【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報所載のフィルムロール用コアは強度やコストの点でさらなる改良の余地があった。すなわち、通常、フィルムロール用コアにフィルムを巻き取ったり、フィルムロールからフィルムを巻き出す作業においては、筒状のフィルムロール用コアに巻取装置や巻出装置が有する棒状部材を挿入し、フィルムロール用コア内部で棒状部材を介してこれらの装置に固定することにより、巻き取りや巻き出しの作業が行われる。また、フィルムロールを搬送用の架台に載せたり架台から降ろす作業においても同様に、筒状のフィルムロール用コアに支持棒を挿入し、その支持棒を介して行われることがある。ところが、特に、フラットパネルディスプレイのさらなる大型化によってより広い幅のPVAフィルムが求められた場合や、フィルムロール使用時におけるフィルムロール交換作業の煩雑さを低減する観点からフィルムの巻き長をより長くした場合、フィルムロール用コアの軸方向の長さを長くする必要が生じたり、フィルムロールの重量が一層増大したりすることにより、上記公報所載のフィルムロール用コアでは、PVAフィルムに対しては許容される範囲内であったとしても単位長あたりにわずかに撓みが生じるため、この単位長あたりのわずかな撓みが加算されて上記棒状部材や支持棒のフィルムロール用コアへの挿入が困難になったり、棒状部材や支持棒によってフィルムロール用コア内部に傷が付いたりする不具合が生じやすい。また、特に上記棒状部材はフィルムロール用コア内部で固定できるようにするため比較的複雑な構造を有していることから、より長い棒状部材はその製造が困難である。
【0006】
このような問題を解消する手段としては、棒状部材や支持棒を使用せずにフィルムロール用コアの両端部を保持する方法が考えられ、例えばフィルムロール用コアの両端から内側にそれぞれ軸方向に所定長さ分だけ保持部材(のチャック部)を挿入することによりフィルムロール用コアの両端部を保持する方法が考えられる。
【0007】
しかしながら、軸方向に内径変化のない一般的な円筒状のフィルムロール用コアを用いた場合には、これを保持する両端部が破損したり変形したりしやすいという問題が生じる。この問題を解消するため、単にフィルムロール用コア全体の厚みを厚くした場合には、炭素繊維強化プラスチック製のフィルムロール用コアにあってはコスト高につながり、金属製のフィルムロール用コアにあってはその重量が過度に大きくなってフィルムロール用コア自体やそれを用いたフィルムロールの取り扱い性が低下する。
【0008】
また、上記方法では、特にフィルムロールの重量が一層増大した際などにおいて、フィルムロール用コアを複数回使用すると比較的大きな力が加わる保持部材と接する部分でフィルムロール用コアの摩耗・破損・変形等が生じやすいという問題が生じる。また、たとえ棒状部材や支持棒といった保持部材を使用できたとしても、やはり両端部においてフィルムロール用コアが摩耗等しやすい。フィルムロール用コアにこのような摩耗等が生じた場合には、フィルムロール用コア全体を初めから製造し直す必要が生じるため、煩雑であったり、材料が無駄になったり、コスト高になったりする。
【0009】
さらに、上述のようにフィルムロールの重量が一層増大した際などにおいて、保持部材とフィルムロール用コアとの間で滑りが生じやすく、保持部材の回転動力がフィルムロール用コアに十分に伝わらない、あるいは、フィルムロール用コアが意図しない回転をする、等の問題を生じやすい。また、たとえ棒状部材や支持棒といった保持部材を使用できたとしても、やはりこれらの保持部材とフィルムロール用コアとの間で滑りが生じやすい。
【0010】
また、冬季の寒冷地などにおいて、空調されていない保管場所から空調された加工場へフィルムロールを搬入すると、フィルムロールの表面に結露が発生することがある。特に最近では既述のようにフィルムロールの重量が増してきたことから、フィルムロールの熱容量の増加とそれに伴うフィルムロール全体の温度変化速度の低下に起因して、結露がより発生しやすくなってきている。このような結露は、フィルムの温度の影響を受けやすい筒状のフィルムロール用コアの内周面において特に発生しやすい。フィルムロール用コアの内周面に結露が発生すると、フィルムロール搬送時の振動やフィルムロール使用時の回転などによって結露による水がフィルムロール用コアの内部から外部に流れ出てフィルムに達し、フィルムの品質が低下する。