(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信データの種別が、アドレス値を設定する情報を含むアドレス設定データであり、アドレス値の初期値を前記記憶部に設定するためのアドレス初期設定データの受信後に、初めて前記アドレス設定データを受信した場合、
前記判定部は、前記第1入力端と前記出力端とを接続状態にする前記第1制御信号を前記第2通信部に出力する、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の半導体装置の一例である電池監視用のIC(Integrated Circuit)を備えた電池監視システムについて説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
まず、本実施の形態の電池監視システム全体の概略構成について説明する。
図1に、本実施の形態の電池監視システムの一例の概略構成図を示す。また、
図2には、本実施の形態の電池監視システムにおける制御部が、各ICを認識するためのアドレス値を設定するための各ICの機能部の一例の概略構成図を示す。
【0018】
電池監視システム10は、n個のバッテリ20(20
1〜20
n、nは1以上の自然数)と、n個のIC(IC1〜ICn)と、制御部12と、を備えている。なお、以下では、バッテリ20
1〜20
n及びIC1〜ICnについて、総称する場合は、それぞれ「バッテリ20」及び「IC」と表し、個々を区別する場合は、個々を示す符号を付して表す。
【0019】
バッテリ20は、それぞれ複数個の電池セルCを含んでいる。各バッテリ20に含まれる電池セルCの数は任意である。例えば、電池セルCの数は、全バッテリ20が同じ数の電池セルCを含んでいてもよいし、バッテリ20毎に異なる数であってもよい。各バッテリ20に含まれる電池セルCは、直列に接続されている。電池セルCの具体的一例としては、リチウムイオン二次電池セルが挙げられる。
【0020】
制御部12は、電池監視システム10全体を制御して、各ICにより、バッテリ20の電池セルCの電池電圧を測定し、監視する機能を有している。制御部12は、通信部17、記憶部18、及びCPU(Central Processing Unit)19を備えている。CPU19は、記憶部18に記憶されている各種プログラムを実行することにより制御部12を制御して、電池監視システム10全体を制御する機能を有している。記憶部18は、例えば、不揮発性のメモリ等により、CPU19で実行される各種プログラムや、アドレス初期設定データを生成して送信するための各種情報等が記憶されている。通信部17は、IC1の第1通信部34
1と接続されている。
【0021】
ICは、バッテリ20に含まれる電池セルCの電池電圧を測定して、監視する機能を有している。本実施の形態の電池監視システム10では、
図1に示すように、各ICは、最下段がIC1、及び最上段がICnとして、通信線16(16
1〜16
n−1)によって直列に、いわゆるデイジーチェーン接続されている。以下では、ICと同様に、総称する場合は、「通信線16」と表し、個々を区別する場合は、個々を示す符号を付して表す。
【0022】
ICは、電池監視部32(32
1〜32
n)、第1通信部34(34
1〜34
n)、アドレス設定部36(36
1〜36
n)、アドレス設定データ送信制御部38(38
1〜38
n)、第2通信部40(40
1〜40
n)、及び第3端子44(44
1〜44
n)を備えている。以下では、ICと同様に、総称する場合は、「電池監視部32」、「第1通信部34」、「アドレス設定部36」、「アドレス設定データ送信制御部38」、「第2通信部40」、及び「第3端子44」と表し、個々を区別する場合は、個々を示す符号を付して表す。また、各ICは、
図2に示すように、第1端子46、及び第2端子48を備えている。
【0023】
電池監視部32には、バッテリ20が接続されており、接続されたバッテリ20の電池電圧を測定(監視)する機能を有している。電池監視部32の例としては、バッテリ20に含まれる電池セルCの数に応じたスイッチング素子を備えたものが挙げられる。この場合、電池監視部32は、電池電圧の測定(監視)を行う対象となる電池セルCの高電位側に接続された電池電圧線と、低電位側に接続された電池電圧線とを該スイッチング素子により選択し、高電位側に接続された電池電圧線の電位と、低電位側に接続された電池電圧線の電位とに基づいて、対象の電池セルCの電池電圧を測定(監視)する。電池監視部32による測定(監視)結果は、通信線16及び通信線14を介して、制御部12に出力される。具体的には、上段のICによる測定結果は、通信線16を介して下段のICを経由して、制御部12に出力される。
【0024】
第1通信部34は、IC1では、通信線14を介して制御部12と通信を行う機能を有している。また、IC2〜ICnでは、それぞれ通信線16
1〜16
n−1を介して下段のIC1〜ICn−1と通信を行う機能を有している。
【0025】
第2通信部40は、IC1〜ICn−1では、それぞれ通信線16
1〜16
n−1を介して上段のIC2〜ICnと通信を行う機能を有している。なお、本実施の形態のICnでは、上段のICが存在しないため、第2通信部40を備えているが、第2通信部40により送信データが外部に出力されることがない。また、本実施の形態の第2通信部40は、上段のICに送信する送信データを選択する機能を有している(詳細後述)。
【0026】
第3端子44は、制御部12と通信を行うか否かを識別するための識別信号が入力されるものである。本実施の形態では、一例として、Lレベルの識別信号が第3端子44に入力されるICは、制御部12と通信を行い、Hレベルの識別信号が第3端子44に入力されるICは、制御部12と通信を行わない。なお、本実施の形態では、具体例として、Lレベルとして、グランド(GND)の電位を用いている。そのため、IC1では、第3端子44がグランド(GND)に接続されている。第3端子44に入力される識別信号は、アドレス設定部36に出力される。
【0027】
アドレス設定部36及びアドレス設定データ送信制御部38は、各ICにおいて、制御部12が各ICを認識するためのアドレス値を設定する機能を有している(詳細後述)。
【0028】
第1通信部34からアドレス設定部36及び第2通信部40へは、第1端子46を介して外部から受信した受信データが出力される。
【0029】
アドレス設定部36からアドレス設定データ送信制御部38へは、アドレス設定データの生成を要求するための要求信号が出力される。該要求信号は、詳細を後述する
図3に示すアドレス設定データ生成要求信号を含む。また、アドレス設定部36から第2通信部40へは、第2通信部40におけるデータの選択を制御するための制御信号が出力される。該制御信号は、詳細を後述する
図3に示す、第1制御信号の一例であるアドレス設定識別信号を含む。また、該制御信号は、詳細を後述する
図3に示す、第3制御信号の一例である、アドレス設定完了信号、及びアドレス初期設定識別信号を含む。
【0030】
アドレス設定データ送信制御部38からアドレス設定部36へは、アドレス値の設定を完了したことを示す、完了信号が出力される。該完了信号は、詳細を後述する
図3に示すアドレス演算処理要求信号が含まれる。また、アドレス設定データ送信制御部38から第2通信部40へは、アドレス設定データが出力される。第2通信部40からは、第2端子48を介して送信データが外部に送信される。本実施の形態のICにおいて該送信データは、アドレス設定データ、または、受信データである。
【0031】
図3には、第1通信部34、アドレス設定部36、アドレス設定データ送信制御部38、及び第2通信部40の一例の詳細を表す機能ブロック図を示す。
【0032】
第1通信部34は、データ種別判定部50及び信頼性チェック部52を備えている。通信線14または通信線16を介して受信した受信データは、第1通信部34に入力される。第1通信部34に入力された受信データは、そのまま第2通信部40に出力され、また、信頼性チェック部52に入力される。信頼性チェック部52は、受信データに含まれる信頼性チェック用データに基づいて、該受信データが、予め設定した信頼性基準を満たしているか否かをチェックする機能を有している。信頼性チェック部52は、受信データが信頼性基準を満たしている場合は、受信データをデータ種別判定部50に出力する。信頼性チェック用データは、通信によりデータ破壊が発生していないか等の信頼性をチェックするためのデータであり、信頼性のチェックを行うことができるものであればよく、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Checking)が挙げられるが、限定されるものではない。信頼性を満たしていない場合は、所定のエラー処理が行われる。なお、信頼性チェック部52は、備えていなくてもよいが、IC(電池監視システム10)を適切に動作させるためには、備えていることが好ましい。
【0033】
