特許第6361374号(P6361374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361374
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20180712BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20180712BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/32
   H01L33/60
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-170246(P2014-170246)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-46406(P2016-46406A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】永野 祐任
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−251417(JP,A)
【文献】 特表2014−513440(JP,A)
【文献】 特表2010−515243(JP,A)
【文献】 特開2013−077679(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0240934(US,A1)
【文献】 特開2004−363380(JP,A)
【文献】 特開2001−308140(JP,A)
【文献】 特開2004−200195(JP,A)
【文献】 特開2012−146898(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/010220(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/099328(WO,A1)
【文献】 特開2002−270902(JP,A)
【文献】 特開2013−069837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子と電気的に接続される第1端子及び第2端子と、
前記発光素子と前記第1端子及び前記第2端子とを保持する光反射部材と、を備え、
前記第1端子及び前記第2端子は、略球状であり、
前記光反射部材は、前記発光素子の光出射面側を露出させ、前記第1端子及び前記第2端子の一部をそれぞれ略円形に露出させ、
前記光出射面は、発光装置の実装面に対して傾斜しており、断面視において前記光反射部材は、略三角形である、発光装置。
【請求項2】
前記第1端子及び前記第2端子は、前記実装面から露出する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
断面視において、前記実装面と、前記実装面と隣接する発光装置の背面と、がなす角度は、垂直又は鋭角である請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子上に波長変換層を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1端子及び前記第2端子は、導電性のコアと、前記コアを被覆する被覆部と、を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
発光素子と、前記発光素子と電気的に接続される第1端子及び第2端子と、前記発光素子と前記第1端子及び前記第2端子とを保持する光反射部材と、を備える発光装置の製造方法において、
前記発光素子に、略球状の第1端子及び第2端子をそれぞれ接続する端子接続工程と、
前記発光素子の光出射面側を露出させるように、前記発光素子と前記第1端子及び前記第2端子とを被覆する光反射部材形成工程と、
前記第1端子及び前記第2端子の一部を、前記光反射部材からそれぞれ露出させる端子露出工程と、を含み、
前記光反射部材形成工程において、発光装置の実装面を前記光出射面に対して傾斜するように形成することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記端子露出工程において、前記第1端子及び前記第2端子の一部を、前記実装面から露出させる請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記光反射部材形成工程において、前記光反射部材は、略V字形状の溝を有する金型を用いて形成する請求項6又は7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
発光素子に、略球状の第1端子及び第2端子をそれぞれ接続する端子接続工程と、
前記発光素子の少なくとも一部と前記第1端子及び前記第2端子とを光反射部材で被覆する光反射部材形成工程と、
前記第1端子及び前記第2端子が接続されている側と反対の光出射面に対し、90°以外の部分が露出するように、前記第1端子及び前記第2端子の一部を、前記光反射部材からそれぞれ露出させる端子露出工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、低消費電力、長寿命、高信頼性など多くの特長を有し、青色LEDと蛍光体とを組み合わせた白色光を発するLED発光装置の実用化により、各種照明やバックライト用光源など様々な用途で広く利用されている。
【0003】