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の課題は、両端部が十分な強度を有していて両端部で保持することができ取り扱い性に優れるとともに、軽量化及び低コスト化が図られていて、しかもフィルムロール用コアの内周面に結露が発生したとしても外部に流れ出にくいフィルムロール用コア、取り扱い性に優れ、軽量及び低コストで、結露の影響を受けにくいフィルムロール、及び、当該フィルムロールの製造方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第二の課題は、フィルムロール用コアに摩耗等が生じた場合にあっても、摩耗等した古い部材以外の部材を再利用することができてフィルムロール用コア全体を初めから製造し直す必要のないフィルムロール用コア、フィルムロール、及びフィルムロールの製造方法を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の第三の課題は、巻取装置や巻出装置などが有するフィルムロール用コアを保持するための保持部材とフィルムロール用コアとの間で滑りが生じにくく、安定してフィルムの巻き付けや巻き出しなどを行うことのできるフィルムロール用コア、フィルムロール、フィルムロールの製造方法、及びフィルムの巻取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記第一の課題を解決すべく、本発明に係るフィルムロール用コアは、
フィルムが巻き付けられる筒状の芯管を備えるフィルムロール用コアであって、
芯管が、軸方向中央部に両端部より内径が大きい肉薄部を有するものである。
【0015】
当該フィルムロール用コアは、両端部が十分な強度を有していて、フィルムロール用コアの軸方向の長さがより長い場合や、フィルムロールの重量が一層増大する場合であっても、その両端部を保持するように巻取装置や巻出装置などが有する回転可能な保持部材に安定して装着することができて、この保持部材の回転によって、フィルムロール用コアにフィルムを巻き付けたり、フィルムロールからフィルムを巻き出したりすることができる。また、当該フィルムロール用コアは、芯管の軸方向中央部に肉薄部を有するので、軽量化及び低コスト化が図られる。
【0016】
さらに、当該フィルムロール用コアは、芯管の軸方向中央部(肉薄部)が両端部より内径が大きく設けられているので、フィルムロール用コアの内周面に結露が発生してもそれによる水は肉薄部の内周面上に溜まり、外部に流れ出にくい。このため、当該フィルムロール用コアに巻き付けたフィルムの品質低下が生じにくい。
【0017】
当該フィルムロール用コアは、芯管が、筒状の管本体と、この管本体の両端部に配設され、肉薄部の内周面の両端に隣接する境界壁を形成する壁部材とを有することが好ましい。これにより、両端より内径が大きい肉薄部を芯管の軸方向中央部に容易且つ確実に形成することができる。
【0018】
上記壁部材は、管本体に嵌入着される内嵌部材であることが好ましい。これにより、管本体と壁部材(内嵌部材)との固定状態がより確実となる。
【0019】
当該フィルムロール用コアは、芯管が金属製であることが好ましい。これにより芯管の強度や加工性をより高めることができる。特に、この金属は炭素鋼であることが好ましい。これにより芯管の強度をさらに高めることができる。
【0020】
当該フィルムロール用コアは、肉薄部の内周面にメッキが施されていることが好ましい。これにより、当該部分の耐食性が向上し、例えばフィルムロール用コアの内周面に発生した結露による水が肉薄部の内周面上に溜まった場合にあってもフィルムロール用コアの内周面の腐食を防止することができる。
【0021】
当該フィルムロール用コアは、芯管が、その両端部に、脱着可能に取り付けられた筒状のエッジ部材を有することが好ましい。フィルムロール用コアの両端部を保持するようにしてこれを複数回使用すると、この両端部に摩耗・破損・変形等を生じやすいが、上記のような構成とすることにより、摩耗等した古いエッジ部材を、管本体や壁部材など芯管を構成するエッジ部材以外の部材から離脱し、代わりに新しいエッジ部材を取り付けることによって、これらエッジ部材以外の部材を再利用することができる。
【0022】
