【実施例】
【0022】
以下に本発明を実施例、比較例を挙げてより具体的に説明する。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載がない限り質量%を表し、表中における実施例および比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。実施例、比較例において使用した化合物を以下に記す。
【0023】
(A)成分
A−1:水酸化ナトリウム 商品名:粒状苛性ソーダ、旭硝子社製
A−2:水酸化カリウム 商品名:フレーク苛性カリ、東亞合成社製
【0024】
(B)成分
B−1:ニトリロ三酢酸ナトリウム塩 商品名:Trilon A92R、BASF社製
B−2:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 商品名:ディゾルビンNA、アクゾノーベル社製
B−3:グルタミン酸二酢酸ナトリウム塩 商品名:ディゾルビンGL−47−S、アクゾノーベル社製
B−4:メチルグリシン二酢酸ナトリウム塩 商品名:Trilon M Powder、BASF社製
B−5:3-ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸四ナトリウム塩 商品名:HIDS、純分50%、日本触媒社製
【0025】
(C)成分
C−1:アクリル酸/スルホン酸モノマー共重合体ナトリウム1(重量平均分子量が5,000)
C−2:アクリル酸/マレイン酸共重合体ナトリウム(重量平均分子量が70,000)
C−3:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量が4,000)
C−4:アクリル酸/スルホン酸モノマー共重合体ナトリウム2(重量平均分子量が11,000)
C−5:ポリマレイン酸ナトリウム(重量平均分子量が500)
【0026】
(D)成分
D−1:イオン交換水
【0027】
(E)成分
E−1:リバースプルロニック型ブロックポリマー1(ポリオキシエチレン鎖の両端にポリオキシプロピレン鎖が結合したブロックポリマー)オキシエチレン鎖の含有率が20%、商品名:アデカプルロニック25R−2、ADEKA社製
E−2:リバースプルロニック型ブロックポリマー2(ポリオキシエチレン鎖の両端にポリオキシプロピレン鎖が結合したブロックポリマー)オキシエチレン鎖の含有率が10%、商品名:アデカプルロニック25R−1、ADEKA社製
E−3:脂肪族アルコールアルコキシレート、商品名:プルラファックLF403、BASF社製
【0028】
(F)成分
F−1:炭酸ナトリウム
F−2:硫酸ナトリウム
【0029】
(G)成分 安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤
G−1:コーティングジクロロイソシアヌル酸ナトリウム1(被覆剤は株式会社ウエノフードテクノ製の安息香酸ナトリウム:製品名 安息香酸ナトリウムウエノ、純分99.0%以上)
G−2:コーティングジクロロイソシアヌル酸ナトリウム2(被覆剤は和光純薬工業株式会社製の安息香酸カリウム:製品名 安息香酸カリウム、純分99.0%以上)
G−3:コーティング次亜塩素酸カルシウム(被覆剤は株式会社ウエノフードテクノ製の安息香酸ナトリウム:製品名 安息香酸ナトリウムウエノ、純分99.0%以上)
G−4:コーティングトリクロロイソシアヌル酸ナトリウム(被覆剤は株式会社ウエノフードテクノ製の安息香酸ナトリウム:製品名 安息香酸ナトリウムウエノ、純分99.0%以上)
G−5:コーティングジクロロイソシアヌル酸ナトリウム3(被覆剤は株式会社ウエノフードテクノ製の安息香酸ナトリウム:製品名 安息香酸ナトリウムウエノ、純分99.0%以上と、和光純薬工業株式会社製のアジピン酸二カリウム:製品名 アジピン酸二カリウム 純分95.0%以上、を質量比2:1で混合したもの)
(G)成分は、回転ドラム(コーティングパン)に顆粒状の塩素系漂白剤を入れて回転しながら、スプレーガンにより、圧縮空気とともにコーティング液(被覆剤を溶解したメタノール液)をエアースプレーする。なるべく塩素系漂白剤全体に均一にコーティング液がゆきわたるように噴霧する。スプレー後、70℃の熱風で乾燥させることによって調製した。得られた安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された塩素系漂白剤の有効塩素量をチオ硫酸ナトリウム滴定で求め、被覆量が塩素系漂白剤と安息香酸塩の質量比で、塩素系漂白剤/安息香酸塩の値で2.5になるように調製した。
【0030】
その他成分
