【実施例】
【0026】
<実験1>ボイル処理終了から冷凍処理開始までの時間
(実施例1−1)
準強力粉950gにアセチル化タピオカ澱粉を50g、卵白粉5g、グルテン5gを粉体混合し、食塩15g、かんすい製剤(炭酸ナトリウム50:炭酸カリウム45:重合リン酸塩5)15g、クチナシ色素1gを水340gに溶解した練水を加え、真空ミキサーにて常圧下で4分間混捏した後、減圧下で8分間混捏し、ドウを作製した。
【0027】
作製したドウを複合して麺帯を作製し、ロール圧延にて1.4mmまで麺帯を圧延した後、18番角のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした後、約30cmとなるように麺線をカットした。
【0028】
カットした麺線130gを100℃の沸騰水で120秒間ボイルした。ボイル後の重量は、約200gであった。
【0029】
ボイルした麺線を等分し、冷凍用トレー2つに厚みが20mmとなるように入れ、−35℃のエアブラスト式の凍結庫に入れ30分凍結し、冷凍中華麺サンプルを作製した。このとき、ボイル終了から冷凍開始までの時間は10秒であった。
【0030】
(実施例1−2)
ボイル終了から冷凍開始までの時間を30秒とする以外は、実施例1−1と同様に冷凍中華麺サンプルを作製した。
【0031】
(実施例1−3)
ボイル終了から冷凍開始までの時間を60秒とする以外は、実施例1−1と同様に冷凍中華麺サンプルを作製した。
【0032】
(実施例1−4)
ボイル終了から冷凍開始までの時間を110秒とする以外は、実施例1−1と同様に冷凍中華麺サンプルを作製した。
【0033】
(実施例1−5)
ボイル終了から冷凍開始までの時間を120秒とする以外は、実施例1−1と同様に冷凍中華麺サンプルを作製した。
【0034】
(比較例1−1)
ボイル終了後、10℃の冷水で水洗冷却を30秒行い、水を切った後、すぐに冷凍処理する以外は、実施例1−1と同様に冷凍中華麺サンプルを作製した。
【0035】
(比較例1−2)
ボイル終了後、送風機により5℃の冷風を120秒間当てた後、冷凍処理する以外は、実施例1−1と同様に冷凍麺サンプルを作製した。
【0036】
(比較例1−3)
ボイル終了から冷凍開始までの時間を150秒とする以外は、実施例1−1と同様に冷凍中華麺サンプルを作製した。
【0037】
実験1で作製した冷凍麺サンプルについて評価を行った。評価は、調理時のほぐれ(麺線の結着具合)、調理後の麺の風味、調理後の麺の食感について行った。また、評価方法は、ベテランのパネラー5人によって5点満点で行い、2個の冷凍麺サンプルを電子レンジで500W3分30秒間加熱調理した後、予め用意した400mlの熱水を入れた器に電子レンジ調理した麺を入れ、麺のほぐれ具合を評価し、その後、麺の風味、食感について評価を行った。
【0038】
調理時の麺のほぐれについては、評価5が非常に良好、評価4が良好、評価3が製品として可、評価2は、ほぐれが悪く製品として不可、評価1は、結着部分がほぐれず製品として不可、とした。
【0039】
調理後の風味については、評価5が茹でたての生麺と同等の風味があり非常に良好、評価4は、茹でたての生麺に近い風味があり良好、評価3は、茹でたての生麺にやや劣るが風味は概ね可、評価2は、茹でたての生麺に劣り、風味は不可、評価1は、茹でたての生麺の風味を感じず不可、とした。
【0040】
調理後の食感については、評価5が茹でたての生麺と同等の食感で非常に良好、評価4は、茹でたての生麺に近い食感で良好、評価3は、茹でたての生麺にやや劣るが食感は概ね可、評価2は、茹でたての生麺に劣り食感として不可、評価2は、茹でたての麺に著しく劣り食感として不可、とした。
【0041】
実験1の評価結果について表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
比較例1−1で示すように一般的な水洗冷却を行ったものは、麺線表面のぬめり成分が洗い流されるため、調理時のほぐれはよいものの、アルカリ臭などの風味が弱く、また、急激に冷却されるため、麺が絞まった食感となるため、茹で上げ直後の生麺様の食感とは異なり、麺全体がゴム的な弾力のある食感であった。
【0044】
比較例1−2で示すように冷風冷却を行ったものは、比較例1−1で示した水洗冷却ほど、風味や食感が劣らないものの、調理時のほぐれが悪く、茹で上げ直後の生麺から風味も食感も劣った。特に食感は、麺表面と麺中心との食感のバランスが悪く、表面の弾力が強い食感であった。
【0045】
それらに対して実施例1−1〜実施例1−5で示すように水洗冷却や送風冷却をおこなわずにボイル処理終了から120秒以内に冷凍処理を開始した冷凍中華麺サンプルは、経時的な変化があるものの、調理時のほぐれ、風味、食感ともに概ね可よりも高い評価であった。しかしながら、比較例1−3で示すようにボイル終了から150秒後に冷凍処理を開始した冷凍中華麺サンプルは、麺表面から水分が蒸発し、調理時のほぐれ、風味が悪くなるだけでなく、麺内部の糊化も進むため、麺が湯伸びしたような食感となり、評価としては、概ね可以下の低い評価であった。
【0046】
<実験2>水の付着量
(実施例2−1)
トレーに入れた麺線100gに対して、水10gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−1の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
(実施例2−2)
トレーに入れた麺線100gに対して、水10gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−3の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0047】
(実施例2−3)
トレーに入れた麺線100gに対して、水10gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−4の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0048】
(実施例2−4)
