特許第6357148号(P6357148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357148
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ビニル基含有化合物を含有する組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 16/32 20060101AFI20180702BHJP
   C07C 43/215 20060101ALN20180702BHJP
【FI】
   C08F16/32
   !C07C43/215
【請求項の数】5
【全頁数】86
(21)【出願番号】特願2015-508793(P2015-508793)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2014059309
(87)【国際公開番号】WO2014157675
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-75398(P2013-75398)
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大
(72)【発明者】
【氏名】野田 国宏
(72)【発明者】
【氏名】千坂 博樹
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/018302(WO,A1)
【文献】 特開2011−90774(JP,A)
【文献】 国際公開第02/079131(WO,A1)
【文献】 特開2009−13096(JP,A)
【文献】 特開2004−137262(JP,A)
【文献】 特開2011−201791(JP,A)
【文献】 Konrad H. Bleicher, et al.,New phenylfluorenyl based linkers for solid phase synthesis,Tetrahedron Letters,2000年,41(47),pp.9037-9042
【文献】 Marilia O. F. Goulart, et al.,Electroorganic Reactions. 31. Quinonemethide Radical-Anions and Dianions: Their Cathodic Generation and Reactivity,Journal of Organic Chemistry,1988年,53(11),pp.2520-5
【文献】 Bohumir Koutek, et al.,PERTURBATION OF THE FUCHSONE CHROMOPHORE BY 3,5-METHYL SUBSTITUSION. STERICALLY CROWDED EXOCYCLIC DOUBLE BOND,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,1981年,46(10),pp.2540-56
【文献】 Hans-Dieter Becker, et al.,Preparation and Reactions of 2,6-Di-tert-butyl-4-(9-fluorenylidene)-1,4-benzoquinone,Journal of Organic Chemistry,1976年,41(2),pp.214-21
【文献】 Martin Stiles, et al.,Tribenzotropone from a 1,3-Rearrangement,Journal of Organic Chemistry,1957年,22,pp.1243-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 16/32
C07C 43/215
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物を含有する組成物。
【化1】
(式中、W及びWは独立に下記一般式(2)で表される基、下記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基でも下記一般式(4)で表される基でもなく、W及びWの少なくとも一方は、下記一般式(2)で表される基であり、環Y及び環Yベンゼン環を示し、Rは単結合を示し、R3a及びR3bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2は独立に0〜4の整数を示す。)
【化2】
(式中、環Zは縮合多環式芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は−S−で示される基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Rは1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、もしくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、もしくはスルホ基で置換された基を示し、R4a〜R4dは独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
【化3】
(式中、環Z、X、R、R、及びmは前記の通りである。)
【請求項2】
前記環Zがナフタレン環である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記Rが単結合である請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
酸発生剤又は塩基発生剤を更に含有する請求項1からのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
請求項記載の組成物の硬化物からなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニル基含有化合物を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
縮合多環式化合物は、種々の優れた機能を有し、様々な用途に用いられている。例えば、縮合多環式芳香族化合物であるフルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格等)を有する化合物は、光透過率、屈折率等の光学的特性、耐熱性等の熱的特性において優れた機能を有することが知られている。そのため、フルオレン骨格を有する化合物は、レンズ、プリズム、フィルター、画像表示材料、光ディスク用基板、光ファイバー、光導波路、ケーシング材料、フィルム、コーティング材料等の光学部材の原料として用いられている。このようなフルオレン骨格を有する化合物としては、例えば、特許文献1に開示されているものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−201791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規なビニル基含有化合物を含有する組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、新規なビニル基含有化合物を含有する組成物を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0006】
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物を含有する組成物である。
【0007】
【化1】
(式中、W及びWは独立に下記一般式(2)で表される基、下記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基でも下記一般式(4)で表される基でもなく、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、R3a及びR3bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2は独立に0〜4の整数を示す。)
【0008】
【化2】
(式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は−S−で示される基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Rは1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、もしくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、もしくはスルホ基で置換された基を示し、R4a〜R4dは独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
【0009】
【化3】
(式中、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0010】
本発明の第二の態様は、下記一般式(10)で表されるモノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を含有する組成物である。
【0011】
【化4】
(式中、W11及びW12のいずれか一方は下記一般式(2)で表される基を示し、他方は下記一般式(11)又は(12)で表される基を示し、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0012】
【化5】
(式中、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0013】
【化6】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、lは1〜4の整数を示し、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0014】
【化7】
(式中、環Z、X、R、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0015】
本発明の第三の態様は、下記一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を含有する組成物である。
【0016】
【化8】
(式中、W13及びW14は独立に上記一般式(12)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W13及びW14の少なくとも一方は下記一般式(12)で表される基であり、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0017】
本発明の第四の態様は、酸発生剤又は塩基発生剤を更に含有する上記組成物の硬化物からなる成形体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、新規なビニル基含有化合物を含有する組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
≪組成物≫
本発明に係る組成物は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物、上記一般式(10)で表されるモノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を少なくとも含有するものである。本発明に係る組成物は、加熱により、硬化させることができる。また、本発明に係る組成物は、光塩基発生剤、光酸発生剤、光重合開始剤や、光重合性モノマー等の光重合性化合物を含む場合、感光性を示す。以下、本発明に係る組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
【0020】
<一般式(1)で表されるビニル基含有化合物>
本発明に係る組成物に含有されるビニル基含有化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。上記ビニル基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
【化9】
【0022】
上記一般式(1)において、W及びWは、独立に下記一般式(2)で表される基、下記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基でも下記一般式(4)で表される基でもない。W及びWの少なくとも一方は、下記一般式(2)で表される基であることが好ましく、W及びWのいずれもが下記一般式(2)で表される基であることがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」という用語は、アクリロイルとメタクリロイルの両方を意味する。
【0023】
【化10】
【0024】
上記一般式(2)及び(4)において、環Zとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Zは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましく、ナフタレン環であるのがより好ましい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれる環ZとWに含まれる環Zとは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよいが、いずれの環もナフタレン環であることが特に好ましい。また、W及びWの両方が直結する炭素原子にXを介して結合する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、上記炭素原子に結合する環Zに対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってもよい。
【0025】
上記一般式(2)及び(4)において、Xは、独立に単結合又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。
【0026】
上記一般式(2)及び(4)において、Rとしては、例えば、単結合;メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基等の炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられ、単結合;C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基等のC2−3アルキレン基)が好ましく、単結合がより好ましい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0027】
上記一般式(2)及び(4)において、Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、より好ましくはC1−6アルキル基等)、シクロアルキル基(シクロへキシル基等のC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、より好ましくはC5−6シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、より好ましくはC6−8アリール基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等のC6−10アリール−C1−4アルキル基等)等の1価炭化水素基;水酸基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、より好ましくはC1−6アルコキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基等のC5−10シクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)等の−OR4aで示される基[式中、R4aは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のC1−12アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、より好ましくはC1−6アルキルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基等のC5−10シクロアルキルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等のC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)等の−SR4bで示される基[式中、R4bは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アシル基(アセチル基等のC1−6アシル基等);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;アルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のC1−12アルキルアミノ基、好ましくはC1−8アルキルアミノ基、より好ましくはC1−6アルキルアミノ基等)、シクロアルキルアミノ基(シクロへキシルアミノ基等のC5−10シクロアルキルアミノ基等)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基等のC6−10アリールアミノ基)、アラルキルアミノ基(例えば、ベンジルアミノ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルアミノ基)等の−NHR4cで示される基[式中、R4cは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のジ(C1−12アルキル)アミノ基、好ましくはジ(C1−8アルキル)アミノ基、より好ましくはジ(C1−6アルキル)アミノ基等)、ジシクロアルキルアミノ基(ジシクロへキシルアミノ基等のジ(C5−10シクロアルキル)アミノ基等)、ジアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基等のジ(C6−10アリール)アミノ基)、ジアラルキルアミノ基(例えば、ジベンジルアミノ基等のジ(C6−10アリール−C1−4アルキル)アミノ基)等の−N(R4dで示される基[式中、R4dは独立に1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];(メタ)アクリロイルオキシ基;スルホ基;上記の1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、もしくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が上記の1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、もしくはスルホ基で置換された基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基等のC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基等)]等が挙げられる。
【0028】
これらのうち、代表的には、Rは、1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基等であってもよい。
【0029】
好ましいRとしては、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)等]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基等)等が挙げられる。特に、R2a及びR2bは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)等]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)等]等の1価炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。
【0030】
なお、mが2以上の整数である場合、Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0031】
上記一般式(2)及び(4)において、Rの数mは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜4、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2であってもよい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、WにおけるmとWにおけるmとは、同一でも異なっていてもよい。
【0032】
上記一般式(1)において、環Y及び環Yとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Y及び環Yは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましい。なお、環Y及び環Yは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよい。
【0033】
上記一般式(1)において、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。ここで、置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、珪素原子等が挙げられる。
【0034】
上記一般式(1)において、R3a及びR3bとしては、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、シアノ基又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、n1が2以上の整数である場合、R3aは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、n2が2以上の整数である場合、R3bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。更に、R3aとR3bとが同一であってもよく、異なっていてもよい。また、環Y及び環Yに対するR3a及びR3bの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数n1及びn2は、0又は1、特に0である。なお、n1及びn2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0035】
上記一般式(1)で表される化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、ビニロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有するため、高い反応性を有する。特に、環Y及び環Yがベンゼン環であり、Rが単結合である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、フルオレン骨格を有し、光学的特性及び熱的特性に更に優れる。このような上記一般式(1)で表される化合物は、重合することができるため、重合性モノマーとして機能する。特に、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、カチオン重合することができるため、カチオン重合性モノマーとして機能する。一方、W及びWがいずれも(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、ラジカル重合することができるため、ラジカル重合性モノマーとして機能する。また、上記一般式(1)で表される化合物は、W及びWが独立に上記一般式(2)で表される基又は(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、ビニロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基の形で含まれる2個のビニル基が別々の分子と反応することができるため、架橋剤として好適に用いることができる。更に、上記一般式(1)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、組成物中の基材成分として好ましい。加えて、上記一般式(1)で表される化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。上記一般式(1)で表される化合物は、種々の用途、例えば、配向膜及び平坦化膜(例えば、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等に用いられる配向膜及び平坦化膜);反射防止膜、層間絶縁膜、カーボンハードマスク等のレジスト下層膜;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等のスペーサ及び隔壁;液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素やブラックマトリクス;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置;レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材;低透湿膜(例えば、水蒸気バリア層として用いられる低透湿膜);光学材料;半導体用材料に用いることができる。
