(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左ガスカーテンチャネルおよび前記右ガスカーテンチャネルのうち1つまたは複数が、全ての前記細長ガスポートの境界となる、請求項1に記載のガス分配プレート。
前記左ガスカーテンチャネルおよび前記右ガスカーテンチャネルのうち1つまたは複数が、全ての前記細長ガスポートよりも少ない細長ガスポートの境界となる、請求項1に記載のガス分配プレート。
前記複数の細長ガスポートが、第1の反応性ガスと流体連通する少なくとも1つの第1の反応性ガスポート、および前記第1の反応性ガスとは異なる第2の反応性ガスと流体連通する少なくとも1つの第2の反応性ガスポートを備える、請求項1に記載のガス分配プレート。
前記複数の細長ガスポートがさらに、前記先頭の第1の反応性ガスポートと前記第2の反応性ガスポートとの間のパージガスポート、および前記第2の反応性ガスポートと前記末尾の第1の反応性ガスポートとの間のパージガスポートを備え、各パージガスポートが前記反応性ガスポートから、真空ポートによって分離される、請求項7に記載のガス分配プレート。
前記細長ガスポートが、順番に、真空ポート、パージガスポート、および別の真空ポートを、前記先頭の第1の反応性ガスポートの前、前記2つ目の第1の反応性ガスポートの後に備える、請求項8に記載のガス分配プレート。
前記複数の細長ガスポートが、第1の反応性ガスポートおよび第2の反応性ガスポートからなる反復ユニットを少なくとも1つ備える、請求項1に記載のガス分配プレート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、基板の移動が改善された、原子層堆積の装置および方法を対象とする。本発明の特定の実施形態は、細かな形状を有するガス分配プレート、および直線的な往復運動を組み込んだ、(周期的堆積とも呼ばれる)原子層堆積の装置を対象とする。
【0016】
本発明の実施形態は、一般に、空間原子層堆積の装置に関する。詳細には、本発明の実施形態は、プロセスを特定のエリアに閉じ込め、プロセスガスがプロセスエリアから外に漏れてプロセスチャンバを汚染するのを防ぐ方途について説明する。一部の空間ALDタイプのガス分配装置では、ガスがプロセスエリアから外に漏れて、チャンバを汚染することがある。その汚染が、粒子および腐食の問題を引き起こすおそれがある。本発明の実施形態は、プロセスガスがプロセスエリアから外に漏れるのを防ぎ、そのため、粒子および腐食の問題はもう起こらない。
【0017】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、空間ALD装置の全てのエッジに、更なる不活性ガスパージチャネルおよび/または排気チャネルを追加する。いくつかの実施形態では、プロセスガスが装置エリアから外に漏れるのを防ぐための、これらの排気チャネルでの圧力。本発明の実施形態は、プロセスガス、任意の副生成物、および/またはデブリを装置(プロセスエリア)に閉じ込めるのを助け、そのことが、プロセスチャンバ全体を清浄に保ち、粒子および腐食の問題を解消し、部品の寿命を延ばし、その結果、コストを削減し、定期保守期間を短くすることができる。
【0018】
図1は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、原子層堆積システム100またはリアクタの概略断面図である。システム100は、ロードロックチャンバ10および処理チャンバ20を含む。処理チャンバ20は一般に、密閉可能なエンクロージャであり、このエンクロージャは、真空下または少なくとも低圧下で運転される。処理チャンバ20は、ロードロックチャンバ10から隔離弁15によって隔離される。隔離弁15は、閉位置にあるときは、処理チャンバ20をロードロックチャンバ10から密閉し、隔離弁15が開位置にあるときは、基板60を、ロードロックチャンバ10から弁を通って処理チャンバ20に、またその逆に、移送することが可能になる。
【0019】
システム100は、1種または複数種のガスを基板60全体にわたって分配することの可能な、ガス分配プレート30を含む。ガス分配プレート30は、当業者に知られる任意の適切な分配プレートとすることができ、記載した特定のガス分配プレートを、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。ガス分配プレート30の出力面が、基板60の第1の表面61に面する。
【0020】
本発明の実施形態で使用する基板は、任意の適切な基板とすることができる。詳細な実施形態では、基板は、剛性で、個別の、概して平面の基板である。本明細書および添付の特許請求の範囲では、基板に言及する際の「個別の」という用語は、基板が固定の寸法を有することを意味する。特定の実施形態の基板は、200mm径シリコンウエハや300mm径シリコンウエハなどの半導体ウエハである。
【0021】
