(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
【0017】
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。
図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0018】
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
【0019】
エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
【0020】
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
【0021】
また、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ32を駆動させるための駆動信号を、カメラ制御部21から受信し、受信した駆動信号に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動制御を行う。なお、レンズ制御部37による、フォーカスレンズ32の駆動制御については、後述する。
【0022】
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。
【0023】
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
【0024】
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へレンズ駆動量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0025】
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、コントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。具体的には、カメラ制御部21は、撮像素子22の出力を読み出し、読み出した出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出することでも求めることができる。
【0026】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に駆動信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
【0027】
ここで、
図2は、コントラスト検出方式による焦点検出方法の一例を説明するための図である。
図2に示す例では、フォーカスレンズ32が、
図2に示すP0に位置しており、まず、P0から、所定のスキャン開始位置(
図2中、P1の位置)まで、フォーカスレンズ32を駆動させる初期駆動が行われる。そして、フォーカスレンズ32を、スキャン開始位置から(
図2中、P1の位置)、無限遠側から至近側に向けて駆動させながら、所定間隔で、コントラスト検出方式による焦点評価値の取得を行うスキャン駆動が行われる。そして、フォーカスレンズ32を、
図2に示すP2の位置に移動させた時点において、焦点評価値のピーク位置(
図2中、P3の位置)が合焦位置として検出され、検出された合焦位置(
図2中、P3の位置)まで、フォーカスレンズ32を駆動させる合焦駆動が行われる。
【0028】
なお、本実施形態において、カメラ制御部21は、焦点評価値のピーク位置(
図2中、P3の位置)が合焦位置であるとの信頼度を判断し、信頼度が一定値以上の場合に、焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する。なお、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼度の判断方法については後述する。
【0029】
操作部28は、シャッターレリーズボタンなどの撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、動画撮影モード/静止画撮影モードの切換えが行えるようになっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0030】
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。
図3は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0031】
まず、ステップS101では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたか否かの判断が行なわれる。第1スイッチSW1がオンした場合は、ステップS102に進み、一方、第1スイッチSW1がオンしていない場合は、ステップS101で待機し、第1スイッチSW1がオンされるまで、所定の間隔で、スルー画像の表示が繰り返し行われる。
【0032】
そして、シャッターレリーズボタンの半押しが行われると、ステップS102に進み、ステップS102において、フォーカスレンズ32の駆動が開始される。具体的には、カメラ制御部21からレンズ制御部37に対して、フォーカスレンズ32の駆動を開始させるための駆動信号が送信され、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36により、フォーカスレンズ32の駆動が開始される。これにより、フォーカスレンズ駆動モータ36は、フォーカスレンズ32を、たとえば至近側から無限遠側に、所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させる。
【0033】
そして、ステップS103では、カメラ制御部21により、焦点評価値の算出が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、それぞれのレンズ位置における焦点評価値を焦点検出エリアごとに算出する。そして、算出された焦点評価値は、焦点評価値取得時のフォーカスレンズのレンズ位置と関連付けて、カメラ制御部21のRAMに記憶される。
【0034】
ステップS104では、カメラ制御部21により、焦点評価値のピーク位置を検出できたか否かの判断が行われる。ここで、
図4は、フォーカスレンズ位置と焦点評価値との関係の一例を示す図である。本実施形態において、カメラ制御部21は、所定のサンプリング間隔で焦点評価値を算出しており、算出した焦点評価値が2回上昇した後に、2回下降して推移した場合に、これら5つの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで、焦点評価値のピークを検出する。
