特許第6361063号(P6361063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361063
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】カレンダ装置とその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20180712BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20180712BHJP
   F16C 13/00 20060101ALN20180712BHJP
【FI】
   H01M4/04 Z
   H01M4/139
   !F16C13/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-264244(P2013-264244)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-122702(P2014-122702A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】10 2012 224 301.1
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー、フィンク
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−233298(JP,A)
【文献】 米国特許第03182587(US,A)
【文献】 特開昭57−143595(JP,A)
【文献】 特開昭60−159414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
H01M 4/139
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのローラ(16、17)を備えるカレンダ装置(10)を駆動する方法であって、前記2つのローラ(16、17)の間に間隙(13)が設けられ、少なくとも1つのローラ(16、17)が、焼戻しのために複数の区間(30)に分けられる、前記方法において、
処理された物質(12)の厚さ(24)が、前記物質(12)の幅に渡って分布する少なくとも2つの測定位置(64)で測定され、前記測定された厚さ(24)に従って、少なくとも1つのローラ(16、17)の湾曲(26、28)が、個々の前記区間(30)の個別の焼戻しによって補正され、前記物質(12)の厚さの変化が直線的であるか否かに応じて、前記少なくとも1つのローラ(16、17)の軸受の位置を移動させるか、または前記少なくとも1つのローラ(16、17)を焼戻しすることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ローラ(16、17)の前記焼戻しは、焼戻し媒体を貫流させることにより行われ、前記焼戻し媒体の流れは、区間(30)ごとに別々に調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ローラ(16、17)の前記焼戻しは電気的に行われ、エネルギー供給は区間(30)ごとに別々に調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ローラの前記焼戻しは、電気的に行われると共に焼戻し媒体を貫流させることにより行われ、前記焼戻し媒体は、全ての区間(30)を均一に加熱し、前記個別の焼戻しは、区間(30)ごとに別々にエネルギー供給を制御することにより電気的に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ローラ(16、17)の前記湾曲(26、28)の補正のための調整が利用され、前記調整の入力変数は、前記処理された物質の前記測定された厚さ(24)を含み、前記調整の出力変数は、ローラ(16、17)の各区間(30)の温度(θ1、S、θn、S)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのローラ(16、17)の軸受の位置が追加的に調整され、前記軸受は、異なる2つの空間方向(X、Z)に沿って摺動自在であり、前記2つの空間方向(X、Z)は、前記ローラ(16、17)の軸に対して基本的に直交する平面上に存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記処理された物質(12)は、バッテリの電極であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
