(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持基板と、前記支持基板上に配置され、前記支持基板側とは反対側の表面に凸部を有する樹脂層と、前記樹脂層の前記凸部を有する表面の形状に追従するように前記樹脂層上に配置されたガラス基板とを有し、前記支持基板と前記樹脂層の界面の剥離強度が前記樹脂層と前記ガラス基板の界面の剥離強度よりも大きいガラス積層体であって、
前記ガラス基板が、前記樹脂層側とは反対側の表面で前記樹脂層の前記凸部の直上の位置に凸部を有し、
前記ガラス基板の前記凸部を有する表面のろ波中心線うねりXが、前記樹脂層の前記凸部を有する表面のろ波中心線うねりYよりも小さい、ガラス積層体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
本発明のガラス積層体の特徴点の一つとしては、ガラス基板の凸部を有する表面のろ波中心線うねりXと、樹脂層の凸部を有する表面のろ波中心線うねりYとの関係が制御されている点が挙げられる。以下、図面を参照して、ガラス積層体の特徴について詳述する。
まず、
図1は、従来技術で実施される研磨処理を施した場合の概略図である。まず、
図1(A)には、研磨処理が施される積層物品が記載されており、積層物品では支持基板12と、樹脂層14と、ガラス基板16とが積層されている。樹脂層14は、支持基板12側とは反対側の表面14aに凸部30を有する。また、ガラス基板16の樹脂層14側の第1表面16aは樹脂層14の表面14aの形状に追従し、樹脂層14側とは反対側の第2表面16bには凸部32を有する。凸部32は、凸部30の直上に位置する。このような積層物品中のガラス基板16の第2表面16bに対して従来技術と同様に研磨処理を施すと、
図1(B)に示すように、ガラス基板16の第2表面16bから凸部32が除去され、平坦面となる。次に、得られた積層物品からガラス基板16を剥離すると、ガラス基板16の第1表面16aが平坦に戻る力が作用して平坦化されると共に、第2表面16bでは凸部30が除去されたことに伴いガラス基板の厚みが薄くなっているため、凹部34が形成されてしまう。このような凹部34は、
図1(B)でのガラス基板16の第2表面16bが平坦であるほど深くなり、第2表面16b上に配置される電子デバイス用部材の位置ズレを引き起こすおそれがある。
次に、
図2を用いて本願発明の態様について詳述する。
図2(A)は、
図1(A)と同じく研磨処理が施される積層物品である。本願発明においては、
図2(B)に示すように、凸部32が残り、かつ、ガラス基板16の第2表面16bのろ波中心線うなりが樹脂層14の表面14aのろ波中心線うなりよりも小さくなるように研磨処理を施して、所定のガラス積層体100を得る。
図2(C)に示すように、得られたガラス積層体100からガラス基板16を剥離すると、
図1(C)と同様にガラス基板16の第2表面16b上に凹部34が形成される。しかしながら、
図2(C)の態様においては、
図1(C)と異なり、ガラス基板16の第2表面16bの現れる凹部34の深さはあまり深くないため、第2表面16b上に配置される電子デバイス用部材の位置ズレが引き起こされにくい。
【0012】
図3は、本発明に係るガラス積層体の一例の模式的断面図である。
図3に示すように、ガラス積層体100は、支持基板12とガラス基板16とそれらの間に樹脂層14が存在する積層体である。樹脂層14は、その一方の面が支持基板12の層に接すると共に、その他方の面がガラス基板16の第1表面16aに接している。言い換えると、樹脂層14はガラス基板16の第1表面16aに接している。
支持基板12の層および樹脂層14からなる2層部分は、液晶パネルなどの電子デバイス用部材を製造する部材形成工程において、ガラス基板16を補強する。なお、ガラス積層体100の製造のためにあらかじめ製造される支持基板12および樹脂層14からなる2層部分を樹脂層付き支持基板18という。
【0013】
このガラス積層体100は、後述する部材形成工程まで使用される。即ち、このガラス積層体100は、そのガラス基板16の第2表面16b表面上に液晶表示装置などの電子デバイス用部材が形成されるまで使用される。その後、電子デバイス用部材が形成されたガラス積層体は、樹脂層付き支持基板18と部材付きガラス基板に分離され、樹脂層付き支持基板18は電子デバイスを構成する部分とはならない。樹脂層付き支持基板18には新たなガラス基板16と積層され、新たなガラス積層体100として再利用することができる。
【0014】
支持基板12と樹脂層14の界面は剥離強度(x)を有し、支持基板12と樹脂層14の界面に剥離強度(x)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、支持基板12と樹脂層14の界面が剥離する。樹脂層14とガラス基板16の界面は剥離強度(y)を有し、樹脂層14とガラス基板16の界面に剥離強度(y)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、樹脂層14とガラス基板16の界面が剥離する。
ガラス積層体100(後述の電子デバイス用部材付き積層体も意味する)においては、上記剥離強度(x)は上記剥離強度(y)よりも高い。したがって、ガラス積層体100に支持基板12とガラス基板16とを引き剥がす方向の応力が加えられると、本発明のガラス積層体100は、樹脂層14とガラス基板16の界面で剥離してガラス基板16と樹脂層付き支持基板18に分離する。
【0015】
剥離強度(x)は、剥離強度(y)と比較して、充分高いことが好ましい。剥離強度(x)を高めることは、支持基板12に対する樹脂層14の付着力を高め、かつ、加熱処理後においてガラス基板16に対してよりも相対的に高い付着力を維持できることを意味する。
支持基板12に対する樹脂層14の付着力を高めるためには、後述するように、所定の成分を含む硬化性樹脂組成物の層(塗膜)を支持基板12上で硬化(架橋硬化)させて樹脂層14を形成することが好ましい。硬化の際の接着力で、支持基板12に対して高い結合力で結合した樹脂層14を形成することができる。
一方、硬化後の硬化物のガラス基板16に対する結合力は、上記硬化時に生じる結合力よりも低いのが通例である。したがって、支持基板12上で硬化性樹脂組成物の層に硬化処理を施して樹脂層14を形成し、その後、樹脂層14の面にガラス基板16を積層して、ガラス積層体100を製造することが好ましい。
【0016】
以下で、まず、ガラス積層体100を構成する各層(支持基板12、樹脂層14、ガラス基板16)について詳述し、その後、ガラス積層体および部材付きガラス基板の製造方法について詳述する。
【0017】
<支持基板>
支持基板12は、ガラス基板16を支持して補強し、後述する部材形成工程(電子デバイス用部材を製造する工程)において電子デバイス用部材の製造の際にガラス基板16の変形、傷付き、破損などを防止する。
支持基板12としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、SUS板などの金属板などが用いられる。通常、部材形成工程が熱処理を伴うため、支持基板12はガラス基板16との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、ガラス基板16と同一材料で形成されることがより好ましく、支持基板12はガラス板であることが好ましい。特に、支持基板12は、ガラス基板16と同じガラス材料からなるガラス板であることが好ましい。
【0018】