【0035】
たとえば、
図4に示す例では、焦点評価値P5,P6で焦点評価値が2回上昇した後に、焦点評価値P7、P8で焦点評価値が2回下降して推移しているため、これら5つの焦点評価値P5〜P8を用いて、焦点評価値のピークが検出される。焦点評価値のピーク位置が検出できた場合には、ステップS105に進み、一方、焦点評価値のピーク位置が検出できない場合には、ステップS112に進む。
【0036】
また、本実施形態において、カメラ制御部21は、像面移動量に基づくサンプル間隔で焦点評価値を算出する。具体的には、カメラ制御部21は、互いに隣り合う焦点評価値(たとえば、
図4に示す例では、P4とP5、P5とP6、P6とP7、P7とP8)の間隔が、一定の像面移動量となる間隔で、焦点評価値を算出する。なお、像面移動量とは、フォーカスレンズ32の駆動に伴う像面の移動量である。本実施形態では、レンズ駆動量に対する像面移動量の比(像面移動量/レンズ駆動量)を像面移動係数Kとして、レンズ制御部37のRAMに予め記憶しており、カメラ制御部21は、下記式(1)に示すように、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量(パルス数)に、レンズ制御部37から取得した像面移動係数Kを乗算することで、像面移動量を算出することができる。
像面移動量=像面移動係数K×フォーカスレンズ32のレンズ駆動量 ・・・(1)
【0037】
また、像面移動量は、レンズ鏡筒3の種別やフォーカスレンズ位置に応じて変化する場合があり、この場合、像面移動係数Kも、レンズ鏡筒3の種別ごと、フォーカスレンズ位置ごとに異なる値となる。ここで、
図5は、本実施形態における、フォーカスレンズ位置と像面移動係数Kとの関係の一例を示す図である。本実施形態では、レンズ鏡筒3の光学特性により、無限遠側よりも至近側において、フォーカスレンズ32の駆動量に対する像面移動量が大きくなっており、そのため、
図5に示すように、無限遠側よりも至近側において、像面移動係数Kは大きくなる。本実施形態では、カメラ制御部21は、それぞれのフォーカスレンズ位置に応じた像面移動係数Kをレンズ制御部37から取得することで、フォーカスレンズ位置ごとに、像面移動量を適切に算出することができる。
【0038】
ステップS105では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32の移動に対する焦点評価値の変化割合のうち、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との算出が行われる。たとえば、
図4に示す例において、カメラ制御部21は、焦点評価値のピーク位置近傍の5点の焦点評価値P4〜P8のうち、焦点評価値P4とP6とを結ぶ直線L1の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1として算出し、焦点評価値P6とP8とを結ぶ直線L2の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2として算出する。
【0039】
具体的には、カメラ制御部21は、
図4に示すように、焦点評価値を示す縦軸の座標をY座標とし、像面移動量を示す横軸の座標をX座標とし、各焦点評価値P4〜P8のY座標をそれぞれY(P4)〜Y(P8)とし、各焦点評価値P4〜P8のX座標をそれぞれX(P4)〜X(P8)とした場合に、下記式(2)に基づいて、直線L1の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1として算出し、下記式(3)に基づいて、直線L2の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2として算出する。
【数1】
【数2】
【0040】
続くステップS106では、カメラ制御部21により、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rの算出が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、下記式(4)に基づいて、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rを算出する。
【数3】
なお、上記式(4)において、max()は、θ1およびθ2のうちの最大値を選択的に算出する関数であり、min()は、θ1およびθ2のうちの最小値を選択的に算出する関数である(なお、下記式(7)においても同様。)。
【0041】
そして、ステップS107では、カメラ制御部21により、下記式(5)に示すように、ステップS106で算出された比率Rが所定の判定値b以下であるか否かの判断が行われる。
【数4】
【0042】
ここで、一般に、撮影環境が良好であり、焦点評価値が適切に算出できる場合には、
図2に示すように、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合の焦点評価値の形状(プロット)は、焦点評価値のピーク位置(
図2中、P3)を中心とした左右対称の釣鐘型となる傾向にある。このように、焦点評価値の形状が焦点評価値のピーク位置(
図2中、P3)を中心として左右対称となる場合には、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2とは等しくなり、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍におけるθ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rは「1」として算出されることとなる。また、焦点評価値の形状の対称性が高いほど、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2とは近似するため、比率Rは1に近い値となる。
【0043】
一方、たとえば、至近側と無限遠側とに競合する被写体が存在する場合や、点光源などの高輝度被写体の影響により焦点評価値が変動する場合、または、光学系の倍率変動により焦点検出エリア内の被写体が変動する場合などでは、焦点評価値を適切に算出することができず、このような場合に、フォーカレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合の焦点評価値の形状は、
図2に示すような左右対称の釣鐘型の形状から乖離したものとなる傾向にある。このように、焦点評価値の形状が非対称となった場合には、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2とに差が生じ、変化割合θ1と変化割合θ2との比率Rは大きくなることとなる。
【0044】