2つのローラ(16、17)を備えた、物質(12)をカレンダ加工する装置(10)であって、前記2つのローラ(16、17)の間に間隙(13)が設けられ、少なくとも1つのローラ(16、17)は、焼戻しのために、個別に調整可能な複数の区間(30)に分けられる、前記装置(10)において、
処理された物質(12)の厚さ(24)を、前記物質の幅に渡って分布する少なくとも2つの測定位置(64)で定めるよう構成された測定装置(22)が設けられ、ローラ(16、17)の個々の前記区間(30)の焼戻しは、前記測定位置(64)で測定された厚さ(24)に従って設定可能であり、前記物質(12)の厚さの変化が直線的であるか否かに応じて、前記少なくとも1つのローラ(16、17)の軸受の位置を移動させるか、または前記少なくとも1つのローラ(16、17)を焼戻しすることを特徴とする、装置(10)。
【請求項9】
焼戻し可能なローラ(16、17)の各区間(30)は、焼戻し媒体を貫流させることにより加熱可能であり、前記焼戻し媒体の流れは、区間(30)ごとに別々に調整可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
焼戻し可能なローラ(16、17)の各区間(30)は、電気的に加熱可能であり、エネルギー供給は区間(30)ごとに別々に調整可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
焼戻し可能なローラ(16、17)の各区間(30)は、焼戻し媒体により均一に加熱可能であり、各区間(30)は個別に電気的に焼戻し可能であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つのローラ(16、17)の軸受は、異なる2つの空間方向(X、Z)に沿って摺動自在であり、前記2つの空間方向(、Z)は、前記ローラ(16、17)の軸に対して基本的に直交する平面上に存在することを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1項に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのローラを備えるカレンダ装置を駆動する方法であって、2つのローラの間に間隙が設けられ、少なくとも1つのローラが、焼戻しのために複数の区間に分けられる、上記方法に関する。さらに、本発明は、2つのローラを備えた、物質をカレンダ加工する装置であって、ローラの間に間隙が設けられ、少なくとも1つのローラが、焼戻しのために、個別に調整可能な複数の区間に分けられる、上記装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カレンダ機は複数のローラを備え、その際に、2つのローラの間に間隙が設けられ、この間隙を通って物質が案内される。間隙を通って物質が案内される際に、ローラによって、物質に対して押圧力が加えられる。物質を均一に処理しうるために、ローラは、円筒形状の滑らかな表面を有する必要があり、間隙の幅は、ローラの全幅に渡って一定である必要がある。ローラのための材料として、チルド鋳物又は鋼が選択されることが多く、ローラの表面は研磨される。ローラの湾曲を予防するために、ローラは、予め定められた所定の許容温度帯内で駆動される。
【0003】
このようなカレンダ機は、例えば、リチウムイオンバッテリセルの電極の製造の際に使用される。その際に、ローラの間に存在する物質として、以前に液状塗装処理により活物質層が形成されている電極が取り扱われる。キャリア材料として、リチウムイオンバッテリセルの電極の製造の際には、陽極については通常銅箔が使用され、陰極については通常アルミ箔が使用される。その際に、上記箔は典型的に10μmの範囲内の厚さを有する。活物質は、スラリーの形態により、即ち、流れ易くドロドロした状態でキャリア箔上に塗布される。陽極の製造の場合には、塗料は、天然黒鉛及び/又は合成黒鉛をベースとし、陰極の場合には、様々なリチウム金属酸化物の組み合わせをベースとすることが多い。液状塗装の後に、利用された溶液が乾燥炉内で蒸発させられ、電極物質がカレンダ機に供給される。カレンダローラによる処理によって活物質が圧縮され、その際に、例えば陰極の場合は約25%の圧縮が達成される。カレンダ加工の後は、層の厚さが極めて均一で、公差が1μmよりも小さくなければならない。均一な塗装は、リチウムイオンバッテリバッテリセルの品質にとって決定的に重要であり、リチウムイオンバッテリバッテリセルの容量及び分散は、均一な層の厚さと、その目標値の近傍に僅かに分布する層の厚さと、に依存する。
【0004】