【0036】
上記一般式(1)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
上記式(1)で表される化合物の含有量は、本発明に係る組成物の固形分に対して、1〜100質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすい。
【0042】
[一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物の製造方法]
上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物の中でも、下記一般式(1a)で表されるものは、例えば、下記の製造方法1〜3により製造することができる。
【0043】
【化15】
(式中、W1a及びW2aは独立に上記一般式(2)で表される基、上記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W1a及びW2aは同時に水酸基でも上記一般式(4)で表される基でも(メタ)アクリロイルオキシ基でもなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0044】
・製造方法1
上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物は、例えば、特開2008−266169号公報に記載の製造方法に従い、遷移元素化合物触媒及び無機塩基の存在下、下記一般式(13)で表されるビニルエステル化合物と、下記一般式(3)で表される水酸基含有化合物とを反応させることにより、合成することが可能である。上記無機塩基は、粒子径150μm未満の粒子を10重量%以上含有する固体の無機塩基であることが好ましい。具体的には、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物は、後述する合成例1〜3のようにして合成することが可能である。
【0045】
−CO−O−CH=CH (13)
(式中、Rは、水素原子又は有機基を示す。)
【0046】
【化16】
(式中、W及びWは独立に下記一般式(4)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0047】
【化17】
(式中、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0048】
なお、上記一般式(3)で表される化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(14)で表される化合物及び/又は下記一般式(15)で表される化合物と、下記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(14)で表される化合物及び下記一般式(15)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(3)で表される所望の水酸基含有化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とする水酸基含有化合物を分離してもよい。
【0049】
【化18】
(上記一般式(14)、(15)、及び(16)中、環Y、環Y、環Z、R、R、R、R3a、R3b、m、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0050】
上記一般式(3)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、特許文献1又は特開2002−255929号公報において、特許請求の範囲に記載されたフルオレン系化合物の製造方法に用いることができると記載されているものが挙げられる。
【0051】
・製造方法2
上記一般式(1a)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物から、下記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
【0052】
【化19】
(式中、W及びWは独立に下記一般式(6)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0053】
【化20】
(式中、Eは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、又はベンゼンスルホニルオキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキルオキシ基を示し、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0054】
上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物としては、例えば、塩化チオニル、下記式で表される化合物等が挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜140℃、より好ましくは30〜130℃が挙げられる。
【0055】
【化21】
【0056】
上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、好ましくはジアザビシクロウンデセン、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、より好ましくはカリウム−t−ブトキシドが挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜60℃が挙げられる。
【0057】
・製造方法3
上記一般式(1a)で表される化合物は、例えば、下記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物から、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能であり、具体的には、後述する合成例4及び5並びに合成例12及び13のようにして合成することが可能である。
【0058】
【化22】
(式中、W及びWは独立に下記一般式(8)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0059】
【化23】
(式中、lは1〜4の整数を示し、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0060】
上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(17)で表される化合物及び/又は下記一般式(18)で表される化合物と、上記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(17)で表される化合物及び下記一般式(18)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(7)で表される所望のヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とするヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物を分離してもよい。上記一般式(7)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、上記一般式(3)で表される化合物の合成方法の説明中で例示したものが挙げられる。
【0061】
【化24】
(上記一般式(17)及び(18)中、環Z、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0062】
上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、例えば、上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
【0063】
上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
【0064】
製造方法3により、上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物から、高収率で、上記一般式(1a)で表される化合物を得ることができる。例えば、合成例4及び5において、9,9’−ビス(6−ビニルオキシ−2−ナフチル)フルオレンの収率は77%であり、合成例12及び13において、9,9’−ビス(4−ビニロキシフェニル)フルオレンの収率は79%であった。製造方法3によれば、上記一般式(1a)で表される化合物の精製工程における負荷を低くすることができる。また、製造方法3では、常圧で反応を行うことができるため、耐熱容器等の特別の反応設備が不要であり、より簡便な装置を用いることができる。更に、製造方法3では、アセチレンガス等の可燃性ガスが用いられておらず、より安全に上記一般式(1a)で表される化合物を製造することができる。
【0065】
<精製方法>
上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物は、合成後に精製してもよい。精製方法としては、特に限定されず、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の方法が挙げられる。精製により、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物の純度が向上するとともに、金属成分の含有量が低減する。精製されたビニル基含有化合物は、反応性が向上しやすくなり、また、反応時の着色が効果的に抑制される。
【0066】
・一般式(5)で表される脱離基含有化合物
上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物を製造するための中間体として有用である。上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、例えば、上記製造方法2又は3中で説明した方法により合成することができる。
【0067】
・一般式(9)で表されるモノビニル基含有化合物及びその製造方法
下記一般式(9)で表されるモノビニル基含有化合物は、上記一般式(1a)で表されるビニル基含有化合物を製造するための中間体として有用である。
【0068】
【化25】
(式中、W及びW10のいずれか一方は上記一般式(2)で表される基を示し、他方は上記一般式(6)で表される基を示し、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0069】
上記一般式(9)で表されるモノビニル基含有化合物は、下記一般式(5a)で表される脱離基含有化合物から上記一般式(9)で表されるモノビニル基含有化合物を得ることを含む製造方法により、合成することが可能であり、具体的には、後述する合成例8及び11のようにして合成することが可能である。即ち、上記一般式(9)で表されるモノビニル基含有化合物は、例えば、上記一般式(5a)で表される脱離基含有化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。ビニル化剤の使用量は、上記一般式(5a)で表される脱離基含有化合物中の脱離基1モルに対し、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.5〜5モル、更により好ましくは0.8〜2モルである。
【0070】
【化26】
(式中、W5a及びW6aは上記一般式(6)で表される基を示し、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0071】
<一般式(10)で表されるモノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物>
本発明に係る組成物に含有されるモノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、下記一般式(10)で表されるものである。上記モノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。この化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、ビニロキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有するため、高い反応性を有する。特に、環Y及び環Yがベンゼン環であり、Rが単結合である場合、下記一般式(10)で表される化合物は、フルオレン骨格を有し、光学的特性及び熱的特性に更に優れる。下記一般式(10)で表される化合物は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物と同様に、重合することができるため、重合性モノマーとして機能し、また、架橋剤として好適に用いることができる。更に、下記一般式(10)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、組成物中の基材成分として好ましい。加えて、下記一般式(10)で表される化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。下記一般式(10)で表される化合物は、種々の用途、例えば、上記一般式(1)で表される化合物について具体的に例示した用途に用いることができる。
【0072】
【化27】
(式中、W11及びW12のいずれか一方は上記一般式(2)で表される基を示し、他方は下記一般式(11)又は(12)で表される基を示し、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0073】
【化28】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、環Z、X、R、R、m、及びlは上記の通りである。)
【0074】
【化29】
(式中、環Z、X、R、R、R、及びmは上記の通りである。)
【0075】
上記式(10)で表される化合物の含有量は、本発明に係る組成物の固形分に対して、1〜100質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすい。
【0076】
<一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物>
本発明に係る組成物に含有される(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、下記一般式(19)で表されるものである。上記(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。この化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するため、高い反応性を有する。特に、環Y及び環Yがベンゼン環であり、Rが単結合である場合、下記一般式(19)で表される化合物は、フルオレン骨格を有し、光学的特性及び熱的特性に更に優れる。下記一般式(19)で表される化合物は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物と同様に、重合することができるため、重合性モノマーとして機能し、また、架橋剤として好適に用いることができる。更に、下記一般式(19)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、組成物中の基材成分として好ましい。加えて、下記一般式(19)で表される化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。下記一般式(19)で表される化合物は、種々の用途、例えば、上記一般式(1)で表される化合物について具体的に例示した用途に用いることができる。
【0077】
【化30】
(式中、W13及びW14は独立に上記一般式(12)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W13及びW14の少なくとも一方は上記一般式(12)で表される基であり、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
【0078】
上記一般式(19)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0079】
【化31】
【0080】
【化32】
【0081】
【化33】
【0082】
上記式(19)で表される化合物の含有量は、本発明に係る組成物の固形分に対して、1〜100質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすい。
【0083】
[一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物の製造方法]
上記一般式(19)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物から上記一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を得ることを含む製造方法により、合成することが可能であり、具体的には、後述する合成例14及び15のようにして合成することが可能である。
【0084】
上記一般式(19)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物と(メタ)アクリル化剤とを反応させることにより、合成することができる。(メタ)アクリル化剤としては、例えば、(メタ)アクリロイルクロリド等の(メタ)アクリロイルハライド;(メタ)アクリル酸無水物等が挙げられ、(メタ)アクリロイルハライドが好ましく、(メタ)アクリロイルクロリドがより好ましい。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜60℃が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル化剤」は、アクリル化剤とメタクリル化剤の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸無水物」は、アクリル酸無水物とメタクリル酸無水物の両方を意味する。
【0085】
上記一般式(19)で表される化合物は、合成後に精製してもよい。精製方法としては、特に限定されず、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の方法が挙げられる。精製により、上記一般式(19)で表される化合物の純度が向上するとともに、金属成分の含有量が低減する。生成された上記化合物は、反応性が向上しやすくなり、また、反応時の着色が効果的に抑制される。
【0086】
<一般式(1)で表されるビニル基含有化合物、一般式(10)で表されるモノビニル基及びモノ(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物、及び一般式(19)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物以外の基材成分>
本発明に係る組成物は、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び上記一般式(19)で表される化合物以外の基材成分(以下、単に「基材成分」という)を更に含有してもよい。上記基材成分は、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とともに、硬化物等を形成することができる。上記基材成分としては、例えば、付加重合性化合物、付加縮合性化合物、及び縮合重合性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物や、樹脂が挙げられる。上記基材成分は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0087】
[付加重合性化合物、付加縮合性化合物、及び/又は縮合重合性化合物]
付加重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、後述する第1の態様の組成物において光重合性モノマーとして例示した単官能モノマー及び多官能モノマーや、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び上記一般式(19)で表される化合物以外のビニル基含有化合物が挙げられる。
【0088】
付加縮合性化合物としては、例えば、フェノール類、アルデヒド類、エピクロルヒドリンが挙げられ、フェノール類とアルデヒド類との間、及び、フェノール類、特にビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの間で付加縮合が生じる。フェノール類及びアルデヒド類としては、後述する第2の態様の組成物において例示したものが挙げられる。
【0089】
縮合重合性化合物としては、例えば、酸二無水物、ジアミンが挙げられ、酸二無水物とジアミンとの間で縮合重合が生じる。酸二無水物及びジアミンとしては、後述する第3又は第4の態様の組成物において例示したものが挙げられる。
【0090】
付加重合性化合物、付加縮合性化合物、及び縮合重合性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量は、本発明に係る組成物の固形分に対して、0〜99質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能等が向上しやすい。
【0091】
[樹脂]
樹脂としては、例えば、カルド構造を有する樹脂、フェノール性水酸基を有する樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。樹脂は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂の具体例としては、後述する第1〜第6の態様の組成物に関する説明中で例示したものが挙げられる。
なお、本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0092】
樹脂の含有量は、本発明に係る組成物の固形分に対して、0〜99質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、15〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能等が向上しやすい。
【0093】
<有機溶剤>
本発明に係る組成物は、有機溶剤を更に含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、後述する第1の態様の組成物において例示したものが挙げられる。有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0094】
有機溶剤の含有量は、本発明に係る組成物の固形分濃度が0.5〜70質量%となる量が好ましく、1〜50質量%となる量がより好ましく、5〜30質量%となる量が更により好ましい。
【0095】
<その他の成分>
本発明に係る組成物は、所望により、光重合開始剤、光重合性モノマー、酸架橋性物質、酸発生剤(光酸発生剤、熱酸発生剤等)、塩基発生剤(光塩基発生剤、熱塩基発生剤等)、着色剤、分散剤、増感剤、ケイ素含有化合物、無機フィラー、水酸基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、その他の各種の添加剤等を含有していてもよい。これらの成分の具体例としては、後述する第1〜第6の態様の組成物に関する説明中で例示したものが挙げられる。また、本発明に係る組成物は、所望により、結晶化阻害剤、密着増強剤、界面活性剤等を含有してもよい。本発明に係る組成物が結晶化阻害剤を含有すると、得られる硬化物において、クラックが発生しにくくなる。本発明に係る組成物が密着増強剤を含有すると、得られる硬化物は、基材等に対する密着性が向上しやすい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤が挙げられる。本発明に係る組成物が界面活性剤を含有すると、得られる硬化物は、濡れ性が向上しやすく、所望の界面効果が得やすい。