その他:シリコーン 商品名:DOW CORNING TORAY FSアンチフォーム1266、東レ・ダウコーニング社製
【0031】
実施例1〜90、比較例1〜6
表1〜表10に示す配合のスラリーを調製し、これを冷却固化して溶融固形型洗浄剤組成物を得た。溶融固形型洗浄剤組成物の洗浄性、スケール防止性、製造効率、溶融安定性、成分の均一性、長期貯蔵安定性の各試験、嵩比重の測定を下記条件で行った。結果を表1〜表10に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
※1:洗浄性試験1(66℃)
<被洗浄物>
直径20cmのガラス皿に市販のマヨネーズ(キューピー社製)2gを均一に塗布し、室温で乾燥させた汚染皿を被洗浄物とした。
<試験方法>
溶融固形型洗浄剤組成物の濃度を0.04質量%に希釈した洗浄液を洗浄機の洗浄液タンクに貯留して66℃で保持し、洗浄ラックに汚染皿5枚を設置し、以下の条件で洗浄、すすぎを行った。溶融固形型洗浄剤組成物の希釈水、すすぎ水は塩化カルシウムを用いて硬度3°DHに調製した人工硬水を用いた。
<洗浄条件>
洗浄機:ホシザキ社製、電気製自動食器洗浄機JWE−680AJ
洗浄温度:66℃
洗浄時間:41秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
<洗浄性評価>
洗浄、すすぎ後の皿を室温で乾燥後、暗室において蛍光灯を照射、反射させて汚れの残存状況を目視判定により以下の基準で評価した。
◎:清浄な皿と比較して差がない。
○:うすい曇りのみが認められる。
×:曇りとスポットが認められる。
とし、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0043】
※2:スケール防止性試験
<試験方法>
洗浄ラックに250mLのグラス36個を設置し、塩化カルシウムで硬度10°DHに調製した人工硬水より溶融固形型洗浄剤組成物の濃度を0.01質量%、0.09質量%に希釈した洗浄液により下記条件で洗浄後、すすぎをおこない、インターバル(供給停止時間)の工程で、洗浄機を200回連続運転後、洗浄機庫内のスケール付着量を目視判定し、以下の基準で評価した。
<洗浄条件>
洗浄機:ホシザキ社製、電気製自動食器洗浄機JWE−680AJ
洗浄温度:66℃
洗浄時間:41秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
インターバル:5秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
<評価基準>
◎:スケールの付着が全く認められなかった。
○:スケールの付着がほとんど認められなかった。
△:スケールの付着が若干認められるが、使用上問題ないレベル。
×:著しいスケールの付着が認められた。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0044】
※3:製造効率性試験(粘度、充填速度)
<試験方法>
1Lステンレスビーカーにて溶融スラリーを1kg作成後、1Lポリ容器に全量充填し、以下の基準で評価した。
<充填条件>
充填温度:65℃
<評価基準>
◎:10秒未満にほぼ全量(99%以上)充填できた。
○:10秒以上、30秒未満にほぼ全量(99%以上)充填できた。
×:30秒以上時間がかかっても、全量は充填できなかった(99%未満)。
とし、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0045】
※4:溶解安定性試験
<試験方法>
1Lガラスビーカーに1Lの水を入れ60℃に保持し、長さ40mm、直径8mmの回転子を用いてマグネティックスターラー(型番RS‐4DR(アズワン株式会社))で回転速度600rpmにして撹拌した。そこへ、高さが10mm以上、15mm以下の正四角錐台状の溶融固形型洗浄剤組成物3.2gを1個入れ、溶解して目視で確認できなくなるまでに要した時間を測定し、以下の基準で評価した。
◎:溶解までに要した時間が90秒以上、240秒未満。
○:溶解までに要した時間が30秒以上、90秒未満又は240秒以上、600秒未満、
×:溶解までに要した時間が30秒未満又は600秒以上。
とし、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0046】
※5:成分の均一性試験(偏在)
<試験方法>
溶融固形型洗浄剤組成物の溶融スラリーを1kg作成し、溶融スラリーの一部(10g程度)を採取して、キレート力を測定。その後スラリーの全量を65℃にて充填し1L容積のポリエチレン瓶に入れ、24時間25℃にて放置し固化させた後、容器上部、容器下部の固化物を30g以上採取し、キレート力を測定した。溶融スラリーのキレート力を理論値として、以下の評価基準にて評価した。