特許文献1には、CSP(Chip Size Package)タイプの発光装置が開示されている。CSP(Chip Size Package)タイプの発光装置は、発光素子(LED)が光反射性の樹脂等で直接被覆されるので、小型で薄型の発光装置を形成することができる。特許文献1に記載の発光装置は、半導体層と、p側電極及びn側電極と、p側配線層及びn側配線層と、各配線層を絶縁する絶縁層と、を有し、外部端子として、各々の配線層が絶縁層の複数の面から露出される。また、発光装置の実装面(第3の面)に対して光出射面(第1の面)が傾斜しており、実装面を水平面とした場合に、光が斜め上方に放出される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−146898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される発光装置は、光出射面が実装面側に傾斜しているため、半導体層と外部端子とが、比較的近い位置に形成される。すなわち、外部端子は、実装面(第3の面)において、光出射面(第1の面)に近い側に形成されやすい。したがって、発光装置が実装基板上で転倒しやすく、発光装置と実装基板の接続が安定的に行えないおそれがある。
【0006】
そこで、実装基板との接続を安定的に行うことが可能な発光装置および発光装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る発光装置は、発光素子と、前記発光素子と電気的に接続される第1端子及び第2端子と、前記発光素子と前記第1端子及び前記第2端子とを保持する光反射部材と、を備え、前記第1端子及び前記第2端子は、略球状であり、前記光反射部材は、前記発光素子の光出射面側を露出させ、前記第1端子及び前記第2端子の一部をそれぞれ略円形に露出させ、前記光出射面は、発光装置の実装面に対して傾斜しており、断面視において前記光反射部材は、略三角形である。
【0008】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子と、前記発光素子と電気的に接続される第1端子及び第2端子と、前記発光素子と前記第1端子及び前記第2端子とを保持する光反射部材と、を備える発光装置の製造方法において、前記発光素子に、略球状の第1端子及び第2端子をそれぞれ接続する端子接続工程と、前記発光素子の光出射面側を露出させるように、前記発光素子と前記第1端子及び前記第2端子とを被覆する光反射部材形成工程と、前記第1端子及び前記第2端子の一部を、前記光反射部材からそれぞれ露出させる端子露出工程と、を含み、前記光反射部材形成工程において、発光装置の実装面を前記光出射面に対して傾斜するように形成する。
【0009】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子に、略球状の第1端子及び第2端子をそれぞれ接続する端子接続工程と、前記発光素子の少なくとも一部と前記第1端子及び前記第2端子とを光反射部材で被覆する光反射部材形成工程と、前記第1端子及び前記第2端子が接続されている側と反対の光出射面に対し、90°以外の部分が露出するように、前記第1端子及び前記第2端子の一部を、前記光反射部材からそれぞれ露出させる端子露出工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態に係る発光装置および発光装置の製造方法によれば、実装基板との接続を安定的に行うことが可能な発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る発光装置10の斜視図である。
図2】実施形態1に係る発光装置10を側面側から見た概略図である。
図3】実施形態1に係る発光装置10を底面側から見た概略図である。
図4】実施形態に係る発光装置において、端子の大きさと、実装面に対する光出射面の傾斜角度との関係を示す概略図である。
図5】実施形態に係る発光装置において、接続部Cの位置と、実装面に対する光出射面の傾斜角度Dとの関係を示す概略図である。
図6】第1端子及び第2端子の構成について示す概略図である。
図7】実施形態に係る発光装置の一例を示す概略図である。
図8】実施形態に係る発光モジュールを示す概略図である。
図9】実施形態1に係る発光装置10の製造方法において、シート上に複数の発光素子を配置する工程を示す概略図である。
図10】実施形態1に係る発光装置10の製造方法において、端子接続工程を示す概略図である。
図11A】実施形態1に係る発光装置10の製造方法において、光反射部材形成工程を示す概略図である。
図11B】実施形態1に係る発光装置10の製造方法において、光反射部材形成工程を示す概略図である。
図11C】実施形態1に係る発光装置10の製造方法において、端子露出工程を示す概略図である。
図11D】実施形態1に係る発光装置10の製造方法において、個片化工程を示す概略図である。
図12】実施形態2に係る発光装置30の斜視図である。
図13】実施形態2に係る発光装置30を側面側から見た概略図である。
図14】実施形態2の変形例に係る発光装置50の斜視図である。
図15】実施形態2の変形例に係る発光装置50を側面側から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、本発明の技術的思想を具現化するためのものであって、本発明を以下のものに限定するものではない。特に、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特段の断りがない限りは、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。さらに、実施形態を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、以下に記載されている実施形態も同様に、特段の断りがない限りは各構成等を適宜組み合わせて適用できる。
【0013】
≪実施形態1≫
