点を解決することが可能な改善したポリシリコン製造装置及び製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、生産効率が向上することが可能なポリシリコン製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明によれば、
断熱管内に位置し、反応ガスと還元ガスとを含む原料ガス供給口、残留ガス排出口、及び原料ガスが接触する反応面と原料ガスとの反応により生成された溶融ポリシリコンを排出するための開口部が底面に形成された横型反応管と、
前記横型反応管の反応面を加熱するための第1加熱手段と、を備え、
前記横型反応管は、ポリシリコンの析出のための第1領域と、反応副産物を前記反応ガスに切り替えるための第2領域とが直列連結されてなされた反応領域を一つ以上含むポリシリコン製造装置が提供される。
【0020】
一具現例によれば、前記反応領域の前記第1領域と第2領域とは、反応温度が独立して制御されてもよい。
【0021】
一具現例によれば、前記横型反応管の底面の開口部から排出される溶融シリコンを捕集するためのポリシリコン収去容器をさらに備えてもよい。
【0022】
また、前記反応領域の第2領域は、還元ガス供給口をさらに備えてもよい。
【0023】
前記反応ガスは、三塩化シラン(TCS)を含み、前記反応副産物は、モノシラン、モノ塩化シラン、二塩化シラン(DTC)、及び四塩化シラン(STC)のうちいずれか一つ以上を含み、前記還元ガスは、水素を含む。
【0024】
一具現例によれば、前記横型反応管の底面に形成された開口部は、反応領域の第1領域に形成されてもよい。
【0025】
また、前記横型反応管の反応領域は、第1領域と第2領域とが交互に位置するが、最後には第1領域が位置するようにしてもよい。
【0026】
また、前記反応領域の第2領域は、前記反応副産物を前記反応ガスに切り替える反応を促進させる触媒を含んでもよい。
【0027】
前記触媒は、ポリシリコン析出工程に不純物を提供しないSi、SiCまたはこれらの混合物からなってもよい。
【0028】
また、前記第2領域が触媒を含む場合には、接触面積の増大のために、更なる反応面を提供するための内部構造物を備えてもよい。
【0029】
一具現例によれば、前記ポリシリコン収去容器は、第2加熱手段をさらに備えることにより、捕集されたポリシリコンを溶融状態に維持したり、別の加熱手段なしに捕集されたポリシリコンを固状に維持したりしてもよい。
【0030】
前記反応面は、前記横型反応管の内面、外面、または内面及び外面の両方であってもよい。
【0031】
前記横型反応管の底面に形成された複数個の開口部から排出されるポリシリコンは、液滴状に排出されて、前記収去容器に捕集されてもよい。
【0032】
前記横型反応管と、前記ポリシリコン収去容器とが、共に断熱反応管内に位置してもよい。
【0033】
また、本発明の他の特徴によれば、
反応ガスと還元ガスとを含む原料ガスを、ガス供給口を通じて、断熱管内に位置し、ポリシリコンの析出のための第1領域と、反応副産物を前記反応ガスに切り替えるための第2領域とが直列連結されてなされた反応領域を一つ以上有する横型反応管の第1領域に注入させる段階と、
前記横型反応管の第1領域を、前記原料ガスの反応温度で加熱して、ポリシリコンを析出する段階と、
前記第1領域の反応により生成された副産物を、前記第2領域で反応ガスに切り替えた後、再びポリシリコン析出反応に参与させる段階と、
前記析出されたポリシリコンは、横型反応管の底面の開口部を通じて、液滴状に排出する段階と、を含むポリシリコン製造方法が提供される。
【0034】
前記方法は、前記排出された液滴状のポリシリコンを収去容器に捕集する段階をさらに含んでもよい。
【0035】
また、前記収去容器を加熱して、捕集されたポリシリコンを液状に維持する段階、または前記収去容器に捕集されたポリシリコンを固状に維持する段階をさらに含んでもよい。
【0036】
また、前記第1領域は、ポリシリコン析出反応に好適な温度で、前記第2領域は、反応副産物の切り替え反応に好適な温度でそれぞれ独立して調節してもよい。
【0037】