支持基板12の厚さは、ガラス基板16よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。好ましくは、ガラス基板16の厚さ、樹脂層14の厚さ、およびガラス積層体100の厚さに基づいて、支持基板12の厚さが選択される。例えば、現行の部材形成工程が厚さ0.5mmの基板を処理するように設計されたものであって、ガラス基板16の厚さと樹脂層14の厚さとの和が0.1mmの場合、支持基板12の厚さを0.4mmとする。支持基板12の厚さは、通常の場合、0.2〜5.0mmであることが好ましい。
【0019】
支持基板12がガラス板の場合、ガラス板の厚さは、扱いやすく、割れにくいなどの理由から、0.08mm以上であることが好ましい。また、ガラス板の厚さは、電子デバイス用部材形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、1.0mm以下であることが好ましい。
【0020】
支持基板12とガラス基板16との25〜300℃における平均線膨張係数の差は、好ましくは500×10
-7/℃以下であり、より好ましくは300×10
-7/℃以下であり、さらに好ましくは200×10
-7/℃以下である。差が大き過ぎると、部材形成工程における加熱冷却時に、ガラス積層体100が激しく反ったり、支持基板12とガラス基板16とが剥離したりする可能性がある。支持基板12の材料がガラス基板16の材料と同じ場合、このような問題が生じるのを抑制することができる。
【0021】
<樹脂層>
樹脂層14は、ガラス基板16と支持基板12とを分離する操作が行われるまでガラス基板16の位置ずれを防止すると共に、ガラス基板16などが分離操作によって破損するのを防止する。樹脂層14のガラス基板16と接する表面14aは、後述するガラス基板16の第1表面16aに剥離可能に密着する。樹脂層14はガラス基板16の第1表面16aに弱い結合力で結合しており、その界面の剥離強度(y)は、樹脂層14と支持基板12との間の界面の剥離強度(x)よりも低い。
すなわち、ガラス基板16と支持基板12とを分離する際には、ガラス基板16の第1表面16aと樹脂層14との界面で剥離し、支持基板12と樹脂層14との界面では剥離し難い。このため、樹脂層14はガラス基板16の第1表面16aと密着するが、ガラス基板16を容易に剥離することができる表面特性を有する。すなわち、樹脂層14は、ガラス基板16の第1表面16aに対してある程度の結合力で結合してガラス基板16の位置ずれなどを防止していると同時に、ガラス基板16を剥離する際には、ガラス基板16を破壊することなく、容易に剥離できる程度の結合力で結合している。本発明では、この樹脂層14表面の容易に剥離できる性質を剥離性という。一方、支持基板12と樹脂層14とは相対的に剥離しがたい結合力で結合している。
なお、樹脂層14とガラス基板16の界面の結合力は、ガラス積層体100のガラス基板16の第2表面16b上に電子デバイス用部材を形成する前後に変化してもよい(すなわち、剥離強度(x)や剥離強度(y)が変化してもよい)。しかし、電子デバイス用部材を形成した後であっても、剥離強度(y)は、剥離強度(x)よりも低い。
【0022】
樹脂層14とガラス基板16の層とは、弱い接着力やファンデルワールス力に起因する結合力で結合していると考えられる。樹脂層14を形成した後その表面にガラス基板16を積層する場合、樹脂層14の樹脂が接着力を示さないほど充分に架橋している場合はファンデルワールス力に起因する結合力で結合していると考えられる。しかし、樹脂層14の樹脂は、ある程度の弱い接着力を有することが少なくない。たとえ接着性が極めて低い場合であっても、ガラス積層体100製造後その積層体上に電子デバイス用部材を形成する際には、加熱操作などにより、樹脂層14の樹脂はガラス基板16に接着し、樹脂層14とガラス基板16との間の結合力は上昇すると考えられる。
場合により、積層前の樹脂層14の表面や積層前のガラス基板16の第1表面16aに両者間の結合力を弱める処理を行って積層することもできる。積層する面に非接着性処理などを行い、その後積層することにより、樹脂層14とガラス基板16の界面の結合力を弱め、剥離強度(y)を低くすることができる。
【0023】
また、樹脂層14は、接着力や粘着力などの強い結合力で支持基板12表面に結合されていることが好ましい。例えば、上述したように、硬化性樹脂組成物の層を支持基板12表面で硬化させることにより、硬化物である樹脂を支持基板12表面に接着して、高い結合力を得ることができる。また、支持基板12表面と樹脂層14との間に強い結合力を生じさせる処理(例えば、カップリング剤を使用した処理)を施して支持基板12表面と樹脂層14との間の結合力を高めることもできる。
樹脂層14と支持基板12の層とが高い結合力で結合していることは、両者の界面の剥離強度(x)が高いことを意味する。
【0024】
樹脂層14の厚さは特に限定されないが、2〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましく、7〜20μmであることがさらに好ましい。樹脂層14の厚さがこのような範囲であると、樹脂層14とガラス基板16との間に気泡や異物が介在することがあっても、ガラス基板16のゆがみ欠陥の発生を抑制することができる。また、樹脂層14の厚さが厚すぎると、形成するのに時間および材料を要するため経済的ではなく、耐熱性が低下する場合がある。また、樹脂層14の厚さが薄すぎると、樹脂層14とガラス基板16との密着性が低下する場合がある。
なお、樹脂層14は2層以上からなっていてもよい。この場合「樹脂層14の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
【0025】
樹脂層14のガラス基板16側の表面14aは凸部30を有する。凸部30とは、樹脂層14表面の平坦面から突出した部分である。
図3においては、凸部30は一つだけ記載するが、複数あってもよい。
樹脂層14の表面14a(凸部30がある表面)のろ波中心線うねりY(W
CA)は、1.00μm以下であることが好ましく、0.50μm以下であることがより好ましく、0.40μm以下であることがさらに好ましく、0.30μm以下であることがよりさらに好ましく、性能劣化が抑制された電子デバイスをより効率的に生産することができる点で、0.20μm以下であることが特に好ましく、0.15μm以下であることがより特に好ましく、0.10μm以下であることが最も好ましい。ろ波中心線うねりYが上記範囲(好ましくは、0.50μm以下)であることにより、樹脂層14上へのガラス基板16の積層性がより優れる。樹脂層14の表面14aのろ波中心線うねりY(W
CA)の下限は特に制限されないが、通常、0.040μm超の場合が多い。なお、本発明であれば、ろ波中心線うねりYが0.10μm超であっても、所望の効果が得られる。特に、電子デバイスとしてLCDデバイスを作製する際には、ろ波中心線うねりYは0.040μm超0.20μm以下であることが好ましい。
ここで、「表面うねり」は、公知の触針式の表面形状測定装置を用いて、JIS B−0610(1987)に記載のW
CA(ろ波中心線うねり)を測定した値である。なお、本発明において、ろ波うねり曲線のカットオフ値は0.8mmとし、測定長さは40mmとする。
なお、凸部の幅は特に制限されないが、10mm以下が好ましい。
【0026】
樹脂層14を構成する樹脂の種類は特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂およびシリコーン樹脂が挙げられる。なかでも、耐熱性および剥離性の点から、シリコーン樹脂が好ましい。つまり、樹脂層14がシリコーン樹脂層(シリコーン樹脂を含む層)であることが好ましい。
以下、シリコーン樹脂層の態様について詳述する。
【0027】
シリコーン樹脂層に含まれるシリコーン樹脂は架橋性オルガノポリシロキサンの架橋物であり、シリコーン樹脂は3次元網目構造を形成していることが好ましい。
