(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配線基板は、前記金属パッドと同一層から形成された配線層を備え、前記金属パッドは前記配線層と電気的に接続されていないことを特徴とする請求項2又は3に記載の光導波路装置。
配線基板の上に、第1クラッド層、コア層及び第2クラッド層を備え、かつ、前記コア層の外側領域の前記第2クラッド層及び前記第1クラッド層にホールが形成された光導波路を形成する工程と、
前記光導波路に光路変換ミラーを形成する工程と、
バンプと、前記バンプが形成された面側から突出する突出部とを備えたレンズ部品を用意し、前記レンズ部品が前記光路変換ミラーに光結合されるように、前記レンズ部品のバンプを前記ホール内に接合材で固定する工程と
を有し、
前記レンズ部品のバンプの径は前記ホールの径よりも小さく、
前記レンズ部品は、前記突出部の先端が前記第2クラッド層に接触して配置されることを特徴する光導波路装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0015】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。予備的事項に記載の光導波路装置は、本発明の光導波路装置の基礎となるものであり、公知技術ではない。
【0016】
図1に示すように、予備的事項に係る光導波路装置では、配線基板100の上に、コア層220がクラッド層240で囲まれた構造の光導波路200が形成されている。光導波路200の端側には光路変換ミラーMが形成されている。
【0017】
そして、光導波路200の光路変換ミラーMに対応するする位置に光を集光及び平行化させるためのレンズ部品300が搭載される。
【0018】
光導波路200の各光路変換ミラーMとレンズ部品300の各レンズ320とを位置合わせして配置する方法としては、光導波路200に位置合わせ用として形成した凸部200aの内側にレンズ部品300をはめ込む方法がある。
【0019】
しかし、この方法では、光導波路200の各光路変換ミラーMとレンズ部品300の各レンズ320との位置合わせの精度が悪く、両者を設計スペックである±2μm以下の位置精度で位置合わせを行うことは困難である。
【0020】
図1の方法で位置精度が悪い理由は、レンズ部品300の製造誤差、光導波路200に形成する凸部200aの製造誤差、及び光導波路200の光路変換ミラーMの製造誤差の全てが影響するためである。
【0021】
他の方法としては、
図2に示すように、マウンタ装置の吸着ヘッド400にレンズ部品300を吸着させ、光導波路200及びレンズ部品300に形成されたアライメントマーク(不図示)を画像認識することにより、両者の位置合わせを行う。
【0022】
そして、位置合わせ時にディスペンサ500から光導波路200の上に接着剤600を塗布し、吸着ヘッド400に吸着されたレンズ部品300を接着剤600で光導波路に仮固定する。
【0023】
さらに、吸着ヘッド400を取り外した後に、レンズ部品300の外周部に接着剤を塗布して本固定する。
【0024】
図2の方法を採用することにより、
図1の方法の課題は解決できるが、以下の別の課題が残される。
【0025】
図2の方法では、位置合わせ時に光導波路200の上に接着剤600を塗布する際には、光導波路200の光路変換ミラーMを含む上面が開放されている。このため、光路変換ミラーMの上に接着剤600が塗布されないように厳密なプロセス管理を行う必要がある。光導波路200の光路変換ミラーM上の領域は光路となるため、空洞にしておく必要があるからである。
【0026】
このため、ディスペンサ500からの接着剤600の塗布量をコントロールするなどの工夫が必要になり、プロセス制御が煩雑になる。あるいは、光導波路200に接着剤600をせき止めるためのダム層を形成する必要がある。
【0027】
しかも、光導波路200とレンズ部品300とを位置合わせしながら、接着剤600を適度に塗布するプロセスを遂行するためには、特注の専用のマウンタ装置が必要になり、コスト上昇を招く課題がある。
【0028】
