(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358977
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】熱処理装置、熱処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20180709BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20180709BHJP
H01L 21/22 20060101ALI20180709BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20180709BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/46
H01L21/22 511A
H01L21/02 Z
H01L21/31 E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-74088(P2015-74088)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-195167(P2016-195167A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】吉井 弘治
(72)【発明者】
【氏名】庄司 正文
【審査官】
正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−207256(JP,A)
【文献】
特開2013−207109(JP,A)
【文献】
特開平07−161640(JP,A)
【文献】
特開2002−252220(JP,A)
【文献】
特開2002−043301(JP,A)
【文献】
特開2009−260262(JP,A)
【文献】
特開2001−308085(JP,A)
【文献】
特開2000−181549(JP,A)
【文献】
特開2002−141347(JP,A)
【文献】
特開2002−334844(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0168442(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0232967(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0226933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/46
H01L 21/02
H01L 21/22
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の被処理体を収容する処理室内を加熱する加熱手段と、
前記処理室内に前記複数枚の被処理体を収容してから、該複数枚の被処理体が所定温度になるまでの処理室内の温度及び時間を示す降温レートモデルを記憶する降温レートモデル記憶手段と、
前記降温レートモデル記憶手段に記憶された降温レートモデルを設定し、前記処理室内を当該降温レートモデルに示す温度及び時間にする熱処理実行手段と、を備え、
前記降温レートモデル記憶手段には、降温レートが異なる複数の降温レートモデルが記憶され、
前記処理室は複数のゾーンに区分けされ、該ゾーン毎に前記降温レートモデルを設定可能であり、
前記熱処理実行手段は、少なくとも、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されやすいゾーンに降温レートが速い降温レートモデルを設定する、または、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されにくいゾーンに降温レートが遅い降温レートモデルを設定して、前記処理室内に収容された複数枚の被処理体を加熱する、ことを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
前記熱処理実行手段は、前記処理室内の上部ゾーンに降温レートが最も速い降温レートモデルを設定し、前記処理室内の下部ゾーン側に進むにしたがって、降温レートが遅い降温レートモデルを設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記熱処理実行手段は、前記ゾーン毎に異なる降温レートモデルを設定する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
複数枚の被処理体を収容する処理室内を加熱する加熱工程と、
前記処理室内に前記複数枚の被処理体を収容してから、該複数枚の被処理体が所定温度になるまでの処理室内の温度及び時間を示す降温レートモデルを記憶する降温レートモデル記憶工程と、
前記降温レートモデル記憶工程で記憶された降温レートモデルを設定し、前記処理室内を当該降温レートモデルに示す温度及び時間にする熱処理実行工程と、を備え、
前記降温レートモデル記憶工程では、降温レートが異なる複数の降温レートモデルが記憶され、
前記処理室は複数のゾーンに区分けされ、該ゾーン毎に前記降温レートモデルを設定可能であり、
前記熱処理実行工程では、少なくとも、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されやすいゾーンに降温レートが速い降温レートモデルを設定する、または、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されにくいゾーンに降温レートが遅い降温レートモデルを設定して、前記処理室内に収容された複数枚の被処理体を加熱する、ことを特徴とする熱処理方法。