架橋性オルガノポリシロキサンの種類は特に制限されず、所定の架橋反応を介して、架橋硬化し、シリコーン樹脂を構成する架橋物(硬化物)となれば特にその構造は限定されず、所定の架橋性を有していればよい。架橋の形式は特に制限されず、架橋性オルガノポリシロキサン中に含まれる架橋性基の種類に応じて適宜公知の形式を採用できる。例えば、ヒドロシリル化反応、縮合反応、または、加熱処理、高エネルギー線処理若しくはラジカル重合開始剤によるラジカル反応などが挙げられる。
より具体的には、架橋性オルガノポリシロキサンがアルケニル基またはアルキニル基などのラジカル反応性基を有する場合、上記ラジカル反応を介したラジカル反応性基同士の反応により架橋して硬化物(架橋シリコーン樹脂)となる。
また、架橋性オルガノポリシロキサンがシラノール基を有する場合、シラノール基同士の縮合反応により架橋して硬化物となる。
さらに、架橋性オルガノポリシロキサンが、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基など)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン)、および、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン)を含む場合、必要に応じてヒドロシリル化触媒(例えば、白金系触媒)の存在下、ヒドロシリル化反応により架橋して硬化物となる。
【0028】
なかでも、シリコーン樹脂層の形成が容易で、剥離性により優れる点で、架橋性オルガノポリシロキサンが、両末端および/または側鎖にアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(以後、適宜オルガノポリシロキサンAとも称する)と、両末端および/または側鎖にハイドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン(以後、適宜オルガノポリシロキサンBとも称する)とを含む態様が好ましい。
なお、アルケニル基としては特に限定されないが、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキシニル基などが挙げられ、なかでも耐熱性に優れる点から、ビニル基が好ましい。
また、オルガノポリシロキサンAに含まれるアルケニル基以外の基、および、オルガノポリシロキサンBに含まれるハイドロシリル基以外の基としては、アルキル基(特に、炭素数4以下のアルキル基)が挙げられる。
【0029】
オルガノポリシロキサンA中におけるアルケニル基の位置は特に制限されないが、オルガノポリシロキサンAが直鎖状の場合、アルケニル基は下記に示すM単位およびD単位のいずれかに存在してもよく、M単位とD単位の両方に存在していてもよい。硬化速度の点から、少なくともM単位に存在していることが好ましく、2個のM単位の両方に存在していることが好ましい。
なお、M単位およびD単位とは、オルガノポリシロキサンの基本構成単位の例であり、M単位とは有機基が3つ結合した1官能性のシロキサン単位、D単位とは有機基が2つ結合した2官能性のシロキサン単位である。シロキサン単位において、シロキサン結合は2個のケイ素原子が1個の酸素原子を介して結合した結合であることより、シロキサン結合におけるケイ素原子1個当たりの酸素原子は1/2個とみなし、式中O
1/2と表現される。
【0031】
オルガノポリシロキサンA中におけるアルケニル基の数は特に制限されないが、1分子中に1〜3個が好ましく、2個がより好ましい。
オルガノポリシロキサンB中におけるハイドロシリル基の位置は特に制限されないが、オルガノポリシロキサンAが直鎖状の場合、ハイドロシリル基はM単位およびD単位のいずれかに存在してもよく、M単位とD単位の両方に存在していてもよい。硬化速度の点から、少なくともD単位に存在していることが好ましい。
オルガノポリシロキサンB中におけるハイドロシリル基の数は特に制限されないが、1分子中に少なくとも3個有することが好ましく、3個がより好ましい。
【0032】
オルガノポリシロキサンAとオルガノポリシロキサンBとの混合比率は特に制限されないが、オルガノポリシロキサンB中のケイ素原子に結合した水素原子と、オルガノポリシロキサンA中の全アルケニル基のモル比(水素原子/アルケニル基)が0.7〜1.05となるように調整することが好ましい。なかでも、0.8〜1.0となるように混合比率を調整することが好ましい。
【0033】
ヒドロシリル化触媒としては、白金族金属系触媒を用いることが好ましい。白金族金属系触媒としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系などの触媒が挙げられ、特に白金系触媒として用いることが経済性、反応性の点から好ましい。白金族金属系触媒としては、公知のものを用いることができる。具体的には、白金微粉末、白金黒、塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、あるいは白金のオレフィン錯体、アルケニルシロキサン錯体、カルボニル錯体などがあげられる。
ヒドロシリル化触媒の使用量としては、オルガノポリシロキサンAとオルガノポリシロキサンBとの合計質量100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
【0034】
架橋性オルガノポリシロキサンの数平均分子量は特に制限されないが、取扱い性に優れると共に、成膜性にも優れ、高温処理条件下におけるシリコーン樹脂の分解がより抑制される点で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1,000〜5,000,000が好ましく、2,000〜3,000,000がより好ましい。
架橋性オルガノポリシロキサンの粘度は10〜5000mPa・sが好ましく、15〜3000mPa・sがより好ましい。
【0035】
また、架橋性オルガノポリシロキサンの具体的に市販されている商品名または型番としては、芳香族基を有さない架橋性オルガノポリシロキサンとして、KNS−320A、KS−847(いずれも信越シリコーン社製)、TPR6700(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、ビニルシリコーン「8500」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11364」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせ、ビニルシリコーン「11365」(荒川化学工業社製)とメチルハイドロジェンポリシロキサン「12031」(荒川化学工業社製)との組み合わせなどが挙げられる。
【0036】
樹脂層14の形成方法は特に制限されず、公知の方法が採用される。後段においては、樹脂層14がシリコーン樹脂層である態様に関して詳述する。
【0037】
<ガラス基板>
ガラス基板16は、第1表面16aが樹脂層14と接し、樹脂層14側とは反対側の第2表面16bに電子デバイス用部材が設けられる。
ガラス基板16は、樹脂層14の凸部30を有する表面14aの形状に追従するように、樹脂層14上に配置されている。そのため、ガラス基板16は、第2表面16b上で樹脂層14の凸部30の直上の位置に凸部32を有する。
図3においては、一つの凸部32のみが記載されているが凸部32の数は特に制限されず、複数あってもよい。なお、ガラス基板16の凸部32の位置は樹脂層14の凸部30上にあることから、樹脂層14に複数の凸部30がある場合、それぞれの凸部30の直上にガラス基板16の凸部32が位置し、通常、ガラス基板16の凸部32の数は、樹脂層14の凸部30の数に対応している。
【0038】