以下に説明する実施形態の光導波路装置は、前述した不具合を解消することができる。
【0029】
(第1の実施の形態)
図3〜
図9は第1実施形態の光導波路装置を示す図、
図10は第1実施形態の光導波路装置を示す図である。以下、光導波路装置の製造方法を説明しながら、光導波路装置の構造を説明する。
【0030】
第1実施形態の光導波路装置の製造方法では、
図3(a)に示すように、まず、電気信号を扱う配線基板10を用意する。配線基板10の上面には、後述するレンズ部品が固定される金属パッドMPが形成されている。
【0031】
図3(a)では、電気信号を扱う配線層は省略されて描かれており、金属パッドMPは配線層と同一層から形成される。金属パッドMP及び配線層は銅などの配線用の金属材料から形成される。金属パッドMPは配線層と電気的に接続されていない。
【0032】
配線基板10の一例としては、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁層から形成されたコア基板に貫通導体が形成され、コア基板の両面側に形成された配線層が貫通導体を介して相互接続されている。
【0033】
さらには、コア基板の両面側に絶縁層と配線層が交互に積層された多層配線が構築されていてもよい。あるいは、コア基板を有さないコアレスタイプの配線基板を使用してもよい。
【0034】
次に、配線基板10の上に光導波路を形成する方法について説明する。
図3(b)に示すように、まず、配線基板10の上に、第1クラッド層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成し、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行う。
【0035】
その後に、感光性樹脂層を100℃〜140℃程度の加熱処理によって硬化させることにより、所望の領域に第1クラッド層22を形成する。第1クラッド層22は、配線基板10の金属パッドMPの上に第1開口部H1を備えて形成される。
【0036】
第1クラッド層22の厚みは10μm〜50μm、例えば35μmに設定される。第1クラッド層22をパターン化せずに全面に形成する場合は、非感光性樹脂を使用してもよい。
【0037】
感光性樹脂層としては、UV硬化型エポキシ樹脂などが好適に使用される。感光性樹脂層の形成方法としては、半硬化状態(B−ステージ)の感光性樹脂シートを貼付してもよいし、あるいは、液状の感光性樹脂を塗布してもよい。
【0038】
続いて、
図3(c)に示すように、第1クラッド層22の上にコア層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成する。さらに、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行った後に、感光性樹脂層を100℃〜140℃程度の加熱処理によって硬化させることより、第1クラッド層22の上にコア層24を形成する。
【0039】
図3(c)の断面図は、
図3(c)の平面図のI−Iに沿った断面に相当する。また、
図3(c)の平面図は各要素が透視的に描かれており、後の平面図においても同じである。
【0040】
図3(c)の平面図の例では、複数のコア層24が配置された光導波路形成領域の外側領域に4つの金属パッドMPが配置されている。そして、第1クラッド層22の上に、複数のコア層24が横方向に延在する帯パターンとして並んで形成されている。複数のコア層24は金属パッドMPの間の領域にまで延在している。
【0041】
コア層24の幅は5μm〜50μm、例えば25μmに設定され、コア層24の厚みは5μm〜50μm、例えば25μmに設定さる。
【0042】
次いで、
図4(a)に示すように、前述した第1クラッド層22の形成方法と同様な方法により、第1クラッド層22の上に、コア層24を被覆する第2クラッド層26をパターン化して形成する。第2クラッド層26の厚みは5μm〜30μm、例えば10μmに設定される。
【0043】