独国特許出願公開第19929149号明細書には、カレンダローラのローラの歪みを補正する装置が開示されている。歪みは、ローラ材料が、幾つかの範囲内でカートリッジヒータを介して適切に加熱されることにより補正される。この加熱と、これに伴う物質の伸長と、によって、カートリッジヒータの範囲内のローラの直径が増大する。その際に、加熱に対する合目的的な制御によって、ローラ内の各所望の温度分布を設定することが可能である。
【0005】
独国特許第19824542号明細書には、ローラ、及び、ローラを駆動する方法が開示されている。ローラには焼戻し装置が設けられ、この焼戻し装置によって、ローラのジャーナル領域に、ローラのボール領域とは異なった熱負荷が掛けられる。これにより、ジャーナル領域における直径の拡大、及び、ボール領域における直径の縮小が達成され、従って、ローラの直径の配分より均一になる。熱媒の温度は、測定されたローラの温度及びローラへの負荷に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点は、カレンダ機のローラの温度が、予め定められた温度分布に従って又はローラの負荷に従って設定されるが、この調整の際に、処理された物質の均一性が考慮されていないことである。しかしながら、狭い許容限界値を遵守しうるために、処理された物質の測定された厚さに依存したローラの温度の調整及びこれに伴うローラの湾曲の補正が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
カレンダ装置を駆動する方法であって、カレンダ装置は2つのローラを備え、2つのローラの間に間隙が設けられ、少なくとも1つのローラが、焼戻しのために複数の区間に分けられ、処理された物質の厚さが、物質の幅に渡って分布する少なくとも2つの測定位置で測定され、測定された厚さに従って、少なくとも1つのローラの湾曲が、個々の区間の個別の焼戻しによって補正される、上記方法が開示される。
【0008】
カレンダ装置は少なくとも2つのローラを備え、この2つのローラの間に間隙が設けられる。処理された物質は、カレンダ装置に供給され、間隙を通って案内される。物質が間隙を通って案内される際に、上記2つのローラによる押圧力が、物質に対して作用する。この処理の後で、物質は測定装置のところを通り、測定装置は、物質の幅に渡って分布する複数の測定位置で物質の厚さを定める。
【0009】
処理された物質の厚さが均一になるためには、全ての処理パラメータが最適に設定される必要がある。この処理パラメータは、2つのローラの互いの方向付けの他に、ローラの温度も含む。なぜならば、ローラ材料は温度に従って伸長するからである。その際、ローラ内の温度分布に従って、ローラ表面の湾曲が調整される。ローラ温度の設定のために、ローラは、温度がそれぞれ個別に調整される複数の区間に分けられる。特定の区間がそれに対して調整される温度は、湾曲と、物質に対する一様ではない処理とが補正されるように、処理された物質の測定された厚さに従って決定される。
【0010】
本方法の一実施形態において、ローラの焼戻しは、焼戻し媒体を貫流させることにより行われ、焼戻し媒体の流れは、区間ごとに別々に調整される。
【0011】
焼戻し媒体は、例えば、ローラ内の管路を貫流する蒸気、水、伝熱油であってもよい。例えば弁のような適切な調整装置を介して、各区間内へと導入される貫流量及び熱量を、区間ごとに別々に調整することが可能である。
【0012】
本方法の一実施形態において、ローラの焼戻しは電気的に行われ、エネルギー供給は区間ごとに別々に調整される。
【0013】
このために、1つ以上のカートリッジヒータ、又は、当業者には公知の他の電気加熱装置が各区間内に配置されうる。電気供給の調整によって、各区間内で別々に温度を設定することが可能である。その際に、1の変形例において、配電を調整する装置をローラ自体に組み込むことを構想することが可能であり、従って、全ての区間のために1対の線のみ外部へと案内すればよい。同様に、他の変形例において、区間ごとに別々の接点を外部へと案内することも可能であり、従って、調整要素を外部に配置することが可能である。
【0014】
本発明の更なる別の実施形態において、ローラの焼戻しは、電気的に行われると共に焼戻し媒体を貫流させることにより行われ、焼戻し媒体は、全ての区間を均一に加熱し、個別の焼戻しは、区間ごとに別々にエネルギー供給を制御することにより電気的に行われる。
【0015】
本変形例において、焼戻し媒体は、基本的な焼戻しを行うために、ローラ内の管路を通って案内される。個々の区間の間の所望の温度差のみ、電気的な加熱によって達成する必要がある。
【0016】
提示された全ての変形例において、温度の調整のために、各区間内に1つ以上の温度センサを配置することが可能である。これにより、所望の温度を一定に保つために、簡単なやり方で調整システムを実現することが可能である。