そこで、本実施形態では、上記式(5)に示すように、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rが所定の判定値b以下であるか否かを判断し、比率Rが判定値b以下である場合には、焦点評価値は良好な撮影条件で撮像されたものであり、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼度が一定値以上あるものと判断し、ステップS108に進む。一方、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rが所定の判定値bよりも大きい場合には、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼度が一定値未満であるものと判断し、ステップS111に進み、ステップS111において、カメラ制御部21により、焦点評価値のピーク位置は合焦位置ではないと判断される。
【0045】
なお、上記式(5)において、判定値bの値は、特に限定されず、実験などにより適宜設定することができる。たとえば、本実施形態では、判定値bの値を「2」に設定することができる。また、本実施形態では、撮影モードに応じて、判定値bの値を異なる値に設定することができる。たとえば、動画撮影モードにおいては、静止画撮影モードと比べて、判定値bの値を小さい値に設定することができる。これにより、静止画撮影時においては、より高い合焦精度を得ることができ、動画撮影時においては、一定のフレームレートで動画撮影を行うことが可能となる。
【0046】
次に、ステップS108では、ステップS107において、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼性が一定値以上あると判断されているため、カメラ制御部21により、焦点評価値のピーク位置が合焦位置として検出される。そして、ステップS109では、レンズ制御部37により、ステップS108において検出した合焦位置まで、フォーカスレンズ32を駆動させる合焦駆動が行われ、フォーカスレンズ32の合焦位置まで駆動が完了した場合に、ステップS110において、カメラ制御部21により、合焦の旨の表示が行われる。
【0047】
なお、本実施形態では、撮像画面内に複数の焦点検出エリアが設定されており、複数の焦点検出エリアのそれぞれにおいて、焦点評価値のピーク位置近傍における変化割合θ1,θ2の比率Rが算出される。そして、カメラ制御部21は、これら複数の焦点検出エリアのうち、焦点評価値のピークの大きさと、比率Rとに基づいて、合焦位置を検出するための焦点検出エリアを特定する。たとえば、比率Rが所定の判定値b以上の焦点評価値のピークが検出された焦点検出エリアのうち、焦点評価値のピークの大きさが最も高い焦点検出エリアを、合焦位置を検出するための焦点検出エリアとして特定し、この焦点検出エリアで検出された合焦位置に基づいて合焦駆動を行う構成とすることができる。また、焦点評価値のピークの大きさが所定値以上の焦点検出エリアのうち、比率Rが最も高い焦点評価値のピークを検出した焦点検出エリアを、合焦位置を検出するための焦点検出エリアとして特定する構成としてもよい。
【0048】
一方、ステップS104において、焦点評価値のピーク位置を検出できなかった場合、あるいは、ステップS107において、焦点評価値の変化割合の比率Rが所定値bよりも大きいと判断された場合には、ステップS112に進む。ステップS112では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、焦点評価値のピーク位置の検出が行われたか否かの判断が行われる。フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、焦点評価値のピーク位置の検出が行われた場合には、ステップS113に進み、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32の駆動が終了され、その後、ステップS114で、カメラ制御部21により、合焦不能表示が行われる。
【0049】
一方、ステップS112において、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、焦点評価値のピーク位置の検出が行われていない場合には、ステップS103に戻り、再度、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出するスキャン動作が継続される。すなわち、本実施形態では、焦点評価値のピーク位置近傍における変化割合θ1,θ2の比率Rが所定値b以下となる焦点評価値のピーク位置が検出されるまで、あるいは、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において焦点評価値のピーク位置の検出が行われるまで、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値の算出を繰り返すスキャン動作が行われる。
【0050】
以上のように、第1実施形態に係るカメラ1の動作が実行される。
【0051】
このように、第1実施形態では、フォーカスレンズ32の移動に対する焦点評価値の変化割合のうち、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2とを算出し、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rが所定の判定値b以下である場合に、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼性が一定値以上あると判断して、焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する。これにより、たとえば、至近側と無限遠側とに競合する被写体が存在する場合や、点光源などの高輝度被写体がぼやけて写っている場合、あるいは、光学系の倍率変動により焦点検出エリア内の被写体が変動する場合など、焦点評価値を適切に算出できず、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合の焦点評価値の形状がピーク位置の左右で非対称となるために、従来では、焦点評価値のピーク位置が実際の合焦位置で検出できず、偽合焦が生じてしまうような場合でも、本実施形態では、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼度が一定値未満であると判断されることとなるために、このような焦点評価値のピーク位置を合焦位置して誤検出してしまうことを有効に防止することができる。
【0052】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態では、