図1に示されるように、実施形態1に係る発光装置10は、主に側面発光型の発光装置として用いるのに適している。この発光装置10は、発光素子1と、発光素子1と電気的に接続される第1端子2及び第2端子3と、それらを保持する光反射部材4と、を有する。発光素子1は、図2に示されるように、半導体層1aと、n側電極1b及びp側電極1cと、を備えることができる。発光素子1の光出射面(半導体層1aの電極形成面の反対側)は、光反射部材4から露出され、発光装置10の実装面(光反射部材4の底面4a)に対して、発光装置10の背面(光反射部材4の背面4c)側へ傾斜するように配置される。
【0014】
第1端子2及び第2端子3は略球状であり、第1端子2及び第2端子3は、発光素子1のn側電極1b又はp側電極1cのいずれか一方と電気的に接続される。発光素子1の電極と第1端子2及び第2端子3との接続部分を、接続部Cとする。第1端子2及び第2端子3の一部は、光反射部材4から露出される。露出された第1端子2及び第2端子3は、外部端子部2a,3aとして実装基板の配線と電気的に接続される。
【0015】
図1及び図2に示されるように、光反射部材4は、発光装置10の外表面を形成する。断面視で、光反射部材4は略三角形である。光反射部材4は、略三角柱形状とすることができ、底面4a、側面4b、背面4c、前面4dを備える。光反射部材4の底面4aは、発光装置10の実装面であり、発光素子1の光出射面に対して傾斜するように設けられる。光反射部材4の側面4bは、底面4aに略垂直に隣接する。側面4bどうしは略平行である。光反射部材4の前面4dは、発光素子1の光出射面と同様に底面4a(実装面)に対して傾斜しており、発光素子1の電極形成面側を被覆する。光反射部材4の形状は略三角柱が好ましいが、略三角錐や略円柱、略円錐等でも構わない。
なお、以降の説明では、背面4cに垂直な方向を“奥行き方向”、底面4aに垂直な方向を“高さ方向”とし、それぞれの側面4bと垂直な方向を“幅方向”とする。
【0016】
本実施形態では、光反射部材4の底面4a(実装面)に、第1端子2及び第2端子3の一部が露出された外部端子部2a,3aを有する。図3に示されるように、外部端子部2a,3aの形状は略円形であり、光反射部材4の底面4a(実装面)において、背面4cに近い側(後方側)に形成される。
【0017】
以上のような構成とすると、第1端子2及び第2端子3が略球状であるので、実装面に対して光出射面が傾斜した小型の発光装置10を容易に作製することができる。また、鍍金等で所望の厚みの端子を形成する場合に比べ、工程コスト及び時間を短縮することができる。
さらに、外部端子部2a,3aを、実装面(光反射部材4の底面4a)において、発光装置の背面(光反射部材4の背面4c)に近い側に形成することができる。すなわち、光出射面(発光素子1)と外部端子部2a,3aとの距離を十分に確保することができる。したがって、実装基板20に実装する際に転倒しにくく、安定的に実装することが可能な発光装置10を作製できる。
【0018】
以下、実施形態1に係る発光装置10の各構成部材について詳述する。なお、ここで説明する各部材の構成は一例であり、これに限られるものではない。
【0019】
<発光装置10>
(発光素子1)
図2に示されるように、発光素子1は、n型半導体層11と活性層12とp型半導体層13とを備える半導体層1aと、n型半導体層11上に形成されるn側電極1bと、p型半導体層13上に形成されるp側電極1cと、を備えることができる。本実施形態では、半導体層1aのn型半導体層11、活性層12、p型半導体層13は、奥行き方向に順次積層されている。例えば、半導体層1aとしては、窒化物半導体(InAlGa1−X−YN(0≦X、0≦Y,X+Y≦1))、GaAlAs、AlInGaP等を用いることができる。なお、各半導体層は、単層構造であってもよいが、組成及び膜圧の異なる層の積層構造や超格子構造であってもよい。活性層12は、単一量子井戸構造や多量子井戸構造であることが好ましい。発光素子1は、半導体層1aの他に基板を有していてもよい。基板としては、発光素子1からの光を効率的に取り出すために、例えばサファイア等の透光性の高いものを用いることができる。なお、基板上に半導体層1aが形成された発光装置の場合は、基板を除去することで、発光素子1からの光取り出しを向上させることができる。基板の除去は、例えば、レーザリフトオフ(LLO)により容易に行うことができる。レーザ光の照射量や時間等は、基板の種類や厚みによって適宜調整することができる。
【0020】
なお、レーザリフトオフによって基板を除去した後は、半導体層1aの表面をエッチング等で粗面化することで、半導体層1aからの光の取り出しを向上させることができる。また、基板が除去された半導体層1aの表面には、保護層を形成してもかまわない。
【0021】
n側電極1bは、例えばレジストを用いたRIE法等を用い、前述の半導体層1aの活性層12及びp型半導体層13の一部を除去して、n型半導体層11を露出させた部分に形成することができる。また、p側電極1cは、p型半導体層13上に形成される。本実施形態では、n側電極1b及びp側電極1cは、幅方向に一列に配置される。各電極の材料としては、Au、Ag、Ag合金、AlあるいはAl合金、ITO等が挙げられる。各電極は、スパッタ法、蒸着法などを用いて形成することができる。n側電極1b及びp側電極1cの上面は、略同じ高さになるように設けられると、第1端子2及び第2端子3を接続させやすく好ましい。各電極上には、バンプ等を設けてもかまわない。
【0022】
(第1端子2、第2端子3)
第1端子2及び第2端子3は、略球状であり、発光素子1のn側電極1b又はp側電極1cと接続される。詳細には、第1端子2及び第2端子3は、球形から一部が除去された球欠形状であるが、明細書中では略球状と示す。また、第1端子及び第2端子は、断面が円形となる球状であると好ましいが、断面が楕円形等になる球状でもかまわない。なお、第1端子2及び第2端子3の一部(球形から一部が除去された面)は、光反射部材4から露出され、外部端子部2a,3aとして実装基板20と接続される。本実施形態では、図1に示されるように、略同じ大きさの第1端子2及び第2端子3が、発光素子1の各電極に1つずつ接続され、幅方向に一列に配置される。