このとき、第1クラッド層22の第1開口部H1の上に第2クラッド層26の第2開口部H2が連通して配置され、第1開口部H1及び第2開口部H2からホールHが形成される。複数のコア層24の外側領域の第2クラッド層26及び第1クラッド層にホールHが形成され、ホールHは配線基板10の金属パッドMPの上に配置される。
【0044】
これにより、第1クラッド層22、コア層24及び第2クラッド層26を備えた光導波路20が配線基板10の上に配置される。コア層24の屈折率は、第1クラッド層22及び第2クラッド層26の屈折率よりも高くなるように設定される。
【0045】
このようにして、配線基板10の光導波路形成領域に複数の光導波路20が並んで配置され、光導波路形成領域の外側に第1クラッド層22及び第2クラッド層26が延在して配置される。
【0046】
なお、ホールHをフォトリソグラフィによって形成したが、第1クラッド層22及び第2クラッド層26を非感光性樹脂から形成し、レーザ加工によってホールHを形成してもよい。
【0047】
次いで、
図4(b)に示すように、コア層24の端側の光導波路20の光路変換部になる部分を切削装置の回転ブレード(不図示)により厚み方向に分断するように切削して加工する。これにより、光導波路20の一端側に傾斜面Sを備えた溝部20aが形成される。
【0048】
図4(b)では、光導波路20の一端側のみが描かれており、実際には、光導波路20の他端側にも傾斜面Sを備えた溝部20aが形成される。
【0049】
溝部20aの傾斜面Sは、コア層24の延在方向(光伝播方向)と所定の角度(好ましくは45°)で交差して傾斜するように形成される。
【0050】
続いて、
図4(c)に示すように、マスク蒸着などにより溝部20aの傾斜面Sに光反射性の金属層を部分的に形成して光路変換ミラーMを得る。光反射性の金属としては、金又はアルミニウムなどがある。
【0051】
図4(c)の断面図は、
図4(c)の平面図のII−IIに沿った断面に相当する。
図4(c)の平面図を加えて参照すると、複数のコア層24の端側の各光導波路20に光路変換ミラーMがそれぞれ形成される。これにより、配線基板10の上に光導波路20が形成された光導波路付基板2が得られる。
【0052】
次に、
図4(c)の光導波路付基板2に搭載されるレンズ部品の製造方法について説明する。
図5に示すように、まず、ガラスから形成されるレンズ本体30aを用意する。
図4の断面図は、平面図のA−Aに沿った断面に相当する。レンズ本体30aの上面側には複数の凸状のレンズLが並んで配置されている。
【0053】
図5のレンズ本体30aの複数のレンズLは、前述した
図4(c)の光導波路付基板2の各光路変換ミラーMに対応するように配列されている。また、四角状のレンズ本体30aの横方向の一端部に、下側に突出する突出部Pが形成されている。さらに、レンズ本体30aの他端部の両側に下側に突出する2つの突出部Pが分離されて形成されている。レンズ部品を光導波路付基板2に搭載する際に、突出部Pの高さによってレンズ部品の高さ位置が調整される。
【0054】
レンズ本体30aは射出成形によって形成される、射出成形では、溶融させたガラスを金型内に注入し、冷却して固化させることにより、成形物が一体的に形成される。
【0055】
次いで、
図6(a)に示すように、レンズ本体30aの裏面にマスク蒸着によって金(Au)層32aを形成する。さらに、無電解めっきにより、金層32の上に銅(Cu)層32bを形成する。金層32a及び銅層32bにより金属台座32が形成される。
【0056】
続いて、
図6(b)に示すように、ワイヤボンディング法により、金属台座32の上に金(Au)バンプ34を形成する。
【0057】
金バンプ34の直径は前述した
図4(c)の光導波路付基板2のホールHの直径よりも小さく設定される。例えば、金バンプ34の基端の直径は80μm程度であり、先端の直径は40μm〜50μmである。この例の場合、
図4(c)の光導波路付基板2のホールHの底部の直径は120μm程度に設定される。
【0058】
以上により、ガラス製のレンズ部品30が得られる。レンズ部品30の金バンプ34は、前述した
図4(c)の光導波路付基板2の金属パッドMPに対応するように配列されている。