図1に示すカメラ1において、
図6に示すように、カメラ1が動作すること以外は、第1実施形態と同様である。なお、
図6は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0053】
具体的には、
図6に示すように、ステップS201〜S206では、第1実施形態のステップS101〜S106と同様に、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合に(ステップS201=Yes)、フォーカスレンズ32の駆動が開始され(ステップS202)、焦点評価値の算出が行われる(ステップS203)。そして、焦点評価値のピーク位置が検出できた場合には(ステップS204=Yes)、フォーカスレンズ32の移動に対する焦点評価値の変化割合のうち、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rの算出が行われる(ステップS205,S206)。
【0054】
そして、ステップS207では、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rが、所定の第1判定値以下であるか否かの判断が行われる。変化割合θ1と変化割合θ2との比率Rが所定の第1判定値以下である場合には、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼度が一定値以上であると判断され、ステップS208に進み、焦点評価値のピーク位置が合焦位置として検出される。そして、ステップS209で、合焦駆動が行われた後、ステップS210において、合焦表示が行われる。
【0055】
一方、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rが、所定の第1判定値よりも大きい場合には、ステップS211に進み、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、焦点評価値のピーク位置の検出が行われたか否かの判断が行われる。フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、焦点評価値のピーク位置の検出が行われていない場合には、ステップS203に戻り、比率Rが第1判定値以下となるピーク位置を検出するまで、または、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において焦点評価値のピーク位置を検出するまで、ステップS203〜S207,S211の処理が繰り返し行われる。このように、本実施形態では、比率Rが第1判定値以下となる焦点評価値のピーク位置が検出されるまで、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出するスキャン動作が継続される。
【0056】
一方、比率Rが第1判定値以下となるピーク位置を検出できないまま、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において焦点評価値のピーク位置の検出が行われた場合には、ステップS212に進む。ステップS212では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において焦点評価値のピーク位置の検出を行った結果、比率Rが第2判定値以下となる焦点評価値のピーク位置が検出されたか否かの判断が行われる。ここで、第2判定値とは、ステップS207の第1判定値よりも大きい値である。フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において焦点評価値のピーク位置の検出を行った結果、比率Rが第2判定値以下となる焦点評価値のピーク位置が検出できた場合には、ステップS208に進み、検出された焦点評価値のピーク位置が合焦位置として検出されることとなる。
【0057】
一方、ステップS212において、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において焦点評価値のピークを検出した結果、比率Rが第2判定値以下となるピーク位置を検出できなかった場合には、ステップS213に進み、フォーカスレンズ32の駆動を終了し、その後、ステップS214において、合焦不能表示が行われる。
【0058】
以上のように、第2実施形態に係るカメラ1の動作が行われる。
【0059】
このように、第2実施形態では、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rが、所定の第1判定値以下である場合には、焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する。これにより、第1実施形態と同様に、合焦位置の検出精度を向上させることができる。特に、第2実施形態では、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2との比率Rが、第1判定値以下である場合には、フォーカスレンズ32を駆動可能範囲の全域で駆動させることなく、比率Rが第1判定値以下となる焦点評価値のピーク位置(合焦位置)に、直ぐに、フォーカスレンズ32を駆動させることで、フォーカスレンズ32の焦点調節時間を短縮することができる。
【0060】
また、第2実施形態では、比率Rが第1判定値以下となる焦点評価値のピークを検出できない場合には、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出するスキャン動作を継続する。そして、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、焦点評価値の変化割合の比率Rが第1判定値以下となる焦点評価値のピークを検出できない場合には、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、比率Rが、第1判定値よりも大きい第2判定値以下となる焦点評価値のピークを検出できたか否かを判断する。比率Rが第2判定値以下となる焦点評価値のピークを検出できた場合には、比率Rが第2判定値以下となる焦点評価値のピークを合焦位置として検出する。これにより、第2実施形態では、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において、比率Rが第1判定値以下となる焦点評価値のピークが得られない場合でも、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲内での焦点評価値のピークの検出結果を相対的に考慮し、比率Rが第2判定値以下となる焦点評価値のピークを合焦位置として検出することで、合焦位置を高い精度で検出することが可能となる。