当該フィルムロール用コアは、その両端部に、フィルムロール用コアを保持するための保持部材に対する相対回転を規制するための係合部を有することが好ましい。これにより当該フィルムロール用コアを巻取装置に装着した際やフィルムロールを巻出装置に装着した際などに、当該フィルムロール用コアの係合部が、巻取装置や巻出装置などが有する回転可能な保持部材側に設けられた対応する係合部と係合することができ、この保持部材に対するフィルムロール用コアの相対回転が規制され、フィルムロール用コアと保持部材とをともに回転させることができ、あるいは、フィルムロール用コアの意図しない回転を防止することができる。また、フィルムロール用コアの上記係合部は凹状であることが好ましい。これにより、当該フィルムロール用コアやそれを用いたフィルムロールを搬送する際に係合部が破損するのを抑制することができる。
【0023】
当該フィルムロール用コアは、上記係合部を形成するキー部材をさらに備えることが好ましい。これにより、例えば複数回の使用によって係合部が摩耗等した場合に、摩耗等した古いキー部材を芯管から離脱し、代わりに新しいキー部材を取り付けることによって、芯管を再利用することができる。
【0024】
また、本発明に係るフィルムロールは、上記のフィルムロール用コアと、このフィルムロール用コアに巻き付けられた長尺のフィルムとを備える。
【0025】
当該フィルムロールにあっては、既述のように、上記フィルムロール用コアにおいて両端部が十分な強度を有していて、フィルムロール用コアの軸方向の長さがより長い場合や、フィルムロールの重量が一層増大する場合であっても、その両端部を保持するように巻出装置が有する回転可能な保持部材に安定して装着することができて、この保持部材の回転によって、フィルムロールからフィルムを巻き出すことができ、また軽量化及び低コスト化が図られていて、さらにフィルムロール用コアの内周面に結露が発生してもそれによる水が外部に流れ出にくいため、フィルムロールについても、取り扱い性に優れ、軽量及び低コストで、結露の影響を受けにくいものとなる。
【0026】
当該フィルムロールにあっては、フィルムがPVAフィルムであることが好ましい。PVAフィルムは、偏光フィルムを製造するための原反として使用される場合などにおいてより高い品質が要求され、水による影響も大きいため、本発明の効果がより顕著に奏される。
【0027】
また、本発明に係るフィルムロールの製造方法は、上記のフィルムロール用コアを巻取装置に装着する工程、及び上記巻取装置に装着されたフィルムロール用コアを回転させることで長尺のフィルムを当該フィルムロール用コアに巻き付ける工程を含む。
【0028】
当該フィルムロールの製造方法にあっては、既述のように、上記フィルムロール用コアにおいて軽量化が図られているため、巻取装置に装着する工程を比較的容易に行うことができ、また巻取装置から容易に離脱することができる。また、フィルムロール用コアにおいて低コスト化も図られている。したがって、当該製造方法によれば、フィルムロールを円滑に低コストで製造することができる。
【0029】
当該フィルムロールの製造方法にあっては、上記装着する工程において、巻取装置が有する対向する一対の回転可能な保持部材がフィルムロール用コアの両端部を保持することでフィルムロール用コアを巻取装置に装着することが好ましい。これにより、既述のような問題を生じやすい棒状部材を使用せずにフィルムロール用コアを巻取装置の保持部材に安定して装着することができて、この保持部材の回転によって、フィルムロール用コアにフィルムを円滑に巻き付けることができる。
【0030】
当該フィルムロールの製造方法にあっては、フィルムがPVAフィルムであることが好ましい。PVAフィルムは、偏光フィルムを製造するための原反として使用される場合などにおいてより高い品質が要求され、水による影響も大きいため、本発明の効果がより顕著に奏される。
【0031】
上記第二の課題を解決すべく、本発明に係るフィルムロール用コアは、
フィルムが巻き付けられる筒状の芯管を備えるフィルムロール用コアであって、
芯管が、その両端部に、脱着可能に取り付けられた筒状のエッジ部材を有するものである。
【0032】
当該フィルムロール用コアは、摩耗等が生じた場合にあっても、摩耗等した古いエッジ部材を、芯管を構成するエッジ部材以外の部材から離脱し、代わりに新しいエッジ部材を取り付けることによって、エッジ部材以外の部材を再利用することができてフィルムロール用コア全体を初めから製造し直す必要がない。
【0033】
当該フィルムロール用コアは、芯管が金属製であることが好ましい。これにより芯管の強度や加工性をより高めることができる。特に、この金属は炭素鋼であることが好ましい。これにより、芯管の強度をさらに高めることができる。