ガラス基板16の凸部32がある第2表面16bのろ波中心線うねりXの大きさは特に制限されないが、上述した樹脂層14の凸部30のある表面14aのろ波中心線うねりYよりも小さい。ろ波中心線うねりYとろ波中心線うねりXとの差(ろ波中心線うねりY−ろ波中心線うねりX)は特に制限されないが、性能劣化が抑制された電子デバイスをより効率的に生産することができる点で、0.80μm以下が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.20μm以下がさらに好ましく、0.080μm以下が特に好ましく、0.050μm以下がより特に好ましく、0.040μm以下が最も好ましい。下限は、0.005μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましい。特に、電子デバイスとしてLCDデバイスを作製する際にはろ波中心線うねりYとろ波中心線うねりXとの差は0.005μm以上0.080μm以下であることが好ましい。
ガラス基板16の凸部32がある第2表面16bのろ波中心線うねりXの大きさは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.20μm以下が好ましく、0.15μm以下がより好ましい。
ろ波中心線うねりの測定方法は上述の通りである。
なお、凸部32の幅は特に制限されないが、10mm以下が好ましい。
【0039】
ガラス基板16の種類は、一般的なものであってよく、例えば、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板などが挙げられる。ガラス基板16は耐薬品性、耐透湿性に優れ、且つ、熱収縮率が低い。熱収縮率の指標としては、JIS R 3102(1995年改正)に規定されている線膨張係数が用いられる。
【0040】
ガラス基板16の線膨張係数が大きいと、部材形成工程は加熱処理を伴うことが多いので、様々な不都合が生じやすい。例えば、ガラス基板16上にTFTを形成する場合、加熱下でTFTが形成されたガラス基板16を冷却すると、ガラス基板16の熱収縮によって、TFTの位置ずれが過大になるおそれがある。
【0041】
ガラス基板16は、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法、フルコール法、ラバース法などが用いられる。また、特に厚さが薄いガラス基板16は、いったん板状に成形したガラスを成形可能温度に加熱し、延伸などの手段で引き伸ばして薄くする方法(リドロー法)で成形して得られる。
【0042】
ガラス基板16のガラスの種類は特に限定されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
【0043】
ガラス基板16のガラスとしては、電子デバイス用部材の種類やその製造工程に適したガラスが採用される。例えば、液晶パネル用のガラス基板は、アルカリ金属成分の溶出が液晶に影響を与えやすいことから、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなる(ただし、通常アルカリ土類金属成分は含まれる)。このように、ガラス基板16のガラスは、適用されるデバイスの種類およびその製造工程に基づいて適宜選択される。
【0044】
ガラス基板16の厚さは、ガラス基板16の薄型化および/または軽量化の観点から、0.3mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.15mm以下であり、さらに好ましくは0.10mm以下である。0.3mm以下の場合、ガラス基板16に良好なフレキシブル性を与えることが可能である。0.15mm以下の場合、ガラス基板16をロール状に巻き取ることが可能である。
また、ガラス基板16の厚さは、ガラス基板16の製造が容易であること、ガラス基板16の取り扱いが容易であることなどの理由から、0.03mm以上であることが好ましい。
【0045】
なお、ガラス基板16は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、この場合、「ガラス基板16の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
【0046】
<ガラス積層体およびその製造方法>
本発明のガラス積層体100は、上述したように、支持基板12とガラス基板16とそれらの間に樹脂層14が存在する積層体である。
本発明のガラス積層体100の製造方法は、上述した構成を満たす態様のガラス積層体が得られれば特に制限されず、公知の方法を採用し得る。例えば、支持基板12上に樹脂層14が配置された樹脂層付き支持基板18の樹脂層14上にガラス基板16を積層し、その後ガラス基板16表面を研磨する方法が好ましい。
【0047】
なかでも、剥離強度(x)が剥離強度(y)よりも高い積層体を得るために、樹脂層14の形成方法としては、支持基板12表面上で所定の硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて樹脂層14を形成する方法が好ましい。
特に、硬化性樹脂組成物として架橋性オルガノポリシロキサンを使用して、シリコーン樹脂層を得る態様が好ましい。すなわち、架橋性オルガノポリシロキサンを含む層を支持基板の表面に形成し、支持基板表面上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層(架橋シリコーン樹脂)を形成し、次いで、シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂面にガラス基板を積層して、積層物品を製造し、さらに積層物品中のガラス基板表面を研磨する方法が挙げられる。
架橋性オルガノポリシロキサンを支持基板表面で硬化させると、硬化反応時の支持基板表面との相互作用により接着し、シリコーン樹脂と支持基板表面との剥離強度は高くなると考えられる。したがって、ガラス基板と支持基板とが同じ材質からなるものであっても、シリコーン樹脂層と両者間の剥離強度に差を設けることができる。
以下、架橋性オルガノポリシロキサンを含む層を支持基板の表面に形成し、支持基板表面上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層を形成する工程を樹脂層形成工程、シリコーン樹脂層のシリコーン樹脂面にガラス基板を積層して積層物品とする工程を積層工程、ガラス基板の表面を研磨する工程を研磨工程といい、各工程の手順について詳述する。
【0048】
(樹脂層形成工程)
樹脂層形成工程では、架橋性オルガノポリシロキサンを含む層を支持基板の表面に形成し、支持基板表面上で架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させてシリコーン樹脂層を形成する。
支持基板上に架橋性オルガノポリシロキサンを含む層を形成するためには、架橋性オルガノポリシロキサンを溶媒に溶解させたコーティング用組成物を使用し、この組成物を支持基板上に塗布して溶液の層を形成し、次いで溶媒を除去して架橋性オルガノポリシロキサンを含む層とすることが好ましい。組成物中における架橋性オルガノポリシロキサンの濃度の調整などにより、架橋性オルガノポリシロキサンを含む層の厚さを制御することができる。
溶媒としては、作業環境下で架橋性オルガノポリシロキサンを容易に溶解でき、かつ、容易に揮発除去させることのできる溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、酢酸ブチル、ヘプタン、2−ヘプタノン、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、トルエン、キシレン、THF、クロロホルム等を例示することができる。
