(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コアレス基板からなる配線基板は配線層と絶縁層とを備え、前記補強層は前記配線層と同一層から形成され、前記補強層及び前記配線層が前記絶縁層に埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子部品装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0016】
実施形態を説明する前に、本発明者が行ったシミュレーションによる電子部品装置の反りの解析結界について説明する。
【0017】
まず、シミュレーションで想定した電子部品装置の構造について説明する。
図1に示すように、電子部品装置9の下側配線基板100では、厚み方向の中央部にガラスエポキシ樹脂などからなるコア層110が形成されている。
【0018】
コア層110の両面には所要のビルドアップ配線層(不図示)がそれぞれ形成されている。両面側のビルドアップ配線層はコア層110の厚み方向に貫通する貫通導体(不図示)を介して相互接続されている。そして、下側配線基板100は、その両面側にビルドアップ配線層の最外のパッドP1,P2をそれぞれ備えている。
【0019】
また、下側配線基板100の下面に、パッドP2上に開口部120aが設けられたソルダレジスト層120が形成されている。さらに、下側配線基板100の下面側のパッドP2に外部接続端子Tが設けられている。
【0020】
下側配線基板100の上面側の中央部に配置されたパッドP1に半導体チップ200のバンプ電極220がフリップチップ接続されている。半導体チップ200の下側にはアンダーフィル樹脂240が充填されている。
【0021】
また、下側配線基板100の上には、半導体チップ200を収容するように上側配線基板300が配置されている。上側配線基板300では、絶縁層320の上面の周縁側にパッドP3が形成されている。パッドP3はその側面及び下面が絶縁層320に埋め込まれ、上面が露出した状態で形成されている。
【0022】
さらに、絶縁層320の下面には配線層400が形成されている。絶縁層320にはパッドP3に到達するビアホールVHが形成されている。パッドP3はビアホールVH内のビア導体を介して配線層400に接続されている。
【0023】
ビアホールVHは上部から下部になるにつれて直径が大きくなる逆テーパ形状で形成されている。
【0024】
そして、上側配線基板300の配線層400の接続部に金属柱420が形成されており、金属柱420の下部がはんだ440を介して下側配線基板100の接続パッドP1に接続されている。
【0025】
また、絶縁層320の上面の中央部に第1補強層R1が形成されている。第1補強層R1はその周囲に配置されたパッドP3と同一層から形成され、側面及び下面が絶縁層320に埋め込まれて形成される。
【0026】
また、第1補強層R1に対応する領域の絶縁層320の下面に第2補強層R2が形成されている。第2補強層R2は配線層400と同一層から形成され、側面及び下面が層間絶縁層320から露出している。
【0027】
さらに、下側配線基板100と上側配線基板300と間に封止樹脂500が充填されており、半導体チップ200が封止樹脂500で封止されている。第1補強層R1及び第2補強層R2は、半導体チップ200に対応する領域に配置される。
【0028】
図1の電子部品装置9を平面視すると、
図1の縮小平面図に示すように、上側配線基板300の絶縁層320の上面の中央部に第1補強層R1が配置され、その周囲の領域に複数の接続パッドP3が並んで配置されている。
【0029】
以上のように、下側配線基板100がコア層110を有するコア有基板として形成され、上側配線基板300がコア層を有さないコアレス基板として形成される。
【0030】
次に、シミュレーションで使用する電子部品装置9の各要素の寸法について説明する。
図1に示した電子部品装置5の各要素の厚みT1〜T7を
図1の表に示す厚みにそれぞれ設定した。
【0031】
そして、半導体チップ200の面積を10mm×10mmとし、第1、第2補強層R1,R2の面積を10mm×10mmとし、電子部品装置9の全体の面積を15mm×15mmとした。
【0032】
図2に示すように、
図1の電子部品装置9において、第1、第2補強層R1,R2を共に形成しない条件をLEG1とした。
【0033】
また、第1補強層R1を形成せずに、下面側に第2補強層R2のみを形成した条件をLEG2とした。
【0034】
また、LEG2と逆に、第2補強層R2を形成せずに、上面側に第1補強層R1のみを形成した条件をLEG3とした。
【0035】
さらに、第1、第2補強層R1,R2を共に形成した条件をLEG4とした。
【0036】
以上のような電子部品装置9の構造を想定して、シミュレーション用のモデルを作成した。
【0037】
図2の表及びグラフに示すように、LEG1では、第1、第2補強層R1,R2が共に存在しないため、室温及び260℃の雰囲気で凸状の反りが発生した。LEG1での相対反り量を100%と規定した。
【0038】
下面側に第2補強層R2のみを形成した条件のLEG2では、相対反り量が室温で94%、260℃の雰囲気で77%であり、十分な反りの矯正効果は得られない。
【0039】
また、上面側に第1補強層R1のみを形成した条件のLEG3では、相対反り量が室温で46%、260℃の雰囲気で54%に改善されており、十分な反り矯正効果がある。
【0040】
さらに、第1、第2補強層R1,R2を共に形成した条件のLEG4では、相対反り量が室温で46%、260℃の雰囲気で42%であり、LEG3と同様な反り矯正効果がある。
【0041】
以上のことから、上側配線基板300の絶縁層320の下面側に第2補強層R1を形成するよりも、絶縁層320の上面側に第1補強層R1を形成する方が反り矯正効果が高いことが分かった。
【0042】
このように、本願発明者は、半導体チップが搭載されたコア有基板の上にコアレス基板が積層された電子部品装置では、半導体チップからある程度離れたコアレス基板の絶縁層の上面側に補強層を形成することにより、反りがより十分に矯正されることを見出した。
【0043】
これは、半導体チップが搭載されたコア有基板の凸状に反ろうとする応力にコアレス基板の補強層が抵抗するためである。
【0044】
また、
図1の電子部品装置9においてコア有基板とコアレス基板とが上下で入れ替わる形態、又は上下の基板が共にコアレス基板の形態においても、コアレス基板の絶縁層の外面側に補強層を形成することにより、同様に反りの発生が防止される。
【0045】
(第1の実施の形態)
図3〜
図19は第1実施形態の電子部品装置の製造方法を示す図、