【0034】
当該フィルムロール用コアは、芯管の内周面にメッキが施されていることが好ましい。冬季の寒冷地などにおいて、空調されていない保管場所から空調された加工場へフィルムロールを搬入すると、フィルムロールの表面に結露が発生することがある。特に最近では既述のようにフィルムロールの重量が増してきたことから、フィルムロールの熱容量の増加とそれに伴うフィルムロール全体の温度変化速度の低下に起因して、結露がより発生しやすくなってきている。このような結露は、フィルムの温度の影響を受けやすい筒状のフィルムロール用コアの内周面において特に発生しやすい。これに対し、芯管の内周面にメッキが施されていると、当該部分の耐食性が向上し、例えばフィルムロール用コアの内周面に結露が生じた場合にあってもフィルムロール用コアの内周面の腐食を防止することができる。
【0035】
また、本発明に係るフィルムロールは、上記のフィルムロール用コアと、このフィルムロール用コアに巻き付けられた長尺のフィルムとを備える。これにより、既述のフィルムロール用コアと同様の利点を奏することができる。
【0036】
当該フィルムロールにあっては、フィルムがPVAフィルムであることが好ましい。PVAフィルムは、偏光フィルムを製造するための原反として使用される場合などにおいてより高い品質が要求されるため、フィルムの品質に悪影響を与える可能性のある摩耗等が生じたフィルムロール用コアを無理に継続して使用する必要のない本発明において特に適する。
【0037】
また、本発明に係るフィルムロールの製造方法は、上記のフィルムロール用コアを巻取装置に装着する工程、及び巻取装置に装着されたフィルムロール用コアを回転させることで長尺のフィルムをフィルムロール用コアに巻き付ける工程を含む。これにより、既述のフィルムロール用コアと同様の利点を奏することができる。
【0038】
当該フィルムロールの製造方法にあっては、上記装着する工程において、巻取装置が有する対向する一対の回転可能な保持部材がフィルムロール用コアの両端部を保持することでフィルムロール用コアを巻取装置に装着することが好ましい。これにより、既述のような問題を生じやすい棒状部材を使用せずにフィルムロール用コアを巻取装置の保持部材に安定して装着することができて、この保持部材の回転によって、フィルムロール用コアにフィルムを円滑に巻き付けることができる。
【0039】
当該フィルムロールの製造方法にあっては、フィルムがPVAフィルムであることが好ましい。PVAフィルムは、偏光フィルムを製造するための原反として使用される場合などにおいてより高い品質が要求されるため、フィルムの品質に悪影響を与える可能性のある摩耗等が生じたフィルムロール用コアを無理に継続して使用する必要のない本発明において特に適する。
【0040】
上記第三の課題を解決すべく、本発明に係るフィルムロール用コアは、
フィルムが巻き付けられる筒状の芯管を備えるフィルムロール用コアであって、
両端部に、フィルムロール用コアを保持するための保持部材に対する相対回転を規制するための係合部を有するものである。
【0041】
当該フィルムロール用コアは、フィルムロールの重量が一層増大する場合であっても、フィルムロール用コアを巻取装置に装着した際やフィルムロールを巻出装置に装着した際などに、当該フィルムロール用コアの係合部が、巻取装置や巻出装置などが有する保持部材側に設けられた対応する係合部と係合することができ、この保持部材に対するフィルムロール用コアの相対回転が規制され、フィルムロール用コアと保持部材とをともに回転させることができ、あるいは、フィルムロール用コアの意図しない回転を防止することができる。
【0042】
上記係合部は凹状であることが好ましい。これにより、当該フィルムロール用コアやそれを用いたフィルムロールを輸送する際に係合部が破損するのを抑制することができる。
【0043】
当該フィルムロール用コアは、上記係合部を形成するキー部材をさらに備えることが好ましい。これにより、例えば複数回の使用によって係合部が摩耗等した場合に、摩耗等した古いキー部材を芯管から離脱し、代わりに新しいキー部材を取り付けることによって、芯管を再利用することができる。
【0044】
当該フィルムロール用コアは、芯管が金属製であることが好ましい。これにより芯管の強度や加工性をより高めることができる。特に、この金属は炭素鋼であることが好ましい。これにより、芯管の強度をさらに高めることができる。
【0045】