【0049】
支持基板表面上に架橋性オルガノポリシロキサンを含む組成物を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を使用することができる。例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。
その後、必要に応じて、溶媒を除去するための乾燥処理が実施されてもよい。乾燥処理の方法は特に制限されないが、例えば、減圧条件下で溶媒を除去する方法や、架橋性オルガノポリシロキサンの硬化が進行しないような温度で加熱する方法などが挙げられる。
【0050】
次いで、支持基板上の架橋性オルガノポリシロキサンを架橋させて、シリコーン樹脂層を形成する。より具体的には、
図4(A)に示すように、該工程では支持基板12の少なくとも片面の表面上にシリコーン樹脂層114が形成される。
硬化(架橋)の方法は、上述したように、架橋性オルガノポリシロキサンの架橋形式に応じて適宜最適な方法が選択され、例えば、加熱処理や露光処理が挙げられる。なかでも、架橋性オルガノポリシロキサンがヒドロシリル化反応、縮合反応、ラジカル反応により架橋する場合、ガラス基板に対する密着性および耐熱性に優れるシリコーン樹脂が得られる点で、熱硬化によりシリコーン樹脂層を製造することが好ましい。
以下、熱硬化の態様について詳述する。
【0051】
架橋性オルガノポリシロキサンを熱硬化させる温度条件は、シリコーン樹脂層114の耐熱性を向上し、ガラス基板と積層後の剥離強度(y)を上記のように制御しうる範囲内で特に制限されないが、150〜300℃が好ましく、180〜250℃がより好ましい。また、加熱時間は、通常、10〜120分が好ましく、30〜60分がより好ましい。
なお、通常、架橋性オルガノポリシロキサンを硬化(特に、熱硬化)させる際には、シリコーン樹脂層114の表面114aには上述した凸部30が形成される。凸部32のある表面114aのろ波中心線うねりの大きさは、上述した樹脂層14の表面14aのろ波中心線うねりの大きさと同義である。
【0052】
また、架橋性オルガノポリシロキサンはプレキュア(予備硬化)を行った後、後硬化(本硬化)を行って硬化させてもよい。プレキュアを行うことにより、耐熱性により優れたシリコーン樹脂層114を得ることができる。プレキュアは溶媒の除去に引き続き行うことが好ましく、その場合、層から溶媒を除去して架橋性オルガノポリシロキサンを含む層を形成する工程とプレキュアを行う工程とは特に区別されない。
【0053】
(積層工程)
積層工程は、上記の樹脂層形成工程で得られたシリコーン樹脂層のシリコーン樹脂面上にガラス基板を積層し、支持基板の層とシリコーン樹脂層とガラス基板の層とをこの順で備える積層物品を得る工程である。より具体的には、
図4(B)に示すように、シリコーン樹脂層114の支持基板12側とは反対側の表面114aと、ガラス基板16の第1表面16aとを積層面として、シリコーン樹脂層114とガラス基板16とを積層し、積層物品40を得る。なお、積層物品40中のガラス基板16には、後述する研磨処理が施される。
【0054】
ガラス基板16をシリコーン樹脂層114上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、常圧環境下でシリコーン樹脂層114の表面上にガラス基板16を重ねる方法が挙げられる。なお、必要に応じて、シリコーン樹脂層114の表面上にガラス基板16を重ねた後、ロールやプレスを用いてシリコーン樹脂層114にガラス基板16を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、シリコーン樹脂層114とガラス基板16の層との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
【0055】
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保が行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、ガラス基板16のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
【0056】
ガラス基板16を積層する際には、シリコーン樹脂層114に接触するガラス基板16の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。クリーン度が高いほど、ガラス基板16の平坦性は良好となるので好ましい。
【0057】
なお、ガラス基板16を積層した後、必要に応じて、プレアニール処理(加熱処理)を行ってもよい。該プレアニール処理を行うことにより、積層されたガラス基板16のシリコーン樹脂層114に対する密着性が向上し、適切な剥離強度(y)とすることができ、後述する部材形成工程の際に電子デバイス用部材の位置ずれなどが生じにくくなり、電子デバイスの生産性が向上する。
プレアニール処理の条件は使用されるシリコーン樹脂層114の種類に応じて適宜最適な条件が選択されるが、ガラス基板16とシリコーン樹脂層114の間の剥離強度(y)をより適切なものとする点から、300℃以上(好ましくは、300〜400℃)で5分間以上(好ましく、5〜30分間)加熱処理を行うことが好ましい。
【0058】
上記処理を実施することにより、シリコーン樹脂層114の凸部30を有する表面の形状に追従するように、シリコーン樹脂層114上にガラス基板16が配置される。ガラス基板16は、シリコーン樹脂層114側とは反対側の第2表面16bで、シリコーン樹脂層114の凸部30の真上の位置に凸部32を有する。
なお、得られた積層物品40中におけるガラス基板16の凸部32を有する第2表面16bのろ波中心線うねりは、シリコーン樹脂層114の凸部30を有する表面114aのろ波中心線うねりと略同じ値を示す場合が多い。
【0059】
(研磨工程)
研磨工程は、積層工程で得られた積層物品中のガラス基板の第2表面を研磨する工程である。なお、
図4(C)に示すように、研磨は、ガラス基板16の第2表面16bの凸部32を残しながら、ガラス基板16の凸部32を有する第2表面16bのろ波中心線うねりXが、シリコーン樹脂層114の凸部30を有する表面114aのろ波中心線うねりよりも小さくなるように実施する。つまり、研磨処理が施されて得られるガラス積層体110においては、ガラス基板16の凸部32を有する第2表面16bのろ波中心線うねりXが、シリコーン樹脂層114の凸部30を有する表面114aのろ波中心線うねりよりも小さくなる。なかでも、上述したガラス基板16の凸部32を有する第2表面16bのろ波中心線うねりYと、上述した樹脂層14の凸部30を有する表面14aのろ波中心線うねりYとの差が生じるにように研磨を実施することが好ましい。
【0060】
研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができ、例えば、メカニカルな研磨(物理研磨)または化学的な研磨(化学研磨)を使用することができる。メカニカルな研磨としては、セラミック砥粒を吹き付けて研削するサンドブラスト方法、ラッピングシートや砥石を用いた研磨、砥粒と化学溶媒を併用した化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いることができる。
また、化学研磨(ウェットエッチングと呼ぶこともある)としては、薬液を使用してガラス基板の表面を研磨する方法を用いることができる。
なかでも、研磨の制御がしやすい点で、化学的機械研磨が好ましい。なお、化学的機械研磨で使用される砥粒としては、酸化セリウムなどの公知の砥粒を使用することができる。
上記研磨工程を経ることによって、上述したガラス積層体を得ることができる。