【請求項5】
コンピュータを
複数枚の被処理体を収容する処理室内に前記複数枚の被処理体を収容してから、該複数枚の被処理体が所定温度になるまでの処理室内の温度及び時間を示す降温レートモデルを記憶する降温レートモデル記憶手段、
前記降温レートモデル記憶手段に記憶された降温レートモデルを設定し、前記処理室内を加熱する加熱手段を制御して前記処理室内を当該降温レートモデルに示す温度及び時間にする熱処理実行手段、
として機能させ、
前記降温レートモデル記憶手段には、降温レートが異なる複数の降温レートモデルが記憶され、
前記処理室は複数のゾーンに区分けされ、該ゾーン毎に前記降温レートモデルを設定可能であり、
前記熱処理実行手段は、少なくとも、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されやすいゾーンに降温レートが速い降温レートモデルを設定する、または、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されにくいゾーンに降温レートが遅い降温レートモデルを設定して、前記処理室内に収容された複数枚の被処理体を加熱する、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体を処理する熱処理装置、熱処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、多数枚の被処理体、例えば、半導体ウエハの成膜処理、酸化処理あるいは拡散処理などを一括して行うバッチ式の熱処理装置が用いられている。バッチ式の熱処理装置では、例えば、効率的に半導体ウエハを成膜することが可能であるが、処理容器内の温度安定までに長期間がかかるという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、ウエハボート搬入時には目標温度とは異なる温度設定値を出力し、ウエハボート搬入終了時あるいはその前後で温度設定値を目標温度に対応する第2の温度設定値に向かって変化させる熱処理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−334844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、処理容器内にウエハボートが搬入されることにより複数の半導体ウエハが処理容器内にロードされた状態で、処理容器内を所定の温度に加熱しても、処理容器内の上部領域と下部領域とに収容された半導体ウエハの温度に差が生じやすいという問題がある。このため、処理容器内に収容される半導体ウエハの面間温度差を低減することができる熱処理装置が望まれている。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、被処理体の面間温度差を低減することができる熱処理装置、熱処理方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる熱処理装置は、
複数枚の被処理体を収容する処理室内を加熱する加熱手段と、
前記処理室内に前記複数枚の被処理体を収容してから、該複数枚の被処理体が所定温度になるまでの処理室内の温度及び時間を示す降温レートモデルを記憶する降温レートモデル記憶手段と、
前記降温レートモデル記憶手段に記憶された降温レートモデルを設定し、前記処理室内を当該降温レートモデルに示す温度及び時間にする熱処理実行手段と、を備え、
前記降温レートモデル記憶手段には、降温レートが異なる複数の降温レートモデルが記憶され、
前記処理室は複数のゾーンに区分けされ、該ゾーン毎に前記降温レートモデルを設定可能であり、
前記熱処理実行手段は、少なくとも、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されやすいゾーンに降温レートが速い降温レートモデルを設定する、または、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されにくいゾーンに降温レートが遅い降温レートモデルを設定して、前記処理室内に収容された複数枚の被処理体を加熱する、ことを特徴とする。
【0008】
前記熱処理実行手段は、例えば、前記処理室内の上部ゾーンに降温レートが最も速い降温レートモデルを設定し、前記処理室内の下部ゾーン側に進むにしたがって、降温レートが遅い降温レートモデルを設定する。
【0009】
前記熱処理実行手段は、例えば、前記ゾーン毎に異なる降温レートモデルを設定する。
【0010】
本発明の第2の観点にかかる熱処理方法は、
複数枚の被処理体を収容する処理室内を加熱する加熱工程と、
前記処理室内に前記複数枚の被処理体を収容してから、該複数枚の被処理体が所定温度になるまでの処理室内の温度及び時間を示す降温レートモデルを記憶する降温レートモデル記憶工程と、
前記降温レートモデル記憶工程で記憶された降温レートモデルを設定し、前記処理室内を当該降温レートモデルに示す温度及び時間にする熱処理実行工程と、を備え、
前記降温レートモデル記憶工程では、降温レートが異なる複数の降温レートモデルが記憶され、
前記処理室は複数のゾーンに区分けされ、該ゾーン毎に前記降温レートモデルを設定可能であり、
前記熱処理実行工程では、少なくとも、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されやすいゾーンに降温レートが速い降温レートモデルを設定する、または、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されにくいゾーンに降温レートが遅い降温レートモデルを設定して、前記処理室内に収容された複数枚の被処理体を加熱する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