図20は第1実施形態の電子部品装置を示す図である。本実施形態では、電子部品装置の製造方法を説明しながら、電子部品装置の構造について説明する。
【0046】
電子部品装置では、電子部品が搭載された下側配線基板の上に、接続端子を介して上側配線基板が積層された構造を有する。第1実施形態では、下側配線基板としてコア層を有するコア有配線基板を使用し、上側配線基板としてコア層を有さないコアレス基板を使用する。
【0047】
最初に、第1実施形態の電子部品装置の上側配線基板として使用される上側コアレス配線基板の製造方法について説明する。
【0048】
図3(a)に示すように、まず、銅箔などからなる支持体10を用意する。次いで、
図3(b)に示すように、フォトリソグラフィによって支持体10の上にめっきレジスト層11をパターニングする。
【0049】
めっきレジスト層11では、中央部に一括した四角状の第1開口部11aが配置され、第1開口部11aの周囲の領域に複数の第2開口部11bが分割されて配置される。
【0050】
続いて、
図4(a)に示すように、支持体10をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト層11の第1開口部11a及び第2開口部11b内の支持体10の上に金属めっき層を形成する。
【0051】
めっきレジスト層11の第1開口部11aに形成された金属めっき層が補強層Rとして形成され、第2開口部11bに形成された金属めっき層がパッドPとして形成される。補強層R及びパッドPの厚みは、一例としては、10μm〜20μmに設定される。その後に、
図4(b)に示すように、めっきレジスト層11が除去される。
【0052】
後述するように、支持体10の上に多層配線層を形成した後に、所要の段階で支持体10が多層配線層からウェットエッチングにより除去される。
【0053】
このため、支持体10が銅から形成される場合は、補強層R及びパッドPの最下の層が銅のウェットエッチャントに耐性を有する金(Au)層又はNi(ニッケル)層から形成される。
【0054】
補強層R及びパッドPの各々の好適な例としては、下から順に、金(Au)層/パラジウム(Pd)層/ニッケル(Ni)層/銅(Cu)層、金(Au)層/ニッケル(Ni)層/銅(Cu)層、又は、ニッケル(Ni)層/銅(Cu)層の積層膜から形成される。
【0055】
上記した積層膜からパッドPを形成する場合は、支持体10を除去すると、パッドPの外面とその周囲の絶縁層の外面とが面一になる。
【0056】
パッドPを周囲の絶縁層から内部に沈み込ませる場合は、最下の金層又はニッケル層の下にその沈み込みの深さに相当する厚みの銅層を追加で形成する。これにより、支持体10(銅)を除去する際に最下の銅層も同時に除去されて、パッドPが周囲の絶縁層から内部に沈み込んだ構造が得られる。
【0057】
また、コアレス基板のパッドPの形成例として、銅からなる支持体10の上に銅層/ニッケル層/銅層を形成し、支持体10及び銅層を除去した後に、さらに、ニッケル層を除去して、銅からなるパッドPを周囲の絶縁層の表面から内部に凹ませてもよい。
【0058】
続いて、
図5(a)に示すように、支持体10、補強層R及びパッドPの上に、未硬化の樹脂フィルムを貼付し、加熱処理して硬化させることにより、絶縁層20を形成する。絶縁層20の厚みは、例えば、20μm〜35μm程度である。樹脂フィルムとしては、例えば、非感光性の熱硬化性の絶縁樹脂が使用される。そのような絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などがある。
【0059】
その後に、
図5(b)に示すように、絶縁層20をレーザで加工することにより、パッドPに到達するビアホールVHを形成する。さらに、過マンガン酸法などによってビアホールVH内をデスミア処理することにより、樹脂スミアを除去してクリーニングする。
【0060】
次いで、
図6(a)に示すように、絶縁層20の上に、ビアホールVH内のビア導体を介してパッドPに接続される配線層30を形成する。配線層30はセミアディティブ法によって形成される。
【0061】
図7(a)〜(d)を参照して詳しく説明する。
図7(a)〜(d)では、
図6(a)のパッドPの領域が部分的に示されている。
【0062】
詳しく説明すると、
図7(a)に示すように、絶縁層20上及びビアホールVHの内面に無電解めっき又はスパッタ法により、銅などからなるシード層30aを形成する。
【0063】
次いで、
図7(b)に示すように、配線層30が配置される領域に開口部13aが設けられためっきレジスト層13を形成する。
【0064】
続いて、
図7(c)に示すように、シード層30aをめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト層13の開口部13aに銅などからなる金属めっき層30bを形成する。その後に、
図7(d)に示すように、めっきレジスト層13を除去した後に、
金属めっき層30bをマスクにしてシード層30aをウェットエッチングにより除去する。これにより、シード層30a及び金属めっき層30bから配線層30が形成される。配線層30の厚みは、例えば、10μm〜20μm程度に設定される。また、配線層30のライン(幅):スペース(間隔)は15μm:15μm程度か、それよりも微細に形成することができる。
【0065】
続いて、
図6(b)に戻って説明すると、絶縁層20及び配線層30の上に、配線層30の接続部上に開口部24aが設けられたソルダレジスト層24を形成する。ソルダレジスト層24の厚みは、例えば、20μm〜40μm程度に設定される。ソルダレジスト層24として、フェノール樹脂又はポリイミド樹脂などからなる感光性の絶縁樹脂が使用される。
【0066】
次いで、
図8(a)に示すように、ソルダレジスト層24の開口部24a内の配線層30の上に金属柱34を形成する。金属柱34は、柱部34aとその上のはんだ層34bから形成される。金属柱34が接続端子の一例である。
【0067】
図9(a)〜(d)を参照して詳しく説明する。
図9(a)〜(d)では、
図8(a)のソルダレジスト層24の開口部24aの領域が部分的に示されている。
【0068】
図9(a)に示すように、まず、ソルダレジスト層24の上及びその開口部24aの内面に、無電解めっき又はスパッタ法により、銅などからなるシード層34xを形成する。
【0069】
次いで、
図9(b)に示すように、ソルダレジスト層24の開口部24a上のシード層34xの上に開口部15aが設けられためっきレジスト層15をフォトリソグラフィに基づいて形成する。
【0070】
さらに、