【0023】
第1端子2及び第2端子3が略球状であると、端子2,3の大きさや、端子2,3と発光素子1との接続部Cの位置を調整することで、実装面(底面4a)に対して所望の傾斜角度Dで傾斜する光出射面(発光素子1)を有する発光装置を形成することができる。
具体的には、図4に示されるように、外部端子部2a,3aの位置を変えずに端子2,3の大きさを大きくすることで、実装面(底面4a)に対する傾斜角度Dの大きい光出射面(発光素子1)を形成することができる。また、外部端子部2a,3aの位置を変えずに端子2,3を小さくすることで、実装面(底面4a)に対する傾斜角度Dの小さい光出射面(発光素子1)を形成することができる。
【0024】
また、図5に示されるように、端子2,3の大きさを変えずに接続部Cの位置を発光素子1の上方にすると、実装面(底面4a)に対する傾斜角度Dの小さい光出射面(発光素子1)を形成することができる。また、端子2,3の大きさを変えずに接続部Cの位置を発光素子1の下方にすると、実装面(底面4a)に対する傾斜角度Dの大きい光出射面(発光素子1)を形成することができる。
【0025】
なお、端子2,3と発光素子1との接続部Cの位置を、発光素子1の上方にすることで、外部端子部2a,3aを、実装面(底面4a)において背面4cに近い側に形成することができる。そうすることで、実装基板に安定的に実装可能な発光装置10を形成することができる。
【0026】
さらに、端子2,3を大きくする、又は端子2,3と発光素子1との接続部Cの位置を発光素子1の端部とする(すなわち、端子2,3を光反射部材4の外表面に近い部分に配置する)ことで、外部端子部2a,3aを複数の面に形成することができる。例えば、光反射部材4の底面4a(実装面)だけでなく、側面4bや背面4cに形成することができる。このように、外部端子部2a,3aが複数形成されると、発光装置10と実装基板との接続強度を高めることができる。
なお、端子2,3の大きさや接続部Cの位置等の変更にあたり、発光素子1の電極パターンや実装基板の配線パターンは、適宜変更することができる。
【0027】
第1端子2及び第2端子3の材料は、加熱等によって容易に発光素子1の電極1b,1c及び実装基板20の配線21と接着が可能で、加熱(接着)後も所定の形状を維持できる導電性を有するものが好ましい。例えば、図6に示されるように、導電性のコアAとコアAを被覆する導電性の被覆部Bを有する構成とすることができる。以下、導電性のコアAと被覆部Bとからなる略球状の第1端子2及び第2端子3について説明する。
【0028】
コアAの材料としては、Cuが主成分(例えば、Cuの含有率が50質量%以上)であることが好ましい。特に、Cuの含有率が99質量%以上、又はCuと、Zn、Sn、P、Ni、Au、Mo、Wのうち1種以上から選択される金属との合金であると、熱伝導性や電気伝導性に優れるため好適である。コアAは、略球状であると、端子を略球状に形成しやすく好ましい。コアAは、直径約1〜1000μm程度、より好ましくは直径約40〜200μm程度とすることができる。
【0029】
被覆部Bの材料としては、Auと、Si、Ge、Snのうち少なくとも1種類以上を含む合金を用いることが好ましい。特に、コアA上にSn系の被覆部Bを有する端子であると、被覆部Bが外部端子部2a,3aに露出される場合、被覆部Bを、発光装置と実装基板とを接続する接着剤として用いてもかまわない。被覆部Bとして、その他にNi、Ni−B、Ni−P等を用いることができる。ここで、Sn系の被覆部Bは、Sn系合金からなる単層構造であってもよいし、Snと他の合金や複数のSn合金からなる多層構造であってもかまわない。
被覆部Bの厚みとしては、被覆部BがSnである場合、約1〜50μm程度、より好ましくは約1〜10μm程度とすることができる。このような厚みであると、発光素子1の電極及び実装基板20の配線21と良好に接続させることができ、かつ、第1端子2と第2端子3の短絡を防ぐことができる。
【0030】
前述のように、コアAと被覆部Bとを有する端子を用いる場合、コアAは被覆部Bよりも融点が高い材料を用いることが好ましい。例えば、前述のように、CuからなるコアAをSnの被覆部Bで被覆した第1端子2及び第2端子3を用いると、発光素子1の電極上に各端子を載置して加熱することで、容易に発光素子1の電極と第1端子2及び第2端子3とを共晶接合させることができる。
【0031】
以上、コアAと被覆部Bを有する略球状の第1端子2及び第2端子3について説明したが、これに限定されない。第1端子2及び第2端子3は、コアAと被覆部Bを有する構成でなくてもよく、発光素子1と第1端子2及び第2端子3とは、共晶接合以外の方法で接続されていてもかまわない。また、第1端子2及び第2端子3は、発光素子1の各電極に対してそれぞれ複数配置されていてもよいし、複数配置される端子どうしが、異なる構成・大きさであってもかまわない。後述する実施形態2において、異なる大きさの端子を有する発光装置の形態について示す。
【0032】
(外部端子部2a,3a)
外部端子部2a,3aは、図3に示されるように、平面視でみて略円形である。ここで、外部端子部2a,3aは円形であると好ましいが、楕円形等でもかまわない。なお、外部端子部2a,3aの直径は、第1端子2及び第2端子3の直径よりも小さい方が好ましい。
略円形の外部端子部2a,3aは、略球状の第1端子2及び第2端子3の一部が露出されたものである。第1端子2及び第2端子3と、光反射部材4とを一緒に切削することで、略円形の外部端子部2a,3aを、光反射部材4と略面一に形成することができる。また、第1端子2及び第2端子3は、各々の被覆部B以上の厚みで切削されると好ましい。そうすることで、外部端子部2a,3aの表面にコアAを露出させることができ、実装性の良い発光装置10を形成することができる。なお、外部端子部2a,3aと光反射部材4とは、略面一に形成されていなくてもかまわない。例えば、光反射部材4の底面4a(実装面)に対して窪むように外部端子部が形成されていてもよい。そうすることで、発光装置10と実装基板とを接続する接着剤を、外部端子部の窪みに配置させることができ、発光装置10と実装基板との接続強度を向上させることができる。