ガス分配プレート30は、1種または複数種のガスストリームを基板60に送出するように構成された複数のガスポート、および各ガスポート間に配設され、ガスストリームを処理チャンバ20から外に送出するように構成された複数の真空ポートを備える。
図1の詳細な実施形態では、ガス分配プレート30は、第1の前駆体インジェクタ120、第2の前駆体インジェクタ130、およびパージガスインジェクタ140を備える。インジェクタ120、130、140は、メインフレームなどのシステムコンピュータ(図示せず)によって、またはプログラマブルロジックコントローラなどのチャンバ専用コントローラによって、制御することができる。前駆体インジェクタ120は、化合物Aの反応性前駆体の連続(またはパルス)ストリームを、複数のガスポート125を通じて処理チャンバ20に注入するように構成される。前駆体インジェクタ130は、化合物Bの反応性前駆体の連続(またはパルス)ストリームを、複数のガスポート135を通じて処理チャンバ20に注入するように構成される。パージガスインジェクタ140は、非反応性ガスまたはパージガスの連続(またはパルス)ストリームを、複数のガスポート145を通じて処理チャンバ20に注入するように構成される。パージガスは、処理チャンバ20から反応性材料および反応性副生成物を除去するように構成される。パージガスは典型的に、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスである。ガスポート145は、化合物Aの前駆体を化合物Bの前駆体から分離するように、ガスポート125とガスポート135の中間に配設され、これにより、前駆体間の相互汚染が回避される。
【0022】
別の態様では、前駆体をチャンバ20に注入するのに先立って、前駆体インジェクタ120および前駆体インジェクタ130に遠隔プラズマ源(図示せず)を接続することができる。反応性化学種のプラズマは、遠隔プラズマ源内の化合物に電界を印加することによって発生させることができる。意図した化合物を活性化することの可能な任意の電源を使用することができる。例えば、DC、高周波(RF:radio frequency)、およびマイクロ波(MW)ベースの放電技法を使用した電源を使用することができる。RF電源が使用される場合、RF電源を容量結合しても、誘導結合してもよい。活性化は、熱ベースの技法、ガス絶縁破壊技法、高強度光源(例えばUVエネルギー)、またはx線源への暴露によって生じさせることもできる。例示的な遠隔プラズマ源が、MKS Instruments,Inc.やAdvanced Energy Industries,Inc.などのベンダから入手可能である。
【0023】
システム100はさらに、処理チャンバ20に接続されたポンピングシステム150を含む。ポンピングシステム150は一般に、ガスストリームを処理チャンバ20から1つまたは複数の真空ポート155を通じて外に排出するように構成される。真空ポート155は、ガスストリームが基板表面と反応した後にガスストリームを処理チャンバ20から外に排出し、かつ前駆体間の相互汚染をさらに制限するように、各ガスポート間に配設される。
【0024】
システム100は、処理チャンバ20上の各ポート間に配設された、複数の仕切り160を含む。各仕切りの下部は、基板60の第1の表面61の近く、例えば第1の表面61から約0.5mmまで延在する。この距離は、ガスストリームが基板表面と反応した後に、ガスストリームが下部を迂回して真空ポート155に向かって流れるのを可能にするのに十分な距離だけ、仕切り160の下部が基板表面から分離されているようなものとすべきである。矢印198は、ガスストリームの方向を示す。仕切り160は、ガスストリームに対する物理的なバリアとして働くので、やはり前駆体間の相互汚染を制限する。図示の構成は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。図示のガス分配システムは、可能な1つの分配システムにすぎず、他のタイプのシャワーヘッドおよびガス分配システムを用いることができることが、当業者には理解されよう。
【0025】
動作の際には、基板60が(例えばロボットによって)ロードロックチャンバ10に供給され、キャリア65上に載置される。隔離弁15が開いた後、キャリア65が、レールシステムでもフレームシステムでもよいトラック70に沿って移動する。キャリア65が処理チャンバ20に入った後、隔離弁15が閉じ、処理チャンバ20を密閉する。次いで、処理のために、キャリア65が処理チャンバ20の中を移動する。一実施形態では、キャリア65が、チャンバの中を直線的な経路で移動する。
【0026】