【0061】
(ガラス積層体)
本発明のガラス積層体は、種々の用途に使用することができ、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品を製造する用途などが挙げられる。
ここで、表示装置用パネルとは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等が含まれる。
【0062】
<部材付きガラス基板およびその製造方法>
本発明においては、上述した積層体を用いて、ガラス基板と電子デバイス用部材とを含む部材付きガラス基板(電子デバイス用部材付きガラス基板)が製造される。
該部材付きガラス基板の製造方法は特に限定されないが、電子デバイスの生産性に優れる点から、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造し、得られた電子デバイス用部材付き積層体から樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として部材付きガラス基板と樹脂層付き支持基板とに分離する方法が好ましい。
以下、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造する工程を部材形成工程、電子デバイス用部材付き積層体から樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として部材付きガラス基板と樹脂層付き支持基板とに分離する工程を分離工程という。
以下に、各工程で使用される材料および手順について詳述する。
【0063】
(部材形成工程)
部材形成工程は、上記積層工程において得られたガラス積層体中のガラス基板上(ガラス基板の樹脂層側とは反対側の表面上)に電子デバイス用部材を形成する工程である。
まず、本工程で使用される電子デバイス用部材について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
【0064】
(電子デバイス用部材(機能性素子))
電子デバイス用部材は、ガラス積層体中のガラス基板上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材である。より具体的には、電子デバイス用部材としては、表示装置用パネル、太陽電池、薄膜2次電池、または、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品などに用いられる部材(例えば、表示装置用部材、太陽電池用部材、薄膜2次電池用部材、電子部品用回路)が挙げられる。
【0065】
例えば、太陽電池用部材としては、シリコン型では、正極の酸化スズなど透明電極、p層/i層/n層で表されるシリコン層、および負極の金属等が挙げられ、その他に、化合物型、色素増感型、量子ドット型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、薄膜2次電池用部材としては、リチウムイオン型では、正極および負極の金属または金属酸化物等の透明電極、電解質層のリチウム化合物、集電層の金属、封止層としての樹脂等が挙げられ、その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、電子部品用回路としては、CCDやCMOSでは、導電部の金属、絶縁部の酸化ケイ素や窒化珪素等が挙げられ、その他に圧力センサ・加速度センサなど各種センサやリジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブルプリント基板などに対応する各種部材等を挙げることができる。
【0066】
(工程の手順)
上述した電子デバイス用部材付き積層体の製造方法は特に限定されず、電子デバイス用部材の構成部材の種類に応じて従来公知の方法にて、ガラス積層体のガラス基板の第2表面上に、電子デバイス用部材を形成する。
なお、電子デバイス用部材は、ガラス基板の第2表面に最終的に形成される部材の全部(以下、「全部材」という)ではなく、全部材の一部(以下、「部分部材」という)であってもよい。樹脂層から剥離された部分部材付きガラス基板を、その後の工程で全部材付きガラス基板(後述する電子デバイスに相当)とすることもできる。
また、樹脂層から剥離された、全部材付きガラス基板には、その剥離面(第1表面)に他の電子デバイス用部材が形成されてもよい。また、全部材付き積層体を組み立て、その後、全部材付き積層体から支持基板を剥離して、電子デバイスを製造することもできる。さらに、全部材付き積層体を2枚用いて組み立て、その後、全部材付き積層体から2枚の支持基板を剥離して、2枚のガラス基板を有する部材付きガラス基板を製造することもできる。
【0067】
例えば、OLEDを製造する場合を例にとると、ガラス積層体のガラス基板の樹脂層側とは反対側の表面上(ガラス基板の第2表面)に有機EL構造体を形成するために、透明電極を形成する、さらに透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する、裏面電極を形成する、封止板を用いて封止する、等の各種の層形成や処理が行われる。これらの層形成や処理として、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等が挙げられる。
【0068】
また、例えば、TFT−LCDを製造する場合は、ガラス積層体のガラス基板の第2表面上に、レジスト液を用いて、CVD法およびスパッター法など、一般的な成膜法により形成される金属膜および金属酸化膜等にパターン形成して薄膜トランジスタ(TFT)を形成するTFT形成工程と、別のガラス積層体のガラス基板の第2表面上に、レジスト液をパターン形成に用いてカラーフィルタ(CF)を形成するCF形成工程と、TFT形成工程で得られたTFT付き積層体とCF形成工程で得られたCF付き積層体とを積層する貼合わせ工程等の各種工程を有する。
TFT形成工程やCF形成工程では、周知のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等を用いて、ガラス基板の第2表面にTFTやCFを形成する。この際、パターン形成用のコーティング液としてレジスト液が用いられる。
なお、TFTやCFを形成する前に、必要に応じて、ガラス基板の第2表面を洗浄してもよい。洗浄方法としては、周知のドライ洗浄やウェット洗浄を用いることができる。
貼合わせ工程では、TFT付き積層体の薄膜トランジスタ形成面と、CF付き積層体のカラーフィルタ形成面とを対向させて、シール剤(例えば、セル形成用紫外線硬化型シール剤)を用いて貼り合わせる。その後、TFT付き積層体とCF付き積層体とで形成されたセル内に、液晶材を注入する。液晶材を注入する方法としては、例えば、減圧注入法、滴下注入法がある。
【0069】
(分離工程)
分離工程は、部材形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層体から、樹脂層とガラス基板との界面を剥離面として、電子デバイス用部材が積層したガラス基板(部材付きガラス基板)と、樹脂層付き支持基板とに分離して、電子デバイス用部材およびガラス基板を含む部材付きガラス基板を得る工程である。
剥離時のガラス基板上の電子デバイス用部材が必要な全構成部材の形成の一部である場合には、分離後、残りの構成部材をガラス基板上に形成することもできる。
【0070】