【0096】
<組成物の例>
本発明に係る組成物としては、例えば、下記第1〜第10の態様の組成物が挙げられる。これらの組成物は、加熱により、硬化させることができる。また、これらの組成物は、下記の通り、光塩基発生剤、光酸発生剤、光重合開始剤や、光重合性モノマー等の光重合性化合物を含む場合、感光性を示す。以下、第1〜第10の態様の組成物について説明する。
【0097】
(1)第1の態様の組成物
第1の態様の組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、及び有機溶剤の少なくとも1種と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する。第1の態様の組成物は、光重合開始剤を更に含有してもよい。
【0098】
第1の態様の組成物の具体例としては、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物と、有機溶剤とを含有する非感光性組成物(1−1)、アルカリ可溶性樹脂と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する非感光性樹脂組成物(1−2)が挙げられる。非感光性樹脂組成物(1−2)は、有機溶剤を更に含有してもよい。
【0099】
また、第1の態様の組成物の具体例としては、光重合性モノマーと、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する組成物(1−3)も挙げられる。組成物(1−3)は、有機溶剤を更に含有してもよいが、光重合性モノマーが室温で液体の化合物である場合、有機溶剤を含有しない組成物として調製してもよい。このような光重合性モノマーとしては単官能又は多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられ、単官能又は二官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。このような光重合性モノマーの例としてはラウリル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロヒ゜レングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートが挙げられる。また、組成物(1−3)は、光重合開始剤を更に含有してもよいが、光重合性モノマーが光又は熱の作用により重合反応を開始し得るものを含む場合、光重合開始剤を含有しない組成物として調製してもよい。
【0100】
更に、第1の態様の組成物の具体例としては、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有するネガ型感光性樹脂組成物(1−4)も挙げられる。ネガ型感光性樹脂組成物(1−4)は有機溶剤を更に含有してもよい。
【0101】
第1の態様の組成物におけるアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。このアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和基を有するものであってもよく、エチレン性不飽和基を有さないものであってもよい。
【0102】
エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を、更に多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。
【0103】
その中でも、下記一般式(r−1)で表されるカルド構造を有する樹脂が好ましい。この式(r−1)で表される樹脂は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
【0104】
【化34】
【0105】
上記一般式(r−1)中、Xは、下記一般式(r−2)で表される基を示す。
【0106】
【化35】
【0107】
上記一般式(r−2)中、Rr1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Rr2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Wは、単結合又は下記一般式(r−3)で表される基を示す。
【0108】
【化36】
【0109】
また、上記一般式(r−1)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0110】
また、上記一般式(r−1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記一般式(r−1)中、kは、0〜20の整数を示す。
【0111】
また、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。更に、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドとの両方を意味する。
【0112】
一方、エチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂としては、不飽和カルボン酸と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物と脂環式基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂を用いることができる。
【0113】
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0114】
脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0115】
脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
【0116】
【化37】
【0117】
上記一般式中、Rr3は水素原子又はメチル基を示し、Rr4は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rr5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rr4としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rr5としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
【0118】
このアルカリ可溶性樹脂中における上記不飽和カルボン酸に由来する構成単位の割合は、3〜25質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。また、上記エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、71〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。また、上記脂環式基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。上記の範囲とすることにより、得られる樹脂のアルカリ溶解性を適度なものとしながら、組成物の基板への密着性、組成物の硬化後の強度を高めることができる。
【0119】
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、膜強度を得ることができ、第1の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、良好な現像性を得ることができる。
【0120】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、第1の態様の組成物の固形分に対して5〜80質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第1の態様の組成物の塗膜形成能等が向上しやすく、第1の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0121】
第1の態様の組成物における光重合性モノマーとしては、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0122】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0123】
光重合性モノマーの含有量は、第1の態様の組成物の固形分に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0124】
第1の態様の組成物における光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0125】
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(即ち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(即ち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0126】
光重合開始剤の含有量は、第1の態様の組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0127】
第1の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。また、この化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0128】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、第1の態様の組成物の固形分に対して、1〜100質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。特に、第1の態様の組成物がアルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、及び光重合開始剤の少なくとも1種を含有する場合、上記含有量は、第1の態様の組成物の固形分に対して、1〜99質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、第1の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすく、第1の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0129】
第1の態様の組成物は、更に、着色剤を含有していてもよい。着色剤を含有することにより、例えば、液晶表示ディスプレイのカラーフィルタ形成用途として好ましく使用される。また、第1の態様の組成物は、着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、カラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。
【0130】
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることが好ましい。
【0131】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0132】
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、有機物、無機物を問わず、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩等の各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0133】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
【0134】
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
【0135】
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
【0136】
また、着色剤をネガ型感光性樹脂組成物において均一に分散させるために、更に分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤としてカーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
【0137】
また、無機顔料及び有機顔料は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
【0138】
着色剤の含有量は、第1の態様の組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、第1の態様の組成物の固形分100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。
特に、第1の態様の組成物を使用してブラックマトリクスを形成する場合には、ブラックマトリクスの膜厚1μm当たりのOD値が4以上となるように、ネガ型感光性樹脂組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける膜厚1μm当たりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
【0139】
なお、着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、ネガ型感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0140】
第1の態様の組成物における有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0141】
上記有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上記アルカリ可溶性樹脂、上記光重合性モノマー、上記光重合開始剤、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び上記一般式(19)で表される化合物に対して優れた溶解性を示すとともに、上記着色剤の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。
【0142】
有機溶剤の含有量は、第1の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0143】
第1の態様の組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0144】
(2)第2の態様の組成物
第2の態様の組成物は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、ナフトール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、チオフェノール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂、及び/又はチオナフトール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する樹脂組成物である。第2の態様の組成物は、酸架橋性物質、光酸発生剤、及び/又は有機溶剤を更に含有してもよい。第2の態様の組成物は、光酸発生剤を含有しない場合、非感光性樹脂組成物であるが、光酸発生剤を含有すると、感光性を示す。
【0145】
第2の態様の組成物が感光性である場合、その具体例としては、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、ナフトール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、チオフェノール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂、及び/又はチオナフトール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂と、光酸発生剤と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有するネガ型感光性樹脂組成物が挙げられる。このネガ型感光性樹脂組成物は、酸架橋性物質及び/又は有機溶剤を更に含有してもよい。
【0146】
第2の態様の組成物におけるフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を用いることができる。
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位を少なくとも有する。
ここで「ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレン、及びヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体のヒドロキシスチレン誘導体(モノマー)を含む概念とする。
「ヒドロキシスチレン誘導体」は、少なくともベンゼン環とこれに結合する水酸基とが維持されており、例えば、ヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、更に炭素数1〜5のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、更に1〜2個の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2〜3である。)等を包含するものとする。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
なお、「ヒドロキシスチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
【0147】
このヒドロキシスチレンに由来する構成単位は、例えば下記一般式(s−1)で表される。
【0148】
【化38】
【0149】
上記一般式(s−1)中、Rs1は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はハロゲン化アルキル基を示し、Rs2は炭素数1〜5のアルキル基を示し、pは1〜3の整数を示し、qは0〜2の整数を示す。
【0150】
s1のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5である。また、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、工業的にはメチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、上述した炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたものである。この中でも、水素原子の全部がフッ素原子で置換されたものが好ましい。また、直鎖状又は分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等がより好ましく、トリフルオロメチル基(−CF)が最も好ましい。
s1としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0151】
s2の炭素数1〜5のアルキル基としては、Rs1の場合と同様のものが挙げられる。
qは0〜2の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。
b2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、更に、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の置換位置は、pが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからパラ位が好ましい。更に、pが2又は3の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
【0152】
上記一般式(s−1)で表される構成単位は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0153】
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して60〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましく、80〜100モル%であることが更に好ましい。上記の範囲内とすることにより、ネガ型感光性樹脂組成物とした際に適度なアルカリ溶解性が得られる。
【0154】
ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、スチレンに由来する構成単位を更に有することが好ましい。
ここで「スチレンに由来する構成単位」とは、スチレン及びスチレン誘導体(但し、ヒドロキシスチレンは含まない。)のエチレン性二重結合が開裂してなる構成単位を包含するものとする。
「スチレン誘導体」は、スチレンのα位に結合する水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにスチレンのフェニル基の水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基等の置換基に置換されているもの等を包含するものとする。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
なお、「スチレンのα位」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
【0155】
このスチレンに由来する構成単位は、例えば下記一般式(s−2)で表される。式中、Rs1、Rs2、qは上記一般式(s−1)と同義である。
【0156】
【化39】
【0157】
s1及びRs2としては、上記一般式(s−1)のRs1及びRs2とそれぞれ同様のものが挙げられる。
qは0〜2の整数である。これらの中でも0又は1であることが好ましく、工業上は特に0であることが好ましい。
s2の置換位置は、qが1である場合にはオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、更に、qが2の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
【0158】
上記一般式(s−2)で表される構成単位は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0159】
ポリヒドロキシスチレン系樹脂中、スチレンに由来する構成単位の割合は、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を構成する全構成単位に対して40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることが更に好ましい。上記の範囲とすることにより、ネガ型感光性樹脂組成物とした際に適度なアルカリ溶解性が得られるとともに、他の構成単位とのバランスも良好になる。
【0160】
なお、ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位やスチレンに由来する構成単位以外の他の構成単位を有していてもよい。より好ましくは、上記ポリヒドロキシスチレン系樹脂は、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位のみからなる重合体、あるいはヒドロキシスチレンに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とからなる共重合体である。
【0161】
ポリヒドロキシスチレン系樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1500〜40000が好ましく、2000〜8000がより好ましい。
【0162】