基板60が処理チャンバ20の中を移動するとき、基板60の第1の表面61は、ガスポート125から到来する化合物Aの前駆体、およびガスポート135から到来する化合物Bの前駆体に、ガスポート145から到来するパージガスが間にある状態で、繰り返し暴露される。パージガスの注入は、基板表面110を次の前駆体に暴露する前に、前の前駆体から未反応の材料を除去するように設計される。さまざまなガスストリーム(例えば前駆体またはパージガス)への各暴露の後、ガスストリームは、ポンピングシステム150によって真空ポート155を通じて排出される。真空ポートを各ガスポートの両側に配設することができるので、ガスストリームは、両側の真空ポート155を通じて排出される。したがって、ガスストリームは、それぞれに対応するガスポートから垂直下方に基板60の第1の表面61に向かって流れ、第1の表面110を横切り、仕切り160の下部を迂回して、最終的に、上方に真空ポート155に向かう。このようにして、各ガスを、基板表面110全体にわたって均一に分配することができる。矢印198は、ガス流の方向を示す。基板60は、さまざまなガスストリームに暴露されている間に、回転させることもできる。基板の回転は、形成される層内にストリップが形成されるのを防ぐのに有用となり得る。基板の回転は、連続的でも、離散的ステップの形をとってもよい。
【0027】
処理チャンバ20の端部には、処理チャンバ20内の最後のガスポートによる完全な暴露を確実なものにするように、十分なスペースが一般に設けられている。基板60が処理チャンバ20の端部に到達した(すなわち第1の表面61がチャンバ20内のあらゆるガスポートに完全に暴露された)後、基板60は、ロードロックチャンバ10に向かう方向に戻る。基板60がロードロックチャンバ10に向かって戻るとき、基板表面を、化合物Aの前駆体、パージガス、および化合物Bの前駆体に、最初の暴露とは逆順に、再度暴露することができる。
【0028】
基板表面110が各ガスに暴露される程度は、例えば、ガスポートから到来する各ガスの流量、および基板60の移動速度によって決まり得る。一実施形態では、各ガスの流量が、基板表面110から吸着した前駆体を除去しないように設定される。各仕切り間の幅、処理チャンバ20上に配設されたガスポートの数、および基板が前進後退して通過する回数も、基板表面110がさまざまなガスに暴露される程度を決め得る。したがって、堆積膜の量および質は、上記の要素を変更することによって最適化することができる。
【0029】
別の実施形態では、システム100は、前駆体インジェクタ120および前駆体インジェクタ130を、パージガスインジェクタ140なしで含むことができる。したがって、基板60が処理チャンバ20の中を移動するとき、基板表面110は、化合物Aの前駆体と化合物Bの前駆体に、間でパージガスに暴露されることなく、交互に暴露されることになる。
【0030】
図1に示す実施形態は、基板の上にガス分配プレート30を有する。この縦型配向に関して実施形態を記載し、図示してきたが、逆の配向も可能であることが理解されよう。その状況においては、基板60の第1の表面61は下方を向き、一方、基板に向かうガス流は上方に誘導されることになる。
【0031】
別の実施形態では、複数の基板を処理するように、システム100を構成することができる。そのような実施形態では、システム100は、(ロードロックチャンバ10の反対端に配設された)第2のロードロックチャンバ、および複数の基板60を含むことができる。基板60は、ロードロックチャンバ10に供給し、第2のロードロックチャンバから取り出すことができる。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、基板の第2の側を加熱するために、少なくとも1つの放射熱ランプ90が配置される。放射熱源は一般に、基板から見てガス分配プレート30とは反対側に配置される。これらの実施形態では、ガスクッションプレートが、放射熱源からの光の少なくとも一部の透過を可能にする材料から形成される。例えば、ガスクッションプレートを石英で形成して、可視光源からの放射エネルギーがプレートを通過し、基板の裏側に接触し、基板の温度上昇を生じさせるのを可能にすることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、キャリア65が、基板60を支えるためのサセプタ66である。一般に、サセプタ66は、基板全体にわたって均一な温度を生成するのを助けるキャリアである。サセプタ66は、ロードロックチャンバ10と処理チャンバ20の間を両方向(
図1の配置に対して左から右、また右から左)に移動可能である。サセプタ66は、基板60を支えるための上面67を有する。サセプタ66は、基板60を処理のために加熱することができるように、加熱式サセプタとすることができる。一例として、サセプタ66は、サセプタ66の下に配設された、放射熱ランプ90、加熱プレート、抵抗コイル、または他の加熱デバイスによって加熱することができる。
【0034】
別の実施形態では、
図2に示すように、サセプタ66の上面67が、基板60を受領するように構成された凹部68を含む。サセプタ66は一般に、基板の厚さよりも厚く、したがって、基板の下にサセプタ材料がある。詳細な実施形態では、凹部68は、基板60が凹部68の内部に配設されたとき、基板60の第1の表面61がサセプタ66の上面67と同じ高さになるように構成される。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態の凹部68は、基板60が中に配設されたとき、基板60の第1の表面61がサセプタ66の上面67より上に突き出さないように構成される。
