(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361470
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ケーブル信号検出器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/00 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
G06F3/00 V
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-228958(P2014-228958)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-91502(P2016-91502A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】白川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】平野 光樹
(72)【発明者】
【氏名】揚石 芳丈
【審査官】
桜井 茂行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−157194(JP,A)
【文献】
特開2003−248534(JP,A)
【文献】
特開2009−037931(JP,A)
【文献】
米国特許第07705741(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
G06F 1/18
H04B 3/46
H01R 13/66
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号を伝送する複数の信号線対を有する通信ケーブルにおける情報通信の有無を検出するケーブル信号検出器であって、
異なる信号線対から伝送する信号の一部を分岐させて取り出し直流に整流して出力する複数の検知部と、
前記複数の検知部からの出力に基づき情報通信の有無を表示する表示部と、を備え、
前記複数の検知部は交流遮断用の誘導素子を介して直列に接続され、当該直列に接続された前記複数の検知部全体の出力電圧に基づき、情報通信の有無を表示するように前記表示部を構成した
ことを特徴とするケーブル信号検出器。
【請求項2】
前記通信ケーブルは、4つの前記信号線対を有し、
4つの前記信号線対に対応するように、4つの前記検知部を備えた
請求項1記載のケーブル信号検出器。
【請求項3】
前記検知部は、
前記信号線対から取り出す信号のレベルを調整する整合回路と、
前記整合回路からの出力を直流に整流して出力する整流回路と、を備える
請求項1記載のケーブル信号検出器。
【請求項4】
前記検知部は、前記整合回路から出力された信号を増幅して前記整流回路に出力する増幅回路をさらに備える
請求項3記載のケーブル信号検出器。
【請求項5】
前記複数の検知部と前記表示部は、前記通信ケーブルの端部に設けられたコネクタ、または当該コネクタが接続される中継コネクタに設けられる
請求項1〜4いずれかに記載のケーブル信号検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル信号検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データセンタなどにおいては、サーバやハブなどの情報通信機器のレイアウト変更や移動、あるいは増設などに伴い、LAN(Local Area Network)ケーブルなどの通信ケーブルの接続変更が行われる。
【0003】
通信ケーブルの接続の有無を判定するために、情報通信機器には、通信ケーブルの接続を確認する接続確認用のランプを有するものがある。
【0004】
また、通信ケーブルのコネクタの挿入や除去を検出し、通信ケーブルの接続を監視するものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5274671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、通信ケーブルが物理的に接続されているか否かを確認することができるのみであり、実際に通信ケーブルを用いて通信が行われているか否か、すなわち情報通信の有無を確認することができないという問題がある。
【0007】
そのため、通信中であることに気付かずに誤って通信ケーブルを抜いてしまうおそれがあり、情報通信機器のサービスの停止や転送中のデータの破損などの不具合が生じてしまうことも考えられる。
【0008】
また、特許文献1のように通信ケーブルの接続を監視する場合、通信ケーブルに監視用の信号線を内蔵する必要があるため、汎用の通信ケーブルを使用できず、コストが高くなってしまうという問題もある。
【0009】
また、情報通信の有無を表示するにあたって、通信ケーブルを伝送する信号の劣化を抑制することも要求される。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、情報通信の有無を表示することにより通信ケーブルの誤抜を抑制することが可能であり、汎用の通信ケーブルを使用可能であり、通信ケーブルを伝送する信号の劣化を抑制可能なケーブル信号検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、差動信号を伝送する複数の信号線対を有する通信ケーブルにおける情報通信の有無を検出するケーブル信号検出器であって、異なる信号線対から伝送する信号の一部を分岐させて取り出し直流に整流して出力する複数の検知部と、前記複数の検知部からの出力に基づき情報通信の有無を表示する表示部と、を備え、前記複数の検知部の出力を直列に接続し、当該直列に接続した前記複数の検知部全体の出力電圧に基づき、情報通信の有無を表示するように前記表示部を構成したケーブル信号検出器である。