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂を用いることもできる。このノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下で付加縮合させることにより得ることができる。
【0163】
フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、アルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素数1〜4である);α−ナフトール、β−ナフトール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのフェノール類の中でも、m−クレゾール、p−クレゾールが好ましく、m−クレゾールとp−クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感度等の諸特性を調整することができる。
【0164】
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0165】
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類;酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0166】
このようにして得られるノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
【0167】
ノボラック樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、1000〜30000が好ましく、3000〜25000がより好ましい。
【0168】
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等を用いることもできる。
【0169】
ナフトール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂として例示した樹脂において、ヒドロキシフェニル基をヒドロキシナフチル基に置換した樹脂が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリヒドロキシスチレン系樹脂において、ヒドロキシフェニル基をヒドロキシナフチル基に置換した樹脂が挙げられる。
【0170】
チオフェノール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂として例示した樹脂において、ヒドロキシフェニル基をメルカプトフェニル基に置換した樹脂が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリヒドロキシスチレン系樹脂において、ヒドロキシフェニル基をメルカプトフェニル基に置換した樹脂が挙げられる。
【0171】
チオナフトール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂として例示した樹脂において、ヒドロキシフェニル基をメルカプトナフチル基に置換した樹脂が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリヒドロキシスチレン系樹脂において、ヒドロキシフェニル基をメルカプトナフチル基に置換した樹脂が挙げられる。
【0172】
フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、ナフトール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂、チオフェノール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂、及び/又はチオナフトール性チオール基を有するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、第2の態様の組成物の固形分に対して20〜80質量%であることが好ましく、35〜65質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第2の態様の組成物の塗膜形成能等が向上しやすく、第2の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0173】
第2の態様の組成物における酸架橋性物質としては、特に限定されず、従来公知の酸架橋性物質を用いることができる。
【0174】
酸架橋性物質として具体的には、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの酸架橋性物質は、メラミン、尿素、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素を沸騰水中でホルマリンと反応させてメチロール化、あるいはこれに更に低級アルコールを反応させてアルコキシル化することにより容易に得られる。実用上は、ニカラックMX−750、ニカラックMW−30、ニカラックMW100LM等のメラミン樹脂、ニカラックMX−290等の尿素樹脂(いずれも三和ケミカル社製)として入手することができる。また、サイメル1123、サイメル1128(三井サイアナッド社製)等のベンゾグアナミン樹脂も市販品として入手することができる。
【0175】
また、1,3,5−トリス(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメトキシ)ベンゼン等のアルコキシル基を有するベンゼン化合物、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等のヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するフェノール化合物等を用いることもできる。
これらの酸架橋性物質は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0176】
酸架橋性物質の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第2の態様の組成物の硬化性が良好になり、第2の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、そのパターニング特性が良好になる。
【0177】
第2の態様の組成物における光酸発生剤としては、特に限定されず、従来公知の光酸発生剤を用いることができる。
【0178】
光酸発生剤として具体的には、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ハロゲン含有トリアジン化合物、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤(ニトロベンジル誘導体)、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等が挙げられる。
【0179】
好ましいスルホニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記一般式(t−1)で表される化合物が挙げられる。
【0180】
【化40】
【0181】
上記一般式(t−1)中、Rt1及びRt2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、Rt3はハロゲン原子又はアルキル基を有していてもよいp−フェニレン基を示し、Rt4は水素原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、又は置換基を有していてもよいポリフェニル基を示し、Aはオニウムイオンの対イオンを示す。
【0182】
として具体的には、SbF、PF、AsF、BF、SbCl、ClO、CFSO、CHSO、FSO、FPO、p−トルエンスルホネート、ノナフロロブタンスルホネート、アダマンタンカルボキシレート、テトラアリールボレート、下記一般式(t−2)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン等が挙げられる。
【0183】
【化41】
【0184】
上記一般式(t−2)中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を示す。gはその個数であり1〜5の整数を示す。g個のRfはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0185】
上記一般式(t−1)で表される光酸発生剤としては、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(3−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−フルオロ4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−メチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3,5,6−テトラメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジクロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,6−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2,3−ジメチル−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−アセチルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ドデカノイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムパークロレート、4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリスペンタフルオロエチルホスファート等が挙げられる。
【0186】
その他のオニウム塩系酸発生剤としては、上記一般式(t−1)のカチオン部を、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等のスルホニウムカチオンや、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオン等のヨードニウムカチオンに置き換えたものが挙げられる。
【0187】
オキシムスルホネート系酸発生剤としては、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン](o−トリル)アセトニトリル、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル等が挙げられる。
また、上記以外にも、下記一般式(t−3)で表される化合物が挙げられる。
【0188】
【化42】
【0189】
上記一般式(t−3)中、Rt5は1価、2価、又は3価の有機基を示し、Rt6は置換又は未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を示し、hは1〜6の整数を示す。
t5としては芳香族性化合物基であることが特に好ましく、このような芳香族性化合物基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基や、フリル基、チエニル基等の複素環基等が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、Rt6としては炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。また、hは1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0190】
上記一般式(t−3)で表される光酸発生剤としては、h=1のときに、Rt5がフェニル基、メチルフェニル基、及びメトキシフェニル基のうちのいずれかであり、かつRt6がメチル基である化合物が挙げられる。より詳細には、上記一般式(t−3)で表される光酸発生剤としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、及びα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリルが挙げられる。
【0191】
上記一般式(t−3)で表される光酸発生剤としては、h=2のときに、下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
【0192】
【化43】
【0193】
ハロゲン含有トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレ−ト等の下記一般式(t−4)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
【0194】
【化44】
【0195】
上記一般式(t−4)中、Rt7、Rt8、Rt9はそれぞれ独立に炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示す。
【0196】
また、その他の光酸発生剤としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−エチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−メタンスルホニル−2−メチル−(p−メチルチオ)プロピオフェノン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等のスルホニルカルボニルアルカン類;1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3−メチル−2−ブタノン、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸−tert−ブチル、2−ジアゾ−2−メタンスルホニル酢酸イソプロピル、2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニル酢酸シクロヘキシル、2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)酢酸−tert−ブチル等のスルホニルカルボニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸−2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸−2,6−ジニトロベンジル、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸−2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールのメタンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−トルエンスルホン酸エステル、ピロガロールのp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、ピロガロールのメシチレンスルホン酸エステル、ピロガロールのベンジルスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメタンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのp−トルエンスルホン酸エステル、没食子酸アルキル(アルキル基の炭素数は1〜15である)のp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのメシチレンスルホン酸エステル、没食子酸アルキルのベンジルスルホン酸エステル等のポリヒドロキシ化合物と脂肪族又は芳香族スルホン酸とのエステル類;等が挙げられる。
これらの光酸発生剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0197】
光酸発生剤の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対し0.05〜30質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第2の態様の組成物の硬化性が良好になる。
【0198】
第2の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。また、この化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0199】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、第2の態様の組成物の固形分に対して、1〜80質量%であることが好ましく、3〜65質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、第2の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすく、第2の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0200】
第2の態様の組成物は、更に、フェノール性水酸基4個以上を有する分子量2000未満の化合物を含有していてもよい。
【0201】
このような化合物として具体的には、各種テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ヘプタヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物の他に、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6‐メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のヒドロキシアリール系化合物;2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物;分子量2000未満のポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)等のポリヒドロキシスチレン系化合物;等が挙げられる。これらのベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシアリール系化合物、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、ポリヒドロキシスチレン系化合物は、水酸基以外の置換基を有していてもよい。
これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0202】
フェノール性水酸基4個以上を有する分子量2000未満の化合物の含有量は、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に対し0.5〜5質量部であることが好ましい。第2の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合、上記の範囲とすることにより、第2の態様の組成物をパターニングした際の先細り現象を抑制することができる。
【0203】
第2の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第2の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0204】
(3)第3の態様の組成物
第3の態様の組成物は、感光性ポリイミド前駆体と、光重合性モノマーと、光重合開始剤と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有するネガ型感光性樹脂組成物である。第3の態様の組成物は、有機溶剤を更に含有してもよい。
【0205】
第3の態様の組成物における感光性ポリイミド前駆体としては、例えば、下記一般式(u−1)で表される構成単位を有し、かつ、分子中に酸官能基及び感光性基を有するものを用いることができる。
【0206】
【化45】
【0207】
上記一般式(u−1)中、XはXに結合する2つのアミド基を結ぶ骨格において非共有電子対を有する原子を含有しない4価の有機基を示し、YはYに結合する2つのアミド基を結ぶ骨格において非共有電子対を有する原子を含有しない2価の有機基を示し、Ru1及びRu2はそれぞれ独立に水酸基又は1価の有機基を示す。
【0208】
及びYの定義において、「2つのアミド基を結ぶ骨格」とは、2つのアミド結合を結ぶ結合の鎖を構成する原子のみからなる骨格をいう。したがって、水素原子やフッ素原子等の、末端として存在し、2つのアミド結合を結ぶ結合の鎖を形成しない原子は、上記「骨格」には含まれない。ただし、その骨格中に環(芳香環や脂肪族環)を構成する原子を含む場合は、その環を構成する原子全て上記「骨格」に含まれるものとする。例えば、ベンゼン環やシクロへキシル環を含む場合、そのベンゼン環又はシクロへキシル環自体を構成する6つの炭素原子が、上記「骨格」に含まれるものとする。なお、ベンゼン環やシクロへキシル環上に結合する置換基や水素原子は、ここでいう「骨格」には含まれない。
【0209】
したがって、骨格上にカルボニル結合が存在する場合は、上記2つのアミド基を結ぶ鎖を構成するのは、カルボニル基中の炭素原子のみであるから、カルボニル基中の酸素原子は上記「骨格」を構成するものとはしない。また、2,2−プロピリデン結合やヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン結合については、中心(2位)に存在する炭素原子のみが骨格を構成するものであり、両端の炭素原子(1位又は3位)は上記「骨格」を構成するものとはしない。「非共有電子対を有する原子」の例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられ、一方、「非共有電子対を有しない原子」としては、炭素原子、珪素原子等が挙げられる。
【0210】
感光性ポリイミド前駆体において、Xが上記のように骨格に非共有電子対を有する原子を含有しないものであると、アルカリ現像時の膨潤が少ないため好ましい。Yも同様の理由により、骨格に非共有電子対を有する原子を含有しないものが好ましい。
【0211】
また、感光性ポリイミド前駆体において、構成単位中のYのかわりに、その一部として珪素原子を含有するYu2を有するもの、例えば、シロキサン結合を含むものがあれば、より高い基板密着性を付与することができるため好ましい。この場合、その比率が感光性ポリイミド前駆体を形成する全てのジアミン残基のうちの1〜20モル%であることが好ましい。
【0212】
上記一般式(u−1)におけるX及びYとしては、炭素数が4〜20のアルキル基、シクロアルキル基や、炭素数が6〜20のベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環、これらの芳香環の2〜10個が単結合、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、カルボニル基等を介して結合したものが好ましいものとして挙げられる。また、これらは、芳香環上に、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。なお、これらのX及びYの中で、上記骨格を構成する原子に直接結合する原子もまた「非共有電子対を有しない原子」であることが、その効果が高く好ましい。なお、この定義には、カルボニル基のように、骨格を構成する炭素原子に酸素原子が直接結合するものや、骨格を構成する炭素原子にフッ素原子が結合するものは除かれる。更に、X及びYは、フッ素原子を含まないものであることが好ましい。
【0213】
感光性ポリイミド前駆体の分子中に含まれる酸官能性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基等が挙げられ、中でもカルボキシル基が好ましい。また、感光性基としては、エチレン性不飽和結合を含む、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等が好ましく、中でもアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基が好ましい。
【0214】
感光性ポリイミド前駆体において、酸官能性基は、上記一般式(u−1)の構成単位におけるRu1又はRu1を水酸基としたもの(即ち、カルボキシル基を形成する)として存在させるか、Yで示されるジアミン残基中に存在させることが好ましい。また、感光性基は、上記一般式(u−1)中のRu1もしくはRu2で示される側鎖、又はYで示されるジアミン残基中、例えば芳香環を有するジアミン残基の芳香環に結合する基として存在させることが好ましい。