データ種別判定部50は、受信データの種別を判定して、種別に応じた適切な処理が成されるように、IC内部における受信データの出力先を振り分ける機能を有している。データ種別判定部50は、受信データがアドレスの設定に関するデータである場合は、アドレス設定部36に受信データを出力する。受信データがその他の種別である場合は、種別に応じて、図示を省略したIC内部の機能部に出力する。
【0034】
図3に示すように、アドレス設定部36は、記憶部60、設定処理部の一例であるアドレス設定処理部61、及び判定部の一例であるコマンド判定部66を備えている。また、アドレス設定処理部61は、アドレス演算処理部62及びアドレス初期設定部64を含んでいる。アドレス設定部36は、受信データに基づいて、自ICを表すアドレス値を設定する機能を有している。
【0035】
記憶部60は、アドレス値が設定される機能を有しており、例えば、メモリ等である。
【0036】
コマンド判定部66は、第1通信部34から入力された受信データのコマンド種別を判定し、アドレス設定処理部61へ判定結果を表す信号を出力する機能を有している。具体的には、本実施の形態のコマンド判定部66は、受信データのコマンドの種別がアドレス初期設定コマンド、及びアドレス設定コマンドのいずれであるかを判定することにより、受信データが、アドレス初期設定データ、及びアドレス設定データのいずれであるかを判定して、判定結果を表す信号をアドレス設定処理部61に出力する。コマンド判定部66からアドレス設定処理部61に出力される信号は、第2制御信号の一例である。
【0037】
なお、本実施の形態のアドレス初期設定データは、アドレス初期設定コマンド、IC選択コマンド(全IC、またはIC指定)IC段数指定データ、信頼性チェック用データ等を含んでいる。
【0038】
また、コマンド判定部66は、アドレス値を初期設定した後、初めてアドレス設定データを受信した場合に、アドレス設定識別信号を生成してデータ選択制御部80に出力する機能を有している。アドレス設定識別信号は、アドレス値を初期設定した後、初めてアドレス設定データを受信した場合に、データ選択制御部80に対して、SW(スイッチング素子)82の出力端の接続先を入力端2から入力端1へ切り替える制御を行わせるための信号である。
【0039】
アドレス設定処理部61のアドレス初期設定部64は、コマンドの種別がアドレス初期設定コマンドの場合は、記憶部60に、受信データに基づいて、アドレス値の初期値を設定する機能を有している。また、アドレス初期設定部64は、該初期値及び第3端子44に入力される識別信号のレベルに応じて、アドレス初期設定識別信号を生成して第2通信部40に出力する。アドレス初期設定識別信号は、アドレス設定処理部61が記憶部60にアドレス値の初期値を設定した場合に、データ選択制御部80に対して、SW82の出力端の接続先を入力端1から入力端2へ切り替える制御を行わせるための信号である。
【0040】
アドレス設定処理部61のアドレス演算処理部62は、アドレス値の演算を行い、演算結果に基づいて、記憶部60のアドレス値を設定する機能を有している。具体的には、アドレス演算処理部62は、コマンドの種別がアドレス設定コマンドの場合、または、アドレス設定データ送信制御部38からアドレス演算処理要求信号が入力された場合は、記憶部60から設定されているアドレス値を読み出して、演算を行い、演算結果のアドレス値を記憶部60に設定する。また、アドレス演算処理部62は、第3端子44に入力される識別信号、及び記憶部60に設定されているアドレス値に応じて、アドレス設定データ生成要求信号をアドレス設定データ送信制御部38に出力する。アドレス設定データ生成要求信号は、アドレス設定データの受信が初めてではない場合に、アドレス設定データ生成部72に対してアドレス設定データの生成を要求するための信号である。また、アドレス演算処理部62は、記憶部60にアドレス値の設定が完了した場合に、データ選択制御部80に対して、アドレス設定完了信号を生成して出力する機能を有している。アドレス設定完了信号は、記憶部60にアドレス値の設定が完了した場合に、データ選択制御部80に対して、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1へ切り替える制御を行わせるための信号である。
【0041】
図3に示すように、本実施の形態のアドレス設定データ送信制御部38は、格納部70及びアドレス設定データ生成部72を備えている。
【0042】
格納部70は、アドレス設定コマンド、及び上述の信頼性チェック用データを予め格納しておく機能を有している。格納部70は、例えば、不揮発性のメモリ等である。
【0043】
アドレス設定データ生成部72は、アドレス設定部36のアドレス設定処理部61からアドレス設定データ生成要求信号が入力されると、格納部70からアドレス設定コマンド及び信頼性チェック用データを読み出して、アドレス設定データを生成して第2通信部40に出力する機能を有している。このように、本実施の形態のアドレス設定データは、アドレス設定コマンド及び信頼性チェック用データを含んでいるが、信頼性のチェックを行わない場合は、信頼性チェック用データを含まなくてよいことはいうまでもない。なお、詳細を後述するが、本実施の形態のIC2〜IC4では、アドレス設定データ生成部72は、アドレス設定データを生成しない。
【0044】
また、本実施の形態のアドレス設定データ生成部72は、アドレス設定データの出力が完了した場合に、アドレス設定部36のアドレス設定処理部61へ、アドレス演算処理要求信号を生成して出力する機能を有している。アドレス演算処理要求信号は、アドレス設定データの出力が完了した場合に、アドレス設定処理部61におけるアドレス値の演算処理を要求するための信号である。
【0045】
図3に示すように、本実施の形態の第2通信部40は、データ選択制御部80及びSW82を備えている。SW82は、2つの入力端(入力端1及び入力端2)と、1つの出力端を備えている。入力端1には、第1通信部34が接続されている。出力端が、入力端1に接続された場合は、第1通信部34に入力された受信データが送信データとして外部に送信される。また、入力端2には、アドレス設定データ送信制御部38のアドレス設定データ生成部72が接続されている。出力端が、入力端2に接続された場合は、アドレス設定データが送信データとして外部に送信される。
【0046】
データ選択制御部80は、アドレス設定完了信号、アドレス初期設定識別信号、及びアドレス設定識別信号に基づいて、SW82の出力端の接続先を入力端1と入力端2との間で切り替える制御を行う機能を有している。
【0047】
次に、本実施の形態の電池監視システム10における各ICのアドレス値の設定動作について説明する。なお、ここでは、具体的一例として、n=4として、4個のIC(IC1〜IC4)がデイジーチェーン接続された電池監視システム10におけるアドレス値の設定動作について説明する。
【0048】
図4には、各ICにおけるアドレス値の設定動作の一例の流れを表したフローチャートを示す。まず、
図4に示したフローチャートにより、本実施の形態のICによる設定動作の概略を説明した後、各IC毎に、詳細に設定動作を説明する。
【0049】
図4に示した設定動作は、ICが受信データを受信した場合に、開始される。まず、ステップS100で、第1通信部34のデータ種別判定部50は、受信データの種別がアドレス設定に関するものであるか、その他であるかを判定する。データ種別判定部50が、受信データの種別が、その他(アドレス設定に関するもの以外)と判定した場合は、ステップS102へ移行する。ステップS102で、データ種別判定部50は、受信データの種別に応じて、図示を省略したIC内部の機能部に受信データを出力した後、本動作を終了する。
【0050】
一方、ステップS100で、データ種別判定部50が、受信データの種別をアドレス設定に関するものであると判定した場合は、ステップS104へ移行する。
【0051】
ステップS104は、アドレス設定部36のコマンド判定部66が、受信データのコマンドの種別を判定する。コマンドの種別がアドレス初期設定である場合、すなわち受信データがアドレス初期設定データである場合は、ステップS106へ移行する。
【0052】
アドレス値の設定は、例えば、電池監視システム10の電源投入時等、SW82の出力端が入力端1に接続されている状態の所定のタイミングで行われる。アドレス値を設定する場合、まず、制御部12から、アドレス初期設定データが送信される。
【0053】
第2通信部40のSW82の出力端が入力端1に接続されているICでは、第1通信部34が受信したアドレス初期設定データは、IC内を通過して、そのまま第2通信部40から上段のICに送信されると共に、アドレス設定部36に出力される。
【0054】
次のステップS106で、各ICのアドレス設定部36は、アドレス初期設定部64により、記憶部60に、アドレス値として初期値を設定する。
【0055】
次のステップS108で、データ選択制御部80の制御により、SW82の出力端の接続先を入力端2に切り替える。これにより、アドレス設定データ送信制御部38で生成されたアドレス設定データが、第2通信部40により次段のICに送信されるようになる。また、各ICでは、前段のICにおける第2通信部40のSW82の入力端1(IC1の場合は、制御部12)から受信した受信データを、第2通信部40のSW82から次段のICに送信しないようになる。