【0059】
なお、
図6(b)では、一箇所の金バンプ34のみが描かれており、実際には複数の金バンプ34(例えば4個)が配列される。他のレンズ部品の断面図においても同じである。
【0060】
次に、前述した
図4(c)の光導波路付基板2に
図6(b)のレンズ部品30を搭載する方法について説明する。
【0061】
図7に示すように、まず、光導波路付基板2のホールHにはんだ12を塗布する。はんだ12はスクリーン印刷、又はディスペンサなどによって塗布される。第1実施形態では、接合材として金属接合材を使用し、はんだ12が金属接合材の一例である。あるいは、光導波路付基板2のホールHにはんだボールを搭載してもよい。
【0062】
金属接合材として、はんだ以外に、銀などの金属粒子を樹脂に分散させた導電性ペーストなどを使用することができる。
【0063】
第1実施形態では、耐熱性の高いガラス製のレンズ部品30を使用するため、融点が比較的高いはんだを使用することができる。
【0064】
高融点のはんだとしては、例えば、錫(Sn)/銀(Ag)/銅(Cu)系の鉛(Pb)フリーはんだが使用され、その融点は270℃程度である。
【0065】
高融点のはんだ12を使用することにより、後工程で光素子や半導体チップを実装する際に、はんだ12よりも低い融点のはんだを使用することにより、はんだ12が再溶融することが防止される。
【0066】
さらに、同じく
図7に示すように、半導体チップをフリップチップ接続する際に使用される一般的なチップマウンタ装置40を用意する。チップマウンタ装置40は、真空吸着によってワークを吸着させる吸着ヘッド42と、吸着ヘッド42を加熱するヒータ44とを備える。
【0067】
吸着ヘッド42には、上下方向及び水平方向に吸着ヘッド42を移動させるための移動手段(不図示)が接続されている。
【0068】
そして、チップマウンタ装置40の吸着ヘッド42に
図6(b)のレンズ部品30を吸着させる。レンズ部品30は金バンプ34が下側になって吸着ヘッド42に吸着される。さらに、ヒータ44をONにし、吸着ヘッド42を300℃〜350℃の温度に設定してレンズ部品30を加熱する。
【0069】
また、チップマウンタ装置40はCCDカメラ46を備えている。CCDカメラ46によって、レンズ部品30及び光導波路付基板2に形成された各アライメントマークを画像認識することに基づいて、レンズ部品30と光導波路付基板2とを位置合わせすることができる。
【0070】
このとき、レンズ部品30の凸状のレンズLをアライメントマークとして使用することができる。また、光導波路付基板2では、コア層24のパターンをアライメントマークとして使用することできる。あるいは、レンズ部品30及び光導波路付基板2に、アライメントマークを特別に追加で形成してもよい。
【0071】
このように、チップマウンタ装置40は、高精度な位置合わせ機構を備えており、レンズ部品30のレンズLと光導波路付基板2の光路変換ミラーMとの位置合わせを高精度に行なうことができる。
【0072】
続いて、
図8に示すように、吸着ヘッド42によって加熱されたレンズ部品30の金バンプ34を光導波路付基板2のホールH内のはんだ12に挿入し、はんだ12をリフロー加熱する。はんだ12のリフロー加熱は、光導波路付基板2が載置されたステージ(不図示)側から行ってもよい。
【0073】
このとき、光導波路付基板2のホールHの直径は、レンズ部品30の金バンプ34の直径より大きく設定されている。このため、レンズ部品30の金バンプ34を光導波路付基板2のホールH内のリフローしたはんだ12に挿入した状態で、ホールH内で水平方向に精密な位置合わせを行うことができる。
【0074】
これにより、レンズ部品30が光導波路付基板2に高精度で位置合わせされた状態で、レンズ部品30の金バンプ34がはんだ12によって配線基板10の金属パッドMPに接合される。
【0075】
このように、第1実施形態では、半導体チップをフリップチップ接続する際に使用される一般的なはんだ12の塗布技術、及び一般的なチップマウンタ装置40を使用することにより、高精度な位置合わせと接合を行うことができる。