【0035】
図3は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、処理チャンバ20の部分断面図を示す。処理チャンバ20は、少なくとも1つのガスインジェクタユニット31を備えたガス分配プレート30を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ガスインジェクタユニット」という用語は、基板表面上に個別の膜を堆積させることの可能な、ガス分配プレート30内の一続きのガス出口のことを言い表すために使用される。例えば、個別の膜が2つの成分の組合せによって堆積される場合、単一のガスインジェクタユニットが、少なくともその2つの成分用の出口を含むことになる。ガスインジェクタユニット31は、個別の膜を堆積させることの可能なガス出口の内部およびそのガス出口の周りに、任意のパージガスポートまたは真空ポートも含むことができる。
図1に示すガス分配プレート30は、単一のガスインジェクタユニット31から構成されているが、2つ以上のガスインジェクタユニット31がガス分配プレート30の部分であってよいことを理解されたい。
【0036】
幾つかの実施形態では、処理チャンバ20が、細長ガスインジェクタと直角を成す軸に沿った直線的な往復経路に沿って基板を移動させるように構成された、基板キャリア65を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「直線的な往復経路」という用語は、基板をその中で前進後退移動させることのできる、まっすぐな経路またはわずかに曲がった経路のいずれかを指す。別の言い方をすれば、基板キャリアは、基板を、ガスインジェクタユニットに対して、細長ガスインジェクタの軸と直角を成す前進後退運動で往復移動させるように構成することができる。
図3に示すように、キャリア65は、キャリア65を左から右に、また右から左に往復移動させることの可能な、またはキャリア65を移動中に支持することの可能な、レール74上に支持することができる。移動は、当業者に知られる多くの機構によって達成することができる。例えば、ステッピングモータがレールのうちの1本を駆動することができ、レールは、キャリア65と相互作用して、基板60を往復運動させることができる。詳細な実施形態では、基板キャリアは、細長ガスインジェクタ32と直角を成す軸に沿った、細長ガスインジェクタ32の下にある直線的な往復経路に沿って、基板60を移動させるように構成される。特定の実施形態では、基板60の表面全体が、ガス分配プレート30によって占有される領域78を通過するように、基板キャリア65は、ガス分配プレート30の前にある領域76からガス分配プレート30の後ろにある領域77まで、基板60を輸送するように構成される。
【0037】
図4Aは、本発明の1つまたは複数の実施形態による、ガス分配プレート30の底部斜視図を示す。
図3と
図4をどちらも参照すると、各ガスインジェクタユニット31が、複数の細長ガスインジェクタ32を備える。細長ガスインジェクタ32は、任意の適切な形または形状を成すことができ、
図4Aに例を示す。図面の左にある細長ガスインジェクタ32は、一続きの密に離隔された孔である。これらの孔は、ガス分配プレート30の面内に形成されたトレンチ33の底部に位置する。トレンチ33は、図では、ガス分配プレート30の両端部まで延在しているが、これは例示のためのものにすぎず、トレンチはエッジまで延在する必要がないことが理解されよう。中央の細長ガスインジェクタ32は、一続きの密に離隔された矩形開口である。このインジェクタは、トレンチ33内に位置するのとは対照的に、図では、ガス分配プレート30の面の直接上にある。詳細な実施形態のトレンチは、約8mmの深さを有し、約10mmの幅を有する。
図4Aの右にある細長ガスインジェクタ32は、2つの細長チャネルとして示されている。
図4Bは、ガス分配プレート30の一部分の側面図を示す。より大きな部分および説明は、
図11に含めている。
図4Bは、単一のポンピングプレナム150aと真空ポート155の関係を示す。ポンピングプレナム150aはこれらの真空ポート155に、2つのチャネル151aを通じて接続される。これらのチャネル151は真空ポート155と、