図9(c)に示すように、シード層34xをめっき給電経路に利用する電解めっきにより、銅などからなる金属めっき層34yを形成する。その後に、同様な電解めっきにより、金属めっき層34yの上にはんだ層34bを形成する。はんだ層34bとしては、例えば、錫(Sn)/銀(Ag)系はんだが使用される。
【0071】
続いて、
図9(d)に示すように、めっきレジスト層15が除去される。さらに、
図9(e)に示すように、金属めっき層34yをマスクにしてシード層34xをウェットエッチングにより除去する。シード層34x及び金属めっき層34yにより金属柱34の柱部34aが形成される。
【0072】
以上により、
図8(a)に示した金属柱34が形成される。
図8(a)では、
図9(e)のシード層34xが省略されて描かれている。
【0073】
本実施形態では、金属柱34をめっきレジスト層15の開口部15aに電解めっきで形成するため、はんだボールなどを使用する場合に比べて金属柱34の狭ピッチで配列することができる。
【0074】
例えば、金属柱34の直径は60μm〜100μm程度34であり、金属柱34の高さは80μm〜160μm程度であり、金属柱34の配置ピッチは100μm程度である。
【0075】
なお、上下の配線基板を接続する接続端子に狭ピッチ化が要求されない場合は、接続端子として、はんだボール、又は、銅コアなどの導体コアを有するはんだボールを使用してもよい。
【0076】
さらに、
図8(b)に示すように、加熱処理して金属柱34の先端のはんだ層34bをリフローさせることにより、はんだ層34bの上面側を半球状に丸める。
【0077】
以上により、支持体10の上に金属柱34を含む上側コアレス配線基板2が形成された上側配線部材UWが得られる。
【0078】
なお、金属柱34を電解めっきに基づいて形成する方法を例示したが、金属ワイヤなどを切断して得られる金属柱部品を振込器で整列させて各パッドPにはんだなどで接合してもよい。
【0079】
本実施形態では、前述したように、薄膜の上側コアレス配線基板2を製造する工程は、支持体10の上で行なわれるため、上側コアレス配線基板2に反りが発生するおそれがない。
【0080】
次に、本実施形態の電子部品装置の下側配線基板として使用される下側コア有配線基板の製造方法について説明する。
【0081】
最初に、
図10の構造体を得るまでの製造方法を説明する。まず、コア層40を用意する。コア層40は、織布又は不織布などの繊維補強材に樹脂を含浸させて得られるガラスエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂などの繊維補強材含有樹脂から形成される。コア層40が備える繊維補強材としては、ガラス繊維の他に、アラミド繊維又はカーボン繊維などがある。
【0082】
コア層40の厚みは、例えば、80μm〜200μmであり、前述した
図8(b)の上側コアレス配線基板2の1層の絶縁層20の厚み(例えば30μm)よりも厚く設定される。このように、コア層40の厚みは、剛性を確保するために上側コアレス配線基板2の1層の絶縁層20の厚みの2倍以上に設定されることが好ましい。
【0083】
コア層40は、全体にわたって繊維補強材含有樹脂から形成され、ある程度の剛性を確保するため厚みが80μm以上に設定される。
【0084】
なお、前述した
図8(b)の上側コアレス配線基板2の絶縁層20内に薄膜の繊維補強材含有樹脂層を形成して強度を補強する場合があるが、これは補助層であってコア層ではない。
【0085】
次いで、コア層40に厚み方向に貫通するスルーホールTHをドリルなどで形成する。さらに、コア層40の両面に、スルーホールTH内に形成された貫通導体TCを介して相互接続される第1配線層51をそれぞれ形成する。
【0086】
貫通導体TC及び第1配線層51はフォトリソグラフィ及びめっき技術に基づいて形成される。貫通導体TC及び第1配線層51は銅などから形成される。また、配線層51の厚みは、例えば、10μm〜20μm程度に設定される。
【0087】
コア層40に形成される貫通導体TCは、スルーホールTH内に銅めっき層などを充填して形成してもよい。この場合は、コア層40の両面側からレーザ加工を行い、コア層40の厚みの中央部分の直径がコア層40の表裏の開口端の直径よりも小さいスルーホールTHを形成する。そして、そのスルーホールTH内に電解めっきによって銅層を充填して貫通導体TCを形成する。
【0088】
あるいは、貫通導体TCはスルーホールTHの側壁に形成されたスルーホールめっき層であってもよく、その場合はスルーホールTHの残りの孔に樹脂が充填される。
【0089】
コア層40に形成されるスルーホールTHは垂直方向にストレートに形成される。一方、前述した
図8(b)の上側コアレス配線基板2の絶縁層20に形成されるビアホールVHはテーパ形状で形成される点でもコア層40と異なる。
【0090】
このように、コア層40は、厚みが80μm以上の繊維補強材含有樹脂層から形成され、ストレート形状のスルーホールTHを備える点で、コアレス基板の薄膜の絶縁層と差別化される。
【0091】
次いで、コア層40の両面側に第1配線層51の接続部上に第1ビアホールVH1が配置された第1絶縁層61をそれぞれ形成する。第1絶縁層61の厚みは、例えば、20μm〜35μm程度に設定される。
【0092】
第1絶縁層61は未硬化の樹脂フィルムを貼付し、加熱処理して硬化させることにより形成される。樹脂フィルムとしては、例えば、非感光性の熱硬化性の絶縁樹脂が使用される。そのような絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などがある。また、第1ビアホールVHは第1絶縁層61をレーザ加工することによって形成される。
【0093】
続いて、コア層40の上面側の第1絶縁層61の上に、第1ビアホールVH1内のビア導体VCを介して第1配線層51に接続される金属層23aをブランケット状に全面に形成する。
【0094】
さらに詳しくは、まず、第1絶縁層61上及び第1ビアホールVH1の内面に無電解めっき又はスパッタ法により銅などからなるシード層を形成する。その後に、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより銅めっき層などを形成して金属層23aを得る。金属層23aの厚みは、例えば、10μm〜20μm程度に設定される。
【0095】
さらに同時に、コア層40の下面側の第1絶縁層61の上に第1ビアホールVH1内のビア導体を介して第1配線層51に接続される第2配線層52を形成する。第2配線層52は、前述した
図7(a)〜(d)と同様なセミアディティブ法によって形成される。例えば、第2配線層52の厚みは10μm〜20μm程度に設定され、第2配線層52のライン(幅):スペース(間隔)は16μm:16μm程度に設定される。
【0096】