【0076】
これにより、予備的事項と違って、光導波路の光路変換ミラー上の領域に接着剤が塗布されるおそれがないため、プロセス管理が容易になり、生産効を向上させることができる。また、一般的なチップマウンタ装置を使用できるため、特注の装置を購入する場合よりもコスト削減を図ることができる。
【0077】
その後に、
図9に示すように、
図8のレンズ部品30からチップマウンタ装置40の吸着ヘッド42を取り外す。
図9の断面図は、
図9の平面図のIII−IIIに沿った断面に相当する。
【0078】
図9の平面図に示すように、レンズ部品30の各レンズLが光導波路付基板2の各光路変換ミラーMの上に位置合わせされた状態で、光導波路付基板2の上にレンズ部品30が搭載される。
【0079】
第1実施形態では、半導体チップをフリップチップ接続する際に使用される一般的なチップマウンタ装置40により、レンズ部品30を光導波路付基板2に高精度で位置合わせして搭載することができる。
【0080】
これにより、レンズ部品30の各レンズLと光導波路20の各光路変換ミラーMとの位置精度を±2μm以下、最高スペックでは±1μm以下に設定することができるため、高性能な光導波路装置を構築することができる。
【0081】
その後に、
図10に示すように、レンズ部品30と光導波路20とを固定樹脂部50によって固定する。固定樹脂部50としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が使用される。エポキシ樹脂を使用する場合は、140℃程度の加熱処理によって硬化させる。
【0082】
固定樹脂部50はディスペンサなどによってレンズ部品30の外周部に形成される。固定樹脂部50はレンズ部品50が搭載された後にその外周部に塗布されるため、レンズ部品30の下側の光路変換ミラーMの領域に樹脂が流れ込むおそれはない。
【0083】
図10の断面図は、
図10の平面図のIV−IVに沿った断面に固定樹脂部50を合成した図である。
図10の平面図の例では、固定樹脂部50を四角状のレンズ部品30の一辺の両端部に形成しているが、レンズ部品30の外周部の任意の場所に形成することができる。
【0084】
これにより、レンズ部品30は、その金バンプ34がはんだ12によって配線基板10の金属パッドMPに接合されると共に、固定樹脂部50によって光導波路20に接着される。このようにして、レンズ部品30は光導波路付基板2に強固に固定される。以上により、第1実施形態の光導波路装置1が得られる。
【0085】
図10に示すように、第1実施形態の光導波路装置1では、配線基板10の上に光導波路20が配置されている。光導波路20は、下から順に、第1クラッド層22、コア層24及び第1クラッド層26を備えて構築される。
【0086】
複数のコア層24の端側の各光導波路20の光路変換部に、傾斜面Sを備えた溝部20aがそれぞれ形成されている。各溝部20aは第2クラッド層26及びコア層24を分断して形成されている。さらに、各溝部20aの傾斜面Sに光反射性の金属層が形成されて光路変換ミラーMが構築されている。
【0087】
また、光導波路20の外側領域の第2クラッド層26及び第1クラッド層22にホールHが形成されている。配線基板10は上面側に金属パッドMPを備えており、ホールHの底に金属パッドMPが配置されている。
【0088】
さらに、光導波路20の上にレンズ部品30が搭載されている。レンズ部品30はレンズ本体30aと、その下面に形成された金属台座32と、金属台座32の下に形成された金バンプ34とを備えている。
【0089】
このようにして、レンズ部品30は下面から下側に突出する金バンプ34を備えている。金属バンプとして、金バンプ34を例示するが、銅バンプなど各種の金属バンプを使用することができる。
【0090】
レンズ部品30は、その上面に複数の凸状のレンズLを備えている。また、レンズ部品30は、レンズ本体30aの端部の下面から下側に突出する突出部Pを備えている。
【0091】
そして、レンズ部品30の金バンプ34がホールHに挿入され、はんだ12によって配線基板10の金属パッドMPに接合されている。レンズ部品30の金バンプ34の直径はホールHの直径よりも小さく設定されている。