また、前記第2領域に還元ガスをさらに供給して、触媒なしに切り替え反応を行ったり、触媒を供給して切り替え反応を行ったりする段階を含んでもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によるポリシリコン製造装置及び製造方法では、既存の垂直型反応器を利用する方法と異なり、横型反応管を利用することで、原料ガスと反応面との接触面積が増大するので、シリコン切り替え率が増加し、反応面上の温度制御が容易である。また、生成されたシリコンを溶融状態に収去し、溶融状態に後段工程に供給できるので、シリコン再溶融によるエネルギー損失が減少し、上部の横型反応管と下部の収去容器との熱的補完によるエネルギー節約が可能である。また、複数個の反応領域を設定することで、各領域別温度制御、原料ガス制御、副産物生成制御が独立して可能であるので、ポリシリコン析出効率が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】従来の技術によるポリシリコン製造装置の概略的な斜視図である。
図2図1に示した反応器の上部の概略的な断面図である。
図3】本発明の一実施形態による装置の概略的な構成図である。
図4】本発明の他の実施形態による装置の概略的な構成図である。
図5】本発明の他の実施形態による装置の概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を、添付された図面に示した本発明の実施形態を参照してより詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の技術思想及び範囲に含まれる変形物、均等物または代替物をいずれも含むものと理解されなければならない。
【0041】
各図面において、類似した参照符号は、類似した構成要素に対して使用している。
【0042】
第1、第2、A、Bなどの用語は、様々な構成要素を説明するのに使われるが、前記構成要素が前記用語により限定されるものではなく、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使われる。
【0043】
“及び/または”という用語は、複数の記載した項目のうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせを含む。
【0044】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されている”か“接続されている”と言及された時には、他の構成要素に直接連結または接続されているか、あるいは中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならない。
【0045】
単数の表現は、特に明示しない限り、複数の表現を含む。
【0046】
“含む”、“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指すものであり、言及していない他の特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在したり付加したりする可能性を排除しない。
【0047】
本発明によれば、断熱管内に位置し、反応ガスと還元ガスとを含む原料ガス供給口、残留ガス排出口、及び原料ガスが接触する反応面と原料ガスとの反応により生成された溶融ポリシリコンを排出するための開口部が底面に形成された横型反応管と、
前記横型反応管の反応面を加熱するための第1加熱手段と、を備え、
前記横型反応管は、ポリシリコンの析出のための第1領域と、反応副産物を前記反応ガスに切り替えるための第2領域とが直列連結されてなされた反応領域を一つ以上含むポリシリコン製造装置が提供される。
【0048】
図3には、本発明の一実施形態によるポリシリコン製造装置の概略的な構成図が示されている。
【0049】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態によるポリシリコン製造装置30は、断熱管32内に位置し、反応ガスと還元ガスとを含む原料ガス供給口31a、残留ガス排出口31b、及び原料ガスが接触する反応面と原料ガスとの反応により生成された溶融ポリシリコンを排出するための開口部36が底面に形成された横型反応管33と、前記横型反応管33の反応面を加熱するための第1加熱手段(図示せず)とを備え、前記横型反応管33は、ポリシリコンの析出のための第1領域33a、33b、33cと、反応副産物を前記反応ガスに切り替えるための第2領域34a、34bとが直列連結されてなされた反応領域を一つ以上含む。
【0050】
前記横型反応管は、底面の開口部36から排出される溶融シリコン37を捕集するためのポリシリコン収去容器39をさらに備えてもよい。収去容器39は、必須的なものではなく、必要に応じて除去してもよい。