【0056】
次のステップS110で、アドレス設定処理部61は、自ICが、制御部12に接続されているか否かを第3端子44に入力される識別信号のレベルに応じて識別する。制御部12に接続されていない場合は、本動作を終了する。一方、制御部12に接続されている場合は、ステップS112へ移行する。
【0057】
ステップS112で、アドレス設定データ送信制御部38のアドレス設定データ生成部72が、アドレス設定データを生成して、第2通信部40を介して次段のICに送信する。
【0058】
次のステップS114で、アドレス設定処理部61のアドレス演算処理部62は、記憶部60に設定されているアドレス値−1を演算し、演算結果を新しいアドレス値として記憶部60に設定する。
【0059】
次のステップS116で、アドレス設定処理部61は、アドレス値が「0」であるか否かを判定し、アドレス値が「0」でない場合は、ステップS112に戻り、アドレス設定データの生成及び出力と、アドレス値の演算及び設定を繰り返す。一方、アドレス値が「0」である場合は、ステップS118へ移行する。
【0060】
ステップS118では、第2通信部40のSW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える。これにより、IC1では、アドレス値の設定の完了後は、第1通信部34が制御部12から受信した受信データは、そのまま上段のIC(IC2)に第2通信部40から送信されるようになる。一方、IC1では、第2通信部40とアドレス設定データ送信制御部38とが切り離された状態になる。
【0061】
次のステップS120で、アドレス設定部36は、アドレス値の設定が完了したため、終了信号を生成して、制御部12に送信した後、本動作を終了する。従って、制御部12に接続されたIC(最下段のIC)では、アドレス初期設定データを受信すると、アドレス値の設定が完了するまで、アドレス設定データの生成及び出力を繰り返し、また、アドレス値の演算及び設定を繰り返す。
【0062】
一方、ステップS104でコマンド判定部66はコマンドの種別が、アドレス設定であると判定した場合、すなわち受信データがアドレス設定データである場合は、ステップS122へ移行する。なお、本実施の形態の電池監視システム10では、アドレス設定データは、制御部12に接続されていないICしか受信しない。
【0063】
ステップS122で、アドレス設定部36のアドレス設定処理部61は、アドレス設定データの受信が初めてで有るか否かを判定する。アドレス設定データの受信が初めての場合は、ステップS124へ移行し、SW82の出力端の接続先を入力端1に切り替えた後、本動作を終了する。一方、アドレス設定データの受信が初めてではない(2回目以降)である場合は、ステップS126へ移行する。ステップS126で、アドレス設定処理部61のアドレス演算処理部62は、記憶部60に設定されているアドレス値−1を演算し、演算結果を新しいアドレス値として記憶部60に設定した後、本動作を終了する。従って、制御部12に接続されていないICでは、アドレス値の設定が完了するまで、アドレス設定データが入力されるため、ステップS100、S104、及びS122〜S126の動作が繰り返される。
【0064】
次に、各IC毎に、設定動作の詳細を説明する。
図5には、制御部12及び各ICにおける設定動作の一例の流れを表したフローチャートを示す。
【0065】
まず、タイミングT0で、本実施の形態の電池監視システム10では、電源が投入されると、初期化され動作可能状態となる。まず、電源投入時における初期状態(アドレス値設定動作前)では、全ICにおいて、アドレス値は、「0」に設定される。また、第2通信部40のSW82の出力端は、入力端1に接続されている。そのため、受信データは、第1通信部34から第2通信部40に出力されて、そのまま送信データとして、通信線16を介して上段のICに送信される。
【0066】
次に、タイミングT1で、制御部12は、全ICに対して設定可能なコマンドを用いて、アドレス値の初期設定値を「3」(デイジーチェーン接続されている全段数(n)−1)として、通信線14を介して、アドレス初期設定データをIC1に送信する。各ICでは、第2通信部40のSW82の出力端が入力端1に接続されているため、受信したアドレス初期設定データをそのまま、次段のICに送信する。なお最上段のIC4では、上第2通信部40に通信線16が接続されていないため、アドレス初期設定データが外部に送信されない。
【0067】
また、タイミングT1において、アドレス初期設定データを受信した各ICでは、第1通信部34の信頼性チェック部52で信頼性のチェックを行い、受信データの信頼性を確認する。信頼性を満たしている場合は、データ種別判定部50で、受信データの種別を判定する。データ種別判定部50が、アドレス値の設定に関するデータであると判定した場合は、受信データをアドレス設定部36に出力する。
【0068】
タイミングT2では、アドレス設定部36のコマンド判定部66が、受信データのコマンドの種別を判定する。コマンド判定部66が、アドレス初期設定データデータであると判定すると、アドレス設定処理部61のアドレス初期設定部64が、記憶部60に、初期設定値「3」をアドレス値として設定する。
【0069】
また、タイミングT3では、アドレス設定処理部61は、アドレス初期設定識別信号を生成して、第2通信部40に出力する。第2通信部40のデータ選択制御部80は、SW82の出力端の接続先を入力端2に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端2に切り替えることにより、アドレス設定データ送信制御部38で生成されたアドレス設定データが送信データとして、第2通信部40から上段のICに送信されるようになる。また、第1通信部34が受信した受信データが第2通信部40から上段のICに送信されることがなくなる。なお、説明の便宜上、タイミングT2における動作とタイミングT3における動作とは、別タイミングとして説明したが、実際には、ほぼ同時のタイミングで行われる。
【0070】
IC1では、第3端子44がグランドに接続されており、Lレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定部36のアドレス設定処理部61が、制御部12に接続されていることを識別し、また、記憶部60のアドレス値が「0」ではないため、アドレス設定データ生成要求信号を生成して、アドレス設定データ生成部72に出力する。
【0071】
タイミングT4では、IC1のアドレス設定データ送信制御部38のアドレス設定データ生成部72が、格納部70からアドレス設定コマンド及び信頼性チェック用データを読み出して、アドレス設定データを生成して、第2通信部40に出力する。IC1の第2通信部40からIC2に通信線16を介して、アドレス設定データが送信データとして送信される。IC2の第1通信部34は、アドレス設定データである送信データを受信データとして受信する。
【0072】
タイミングT4において、IC2のアドレス設定処理部61では、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定データ生成要求信号は生成しない。従って、IC2のアドレス設定データ送信制御部38では、アドレス設定データは生成されない。また、IC2の第2通信部40のSW82では、出力端の接続先が入力端2であるため、IC1から受信した受信データ(アドレス設定データ)は、上段のIC3に送信されることがない。なお、IC3、及びIC4も、同様に、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定処理部61では、アドレス設定データ生成要求信号を生成しない。
【0073】
タイミングT5では、IC1のアドレス設定データ送信制御部38のアドレス設定データ生成部72が、アドレス設定データの出力が終了すると、アドレス演算処理要求信号を生成して、アドレス設定部36のアドレス設定処理部61に出力する。アドレス設定処理部61のアドレス演算処理部62は、アドレス演算処理要求信号が入力されると、記憶部60に設定されているアドレス値−1を演算し、演算結果を記憶部60にアドレス値として設定する。従って、IC1のアドレス演算処理部62は、3−1=2を演算して、アドレス値として「2」を記憶部60に設定する。
【0074】
一方、IC2では、アドレス初期設定データを受信した後、初めてアドレス設定データを受信したため、アドレス設定処理部61は、記憶部60のアドレス値に対しては、何も処理を行わない。従って、IC2の記憶部60に設定されているアドレス値は、「3」のままである。
【0075】
また、タイミングT5において、IC2では、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66が、アドレス設定識別信号を生成して、データ選択制御部80に出力する。第2通信部40のデータ選択制御部80は、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端1に切り替えることにより、第1通信部34が受信した受信データが、そのまま第2通信部40に出力され、送信データとして、第2通信部40から上段のIC3に送信されるようになる。