続いて、コア層40の下面側の第1絶縁層61の上に、第2配線層52の接続部上に開口部42aが設けられたソルダレジスト層42を形成する。ソルダレジスト層42の厚みは、例えば、20μm〜40μm程度に設定される。
【0097】
ソルダレジスト層42として、フェノール樹脂又はポリイミド樹脂などからなる感光性の絶縁樹脂が使用される。
【0098】
次いで、
図11に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によって、上面側の金属層23aを第1絶縁層61が露出するまで研磨し、さらに、第1絶縁層61の表面を研磨して平坦化する。
【0099】
これにより、第1配線層51の段差の影響で生じた第1絶縁層61のグローバル段差が解消され、第1絶縁層61の上面は平坦面として形成される。
【0100】
そして、第1絶縁層61の第1ビアホールVH1内にビア導体VCがビア電極として残される。これにより、ビア導体VCの上面と第1絶縁層61の上面とが同一面となって平坦化される。
【0101】
このように、コア層40の上面側に形成される金属層23aは下地の平坦化のために形成され、研磨によって除去される。平坦化された第1絶縁層61の上面の表面粗さは、第1ビアホールVH1の内面の表面粗さより小さくなる。平坦化前の第1絶縁層61の上面の表面粗さ(Ra)は300nm〜400nmであり、平坦化後の第1絶縁層61の上面の表面粗さ(Ra)は15nm〜40nmである。
【0102】
続いて、
図12に示すように、コア層40の上面側の第1絶縁層61の上に、ビア導体VCに接続される第2配線層52を形成する。第2配線層52は、前述した
図7(a)〜(d)と類似したセミアディティブ法で形成される。
【0103】
具体的には、まず、第1絶縁層61及びビア導体VCの上に、スパッタ法により下から順にチタン層及び銅層を形成してシード層とする。続いて、第2配線層52が配置される部分に開口部が設けられためっきレジスト層をシード層の上に形成する。
【0104】
次いで、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト層の開口部に銅などの金属めっき層を形成する。さらに、めっきレジスト層を除去した後に、金属めっき層をマスクにしてシード層を除去することにより、第2配線層52が得られる。第2配線層52の厚みは、例えば、1μm〜3μmに設定される。
【0105】
第1絶縁層61の上面は平坦化されているため、微細パターンを形成する際にフォトリソグラフィの焦点深度が低下するとしても、基板内で精度よく微細なめっきレジストをパパターニングすることができる。
【0106】
これにより、ライン(幅):スペース(間隔)が、例えば2μm:2μmの微細な第2配線層52を設計スペック内で歩留りよく形成することができる。後述する第3〜第4配線層及びパッドの形成においても同様である。
【0107】
続いて、
図13に示すように、
図12の第1絶縁層61及び第2配線層52の上に、感光性樹脂(不図示)を形成し、フォトリソグラフィに基づいて露光・現像を行った後に、加熱処理して硬化させる。感光性樹脂の形成は、液状樹脂を塗布してもよいし、薄膜の樹脂フィルムを貼付してもよい。
【0108】
これにより、第2配線層52の接続部上に第2ビアホールVH2が配置された第2絶縁層62が第1絶縁層61の上に形成される。
【0109】
感光性樹脂をフォトリソグラフィによってパターニングすることにより、微細な第2ビアホールVH2を備えた薄膜の第2絶縁層62を形成することができる。第2絶縁層62の厚みは、例えば、5μm〜10μm程度に設定される。
【0110】
第2絶縁層62の好適な一例としては、感光性を有するフェノール系樹脂又はポリイミド樹脂から形成される永久レジスト層が使用される。以下の他の絶縁層を形成する際にも同様な樹脂材料及び形成方法が採用される。
【0111】
続いて、前述したコア層40の上面側の第2配線層52の形成と同様なセミアディティブ法により、第2ビアホールVH2内のビア導体を介してコア層40の上面側の第2配線層52に接続される第3配線層53を第2絶縁層62の上に形成する。
【0112】
次いで、第2絶縁層62と同様に、第3配線層53の接続部上に第3ビアホールVH3が配置された第3絶縁層63を第2絶縁層62の上に形成する。
【0113】
さらに、同様に、第3絶縁層63の上に、第3ビアホールVH3内のビア導体を介して第3配線層53に接続される第4配線層54を形成する。
【0114】
次いで、同様に、第4配線層54の接続部上に第4ビアホールVH4が配置された第4絶縁層64を第3絶縁層63の上に形成する。
【0115】
さらに、同様に、第4絶縁層64の上に、第4ビアホールVH4内のビア導体を介して第4配線層54に接続されるパッドPを第5配線層として形成する。パッドPは、島状に配置されてもよく、引き出し配線の一端に配置されていてもよい。
【0116】
第2絶縁層62、第3絶縁層63及び第4絶縁層64の各厚みは、第1絶縁層61の厚みよりも薄く設定される。また、コア層40の上面側の第2配線層52、第3配線層53及び第4配線層54の各々のライン(幅):スペース(間隔)は、第1配線層51及びコア層40の下面側の第2配線層52の各々のライン(幅):スペース(間隔)よりも狭く設定されている。
【0117】
以上により、第1実施形態の電子部品装置で使用される下側コア有配線基板1が得られる。
【0118】
次に、
図14に示すように、電子部品として2つの半導体チップ70を用意し、各半導体チップ70のバンプ電極72を下側コア有配線基板1の中央部のパッドPにフリップチップ接続して搭載する。その後に、各半導体チップ70と下側コア有配線基板1との間の隙間にアンダーフィル樹脂74を充填する。
【0119】
ここで、半導体チップ70をフリップチップ接続する際のリフロー加熱時に、半導体チップ70と下側コア有配線基板1との熱膨張係数の違いに基づいて熱応力が発生するため、下側コア有配線基板1がチップ搭載側に凸状に反った状態となる。
【0120】
なお、
図14の例では、電子部品として半導体チップ70を搭載しているが、キャパシタ、抵抗素子、インダクタ素子などの各種の電子部品を搭載してもよい。
【0121】
次に、上記した
図14の半導体チップ70が搭載された下側コア有配線基板1の上に、前述した
図8(b)の上側配線部材UWを積層する方法について説明する。
【0122】
図15に示すように、
図14の下側コア有配線基板1の周縁側のパッドPの上に上側配線部材UWの金属柱34の先端のはんだ層34bが配置されるように、下側コア有配線基板1の上に上側配線部材UWを積層する。
【0123】
さらに、