【0051】
前記反応ガスは、モノシラン、モノ塩化シラン、二塩化シラン(DCS)、三塩化シラン(TCS)、及び四塩化シラン(STC)のうちいずれか一つ以上を含むが、主に三塩化シランを含み、前記還元ガスは、水素を含む。
【0052】
図3に示したように、本発明によるポリシリコン製造装置は、横型反応管を複数個の反応領域に分離して、シリコン生成が主に行われる第1領域と、副産物を反応ガスに切り替えるための第2領域とを形成している。各領域別の反応温度などの反応条件を制御して、シリコン析出効率をさらに向上させることができる。
【0053】
第1領域と第2領域とは、加熱手段が独立して備えられることにより、反応温度を独立して制御することができる。例えば、シリコン含有反応ガスと還元ガスとの反応進行程度によって発生する副産物の含量によって、反応条件の制御が可能である。具体的には、第1領域と第2領域での主反応は、概略的に下記のように行われる。
第1領域(析出反応):4SiHCl+H→Si(s)+SiHCl+SiCl+SiHCl+3HCl
第2領域(切り替え反応):SiCl+H→SiHCl+HCl
【化1】
【0054】
また、前記第2領域の切り替え反応で触媒を使用すると、次のような反応が行われる。
3SiCl+3H+Si→4SiHCl+H
Si+3HCl→SiHCl+H
【0055】
前記触媒は、三塩化シランの切り替え工程を促進させる表面を提供し、かつポリシリコン析出工程に不純物を提供しないSi、SiCまたはこれらの混合物のような材料からなることが好ましい。
【0056】
第1領域は、三塩化シラン(TCS)をSi(s)に切り替えるのに有利な条件で制御し、第2領域は、四塩化シラン(STC)及び/または二塩化シラン(DCS)をTCSに切り替えるのに有利な条件で制御することにより、全体的なシリコン析出効率を向上させることができる。
【0057】
したがって、前記反応領域は、主反応の性格によって、第1領域は析出領域、第2領域は切り替え領域と呼ばれることもある。
【0058】
前記第1領域と第2領域とが組み合わせられた反応領域は、一つ以上繰り返される。すなわち、第1領域と第2領域とが交互に繰り返されるが、最後には第1領域が位置することが好ましい。図3に示した装置を例にして説明すれば、原料ガス供給口31aを通じて、反応ガス(主成分TCS)と還元ガスとが供給され、一次析出領域(第1領域)33aで反応して、シリコンが析出されながら、STC、DCSなどを含む副産物が生成される。この副反応により生成されたSTC、DCSなどは、一次切り替え領域(第2領域)34aに送られて、TCSに切り替えられ、生成されたTCSは、二次析出領域(第1領域)33bでシリコンを析出しながら、STCを含む副産物を生成する。二次析出領域(第1領域)33bで副産物として生成されたSTCは、再び二次切り替え領域(第2領域)34bに送られて、TCSに切り替えられる。二次切り替え領域34bで、STCは、TCSに切り替えられた後、再び三次析出領域(第1領域)33cに送られて、シリコン析出反応が行われる。
【0059】
このように、横型反応管の反応領域の最後には、第1領域が位置するようにして、副産物として生成されるSTCなどをTCSに切り替えた後、ポリシリコン析出反応に消尽されるようにすることにより、ポリシリコン析出効率を向上させることができる。
【0060】
反応器内の切り替え領域でのSTC→TCS切り替え効率は、排ガス処理用切り替え反応に比べて、切り替え効率が低いため、これに勘案して、第1領域と第2領域のシリーズ数を適切に調節することができる。
【0061】
また、反応領域内に投入された原料ガスの反応によるシリコン析出反応は、反応初期に多く行われるので、これに勘案して、析出領域(第1領域)と切り替え領域(第2領域)との相対的な大きさ(長さ)を調節することができる。例えば、析出領域と切り替え領域との長さ比を1:1ないし1:10の範囲で調節できるが、これに限定されるものではない。
【0062】
第1領域と第2領域との温度制御は、統合制御または個別制御が可能である。なお、加熱方式は、誘導加熱または抵抗加熱により、直接的にまたは間接的に加熱可能であり、特に制限されない。
【0063】
また、第2領域での切り替え反応に必要な還元ガスを、第2領域に適切にさらに供給することにより、TCSへの切り替え反応を促進させることも可能である。このために、図示していないが、複数個の第2領域のうち一つ以上が、還元ガス供給口をさらに備えることが可能である。