【0215】
u1及びRu2において、感光性基を有する1価の有機基としては、下記一般式で表されるものが挙げられる。
【0216】
【化46】
【0217】
上記一般式中、Ru3及びRu4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、Ru5は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、Ru6は水素原子又はメチル基を示す。
【0218】
また、Ru1及びRu2において、感光性基を有さない1価の有機基としては、炭素数1〜15のアルコキシ基又はアルキルアミノ基等が挙げられる。
【0219】
感光性ポリイミド前駆体としては、上記一般式(u−1)で表される構成単位を50〜100モル%有するものが好ましく、上記一般式(u−1)で表される構成単位のみを有するか、又は上記一般式(u−1)で表される構成単位と上記一般式(u−1)中のYが珪素原子を含む2価の有機基である構成単位とを有するものがより好ましい。
【0220】
感光性ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン、及び感光性基を有する化合物を材料として得ることができ、各種の既知の製造法が適用できる。
【0221】
テトラカルボン酸二無水物としては、Xを与えるものとして、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、m−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0222】
ジアミンとしては、Yを与えるものとして、例えば、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2',6,6'−テトラメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4’−(又は3,4−、3,3’−、2,4−、2,2’−)ジアミノジフェニルメタン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、1,5,−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2'−ヘキサフルオロジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3’−ヘキサフルオロジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンジアニリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ヘキサフルオロジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が好ましいものとして挙げられ、これらのジアミンは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0223】
また、Yは、アミノ基を結ぶ骨格に非共有電子対を有する原子を含まない二官能性アミンであれば、酸官能基としてフェノール性水酸基又はカルボキシル基を少なくとも1つ有していてもよい。例えば、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メチレン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル等が好ましいものとして挙げられる。これらは、ジアミンとともに、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0224】
更に、珪素原子を含むYu2を与えるものとして、下記一般式(u−2)で表されるジアミノポリシロキサン等の脂肪族ジアミンを挙げることができる。
【0225】
【化47】
【0226】
上記一般式(u−2)中、x、y、zはそれぞれ独立に1〜10の整数を示す。
この脂肪族ジアミンを用いる場合、その配合量は、全ジアミンのうち20モル%以下であることが、現像時の膨潤が少なく、また形成される膜の耐熱性等の点から好ましい。
【0227】
感光性基を有するポリイミド前駆体とするには、例えば、エチレン性不飽和結合とアミノ基又はその4級化塩の基とを有する化合物が、ポリアミド酸のカルボキシル基とアミノ基又はその4級化塩の基の部分でイオン結合した形を呈するポリイミド前駆体とする方法、エステル結合、アミド結合等の共有結合を介して側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法等が挙げられる。
【0228】
これらの中で、特にエステル結合でエチレン性不飽和結合を導入した形の感光性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)が、アルカリ現像に好適である。エステル結合でエチレン性不飽和結合を導入する場合、エチレン性不飽和結合を有する化合物の導入量は、アルカリ溶解性、硬化性、耐熱性等と反応性との両立の点から、ポリアミド酸の有するカルボキシル基の総量に対し85〜25モル%となる量とし、残りをカルボキシル基のまま(即ち、ポリアミド酸部分エステル)とすることが好ましい。
【0229】
エステル結合によりエチレン性不飽和結合を導入する化合物の例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、カプロラクトン2−(メタクリロイロキシ)エチルエステル、ジカプロラクトン2−(メタクリロイロキシ)エチルエステル、カプロラクトン2−(アクリロイロキシ)エチルエステル、ジカプロラクトン2−(アクリロイロキシ)エチルエステル等が挙げられる。
【0230】
感光性ポリイミド前駆体の質量平均分子量は、5000〜80000であることが好ましい。
【0231】
感光性ポリイミド前駆体の含有量は、第3の態様の組成物の固形分に対して40〜95質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0232】
第3の態様の組成物における光重合性モノマーとしては、第1の態様の組成物において例示した光重合性モノマーが挙げられる。
光重合性モノマーの含有量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、5〜40質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0233】
第3の態様の組成物における光重合開始剤としては、第1の態様の組成物において例示した光重合性開始剤が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して0.01〜40質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0234】
第3の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。また、この化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0235】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、上記固形分中0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第3の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすく、また、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0236】
第3の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。この中でも、生成するポリイミドを完全に溶解する極性溶剤が好ましい。このような極性溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチルラクトン等が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第3の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0237】
(4)第4の態様の組成物
第4の態様の組成物は、ポリイミド前駆体と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する。第4の態様の組成物は、光塩基発生剤及び/又は有機溶剤を更に含有してもよい。第4の態様の組成物は、光塩基発生剤を含有しない場合、非感光性樹脂組成物であるが、光塩基発生剤を含有すると、感光性を示す。
【0238】
第4の態様の組成物が感光性である場合、その具体例としては、ポリイミド前駆体と、光塩基発生剤と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有するネガ型感光性樹脂組成物が挙げられる。このネガ型感光性樹脂組成物は、有機溶剤を更に含有してもよい。
【0239】
第4の態様の組成物におけるポリイミド前駆体としては、例えば、下記一般式(v−1)で表される構成単位を有するポリアミック酸を用いることができる。
【0240】
【化48】
【0241】
上記一般式(v−1)中、Rv1は4価の有機基を示し、Rv2は2価の有機基を示し、Rv3及びRv4は水素原子又は1価の有機基を示す。
【0242】
v3及びRv4が1価の有機基である場合としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びこれらにエーテル結合を含有したC2iOC2j+1等で表される構造等が挙げられる。
ポリイミド前駆体としては、Rv3及びRv4が水素原子であるようなポリアミック酸が、アルカリ現像性の点から好適に用いられる。
【0243】
なお、Rv1の4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他にさらなる置換基を有していてもよい。同様に、Rv2の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他にさらなる置換基を有していてもよい。
【0244】
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンとの反応により得られるが、最終的に得られるポリイミドに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、上記一般式(v−1)において、Rv1又はRv2が芳香族基であることが好ましく、Rv1及びRv2が芳香族基であることがより好ましい。このとき、上記一般式(v−1)のRv1において、当該Rv1に結合している4つの基((−CO−)(−COOH))は同一の芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。同様に、上記一般式(v−1)のRv2において、当該Rv2に結合している2つの基((−NH−))は同一の芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。
【0245】
上記一般式(v−1)で表されるポリアミック酸は、単一の構成単位からなるものであっても、2種以上の繰り返し単位からなるものであってもよい。
【0246】
ポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンとから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法、(2)酸二無水物に1価のアルコール、アミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法、等が挙げられるがこれに限定されない。
【0247】
ポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの酸二無水物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0248】
ポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能なジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等の芳香族アミン;1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族アミン;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環式ジアミン;等が挙げられる。また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部又は全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、及びトリフルオロメトキシ基からなる群から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
これらのジアミンは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0249】
ポリイミド前駆体の含有量は、第4の態様の組成物の固形分に対して50〜99質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能を向上させることができる。
【0250】
第4の態様の組成物における光塩基発生剤としては、特に限定されず、従来公知の光塩基発生剤を用いることができる。好ましい光塩基発生剤としては、例えば、トリフェニルメタノール、ベンジルカルバメート、ベンゾインカルバメート等の光活性なカルバメート;O−カルバモイルヒドロキシルアミド、O−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタム、N−(2−アリルエチニル)アミド等のアミド及びその他のアミド;オキシムエステル;α−アミノアセトフェノン;コバルト錯体;1−(アントラキノン−2−イル)エチルイミダゾールカルボキシレート;下記一般式(v−2)で表される化合物が挙げられる。
【0251】
【化49】
(式中、Rv5及びRv6は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていてもよい。Rv5及びRv6は、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。ただし、Rv5及びRv6の少なくとも1つは有機基である。Rv7及びRv8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、同一であっても異なっていてもよい。Rv9、Rv10、Rv11、及びRv12は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基であり、同一であっても異なっていてもよく、Rv9、Rv10、Rv11、及びRv12のいずれかは、下記一般式(v−3)で表される部分構造を有する。Rv9、Rv10、Rv11、及びRv12は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
【0252】
【化50】
(式中、Rv13は、2つの酸素原子と結合可能な連結基である。Rv14は、水素原子、シリル基、シラノール基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、又は有機基である。wは1以上の整数である。)
【0253】
光塩基発生剤の含有量は、第4の態様の組成物の固形分全体に対し、0.1〜49.9質量%であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0254】
第4の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。また、この化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0255】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して0.01〜40質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、第4の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすく、第4の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0256】
第4の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。この中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素類、及びこれらの混合溶剤が好ましい。
有機溶剤の含有量は、第4の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0257】
(5)第5の態様の組成物
第5の態様の組成物は、エポキシ化合物と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する。第5の態様の組成物は、光塩基発生剤もしくは光酸発生剤及び/又は有機溶剤を更に含有してもよい。第5の態様の組成物は、光塩基発生剤及び光酸発生剤を含有しない場合、非感光性樹脂組成物であるが、光塩基発生剤又は光酸発生剤を含有すると、感光性を示す。
【0258】
第5の態様の組成物が感光性である場合、その具体例としては、エポキシ化合物と、光塩基発生剤又は光酸発生剤と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有するネガ型感光性樹脂組成物が挙げられる。このネガ型感光性樹脂組成物は、有機溶剤を更に含有してもよい。
【0259】
第5の態様の組成物におけるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ化合物はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。また、第5の態様の組成物におけるエポキシ化合物としては、下記式のいずれかで表される化合物も例示される。
【0260】
【化51】
【0261】
市販されているエポキシ化合物製品としては、例えばジャパンエポキシレジン社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000、8000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルで両末端にエポキシ基を有する;YPシリーズ等)、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのエポキシ化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0262】
エポキシ化合物の含有量は、第5の態様の組成物の固形分に対して55〜99質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能を向上させることができる。
【0263】
第5の態様の組成物における光塩基発生剤としては、第4の態様の組成物において例示した光塩基発生剤が挙げられる。また、第5の態様の組成物における光酸発生剤としては、第2の態様の組成物において例示した光酸発生剤が挙げられる。
光塩基発生剤又は光酸発生剤の含有量は、第5の態様の組成物の固形分全体に対し、0.1〜49.9質量%であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0264】
第5の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。また、この化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0265】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、5〜150質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第5の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすく、第5の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0266】
第5の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤及び有機酸が挙げられる。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、等のカルボン酸が挙げられる。この中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸等の有機酸、及びこれらの混合溶剤が好ましい。特に、第5の態様の組成物が光塩基発生剤及び光酸発生剤を含有しない場合、硬化性の点で、酢酸等の有機酸が好ましい。有機酸がプロトンドナーとして機能するものと推測される。
有機溶剤の含有量は、第5の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0267】
(6)第6の態様の組成物
第6の態様の組成物は、エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する。第6の態様の組成物は、光塩基発生剤もしくは光酸発生剤及び/又は有機溶剤を更に含有してもよい。第6の態様の組成物は、光塩基発生剤及び光酸発生剤を含有しない場合、非感光性樹脂組成物であるが、光塩基発生剤又は光酸発生剤を含有すると、感光性を示す。
【0268】
第6の態様の組成物が感光性である場合、その具体例としては、エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物と、光塩基発生剤又は光酸発生剤と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有するネガ型感光性樹脂組成物が挙げられる。このネガ型感光性樹脂組成物は、有機溶剤を更に含有してもよい。
【0269】
第6の態様の組成物におけるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1分子中に1個以上のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸とを反応させて得られる反応物に、更に多塩基酸無水物を反応させて得られるものを用いることができる。
【0270】
一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビフェニルジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0271】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類と、エピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの等が挙げられる。市販品としては、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1027、EPPN−201、BREN−S(いずれも日本化薬社製);DEN−431、DEN−439(いずれもダウ・ケミカル社製);N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−4150(いずれも大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0272】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものや、ビスフェノールAやビスフェノールFのジグリシジルエーテルと上記ビスフェノール類の縮合物とエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させ得られるもの等が挙げられる。市販品としては、エピコート1004、エピコート1002、エピコート4002、エピコート4004(いずれも油化シェルエポキシ社製)等が挙げられる。
【0273】
トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、トリスフェノールメタンやトリスクレゾールメタンとエピクロルヒドリンやメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの等が挙げられる。市販品としては、EPPN−501、EPPN−502(いずれも日本化薬社製)等が挙げられる。