図16に示すように、加熱処理を行うことによって金属柱34のはんだ層34bをリフローさせて、下側コア有配線基板1のパッドPと上側配線部材UWの金属柱34とを接合する。
【0124】
これにより、半導体チップ70は、金属柱34によって構築される下側コア有配線基板1と上側配線部材UWとの間のスペースに収容された状態となる。
【0125】
さらに、
図17に示すように、下側コア有配線基板1と上側配線部材UWとの間に封止樹脂76を充填する。封止樹脂76は、例えば、エポキシ樹脂から形成され、トランスモールドによって充填される。これにより、半導体チップ70が封止樹脂76によって封止される。
【0126】
この時点で、下側コア有配線基板1に発生している凸状の反りは、上側配線部材UWの支持体10によって矯正される。
【0127】
その後に、
図18に示すように、
図17の上側配線部材UWから支持体10をウェットエッチングによって除去する。支持体10が銅からなる場合は、アルカリ系のウェットエッチング液を使用することにより、パッドPの最外の金層又はニッケル層、及び絶縁層20に対して選択的に支持体10をエッチングすることができる。
【0128】
このようにして、上側配線部材UWから支持体10が除去されて上側コアレス配線基板2が残される。
【0129】
ここで、本実施形態と違って、上側コアレス配線基板2の絶縁層20の上面側に補強層Rが形成されていない場合は、支持体10が除去された上側コアレス配線基板2は剛性が弱いため、下側コア有配線基板1が残留応力によって凸状の反りに戻ってしまう。
【0130】
しかし、本実施形態では、上側コアレス配線基板2は上面側に補強層Rを備えているため、下側コア有配線基板1が凸状に反ろうとする応力を打ち消すことができる。これにより、上側配線部材UWから支持体10が除去された後でも、補強層Rの作用によって下側コア有配線基板1の反りが矯正されたままの状態となる。
【0131】
なお、前述したように、パッドPの金層又はニッケル層の外面側に銅層を形成しておくことで、絶縁層20の外面から内部に沈み込んで配置されるパッドPを形成することができる。
【0132】
次いで、
図19に示すように、下側コア有配線基板1の下面側の第2配線層52にはんだボールを搭載するなどして外部接続端子Tを形成する。
【0133】
さらに、
図20に示すように、下側コア有配線基板1及び上側コアレス配線基板2が複数の製品領域を備えた多面取り用の大型基板である場合は、各製品領域が得られるように、上側コアレス配線基板2の上面から下側コア有配線基板1の下面まで切断される。
【0134】
以上により、第1実施形態の電子部品装置3が得られる。
【0135】
図20に示すように、第1実施形態の電子部品装置3は、半導体チップ70が搭載された下側コア有配基板1と、半導体チップ70を収容するようにして下側コア有配線基板1の上に金属柱34を介して積層された上側コアレス配線基板2とを備えている。
【0136】
下側コア有配線基板1は、厚み方向の内部にコア層40を備えている。コア層40の両面側に第1配線層51がそれぞれ形成されている。コア層40には貫通導体TCが形成されており、両面側の第1配線層51は貫通導体TCを介して相互接続されている。
【0137】
コア層40の両面側には第1配線層51の接続部上に第1ビアホールVH1が配置された第1絶縁層61がそれぞれ形成されている。コア層40の下面側の第1絶縁層61の上には、第1ビアホールVH1を介して第1配線層51に接続される第2配線層52が形成されている。
【0138】
さらに、コア層40の下面側の第1絶縁層61の上には、第2配線層52の接続部上に開口部42aが設けられたソルダレジスト層42が形成されている。
【0139】
ソルダレジスト層42の開口部42a内の第2配線層52に外部接続端子Tが形成されている。
【0140】
また、コア層40の上面側の第1絶縁層61の第1ビアホールVH1内にはビア導体VCが充填されている。コア層40の上面側の第1絶縁層61の上面は研磨によって平坦化されており、第1絶縁層61の上面とビア導体VCの上面とは面一となっている。
【0141】
上面側の第1絶縁層61の上にはビア導体VCに接続された第2配線層52が形成されている。
【0142】
さらに、平坦化された第1絶縁層61の上に、第2配線層52に接続される微細な多層配線層MRが形成されている。多層配線層MRは、第2配線層52、第2絶縁層62、第3配線層53、第3絶縁層63、第4配線層54、第4絶縁層64、及びパッドPが順に積層されて形成されている。
【0143】
第2配線層52は、第2絶縁層62に形成された第2ビアホールVH2を介して第3配線層53に接続されている。また、第3配線層53は、第3絶縁層63に形成された第3ビアホールVH3を介して第4配線層54に接続されている。さらに、第4配線層54は第4絶縁層64に形成された第4ビアホールVH4を介してパッドPに接続されている。
【0144】
前述したように、多層配線層MRは平坦化された第1絶縁層61の上に形成されるため、第1配線層51の配線ピッチよりも狭く設定することができる。
【0145】
以上のようにして、下側コア有配線基板1が構築されている。
そして、下側コア有配線基板1の中央部のパッドPに2つの半導体チップ70のバンプ電極72がフリップチップ接続されている。さらに、半導体チップ70の下側にアンダーフィル樹脂74が充填されている。
【0146】
微細な多層配線層MRの全体の厚みをソルダレジスト層42の厚みと同じに設定するか、あるいはソルダレジスト層42の厚み以下とすることにより、下側コア有配線基板1自体の反りを低減することができる。
【0147】
これは、コア層40の上下側で、絶縁層やソルダレジスト層の体積及び配線層の体積の釣り合いがとれるようになるからである。
【0148】
下側コア有配線基板1の上に積層された上側コアレス配線基板2はコア層を有していない。上側コアレス配線基板2は基板として薄膜の絶縁層20を有し、絶縁層20の上面(外面)側の中央部に補強層Rが形成されている。また、絶縁層20の上面の補強層Rの周囲の領域に複数のパッドPが並んで形成されている。
【0149】
補強層RはパッドP(配線層)と同一層から形成され、各々の側面及び下面が絶縁層20に埋め込まれており、各々の上面が絶縁層20から露出している。これは前述したように、支持体10の上に上側コアレス配線基板2が形成された上側配線部材UWから支持体10が除去され、その上側コアレス配線基板2が上下反転して配置されたためである。
【0150】
絶縁層20にはパッドPに到達するビアホールVHが形成されている。ビアホールVHは上部から下部になるにつれて直径が大きくなる逆テーパ形状となって形成されている。これは、パッドP上の絶縁層20を上面からレーザ加工してビアホールVHし、そのビアホールVHが上下反転して配置されたためである。