【0064】
TCSからポリシリコン析出反応は、一般的に約1400℃以上で行われるので、析出反応での副産物は、約1400℃の高温で切り替え領域に供給される。切り替え反応は、約1000℃以下の温度で行われるが、第2領域に還元ガスをさらに供給することにより、冷却効果によって、適切な温度に感温させることができるという長所もある。
【0065】
本発明の他の具現例によれば、前記第2領域には、STCをTCSに切り替える反応を促進するための触媒を充填させることが可能である。この場合も、反応温度は、約1000℃に達するが、析出領域から排出されるガスが、約1000℃を上回るため、その熱を利用でき、切り替え領域から排出されるガスの場合にも、約1000℃の温度であるため、析出反応のための加熱を行っても、昇温に必要なエネルギーを節約できるという長所がある。
【0066】
また、前記第2領域が、ヒドロ塩素化反応が行われるハイブリッド切り替え工程を行う場合も、反応温度が約600℃以上であるので、触媒反応のように前段及び後段領域との熱的補完作用によりエネルギーを節減できる。ここで、ハイブリッド切り替え工程とは、還元ガス(水素)を供給して、STC切り替えを行う工程であり、約600℃ないし650℃で触媒なしに反応が行われる。
【0067】
横型反応管内で、第1領域と第2領域とは、各領域の温度差を数百℃以上具現できるサーマルバリア(thermal barrier)の役割を行う構造物により分離され、構造物によりガスの流れを一部遮断できる。
【0068】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記第2領域が触媒を含む場合には、接触面積の増大によって反応が促進されるように、更なる反応面を提供するための内部構造物を備えることが可能である。内部構造物は、ロード状、メッシュ状、逆U字状のように様々な形状である。図4は、逆U字状の内部構造物が第2領域に装着された構成を示している。他の構成は、図3について説明したものと類似しているので、具体的な説明は省略する。
【0069】
ポリシリコン収去容器39、49は、図3に示したように、一体型として横型反応管の下部に設置してもよく、図示していないが、析出領域と切り替え領域とにそれぞれ相応する位置に分離された形態に設置してもよい。
【0070】
シリコン排出口35、45は、一体型の収去容器の場合、反応管の後段部に位置してもよく(図3及び図4参照)、図5に示したように、単位反応領域ごとに区分されている分離された収去容器49a、49b、49cの場合には、収去容器の側面部分、すなわち、ガスの進行方向と垂直な方向にシリコン排出口45a、45b、45cが位置してもよい。
【0071】
また、前記ポリシリコン収去容器39は、捕集されたポリシリコン38が固状に維持することもできるが、より好ましくは、捕集されたポリシリコン38を溶融状態に維持するための第2加熱手段(図示せず)をさらに備える。
【0072】
本発明の好ましい実施形態によれば、図3に示したように、横型反応管33と、ポリシリコン収去容器39とは一緒に断熱管32内に位置するのが、外部との熱伝達によるエネルギー損失を防止しながら、横型反応管33とポリシリコン収去容器39との間の熱干渉による熱的補完作用としてエネルギーを節約できるという点で好ましい。
【0073】
本発明による装置において、前記横型反応管33は、底部に開放されている開口部36を備えているので、前記原料ガスの反応面は、前記横型反応管33の内面、外面、または内面及び外面の両方である。前記反応面を、ポリシリコン溶融温度近傍に加熱することにより、シリコン含有原料ガスと還元ガスとを反応させてシリコンを生成し、生成されたシリコンは、溶融状態に反応面に沿って流れる。
【0074】
一具現例によれば、前記横型反応管の底面に形成された開口部は、反応領域の第1領域に形成することが好ましい。これにより、第2領域の不純物が収去容器39に収集されることを防止できる。
【0075】
流れた溶融シリコンは、前記横型反応管33の底面に形成された開口部36を通じて、液滴状37に排出されて、収去容器39に捕集される。
【0076】
この際、前記複数個の開口部36は、横型反応管33の反応面を加熱するための第1加熱手段が備えられた反応領域に形成されたのが、溶融シリコンが液滴状に排出されるようにするのに好ましい。
【0077】
一方、図示していないが、前記横型反応管33は、地平面と平行に設けられることもあるが、横型反応管の開口部36を通じて、まだ排出されていない溶融シリコンが流れて排出されやすいように、地平面に対して所定の角度で傾斜して設けられることも可能である。