【0274】
脂環式エポキシ樹脂としては、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021;三井石油化学工業社製のエポミックVG−3101;油化シェルエポキシ社製のE−1031S、日本曹達社製のEPB−13、EPB−27等が挙げられる。また、共重合型エポキシ樹脂としては、グリシジルメタクリレートとスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体である日本油脂社製のCP−50M、CP−50S、あるいはグリシジルメタクリレートとシクロヘキシルマレイミド等との共重合体等が挙げられる。
【0275】
これらの1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のうち特に好ましいものとしては、例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。特に、α−ヒドロキシフェニル−ω−ヒドロポリ(ビフェニルジメチレン−ヒドロキシフェニレン)と1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物、及びα−2,3−エポキシプロポキシフェニル−ω−ヒドロポリ{2−(2,3−エポキシプロポキシ)−ベンジリデン−2,3−エポキシプロポキシフェニレン}が好ましい。
【0276】
1分子中に1個以上のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールカプロン酸、ヒドロキシピバリン酸等のヒドロキシモノカルボン酸類が挙げられる。これらの中でも、1分子中に1〜5個のアルコール性水酸基を有するモノカルボン酸が好ましい。
【0277】
多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
【0278】
上記エポキシ化合物と上記モノカルボン酸との反応は、エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、モノカルボン酸0.1〜0.7モルが好ましく、0.2〜0.5モルがより好ましい。この反応では、エポキシ化合物や多塩基酸無水物と反応しない、水酸基やカルボキシル基を持たない、有機溶剤を使用することが好ましい。更に、反応を促進させるために触媒(例えば、トリフェニルフォスフィン、ベンジルジメチルアミン、トリアルキルアンモニウムクロライド、トリフェニルスチビン等)が使用できる。触媒を使用した場合、特に反応終了後、有機過酸化物等を使用し触媒を不活性化したものは、安定で保存性が良好であり好ましい。反応触媒の使用量は、反応混合物に対して0.1〜10重量%が好ましく、反応温度は60〜150℃が好ましい。これにより、上記エポキシ化合物と上記モノカルボン酸との反応物を得ることができる。
【0279】
この反応物と多塩基酸無水物との反応では、最終的に得られるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の酸価が50〜150mgKOH/gとなる量の多塩基酸無水物を反応させることが好ましい。反応温度は60〜150℃が好ましい。このようにしてエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂を得ることができる。
【0280】
これらのエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0281】
エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の含有量は、第6の態様の組成物の固形分に対して30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、塗膜形成能を向上させることができる。
【0282】
第6の態様の組成物における光塩基発生剤としては、第4の態様の組成物において例示した光塩基発生剤が挙げられる。また、第6の態様の組成物における光酸発生剤としては、第2の態様の組成物において例示した光酸発生剤が挙げられる。
光塩基発生剤又は光酸発生剤の含有量は、第6の態様の組成物の固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、第6の態様の組成物の硬化性が良好になる。
【0283】
第6の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。また、この化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0284】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、第6の態様の組成物の固形分に対して、20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、第6の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすく、第6の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0285】
第6の態様の組成物は、更に、増感剤を含有していてもよい。増感剤としては、例えば9位及び10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10−ジアルコキシ−アントラセン誘導体)が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。9,10−ジアルコキシ−アントラセン誘導体は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、スルホン酸アルキルエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が挙げられる。スルホン酸アルキルエステル基やカルボン酸アルキルエステル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。これらの置換基の置換位置は2位が好ましい。
【0286】
9,10−ジアルコキシ−アントラセン誘導体としては、例えば、9,10−ジメトキシ−アントラセン、9,10−ジエトキシ−アントラセン、9,10−ジプロポキシ−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチル−アントラセン、9,10−ジエトキシ−2−エチル−アントラセン、9,10−ジプロポキシ−2−エチル−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−クロロ−アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル,9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル,9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸メチルエステル等が挙げられる。
【0287】
これらの化合物は、アントラキノン誘導体を、アルカリ水溶液中において、亜鉛末、ハイドロサルファイト、パラジウム−カーボン、ソジウムボロハイドライド等の還元剤で処理を行い、9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体とした後、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の硫酸エステル、トルエンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、トルエンスルホン酸プロピル、トルエンスルホン酸モノエチレングリコールエステル等のトルエンスルホン酸エステル、あるいはベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル等のベンゼンスルホン酸エステルで9,10位をアルコキシ化することにより得られる。
【0288】
これらの増感剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0289】
増感剤の含有量は、上記光酸発生剤に対してモル比で0.1〜6であることが好ましく、0.2〜4であることがより好ましい。第6の態様の組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合、上記の範囲とすることにより、第6の態様の組成物の感度、硬化性が良好になる。
【0290】
第6の態様の組成物は、更に、耐湿性、耐熱性、密着性等を調整するための改質成分を含有していてもよい。この改質成分は、それ自身が熱や紫外線等により硬化するものであってもよく、熱や紫外線等によりエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の残存水酸基やカルボキシル基等と反応するものであってもよい。具体的には、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、メラミン誘導体(例えば、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン、縮合ヘキサメトキシメラミン等)、ビスフェノールA系化合物(例えば、テトラメチロールビスフェノールA等)、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0291】
1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、エピコート1009、1031(いずれも油化シェル社製)、エピクロンN−3050、N−7050(いずれも大日本インキ化学工業社製)、DER−642U、DER−673MF(いずれもダウケミカル社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ST−2004、ST−2007(いずれも東都化成社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDF−2004、YDF−2007(いずれも東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;SR−BBS、SR−TBA−400(いずれも坂本薬品工業社製)、YDB−600、YDB−715(いずれも東都化成社製)等の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;EPPN−201、EOCN−103、EOCN−1020、BREN(いずれも日本化薬社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロンN−880等のビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロンTSR−601やエー・シー・アール社製のR−1415−1等のゴム変性エポキシ樹脂;日本化薬社製のEBPS−200や大日本インキ化学工業社製のエピクロンEXA−1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;日本油脂社製のプレンマーDGT等のジグリシジルテレフタレート;日産化学社製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレート;油化シェル社製のYX−4000等のビキシレノール型エポキシ樹脂;油化シェル社製のYL−6056等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等の脂環式エポキシ樹脂;等が挙げられる。
【0292】
改質成分の含有量は、第6の態様の組成物の固形分に対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0293】
第6の態様の組成物は、更に、密着性、硬度等の特性を向上させるため、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、雲母等の公知の充填剤を含有していてもよい。
充填剤の含有量は、第6の態様の組成物の固形分に対して60質量%以下であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
【0294】
第6の態様の組成物は、更に、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤、超微粉シリカ、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系高分子、フッ素系高分子等の消泡剤及び/又はレベリング剤、シランカップリング剤等の密着性付与剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0295】
第6の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第6の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0296】
(7)第7の態様の組成物
第7の態様の組成物は、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物と、酸発生剤又は塩基発生剤とを含有する感エネルギー性組成物である。酸発生剤としては、例えば、光酸発生剤、熱酸発生剤等が挙げられる。また、塩基発生剤としては、例えば、光塩基発生剤、熱塩基発生剤等が挙げられる。第7の態様の組成物は、有機溶剤を更に含有してもよい。
【0297】
第7の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。
【0298】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、第7の態様の組成物の固形分に対して、50.1〜99.9質量%であることが好ましく、70〜99.5質量%であることがより好ましく、80〜99質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、第7の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすい。
【0299】
光酸発生剤としては、例えば、上記第2の態様の組成物において例示したものが挙げられる。
熱酸発生剤としては、例えば、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、有機スルホン酸の他のアルキルエステル等が挙げられる。具体的には、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。これらのオニウム塩の中では、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びベンゾチアゾニウム塩が好ましい。スルホニウム塩及びベンゾチアゾニウム塩の具体例としては、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、及び下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0300】
【化52】
【0301】
光塩基発生剤としては、例えば、上記第4の態様の組成物において例示したものが挙げられる。
熱塩基発生剤としては、例えば、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバメート、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート等のカルバメート誘導体;尿素;N,N−ジメチル−N’−メチル尿素等の尿素誘導体;1,4−ジヒドロニコチンアミド等のジヒドロピリジン誘導体;有機シランや有機ボランの四級化アンモニウム塩;ジシアンジアミド等が挙げられる。その他の例としては、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、及びフェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0302】
酸発生剤又は塩基発生剤の含有量は、上記感エネルギー性組成物の固形分に対して0.1〜49.9質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、上記感エネルギー性組成物の硬化性が良好となりやすい。
【0303】
第7の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第7の態様の組成物の固形分濃度が0.5〜70質量%となる量が好ましく、1〜55質量%となる量がより好ましい。
【0304】
(8)第8の態様の組成物
第8の態様の組成物は、水酸基含有化合物及び/又はカルボキシル基含有化合物と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する。第8の態様の組成物は、酸発生剤もしくは塩基発生剤及び/又は有機溶剤を更に含有してもよい。
【0305】
水酸基含有化合物としては、特に限定されず、例えば、下記一般式で表されるものが挙げられる。
HO−Rp1−OH Rp2−OH
(式中、Rp1及びRp2は有機基を示す。)
【0306】
カルボキシル基含有化合物としては、特に限定されず、例えば、下記一般式で表されるものが挙げられる。
HO−CO−Rp3−CO−OH Rp4−CO−OH
(式中、Rp3及びRp4は有機基を示す。)
【0307】
p1及びRp3としては、例えば、2価炭化水素基、2価複素環式基、及びこれらが互いに結合して形成される基が挙げられ、2価炭化水素基が好ましい。2価炭化水素基及び2価複素環式基は、置換基を有してもよい。Rp1及びRp3は、環状構造を有することが好ましい。
【0308】
2価炭化水素基としては、例えば、2価脂肪族炭化水素基、2価脂環式炭化水素基、2価芳香族炭化水素基、及びこれらが2個以上結合して形成される基が挙げられる。
【0309】
2価脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、ドデシレン基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜3のアルキレン基;ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基等の炭素数2〜20、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜3のアルケニレン基;エチニレン基、プロピニレン基等の炭素数2〜20、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜3のアルキニレン基等が挙げられる。
【0310】
2価脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等の炭素数3〜20、好ましくは3〜15、更に好ましくは5〜8のシクロアルキレン基;シクロペンテニレン基、シクロへキセニレン基等の炭素数3〜20、好ましくは3〜15、更に好ましくは5〜8のシクロアルケニレン基;パーヒドロナフチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシレン基等の炭素数4〜20、好ましくは6〜16、更に好ましくは7〜12の2価の橋かけ環式炭化水素基等が挙げられる。
【0311】
2価芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜13のアリーレン基が挙げられる。
【0312】
2価脂肪族炭化水素基と2価脂環式炭化水素基とが結合して形成される基としては、例えば、シクロペンチレンメチレン基、シクロヘキシレンメチレン基、シクロヘキシレンエチレン基等のシクロアルキレン−アルキレン基(例えば、C3−20シクロアルキレン−C1−4アルキレン基等)等が挙げられる。
【0313】
2価脂肪族炭化水素基と2価芳香族炭化水素基とが結合して形成される基としては、例えば、アリーレン−アルキレン基(例えば、C6−20アリーレン−C1−4アルキレン基等)、アリーレン−アルキレン−アリーレン基(例えば、C6−20アリーレン−C1−4アルキレン基−C6−20アリーレン基等)等が挙げられる。
【0314】
2個以上の2価芳香族炭化水素基同士が結合して形成される基としては、例えば、アリーレン−アリーレン基(例えば、C6−20アリーレン−C6−20アリーレン基等)、アリーレン−アリーレン−アリーレン基(例えば、C6−10アリーレン−C6−13アリーレン−C6−10アリーレン基等)等が挙げられる。
【0315】
これらの2価炭化水素基の中でも、環状構造を有するものが好ましく、C6−10アリーレン−C6−13アリーレン基−C6−10アリーレン基、C6−20アリーレン−C1−4アルキレン基−C6−20アリーレン基、炭素数7〜12の2価の橋かけ環式炭化水素基が特に好ましい。
【0316】
上記2価炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、ビニルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等を有していてもよい。上記のヒドロキシル基及びカルボキシル基は、有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、2価脂環式炭化水素基及び2価芳香族炭化水素基の環には、芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
【0317】
2価複素環式基は、複素環式化合物から水素原子を2個除いて形成される基である。複素環式化合物は、芳香族複素環式化合物であっても非芳香族複素環式化合物であってもよい。このような複素環式化合物としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環式化合物(例えば、オキシラン等の3員環の複素環式化合物、オキセタン等の4員環の複素環式化合物、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、γ−ブチロラクトン等の5員環の複素環式化合物、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリン等の6員環の複素環式化合物、ベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン等の、縮合環を有する複素環式化合物、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン等の、橋かけ環を有する複素環式化合物等)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環式化合物(例えば、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール等の5員環の複素環式化合物、4−オキソ−4H−チオピラン等の6員環の複素環式化合物、ベンゾチオフェン等の、縮合環を有する複素環式化合物等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環式化合物(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール等の5員環の複素環式化合物、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン等の6員環の複素環式化合物、インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン等の、縮合環を有する複素環式化合物等)等が挙げられる。上記2価複素環式基は、上記2価炭化水素基が有していてもよい置換基の他、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1−4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6−10アリール基等)等の置換基を有していてもよい。
【0318】
p2及びRp4としては、例えば、1価炭化水素基、1価複素環式基、及びこれらが互いに結合して形成される基が挙げられ、1価炭化水素基が好ましい。1価炭化水素基及び1価複素環式基は、置換基を有してもよい。Rp2及びRp4は、環状構造を有することが好ましい。
【0319】
1価炭化水素基としては、例えば、1価脂肪族炭化水素基、1価脂環式炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、及びこれらが2個以上結合して形成される基が挙げられる。