【0033】
前述のように、被覆部Bを有する第1端子2及び第2端子3を用いると、外部端子部2a,3aの表面の少なくとも一部に、被覆部Bを形成することができる。そうすることで、被覆部Bを、発光装置10と実装基板とを接続する接着剤として用いることが可能である。
【0034】
外部端子部2a,3aは、光反射部材4の任意の面に形成することができる。本実施形態の外部端子部2a,3aは、実装基板の上面に対して平行に実装される光反射部材4の底面4aに形成される。そうすることで、発光装置10と実装基板とを安定的に接続でき、十分な接続強度を確保することができる。また、外部端子部2a,3aを、光反射部材4の複数の面に形成することで、発光装置と実装基板との接続強度を向上させることができる。なお、外部端子部2a,3aは、光反射部材4の底面4a(実装面)に形成されていなくてもかまわない。
【0035】
なお、外部端子部2a,3aの表面(第1端子2及び第2端子3の切削面)には、保護膜が形成されていてもかまわない。保護膜は、電解めっき、無電解めっき、酸化防止剤、プリフラックス、変色防止剤等で形成することができる。このような保護膜を形成することで、外部端子部2a,3aの劣化や損傷を抑制することができる。保護膜は、外部端子部2a,3aの表面だけでなく、外部端子部2a,3aが形成される光反射部材4の面上に形成されていてもよい。そうすることで、保護膜が金属等の熱伝導性を有する材料で形成される場合、発光装置10の放熱性を高めることができる。
【0036】
(光反射部材4)
光反射部材4は、図1及び図2に示されるように、発光素子1と第1端子2及び第2端子3とを保持する。詳述すると、発光素子1の電極形成面側と、外部端子部以外の第1端子2及び第2端子3と、を被覆する。光反射部材4は、第1端子2と第2端子3とを絶縁させ、半導体層1aからの光を発光装置10の光出射面側へ反射させる。実施形態1の光反射部材4は、前述のように略三角柱(五面体)であり、発光装置10の実装面である底面4a、側面4b、背面4c、発光素子1の電極形成面側を被覆する前面4dを有する。本実施形態では、略球状の第1端子2及び第2端子3は、光反射部材4に略内接するように埋設され、そのうちの一部が外部端子部2a,3aとして露出される。
【0037】
光反射部材4の形状を略三角柱とすると、実装面に対して光出射面が傾斜した発光装置10を容易に形成することができる。特に、光反射部材4を略直角三角柱とすると、実装基板への実装をより安定的に行うことが可能な発光装置10を形成することができる。また、略球状の第1端子2及び第2端子3を略内接させやすく、小型で放熱性の高い斜め発光の発光装置10を形成することができる。
【0038】
また、図2に示されるように、断面視において、実装面である光反射部材4の底面4の上方に、光出射面である半導体層1aを位置させると好ましい。特に、半導体層1a(光出射面)の全てを光反射部材4の底面4a(実装面)の上方に位置させると、実装基板に実装する際に背面4c側に倒れにくい発光装置10を形成することができ、実装基板に対して発光装置10をより安定的に実装させることができる。
【0039】
光出射面(半導体層1a)と対向する光反射部材4の背面4cは、光出射面(半導体層1a)方向に傾斜していると好ましい。例えば、光出射面(半導体層1a)が実装面(光反射部材4の底面4a)に対して背面4c側に傾斜する場合、光反射部材4の背面4cと実装面(光反射部材4の底面4a)とがなす角度は、垂直又は鋭角であることが好ましい。そうすることで、転倒しにくい発光装置10を形成することができる。また、図7に示されるように、光反射部材4は、底面4a、側面4b、背面4c、前面4d以外に、上面4eを有していてもかまわない。
なお、光反射部材4の各々の面は、略平面であると好ましいが、平面でなくてもかまわない。例えば、外部端子部2a,3aが露出される面は、外部端子部2a,3aとの境目に窪みを有していてもかまわない。
【0040】
光反射部材4の材料としては、第1端子2と第2端子3とを絶縁でき、半導体層1aからの光を発光装置10の光出射面側へ反射できるものであれば、特に限定されない。例えば、母材に光反射性材料が含有されたものを用いることができる。
母材としては、例えば、セラミック、樹脂、ガラス、誘電体、パルプ又はこれらの2種類以上を含む複合材料等が挙げられる。特に、所望の形状に容易に成形可能な樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を2種類以上含むハイブリッド樹脂等が挙げられる。
光反射性材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、カーボンブラック、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム等)が挙げられる。母材には、その他、拡散材や着色剤等のフィラーを含有させてもかまわない。
【0041】
光反射部材4は、発光素子1からの光に対する反射率が、約60%以上、より好ましくは約70〜90%以上であると好ましい。
【0042】
(波長変換層5)
図2に示されるように、発光素子1の光出射面側(すなわち、光反射部材4から露出された半導体層1a)は、波長変換層5で被覆されていると好ましい。波長変換層5は、例えば、発光素子1からの光を透過させることができる母材に、発光素子1からの光を任意の波長に変換可能な波長変換部材を含有させたものを用いることができる。母材としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を2種類以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂や、ガラス等を用いることができる。波長変換部材としては、所望の蛍光体を用いることができる。また、波長変換部材として、いわゆるナノクリスタル、量子ドットと称される発光物質を用いてもよい。なお、波長変換層5には、拡散材等を含有させてもかまわない。