【0076】
タイミングT6では、IC1のアドレス設定処理部61は、記憶部60に設定されているアドレス値が「0」ではないため、再び、アドレス設定データ生成要求信号を生成して、アドレス設定データ送信制御部38のアドレス設定データ生成部72に出力する。IC1のアドレス設定データ生成部72は、タイミングT4と同様に、アドレス設定データを生成して、送信データとして第2通信部40から上段のIC2に送信する。
【0077】
タイミングT6において、IC2のアドレス設定処理部61では、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定データ生成要求信号は生成しない。従って、IC2のアドレス設定データ送信制御部38では、アドレス設定データは生成されない。また、IC2の第2通信部40のSW82では、出力端が入力端1に接続されているため、IC1から受信した受信データ(アドレス設定データ)が、そのまま第1通信部34から第2通信部40に出力され、第2通信部40から上段のIC3に送信される。なお、IC3は、同様に、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定処理部61では、アドレス設定データ要求信号を生成しない。
【0078】
タイミングT7では、2回目のアドレス設定データの送信が終了したIC1は、再び、タイミングT2と同様の処理を行い、記憶部60に設定されているアドレス値を「1」(2−1)に設定する。
【0079】
タイミングT7において、IC2では、アドレス設定データの受信が、アドレス初期設定データを受信した後、初めてではない(2回目以降)ため、アドレス設定処理部61が、記憶部60に設定されているアドレス値を−1する演算を行う。そのため、IC2の記憶部60に設定されているアドレス値が「2」(3−1)となる。
【0080】
また、タイミングT7において、IC3では、タイミングT5におけるIC2と同様に、アドレス初期設定データを受信した後、初めてアドレス設定データを受信したため、アドレス設定処理部61は、記憶部60のアドレス値に対しては、何も処理を行わない。従って、IC3の記憶部60に設定されているアドレス値は、「3」のままである。また、IC3では、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66によりアドレス設定識別信号が出力され、データ選択制御部80により、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端1に切り替えることにより、受信データが第1通信部34から第2通信部40に出力され、そのまま送信データとして、第2通信部40から上段のIC4に送信されるようになる。
【0081】
タイミングT8では、IC1のアドレス設定処理部61は、記憶部60に設定されているアドレス値が「0」ではないため、再び、アドレス設定データ生成要求信号を生成して、アドレス設定データ送信制御部38のアドレス設定データ生成部72に出力する。IC1のアドレス設定データ生成部72は、タイミングT4と同様に、アドレス設定データを生成して、受信データとして第2通信部40から上段のIC2に送信する。
【0082】
タイミングT8において、IC2、及びIC3のアドレス設定処理部61では、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定データ生成要求信号は生成しない。従って、IC2、及びIC3のアドレス設定データ送信制御部38では、アドレス設定データは生成されない。また、IC2、及びIC3の第2通信部40のSW82では、出力端の接続先が入力端1であるため、IC1が送信した送信データ(アドレス設定データ)は、IC2、及びIC3を通過してIC4に送信される。なお、IC4は、同様に、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定処理部61では、アドレス設定データ生成要求信号を生成しない。
【0083】
タイミングT9では、3回目のアドレス設定データの送信が終了したIC1は、再び、タイミングT2と同様の処理を行い、記憶部60に設定されているアドレス値を「0」(1−1)に設定する。IC1のアドレス設定処理部61は、アドレス値が「0」であるため、アドレス設定完了信号を生成して、第2通信部40のデータ選択制御部80に出力する。データ選択制御部80は、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端1に切り替えることにより、受信データが第1通信部34から第2通信部40に出力され、そのまま送信データとして、第2通信部40から上段のIC2に送信されるようになる。また、IC1では、第2通信部40とアドレス設定データ送信制御部38とが切り離された状態になる。
【0084】
一方、タイミングT9において、IC2、及びIC3では、アドレス設定データの受信が、アドレス初期設定データを受信した後、初めてではない(2回目以降)ため、アドレス設定処理部61が、記憶部60に設定されているアドレス値を−1する演算を行う。そのため、IC2の記憶部60に設定されているアドレス値が「1」(2−1)となる。また、IC3の記憶部60に設定されているアドレス値が「2」(3−1)となる。
【0085】
また、タイミングT9において、IC4では、アドレス初期設定データを受信した後、初めてアドレス設定データを受信したため、アドレス設定処理部61は、記憶部60のアドレス値に対しては、何も処理を行わない。従って、IC4の記憶部60に設定されているアドレス値は、「3」のままである。また、IC4では、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66によりアドレス設定識別信号が出力され、データ選択制御部80により、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。
【0086】
このようにして、IC1にはアドレス値=「0」が設定され、IC2にはアドレス値=「1」が設定され、IC3にはアドレス値=「2」が設定され、IC4にはアドレス値=「3」が設定された状態になる。タイミングT10では、アドレス値の設定が完了すると、IC1は、終了信号を割込信号として生成して、第1通信部34及び通信線14を介して制御部12に送信する。制御部12では、当該終了信号により、各ICにおけるアドレス値の設定が完了したことを認識することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態の電池監視システム10では、各ICがデイジーチェーン接続されており、各ICは、第1通信部34、アドレス設定部36、アドレス設定データ送信制御部38、及び第2通信部40を備えている。アドレス設定部36は、受信データが、アドレス初期設定データである場合は、アドレス初期設定部64により、アドレス初期設定データに基づいて、記憶部60にアドレス値の初期値を設定する。一方、受信データが、アドレス初期設定データの受信から2回目以降に受信したアドレス設定データの場合、または、アドレス演算処理要求信号が入力された場合は、アドレス設定処理部61により、記憶部60に設定されているアドレス値を−1して、再設定する。
【0088】
また、第3端子44に入力される識別信号に基づいて、制御部12が接続されていると識別されたIC1のアドレス設定処理部61のみがアドレス設定データ生成要求信号をアドレス設定データ生成部72に出力する。そのため、IC1のアドレス設定データ生成部72のみが、アドレス設定データを生成して第2通信部40を介して、上段のIC2に送信する。
【0089】
また、各ICでは、アドレス初期設定データの受信、アドレス設定データを受信した回数に基づいて、第2通信部40のSW82の出力端の接続先を入力端1及び入力端2の間で切り替えることにより、上段のICに送信する送信データを、自装置で生成したアドレス設定データとするか、下段のIC(または制御部12)から受信した受信データとするかを切り替えることができる。そのため、IC2〜IC4では、アドレス設定データを生成せず、下段のIC(IC1〜IC3)から受信したアドレス設定データをそのまま上段のIC(IC3、IC4、IC4からの送信はなし)に送信することができる。
【0090】
従って、制御部12と通信を行うIC1のみが、アドレス設定データの生成及び送信を行うことになるため、受信データの受信タイミングと送信データの送信タイミングとが重なることがなくなる。そのため、各IC間の基準クロックの周波数差(周期のずれ)を考慮しなくても、例えば、アドレス値が重複して設定されてしまうことがなくなる。
【0091】