【0320】
1価脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜3のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の炭素数2〜20、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜3のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜20、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜3のアルキニル基等が挙げられる。
【0321】
1価脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜20、好ましくは3〜15、更に好ましくは5〜8のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロへキセニル基等の炭素数3〜20、好ましくは3〜15、更に好ましくは5〜8のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル、アダマンチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基等の炭素数4〜20、好ましくは6〜16、更に好ましくは7〜12の1価の橋かけ環式炭化水素基等が挙げられる。
【0322】
1価芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜13のアリール基が挙げられる。
【0323】
1価脂肪族炭化水素基と1価脂環式炭化水素基とが結合して形成される基としては、例えば、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基等のシクロアルキル−アルキル基(例えば、C3−20シクロアルキル−C1−4アルキル基等)等が挙げられる。
【0324】
1価脂肪族炭化水素基と1価芳香族炭化水素基とが結合して形成される基としては、例えば、アラルキル基(例えば、C7−18アラルキル基等)、アルキル−アリール基(例えば、C1−4アルキル−C6−20アリール基、より具体的には、1〜4個のC1−4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基等)、アリール−アルキル−アリール基(例えば、C6−20アリール−C1−4アルキル基−C6−20アリール基等)等が挙げられる。
【0325】
2個以上の1価芳香族炭化水素基同士が結合して形成される基としては、例えば、アリール−アリール基(例えば、C6−20アリール−C6−20アリール基等)、アリール−アリール−アリール基(例えば、C6−10アリール−C6−13アリール−C6−10アリール基等)等が挙げられる。
【0326】
これらの1価炭化水素基の中でも、環状構造を有するものが好ましく、C6−10アリール−C6−13アリール−C6−10アリール基、C6−20アリール−C1−4アルキル基−C6−20アリール基、炭素数7〜12の1価の橋かけ環式炭化水素基が特に好ましい。
【0327】
上記1価炭化水素基は、種々の置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、上記2価炭化水素基が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。また、1価脂環式炭化水素基及び1価芳香族炭化水素基の環には、芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
【0328】
1価複素環式基は、複素環式化合物から水素原子を1個除いて形成される基である。複素環式化合物は、芳香族複素環式化合物であっても非芳香族複素環式化合物であってもよい。このような複素環としては、例えば、上記2価複素環式基の説明中で例示したものが挙げられる。上記1価複素環式基は、上記1価炭化水素基が有していてもよい置換基の他、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1−4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6−10アリール基等)等の置換基を有していてもよい。
【0329】
水酸基含有化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0330】
【化53】
【0331】
カルボキシル基含有化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0332】
【化54】
【0333】
水酸基含有化合物及び/又はカルボキシル基含有化合物の含有量は、第8の態様の組成物の固形分に対して1〜99質量%であることが好ましく、20〜97質量%であることがより好ましく、50〜95質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、組成物の硬化性が向上しやすい。
【0334】
第8の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。
【0335】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、第8の態様の組成物の固形分に対して、1〜99質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、第8の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすい。
【0336】
第8の態様の組成物における酸発生剤及び塩基発生剤としては、第7の態様の組成物において例示した酸発生剤及び塩基発生剤が挙げられる。
酸発生剤又は塩基発生剤の含有量は、第8の態様の組成物の固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、組成物の硬化性が良好になる。
【0337】
第8の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第8の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0338】
(9)第9の態様の組成物
第9の態様の組成物は、ケイ素含有化合物と、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する。第9の態様の組成物は、有機溶剤を更に含有してもよい。
【0339】
第9の態様の組成物におけるケイ素含有化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のポリシロキサンが挙げられ、このようなポリシロキサンは、例えば、分子鎖両末端に、水酸基等の官能基を有してもよい。ケイ素含有化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0340】
ケイ素含有化合物の含有量は、第9の態様の組成物の固形分に対して1〜99質量%であることが好ましく、20〜97質量%であることがより好ましく、30〜95質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、得られる硬化物の耐薬品性が向上しやすい。
【0341】
第9の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。
【0342】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、第9の態様の組成物の固形分に対して、1〜99質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜70質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、第9の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすい。
【0343】
第9の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第9の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0344】
(10)第10の態様の組成物
第10の態様の組成物は、無機フィラーと、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物とを含有する。第10の態様の組成物は、酸発生剤もしくは塩基発生剤及び/又は有機溶剤を更に含有してもよい。
【0345】
第10の態様の組成物における無機フィラーとしては、例えば、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。無機フィラーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0346】
無機フィラーの含有量は、第10の態様の組成物の固形分に対して1〜99質量%であることが好ましく、20〜97質量%であることがより好ましく、30〜95質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、組成物の硬化性が向上しやすく、得られる硬化物の屈折率、エッチング耐性等が向上しやすい。
【0347】
第10の態様の組成物は、上記の通り、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物を含有する。この化合物を含有する組成物からは、高い硬度を有する硬化物を得ることが容易である。
【0348】
上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物の含有量は、第10の態様の組成物の固形分に対して、1〜99質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜70質量%であることが更により好ましい。上記の範囲とすることにより、第10の態様の組成物の塗膜形成能、硬化性等が向上しやすい。
【0349】
第10の態様の組成物における酸発生剤及び塩基発生剤としては、第7の態様の組成物において例示した酸発生剤及び塩基発生剤が挙げられる。
酸発生剤又は塩基発生剤の含有量は、第10の態様の組成物の固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、組成物の硬化性が良好になる。
【0350】
第10の態様の組成物における有機溶剤としては、第1の態様の組成物において例示した有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、第10の態様の組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0351】
<組成物の調製方法>
本発明に係る組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
【0352】
≪硬化膜、絶縁膜、カラーフィルタ、表示装置、光学部材≫
本発明に係る組成物を用いて、硬化膜、絶縁膜、及びカラーフィルタを形成することができる。
例えば、着色剤を含有しない組成物を用いて塗膜を形成し、この塗膜を加熱することにより、透明な硬化膜や絶縁膜を得ることができる。このような組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、上記塗膜に対して電磁波を照射することによっても、透明な硬化膜や絶縁膜を得ることができる。本発明に係る組成物を用いて形成される硬化膜及び絶縁膜は、例えば、配向膜及び平坦化膜(例えば、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等に用いられる配向膜及び平坦化膜)として、あるいは反射防止膜、層間絶縁膜、カーボンハードマスク等のレジスト下層膜として用いられる。
【0353】
なお、本発明に係る組成物としてネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、上記硬化膜、絶縁膜は、パターン化されたものであってもよい。下記のように、塗膜に対して所定パターン状に電磁波を照射し、現像することにより、パターン化された硬化膜、絶縁膜を得ることができる。パターン化された硬化膜は、例えば液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等のスペーサ、隔壁として用いられる。
【0354】
また、着色剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物(特に、ネガ型感光性樹脂組成物である場合の第1の態様の組成物)を用いて塗膜を形成し、該塗膜に対して所定パターン状に電磁波を照射し、現像することにより、例えば液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素やブラックマトリクスを形成することもできる。
このような硬化膜、絶縁膜、カラーフィルタは、表示装置に用いることができる。即ち、表示装置は、上記硬化膜、絶縁膜、カラーフィルタを備えるものである。表示装置としては、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等が挙げられる。
【0355】
更に、本発明に係る組成物を成形し、加熱することにより、レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材を得ることができる。このような組成物がネガ型感光性樹脂組成物である場合には、ネガ型感光性樹脂組成物を成形し、電磁波を照射することによっても、上記光学部材を得ることができる。
【0356】
加えて、上記一般式(1)で表される化合物、上記一般式(10)で表される化合物、及び/又は上記一般式(19)で表される化合物と、酸発生剤又は塩基発生剤とを含有する上記感エネルギー性組成物は、酸発生剤が光酸発生剤であり、塩基発生剤が光塩基発生剤である場合には、電磁波を照射することによって硬化する。また、この感エネルギー性組成物は、酸発生剤が熱酸発生剤であり、塩基発生剤が熱塩基発生剤である場合には、加熱することによって硬化する。上記感エネルギー性組成物の硬化物からなる成形体は、低透湿性に優れる。よって、上記感エネルギー性組成物の塗膜に対して電磁波照射又は加熱を行うことによって、低透湿膜を得ることができる。このような低透湿膜は、水蒸気バリア層として用いることができる。
その他、本発明に係る組成物は、光学材料、半導体用材料としても用いることができる。
【0357】
≪パターン形成方法≫
本発明に係る組成物は、ネガ型感光性樹脂組成物である場合、パターン形成方法に好適に用いることができる。このパターン形成方法は、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、この塗膜又は成形体に対して所定パターン状に電磁波を照射し、現像するものである。
【0358】
より具体的には、まず、適切な塗布方法又は成形方法により、塗膜又は成形体を形成する。例えば、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて基板上に組成物を塗布し、乾燥させることにより、塗膜を形成することができる。乾燥方法は特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間、プリベークを行う方法、(2)室温にて数時間〜数日間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間〜数時間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
【0359】
次いで、塗膜又は成形体に対して所定パターン状に電磁波を照射し、露光する。電磁波は、ネガ型のマスクを介して照射してもよく、直接照射してもよい。露光量は、組成物の組成によっても異なるが、例えば5〜500mJ/cm程度が好ましい。
【0360】
次いで、露光後の塗膜又は成形体を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0361】
現像後のパターンに対しては、200〜250℃程度でポストベークを行うことが好ましい。
【実施例】
【0362】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0363】
<上記一般式(1)で表される化合物及び比較化合物>
上記一般式(1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物1〜3を準備した。また、比較のため、下記式で表される比較化合物1〜6を準備した。
【0364】
【化55】
【0365】
【化56】
【0366】
化合物1〜3の合成法を下記に示す(合成例1〜3)。合成例で用いた材料は下記の通りである。
【0367】
[無機塩基]
(1)軽灰炭酸ナトリウム
粒子径分布:250μm以上;3重量%
150μm以上250μm未満;15重量%
75μm以上150μm未満;50重量%
75μm未満;32重量%
なお、上記の粒子径分布は、60メッシュ(250μm)、100メッシュ(150μm)、200メッシュ(75μm)のふるいを用いて仕分けた後、最終的に得られた篩上成分及び篩下成分各々の重量を測定することにより算出した。
【0368】
[遷移元素化合物触媒]
(1)ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I):[Ir(cod)Cl]
【0369】
[ヒドロキシ化合物]
(1)9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン
(2)9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン
【0370】
[ビニルエステル化合物]
(1)プロピオン酸ビニル
【0371】
[合成例1]化合物1の合成
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl](839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン(225g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cmの撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンを基準として9,9’−ビス(6−ビニロキシ−2−ナフチル)フルオレン(化合物1)が81%、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテルが4%の収率で生成していた。
H−NMR(CDCl):4.47(dd、2H、J=1.5Hz、5.0Hz)、4.81(dd、2H、J=3.5Hz、12.0Hz)、6.71(dd、2H、J=6.0Hz)、7.12−7.82(m、20H)
【0372】
[合成例2]化合物2の合成(単離)
合成例1で得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して分離精製を実施し、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテル(化合物2)を単離した。
H−NMR(CDCl):4.55(dd、1H、J=6.0Hz)、4.88(dd、1H、J=3.5Hz)、6.79(dd、1H、J=6.0Hz、14.0Hz)、7.20−7.89(m、20H)
【0373】
[合成例3]化合物3の合成
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl](839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(186g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cmの撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを基準として、9,9’−ビス(4−ビニロキシフェニル)フルオレン(化合物3)が72%、ビス4−フェノールフルオレンモノビニルエーテルが9%の収率で生成していた。
H−NMR(CDCl):4.47(dd、2H)、4.81(dd、2H)、6.71(dd、2H)、7.12−7.82(m、16H)
【0374】
[評価]
化合物1、3、比較化合物1〜6をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解して20質量%の溶液を調製した。この溶液をガラス基板にスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークを行い、乾燥塗膜(膜厚2.0μm)を形成した。この乾燥塗膜を230℃で20分間ポストベークを行い、硬化膜(膜厚1.7μm)を得た。
化合物1、3、比較化合物1〜6の反応性を評価するため、上記硬化膜について、JIS K 5400に従い鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度が高いほど、化合物の反応性が高いといえる。
また、上記硬化膜について(硬化膜が得られなかった場合は、上記乾燥塗膜について)、光学パラメータとして、波長633nmでの光透過率及び屈折率を測定した。
更に、上記硬化膜の耐熱性を評価するため、この硬化膜を室温(約20℃)から1分間に10℃ずつの割合で昇温加熱して大気中で熱重量分析を行い、分析開始時の質量を基準として、質量が5%減少する温度Td5%を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
【0375】
【表1】
【0376】
表1から分かるように、化合物1及び3から得られる硬化膜は、鉛筆硬度が高く、これらの化合物は高い反応性を有していた。また、化合物1及び3から得られる硬化膜は、光透過率が、近年の機能膜に要求される98%以上という値を満たしており、屈折率及び耐熱性が良好であった。
【0377】
これに対し、比較化合物1〜6から得られる硬化膜は、化合物1及び3から得られる硬化膜より鉛筆硬度が低く、比較化合物1〜6は反応性に劣っていた。また、比較化合物1〜6から得られる硬化膜は、化合物1及び3から得られる硬化膜と比較して、光透過率に劣っていた。
【0378】
<脱離基含有化合物を経由する合成例>
[合成例4]
5L反応器に6,6’−(9−フルオレニリデン)−ビス(2−ナフチルオキシエタノール)(598g,1.11mol)、ピリジン(87.8g,1.11mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(1670mL)を加え、窒素置換した後に、60℃まで昇温した。塩化チオニル(395.9g,3.33mol)を3時間かけて滴下し、2時間熟成した。30℃まで冷却後、水を加えて反応を停止し、15〜20℃の範囲でメタノールを滴下することによって、収率96%で、目的とする水酸基が塩素に置換された化合物(下記式で表される化合物。以下、化合物4ともいう。)を得た。
H−NMR(CDCl):3.85(t、4H、J=6.0Hz)、4.31(t、4H、J=6.0Hz)、7.08−7.82(m、20H)
【0379】
【化57】
【0380】
[合成例5]
化合物4(560g、0.97mol)、テトラヒドロフラン(1260mL)を仕込んだ5L反応器に、カリウム−t−ブトキシド(327.5g,2.92mol)のテトラヒドロフラン(1260mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下した。60℃で2時間熟成後、水を加えて反応を停止した。有機層を分液後、化合物4の仕込み量の2重量倍になるようにエバポレーターで濃縮後、メタノールに滴下することで、収率77%で、9,9’−ビス(6−ビニルオキシ−2−ナフチル)フルオレン(下記式で表される化合物、即ち、化合物1)を白色又は灰白色固体として得た。
H−NMR(CDCl):4.48(dd、2H、J=1.5Hz、6.5Hz)、4.81(dd、2H、J=1.5Hz、13.5Hz)、6.73(dd、2H、J=6.5Hz、13.5Hz)、7.13−7.83(m、20H)
【0381】
【化58】
【0382】
[合成例6]
25mL反応器にエチレングリコール(1.00g、0.0161mol)、トリエチルアミン(3.42g0.0338mol)、テトラヒドロフラン(3.38mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。メタンスルホニルクロライド(3.88g,0.0338mol)を2時間かけて滴下し、1時間熟成後、水を加えて反応を停止した。ここに酢酸エチルを添加し、有機層を分離し、エバポレーターで溶媒を留去することによって、収率80%で、エチレングリコールにメタンスルホニル基が付加した化合物(下記式で表される化合物。以下、「EG−DMs」ともいう。)を得た。