【0043】
蛍光体としては、例えば、ユーロピウム、セリウム等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、より具体的には、ユーロピウムで賦活されたα又はβサイアロン型蛍光体、各種アルカリ土類金属窒化シリケート蛍光体、ユーロピウム等のランタノイド系元素、マンガン等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類のハロシリケート蛍光体、アルカリ土類金属シリケート蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属硫化物、アルカリ土類金属チオガレート、アルカリ土類金属窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、セリウム等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はユーロピウム等のランタノイド系元素で主に賦活される有機物及び有機錯体等が挙げられる。特に、黄色蛍光体であるYAG系蛍光体、赤色蛍光体であるKSF、緑色蛍光体のLAG系蛍光体等が好適に用いられる。この他にも同様の性能、効果を有する蛍光体を適宜使用することができる。蛍光体は、単独又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0044】
量子ドットとしては、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdSSe1−x/ZnS、GaP等のナノサイズの高分散粒子を用いることができる。
【0045】
<実装基板20>
図8に示されるように、実装基板20は、発光装置10が実装される基板であり、配線21と基体22とを有する。配線21は、発光装置10の外部端子部2a,3aと電気的に接続される。なお、実装基板20は、配線21のみで構成されてもよい。
【0046】
(配線21)
配線21の材料としては、銅、ニッケル、パラジウム、タングステン、クロム、チタン、アルミニウム、銀、金又はそれらの合金等の金属材料が挙げられる。なお、配線21は発光装置10で発生した熱の放熱性の観点から、銅又は銅合金が特に好ましい。また、任意の材料から形成した配線の表面に、銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム若しくはこれらの合金から成る被膜を形成することもできる。また、銀又は銀合金から形成した配線の表面を酸化させて、配線の表面に酸化銀又は銀合金の酸化物の被膜を形成してもよい。
【0047】
(基体22)
基体22の材料としては、セラミックス、ガラスエポキシ、樹脂等の絶縁性材料が挙げられる。特に、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスが好ましい。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト等が好ましく、LTCC(low Temperature Co-fired Ceramics)を用いてもかまわない。その他、金属材料の表面を絶縁性材料で被覆した絶縁性基体を利用することもできる。
【0048】
<発光モジュール100>
図8に示される発光モジュール100は、発光装置10が実装基板20に電気的に接続されたものである。本実施形態では、実装基板20の配線21上に、発光装置10の実装面(光反射部材4の底面4a)が実装され、接着剤(例えば、半田等の導電性接着材やACP等の異方性導電部材等)によって、光反射部材4の底面4aに形成された外部端子部2a,3aと、配線21とが接続される。実施形態1では、発光装置10の実装面(光反射部材4の底面4a)は、実装基板20に対して略水平に実装される。したがって、発光装置10の光出射面は実装基板20に対して斜めに配置され、発光装置10の光は、実装基板20に対して斜め上方に出射する。
【0049】
<発光装置10の製造方法>
以下、本実施形態の発光装置10及び発光モジュール100の製造方法について、図9〜13を用いて例示する。なお、以下に示されるのは一例であり、適宜所望の方法及び工程順で形成することができる。
【0050】
(端子接続工程)
端子接続工程では、発光素子1に、略球状の第1端子2及び第2端子3を接続する。まず、図9に示されるように、半導体層とn側電極及びp側電極とが形成された発光素子1を複数準備し、シート8上に配置する。例えば、ポリイミドの基材上に接着層としてアクリル系樹脂が形成されたシート8を用いることができ、約0.4〜2.3mm程度の間隔で発光素子1を配置することができる。発光素子1のn側電極及びp側電極上には、適宜フラックスを塗布する。フラックスの塗布方法は、印刷、転写等適宜自由に選択することができる。
【0051】
次に、図10に示されるように、発光素子1のn側電極及びp側電極上に、第1端子2及び第2端子3を載置する。本実施形態では、予め直径約100μmのCuコアボールAが厚み約5μmのSnからなる被覆部Bで被覆された直径110μm程度の第1端子2及び第2端子3を準備し、吸引治具を用いて発光素子1の各電極上に仮止材を用いて載置する。仮止材は、適宜公知のものを使用することができる。また、発光素子1の電極上に、予め端子の形状に対応する凹部を有する保持部を形成しておく(または電極そのものを、端子の形状に対応した凹形状に形成しておく)ことで、第1端子2及び第2端子3を精度よく配置することができる。
【0052】