【0151】
上記した下側コア有配線基板1の第1〜第4ビアホールVH1〜VH4は上部から下部になるにつれて直径が小さくなる順テーパ形状であり、上側コアレス配線基板2のビアホールVHと逆の形状になっている。
【0152】
また、絶縁層20の下面にはビアホールVH内のビア導体を介してパッドPに接続される配線層30が形成されている。配線層30はその側面及び下面が絶縁層20から露出した状態で形成されている。
【0153】
また、絶縁層20の下面には、配線層30の接続部上に開口部24aが設けられたソルダレジスト層24が形成されている。ソルダレジスト層24の開口部24aに配線層20に接続される金属柱34が形成されている。
【0154】
そして、上側コアレス配線基板2に形成された金属柱34の先端がはんだ層34bによって下側コア有配線基板1の周縁側のパッドPに接合されている。
【0155】
このように、上側コアレス配線基板2では、絶縁層20と配線層30及びパッドPとが積層されている。そして、絶縁層20のビアホールVH内に形成された全てのビア導体は、電子部品装置3の外面側の直径が電子部品装置3の内方側の直径よりも小さい円錐台形状となっている。
【0156】
さらに、下側コア有配線基板1と上側コアレス配線基板2の間に封止樹脂76が充填されており、半導体チップ70が封止樹脂76で封止されている。
【0157】
第1実施形態の電子部品装置3では、半導体チップ70が搭載された下側コア有配線基板1は凸状に反ろうとする残留応力を有している。また、上側コアレス配線基板2では、その絶縁層20の上面側に補強層Rが形成されている。
【0158】
本実施形態では、前述した
図2のシミュレーション結果のように、上側コアレス配線基板2の補強層Rの作用によって下側コア有配線基板1内の凸状に反ろうとする残留応力を打ち消すことができる。このため、電子部品装置3に反りが発生することが防止される。
【0159】
前述した
図2のシミュレーション結果のように、下側コア有配線基板1に搭載された半導体チップ70からある程度離れた位置の上側コアレス配線基板2の絶縁層20の上面側に補強層Rを配置することが肝要である。
【0160】
また、補強層Rは半導体チップ70に対応する領域に配置される。補強層Rの面積は、半導体チップ70の面積よりも一回り小さく設定してもよいし、あるいは半導体チップ70の面積より大きく設定されてもよい。好適には、補強層Rの面積は、半導体チップ70の面積の0.8倍〜2倍程度に設定される。
【0161】
図20のように、複数の半導体チップ70が搭載される場合は、複数の半導体チップ70が配置された一括した領域を半導体チップ70の面積とすればよい。
【0162】
補強層Rは、平面視して半導体チップ70の搭載領域と重複して配置される。
【0163】
なお、上側コアレス配線基板2の全体の厚みを下側コア有配線基板1のコア層40の厚みより薄くしてもよい。この場合でも、補強層Rの存在により電子部品装置3の反りの発生を防止することができる。
【0164】
また、第1実施形態の電子部品装置3では、上側配線基板をコアレス基板としているため、薄型化を図ることができる。また、高性能な半導体チップ70の高密度実装に合わせて、金属柱34の配列を狭ピッチ化できるため、小型化を図ることができる。
【0165】
例えば、下側コア有配線基板1の接続端子Tを除く厚みは、200〜250μm程度であり、上側コアレス配線基板2の金属柱34を除く厚みは70μm〜100μmである。このように、コアレス基板とすることにより、コア有基板よりもの厚みをかなり薄くすることができる。
【0166】
図21の部分平面図に示すように、補強層Rは、前述した
図1(平面図)で示したような一括した四角パターンの他に、一括パターンの内部に複数のガス抜き孔Gが開口されていてもよい。補強層Rのガス抜き孔G内には絶縁層20の樹脂が充填されている。
図21の例では、四角状のガス抜き孔Gによって補強層Rが格子状に形成されているが、円形や六角形などの各種の形状を採用することができる。
【0167】
これにより、各種の加熱処理によって電子部品装置3内でガスが発生するとしても、ガスが補強層Rの下に留まって膨張するおそれがなくなり、層間剥離などが発生することが防止される。
【0168】
以上説明したように、第1実施形態の電子部品装置3では、下側コア有配線基板1と上側コアレス配線基板2とを用いている。多層配線層MRを有する下側コア有配線基板1では、平坦化された第1絶縁層61の上に多層配線層MRが形成されている。このため、一般的なコア層を有する配線基板と比較し、多層配線層MRのライン(幅):スペース(間隔)を狭くすることができる。
【0169】
よって、多層配線層MRに、金属柱34や半導体チップ70を接続するためのパッドPを高密度で配置することができる。これにより、下側コア有配線基板1の平面的なサイズを小型化することができる。
【0170】
また同様に、上側コアレス配線基板2を製造する際には、平坦な支持体10の上に絶縁層と配線層とが積層される。このため、一般的なコア層を有する配線基板と比較し、配線層のライン(幅):スペース(間隔)を狭くすることができる。
【0171】
よって、上側コアレス配線基板2に、金属柱34や半導体チップ70を接続するためのパッドを高密度で配置することができる。これにより、上側コアレス配線基板2の平面的なサイズを小型化することができる。しかも、上側コアレス配線基板2はコア層を有さないため、配線基板を薄型化することができる。
【0172】
また、下側コア有配線基板1と上側コアレス配線基板2とを接続する接続端子として、はんだボールよりも狭ピッチ化が可能な金属柱34を使用している。
【0173】
このように、第1実施形態の電子部品装置3では、上記した配線基板及び接続端子を用いるため、さらなる小型化及び薄型化が可能になる。
【0174】
図22には、第1実施形態の電子部品装置3の使用例が示されている。
図22に示すように、さらに、別の半導体パッケージ8を用意する。半導体パッケージ8は、配線基板80の上面のパッドPに半導体チップ90のバンプ電極92がフリップチップ接続されている。半導体チップ90と配線基板80との間にアンダーフィル樹脂94が充填されている。
【0175】
そして、半導体パッケージ8の配線基板80の下面のパッドPがはんだ電極96を介して、電子部品装置3の上側コアレス配線基板2の上面側のパッドPに接続されている。
【0176】
例えば、電子部品装置3の半導体チップ70はCPUなどのロジックチップであり、半導体パッケージ8の半導体チップ90はDRAMなどのメモリチップである。
【0177】
さらに、下側コア有配線基板1の外部接続端子Tがマザーボードなどの実装基板の接続電極(不図示)に接続される。
【0178】