【0078】
このように、横型反応管を利用したポリシリコン製造装置は、垂直型反応装置に比べて、反応ガス及び還元ガスの温度、圧力などを制御することが容易であるという長所がある。
【0079】
本発明の他の特徴によれば、上述のような装置を利用して、ポリシリコンを製造する方法が提供される。
【0080】
具体的には、本発明による方法は、
反応ガスと還元ガスとを含む原料ガスを、ガス供給口を通じて、断熱管内に位置し、ポリシリコンの析出のための第1領域と、反応副産物を前記反応ガスに切り替えるための第2領域とが直列連結されてなされた反応領域を一つ以上有する横型反応管の第1領域に注入させる段階と、
前記横型反応管の第1領域を、前記原料ガスの反応温度で加熱して、ポリシリコンを析出する段階と、
前記第1領域の反応により生成された副産物を、前記第2領域で反応ガスに切り替えた後、再びポリシリコン析出反応に参与させる段階と、
前記析出されたポリシリコンは、横型反応管の底面の開口部を通じて、液滴状に排出する段階と、を含む。
【0081】
一実施形態によれば、前記横型反応管の底面の開口部から排出された液滴状のポリシリコンを収去容器に捕集する段階をさらに含んでもよい。
【0082】
また、前記収去容器に捕集されたポリシリコンを固状に維持することも可能であるが、前記収去容器を加熱して、溶融状態のポリシリコンを得ることも可能である。
【0083】
この際、前記横型反応管は、複数個の反応領域を含み、前記複数個の反応領域の温度をそれぞれ独立して調節する。具体的には、前記第1領域は、ポリシリコン析出反応に好適な温度で、前記第2領域は、反応副産物の切り替え反応に好適な温度でそれぞれ独立して調節することが可能である。
【0084】
加えて、前記第2領域のうち一つ以上の領域に還元ガスをさらに供給する段階を含むことにより、シリコン析出効率の極大化を図ることができる。
【0085】
本発明の方法に使われる原料ガスとして、シリコン含有反応ガスは、例えば、モノシラン、モノ塩化シラン、二塩化シラン(DCS)、三塩化シラン(TCS)、及び四塩化シランのうちいずれか一つを含むシラン系ガスである。また、還元ガスは、通常、水素を含み、他の例において、ZnまたはNaを含み、特に制限されない。
【0086】
本発明による装置を利用して、ポリシリコンを製造する工程において、析出領域は、ポリシリコン溶融温度である1400〜2000℃で実施され、より好ましくは、1400〜1800℃であり、溶融シリコンが反応管の下部に容易に移動して落下する粘性を維持できる温度範囲が好ましい。切り替え領域は、600〜1000℃の温度で実施される。本発明による方法において、工程圧力は、1〜5atmで実施される。
【0087】
シリコン溶融温度以上を加熱するための熱源は、誘導加熱、抵抗加熱などが可能である。反応器の形態上、抵抗加熱により反応管を直接加熱する方式が好ましいが、誘導加熱による加熱方式も可能であり、特に制限されない。具体的には、抵抗加熱の場合には、反応管(反応面)と、下部の収去容器とを個別に加熱することができる。誘導加熱の場合には、誘導コイルの形態を考慮する際、反応管と下部の収去容器とを単一のコイル内に位置するようにして、単一のコイルによる熱制御が可能である。
【0088】
本発明による装置において、反応管、内部構造物、収去容器などは、化学反応に一般的に使われる様々な材料で構成され、特に制限されない。例えば、グラファイト、 グラッシーカーボン、ポリカーボンなどの炭素材料、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンナイトライド(Si)、ボロンナイトライド(BN)、SiCコーティンググラファイト、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、石英などのように、原料ガスまたは溶融されたポリシリコンと反応性が低い材料で、反応管及び収去容器を製作することが好ましい。
【0089】
例えば、グラファイトの場合、溶融シリコン内に炭素が浸透(浸炭)して、シリコン純度が低くなる恐れがあるが、反応が行われるにつれて、反応器の表面に、溶融シリコンとグラファイトとの反応によりSiC層が生成されて、炭素がシリコン内に浸透する現象が防止できる。他の方法として、SiC層がコーティングされたグラファイト容器を使用したり、グラファイト容器の内部に石英るつぼを取り込んだりし、シリコン内への不純物の流入を遮断して、シリコン純度を高純度に維持することも可能である。