コンピュータを
複数枚の被処理体を収容する処理室
内に前記複数枚の被処理体を収容してから、該複数枚の被処理体が所定温度になるまでの処理室内の温度及び時間を示す降温レートモデルを記憶する降温レートモデル記憶手段、
前記降温レートモデル記憶手段に記憶された降温レートモデルを設定し、
前記処理室内を加熱する加熱手段を制御して前記処理室内を当該降温レートモデルに示す温度及び時間にする熱処理実行手段、
として機能させ、
前記降温レートモデル記憶手段には、降温レートが異なる複数の降温レートモデルが記憶され、
前記処理室は複数のゾーンに区分けされ
、該ゾーン毎に前記降温レートモデルを設定可能であり、
前記熱処理実行手段は、少なくとも、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されやすいゾーンに降温レートが速い降温レートモデルを設定する、または、前記処理室内に収容された被処理体が加熱されにくいゾーンに降温レートが遅い降温レートモデルを設定して、前記処理室内に収容された複数枚の被処理体を加熱する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被処理体の面間温度差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る熱処理装置の構造を示す図である。
【
図5】熱処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本実施の形態における各ゾーンの半導体ウエハの温度とロード後の時間との関係を示す図である。
【
図7】従来の各ゾーンの半導体ウエハの温度とロード後の時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の熱処理装置、熱処理方法、および、プログラムを、
図1に示すバッチ式の縦型の熱処理装置に適用した場合を例に本実施の形態を説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の熱処理装置1は、略円筒状で有天井の反応管2を備えている。反応管2は、その長手方向が垂直方向に向くように配置されている。反応管2は、耐熱及び耐腐食性に優れた材料、例えば、石英により形成されている。
【0016】
反応管2の下側には、略円筒状のマニホールド3が設けられている。マニホールド3は、その上端が反応管2の下端と気密に接合されている。マニホールド3には、反応管2内のガスを排気するための排気管4が気密に接続されている。排気管4には、バルブ、真空ポンプなどからなる圧力調整部5が設けられており、反応管2内を所望の圧力(真空度)に調整する。
【0017】
マニホールド3(反応管2)の下方には、蓋体6が配置されている。蓋体6は、ボートエレベータ7により上下動可能に構成され、ボートエレベータ7により蓋体6が上昇するとマニホールド3(反応管2)の下方側(炉口部分)が閉鎖され、ボートエレベータ7により蓋体6が下降すると反応管2の下方側(炉口部分)が開口されるように配置されている。
【0018】
蓋体6の上部には、保温筒(断熱体)8を介して、ウエハボート9が設けられている。ウエハボート9は、被処理体、例えば、半導体ウエハWを収容(保持)するウエハ保持具であり、本実施の形態では、半導体ウエハWが垂直方向に所定の間隔をおいて複数枚、例えば、150枚収容可能に構成されている。そして、ウエハボート9に半導体ウエハWを収容し、ボートエレベータ7により蓋体6を上昇させることにより、半導体ウエハWが反応管2内にロードされる。
【0019】
反応管2の周囲には、反応管2を取り囲むように、例えば、抵抗発熱体からなるヒータ部10が設けられている。このヒータ部10により反応管2の内部が所定の温度に加熱され、この結果、半導体ウエハWが所定の温度に加熱される。ヒータ部10は、例えば、5段に配置されたヒータ11〜15から構成され、ヒータ11〜15には、それぞれヒータコントローラ16〜20が接続されている。このため、このヒータコントローラ16〜20にそれぞれ独立して電力を供給することにより、ヒータ11〜15をそれぞれ独立に所望の温度に加熱することができる。このように、反応管2内は、このヒータ11〜15により、
図2に示すような5つのゾーンに区分されている。例えば、反応管2内のTOP(ZONE1)を加熱する場合には、ヒータコントローラ16を制御してヒータ11を所望の温度に加熱する。反応管2内のCENTER(CTR(ZONE3))を加熱する場合には、ヒータコントローラ18を制御してヒータ13を所望の温度に加熱する。反応管2内のBOTTOM(BTM(ZONE5))を加熱する場合には、ヒータコントローラ20を制御してヒータ15を所望の温度に加熱する。
【0020】
また、マニホールド3には、反応管2内に処理ガスを供給する複数の処理ガス供給管が設けられている。なお、
図1では、マニホールド3に処理ガスを供給する3つの処理ガス供給管21〜23を図示している。処理ガス供給管21は、マニホールド3の側方からウエハボート9の上部付近(ZONE1)まで延びるように形成されている。処理ガス供給管22は、マニホールド3の側方からウエハボート9の中央付近(ZONE3)まで延びるように形成されている。処理ガス供給管23は、マニホールド3の側方からウエハボート9の下部付近(ZONE5)まで延びるように形成されている。
【0021】