当該フィルムロール用コアは、芯管の内周面にメッキが施されていることが好ましい。冬季の寒冷地などにおいて、空調されていない保管場所から空調された加工場へフィルムロールを搬入すると、フィルムロールの表面に結露が発生することがある。特に最近では既述のようにフィルムロールの重量が増してきたことから、フィルムロールの熱容量の増加とそれに伴うフィルムロール全体の温度変化速度の低下に起因して、結露がより発生しやすくなってきている。このような結露は、フィルムの温度の影響を受けやすい筒状のフィルムロール用コアの内周面において特に発生しやすい。これに対し、芯管の内周面にメッキが施されていると、当該部分の耐食性が向上し、例えばフィルムロール用コアの内周面に結露が生じた場合にあってもフィルムロール用コアの内周面の腐食を防止することができる。
【0046】
当該フィルムロール用コアは、芯管が、その両端部に、脱着可能に取り付けられた筒状のエッジ部材を有することが好ましい。フィルムロール用コアの両端部を保持するようにしてこれを複数回使用すると、この両端部に摩耗・破損・変形等を生じやすいが、上記のような構成とすることにより、摩耗等した古いエッジ部材を、芯管を構成するエッジ部材以外の部材から離脱し、代わりに新しいエッジ部材を取り付けることによって、エッジ部材以外の部材を再利用することができる。
【0047】
また、本発明に係るフィルムロールは、上記のフィルムロール用コアと、このフィルムロール用コアに巻き付けられた長尺のフィルムとを備える。これにより、既述のフィルムロール用コアと同様の利点を奏することができる。
【0048】
当該フィルムロールにあっては、フィルムがPVAフィルムであることが好ましい。PVAフィルムは、偏光フィルムを製造するための原反として使用される場合などにおいてより高い品質が要求されるため、安定してフィルムの巻き付けや巻き出しなどを行うことができる本発明において特に適する。
【0049】
また、本発明に係るフィルムロールの製造方法は、上記のフィルムロール用コアを巻取装置に装着する工程、及び巻取装置に装着されたフィルムロール用コアを回転させることで長尺のフィルムをフィルムロール用コアに巻き付ける工程を含み、装着する工程において、フィルムロール用コアが有する係合部を、これに対応する係合部であって巻取装置が有する保持部材に形成された係合部と係合させる。これにより、既述のフィルムロール用コアと同様の利点を奏することができる。
【0050】
当該フィルムロールの製造方法にあっては、上記装着する工程において、巻取装置が有する対向する一対の回転可能な保持部材がフィルムロール用コアの両端部を保持することでフィルムロール用コアを巻取装置に装着することが好ましい。これにより、既述のような問題を生じやすい棒状部材を使用せずにフィルムロール用コアを巻取装置の保持部材に安定して装着することができて、この保持部材の回転によって、フィルムロール用コアにフィルムを円滑に巻き付けることができる。
【0051】
当該フィルムロールの製造方法にあっては、フィルムがPVAフィルムであることが好ましい。PVAフィルムは、偏光フィルムを製造するための原反として使用される場合などにおいてより高い品質が要求されるため、安定してフィルムの巻き付けを行うことができる本発明において特に適する。
【0052】
また、上記課題を解決すべく、本発明に係るフィルムの巻取装置は、
フィルムが巻き付けられる筒状の芯管を備えるフィルムロール用コアを装着可能なフィルムの巻取装置であって、
フィルムロール用コアを保持するための回転可能な保持部材を備え、
保持部材は、フィルムロール用コアの保持部材に対する相対回転を規制するためにフィルムロール用コアに設けられた係合部と係合可能な対応する係合部を有する。これにより、既述のフィルムロール用コアと同様の利点を奏することができる。
【0053】
当該フィルムの巻取装置にあっては、対向する一対の保持部材を備えることが好ましい。これにより、既述のような問題を生じやすい棒状部材を使用せずにフィルムロール用コアをその両端部を保持するように巻取装置の保持部材に安定して装着することができて、この保持部材の回転によって、フィルムロール用コアにフィルムを円滑に巻き付けることができる。
【0054】
当該フィルムの巻取装置にあっては、フィルムがPVAフィルムであることが好ましい。PVAフィルムは、偏光フィルムを製造するための原反として使用される場合などにおいてより高い品質が要求されるため、安定してフィルムの巻き付けを行うことができる本発明において特に適する。