トレーに入れた麺線100gに対して、水10gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−5の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0049】
(実施例2−5)
トレーに入れた麺線100gに対して、水20gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−1の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0050】
(実施例2−6)
トレーに入れた麺線100gに対して、水20gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−3の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0051】
(実施例2−7)
トレーに入れた麺線100gに対して、水20gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−4の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0052】
(実施例2−8)
トレーに入れた麺線100gに対して、水20gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−5の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0053】
(実施例2−9)
トレーに入れた麺線100gに対して、水30gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−1の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0054】
(実施例2−10)
トレーに入れた麺線100gに対して、水30gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−3の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0055】
(実施例2−11)
トレーに入れた麺線100gに対して、水30gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−4の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0056】
(実施例2−12)
トレーに入れた麺線100gに対して、水30gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−5の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0057】
(比較例2−1)
トレーに入れた麺線100gに対して、水50gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−1の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0058】
(比較例2−2)
トレーに入れた麺線100gに対して、水50gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−3の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0059】
(比較例2−3)
トレーに入れた麺線100gに対して、水50gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−4の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0060】
(比較例2−4)
トレーに入れた麺線100gに対して、水50gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、実施例1−5の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0061】
(比較例2−5)
トレーに入れた麺線100gに対して、水10gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、比較例1−3の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0062】
(比較例2−6)
トレーに入れた麺線100gに対して、水20gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、比較例1−3の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0063】
(比較例2−7)
トレーに入れた麺線100gに対して、水30gをシャワーにて散布した後、冷凍する以外は、比較例1−3の方法に従って冷凍中華麺サンプルを製造した。
【0064】
実験2で作製した冷凍麺サンプルについて実験1と同様に評価を行った。
【0065】
実験1の評価結果について表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
実施例2−1〜実施例2−12で示すようにボイル処理した茹で麺100gあたり10g〜30gの水を散布し、ボイル終了から120秒以内に冷凍処理したサンプルは、麺表面からの水分蒸発が抑えられ、調理時のほぐれ、風味の評価が、評価4以上となった。しかしながら、比較例2−1〜比較例2−4で示すように、茹で麺100gあたり50gの水を散布したサンプルは、調理時のほぐれは非常に良好であるが、風味、食感は、概ね可以下となった。これは、茹で麺100gあたり30gよりも多い量の水を散布すると麺表面のぬめり成分が洗い流されるだけでなく、麺表面が冷却されることにより、実質的に水洗冷却されているためと考えられる。
【0068】
また、比較例2−5〜比較例2−7で示すように茹で麺100gあたり10〜30gの水を散布し、ボイル終了から150秒後に冷凍処理したサンプルは、風味は概ね可よりも良好であるが、食感は湯伸びした食感が目立ち概ね可よりも悪い結果であった。