各処理ガス供給管21〜23には、それぞれ、流量調整部24〜26が設けられている。流量調整部24〜26は、処理ガス供給管21〜23内を流れる処理ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラ(MFC)などから構成されている。このため、処理ガス供給管21〜23から供給される処理ガスは、流量調整部24〜26により所望の流量に調整されて、それぞれ反応管2内に供給される。
【0022】
また、熱処理装置1は、反応管2内のガス流量、圧力、処理雰囲気の温度といった処理パラメータを制御するための制御部(コントローラ)50を備えている。制御部50は、流量調整部24〜26、圧力調整部5、ヒータ11〜15のヒータコントローラ16〜20等に制御信号を出力する。
図3に制御部50の構成を示す。
【0023】
図3に示すように、制御部50は、降温レートモデル記憶部51と、レシピ記憶部52と、ROM(Read Only Memory)53と、RAM(Random Access Memory)54と、I/O(Input/Output Port)ポート55と、CPU(Central Processing Unit)56と、これらを相互に接続するバス57と、から構成されている。
【0024】
降温レートモデル記憶部51には、降温レートが異なる複数の降温レートモデルが記憶されている。降温レートモデルとは、半導体ウエハWを反応管2内にロードしてから半導体ウエハWが所定温度になるまでの反応管2内の温度と時間との関係を示すモデルである。
図4に降温レートモデルの一例を示す。
図4に示すように、降温レートモデルは、例えば、反応管2内に収容された半導体ウエハWを100℃に加熱する場合、スタンバイ温度を200℃まで上げ、その後、反応管2内の温度を100℃まで徐々に降温する降温レートを示すモデルである。
【0025】
一般に、反応管2内にウエハボート9が搬入されることにより複数の半導体ウエハWが反応管2内にロードされ、半導体ウエハWを所定の温度に加熱する場合、反応管2の上部領域(TOP)に収容された半導体ウエハWの温度と、下部領域(BTM)に収容された半導体ウエハWの温度との間には差が生じやすい。本発明では、このような半導体ウエハWの面間温度差を低減するため、例えば、ゾーンに応じて、降温レートが異なる降温レートモデルを指定し、半導体ウエハWを所定の温度に加熱する。例えば、反応管2内のTOP(ZONE1)に降温レートが速い降温レートモデルを指定し、反応管2内のBTM(ZONE5)側に進むにしたがって降温レートが遅い降温レートモデルを指定する。これにより、反応管2内に収容された半導体ウエハWの温度が均一になり、反応管2内に収容される半導体ウエハWの面間温度差を低減することができる
【0026】
レシピ記憶部52には、この熱処理装置1で実行される成膜処理の種類に応じて、制御手順を定めるプロセス用レシピが記憶されている。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行う処理(プロセス)毎に用意されるレシピであり、反応管2への半導体ウエハWのロードから、処理済みの半導体ウエハWをアンロードするまでの温度、時間、ガス流量等を規定する。具体的には、各部の温度の変化、反応管2内の圧力変化、ガスの供給の開始及び停止のタイミング、供給量などを規定する。
【0027】
ROM53は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU56の動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。
RAM54は、CPU56のワークエリアなどとして機能する。
【0028】
I/Oポート55は、温度、圧力、ガスの流量に関する測定信号をCPU56に供給すると共に、CPU56が出力する制御信号を各部(圧力調整部5、ヒータ11〜15のヒータコントローラ16〜20、流量調整部24〜26等)へ出力する。また、I/Oポート55には、操作者が熱処理装置1を操作する操作パネル58が接続されている。
【0029】
CPU56は、制御部50の中枢を構成し、ROM53に記憶された動作プログラムを実行し、操作パネル58らの指示に従って、レシピ記憶部52に記憶されているプロセス用レシピに沿って、熱処理装置1の動作を制御する。
【0030】
バス57は、各部の間で情報を伝達する。
【0031】
次に、以上のように構成された熱処理装置1を用いた熱処理方法(熱処理)について説明する。以下、本実施の形態では、200℃に加熱した反応管2内に複数の半導体ウエハWをロードして、これらの半導体ウエハWを100℃に加熱する場合を例に説明する。
図5は、熱処理を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明において、熱処理装置1を構成する各部の動作は、制御部50(CPU56)により制御されている。
【0032】
まず、CPU56は、降温レートモデル記憶部51に記憶されている、降温レートが異なる複数の降温レートモデルの中から、ゾーン毎に、降温レートモデルを設定する(ステップS1)。例えば、CPU56は、反応管2内のTOP(ZONE1)に降温レートが最も速い降温レートモデル(
図4の最も降温勾配が急な降温レートモデル)を設定し、反応管2内のBTM(ZONE5)側に進むにしたがって、降温レートが遅い降温レートモデル(
図4の降温勾配が緩やかな降温レートモデル)を設定するように、ZONE1〜ZONE5にそれぞれ異なるの降温レートの降温レートモデルを設定する。
【0033】
次に、CPU56は、ヒータ11〜15のヒータコントローラ16〜20を、それぞれ設定した降温レートモデルの温度、例えば、
図4に示すように、200℃となるように制御する。また、CPU56は、ボートエレベータ7(蓋体6)を降下させ、半導体ウエハWを搭載したウエハボート9を蓋体6上に配置する。続いて、CPU56は、ボートエレベータ7(蓋体6)を上昇して、ウエハボート9(半導体ウエハW)を反応管2内にロードする(ステップS2)。