【0017】
本発明の一実施形態において、ローラの湾曲の補正のための調整が利用され、調整の入力変数は、処理された物質の測定された厚さを含み、調整の出力変数はローラの各区間の温度を含む。
【0018】
その際に、例えば、数学的モデルを介して、測定された物質の厚さから、温度の変更により補正すべきローラの湾曲を推測することが可能である。このために、ローラの区間ごとに目標温度を定めることが可能であり、この目標温度によって、以前に定められた湾曲を補正することが可能である。温度調整のために、当業者に公知のあらゆる調整方法を利用してもよく、例えば、比例−積分−微分(PID)調整器、比例積分調整器、又は、比例調整器若しくは積分調整器を使用してもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、ローラの個々の区間の温度に加えて、ローラの軸受の位置も調整され、軸受は、異なる2つの空間方向に沿って摺動自在であり、2つの空間方向は、ローラの軸に対して基本的に直交する平面上に存在する。
【0020】
単にローラの湾曲を補正するだけで、物質に対する一様ではない処理に繋がる全てのエラーを補正できるわけではない。従って例えば、ローラの湾曲の変更によっては、1のローラに対する他のローラの軸の歪みを補正し、又は、2つのローラの間の間隙の幅を変更することはできない。その際に、1のローラに対して他のローラの軸の角度を調整するために、これらローラの軸受の位置を互いに依存せずに、2つの異なる空間方向に沿って動かせる必要がある。さらに、軸受の位置の調整のために、処理された物質の測定された厚さを入力変数として獲得する調整システムを実現することが可能である。
【0021】
本発明の一実施形態において、処理された物質はバッテリの電極である。
【0022】
バッテリの電極は、金属箔の液状塗装により形成される。その際に、陽極の製造の際には通常アルミ箔が使用され、その際に、このアルミ箔は通常10μmの範囲内の厚さを有する。陽極の製造の際には、塗料として、天然黒鉛及び/又は合成黒鉛ベースの、水に溶ける物質が利用されることが多い。陰極については、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−Methyl−2−pyrrolidon)ベースの溶液に溶けた、様々なリチウム金属酸化物の組み合わせが使用されることが多い。液状塗装の後に、電極は乾燥されてカレンダ装置に供給される。カレンダ装置によって、電極の、塗布された活物質が圧縮されて極めて均一な表面が生成し、その際、通常では、公差が1μmよりも小さいことが必要となる。
【0023】
さらに、本発明は、2つのローラを備えた、物質をカレンダ加工する装置であって、2つのローラの間に間隙が設けられ、少なくとも1つのローラが、焼戻しのために、個別に調整可能な複数の区間に分けられ、処理された物質の厚さを、物質の幅に渡って分布する少なくとも2つの測定位置で定めるよう構成された測定装置が設けられ、ローラの個々の区間の焼戻しは、測定された厚さに従って設定可能である。
【0024】
カレンダ装置には、加工された物質が供給され、この物質は、ローラの間の間隙を通って案内されて、そこで押圧力が掛けられる。この処理の後で、上記物質は測定装置に供給され、測定装置は、処理された物質の厚さを、物質の幅に渡って分布する少なくとも2つの測定位置で定める。このために、測定装置の実施形態に従って、物質の幅に渡って分散して配置される複数の測定ヘッドが設けられてもよく、又は、物質の幅に渡って動かされその際に複数の測定位置を走査する1つの測定ヘッドが設けられてもよい。
【0025】
測定された厚さに依存した、ローラの個々の区間の焼戻しの実現は、測定装置及びローラと接続された調整装置を介して行うことが可能である。
【0026】
装置の一実施形態において、焼戻し可能なローラの各区間は、焼戻し媒体を貫流させることにより加熱可能であり、焼戻し媒体の流れは、区間ごとに別々に調整可能である。
【0027】
本実施形態において、焼戻し可能なローラ内には、焼戻し媒体のための管路が設けられ、その際、各区間に、独自の管路を割り当てることが可能である。焼戻し媒体として、例えば、蒸気、水、又は伝熱油が適当である。
【0028】
管路内での焼戻し媒体の流れは、例えば弁のような適切な調整装置を介して設定することが可能である。
【0029】
装置の更なる別の実施形態において、焼戻し可能なローラの各区間は、電気的に加熱可能であり、エネルギー供給は区間ごとに別々に調整可能である。
【0030】