<キレート力の測定法>
100mLビーカーに洗浄剤組成物を正確に秤量し、蒸留水で約100mLに希釈する。1mol/L NaOHを2mL、1/100mol/L塩化カルシウム2水和物溶液を10mL加える。NN指示薬(1−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸)を約0.1g加えよく撹拌する。1/100mol/L EDTA溶液で滴定し、赤紫から青に変色した点を終点とする。下記式(1)によりキレート力を算出する。洗浄剤を加えないブランクを滴定した時の滴定量と、洗浄剤を加えた次式によりキレート力を算出する。
(数1)
キレート力(CaCO
3mg/g)= {(a)−(b)}×100.09/(s)・・・(1)
(a): 試料を加えないときの滴定量(mL)
(
b): 試料を加えたときの滴定量(mL)
(s): 試料採取量
<評価基準> 理論値と比較して
◎:上部、下部のキレート力のズレが5%未満。
○:上部、下部のキレート力のズレが5%以上、15%未満。
×:上部、下部のキレート力のズレが15%以上。
とし、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0047】
※6:長期貯蔵安定性(潮解)
溶融固形型洗浄剤組成物の溶融スラリーを、1L容積のポリエチレン瓶に入れ、24時間25℃にて放置し固化させた後、恒温恒湿器(HIFLEX FX214C、楠本化成株式会社製)により温度40℃、湿度70%の雰囲気下に置き、その状態で1カ月保管した。そして、その外観を目視により観察し、下記の評価基準で評価した。
<評価基準>
◎:1カ月後、表面の潮解は認められなかった。
○:1カ月後、表面の潮解はほとんど認められなかった。
×:1カ月後、表面の潮解が顕著に認められた。
とし、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0048】
※7:嵩比重試験
<試験方法>
1Lのステンレスビーカーに質量500gの溶融固形型洗浄剤組成物を、スリーワンモーターを用いて300rpmで激しく撹拌して製造した。スラリー状の溶融固形型洗浄剤組成物を温度65℃にて容器に充填し、そのときの質量と体積から比重を測定し、以下の基準で評価した。
◎:比重が1.5以上。
○:比重が1.3以上、1.5未満。
×:比重が1.3未満。
とし、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0049】
※8:洗浄性試験2(40℃)
<被洗浄物>
直径20cmのガラス皿に市販のマヨネーズ(キューピー社製)2gを均一に塗布し、室温で乾燥させた汚染皿を被洗浄物とした。
<試験方法>
溶融固形型洗浄剤組成物の濃度を0.04質量%に希釈した洗浄液を洗浄機の洗浄液タンクに貯留して40℃で保持し、洗浄ラックに汚染皿5枚を設置し、以下の条件で洗浄、すすぎを行った。溶融固形型洗浄剤組成物の希釈水、すすぎ水は塩化カルシウムを用いて硬度3°DHに調製した人工硬水を用いた。
<洗浄条件>
洗浄機:ホシザキ社製、電気製自動食器洗浄機JWE−680AJ
洗浄温度:40℃
洗浄時間:41秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
<洗浄性評価>
洗浄、すすぎ後の皿を室温で乾燥後、暗室において蛍光灯を照射、反射させて汚れの残存状況を目視判定により以下の基準で評価した。
◎:清浄な皿と比較して差がない。
○:うすい曇りのみが認められる。
△:曇りのみ認められる。
×:曇りとスポットが認められる。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0050】
※9 バイオフィルム防止性試験
<試験方法>