【0034】
半導体ウエハWが反応管2内にロードされると、CPU56は、ヒータ11〜15のヒータコントローラ16〜20を、それぞれ設定した降温レートモデルの温度となるように降温し、例えば、
図4に示すように、半導体ウエハWが100℃となるように加熱する(ステップS3)。そして、半導体ウエハWが100℃に加熱されると、CPU56は、所望の熱処理を実行(ステップS4)した後、ボートエレベータ7(蓋体6)を降下させ、ウエハボート9(半導体ウエハW)を反応管2外にアンロードし(ステップS5)、この処理を終了する。
【0035】
次に、本発明の効果を確認するため、上記実施の形態の熱処理により半導体ウエハWを加熱した場合について、各ゾーンの半導体ウエハWの温度とロード後の時間との関係を測定した。結果を
図6に示す。なお、比較のため、一つの降温レートモデルのみを用いた熱処理により半導体ウエハWを加熱した場合における各ゾーンの半導体ウエハWの温度とロード後の時間との関係を測定した結果を
図7に示す。
【0036】
図6及び
図7に示すように、反応管2内のTOPに降温レートが最も速い降温レートモデルを設定し、反応管2内のBTM側に進むにしたがって、降温レートが遅い降温レートモデルを設定することにより、反応管2内に収容された半導体ウエハWの温度が均一になり、半導体ウエハWの面間温度差が半分の10℃に低減できることが確認できた。
【0037】
このように、半導体ウエハWの面間温度差を低減することができるので、半導体ウエハWに加わる熱(熱履歴)を揃えることができる。半導体ウエハWに加わる熱履歴が揃うと、熱処理のばらつきを少なくすることができ、熱処理の再現性を向上させることができる。また、熱処理装置1では、半導体ウエハWの温度が安定するのを待ってから熱処理を行うことから、半導体ウエハWの温度が早く安定するようになり、熱処理の時間を短縮することができ、熱処理の生産性を向上させることができる。
【0038】
また、例えば、不純物が注入されている基板を処理する場合に、熱が加わると不純物が拡散されることがあるように、処理によっては、以前の工程で行われた非処理体の熱履歴が問題となる場合がある。本実施の形態では、半導体ウエハWに加わる熱履歴が揃っているので、熱履歴を調整することなく、熱処理の再現性を向上させることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、反応管2内のTOPに降温レートが最も速い降温レートモデルを設定し、反応管2内のBTM側に進むにしたがって、降温レートが遅い降温レートモデルを設定しているので、反応管2内に収容された半導体ウエハWの温度が均一になり、半導体ウエハWの面間温度差を低減することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0041】
上記実施の形態では、全てのゾーンに異なる降温レートの降温レートモデルを設定した場合を例に本発明を説明したが、反応管2内に収容された半導体ウエハWが加熱されやすい箇所で降温レートが最も速い降温レートモデルを設定したり、反応管2内に収容された半導体ウエハWが加熱されにくい箇所で降温レートが最も遅い降温レートモデルを設定していればよく、降温レートモデルを様々に設定可能である。例えば、反応管2内のTOPに降温レートが最も速い降温レートモデルを設定し、反応管2内のBTMに降温レートが最も遅い降温レートモデルを設定するとともに、これらの間の3つのゾーンに両者の中間の降温レートの降温レートモデルを設定するように、異なるゾーンに同じ降温レートの降温レートモデルを設定してもよい。この場合にも、半導体ウエハWの面間温度差を低減することができる。
【0042】
上記実施の形態では、ヒータの段数(ゾーンの数)が5段の場合を例に本発明を説明したが、4段以下であっても、6段以上であってもよい。また、各ゾーンから抽出する半導体ウエハWの数などは任意に設定可能である。
【0043】
上記実施の形態では、単管構造のバッチ式熱処理装置の場合を例に本発明を説明したが、例えば、反応管2が内管と外管とから構成された二重管構造のバッチ式縦型熱処理装置に本発明を適用することも可能である。本発明は、半導体ウエハWの処理に限定されるものではなく、例えば、FPD(Flat Panel Display)基板、ガラス基板、PDP(Plasma Display Panel)基板などの処理にも適用可能である。
【0044】
本発明の実施の形態にかかる制御部50は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)など)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部50を構成することができる。
【0045】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS:Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は半導体ウエハ等の被処理体を熱処理する熱処理装置、熱処理方法、およびプログラムに有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 熱処理装置
2 反応管
3 マニホールド
6 蓋体
9 ウエハボート
10 ヒータ部
11〜15 ヒータ
16〜20 ヒータコントローラ
21〜23 処理ガス供給管
24〜26 流量調整部
50 制御部
51 降温レートモデル記憶部
52 レシピ記憶部
53 ROM
54 RAM
56 CPU
W 半導体ウエハ