その際に、各区間内に、例えばカートリッジヒータのような電気的な加熱装置又は他の実施形態による抵抗加熱部が実装される。ペルティエ素子の使用も構想可能であり、従って、焼戻しの際に、区間を加熱することも、冷却することも可能である。その際に、実施変形例に従って、焼戻し可能な全ての区間のために1対の線のみ外部へと案内し、電気的エネルギーを個々の区間に分配する温度調整装置を、ローラの内部に配置することが可能である。さらに、この調整装置をローラの外部に配置できるために、各区間の電気的接点を個別に外部へと案内することが構想されうる。
【0031】
装置の一実施形態において、焼戻し可能なローラの各区間は、焼戻し媒体により均一に加熱可能であり、各区間は個別に電気的に焼戻し可能である。
【0032】
本実施形態において、焼戻し媒体のための管路がローラを貫通し、その際に、全ての区間が均一に焼戻し媒体によって加熱される。個々の区間の間の所望の温度差のみが、各区間内に追加的に配置される電気加熱器によって設定される。
【0033】
温度調整を実現するために、各区間内に、1つ以上の温度センサを設けることが可能であり、温度センサの測定値は、割り当てられた区間の温度の調整のために利用される。
【0034】
装置の一実施形態において、少なくとも1つのローラの軸受は、異なる2つの空間方向に沿って摺動自在であり、上記2つの空間方向は、ローラの軸に対して基本的に直交する平面上に存在する。
【0035】
1のローラに対する他のローラの歪みを補正するため、又は、2つのローラの間の間隙の幅を変更するために、少なくとも1つのローラの軸受を移動させられるようにしてもよい。その際に、歪みの補正には、2つの異なる空間方向に沿って軸受を互いに移動させられるようにしてもよい。。その際に、1の空間方向は、ローラの間の間隙を通る物質の移動方向に相当し、他の空間方向は、物質の表面に対して直交して配置される。従って、2つの空間方向は、軸の僅かな歪みを除いて、基本的にローラの軸に対して直交する平面上に存在する。軸の移動は、物質の測定された厚さを入力変数として獲得する制御装置を介しても行うことが可能である。その際に、本来の軸の移動は、例えば、アクチュエータ又は他の適切な駆動部を介して行われる。
【発明の効果】
【0036】
処理された物質の測定された厚さに従った、ローラの個々の区間の個別の焼戻しによる、ローラの湾曲に対する提案した調整によって、重要な処理パラメータの調整を行うことが可能である。処理された物質の厚さが不均一になること、又は目標の厚さとは異なる厚さになることに繋がる処理中の差分を、即時に補正することが可能である。
【0037】
さらに、調整のための入力変数として、処理された物質において測定された値を直接的に利用して、ローラへの負荷の決定のような間接的な測定に依拠しないことにより、処理パラメータの調整の実現が容易になる。
【0038】
リチウムイオンバッテリセルの電極の処理の際には特に、上記入力変数に基づいて、活物質の圧縮が従来よりも均一に行われうる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】カレンダ装置の概略図を示す。
図2】1対のローラの様々な湾曲を示す。
図3】ローラが複数の区間に分けられた1対のローラを示す。
図4】調整システムの概略図を示す。
図5】バイパスI(積分)調整器の概略図を示す。
図6】移動する測定ヘッドを有する測定装置を示す。
図7】固定的に配置された複数の測定ヘッドを有する測定装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施例が以下の図面に示され、対応する明細書の記載により詳細に解説される。
【0041】
図1は、カレンダ装置の概略図を示す。
【0042】
図1には、2つのローラ16、17を備えるカレンダ装置10が示されている。2つのローラ16、17の間には間隙13が設けられる。以前に液状塗装処理により両側に層18が形成された処理すべき物質12が、カレンダ装置10に供給されて、間隙13を通って案内される。間隙13内では、ローラ16、17による押圧力が物質12に対して作用し、従って、層18が圧縮される。その際に、物質は、移動方向14へと案内される。続いて、圧縮された層20を有する物質が測定装置22のところに案内され、測定装置22は、物質の厚さ24を定める。その際に、測定装置22によって、物質12の厚さ24が、物質12の幅に渡って分布する複数の測定位置で定められる。
【0043】
定められた厚さを用いて、厚さ24が、要求される目標厚さに相当するのか、及び、処理された物質の厚さが全幅に渡って均一なのかを検査することが可能である。確認された差分の形態に従って、他の形態の補正が考えられる。
【0044】
物質の厚さが均一であるが、目標値には対応しない場合には、例えば、上のローラ17をZ方向に沿って、即ち、図1では上方又は下方へと移動させることが可能であり、その際に、下のローラ16に対して、上のローラ17の軸を平行に方向付けることが遵守される。