各溶融固形型洗浄剤組成物5gを滅菌済みのミューラーヒントン培地〔日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製〕を用いて全量を100gにして、各溶融固形型洗浄剤組成物の5質量%コンク溶液を調製した。本コンク溶液を更に滅菌済みミューラーヒントン培地を用いて溶融固形型洗浄剤組成物の濃度として0.07質量%となるように希釈調製し、それぞれ24穴マイクロプレート〔旭テクノグラス株式会社製〕に2mL量りとった。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)、クレブシェラ菌(Klebsiella pneumoniae ATCC13883)をそれぞれLB培地〔日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製〕を用いて、37℃で18時間前培養して増殖した菌液を、ピペットマンを用いて当該マイクロプレート内の試験溶液に100μL接種した。これを37℃で48時間培養後に培養液を廃棄し、滅菌精製水2mLで各ウェル内を5回洗浄した。マイクロプレート壁に付着したバイオフィルムを0.1質量%クリスタルバイオレット液で染色し、滅菌水でリンス後、バイオフィルムの形成状態を目視によって観察した。
◎:バイオフィルムがプレート壁面の20%未満を覆う状態。
○:バイオフィルムがプレート壁面の20%以上、40%未満を覆う状態。
△:バイオフィルムがプレート壁面の40%以上、60%未満を覆う状態。
×:バイオフィルムがプレート壁面の60%以上、100%以下を覆う状態。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0051】
※10 漂白性試験
<洗浄条件>
使用洗浄機:ホシザキ社製、電気製自動食器洗浄機JWE−680AJ
洗浄温度:66℃
洗浄時間:40秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:9秒
洗浄液:溶融固形型洗浄剤組成物の0.07質量%希釈液
溶融固形型洗浄剤組成物希釈用及びすすぎ用の使用水:炭酸カルシウム換算で、ドイツ硬度3°DHの硬水
すすぎ1回当たりの水量:2L
<被洗浄物の調整>
白色磁器皿(直径12cm)を80℃の紅茶に5分間浸漬した後、100℃で30分間加温し、褐色化させた汚染皿を漂白性試験用被洗浄物とした。
<試験方法>
上記の方法で調整した汚染皿10枚を食器洗浄機の洗浄ラックに設置し、上記洗浄条件にて洗浄、すすぎ後、室温にて乾燥させた。茶渋の残存状況を目視判定により以下の基準で評価した。
◎:茶渋が除去されている。
○:茶渋がほとんど除去されている。
△:茶渋は除去されているが、茶渋の残存が認められる。
×:茶渋が除去されていない。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0052】
※11 金属腐食防止性試験
<試験方法>
テストピース[ステンレス(SUS430)、ねずみ鋳鉄(FC200)]は、予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたもの使用する。炭酸カルシウム換算で、75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で各溶融固形型洗浄剤組成物を0.07質量%に希釈し、60mLを70mL容量の蓋付ガラス瓶に入れ、その中にテストピースを浸漬し、70℃の恒温器内で5日間保存した。保存後のテストピースを取り出し、イオン交換水にてすすぎをおこない乾燥させて、テストピース表面の状態を目視により外観観察し、下記基準で腐食性を判定した。
<金属腐食防止性評価基準>
◎:腐食がない。
○:ほとんど腐食がない。
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル。
×:ひどく腐食した。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0053】
※12 臭気性試験
<洗浄条件>
洗浄機:ホシザキ社製、電気製自動食器洗浄機JWE−680AJ
洗浄温度:66℃
洗浄時間:40秒
すすぎ温度:82℃
すすぎ時間:6秒
すすぎ1回当たりの水量:2L
洗浄液:溶融固形型洗浄剤組成物の0.1質量%希釈液
溶融固形型洗浄剤組成物希釈用及びすすぎ用の使用水:炭酸カルシウム換算で、ドイツ硬度3°DHの硬水
<被洗浄物>
直径20cmのガラス皿にマヨネーズ(キューピー社製)2gを均一に塗布し、室温で乾燥させた汚染皿を被洗浄物とした。
<試験方法>
被洗浄物を洗浄機内にセットし洗浄及びすすぎをおこない、洗浄機のドアを開けて、洗浄機内の雰囲気中の臭気を5人のパネラーにて5段階の評価(5:臭わない、4:ほとんど臭わない、3:わずかに臭う、2:臭う、1:臭いが強い)をおこない、全パネラーの評価の平均点より、以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:平均点が3.5以上、5以下。
△:平均点が2.5以上、3.5未満。
×:平均点が1以上、2.5未満。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。