図4Aに示す細長インジェクタ32によって流れ連通する。特定の実施形態では、細長インジェクタ32には、約4.5mmの直径を有する約28個の孔がある。さまざまな実施形態では、細長インジェクタ32は、約10個から約100個の範囲内の孔、または約15個から約75個の範囲内の孔、または約20個から約50個の範囲内の孔、または10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、もしくは100個を上回る孔を有する。各種の実施形態では、孔は、約1mmから約10mmの範囲内の、または約2mmから約9mmの範囲内の、または約3mmから約8mmの範囲内の、または約4mmから約7mmの範囲内の、または約5mmから約6mmの範囲内の、または1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、もしくは10mmを上回る、直径を有する。孔は、散在した状態または一様に分散された状態で、2つ以上の横列を成して整列させても、単一の横列を成して整列させてもよい。ガス供給プレナム120aが細長ガスインジェクタ32に、2つのチャネル121aによって接続される。詳細な実施形態では、ガス供給プレナム120aは、約14mmの直径を有する。さまざまな実施形態では、ガス供給プレナムは、約8mmから約20mmの範囲内の、または約9mmから約19mmの範囲内の、または約10mmから約18mmの範囲内の、または約11mmから約17mmの範囲内の、または約12mmから約16mmの範囲内の、または約13mmから約15mmの範囲内の、または4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、もしくは20mmを上回る、直径を有する。特定の実施形態では、(プレナムからの)これらのチャネルが、約0.5mmの直径を有し、約121個のこれらのチャネルが、互い違いの、または一様に離隔された2つの横列を成して存在する。さまざまな実施形態では、その直径は、約0.1mmから約1mmの範囲内、または約0.2mmから約0.9mmの範囲内、または約0.3mmから約0.8mmの範囲内、または約0.4mmから約0.7mmの範囲内であり、または0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、もしくは1mmを上回る。ガス供給プレナム120aは、数字の上では、第1の前駆体ガスに関連しているが、第2の反応性ガスおよびパージガスについても、同様の構成を形成できることが理解されよう。任意の特定の動作理論に縛られることなく、プレナム、チャネル、および孔の寸法が、チャネルのコンダクタンスおよび均一性を定めると考えられる。
【0038】
図5〜
図13は、本発明のさまざまな実施形態による、ガス分配プレート30の部分側断面図を示す。これらの図面中で使用されている文字は、システム内で使用することのできるさまざまなガスのうちのいくつかを表す。参考として、Aは第1の反応性ガスであり、Bは第2の反応性ガスであり、Cは第3の反応性ガスであり、Pはパージガスであり、Vは真空である。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「反応性ガス」という用語は、基板、基板表面上の膜、または基板表面上の部分膜のいずれかと反応することのできる任意のガスを指す。反応性ガスの非限定的な例には、ハフニウム前駆体、水、セリウム前駆体、過酸化物、チタン前駆体、オゾン、プラズマ、III−V族元素がある。パージガスは、接触する化学種または表面とは非反応性の任意のガスである。パージガスの非限定的な例には、アルゴン、窒素、およびヘリウムがある。
【0039】
図示の実施形態では、ガス分配プレート30の両端の反応性ガスインジェクタが同じであり、したがって、ガス分配プレート30を通過する基板が遭遇する最初と最後の反応性ガスが同じである。例えば、最初の反応性ガスがAである場合、最後の反応性ガスもAとなる。ガスAとガスBを交換する場合、基板が遭遇する最初と最後のガスはガスBとなる。これは、ガス分配の構成および順序の可能な1つの例にすぎない。代替構成が利用可能であり、本発明の範囲はそのような構成に限定すべきではないことを、当業者なら理解するであろう。
【0040】
図5を参照すると、いくつかの実施形態のガスインジェクタユニット31が、少なくとも2つの第1の反応性ガスインジェクタAと、第1の反応性ガスインジェクタのガスとは異なるガスである少なくとも1つの第2の反応性ガスインジェクタBとを含む、複数の細長ガスインジェクタを備える。第1の反応性ガスインジェクタAは、第1の反応性ガスと流体連通し、第2の反応性ガスインジェクタBは、第1の反応性ガスとは異なる第2の反応性ガスと流体連通する。少なくとも2つの第1の反応性ガスインジェクタAが、少なくとも1つの第2の反応性ガスインジェクタBを取り囲み、したがって、左から右に移動する基板が、順番に、先頭の第1の反応性ガスA、第2の反応性ガスB、および末尾の第1の反応性ガスAに遭遇し、その結果、基板上に1層の完全な層が形成される。同じ経路に沿って戻る基板は、反対順の反応性ガスに遭遇し、その結果、完全な各サイクルについて2層が得られる。便利な省略形として、この構成をABAインジェクタ構成と呼ぶことができる。このガスインジェクタユニット31を横切って前進後退移動する基板は、
AB AAB AAB (AAB)
n...AABA
というパルス状シーケンスに遭遇し、その結果、Bという均一な膜組成物を形成する。シーケンスの終わりに第1の反応性ガスAに暴露することは、第2の反応性ガスBが後に続かないので、重要ではない。膜組成物は、Bと呼ばれているが、実際には、反応性ガスAと反応性ガスBの表面反応生成物のうちの1つの生成物であり、Bだけを使用するのは、膜の説明をするための便宜上であることが、当業者には理解されよう。