ガラス基板と支持基板とを剥離する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、ガラス基板と樹脂層との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することができる。好ましくは、電子デバイス用部材付き積層体の支持基板が上側、電子デバイス用部材側が下側となるように定盤上に設置し、電子デバイス用部材側を定盤上に真空吸着し(両面に支持基板が積層されている場合は順次行う)、この状態でまず刃物をガラス基板−樹脂層界面に刃物を侵入させる。そして、その後に支持基板側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物を差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうすると樹脂層とガラス基板との界面や樹脂層の凝集破壊面へ空気層が形成され、その空気層が界面や凝集破壊面の全面に広がり、支持基板を容易に剥離することができる。
また、支持基板は、新たなガラス基板と積層して、本発明のガラス積層体を製造することができる。
【0071】
なお、電子デバイス用部材付き積層体から部材付きガラス基板を分離する際においては、イオナイザによる吹き付けや湿度を制御することにより、シリコーン樹脂層の欠片が部材付きガラス基板に静電吸着することをより抑制することができる。
【0072】
上述した部材付きガラス基板の製造方法は、携帯電話やPDAのようなモバイル端末に使用される小型の表示装置の製造に好適である。表示装置は主としてLCDまたはOLEDであり、LCDとしては、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型、IPS型、VA型等を含む。基本的にパッシブ駆動型、アクティブ駆動型のいずれの表示装置の場合でも適用することができる。
【0073】
上記方法で製造された部材付きガラス基板としては、ガラス基板と表示装置用部材を有する表示装置用パネル、ガラス基板と太陽電池用部材を有する太陽電池、ガラス基板と薄膜2次電池用部材を有する薄膜2次電池、ガラス基板と電子デバイス用部材を有する電子部品などが挙げられる。表示装置用パネルとしては、液晶パネル、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネルなどを含む。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0075】
以下の実施例および比較例では、ガラス基板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦200mm、横200mm、板厚0.2mm、線膨張係数38×10
-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。また、支持基板としては、同じく無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦200mm、横200mm、板厚0.5mm、線膨張係数38×10
-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。
【0076】
<実施例1>
初めに、支持基板の表面をアルカリ水溶液、純水の順に洗浄して清浄化した。
次に、後述する溶液Xをダイコーター(塗布速度:40mm/s、吐出量:8ml)にて支持基板の第1表面上に塗布して、未硬化の架橋性オルガノポリシロキサンを含む層(硬化性シリコーン組成物層)を支持基板上に設けて、硬化性層付き支持基板を得た(塗工量20g/m
2)。
その後、220℃にて24分間大気中で加熱硬化して膜厚8μmのシリコーン樹脂層を得た。
得られたシリコーン樹脂層の露出表面(支持基板側とは反対側の表面)には複数の凸部が確認された。また、シリコーン樹脂層の露出表面のろ波中心線うねり(ろ波中心線うねりY)は、0.185μmであった。
【0077】
(溶液X)
成分(A)として直鎖状ビニルメチルポリシロキサン(「VDT−127」、25℃における粘度700−800cP(センチポアズ):アヅマックス製、オルガノポリシロキサン1molにおけるビニル基のmol%:0.325)と、成分(B)として直鎖状メチルヒドロポリシロキサン(「HMS−301」、25℃における粘度25−35cP(センチポアズ):アヅマックス製、1分子内におけるケイ素原子に結合した水素原子の数:8個)とを、全ビニル基と全ケイ素原子に結合した水素原子とのモル比(水素原子/ビニル基)が0.9となるように混合し、このシロキサン混合物100質量部に対して、成分(C)として下記式(1)で示されるアセチレン系不飽和基を有するケイ素化合物(沸点:120℃)1質量部を混合した。
HC≡C−C(CH
3)
2−O−Si(CH
3)
3 式(1)
次いで成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計量に対して、白金換算で白金金属濃度が100ppmとなるように白金系触媒(信越シリコーン株式会社製、CAT−PL−56)を加えオルガノポリシロキサン組成物の混合液を得た。さらに、得られた混合液に100質量部に対して、IPソルベント2028(初留点:200℃、出光興産製)を150質量部加えて混合溶液を得た。
【0078】
次に、ガラス基板のシリコーン樹脂層と接触させる側の面を純水洗浄、UV洗浄等で清浄化した後、支持基板のシリコーン樹脂層形成面とガラス基板とを室温下真空プレスにて貼り合わせ、シリコーン樹脂層を有する積層物品を得た。
得られた積層物品中のガラス基板の露出表面(シリコーン樹脂層側とは反対側の表面)には、凸部が複数確認された。なお、ガラス基板の凸部は、シリコーン樹脂層の凸部の直上に位置していた。また、ガラス基板の露出表面のろ波中心線うねりの値は、シリコーン樹脂層の凸部を有する表面のろ波中心線うねりの値と略同様であった。
【0079】
次に、オスカー型研磨機を用いて、得られた積層物品のガラス基板の露出表面の研磨を行い、ガラス積層体を得た。研磨液としては、酸化セリウム粒子の平均粒子径が1.1μmであり、酸化セリウム粒子の含有量が4質量%である酸化セリウム研磨溶液を用いた。研磨パッドとしては、スウェード素材を用いた。研磨条件は、研磨液の供給量が1.4リットル/分であり、研磨圧力が100gf/cm
2であり、下定盤の回転数が386rpmであり、研磨時間は300秒であった。
研磨終了後のガラス基板の露出表面(第2表面)には凸部が残っており、研磨処理後のガラス基板の露出表面のろ波中心線うねりは、シリコーン樹脂層の凸部を有する表面のろ波中心線うねりよりも小さかった。より具体的には、研磨処理後のガラス基板の露出表面のろ波中心線うねり(ろ波中心線うねりX)は、0.130μmであった。ろ波中心線うねりYとろ波中心線うねりXとの差は、0.050μmであった。
また、ガラス積層体において、シリコーン樹脂層と支持基板との界面の剥離強度が、ガラス基板とシリコーン樹脂層との界面の剥離強度よりも大きかった。
【0080】
次に、ガラス積層体を窒素雰囲気下にて350℃で60分間加熱処理を行い、室温まで冷却したところ、ガラス積層体の支持基板とガラス基板の分離やシリコーン樹脂層の発泡や白化など外観上の変化は認められなかった。
その後、研磨処理が施されたガラス積層体におけるガラス基板の露出表面を定盤に真空吸着させたうえで、ガラス基板の4箇所のコーナー部のうち1箇所のコーナー部におけるガラス基板とシリコーン樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、ガラス基板とシリコーン樹脂層の界面に剥離のきっかけを与えた。そして、支持基板を24個の真空吸着パッドで吸着した上で、刃物を差し込んだコーナー部に近い吸着パッドから順に上昇させた。ここで刃物の差し込みは、イオナイザ(キーエンス社製)から除電性流体を当該界面に吹き付けながら行った。次に、形成した空隙へ向けて、イオナイザからは引き続き除電性流体を吹き付けながら真空吸着パッドを引き上げた。その結果、定盤上に研磨処理が施されたガラス基板をガラス積層体から分離することができた。