本実施形態の電子部品装置3では、反りの発生が防止されるため、電子部品装置3の上に別の半導体パッケージ8を信頼性よく接続することができる。また同様な理由で、電子部品装置3の外部接続端子Tを信頼性よく実装基板に接続することができる。
【0179】
図22の例では、電子部品装置3の上に別の半導体パッケージ8を搭載しているが、半導体チップ、チップキャパシタ、インダクタ、又は抵抗などの各種の電子部品を搭載してもよい。
【0180】
例えば、半導体チップを搭載する場合は、上側コアレス配線基板2のパッドPに半導体チップの電極をフリップチップ接続し、半導体チップと絶縁層20との間にアンダーフィル樹脂を充填する。
【0181】
図23には、第1実施形態の第1変形例の電子部品装置3aが示されている。
図23の第1変形例の電子部品装置3aのように、前述した
図20の電子部品装置3において、上側コアレス配線基板2の下面側のソルダレジスト層24を省略してもよい。これにより、ソルダレジスト層24の厚み分(例えば20μm)だけ電子部品装置を薄型化することができる。
【0182】
図24には、第1実施形態の第2変形例の電子部品装置3bが示されている。
図24の第2変形例の電子部品装置3bのように、前述した
図20の電子部品装置3において、上側コアレス配線基板2の上面側にパッドP上に開口部26aが設けられたソルダレジスト層26を形成してもよい。
【0183】
これにより、前述した
図22のように他の半導体パッケージ8を上側コアレス配線基板2のパッドPに接続する際に、はんだ電極96のはんだがソルダレジスト層26でせき止められる。よって、パッドPが狭ピッチ化される場合であっても、はんだ電極96同士の電気ショートの発生が防止される。
【0184】
また、
図25には、第1実施形態の第3変形例の電子部品装置3cが示されている。
図25に示すように、第3変形例の電子部品装置3cでは、前述した
図20の電子部品装置3において、上側コアレス配線基板2の配線層が多層化され、内部の絶縁層に補強層Rが埋め込まれている。
【0185】
詳しく説明すると、第1絶縁層21の上面の全体領域に複数のパッドPが形成されている。パッドPの側面及び下面が第1絶縁層21に埋め込まれている。第1絶縁層21の下面の中央部に補強層Rが形成されている。
【0186】
また、第1絶縁層21の下面の補強層Rの周囲には、第1絶縁層21に形成された第1ビアホールVH1内のビア導体を介してパッドPに接続される第1配線層31が形成されている。
【0187】
また、第1絶縁層21の下には第1配線層31に到達する第2ビアホールVH2が設けられた第2絶縁層22が形成されている。さらに、第2絶縁層22の下面には、第2ビアホールVH2を介して第1配線層31に到達する第2配線層32が形成されている。
【0188】
そして、上側コアレス配線基板2の第2配線層32に金属柱34が接続されている。他の要素は前述した
図20の電子部品装置3と同じである。
【0189】
前述した
図20の電子部品装置3では、上側コアレス配線基板2の絶縁層20の上面の中央部に補強層Rが配置されるため、パッドPを絶縁層20の上面の全体領域に配置する要求がある場合に容易に対応することはできない。
【0190】
これに対して、第3変形例の電子部品装置3cでは、多層配線を採用し、補強層Rの上に第1絶縁層21が形成されるため、第1絶縁層21の上面の全体領域に複数のパッドPを配置することができる。
【0191】
図26〜
図28には、第1実施形態の電子部品装置の別の製造方法が示されている。前述した電子部品装置の製造方法では、上側コアレス配線基板2に金属柱34を形成している。
【0192】
電子部品装置の別の製造方法では、
図26に示すように、前述した
図13の下側コア有配線基板1を用意し、下側コア有配線基板1の周縁側のパッドPに金属柱34を形成する。金属柱34は、前述した
図8及び
図9と同様な方法によって形成される。
【0193】
さらに、
図27に示すように、金属柱34が形成された下側コア有配線基板1の中央部のパッドPに半導体チップ70のバンプ電極72をフリップチップ接続した後に、その下側にアンダーフィル樹脂74を充填する。
【0194】
次いで、
図28に示すように、下側コア有配線基板1の金属柱34の上に前述した
図6(b)の上側配線部材UWのパッドPを配置する。さらに、加熱処理を行うことによって金属柱34のはんだ層34bをリフローさせて、下側コア有配線基板1の金属柱34と上側配線部材UWのパッドPとを接合する。その後に、
図29に示すように、上側配線部材UWから支持体10が除去される。
【0195】
これにより、
図29に示すように、前述した
図20の電子部品装置3と実質的に同一構造の電子部品装置3dが得られる。前述した
図20の電子部品装置3では、金属柱34のはんだ層34bが下側コア有配線基板1のパッドPに接合される。これとは逆に、
図28の電子部品装置3dでは、金属柱34のはんだ層34bが上側コアレス配線基板2のパッドPに接合される。
【0196】
(第2の実施の形態)
図30〜
図33は第2実施形態の電子部品装置の製造方法を示す図、
図34は第2実施形態の電子部品装置を示す図である。
【0197】
第2実施形態では、下側配線基板及び上側配線基板として、共に、コア層を有さないコアレス配線基板を使用する。
【0198】
図30に示すように、前述した第1実施形態の
図3(a)〜
図6(b)の工程を遂行することにより、
図6(b)の上側配線部材UWと実質的に同一構造の下側配線部材LWを作成する。
図30の下側配線部材LWは、
図6(b)の上側配線部材UWの配線層30がパッドPとして形成される点で
図6(b)と異なり、他の要素は同一である。
【0199】
次いで、
図31に示すように、下側配線部材LWの中央部のパッドPに半導体チップ70のバンプ電極72をフリップチップ接続する。このとき、第1実施形態と同様に、半導体チップ70と下側配線部材LWとの間の熱膨張係数の差に基づいて発生する熱応力が内部に残留する。この時点では、下側配線部材LWは支持体10を有するため、見かけ上は反りは発生しない。
【0200】
その後に、半導体チップ70の下側の隙間にアンダーフィル樹脂74を充填する。
【0201】
続いて、
図32に示すように、前述した第1実施形態の
図8(b)と同一構造の金属柱34が形成された上側配線部材UWを用意する。そして、下側配線部材LWの周縁側のパッドPに上側配線部材UWの金属柱34を配置する。
【0202】
さらに、加熱処理を行うことによって金属柱34のはんだ層34bをリフローさせて、下側配線部材LWのパッドPと上側配線部材UWの金属柱34とを接合する。
【0203】
さらに、下側配線部材LWと上側配線部材UWとの間に封止樹脂76を充填して、半導体チップ70を封止する。その後に、