【0041】
図6は、ガス分配プレート30の詳細な実施形態を示す。ここに示すように、ガス分配プレート30は、外側パージガスPインジェクタおよび外側真空Vポートを含むことのできる、単一のガスインジェクタユニット31を備える。図示の詳細な実施形態では、ガス分配プレート30は、ポンピングシステム150に接続された少なくとも2つのポンピングプレナムを備える。第1のポンピングプレナム150aは、第1の反応性ガスAインジェクタ32a、32cに関連するガスポート125に(その両側で)隣接する真空ポート155と流れ連通する。第1のポンピングプレナム150aは真空ポート155に、2つの真空チャネル151aを通じて接続される。第2のポンピングプレナム150bは、第2の反応性ガスBインジェクタ32bに関連するガスポート135に(その両側で)隣接する真空ポート155と流れ連通する。第2のポンピングプレナム150bは真空ポート155に、2つの真空チャネル152aを通じて接続される。このようにして、第1の反応性ガスAと第2の反応性ガスBが、ガス相中で反応することが実質的に防止される。端部真空ポート155と流れ連通する真空チャネルは、第1の真空チャネル150aまたは第2の真空チャネル150bのいずれかでも、第3の真空チャネルでもよい。ポンピングプレナム150、150a、150bは、任意の適切な寸法を有することができる。真空チャネル151a、152aは、任意の適切な寸法とすることができる。特定の実施形態では、真空チャネル151a、152aは、約22mmの直径を有する。端部真空プレナム150は、実質的にパージガスだけを収集する。追加の真空ラインが、チャンバ内からガスを収集する。これら4種の排気(A、B、パージガス、およびチャンバ)は、別々に排気しても、下流で組み合わせて1つまたは複数のポンプに至ってもよく、2つの別々のポンプと任意に組み合わせてもよい。
【0042】
本発明の特定の実施形態は、ガス分配プレートを中に有する処理チャンバを備える、原子層堆積システムを対象とする。ガス分配プレートは、順番に、真空ポート、パージガスインジェクタ、真空ポート、第1の反応性ガスインジェクタ、真空ポート、パージポート、真空ポート、第2の反応性ガスインジェクタ、真空ポート、パージポート、真空ポート、第1の反応性ガスインジェクタ、真空ポート、パージポート、および真空ポートから基本的に成る、複数のガスインジェクタを備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、ガスプレナムおよびガスインジェクタを、パージガス供給源(例えば窒素)と接続することができる。これにより、プレナムおよびガスインジェクタから、残留ガスをパージすることが可能になり、したがって、ガス構成を交換して、BガスがAのプレナムおよびインジェクタから流れること、またその逆を、可能にすることができる。さらに、ガス分配プレート30は、望ましくないガス漏れの制御を助けるために、側部またはエッジに沿って追加の真空ポートを含むことができる。インジェクタの下の圧力は、チャンバよりも約1torr高いので、追加の真空ポートは、反応性ガスがチャンバ内に漏れるのを防ぐ助けとなることができる。いくつかの実施形態では、ガス分配プレート30が、1つまたは複数のヒータまたはクーラも含む。
【0044】
図7を参照すると、1つまたは複数の実施形態によるガス分配プレート30が示されている。ガス分配プレート30は、前面201、長さL、および幅Wを有する、本体200を含む。本体200は、左側202(底部に示す)、および右側203(上部に示す)を有する。左側および右側は、基板が左から右に移動することに基づいて決まり、最も左のガスインジェクタが、基板が遭遇する最初のガスインジェクタである。ガス分配プレート30は、前面201に開口のある複数の細長ガスポート125、135、145を含む。開口は、本体200の幅Wおよび前面201に沿って延在する。
【0045】
細長インジェクタからのガスが、前面201の正面の領域から拡散するのを防ぐために、ガス分配プレート30の左側202および右側203に沿って、ガスカーテンチャネルが配置される。
図7に示す実施形態は、左ガスカーテンチャネル210および右ガスカーテンチャネル211を含む。左ガスカーテンチャネル210と右ガスカーテンチャネル211はどちらも、本体200の長さLに沿って、それぞれ本体200の左側および右側に隣接して延在する。
【0046】
ガスカーテンチャネル210、211は、複数の細長ガスポート125、135、145のうちの少なくとも一部の境界となる。本明細書および添付の特許請求の範囲では、この点に関して使用される「境界となる」などの用語は、ガスカーテンチャネルが、細長ガスポートのエッジとガス分配プレートのエッジとの間の境界を成すことを意味する。ガスカーテンチャネル210、211の長さは、さまざまな使い方に合わせて調整することができる。ガスカーテンチャネルは、細長ガスポートのうちの少なくとも1つから、全ての細長ガスポートまでの境界となるのに十分なほど長くすることができる。