【0092】
また、レンズ部品30の突出部Pが第2クラッド層26の上面に当接して、レンズ部品30の高さ位置が決定されている。さらに、レンズ部品30は固定樹脂部50によって光導波路20に接着されている。
【0093】
図10の例では、レンズ部品30の金バンプ34と配線基板10の金属パッドMPとの間にはんだ12が介在しているが、金バンプ34と金属パッドMPとが接触していてもよい。
【0094】
図10の平面図を加えて参照すると、レンズ部品30の各レンズLが光導波路20の各光路変換ミラーMに位置合わせされて配置されている。
【0095】
第1実施形態の光導波路装置1では、下面に金バンプ34を備えたレンズ部品30を使用している。そして、レンズ部品30の金バンプ34を光導波路付基板2のホールH内の金属パッドMPにはんだ12に接合して固定している。
【0096】
このようにすることにより、半導体チップをフリップチップ接続する際に使用される一般的なはんだの塗布技術、及び一般的なチップマウンタ装置を使用することにより、高精度な位置合わせと接合を行うことができる。
【0097】
また、予備的事項と違って、光導波路20の光路変換ミラーM上の領域に接着剤が塗布されるおそれがないため、プロセス管理が容易になる。さらに、一般的なチップマウンタ装置を使用できるため、コスト削減を図ることができる。
【0098】
また、レンズ部品30は、はんだ12によって配線基板10の金属パッドMPに接合されると共に、固定樹脂部50によって光導波路20に強固に接着されている。
【0099】
本実施形態の光導波路装置1では、光導波路20の反対側の端部にも同様な光路変換ミラー(不図示)が形成され、その光路変換ミラーに光結合されるように光素子が光導波路20の上に実装される。光素子は発光素子又は受光素子である。
【0100】
そして、レンズ部品30には、光信号を入出力するための光コネクタ(不図示)がはめ込まれる。レンズ部品30によって光が集光及び平行化されることで、光利用効率を向上させることができ、光伝送の安定化を図ることができる。
【0101】
このとき、光コネクタが湾曲してレンズ部品30に応力がかかるとしても、レンズ部品30は固定樹脂部50によって光導波路20に強固に固定されているため、レンズ部品30がずれたり、外れたりするおそれがない。
【0102】
あるいは、レンズ部品30の上に、光路変換ミラーMに光結合される光素子を実装してもよい。
【0103】
(第2の実施の形態)
図11〜
図13は第2実施形態の光導波路装置の製造方法を示す図、
図14は第2実施形態の光導波路装置を示す図である。
【0104】
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、レンズ部品を樹脂から形成することにある。第2実施形態では、第1実施形態と同一工程及び同一要素については同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0105】
第2実施形態の光導波路装置の製造方法では、
図11に示すように、まず、樹脂から形成されるレンズ本体60aを用意する。
図11の断面図は、平面図のB−Bに沿った断面に相当する。
【0106】
第1実施形態と同様に、レンズ本体60aの上面側には複数の凸状のレンズLが並んで配置され、端部の下面に突出部Pが形成されている。
【0107】
また、レンズ本体部60aの下面に凹部60xが形成されており、その凹部60xの底にアルミニウム(Al)層62aが形成されている。
【0108】
アルミニウム層62aを備えたレンズ本体60aは射出成形によって形成される。金型内にアルミニウム板片を配置した状態で溶融させた樹脂を金型内に注入し、冷却して固化させることにより、アルミニウム層62a付のレンズ本体60aが得られる。
【0109】
次いで、
図12(a)に示すように、レンズ本体60aの裏面のアルミニウム層62aの上に、無電解めっきにより銅層62bを形成する。アルミニウム層62a及び銅層62bにより金属台座62が形成される。