また、一般に、各IC間の基準クロックの周波数差を考慮する場合は、各ICにおいて、受信データの数と送信データの数とが同一となるように管理する機能部(回路)を設けたり、基準クロックの周波数差を加味して送信データの通信間隔を長くしたりすること等が一般的に考えられるが、回路規模の増大や、アドレス値の設定時間の増大を招くおそれがある。これに対して、本実施の形態の電池監視システム10では、各IC間の基準クロックの周波数差を考慮しなくてもよいため、このようなおそれを抑制することができる。
【0092】
また、制御部12は、初めに、アドレス初期設定データをIC1に送信するのみでよいため、負荷が軽減される。また、IC1がアドレス値の設定を完了したことを管理して終了信号を制御部12に送信するため、制御部12の負荷が軽減される。例えば、制御部12が、全てのICのアドレス値を生成して、各ICに送信する場合に比べて、制御部12の負荷が軽減される。
【0093】
従って、本実施の形態の電池監視システム10(IC)では、制御部の負荷を抑制して、適切にアドレス値の設定を行うことができる。
【0094】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、制御部12に接続されたIC1が、自装置のアドレス値が「0」になるまで、アドレス設定データを生成して出力していたが、本実施の形態では、IC1が、アドレス設定データ生成数に応じて、アドレス設定データを生成して出力する場合について説明する。
【0095】
第1の実施の形態と同様の構成及び動作についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。本実施の形態の電池監視システム10全体の構成は、第1の実施の形態の
図1に示した電池監視システム10の構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0096】
図6には、本実施の形態の各ICにおける、アドレス値の設定動作を行うための構成の一例の詳細を表す機能ブロック図を示す。本実施の形態の各ICは、
図6に示すように、第1通信部34、アドレス設定部36A、アドレス設定データ送信制御部38A、及び第2通信部40を備える。すなわち、本実施の形態のICは、第1の実施の形態のICのアドレス設定部36の代わりに、アドレス設定部36Aを備え、また、アドレス設定データ送信制御部38の代わりに、アドレス設定データ送信制御部38Aを備えている。
【0097】
本実施の形態のアドレス設定部36Aは、記憶部60、アドレス設定処理部61A、及びコマンド判定部66を備えている。また、アドレス設定処理部61Aは、アドレス設定部63及びアドレス初期設定部64Aを備えている。すなわち、本実施の形態のアドレス設定処理部61Aは、第1の実施の形態のアドレス設定処理部61のアドレス演算処理部62に代わり、アドレス設定部63を備えており、アドレス初期設定部64に代わり、アドレス初期設定部64Aを備えている。
【0098】
アドレス初期設定部64Aは、コマンド判定部66で判定したコマンドの種別がアドレス初期設定コマンドの場合、すなわち、受信データがアドレス初期設定データの場合、記憶部60に、アドレス値の初期値、及びアドレス設定データの生成数を設定する機能を有する。
【0099】
アドレス設定部63は、コマンド判定部66で判定したコマンドの種別がアドレス設定コマンドの場合、すなわち、受信データがアドレス設定データの場合、記憶部60に、受信したアドレス設定データに応じたアドレス値を設定する機能を有する。また、アドレス設定部63は、第3端子44に入力される識別信号、及びアドレス値に応じて、アドレス設定データ生成要求信号をアドレス設定データ送信制御部38Aに出力する機能を有する。
【0100】
アドレス設定データ送信制御部38Aは、格納部70、及びアドレス設定データ生成部72Aを備えている。すなわち、本実施の形態のアドレス設定データ送信制御部38Aは、第1の実施の形態のアドレス設定データ生成部72に代わり、アドレス設定データ生成部72Aを備えている。
【0101】
アドレス設定データ生成部72Aは、第1の実施の形態のアドレス設定データ生成部72と同様に、アドレス設定データ生成要求信号に応じて、アドレス設定データを生成して出力する機能を有する。また、アドレス設定データ生成部72Aは、アドレス設定データの出力が完了すると、アドレス設定データ生成完了信号を生成して、アドレス設定部36Aのアドレス設定部63へ出力する機能を有している。
【0102】
次に、本実施の形態の電池監視システム10における各ICのアドレス値の設定動作について説明する。なお、ここでは、第1の実施の形態と同様に、具体的一例として、n=4として、4個のIC(IC1〜IC4)がデイジーチェーン接続された電池監視システム10におけるアドレス値の設定動作について説明する。
【0103】
図7には、各ICにおけるアドレス値の設定動作の一例の流れを表したフローチャートを示す。まず、
図7に示したフローチャートにより、本実施の形態のICによる設定動作の概略を説明した後、各IC毎に、詳細に設定動作を説明する。なお、
図7に示したフローチャートにおける処理(動作)のうち、第1の実施の形態の設定動作(
図4参照)と同様の処理(動作)について、同一のステップ番号を付与している。
【0104】
ステップS100〜S104は、第1の実施の形態の設定動作と同様である。受信データの種別がアドレス設定に関するものではない場合は、第1通信部34のデータ種別判定部50から各機能部に受信データを出力した後、本処理を終了する。一方、受信データの種別がアドレス設定に関するものである場合は、コマンド判定部66がコマンドの種別を判定し、アドレス初期設定の場合は、本実施の形態では、ステップS107に移行する。
【0105】
本実施の形態の設定動作では、第1の実施の形態の設定動作におけるステップS106の代わりに、ステップS107が設けられている。
【0106】
ステップS107では、アドレス初期設定データに基づいて、アドレス設定処理部61Aのアドレス初期設定部64Aは、記憶部60に、アドレス値の初期値と、アドレス設定データ生成数を設定する。
【0107】
次のステップS108で、データ選択制御部80の制御により、SW82の出力端の接続先を入力端2に切り替える。これにより、アドレス設定データ送信制御部38Aで生成されたアドレス設定データが、第2通信部40により次段のICに送信されるようになる。また、各ICでは、前段のICにおける第2通信部40のSW82の入力端1(IC1の場合は、制御部12)から受信した受信データを、第2通信部40のSW82から次段のICに送信しないようになる。
【0108】
次のステップS110で、アドレス設定処理部61Aは、自ICが、制御部12に接続されているか否かを第3端子44に入力される識別信号のレベルに応じて識別する。制御部12に接続されていない場合は、本動作を終了する。一方、制御部12に接続されている場合は、ステップS112へ移行して、アドレス設定データ送信制御部38Aのアドレス設定データ生成部72Aが、アドレス設定データを生成して、第2通信部40を介して次段のICに送信した後、ステップS115へ移行する。
【0109】
本実施の形態の設定動作では、第1の実施の形態の設定動作のステップS114及びS116に代わり、ステップS115及びS117が設けられている。ステップS115で、アドレス設定処理部61Aのアドレス設定部63は、記憶部60に設定されているアドレス設定データ生成数−1を演算し、演算結果を新しいアドレス設定データ生成数として記憶部60に設定する。
【0110】
次のステップS117で、アドレス設定処理部61Aは、アドレス設定データ生成数が「0」であるか否かを判定し、アドレス設定データ生成数が「0」でない場合は、ステップS112に戻り、アドレス設定データの生成及び出力と、アドレス設定データ生成数の演算及び設定を繰り返す。一方、アドレス設定データ生成数が「0」である場合は、ステップS118へ移行する。
【0111】
ステップS118では、第2通信部40のSW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える。これにより、IC1では、アドレス値の設定の完了後は、第1通信部34が制御部12から受信した受信データは、そのまま上段のIC(IC2)に第2通信部40から送信されるようになる。一方、IC1では、第2通信部40とアドレス設定データ送信制御部38とが切り離された状態になる。
【0112】
次のステップS120で、アドレス設定部36は、アドレス値の設定が完了したため、終了信号を生成して、制御部12に送信した後、本動作を終了する。従って、制御部12に接続されたIC(最下段のIC)では、アドレス初期設定データを受信すると、アドレス値の設定が完了するまで、アドレス設定データの生成及び出力を繰り返し、また、アドレス設定データ生成数の演算及び設定を繰り返す。
【0113】
一方、ステップS104でコマンド判定部66はコマンドの種別が、アドレス設定であると判定した場合、すなわち受信データがアドレス設定データである場合は、ステップS123へ移行する。なお、本実施の形態の電池監視システム10でも、アドレス設定データは、制御部12に接続されていないICしか受信しない。
【0114】