そして、第1端子2及び第2端子3が配置された発光素子1をシート8ごと、オーブン又はプレート等で約280℃以上で約1分以上加熱する。そうすることで、Snである被覆部Bが溶融して硬化し、発光素子1と導電性のコアAが共晶接合され、発光素子1と第1端子2及び第2端子3とが固定される。
【0053】
(光反射部材形成工程)
続いて、光反射部材形成工程において、発光素子1と第1端子2及び第2端子3とを保持する光反射部材4を形成する。本実施形態では、図11Aのように、第1端子2及び第2端子3が接続された発光素子1を複数有するシート8(以下、シート集合体80とする)を、例えば略V字形状の溝F(ここでは、溝を形成する2面が略直角に接するV字形状の溝)を有する金型90に、シート集合体80の第1端子2及び第2端子3側を下にしてセットし、光反射部材4として酸化チタン等の光反射性材料を含有させたシリコーン樹脂を充填して硬化させる。これにより、図11Bに示されるように、シート集合体80に、略三角柱の光反射部材4を形成することができる。なお、金型90のV字形状の溝Fを形成する2面の接する角度は、適宜選択することができる。また、溝の形状は、V字に限らず、適宜所望の形状とすることができる。
【0054】
(端子露出工程)
端子露出工程では、光反射部材形成工程で形成された光反射部材4から端子2,3の一部を露出させることで、外部端子部2a,3aを形成する。具体的には、図11Cに示されるように、光反射部材4の一部及び/又は端子2,3の一部を、ブラスト、切削、研磨、エッチング等で除去することで、第1端子2及び第2端子3の一部を露出させる。例えば、ブラストにより第1端子2及び第2端子3の一部を露出させる場合は、除去する面に対してブラストガンを垂直に対向させてブラスト処理することができる。第1端子2及び第2端子3が略球状であるため、外部端子部2a,3aは、略円形に形成される。光反射部材4と第1端子2及び第2端子3とを一緒にダイシングすることで、光反射部材4と略面一の外部端子部2a,3aを形成することができる。
本実施形態では、外部端子部2a,3aは、発光装置10の実装面である光反射部材4の底面4aに形成される。外部端子部2a,3aは、光反射部材4の底面4aと同様に、発光装置の光出射面に対して傾斜している。具体的には、第1端子2及び第2端子3が接続されている側と反対の光出射面に対し、90°以外の部分が露出するように、第1端子2及び第2端子3の一部を、光反射部材からそれぞれ露出させる。そうすることで、第1端子2及び第2端子3の露出面に対して、光出射面を傾斜させることができる。なお、外部端子部2a,3aは、発光装置10の実装面(光反射部材4の底面4a)に形成されていなくてもよく、その他の面に形成してもかまわない。また、外部端子部2a,3aは、発光装置の個片化後に形成することもできる。
【0055】
前述の被覆部Bを有する第1端子2及び第2端子3を用いる場合、以上のような方法で外部端子部2a,3aを形成すると、外部端子部2a,3aの表面に被覆部Bを形成することができる。例えば、図11Dに示されるように、略円形の外縁に被覆部Bを有する外部端子部2a,3aを形成することができ、この露出する被覆部Bによって、後に発光装置10と実装基板とを接合することが可能である。
【0056】
本実施形態では、適宜、発光素子1の光出射面側を被覆する波長変換層5を形成してもよい。そうすることで、発光素子1からの光を所望の発光色に波長変換することができる。波長変換層5は、例えば、蛍光体を含有させたシリコーン樹脂を、スプレー、塗布、印刷等の所望の方法で形成することができる。波長変換層5の厚みは、約30〜300μmとすることができる。
【0057】
そして、図11Dに示されるように、光反射部材4(及び波長変換層5)が形成されたシート集合体80を、ダイシング等で各々の発光装置10に個片化する。
本実施形態では、個片化された発光装置10の光反射部材4は、略三角柱とすることができ、発光装置10の実装面である底面4aと、底面4aに略垂直に隣接する側面4bと、底面4a(実装面)に対して背面4c側に傾斜し、発光素子1の電極形成面側を被覆する前面4dと、を有する。発光装置10の寸法は、例えば、幅約2.0mm、高さ約0.1〜1.0mm、奥行き約0.1〜1.0mmとすることができ、断面視でみて、実装面(光反射部材4の底面4a)と光出射面(発光素子1の半導体層1a)とのなす角度は、約60°とすることができる。なお、シート8を剥がすタイミングは特に限定されないが、シート集合体80の個片化前であると好ましい。
【0058】
<発光モジュール100の形成方法>
以上のように形成された発光装置10を、予め準備された実装基板20へ実装することで、発光モジュール100を形成することができる。以下、発光モジュール100の形成方法について例示する。なお、以下に示されるのは一例であり、適宜所望の方法及び工程順で形成することができる。
【0059】
まず、実装基板20の配線21上に接着剤を形成する。例えば、メタルマスクを用いたスクリーン印刷法により、接着剤である半田を供給することができる。次に、接着剤上に発光装置10を載置する。この状態で、接続剤6を溶融して硬化させることで、発光装置10と実装基板20とが電気的に接続され、図8に示される発光モジュール100が作製される。なお、前述のように、コアAであるCuコアボールが被覆部BであるSnで被覆された第1端子2及び第2端子3を用いる場合は、図11Dに示されるように、略円形の外部端子部2a,3aの外縁に被覆部Bを形成することができる。したがって、該外部端子部2a,3aを実装基板20の配線21上に載置して加熱することで、発光装置10と実装基板20とを接合することが可能である。
【0060】
≪実施形態2≫
(発光装置30)
実施形態2の発光装置30は、図12に示されるように、異なる大きさの略球状の第1端子2S,2M及び第2端子3S,3Mを有する。以降、小さい方の第1端子を2S、大きい方の第1端子を2Mとし、小さい方の第2端子を3S、大きい方の第2端子を3Mとする。それ以外は、実施形態1の発光装置10と略同様に構成することができ、適宜説明を省略する。