【0110】
続いて、
図12(b)に示すように、ワイヤボンディング法により、金属台座62の上に金バンプ64を形成する。以上により、樹脂製のレンズ部品60が得られる。
【0111】
次いで、
図13に示すように、第1実施形態の
図7及び
図8の工程と同様に、
図12(b)のレンズ部品60をチップマウンタ装置40の吸着ヘッド42に吸着させ、位置合わせを行う。樹脂から形成されるレンズ部品60は、第1実施形態のガラス製のレンズ部品30よりも耐熱温度が低い特性を有する。
【0112】
このため、第2実施形態では、吸着ヘッド42の加熱温度が第1実施形態よりも低く設定される。例えば、耐熱温度が200℃よりも高いエポキシ樹脂からレンズ部品60が形成される場合は、ヒータ44によって吸着ヘッド42を140℃〜200℃の温度に設定して、レンズ部品60を加熱する。
【0113】
これに伴って、第2実施形態では、低融点のはんだ12aを使用する。低融点のはんだ12aの融点は140℃〜200℃である。低融点のはんだとしては、例えば、錫(Sn)/ビスマス(Bi)系の鉛(Pb)フリーはんだなどがある。
【0114】
融点が140℃〜200℃であれば、鉛(Pb)含有のはんだを使用してもよい。そのような低融点のはんだ12aを光導波路付基板2のホールHに塗布する。
【0115】
このようにして、吸着ヘッド42に吸着されたレンズ部品60の金バンプ64を、光導波路付基板2のホールH内のはんだ12aに挿入する。そして、加熱されたレンズ部品60によってはんだ12aをリフローさせながらレンズ部品60と光導波路20との精密な位置合わせを行う。
【0116】
以上のように、樹脂製のレンズ部品60を使用する場合は、低融点のはんだ12aを使用することにより、レンズ部品60の耐熱性が確保され、レンズ部品60の変形が防止される。
【0117】
その後に、
図14に示すように、レンズ部品60からチップマウンタ装置40の吸着ヘッド42を取り外す。さらに、第1実施形態の
図10の工程と同様に、レンズ部品6を固定樹脂部50によって光導波路20に接着する。これにより、第2実施形態の光導波路装置1aが得られる。
【0118】
第2実施形態の光導波路装置1aでは、樹脂製のレンズ部品60を使用し、レンズ部品60の金バンプ64が低融点のはんだ12aによって配線基板10の金属パッドMPに接合される。それ以外の要素は、第1実施形態の光導波路装置1と実質的に同じである。
【0119】
第2実施形態の光導波路装置1aは第1実施形態の光導波路装置1と同様な効果を奏する。
【0120】
第2実施形態では、融点が140℃〜200℃の低融点のはんだ12aを使用している。後の工程で、光素子や半導体チップをリフローはんだ付けで実装する際に、200℃を超える温度で実装を行う場合がある。
【0121】
そのような場合は、レンズ部品60の金バンプ64が接合された低融点のはんだ12aが再溶融する。しかし、レンズ部品60は固定樹脂部50で光導波路20に強固に接着されているため、レンズ部品60の位置がずれることはなく、不具合は発生しない。
【0122】
(第3の実施の形態)
図15〜
図17は第3実施形態の光導波路装置の製造方法を示す図、
図18は第3実施形態の光導波路装置を示す図である。
【0123】
第3実施形態では、前述した第1、第2実施形態のレンズ部品の金属台座及び金バンプに相当するバンプ部分をレンズ本体と同一材料で一体的に形成する。また、接合材として樹脂接着剤を使用する。
【0124】
図15に示すように、第3実施形態で使用されるレンズ部品70は、レンズ本体部70aとバンプ70bが射出成形によってガラスから一体的に形成される。
図15の断面図は、
図15の平面図のC−Cに沿った断面に相当する。
【0125】
図15のレンズ部品70の外形に対応する金型内に、溶融させたガラスを注入し、冷却して固化させることにより、レンズ本体部70aとそれに繋がるバンプ70bが同一材料から一体的に形成される。それ以外の要素は第1実施形態のレンズ部品30と同じである。
【0126】
あるいは、ガラス部材を切削する手法を採用し、ガラス部材を削りだししてレンズ部を形成する際に、レンズ本体部70aと同時にバンプ70bを一体的に形成してもよい。