【0061】
《第3実施形態》
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。第3実施形態では、
図1に示すカメラ1において、以下に説明するように、カメラ1が動作すること以外は、第1実施形態と同様である。
【0062】
具体的には、第3実施形態では、光学系の空間周波数特性(MTF特性)を考慮して、フォーカスレンズ32の移動に対する焦点評価値の変化割合のうち、焦点評価値のピーク位置の無限遠近傍における変化割合θ2を補正する。そして、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、補正した変化割合θ2’との比率Rに基づいて、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼度を判断する。
【0063】
ここで、
図7は、光学系の空間周波数特性を説明するための図であり、縦軸は焦点評価値を示しており、横軸はフォーカスレンズ位置を示している。一般に、被写体の像のコントラストは合焦位置において最も高くなるため、
図7に示すように、焦点評価値も合焦位置において最も高い値で算出される。一方、合焦位置から至近方向および無限遠方向に、フォーカスレンズ32を同じ駆動量だけ移動させた場合でも、光学系の空間周波数特性によっては、至近側と無限遠側とでコントラストに差が生じ、これにより、至近側と無限遠側とで焦点評価値に差が生じる場合がある。たとえば、
図7に示す例では、光学系の空間周波数特性により、合焦位置の至近側近傍において、合焦位置の無限遠側近傍よりも焦点評価値が急峻に低下する。
【0064】
このような光学系の空間周波数特性の影響を軽減するために、第3実施形態では、補正係数kが、レンズ制御部37が備えるRAMに記憶されている。そして、カメラ制御部21は、この補正係数kを、レンズ制御部37から取得し、取得した補正係数kを用いて、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2を補正する。
【0065】
具体的には、カメラ制御部21は、下記式(6)に示すように、補正係数kを用いて、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2をθ2’に補正する。
θ2’=θ2×k ・・・(6)
なお、
図7に示すように、光学系の空間周波数特性は、レンズ位置に応じて異なるため、補正係数kもレンズ位置ごとに記憶されている。すなわち、本実施形態において、カメラ制御部21は、レンズ制御部37からフォーカスレンズ位置に応じた補正係数kを取得することで、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2をフォーカスレンズ位置に応じて適切に補正することができる。
【0066】
そして、カメラ制御部21は、下記式(7)に示すように、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1と、補正した、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2’との比率Rを算出する。
【数5】
そして、算出した比率Rに基づいて、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼度を判断する。なお、信頼度の判断方法は、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0067】
以上のように、第3実施形態では、光学系の空間周波数特性(MTF特性)に応じた補正係数kを、レンズ鏡筒3から取得し、取得した補正係数kに基づいて、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2を補正する。これにより、第3実施形態では、光学系の空間周波数特性により焦点評価値の形状が非対称となる場合でも、焦点評価値の形状の対称性に基づいて、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるとの信頼性を適切に判断することができる。
【0068】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0069】
たとえば、上述した実施形態では、
図4に示すように、焦点評価値が2回上昇した後に、焦点評価値が2回下降して推移した場合に、これら5つの焦点評価値P4〜P8を用いて、焦点評価値のピークを検出し、これら5つの焦点評価値P4〜P8のうち、焦点評価値P4とP6とを結ぶ直線L1の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1として算出し、焦点評価値P6とP8とを結ぶ直線L2の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2として算出する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、
図8に示すように、焦点評価値が1回上昇した後に、焦点評価値が1回下降して推移した場合に、これらの3つの焦点評価値P9〜P11を用いて焦点評価値のピークを検出し、焦点評価値のピーク位置近傍の3つの焦点評価値P9〜P11のうち、焦点評価値P9とP10とを結ぶ直線L3の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1として算出し、焦点評価値P10とP11とを結ぶ直線L4の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2として算出する構成としてもよい。なお、
図8は、フォーカスレンズ位置と焦点評価値との関係の他の例を示す図である。
【0070】
また、
図9に示すように、焦点評価値が2回上昇した後に、焦点評価値が1回下降して推移した場合に、これらの4つの焦点評価値P12〜P15を用いて、焦点評価値のピークを検出し、これらの4つの焦点評価値P12〜P15のうち、焦点評価値P12とP14とを結ぶ直線L5の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1として算出し、焦点評価値P14とP15とを結ぶ直線L6の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2として算出する構成としてもよい。なお、
図9は、フォーカスレンズ位置と焦点評価値との関係の他の例を示す図である。
【0071】