図33に示すように、下側配線部材LW及び上側配線部材UWから支持体10をそれぞれ除去する。
【0204】
これにより、下側配線部材LW及び上側配線部材UWから下側コアレス配線基板1a及び上側コアレス配線基板2が得られる。下側コアレス配線基板1aの絶縁層20の下面側に補強層R及びパッドPが露出する。また同様に、上側コアレス配線基板2の絶縁層20の上面側に補強層R及びパッドPが露出する。
【0205】
さらに、
図34に示すように、下側配線基板1aの下面に露出するパッドPにはんだボールを搭載するなどして外部接続端子Tを設ける。その後に、必要に応じて、各製品領域が得られるように、上側コアレス配線基板2及び下側コアレス配線基板1aを切断する。
【0206】
以上により、第2実施形態の電子部品装置4が得られる。
【0207】
図34に示すように、第2実施形態の電子部品装置4では、下側配線基板として下側コアレス配線基板1aが使用され、上側配線基板として上側コアレス配線基板2が使用されており、上下の基板が共にコアレス基板となっている。
【0208】
下側コアレス配線基板1aの中央部のパッドPに2つの半導体チップ70のバンプ電極72がフリップチップ接続されている。半導体チップ70の下側にはアンダーフィル樹脂74が充填されている。
【0209】
上側コアレス配線基板2に形成された金属柱34の先端が下側コアレス配線基板1aの周縁側のパッドPにはんだ層34bによって接合されている。
【0210】
半導体チップ70は金属柱34によって構築される下側コアレス配線基板1aと上側コアレス配線基板2との間のスペースに収容されている。さらに、下側コアレス配線基板1aと上側コアレス配線基板2との間に封止樹脂76が充填されて、半導体チップ70が封止樹脂76で封止されている。
【0211】
第2実施形態では、上側コアレス配線基板2の絶縁層20の上面(外面)側に補強層Rが形成されているばかりでではなく、下側コアレス配線基板1aの絶縁層20の下面(外面)側にも補強層Rが形成されている。
【0212】
これにより、下側配線部材LW及び上側配線部材UWから支持体10をそれぞれ除去した後に、半導体チップ70が搭載された下側コアレス配線基板1aの残留応力が解放されるとしても、両面側の補強層Rの作用により反りの発生が防止される。
【0213】
また、下側配線基板及び上側配線基板が共にコアレス基板であるため、第1実施形態よりもさらに薄型化を図ることができる。
【0214】
(第3の実施の形態)
図35〜
図39は第3実施形態の電子部品装置の製造方法を示す図、
図40は第3実施形態の電子部品装置を示す図である。
【0215】
第3実施形態では、第1実施形態と逆に、下側配線基板として下側コアレス配線基板を使用し、上側配線基板として上側コア有配線基板を使用する。
【0216】
まず、
図35に示すように、前述した第1実施形態の
図12の製造途中の配線部材の第2配線層52をパッドPとして形成する。さらに、第1絶縁層61の上に、周縁側のパッドP上に開口部24aが設けられたソルダレジスト層24を形成する。
【0217】
続いて、前述した第1実施形態の
図8〜
図9と同様な方法により、ソルダレジスト層24の開口部24a内のパッドPの上に金属柱34を形成する、
これにより、第3実施形態で使用される上側コア有配線基板2aが得られる。あるいは、前述した第1実施形態の
図13のような多層配線層MR(
図20)を有する下側コア有配線基板1を用い、その多層配線層MRのパッドPに金属柱34を設けて、上側コア有配線基板2aとしてもよい。
【0218】
次に、
図36に示すように、前述した第2実施形態の
図30と同一の下側配線部材LWを用意する。続いて、
図37に示すように、前述した第2実施形態の
図31と同様に、下側配線部材LWの中央部のパッドPに半導体チップ70のバンプ電極72をフリップチップ接続する。
【0219】
このとき、第1実施形態と同様に、半導体チップ70と下側配線部材LWとの間の熱膨張係数の差に基づいて発生する熱応力が内部に残留する。この時点では、第2実施形態と同様に、下側配線部材LWは支持体10を有するため、見かけ上は反りは発生しない。その後に、半導体チップ70の下側にアンダーフィル樹脂74を充填する。
【0220】
次いで、
図38に示すように、下側配線部材LWのパッドPに
図35の上側コア有配線基板2aの金属柱34を配置する。
【0221】
続いて、加熱処理を行うことによって金属柱34のはんだ層34bをリフローさせて、下側配線部材LWのパッドPと上側コア有配線基板2aの金属柱34とを接合する。これにより、半導体チップ70は、金属柱34によって構築される下側配線部材LWと上側コア有配線基板2aとの間のスペースに収容される。
【0222】
さらに、下側配線部材LWと上側コア有配線基板2aとの間に封止樹脂76を充填して、半導体チップ70を封止する。
【0223】
次いで、
図39に示すように、
図38の下側配線部材LWから支持体10を除去する。これにより、下側コアレス配線基板1aが得られ、その下面に補強層R及びパッドPが露出する。その後に、
図40に示すように、下側配線基板1aの下面から露出するパッドPにはんだボールを搭載するなどして外部接続端子Tを形成する。
【0224】
その後に、必要に応じて、各製品領域が得られるように、上側コア有配線基板2a及び下側コアレス配線基板1aを切断する。以上により、第3実施形態の電子部品装置5が得られる。
【0225】
図40に示すように、第3実施形態の電子部品装置5では、下側配線基板として下側コアレス配線基板1aが使用され、上側配線基板として上側コア有配線基板2aが使用される。下側コアレス配線基板1aの中央部のパッドPに半導体チップ70のバンプ電極72がフリップチップ接続されている。
【0226】
半導体チップ70の下側にはアンダーフィル樹脂74が充填されている。半導体チップ70は、金属柱34によって構築される下側コアレス配線基板1aと上側コア有配線基板2aとの間のスペースに収容されている。
【0227】
上側コア有配線基板2aに形成された金属柱34の先端が下側コアレス配線基板の周縁側のパッドPにはんだ層34bによって接合されている。
【0228】
さらに、下側コアレス配線基板1aと上側コア有配線基板2aとの間に封止樹脂76が充填されて、半導体チップ70が封止樹脂76で封止されている。
【0229】
第3実施形態では、下側コアレス配線基板1aの絶縁層20の下面(外面)側に補強層Rが形成されている。
【0230】
これにより、半導体チップ70が搭載された下側配線部材LWから支持体10を除去した後に、下側コアレス配線基板1aの残留応力が解放されるとしても、下側コアレス配線基板1aの下面(外面)側の補強層Rの作用により反りを低減させることができる。