【0061】
本実施形態では、図13に示されるように、発光素子1Bの一方の電極上に、第1端子2S,2Mが奥行き方向に一列に接続されており、他方の電極上に、第2端子3S,3Mが奥行き方向に一列に接続されている(すなわち、発光素子1Bの各電極上に、2つずつ、計4つの端子が接続されている)。小さい方の第1端子2Sと、第2端子3Sの大きさは略同じである(例えば、直径約100μm程度とすることができる)。また、大きい方の第1端子2Mと、第2端子3Mの大きさは略同じである(例えば、直径約300μm程度とすることができる)。なお、大きさの略等しい端子どうしは、発光素子1Bにおいて幅方向に一列に配置されている。
本実施形態では、第1端子2S及び第2端子3Sは、発光素子1Bの下方側に配置されており、第1端子2M及び第2端子3Mは、発光素子1Bの上方側に配置される。すなわち、図13のように、断面視でみて、第1端子2M及び第2端子3Mは、第1端子2S及び第2端子3Sよりも光反射部材4の背面4c側(言い換えると、発光素子1の電極と光反射部材4の底面4aとの間が広い側)に配置される。
【0062】
本実施形態では、光反射部材の底面4aに、第1端子2S,2Mの一部が露出した外部端子部2s,2m、及び第2端子3S,3Mの一部が露出した外部端子部3s,3mが形成される。また、光反射部材4の背面4cには、第1端子2Mの一部が露出した外部端子部2m、及び第2端子3Mの一部が露出した外部端子部3mが形成される。これらの外部端子部は、前述の接着剤によって、実装基板と電気的に接続される。
【0063】
このように、光反射部材4の底面4a(実装面)に対して斜めに配置される発光素子1Bに、下方側から上方側へ徐々に大きい略球状の第1端子及び第2端子3を接続することで、実装面に対して光出射面が所望の角度だけ傾斜した発光装置30を形成することができる。同様に、実装基板に対して発光装置10の光出射面が斜め上方を向いた発光モジュールを形成することができる。また、複数の第1端子及び第2端子を有することで、外部端子部を複数形成することができ、発光装置30と実装基板との接続強度を向上させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、発光素子1Bの各電極上に端子が2つずつ(計4つ)接続される例を示したが、第1端子及び第2端子は、各々2個以上ずつ接続されてもかまわない。また、発光装置の光出射面が、実装基板に対して所望の傾きを得られるように、第1端子と第2端子の数や大きさは適宜変更することができる。
【0065】
(実施形態2の変形例)
実施形態2の変形例を図14及び図15に示す。図14及び図15に示される発光装置50は、発光素子1Cに、異なる大きさの略球状の第1端子2X及び第2端子3Yが、1つずつ接続される。本実施形態では、発光素子1Cのn側電極1bとp側電極1cとが、高さ方向に形成される。第1端子2X及び第2端子3Yは発光素子1Cの対角に配置される。第1端子2Xは第2端子3Yよりも小さく(例えば、直径約100μm程度とすることができる)、発光素子1Cの下方側に配置される。第2端子3Yは第1端子2Xよりも小さく(例えば、直径約300μm程度とすることができる)は、発光素子1Cの上方側に配置される。すなわち、図15のように断面視でみて、第2端子3Yは第1端子2Xよりも光反射部材4の背面4c側(言い換えると、発光素子1Cの電極と光反射部材4の底面4aとの間が広い側)に配置される。
【0066】
本実施形態では、光反射部材の底面4aに、第1端子2Xの一部が露出した外部端子部2x、及び第2端子3Yの一部が露出した外部端子部3yが形成されている。これらの外部端子2x,3yは、前述の接着剤によって、実装基板の配線と接続される。
【0067】
以上のように、略球状の端子を用い、その大きさや発光素子1Cとの接続部の位置を適宜変更することで、n側電極及びp側電極が幅方向に形成される場合だけでなく、高さ方向に形成される場合も、実装面に対して光出射面が所望の角度だけ傾斜した発光装置を形成することができる。同様に、実装基板に対して発光装置の光出射面が斜め上方を向いた発光モジュールを形成することができる。
【0068】
なお、実施形態1及び実施形態2で用いられた「n側電極及びp側電極が幅方向に形成された発光素子」を、例えば90度回転させて向きを変えることで、実施形態2の変形例における「n側電極及びp側電極が高さ方向に形成された発光素子1C」として使用することができる。したがって、本実施形態によれば、同じ発光素子を用いて、光出射面の幅と高さの寸法の異なる発光装置を形成することが可能である。
【0069】
実施形態2の変形例では、発光素子1Cの各電極上に端子が1つずつ(計2つ)接続される例を示したが、第1端子及び第2端子は、各々1個以上ずつ配置されていてもかまわない。第1端子及び第2端子の配置、数、大きさは、適宜変更することができる。
【0070】
以上、いくつかの実施形態について例示したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
発光装置 10、30、50
発光素子 1A、1B、1C
半導体層 1a
n側半導体層 11
活性層 12
p側半導体層 13
n側電極 1b
p側電極 1c
第1端子 2、2S、2M、2X
第2端子 3、3S、3M、3Y
コア A
被覆部 B
外部端子部 2a,3a、2s、2m、2x、3y
接続部 C
傾斜角度 D
光反射部材 4
底面(実装面) 4a
側面 4b
背面 4c
前面 4d
波長変換層 5
実装基板 20
配線 21
基材 22
シート 8
シート集合体 80
金型 90
V字形状の溝 F
発光モジュール 100
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15