本実施の形態の設定動作では、第1の実施の形態の設定動作のステップS122及びS124に代わり、ステップS123及びS125が設けられている。また、本実施の形態の設定動作では、第1の実施の形態の設定動作のステップS126は、設けられていない。
【0115】
ステップS123で、アドレス設定部36Aのアドレス設定処理部61Aは、アドレス設定データに基づいて、自装置に対するコマンドであるか否かを判断する。自装置に対するコマンドではない場合は、本動作を終了する。一方、自装置に対するコマンドである場合は、ステップS125へ移行する。
【0116】
ステップS125では、アドレス設定部63は、アドレス設定データに基づいて、記憶部60に記憶されているアドレス値を設定する。また、コマンド判定部66は、アドレス設定識別信号を出力して、SW82の出力端の接続先を入力端1に切り替えた後、本動作を終了する。従って、制御部12に接続されていないICでは、アドレス値の設定が完了するまで、アドレス設定データが入力されるため、ステップS100、S104、S123、及びS125の動作が繰り返される。
【0117】
次に、各IC毎に、設定動作の詳細を説明する。
図8には、制御部12及び各ICにおける設定動作の一例の流れを表したフローチャートを示す。
【0118】
まず、タイミングT0では、第1の実施の形態のタイミングT0(
図5参照)と同様に、電池監視システム10に電源が投入されると、初期化され動作可能状態となる。まず、電源投入時における初期状態(アドレス値設定動作前)では、全ICにおいて、アドレス値は、「0」に設定される。また、第2通信部40のSW82の出力端は、入力端1に接続されている。そのため、第1通信部34が受信した受信データは、第1通信部34から第2通信部40に出力されて、そのまま送信データとして、通信線16を介して上段のICに送信される。
【0119】
次に、タイミングT1では、第1の実施の形態のタイミングT1(
図5参照)と同様に、制御部12は、全ICに対して設定可能なコマンドを用いて、アドレス値の初期設定値を「3」(デイジーチェーン接続されている全段数(n)−1)として、アドレス初期設定データをIC1に送信する。各ICでは、第2通信部40のSW82の出力端が入力端1に接続されているため、受信したアドレス初期設定データをそのまま、次段のICに送信する。
【0120】
また、タイミングT1において、アドレス初期設定データを受信した各ICでは、第1通信部34の信頼性チェック部52で受信データの信頼性を確認する。信頼性を満たしている場合は、データ種別判定部50で、受信データの種別を判定し、アドレス値の設定に関するデータの場合は、受信データをアドレス設定部36Aに出力する。
【0121】
タイミングT2では、アドレス設定部36Aのコマンド判定部66が、受信データのコマンドの種別を判定する。コマンド判定部66が、アドレス初期設定データであると判定すると、アドレス設定処理部61Aのアドレス初期設定部64Aが、記憶部60に、初期設定値「0」をアドレス値として設定し、アドレス設定データ生成数を「3」に設定する。
【0122】
なお、本実施の形態の電池監視システム10では、制御部12に接続されたIC1のみが、アドレス設定データを生成し、IC2〜IC4は、アドレス設定データを生成しないため、IC2〜IC4では、アドレス設定データ生成数の設定を行わないようにしてもよい。例えば、第3端子44に入力される識別信号に基づいて、IC2〜IC4では、記憶部60に、アドレス設定データ生成数を設定しないようにしてもよい。
【0123】
また、タイミングT3では、第1の実施の形態のタイミングT3(
図5参照)と同様に、アドレス設定処理部61Aは、アドレス初期設定識別信号を生成して、第2通信部40に出力する。第2通信部40のデータ選択制御部80は、SW82の出力端の接続先を入力端2に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端2に切り替えることにより、アドレス設定データ送信制御部38Aで生成されたアドレス設定データが送信データとして、第2通信部40から上段のICに送信されるようになる。また、第1通信部34が受信した受信データが第2通信部40から上段のICに送信されることがなくなる。なお、説明の便宜上、タイミングT2における動作とタイミングT3における動作とは、別タイミングとして説明したが、実際には、ほぼ同時のタイミングで行われる。
【0124】
IC1では、第3端子44にLレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定部36Aのアドレス設定処理部61Aが、制御部12に接続されていることを識別し、また、記憶部60のアドレス設定データ生成数が「0」ではないため、アドレス設定データ生成要求信号を生成して、アドレス設定データ生成部72Aに出力する。
【0125】
タイミングT4では、IC1のアドレス設定データ送信制御部38Aのアドレス設定データ生成部72Aは、格納部70からアドレス設定コマンド及び信頼性チェック用データを読み出して、アドレス設定データを生成して、第2通信部40に出力する。なお、本実施の形態において、アドレス設定コマンドは、アドレス値が「0」のICに対して、アドレス値を「1」に設定するためのコマンドである。IC1の第2通信部40からIC2に通信線16を介して、アドレス設定データが送信データとして送信される。IC2の第1通信部34は、アドレス設定データである送信データを受信データとして受信する。
【0126】
タイミングT4において、IC2のアドレス設定処理部61Aでは、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定データ生成要求信号は生成しない。従って、IC2のアドレス設定データ送信制御部38Aでは、アドレス設定データは生成されない。また、IC2の第2通信部40のSW82では、出力端の接続先が入力端2であるため、IC1から受信した受信データ(アドレス設定データ)は、上段のIC3に送信されることがない。なお、IC3、及びIC4も、同様に、第3端子44にHレベルの識別信号が入力されるため、アドレス設定処理部61Aでは、アドレス設定データ生成要求信号を生成しない。
【0127】
タイミングT5では、IC1のアドレス設定データ送信制御部38Aのアドレス設定データ生成部72Aは、アドレス設定データの出力が終了すると、アドレス設定データ生成完了信号を生成して、アドレス設定部36Aのアドレス設定処理部61Aに出力する。アドレス設定処理部61Aのアドレス設定部63は、アドレス設定データ生成完了信号が入力されると、記憶部60に設定されているアドレス設定データ生成数−1を演算し、演算結果を記憶部60にアドレス設定データ生成数として設定する。従って、IC1のアドレス設定部63は、3−1=2を演算して、アドレス設定データ生成数として「2」を記憶部60に設定する。
【0128】
一方、タイミングT5において、IC2では、アドレス設定データに基づいて、アドレス設定部36Aのコマンド判定部66がアドレス設定識別信号を出力する。また、記憶部60に記憶されているアドレス値が「0」であるため、アドレス設定データのコマンドが、自装置に対するコマンドであると判断して、アドレス設定部63が、アドレス設定データに基づいて、アドレス値として「1」を記憶部60に設定する。これにより、IC2では、記憶部60に記憶されているアドレス値は、「0」から「1」に書き換えられる。
【0129】
また、第2通信部40のデータ選択制御部80は、アドレス設定識別信号に基づいて、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端1に切り替えることにより、第1通信部34が受信した受信データが、そのまま第2通信部40に出力され、送信データとして、第2通信部40から上段のIC3に送信されるようになる。
【0130】
タイミングT6では、IC1のアドレス設定処理部61Aは、記憶部60に設定されているアドレス設定データ生成数が「0」ではないため、再び、アドレス設定データ生成要求信号を生成して、アドレス設定データ生成部72Aに出力する。IC1のアドレス設定データ生成部72Aは、アドレス設定コマンドを、アドレス値が「0」のICに対して、アドレス値を「2」に設定するためのコマンドとして、アドレス設定データを生成して、第2通信部40から上段のIC2に送信する。
【0131】
タイミングT6において、IC2の第2通信部40のSW82では、出力端が入力端1に接続されているため、IC1から受信した受信データ(アドレス設定データ)が、そのまま第1通信部34から第2通信部40に出力され、第2通信部40から上段のIC3に送信される。IC3は、受信データとして、アドレス設定データを受信する。
【0132】
タイミングT7では、2回目のアドレス設定データの送信が終了したIC1は、再び、タイミングT5と同様の処理を行い、記憶部60に設定されているアドレス設定データ生成数を「1」(2−1)に設定する。
【0133】
タイミングT7において、IC2では、記憶部60に設定されているアドレス値が「1」であるため、何も処理が行われない。
【0134】