【0045】
物質の幅に沿って眺めて、厚さが不均一であることが確認された場合には、複数の補正の可能性が検討される。例えば、物質の幅に渡る厚さの推移が直線で記述される場合には、該当するローラの対では、1のローラの軸が、他のローラの軸に対して歪んでいることが推測される。この歪みも同様に、該当するローラの軸受の位置を移動することにより補正することが可能である。
【0046】
これに対して、物質の幅に対する物質の厚さの推移が、最大値又は最小値を有する場合には、このことは、少なくとも1つのローラの表面が湾曲していることを示唆している。このエラーを補正するために、ローラ16、17は、互いに別々に焼戻しが施される複数の区間に分けられる。温度を上げることによって、該当する区間内の物質が伸長し、従って、ローラの直径がこの範囲内では増大する。温度が下げられる場合には、物質は収縮し、該当する区間内の直径も縮小される。これに対応して、ローラの定められた湾曲を補正するために、それにより湾曲を補正することが可能な温度分布が決定される。定められた温度分布は、該当ローラ16、17内で、ローラの個々の区間の個別の焼戻しによって設定される。
【0047】
図2は、異なる湾曲を有する2対のローラを示している。
【0048】
図2には、上のローラ17及び下のローラ16をそれぞれが有する2対のローラa)及びb)が示されている。a)のローラ対のローラの場合、ローラの表面にはそれぞれ凸形状の部分があり、従って、ローラ16、17の直径はそれぞれ中央で最大値を有する。
【0049】
これに対して、b)のローラ対の場合は、ローラの表面に凹形状の湾曲が存在し、従って、ローラ16、17の直径は、中央で最小値を有する。
【0050】
当然のことながら、1対のローラにおいて、ローラ16、17のうちの一方のみが湾曲を有するということも起こりうる。さらに、上のローラ17が例えば凸形状を有し、これに対応する下のローラ16が凹形状の湾曲を有するということも想定される。この他に、更なる別の湾曲形状も想定され、例えば、ローラの幅に渡って直径の最大値及び最小値が存在する「S字形状」も想定される。
【0051】
図3は、ローラが複数の区間に分けられる1対のローラを示している。
【0052】
図3には、上のローラ17及び下のローラ16を有する1対のローラが示されている。各ローラ16、17は複数の区間30に分けられる。各区間30内では、ローラの温度を個別に設定することが可能である。
【0053】
拡大図a)、b)及びc)にはそれぞれ、区間30の焼戻しのための様々な変形例が示されている。
【0054】
拡大図a)には、電気的に加熱される区間30が示されている。このために、示される例では、2つのカートリッジヒータ32が区間30a内に配置されている。駆動のために必要な制御部は、実施変形例に従ってローラ17内に配置され、その際に、2つの供給線のみ外部へと案内してもよく、又は、各区間30の上記供給線は別々に外部へと案内してもよい。その際に、ローラと残りのシステムとの間の電気的接触は、例えば、スリップリングから成るシステムを介して保証されてもよい。
【0055】
拡大図b)には、焼戻し媒体を用いた区間30bの加熱が示されている。このために、区間30bは、制御可能な弁68を介して区間30bの管路70と接続する供給管路66を有する。弁68の制御により、管路70への焼戻し媒体の供給を調整することが可能であり、これにより、伝達される熱量も調整される。焼戻し媒体として、例えば、水、蒸気、又は伝熱油が適当である。焼き戻り媒体の還流は、図3bには示されない共有管路を介して達成されうる。
【0056】
図3の拡大図c)には、電気的に加熱可能であると共に焼戻し媒体を介して加熱可能な区間30cが示されている。その際に、中空空間34がローラ16を貫通し、ローラ16の全区間30に対して均一な焼戻しを施す。区間30cの個別の温度を設定するために、区間30c内にはさらにカートリッジヒータ32が配置される。変形例a)で既に記載したように、この区間30cは電気的に加熱される。焼戻し媒体及びカートリッジヒータを用いて一緒に加熱することによって、必要な温度分布の設定のために必要な電力が明らかに低減される。なぜならば、基本の焼戻しは焼戻し媒体を介して設定され、個々の区間30の間の通常では小さな温度差を形成するためにのみ、電気加熱部32が必要となるからである。
【0057】
図4は、層の厚さのための調整システムを概略的に示す。
【0058】