H−NMR(CDCl):3.10(s、6H)、4.47(s、4H)
【0383】
【化59】
【0384】
[合成例7]
25mL反応器に6,6−(9−フルオレニリデン)−2,2−ジナフトール(下記左側の式で表される化合物。1.00g、0.0022mol。以下、化合物5ともいう。)、炭酸カリウム(0.64g,0.0047mol)、テトラヒドロフラン(3.38mL)を加え、窒素置換した。ここに、合成例6で合成したEG−DMs(1.02g,0.0047mol)のテトラヒドロフラン(1.12mL)溶液を室温で添加後、60℃まで昇温し、15時間熟成した。反応液をHPLCで分析した結果、化合物5の転化率99%、選択率65%で化合物6(下記右側の式で表される化合物)が合成されたことを確認した。
(化合物6)H−NMR(CDCl):3.08(s、6H)、4.32(t、4H、J=4.4Hz)、4.60(t、4H、J=4.4Hz)、7.05−7.83(m、20H)
【0385】
【化60】
【0386】
[合成例8]
化合物6(2.00g、0.00288mol),ジプロピレングリコールジメチルエーテル(2.25mL)を仕込んだ25mL反応器に、カリウム−t−ブトキシド(1.45g,0.0130mol)のテトラヒドロフラン(2.25mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下し、100℃で2時間熟成した。反応液をHPLCで分析した結果、化合物6の転化率99%にて、選択率58%で化合物1が合成され、選択率32%でモノビニルモノメシル体(下記式で表される化合物。以下、化合物7ともいう。)が合成されたことを確認した。
H−NMR(CDCl):3.10(s、3H)、4.34(t、2H、J=3.6Hz)、4.49(dd、1H、J=1.2Hz、5.2Hz)、4.62(t、2H、J=3.6Hz)、4.81(dd、1H、J=1.2Hz、11.2Hz)、6.73(dd、1H、J=5.2Hz、11.2Hz)、7.06−7.83(m、20H)
【0387】
【化61】
【0388】
[合成例9]
50mL反応器に2−クロロエタノール(3.00g,0.048mol)、トリエチルアミン(5.87g,0.058mol)、テトラヒドロフラン(10.12mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。メタンスルホニルクロライド(6.09g,0.053mol)を2時間かけて滴下し、1時間熟成後、水を加えて反応を停止した。酢酸エチルを添加し、有機層を分離し、エバポレーターで溶媒を留去することによって、収率80%で、2−クロロエタノールにメタンスルホニル基が付加した化合物(下記式で表される化合物。以下、「ClEMs」ともいう。)を得た。
H−NMR(CDCl):3.09(s、3H)、3.77(t、2H、J=5.5Hz)、4.45(t、2H、J=5.5Hz)
【0389】
【化62】
【0390】
[合成例10]
25mL反応器に化合物5(1.00g0.0022mol)、炭酸カリウム(0.64g,0.0047mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(2.23mL)を加え、窒素置換した。ClEMs(1.06g,0.0067mol)のジプロピレングリコールジメチルエーテル(1.12mL)溶液を室温で添加後、60℃まで昇温し、15時間熟成した。反応液をHPLCで分析した結果、化合物5の転化率17%にて、選択率4%で化合物4が合成され、選択率12%で化合物8(下記式で表される化合物)が合成されたことを確認した。
H−NMR(CDCl):3.86(t、2H、J=6.0Hz)、4.32(t、2H、J=6.0Hz)、7.09−7.82(m、20H)
【0391】
【化63】
【0392】
[合成例11]
化合物4(3.0g、0.0052mol),テトラヒドロフラン(6.8mL)を仕込んだ25mL反応器にカリウム−t−ブトキシド(0.58g,0.0052mol)のテトラヒドロフラン(6.8mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下した。60℃で2時間熟成後、水を加えて反応を停止した。有機層をHPLCで分析した結果、化合物4の転化率57%にて、選択率25%で化合物1が合成され、選択率75%でモノビニルモノクロロ体(下記式で表される化合物。以下、化合物9ともいう。)が合成されたことを確認した。
H−NMR(CDCl):3.84(t、2H、J=6.0Hz)、4.30(t、2H、J=6.0Hz)、4.48(dd、1H、J=1.6Hz、6.0Hz)、4.81(dd、1H、J=1.6Hz、13.6Hz)、6.72(dd、1H、J=6.0Hz、13.6Hz)、7.08−7.82(m、20H)
【0393】
【化64】
【0394】
[合成例12]
200mL反応器に9,9’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(6.26g,0.0143mol)、ピリジン(2.82g,0.0357mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(33.4mL)、テトラヒドロフラン(33.7mL)を加え、窒素置換した後に、60℃まで昇温した。塩化チオニル(6.79g,0.0571mol)を2時間かけて滴下し、2時間熟成した。30℃まで冷却後、水を加えて反応を停止し、15〜20℃の範囲でメタノールを滴下することによって、収率95%で、目的とする水酸基が塩素に置換された化合物(下記式で表される化合物。以下、化合物10ともいう。)を得た。
H−NMR(CDCl):3.75(t、4H、J=6.0Hz)、4.14(t、4H、J=6.0Hz)、6.73−7.75(m、16H)
【0395】
【化65】
【0396】
[合成例13]
化合物10(5.0g、0.0105mol)、テトラヒドロフラン(11.5mL)を仕込んだ100mL反応器に、カリウム−t−ブトキシド(3.53g,0.0315mol)のテトラヒドロフラン(13.6mL)溶液を20℃〜40℃の範囲で滴下した。60℃で2時間熟成後、水を加えて反応を停止した。有機層を分液後、化合物10の仕込み量の2重量倍になるようにエバポレーターで濃縮後、メタノールに滴下することで、収率79%で、9,9’−ビス(4−ビニロキシフェニル)フルオレン(下記式で表される化合物、即ち、化合物3)を白色又は灰白色固体として得た。
H−NMR(CDCl):4.47(dd、2H)、4.81(dd、2H)、6.71(dd、2H)、7.12−7.82(m、16H)
【0397】
【化66】
【0398】
<上記一般式(19)で表される化合物>
[合成例14]
50mL反応器に化合物5(3.00g,0.00666mol)、トリエチルアミン(1.48g,0.0146mol)、フェノチアジン(9.00mg、0.0000452mol)、テトラヒドロフラン(16.9mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。アクリロイルクロリド(1.51g,0.0166mol)を1時間かけて滴下し、2時間熟成した。水を加えて反応を停止し、有機層を分液した。エバポレーターで溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、収率63%で、目的とするジアクリル体(下記式で表される化合物。以下、化合物11ともいう。)を白色固体として得た。
H−NMR(CDCl):6.03(dd、2H、J=1.5Hz、10.0Hz)、6.36(dd、2H、J=10.0Hz、17.5Hz)、6.63(dd、2H、J=1.5Hz、17.5Hz)、7.19−7.84(m、20H)
【0399】
【化67】
【0400】
[合成例15]
50mL反応器に化合物5(3.00g,0.00666mol)、トリエチルアミン(1.48g,0.0146mol)、フェノチアジン(9.00mg、0.0000452mol)、テトラヒドロフラン(16.9mL)を加え、窒素置換した後に、0℃まで冷却した。メタクリロイルクロリド(1.74g,0.0166mol)を1時間かけて滴下した後、徐々に40℃まで昇温し、2時間熟成した。水を加えて反応を停止し、有機層を分液した。エバポレーターで溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、収率73%で、目的とするジメタクリル体(下記式で表される化合物。以下、化合物12ともいう。)を白色固体として得た。
H−NMR(CDCl):2.08(s、6H)、5.77(s、2H)、6.38(s、2H)、7.18−7.84(m、20H)
【0401】
【化68】
【0402】
<上記一般式(1)で表される化合物の精製>
合成例5で得られた化合物1をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。220nmの紫外線を用いたHPLCにより、精製前の化合物1及び精製後の化合物1の純度(化合物1及び不純物の合計に占める化合物1の割合)を測定した。また、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)により、精製前の化合物1及び精製後の化合物1中の金属成分の含有量を測定した。結果を表2に示す。
【0403】
[評価]
精製前の化合物1及び精製後の化合物の各々をテトラヒドロフランに溶解して10質量%溶液を調製し、−30℃に冷却した後、この溶液に触媒量の三フッ化ホウ素を添加して反応液を調製した。−30℃から2℃/分の割合で、この反応液を昇温し、赤外分光法によりビニル基の減少開始温度をモニタリングすることで、化合物1同士の反応開始温度を測定し、下記の基準で評価した。また、目視にて反応系の着色の有無を確認した。結果を表2に示す。
反応開始温度の評価基準
S:反応開始温度が0℃以下であった。
A:0℃超20℃以下であった。
B:20℃超であった。
【0404】
【表2】
【0405】
表2から分かるように、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、化合物1の純度が向上し、化合物1中の金属成分、特にナトリウム成分及びカリウム成分の含有量が低減した。また、上記精製により、化合物1同士の反応開始温度がより低くなったことから、化合物1の反応性が向上したことが確認された。更に、上記精製により、反応時の着色が抑制されることが確認された。
【0406】
<ネガ型感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
以下の各成分を3−メトキシブチルアセテート(MA)/テトラメチルウレア(TMU)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)=55/10/35(質量比)の混合溶剤に添加し、撹拌機で1時間混合した後、5μmのメンブランフィルターで濾過して、濾液として固形分濃度15質量%のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
樹脂(R−1)(固形分55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・60質量部
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬社製)・・・20質量部
・光重合開始剤
「OXE−02」(商品名:BASF社製)・・・10質量部
・上記一般式(1)で表される化合物
上記化合物1・・・10質量部
・着色剤
カーボン分散液「CFブラック」(商品名:御国色素株式会社製 固形分25% 溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・400質量部
【0407】
上記樹脂(R−1)の合成法は下記の通りである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(r−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【0408】
【化69】
【0409】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂(R−1)を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂(R−1)は、上記一般式(r−1)で表される化合物に相当する。
【0410】
[実施例2、比較例1〜6]
実施例2及び比較例2〜6では、化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物3及び比較化合物1〜5を用いたほかは、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。また、比較例1では、化合物1を用いなかったほかは、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0411】
[評価]
実施例1、2、比較例1〜6のネガ型感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、5、10、15、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、10mJ/cmとした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
【0412】
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「なし」として評価した。
結果を下記表3に示す。
【0413】
【表3】
【0414】
表3から分かるように、上記一般式(1)で表される化合物1及び3をそれぞれ含有する実施例1及び2のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、10mJ/cmという低露光量であっても、5μmのラインパターンが基板に密着した。
【0415】
これに対して、上記一般式(1)で表される化合物を含有しない比較例1のネガ型感光性樹脂組成物、及び、上記一般式(1)で表される化合物を含有せず、比較化合物1〜5をそれぞれ含有する比較例2〜6のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、表3から分かるように、パターン密着性が実施例1及び2より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
【0416】
<酸発生剤又は塩基発生剤を含有する組成物の調製>
[実施例3〜8、比較例7〜8]
(材料)
・上記一般式(1)で表される化合物、又は比較化合物
化合物1:合成例1で得られた化合物1
化合物3:合成例3で得られた化合物3
比較化合物7:下記式で表される化合物
【0417】
【化70】
比較化合物8:下記式で表される化合物
【0418】
【化71】
【0419】
・酸発生剤又は塩基発生剤
PAG:CPI−210S(商品名、サンアプロ社製)
PBG:WPBG−140(商品名、和光純薬社製)
TAG:2−ニトロベンジルトシレート
【0420】
(組成物の調製)
表4に記載の酸発生剤又は塩基発生剤0.3gをシクロヘキサノン10gに均一に溶解し、得られた溶液に、表4に記載の化合物又は比較化合物10gを加え、室温で溶解して組成物を得た。
【0421】
[評価]
(低透湿性)
得られた組成物をコーターにてガラス基板上に塗布し、ホットプレート上で100℃、120秒間加熱して、塗膜を得た。この塗膜にブロードバンド光を照射し、照射後の塗膜をオーブンで180℃、20分間加熱して、上記組成物の硬化物からなる膜厚10μmのシートを形成した。JIS Z 0208に準拠して、所定のサイズにカットした上記シートについて60℃、90%RHの条件で透湿度(g/(m・24h))を測定し、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
◎:透湿度が30g/(m・24h)未満であり、低透湿性が極めて良好である。
○:透湿度が30g/(m・24h)以上35g/(m・24h)未満であり、低透湿性が良好である。
×:透湿度が35g/(m・24h)以上であり、低透湿性が不良である。
【0422】
(光透過率)
低透湿性評価の場合と同様にして膜厚2.0μmのシートを形成した。透過率計を用いて、このシートの400nmにおける光透過率を測定し、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
◎:光透過率は、97%以上であり、極めて良好である。
○:光透過率は、95%以上97%未満であり、良好である。
×:光透過率は、95%未満であり、不良である。
【0423】
(プレッシャークッカー試験(PCT))
低透湿性評価の場合と同様にして膜厚2.0μmのシートを形成した。IEC 68−2−66に従い、100℃、RH120%雰囲気下で、上記シートを24時間放置し、PCTを行った。PCT後、上記シートを目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
◎:シートに剥がれも欠けもなく、耐湿性が極めて良好である。
○:シートにカケはあるものの、剥がれはなく、耐湿性が良好である。
×:シートに剥がれが観察され、耐湿性が不良である。
【0424】
【表4】
【0425】
表4から分かるように、上記一般式(1)で表される化合物1又は3を含有する実施例3〜8の組成物から得られたシートは、低透湿性、光透過率、及び耐湿性のいずれも極めて良好であった。
これに対して、上記一般式(1)で表される化合物を含有せず、比較化合物7を含有する比較例7の組成物から得られたシートは、低透湿性、光透過率、及び耐湿性のいずれにも不良であった。また、上記一般式(1)で表される化合物を含有せず、比較化合物8を含有する比較例8の組成物から得られたシートは、光透過率及び耐湿性は良好であったものの、低透湿性は不良であった。
【0426】
<その他各種組成物の調製>
[実施例9〜34]
(材料)
・上記一般式(1)で表される化合物
化合物1:合成例1で得られた化合物1
化合物2:合成例2で得られた化合物2
・光重合性モノマー
単官能モノマー1:ラウリルアクリレート
多官能モノマー1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬社製)
・光重合開始剤1:「OXE−02」(商品名:BASF社製)
・酸発生剤又は塩基発生剤
PAG1:CPI−210S(商品名、サンアプロ社製)
PBG1:WPBG−140(商品名、和光純薬製)
・フェノール樹脂1:ポリヒドロキシスチレン(質量平均分子量:5,000)
・エポキシ化合物1:下記式で表されるエポキシ化合物
【0427】
【化72】
【0428】
・エポキシ化合物2:エピコート(現jER)828(商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製(現三菱化学(株)製))
・トリアジン化合物1:下記式で表されるエポキシ基含有トリアジン化合物
【0429】
【化73】
【0430】
・ケイ素含有化合物1:下記式(式中、mは5〜10の数)で表されるシラノール化合物(粘度10cm/s)
【0431】
【化74】
【0432】
・結晶化阻害剤1:KOH
・密着増強剤1:下記式で表されるシランカップリング剤
【0433】
【化75】
・界面活性剤1:BYK−310(商品名、シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社製)
・界面活性剤2:APX4082B(商品名、フッ素系界面活性剤、共栄社化学製)
・無機フィラー1:TiO
・溶剤1:シクロヘキサノン
・溶剤2:酢酸
【0434】
(組成物の調製)
表5に記載の種類及び量(質量部)の各成分を室温で均一に混合して組成物を得た。なお、実施例9において、単官能モノマー1は、室温で液体であり、化合物1を溶解することができたため、溶剤を添加しなくても液状の組成物を得ることができた。また、実施例10〜34では、組成物の固形分濃度が15質量%となるように、溶剤の量を調整した。
【0435】
【表5】
【0436】
[評価]
(鉛筆硬度、屈折率、及び耐熱性)
得られた組成物から硬化膜を得、この硬化膜について、化合物1、3、比較化合物1〜6に対する評価と同様にして、鉛筆硬度、屈折率、及び耐熱性(質量が5%減少する温度Td5%)を測定した。結果を表6に示す。
なお、組成物の硬化方法を表6に示す。表6中、「熱反応」は、化合物1、3、比較化合物1〜6に対する評価と同様にして、組成物を加熱することにより硬化膜を得たことを示す。一方、表6中、「光反応」は、コーターにて組成物をガラス基板上に塗布し、ホットプレート上で80℃にて2分間加熱(プリベーク)を行った後、塗膜をブロードバンド光で露光し、ホットプレート上で70℃にて2分間加熱(PEB)を行うことにより硬化膜を得たことを示す。
【0437】
(パターン密着性)
実施例1及び2並びに比較例1〜6と同様にして、実施例13又は14の組成物から5μmのラインパターンを形成し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「なし」として評価した。結果を表6に示す。
【0438】
(パターニング特性)
実施例16又は17の組成物をコーターにて、ガラス基板上に塗布した。ホットプレート上で80℃にて2分間加熱(プリベーク)を行った。加熱後の塗膜をブロードバンド光で露光した。ホットプレート上で70℃にて2分間加熱(PEB)を行った後、2.38質量%TMAH水溶液で現像を行い、ネガ型パターニングを行った。
パターンが形成されているか否かを顕微鏡で確認した。パターンが形成されていた場合、パターニング特性が良好(○)と判定し、パターンが形成されていなかった場合、パターニング特性が不良(×)と判定した。結果を表6に示す。
【0439】
【表6】
【0440】
表5及び6に示す通り、実施例9〜34で得られた硬化膜は、鉛筆硬度が高く、また、屈折率及び耐熱性が良好であった。実施例9において、単官能モノマー1は、室温で液体であり、化合物1を溶解することができたため、溶剤を添加しなくても液状の組成物を得ることができた。また、単官能モノマー1自体が光重合開始剤としての機能を有するため、実施例9及び12の組成物は、光重合開始剤を含有しなくても、光反応により硬化した。実施例13及び14において、10mJ/cmという低露光量であっても、5μmのラインパターンが基板に密着した。実施例16及び17の組成物は、パターニング特性に優れていた。
【0441】
<平坦性の評価>
[実施例35〜38]
(材料)
・上記一般式(1)で表される化合物
化合物1:合成例1で得られた化合物1
・溶剤
溶剤1:シクロヘキサノン(沸点:156℃、アルミニウム基板接触角:27°、ガラス基板接触角:2°)
溶剤3:テトラヒドロフラン(沸点:66℃、アルミニウム基板接触角:15°、ガラス基板接触角:0°)
溶剤4:ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:256℃、アルミニウム基板接触角:0°、ガラス基板接触角:5°)
溶剤5:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(沸点:260℃、アルミニウム基板接触角:30°、ガラス基板接触角:3°)
なお、ガラス基板接触角の測定には、EAGLE XG(登録商標)ガラス基板(コーニング社製)を使用した。
【0442】
(組成物の調製及び平坦性の評価)
表7に記載の種類及び量(質量部)の溶剤に、表7に記載の量(質量部)の化合物1を室温で均一に溶解して組成物を得た。この組成物から得られる硬化膜の平坦性を評価するため、この組成物を、幅1μm、深さ0.7μmの溝を有するアルミニウム基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークを行い、乾燥塗膜(膜厚2.0μm)を形成した。この乾燥塗膜を230℃で20分間ポストベークを行い、硬化膜(膜厚1.7μm)を得た。なお、膜厚は、基板表面のうち、溝を有しない部分において測定したものである。硬化膜の断面をSEMで観察し、下記の基準で硬化膜の平坦性を評価した。
○:溝の有無にかかわらず、硬化膜の表面に凹凸は見られず、平坦性が良好であった。
×:溝の有無に応じて、硬化膜の表面に凹凸が見られ、平坦性が不良であった。
【0443】
【表7】
【0444】
表7に示す通り、いずれの溶剤を用いた場合も、化合物1から得られる硬化膜は、良好な平坦性を示した。