【0127】
さらに、
図16に示すように、光導波路付基板2aを用意する。第3実施形態で使用される光導波路付基板2aでは、ホールHの底に配線基板10の絶縁層が露出している。配線基板10の絶縁層は絶縁樹脂から形成され、コア基板であってもよいし、多層配線の層間絶縁層であってもよい。
【0128】
続いて、光導波路付基板2aのホールHに樹脂接着剤14を塗布する。樹脂接着剤14としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が使用される。第3実施形態では、接合材として樹脂接着剤14が使用される。
【0129】
樹脂接着剤14は、光導波路付基板2aのホールH内に少量でコントロールして塗布できるため、予備的事項と違って、樹脂接着剤14が光導波路20の光路変換ミラーM上の領域に塗布されるおそれはない。
【0130】
次いで、前述した第1実施形態の
図7と同様に、
図15のレンズ部品70をチップマウンタ装置40の吸着ヘッド42で吸着させ、レンズ部品70を加熱する。
【0131】
続いて、第1実施形態の
図7の工程と同様に、CCDカメラ46でアライメントマークを画像認識することに基づいて、レンズ部品70と光導波路付基板2aの光路変換ミラーMとを位置合わせする。
【0132】
さらに、
図17に示すように、レンズ部品70のバンプ70bを光導波路付基板2aのホールH内の樹脂接着剤14に挿入し、精密な位置合わせを行いながら樹脂接着剤14を加熱して硬化させる。なお、樹脂接着剤14の加熱による硬化は、光導波路付基板2aが載置されたステージ(不図示)側から行ってもよい。
【0133】
このように、第3実施形態では、レンズ部品70のバンプ70bを樹脂接着剤14で光導波路付基板2aのホールH内に接着するため、ホールHの底には樹脂接着剤14と接着力が強い絶縁層が配置される。
【0134】
しかし、必要に応じて、第1実施形態と同様にホールHの底に金属パッドを配置し、レンズ部品70のバンプ70bを樹脂接着剤14で金属パッドに接着してもよい。
【0135】
次いで、
図18に示すように、レンズ部品70からチップマウンタ40の吸着ヘッド42を取り外す。その後に、第1実施形態の
図10の工程と同様に、レンズ部品70と光導波路20とを固定樹脂部50によって接着する。
【0136】
これにより、第3実施形態の光導波路装置1bが得られる。
図18の断面図は、
図18の平面図のV−Vに沿った断面に固定樹脂部50を合成した図である。
【0137】
図19に示すように、ガラスから一体的に形成されるレンズ部品70の代わりに、射出成形によってレンズ本体71a及びバンプ71bが樹脂から一体的に形成されるレンズ部品71を使用してもよい。
【0138】
この場合は、
図19のレンズ部品71の外形に対応する金型内に、溶融させた樹脂を注入し、冷却して固化させることにより、レンズ本体71aとそれに繋がるバンプ71bが同一材料から一体的に形成される。それ以外の要素は第1実施形態のレンズ部品30と同じである。
【0139】
あるいは、樹脂部材を切削する手法を採用し、樹脂部材を削りだししてレンズ部を形成する際に、レンズ本体部71aと同時にバンプ71bを一体的に形成してもよい。
【0140】
そして、
図18と同様に、レンズ部品71を光導波路20の光路変換ミラーMに位置合わせしながら、レンズ部品71のバンプ71bを光導波路付基板2aのホールH内に樹脂接着剤14によって接着する。
【0141】
その後に、
図18と同様に、レンズ部品71と光導波路20とを固定樹脂部50によって固定する。これによって、第3実施形態の変形例の光導波路装置1cが得られる。
【0142】
第3実施形態の光導波路装置1b,1cは、第1実施形態の光導波路装置1と同様な効果を奏する。
【0143】
第3実施形態では、レンズ部品70,71は、バンプ70b,71bがレンズ本体70a,70bと同一材料から一体的に形成される。このため、レンズ本体に金属台座及び金バンプを形成する必要がないので、製造工程が簡易となり、低コスト化を図ることができる。