さらに、上述した実施形態では、像面移動量が一定量となるサンプル間隔で焦点評価値を算出する構成を例示したが、たとえば、フォーカスレンズ32の駆動量(パルス数)が一定量となるサンプル間隔で焦点評価値を算出する構成としてもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、像面移動係数Kを、像面移動係数K=(像面移動量/フォーカスレンズ32の駆動量)として説明したが、この構成に限定されず、たとえば、像面移動係数K=(フォーカスレンズ32の駆動量/像面移動量)のように定義をすることもできる。この場合、上記式(1)に代えて、下記式(8)に基づいて、像面移動量を算出することができる。
像面移動量 = フォーカスレンズ32の駆動量/像面移動係数K ・・・(8)
【0073】
さらに、上述した第2実施形態において、静止画撮影モードが設定されている場合に、
図6に示すカメラ1の動作を行い、動画撮影モードが設定されている場合には、
図1に示すカメラ1の動作を行う構成としてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態に加え、たとえば、静止画撮影モードが設定されている場合において、一定の輝度であり、かつ、一定の大きさの画像を点光源として検出し、点光源が検出された場合に、判定値bを小さい値に変更する構成としてもよい。これにより、点光源の影響により偽合焦が生じてしまうことを有効に防止することができる。なお、静止画撮影モードが設定されている場合に限らず、動画撮影モードが設定されている場合においても、点光源が検出された場合に、判定値bを小さい値に変更する構成としてもよい。
【0075】
加えて、上述した実施形態では、コントラスト検出方式による焦点検出を行うカメラ1を例示して説明したが、この構成に限定されず、たとえば、本発明を、コントラスト検出方式による焦点検出、および、位相差検出方式による焦点検出が可能なカメラに適用してもよい。たとえば、
図10に示すように、撮像素子22において、画像撮像用の撮像素子221と、位相差検出用の焦点検出画素222a,222bとを有し、焦点検出画素222a,222bの出力をそれぞれの測距瞳に対応する出力グループにまとめることにより、一対の像の強度分布に関するデータを取得し、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出する構成としてもよい。そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出エリアにおける焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。なお、
図10は、他の実施形態に係る撮像素子22の撮像面の拡大図である。
【0076】
さらに、上述した実施形態では、光学系の空間周波数特性に応じた補正係数kに基づいて、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2を補正する構成を例示しているが、この構成に限定されず、たとえば、光学系の空間周波数特性に応じた係数に基づいて、ピーク位置近傍の焦点評価値をそれぞれ補正し、補正した焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1、および、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2を算出する構成としてもよい。あるいは、光学系の空間周波数特性に応じた係数に基づいて、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1を補正する構成としてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、光学系の空間周波数特性に関する情報として、補正係数kをレンズ鏡筒3から取得し、取得した補正係数kに基づいて、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2を補正する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、光学系の空間周波数特性に関する情報として、補正係数k以外の情報をレンズ鏡筒3から取得する構成としてもよい。たとえば、
図7に示すような光学系の空間周波数特性の情報を取得し、取得した光学系の空間周波数特性の情報に基づいて、内挿演算により算出した焦点評価値のピーク位置を補正する構成としてもよい。また、光学系の空間周波数特性の情報に基づいて、焦点評価値を算出する際のフォーカスレンズ32の駆動速度を決定する構成としてもよい。たとえば、
図7に示す例では、合焦位置の至近側近傍よりも無限遠側近傍において焦点評価値が急峻に変化しているため、合焦位置の至近側近傍よりも無限遠側近傍において、フォーカスレンズ32のスキャン駆動速度を遅くする構成とすることができる。
【0078】
さらに、上述した第2実施形態では、比率Rが第1判定値以下となる焦点評価値のピーク位置を検出できない場合には、スキャン駆動を継続し、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域において焦点評価値のピーク位置を検出する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、比率Rが第1判定値以下となる焦点評価値のピーク位置が検出できない場合には、予め定めた駆動対象範囲(フォーカスレンズ32の駆動可能範囲よりも狭い範囲)でスキャン駆動を継続し、駆動対象範囲において、比率Rが第2判定値以下の焦点評価値のピーク位置が検出できたか否かを判定する構成としてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、
図4に示すように、上記式(2)に基づいて、直線L1の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1として算出し、上記式(3)に基づいて、直線L2の傾きの絶対値を、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2として算出することで、比率Rを正の値で算出し、比率Rと判定値bとを比較しているが、この構成に限定されず、たとえば、直線L1の傾きを、焦点評価値のピーク位置の至近側近傍における変化割合θ1として算出し、直線L2の傾きを、焦点評価値のピーク位置の無限遠側近傍における変化割合θ2として算出する構成としてもよい。この場合、比率Rは負の値で算出されるため、比率Rが所定の判定範囲内でるか否かを判断することで、焦点評価値のピークが合焦位置であることの信頼性を判断する構成とすることができる。
【0080】
なお、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。