図4には、層の厚さのための調整システムが概略的に示されている。この調整システムは、目標厚さdと、ローラの軸受の現在の位置についての情報と、処理された物質の中央の厚さと、物質の表面の湾曲についての情報と、を入力変数として獲得する調整器40を備える。出力変数として、調整器40は一方では、軸の歪みを補正するため、又は、1対のローラの間の間隙の幅を調整するために、ローラの2つの軸受の位置についての目標座標X1、S、Z1、S、X2、S、Z2、Sを生成する。この目標座標は位置調整部44に伝達される。位置調整部44は、各軸受のアクチュエータ又は駆動部を操作することが可能な制御信号を生成し、従って、目標座標が、実際座標X1、j、Z1、j、X2、i、Z2、iに変換される。
【0059】
他方では、調整器40は、温度調整部42の入力変数として役立つ目標温度θ1、S〜θn、Sを生成する。温度調整部42は、温度目標値θ1、S〜θn、Sを、この場合はローラのn個の区間についての実際温度θ1、i〜θn、iへと変換する。θ1、S〜θn、Sにより予め設定されたローラの温度分布の設定によって、このローラの湾曲が補正される。
【0060】
ローラの区間30について設定された実際温度θ1、i〜θn、iはローラの湾曲に対して影響を与え、設定された軸受位置X1、i、Z1、i、X2、i、Z2、iは、ローラの軸受と方向付けを固定する。この処理パラメータは、カレンダ加工46により達成される物質の厚さdに対して影響を与える。処理された物質の厚さdは、複数の測定位置で層厚さ測定部48を介して定められ、数学的モデル50の入力変数として役立つ。
【0061】
数学的モデル50を介して、測定された層の厚さから、ローラの軸受位置X1、m、Z1、m、X2、m、Z2、mについての情報、並びに、物質の表面の湾曲k及び物質の中央の厚さZが定められる。その際に、処理された物質の湾曲kは、物質の幅に対する物質の厚さを記述する曲線である。モデル50から定められたパラメータは、続いて調整器40へと戻って案内される。
【0062】
本発明の更なる別の実施形態において、ローラの湾曲の調整のみが行われ、従って、調整器40によって、目標温度θ1、S〜θn、Sのみが決定され、位置調整のための座標は決定されない。
【0063】
図5は、バイパスI(積分)調整器(Bypass−I−Regler)を概略的に示す。
【0064】
軸受の位置のための調整器の特に好適な実施形態は、バイパスI(積分)調整器である。このような調整器が、図5のローラの軸受の座標X1、iのための調整をもとにしてより詳細に解説される。調整器44は、調整パラメータK及びKをそれぞれ有する2つの比例調整器52、53と、調整パラメータTByを有する積分調整器54と、を有する。調整器44の入力変数として、調整器44は、目標位置、たとえばX1、Sと、数学的モデル48を用いて複写された実際位置X1、mと、を獲得する。
【0065】
積分器54は、入力変数として、予め定められた目標値X1、Sと複写された実際位置X1、mとの差分を獲得する。この差分の形成は、図5では結合56で示されている。これに平行して、複写された実際位置X1、mが、調整パラメータKを有する比例調整器52に供給される。これに加えて、積分器54の出力信号が、所定の目標値X1、Sに加算され、引き続いて、これらの合計と、調整パラメータKを有する比例調整器52の出力信号と、の差分が形成される。この結合57の結果が、調整パラメータKを有する更なる別の比例調整器53に供給され、比例調整器53は、出力信号として、各軸を移動させるための制御変数を伝達する。
【0066】
図6は、移動する測定ヘッドを有する測定装置を示す。
【0067】
図6は、加工された物質12の厚さを測定する測定位置22を示す。加工された物質12は、測定装置22の下方で移動方向14に動かされる。同時に、符号60が付された矢印が示すように、測定ヘッド23が、物質12の幅に渡って動かされる。物質12の移動運動と、測定ヘッド23の運動との組み合わせにより、測定ヘッド23は、物質12のジグザグ領域62を走査する。走査された領域62内には、物質12の幅に渡って分布する複数の測定位置64が配置され、この測定位置64により、測定ヘッド23を用いて物質12の厚さが定められる。
【0068】
図7には、複数の測定ヘッドを有する測定装置22が示されている。
【0069】
図7は、加工された物質12が移動方向14に沿ってこの下を案内される測定装置22を示している。測定装置22は、物質12の厚さを定めることが可能な複数の測定ヘッド23を有する。図7に示される実施形態では、物質12の幅に渡って分布する6個の測定ヘッドが配置される。その際に、このような測定ヘッド23の各位置は、物質12の厚さがそこで定められる測定位置64に相当する。測定ヘッド23により走査された領域は、図7では、符号62で示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7