図8は、
図7に示すガス分配プレート30の側断面図を示す。断面内に、本体200を通過する個々のガスインジェクタ120、130、140が見られ、左ガスカーテンチャネル210がガス分配プレート30の長さLに沿って延在する。
図7に示す実施形態では、左ガスカーテンチャネル210と右ガスカーテンチャネル211がどちらも、細長ガスポート125、135、145の両側の真空ポート155を含めて、全ての細長ガスポート125、135、145の境界となっている。いくつかの実施形態では、ガスカーテンチャネルが、全ての細長ガスポートよりも少ない細長ガスポートの境界となる。左ガスカーテンチャネル210と右ガスカーテンチャネル211はどちらも、より低圧の領域をもたらす真空カーテンチャネルとして示されている。真空カーテンチャネルの圧力は、真空ポート155内の圧力と同じであっても、その圧力とは異なっていてもよい。真空カーテンチャネルの圧力が低すぎる場合、細長ガスポートからの反応性ガスは、優先的にカーテンに引き寄せられてしまうおそれがある。真空カーテンチャネルの圧力が高すぎる場合、反応性ガスは、ガス分配プレート30の前面201の正面の反応エリアから逃れることができてしまうおそれがある。
【0047】
ガスカーテンチャネルは、真空チャネルおよび/またはパージガスチャネルとすることができる。
図7および
図8に示す実施形態は、ガス分配プレート30の左と右の両側に、細長ガスポートの境界となる真空ガスカーテンチャネルを有する。
図9および
図10に示す実施形態は、それぞれガス分配プレート30の左側と右側の境界となる、パージガスカーテンチャネル211、213を有する。
【0048】
図7に示す実施形態は、端部真空ポート155とは分離した真空カーテンチャネル210、211を有する。しかし、これらを、端部真空ポート155と真空カーテンチャネル210、211のどちらの役割も果たす、単一の連続した真空ポートとすることができる。
図9に示す実施形態は、全ての細長ガスポートの周りに延在する単一のパージガスカーテンチャネルを含み、端部真空ポート155がカーテンの外側にある。この場合、パージガスカーテンチャネルとパージガスポートは、単一のユニットに統合されているが、ユニットのどの部分を問題にするかに応じて異なる機能を有する。
図9を見ると、パージガスカーテンの左側および右側は、パージガスポート145としての役割を果たすことになり、一方、底部側は、左パージガスカーテンチャネル212であり、上部が、右パージガスカーテンチャネル213としての役割を果たすことになる。この場合、チャネル内の圧力は、ガス分配プレート30全体の周りでほぼ等しくなる。パージガスポート145およびパージガスカーテンチャネル212、213が分離している一実施形態では、これらのポート内のガス圧が異なっていてよい。パージガスポート145およびパージガスカーテンチャネル212、213が分離しているとき、確実に反応性ガスがガス分配プレート30の前面201の正面のプロセス領域内に留まるように、圧力を別々に制御することができる。パージガスカーテンチャネル212、213内のパージガス圧が低すぎる場合、パージガスカーテンチャネル212、213は、全ての反応性ガスをプロセス領域に閉じ込める効果があるとは限らないことがある。しかし、パージガスカーテンチャネル212、213内のパージガス圧が高すぎる場合、カーテンチャネルから出たパージガスが、細長ガスポートからの反応性ガスに衝突して、全体的な堆積品質に影響を及ぼすおそれがある。
【0049】
図11は、2つのカーテンチャネルがある、本発明の一実施形態を示す。内側のカーテンチャネルがパージガスカーテンチャネルであり、外側のカーテンチャネルが真空カーテンチャネルである。これらのチャネルはどちらも、最端部の細長ガスポートと統合されたものとして示されている。
図12は、カーテンチャネルが細長ガスポートとは分離しており、これらのカーテンチャネルおよびガスポート内の圧力を独立に制御することが可能になっている、一実施形態を示す。
【0050】
左ガスカーテンチャネルおよび右ガスカーテンチャネルのうち1つまたは複数が、パージガスカーテンチャネルおよび真空カーテンチャネルを備える。
図12に示す例では、左ガスカーテンチャネルも、真空カーテンチャネル210とパージガスカーテンチャネル212の両方を備えており、右ガスカーテンチャネルも、真空カーテンチャネル211とパージガスカーテンチャネル213の両方を備えている。パージガスカーテンチャネル212は、真空カーテンチャネル210と、複数の細長ガスチャネル125、135、145との間にあり、パージガスカーテンチャネル213は、真空カーテンチャネル211と、複数の細長ガスチャネル125、135、145との間にある。