分離されたガラス基板の研磨処理が施された表面を視認すると、欠陥などは確認されなかった。
【0081】
<実施例2>
本例では、実施例1で製造されたガラス積層体を用いてLCDを作製した。
ガラス積層体を2枚用意し、まず、片方のガラス積層体における研磨処理が施されたガラス基板の第2表面上に、スパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりゲート電極を形成した。次に、プラズマCVD法により、ゲート電極を設けたガラス基板の第2表面側に、さらに窒化シリコン、真性アモルファスシリコン、n型アモルファスシリコンの順に成膜し、続いてスパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、ゲート絶縁膜、半導体素子部およびソース/ドレイン電極を形成した。次に、プラズマCVD法により、ガラス基板の第2表面側に、さらに窒化シリコンを成膜してパッシベーション層を形成した後に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、画素電極を形成した。次に、画素電極を形成したガラス基板の第2表面上に、ロールコート法によりポリイミド樹脂液を塗布し、熱硬化により配向層を形成し、ラビングを行った。得られたガラス積層体を、ガラス積層体A1と呼ぶ。
次に、もう片方のガラス積層体における研磨処理が施されたガラス基板の第2表面上に、スパッタリング法によりクロムを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより遮光層を形成した。次に、遮光層を設けたガラス基板の第2表面側に、さらにダイコート法によりカラーレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法および熱硬化によりカラーフィルタ層を形成した。次に、ガラス基板の第2表面側に、さらにスパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、対向電極を形成した。次に、対向電極を設けたガラス基板の第2表面上に、ダイコート法により紫外線硬化樹脂液を塗布し、フォトリソグラフィ法および熱硬化により柱状スペーサを形成した。次に、柱状スペーサを形成したガラス基板の第2表面上に、ロールコート法によりポリイミド樹脂液を塗布し、熱硬化により配向層を形成し、ラビングを行った。次に、ガラス基板の第2表面側に、ディスペンサ法によりシール用樹脂液を枠状に描画し、枠内にディスペンサ法により液晶を滴下した後に、上述したガラス積層体A1を用いて、2枚のガラス積層体のガラス基板の第2表面側同士を貼り合わせ、紫外線硬化および熱硬化によりLCDパネルを有する積層体を得た。ここでのLCDパネルを有する積層体を以下、パネル付き積層体B2という。
次に、実施例1と同様にパネル付き積層体B2から両面の樹脂層付き支持基板を剥離し、TFTアレイを形成した基板およびカラーフィルタを形成した基板からなるLCDパネルB(電子デバイスに該当)を得た。
作製したLCDパネルBにICドライバを接続し、常温常圧下で駆動させたところ、駆動領域内において表示ムラは認められなかった。また、高温高湿環境(80℃、80%RH)下で駆動させた場合も、表示ムラは認められなかった。
【0082】
<実施例3>
本例では、実施例1で製造されたガラス積層体を用いて電子ペーパーを作製した。
ガラス積層体中のガラス基板の第2表面上に、スパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりゲート電極を形成した。次に、プラズマCVD法により、ゲート電極を設けたガラス基板の第2表面側に、さらに窒化シリコン、真性アモルファスシリコン、n型アモルファスシリコンの順に成膜し、続いてスパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、ゲート絶縁膜、半導体素子部およびソース/ドレイン電極を形成した。次に、プラズマCVD法により、ガラス基板の第2表面側に、さらに窒化シリコンを成膜してパッシベーション層を形成した後に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、画素電極を形成した。
次に、別途用意したガラス板の表面(第1主面)に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、対向電極を形成した。次に、ガラス板の第1主面上に、さらにマイクロカプセルを分散させた接着性樹脂液を印刷により塗布した。なお、マイクロカプセルは、平均直径50マイクロメーターであるアラビアガム・ゼラチンの複合膜からなる壁膜の中に、酸化チタンからなる白の粒子とカーボンブラックからなる黒の粒子が、シリコーンオイル分散された状態で封入されたものを用いた。白の粒子である酸化チタンは正電荷を帯びており、一方、黒の粒子であるカーボンブラックは負電荷を帯びているものを用いた。
次に、上記手順によって画素電極が設けられたガラス積層体中のガラス基板の第2表面側の表面と、上記接着性樹脂液を塗布したガラス板の第1主面側の表面とを貼り合わせた。上記手順によって、支持基板付き電子ペーパーパネル(電子デバイス用部材付き積層体)を得た。
続いて、実施例1と同様の方法により樹脂層付き支持基板を剥離し、電子ペーパーパネル(電子デバイスに該当。以下パネルBという)を得た。
作製したパネルBにICドライバを接続し駆動させたところ、駆動領域内において表示ムラは認められなかった。
【0083】
<実施例4〜12>
シリコーン樹脂層の製造する際の加熱硬化や塗布速度または吐出量、および/または、研磨処理条件を適宜変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。各実施例にて得られたガラス積層体においては、研磨処理後のガラス基板の露出表面のろ波中心線うねりは、シリコーン樹脂層の凸部を有する表面のろ波中心線うねりよりも小さかった。
以下、表1に、各実施例にて得られたガラス積層体中の研磨処理後のガラス基板の露出表面のろ波中心線うねり(ろ波中心線うねりX)、シリコーン樹脂層の露出表面のろ波中心線うねり(ろ波中心線うねりY)、および、ろ波中心線うねりXとろ波中心線うねりYとの差を表す。
【0084】
【表1】
【0085】
なお、いずれのガラス積層体においても、シリコーン樹脂層と支持基板との界面の剥離強度が、ガラス基板とシリコーン樹脂層との界面の剥離強度よりも大きかった。
【0086】
また、各実施例のガラス積層体を窒素雰囲気下にて350℃で60分間加熱処理を行い、室温まで冷却したところ、各実施例のガラス積層体の支持基板とガラス基板の分離やシリコーン樹脂層の発泡や白化など外観上の変化は認められなかった。
さらに、実施例1と同様の手順に従って、吸着パッドを用いて、上記加熱処理が施された各実施例のガラス積層体中のガラス基板の分離を行ったところ、いずれのガラス積層体においても定盤上に研磨処理が施されたガラス基板をガラス積層体から分離することができた。
分離されたガラス基板の研磨処理が施された表面を視認すると、欠陥などは確認されなかった。
【0087】
さらに、実施例1に記載のガラス積層体の代わりに、各実施例にて得られたガラス積層体をそれぞれ用いて、上記実施例2と同様の手順に従ってLCDパネルをそれぞれ作製したところ、いずれのLCDパネルにおいても表示ムラは認められなかった。
また、実施例1に記載のガラス積層体の代わりに、各実施例にて得られたガラス積層体をそれぞれ用いて、上記実施例3と同様の手順に従って電子ペーパーパネルをそれぞれ作製したところ、いずれの電子ペーパーパネルにおいても表示ムラは認められなかった。