【0090】
本発明によるポリシリコン製造装置は、溶融状態の高純度ポリシリコンをより容易に製造できるので、装置の後段に鋳造領域を備え、溶融状態のシリコンを鋳造領域に備えられたモールド(図示せず)に注入して冷却させると、鋳造されたポリシリコン塊が得られる。他の例において、液状のポリシリコンは、そのまま保存された後、以後の工程でも利用可能である。
【0091】
また、反応後に排出ガスが回収された後、別の分離及び変換過程により反応ガスに分離されることにより、シリコン析出に再活用できる。
【0092】
本発明は、既存の縦型反応管と異なり、横型反応管を採択することにより、反応面積及び反応器内の滞留時間の調節が容易であるので、ポリシリコン製造効率を向上させることができる。
【0093】
ポリシリコン製造用反応管において、シリコン回収のための排出口部分は、反応管の他の部分に比べて、放熱面積が大きく、発熱可能な部分が少なく、周囲部分から熱的な補完を受けにくいので、温度の降下によって、シリコンが凝固される恐れがある。すなわち、反応管(反応面)の中心部の温度が、シリコン溶融温度以上であるとしても、反応面の下部は、温度の降下によって、シリコン溶融温度以下となり、溶融状態に下部容器に落下せず、反応管で凝固され、このような現象が持続的に発生するにつれて、反応面の下部が閉塞される。
【0094】
縦型反応管の場合において、反応器の下部(排出口)をシリコン溶融温度以上に維持しようとする場合、反応器の中間部は、相対的に高温に維持されるので、温度偏差(勾配)が大きく発生する。シランガスを利用したシリコン析出工程において、高温での核生成によって、シリコン微細粉末(duster)の発生により効率が低下し、後段工程(排ガス部分)でシリコン微細粉末による問題が発生する恐れがあり、反応器内の温度制御が困難である。一般的に、CVD法、VLD法(LLC法を含む)によるシリコン製造工程において、シリコン生成時に反応管の表面反応により反応面上に析出(生成)されたシリコンは、最終的に溶融シリコン形態に下部の回収容器に捕集できる。ところで、反応器の内部の特定の高温領域の空間で、シリコンの核生成により生成された微細粉末は、反応管の表面にまだ吸着されず、ガスの流れに偏向され、排ガスと共に反応管の外部に排出されて回収されないことにより、シリコン生産効率は低下する。また、このように排ガスと共に排出されたシリコン微細粉末は、排気ラインなど後段工程において問題を発生させる。
【0095】
本発明では、横型反応管を利用しているので、縦型反応管に比べて、垂直方向への長さが短く、反応管の高さ別の温度勾配が大きくなく、反応管内の温度を均一に維持しようとする温度制御の面でより容易であり、このような温度制御によって、原料ガスからシリコンへの切り替え率増大を期待できる。
【0096】
また、反応器の下部近くにシリコン収去容器が位置し、収去容器内のシリコンを液状に維持できるので、熱的補完効果によってエネルギーを節約できる。
【0097】
また、反応管内に原料ガスを取り込む際、反応管の初期部分で、原料ガスからシリコンへの切り替え反応がほとんど完了するが、縦型反応管の場合、反応管の上部分で生成されたシリコンが、反応面に沿って流れて、反応管の下部に落下して、下部の収去容器に捕集されるまで、シリコンを液状に維持するために、多量のエネルギーが消費される。
【0098】
これに対し、横型反応管は、取り込み後に初期(反応器の前段部分)にシリコン切り替え反応がほとんど完了するとしても、生成されたシリコンの回収のために、液状に流れなければならない長さが縦型に比べて短く、熱的損失(エネルギー損失)が少ないので、エネルギー効率が向上するという長所がある。加えて、反応管内に析出領域と切り替え領域とを置くことにより、高いエネルギー効率により、最終副産物の量を減少させ、シリコン析出効率を向上させる一方、副産物処理のための後続設備減縮及びこれによる生産コスト低減に寄与できる。
【0099】
以上、本発明は、添付された図面に示した実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を持った者ならば、これから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲のみによって決まらなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5