一方、タイミングT7において、IC3では、アドレス設定データに基づいて、アドレス設定部36Aのコマンド判定部66がアドレス設定識別信号を出力する。また、記憶部60に記憶されているアドレス値が「0」であるため、アドレス設定データのコマンドが、自装置に対するコマンドであると判断して、アドレス設定部63が、アドレス設定データに基づいて、アドレス値として「2」を記憶部60に設定する。これにより、IC3では、記憶部60に記憶されているアドレス値は、「0」から「2」に書き換えられる。また、IC3では、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66によりアドレス設定識別信号が出力され、データ選択制御部80により、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端1に切り替えることにより、受信データが第1通信部34から第2通信部40に出力され、そのまま送信データとして、第2通信部40から上段のIC4に送信されるようになる。
【0135】
タイミングT8では、IC1のアドレス設定処理部61Aは、記憶部60に設定されているアドレス設定データ生成数が「0」ではないため、再び、アドレス設定データ生成要求信号を生成して、アドレス設定データ送信制御部38Aのアドレス設定データ生成部72Aに出力する。IC1のアドレス設定データ生成部72Aは、アドレス設定コマンドを、アドレス値が「0」のICに対して、アドレス値を「3」に設定するためのコマンドとして、アドレス設定データを生成して、第2通信部40から上段のIC2に送信する。
【0136】
タイミングT8において、IC2、及びIC3の第2通信部40のSW82では、出力端の接続先が入力端1であるため、IC1が送信した送信データ(アドレス設定データ)は、IC4に送信される。IC4は、受信データとして、アドレス設定データを受信する。
【0137】
タイミングT9では、3回目のアドレス設定データの送信が終了したIC1は、再び、タイミングT5と同様の処理を行い、記憶部60に設定されているアドレス設定データ生成数を「0」(1−1)に設定する。また、IC1のアドレス設定処理部61Aは、アドレス設定データ生成数が「0」であるため、アドレス設定完了信号を生成して、第2通信部40のデータ選択制御部80に出力する。データ選択制御部80は、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。SW82の出力先の接続先を入力端1に切り替えることにより、第1通信部34が受信した受信データが、そのまま第2通信部40に出力され、送信データとして、第2通信部40から上段のIC2に送信されるようになる。
【0138】
一方、タイミングT9において、IC2では記憶部60に設定されているアドレス値が「1」であり、IC3では、記憶部60に設定されているアドレス値が「2」であるため、何も処理が行われない。
【0139】
また、タイミングT9において、IC4では、アドレス設定データに基づいて、アドレス設定部36Aのコマンド判定部66がアドレス設定識別信号を出力する。また、記憶部60に記憶されているアドレス値が「0」であるため、アドレス設定データのコマンドが、自装置に対するコマンドであると判断して、アドレス設定部63が、アドレス設定データに基づいて、アドレス値として「3」を記憶部60に設定する。これにより、IC4では、記憶部60に記憶されているアドレス値は、「0」から「3」に書き換えられる。また、IC4では、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66によりアドレス設定識別信号が出力され、データ選択制御部80により、SW82の出力端の接続先を入力端2から入力端1に切り替える制御を行う。
【0140】
このようにして、IC1にはアドレス値=「0」が設定され、IC2にはアドレス値=「1」が設定され、IC3にはアドレス値=「2」が設定され、IC4にはアドレス値=「3」が設定された状態になる。タイミングT10では、アドレス値の設定が完了すると、IC1は、終了信号を割込信号として生成して、第1通信部34及び通信線14を介して制御部12に送信する。制御部12では、当該終了信号により、各ICにおけるアドレス値の設定が完了したことを認識することができる。
【0141】
以上説明したように本実施の形態の電池監視システム10では、IC1のアドレス設定データ生成部72Aが、設定されているアドレス値が初期値の「0」であるICに対する、アドレス設定データ生成回数に応じて異なるアドレス値のアドレス設定コマンドでアドレス設定データを生成する。IC2〜IC4では、アドレス設定データが自装置に対するものであると判断した場合、すなわち、記憶部60にアドレス値として初期値の「0」が設定されている場合は、アドレス設定部63が、アドレス設定データに基づいて、記憶部60にアドレス値を設定する。
【0142】
従って、第1の実施の形態と同様に、制御部12と通信を行うIC1のみが、アドレス設定データの生成及び送信を行うことになるため、受信データの受信タイミングと送信データの送信タイミングとが重なることがなくなる。そのため、各IC間の基準クロックの周波数差(周期のずれ)を考慮しなくても、例えば、アドレス値が重複して設定されてしまうことがなくなる。
【0143】
また、第1の実施の形態と同様に、回路規模の増大や、アドレス値の設定時間の増大を招くおそれを抑制することができる。
【0144】
また、第1の実施の形態と同様に、制御部12は、初めに、アドレス初期設定データをIC1に送信するのみでよく、IC1がアドレス値の設定を管理するため、制御部12の負荷が軽減される。
【0145】
従って、本実施の形態の電池監視システム10(IC)では、制御部の負荷を抑制して、適切にアドレス値の設定を行うことができる。
【0146】
[第3の実施の形態]
上記各実施の形態の電池監視システム10では、制御部12に接続されたIC1が、アドレス設定データを生成していたが、本実施の形態の電池監視システムでは、制御部12でアドレス設定データを生成して、IC1に出力する場合について説明する。具体的には、第1の実施の形態において、IC1に代わり、制御部12がアドレス設定データを生成してIC1に出力する場合について説明する。
【0147】
本実施の形態のICは、制御部12がアドレス設定データを生成するため、制御部12の記憶部18には、アドレス設定データを生成するための情報(例えば、生成回数等)が記憶されている。
【0148】
図9には、本実施の形態の各ICにおける、アドレス値の設定動作を行うための構成の一例の詳細を表す機能ブロック図を示す。本実施の形態の各ICは、
図9に示すように、第1通信部34、アドレス設定部36B、及び第2通信部40Bを備える。すなわち、本実施の形態のICは、アドレス設定データの生成・送信を行わないため、上記各実施の形態のICにおけるアドレス設定データ送信制御部38、38Aを備えていない。また、アドレス設定部36Bは、アドレス設定処理部61Bを備えている。アドレス設定処理部61Bは、アドレス演算処理部62B及びアドレス初期設定部64を含んでいる。アドレス設定処理部61Bは、上記各実施の形態と同様に、アドレス設定完了信号、及びアドレス初期設定識別信号をデータ選択制御部80Bに出力するが、アドレス設定データ生成要求信号は生成せず、出力されない。
【0149】
また、本実施の形態の第2通信部40Bは、データ選択制御部80B及びSW82Bを備えている。SW82Bは、入力端1、入力端2、及び出力端を含んでいるが、入力端2が、上記各実施の形態と異なり、Lレベル(具体的一例として、グランド)に固定されている。そのため、出力端と入力端2とを接続することにより、上段のICの第1通信部34が、通信線16を介してLレベルに固定された状態となる。
【0150】
次に、本実施の形態の電池監視システム10における各ICのアドレス値の設定動作について説明する。なお、ここでは、具体的一例として、n=4として、4個のIC(IC1〜IC4)がデイジーチェーン接続された電池監視システム10におけるアドレス値の設定動作について説明する。
【0151】
図10には、各ICにおけるアドレス値の設定動作の一例の流れを表したフローチャートを示す。まず、
図10に示したフローチャートにより、本実施の形態のICによる設定動作の概略を説明した後、各IC毎に、詳細に設定動作を説明する。
【0152】
本実施の設定動作では、IC1が、第1の実施の形態の設定動作におけるIC2〜IC4と同様に動作する。そのため、
図10に示したように、第1の実施の形態の設定動作(
図4参照)における、ステップS110〜S120の動作(処理)が設けられていない。
【0153】
また、第1の実施の形態と異なり本実施の形態では、IC1〜IC4は、アドレス設定データを受信すると、アドレス値の設定が完了するまで、ステップS100、S104、S122〜S126の動作(処理)を繰り返す。
【0154】
その他は、第1の実施の形態の設定動作と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0155】
次に、各IC毎に、設定動作の詳細を説明する。
図11には、制御部12及び各ICにおける設定動作の一例の流れを表したフローチャートを示す。