図13は、真空カーテンチャネル210が、パージガスカーテンチャネル212と、複数の細長ガスチャネル125、135、145との間にあり、真空カーテンチャネル211が、パージガスカーテンチャネル213と、複数の細長ガスチャネル125、135、145との間にある、一実施形態を示す。ある特定の実施形態では、各行程の後、または複数の行程の後に、回転移動を用いることもできる。回転移動は、離散的な移動、例えば10、20、30、40、もしくは50度の移動、または他の適切な漸進的回転移動とすることができる。そのような回転移動は、直線的な移動と相まって、基板上へのより均一な膜形成を可能にすることができる。
【0051】
詳細な実施形態では、基板キャリアが、第1の域97の外側にある基板を、ローディング位置に搬送するように構成される。いくつかの実施形態では、基板キャリアが、第2の域98の外側にある基板を、アンローディング位置に搬送するように構成される。ローディング位置およびアンローディング位置は、必要なら逆にすることができる。
【0052】
本発明の更なる実施形態は、基板を処理する方法を対象とする。基板の一部分が、ガスインジェクタユニットを第1の方向に横断する。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「横断する」という用語は、基板がガス分配プレートの上、下などを移動しており、したがって、ガス分配プレートからのガスが、基板または基板上の層と反応できることを意味する。基板を第1の方向に移動させる際、基板は、順番に、先頭の第1の反応性ガスストリーム、第2の反応性ガスストリーム、および末尾の第1の反応性ガスストリームに暴露されて、第1の層が堆積する。次いで、基板のその部分が、ガスインジェクタユニットを第1の方向とは反対の方向に横断し、したがって基板のその部分が、順番に、末尾の第1の反応性ガスストリーム、第2の反応性ガスストリーム、および先頭の第1の反応性ガスストリームに暴露されて、第2の層を形成する。ガスインジェクタユニットが1つしかない場合、基板は、ガス分配プレートの関連部分全体の下を通過する。ガス分配プレートの、反応性ガスインジェクタの外側にある領域は、関連部分の一部ではない。2つ以上のガスインジェクタユニットがある実施形態では、基板は、ガスインジェクタユニットの数に基づいて、基板の長さの一部分を移動させる。したがって、基板は、n個のガスインジェクタユニットごとに、基板の全長の1/nだけ移動させる。
【0053】
詳細な実施形態では、方法はさらに、基板のその部分を、第1の反応性ガスストリームと第2の反応性ガスストリームのそれぞれの間でパージガスストリームに暴露することを含む。いくつかの実施形態のガスは、連続して流れている。いくつかの実施形態では、ガスは、基板がガス分配プレートの下を移動するとき、パルス状である。
【0054】
1つまたは複数の実施形態によれば、基板の一部分を第1の方向に通過させると、基板のその部分が、順番に、先頭の第1の反応性ガスストリーム、先頭の第2の反応性ガスストリーム、第1の中間的な第1の反応性ガスストリーム、第3の反応性ガスストリーム、第2の中間的な第1の反応性ガスストリーム、末尾の第2の反応性ガスストリーム、および末尾の第1の反応性ガスストリームに暴露され、基板のその部分を第2の方向に通過させると、基板のその部分がこれらのガスストリームに逆順に暴露される。
【0055】
本発明の更なる実施形態は、記載した少なくとも1つの原子層堆積システムを備えるクラスタツールを対象とする。クラスタツールは、中央部分と、そこから延在する1つまたは複数の分岐部を有する。堆積装置、すなわち処理装置である分岐部。短ストローク運動を組み込んだクラスタツールは、従来型の堆積チャンバを備えたツールよりも、必要とする空間が実質的に少ない。クラスタツールの中央部分は、基板をロードロックチャンバから処理チャンバ内に移動させ、処理後にロードロックチャンバに戻すことの可能な、少なくとも1つのロボットアームを含むことができる。
図14を参照すると、例示的なクラスタツール300が、中央移送チャンバ304を含んでおり、中央移送チャンバ304は一般に、複数の基板をロードロックチャンバ320およびさまざまなプロセスチャンバ20内に、またそこから外に移送するように適合された、マルチ基板ロボット310を含む。クラスタツール300は、3つの処理チャンバ20と共に示されているが、4つ以上の処理チャンバがあっても、2つ以下の処理チャンバがあってもよいことが、当業者には理解されよう。さらに、処理チャンバは、さまざまなタイプ(例えばALD、CVD、PVD)の基板処理技法向けのものであってよい。
【0056】
以上、本発明を本明細書に、特定の実施形態を参照して記載してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および適用例の例示にすぎないことを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の方法および装置に対してさまざまな修正および変形を加えられることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明が添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に含まれる修正および変形を含むことが、意図される。