【0156】
タイミングT1〜T3の動作は、第1の実施の形態のタイミングT1〜T3の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0157】
タイミングT1〜T3の動作により、全ICの記憶部60には、アドレス値の初期値である「3」が設定された状態になる。また、各ICの出力端と入力端1とは、非接続状態となる。そのため、各ICでは、第1通信部34が受信した受信データが、上段のICに送信されない状態となる。
【0158】
タイミングT4では、制御部12が生成したアドレス設定データを、IC1の第1通信部34が受信データとして受信する。IC1〜IC4では、SW82Bの入力端2がLレベルに固定されているため、IC1が受信したアドレス設定データは、上段のICには、送信されない。
【0159】
タイミングT5では、IC1は、アドレス初期設定データを受信した後、初めてアドレス設定データを受信したため、アドレス設定処理部61Bは、記憶部60のアドレス値に対しては、何も処理を行わない。従って、IC2の記憶部60に設定されているアドレス値は、「3」のままである。
【0160】
また、タイミングT5において、IC1では、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66が、アドレス設定識別信号を生成して、データ選択制御部80Bに出力する。第2通信部40Bのデータ選択制御部80Bは、SW82Bの出力端を入力端1に接続する制御を行う。SW82Bの出力端と入力端1とを接続することにより、第1通信部34が受信した受信データが、そのまま第2通信部40に出力され、送信データとして、第2通信部40Bから上段のIC2に送信されるようになる。
【0161】
タイミングT6では、制御部12が生成したアドレス設定データを、IC1の第1通信部34が受信データとして受信する。IC1のSW82Bの出力端と入力端1とが接続状態であるため、IC1が受信したアドレス設定データが、第1通信部34から第2通信部40に出力され、そのまま上段のIC2に送信される。一方、IC3、及びIC4では、SW82Bの入力端2がLレベルに固定されているため、IC1が受信したアドレス設定データは、上段のICには、送信されない。
【0162】
タイミングT7において、IC1では、アドレス設定データの受信が、アドレス初期設定データを受信した後、初めてではない(2回目以降)ため、アドレス設定処理部61Bが、記憶部60に設定されているアドレス値を−1する演算を行う。そのため、IC1の記憶部60に設定されているアドレス値が「2」(3−1)となる。
【0163】
一方、タイミングT7において、IC2では、アドレス初期設定データを受信した後、初めてアドレス設定データを受信したため、アドレス設定処理部61Bは、記憶部60のアドレス値に対しては、何も処理を行わない。従って、IC2の記憶部60に設定されているアドレス値は、「3」のままである。
【0164】
また、タイミングT7において、IC2は、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66により出力されたアドレス設定識別信号に基づいて、SW82Bの出力端と入力端1とを接続することにより、第1通信部34が受信した受信データが、そのまま第2通信部40に出力され、送信データとして、第2通信部40Bから上段のIC3に送信されるようになる。
【0165】
タイミングT8では、制御部12が生成したアドレス設定データを、IC1の第1通信部34が受信データとして受信する。IC1及びIC2のSW82Bの出力端と入力端1とが接続状態であるため、IC1が受信したアドレス設定データが、第1通信部34から第2通信部40に出力され、そのまま上段のIC2及びIC3に送信される。一方、IC3では、SW82Bの入力端2がLレベルに固定されているため、IC1が受信したアドレス設定データは、上段のIC4には、送信されない。
【0166】
タイミングT9では、IC1及びIC2では、アドレス設定データの受信が、アドレス初期設定データを受信した後、初めてではない(2回目以降)ため、アドレス設定処理部61Bが、記憶部60に設定されているアドレス値を−1する演算を行う。そのため、IC1の記憶部60に設定されているアドレス値が「1」(2−1)となり、IC2の記憶部60に設定されているアドレス値が「2」(3−1)となる。
【0167】
一方、タイミングT9において、IC3では、アドレス初期設定データを受信した後、初めてアドレス設定データを受信したため、アドレス設定処理部61Bは、記憶部60のアドレス値に対しては、何も処理を行わない。従って、IC3の記憶部60に設定されているアドレス値は、「3」のままである。
【0168】
また、タイミングT9において、IC3は、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66により出力されたアドレス設定識別信号に基づいて、SW82Bの出力端と入力端1とを接続することにより、第1通信部34が受信した受信データが、そのまま第2通信部40に出力され、送信データとして、第2通信部40Bから上段のIC4に送信されるようになる。
【0169】
タイミングT10では、制御部12が生成したアドレス設定データを、IC1の第1通信部34が受信データとして受信する。IC1〜IC3のSW82Bの出力端と入力端1とが接続状態であるため、IC1が受信したアドレス設定データは、各ICを通過して、上段のIC2〜IC4に送信される。
【0170】
タイミングT11において、IC1〜IC3では、アドレス設定データの受信が、アドレス初期設定データを受信した後、初めてではない(2回目以降)ため、アドレス設定処理部61Bが、記憶部60に設定されているアドレス値を−1する演算を行う。そのため、IC1の記憶部60に設定されているアドレス値が「0」(1−1)となり、IC2の記憶部60に設定されているアドレス値が「1」(2−1)となり、IC3の記憶部60に設定されているアドレス値が「2」(3−1)となる。
【0171】
一方、タイミングT11において、IC4では、アドレス初期設定データを受信した後、初めてアドレス設定データを受信したため、アドレス設定処理部61Bは、記憶部60のアドレス値に対しては、何も処理を行わない。従って、IC4の記憶部60に設定されているアドレス値は、「3」のままである。
【0172】
また、タイミングT11において、IC4は、アドレス設定データを受信したため、コマンド判定部66により出力されたアドレス設定識別信号に基づいて、SW82Bの出力端と入力端1とを接続する。
【0173】
以上説明したように、本実施の形態では、制御部12がアドレス設定データを生成して、IC1に出力し、IC1〜IC4は、アドレス設定データに基づいて、アドレス値を設定する。
【0174】
このように、本実施の形態の電池監視システム10では、制御部12がアドレス値の設定の管理を行うため、上記各実施の形態の電池監視システム10のIC1における終了信号の生成及び通信が不要になる。また、本実施の形態のICでは、上記各実施の形態のICに備えられていた、アドレス設定データ送信制御部38及び第3端子44が不要となるため、回路面積を縮小することができる。
【0175】
また、アドレス設定データは、デイジーチェーン接続されるICの数(例えば、数の増減)によらず、1つでよいため、制御部12では、アドレス設定データを記憶する記憶部18の使用量を抑制することができる。
【0176】
また、制御部12は、記憶部18から、アドレス初期設定データ及びアドレス設定データを読み出して、通信部17により送信するのみでよいため、例えば、制御部12が、全てのICのアドレス値を生成して、各ICに送信する場合に比べて、制御部12の負荷が軽減される。
【0177】
従って、本実施の形態の電池監視システム10(IC)では、制御部の負荷を抑制して、適切にアドレス値の設定を行うことができる。
【0178】
なお、上記各実施の形態で示した、ICの個数(デイジーチェーンの段数)等は、一例であり、特に限定されるものではない。
【0179】
また、上記各実施の形態では、最下段のIC1に制御部12が接続されている状態について説明したが、制御部12が接続されるICは、最下段のICに限らない。例えば、最上段のIC(IC4)の第1通信部34に制御部12が接続されるようにしてもよい。この場合、最上段のIC(IC4)から、最下段のIC(IC1)にアドレス初期設定データ及びアドレス設定データが送信される。
【0180】
また、上記各実施の形態では、本発明の半導体装置を、バッテリ20の電池セルの電池電圧を監視する電池監視用ICに適用した場合について説明したがこれに限らず、第1通信部、及び第2通信部がデイジーチェーン接続される半導体装置であれば、特に限定されない。
【0181】
また、上記各実施の形態で説明した電池監視システム10、IC、及び制御部12等の構成、各動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。また、上記各実施の形態を組み合わせてもよいことは、言うまでもない。