【0012】
前記複数の検知部は、交流遮断用の誘導素子を介して直列に接続されてもよい。
【0013】
前記通信ケーブルは、4つの前記信号線対を有し、4つの前記信号線対に対応するように、4つの前記検知部を備えてもよい。
【0014】
前記検知部は、前記信号線対から取り出す信号のレベルを調整する整合回路と、前記整合回路からの出力を直流に整流して出力する整流回路と、を備えてもよい。
【0015】
前記検知部は、前記整合回路から出力された信号を増幅して前記整流回路に出力する増幅回路をさらに備えてもよい。
【0016】
前記複数の検知部と前記表示部は、前記通信ケーブルの端部に設けられたコネクタ、または当該コネクタが接続される中継コネクタに設けられてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、情報通信の有無を表示することにより通信ケーブルの誤抜を抑制することが可能であり、汎用の通信ケーブルを使用可能であり、通信ケーブルを伝送する信号の劣化を抑制可能なケーブル信号検出器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るケーブル信号検出器を示す図であり、(a)は概略構成図、(b)はケーブル信号検出器を搭載する中継コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るケーブル信号検出器を示す図であり、(a)は概略構成図、(b)はケーブル信号検出器を搭載する中継コネクタの斜視図である。
【0021】
図1(a),(b)に示すように、ケーブル信号検出器1は、差動信号を伝送する複数の信号線対(図示せず)を有する通信ケーブル4における情報通信の有無を検出するものであり、複数の検知部2と、表示部3と、を備えている。
【0022】
通信ケーブル4としては、汎用のLAN(Local Area Network)ケーブルを用いることができる。本実施形態では、通信ケーブル4として、差動信号を伝送する信号線対を4つ(合計8本)有するものを用いた。
【0023】
複数の検知部2と表示部3とは、通信ケーブル4の端部に設けられたコネクタ22、または当該コネクタ22が接続される中継コネクタ20に設けられる。本実施形態では、中継コネクタ20にケーブル信号検出器1を設ける場合を説明する。
【0024】
中継コネクタ20は、2つのコネクタ21を備え、両コネクタ21に接続された通信ケーブル4同士を接続するものである。コネクタ21は、例えば、RJ45規格に準拠したジャックコネクタであり、通信ケーブル4の端部に設けられたコネクタ22(例えばRJ45規格に準拠したプラグコネクタ)を接続可能に構成されている。
【0025】
両コネクタ21は、回路基板23に実装されている。この回路基板23に、複数の検知部2と表示部3とが搭載されることになる。
【0026】
本実施形態では、通信ケーブル4として、差動信号を伝送する信号線対を4対有するものを用いているため、両コネクタ21間には、4つの信号伝送対に対応する4つの伝送線路対5を有する信号伝送部6が形成されることになる。信号伝送部6は、回路基板23に搭載される。
【0027】
検知部2は、通信ケーブル4の信号線対から伝送する信号の一部を分岐させて取り出し直流に整流して出力するものである。本実施形態では、検知部2は、信号伝送部6の伝送線路対5から伝送する信号の一部を分岐させて取り出すように構成されている。
【0028】
ケーブル信号検出器1は、4つの信号線対(伝送線路対5)と対応するように4つの検知部2を備えて構成されている。各検知部2は、異なる信号線対(伝送線路対5)から伝送する信号の一部を分岐させて取り出し直流に整流して出力するように構成されている。
【0029】
各検知部2は、整合回路7と整流回路8とを順次接続して構成されている。
【0030】
整合回路7は、所定の周波数帯にてインピーダンス整合をとるためのものである。本実施形態では、通信ケーブル4の信号線対(信号伝送部6の伝送線路対5)で伝送される信号の一部を分岐させて取り出しているため、整合回路7は、信号線対から取り出す信号のレベルを調整する役割も兼ねることになる。
【0031】
本実施形態では、伝送線路対5から分岐した分岐伝送路9が、整合回路7に入力される。整合回路7は、例えば、抵抗回路やLCフィルタ等を適宜備えて構成される。
【0032】
整流回路8は、整合回路7から出力される交流の信号を直流に整流して出力するものである。整流回路8としては、公知の全波整流回路や半波整流回路を用いることができる。
【0033】
なお、図示していないが、整合回路7と整流回路8との間に、整合回路7から出力された信号を増幅して整流回路8に出力する増幅回路をさらに備えてもよい。ただし、この場合、増幅回路に電源を供給するバッテリ等が必要になる。本実施形態では、増幅回路を省略しているため、バッテリ等が不用となり小型化、軽量化が可能であり、また、増幅回路の出力信号が通信ケーブル4に進行することによる信号品質の劣化を抑制することも可能になる。
【0034】
表示部3は、複数(ここでは4つ)の検知部2からの出力に基づき情報通信の有無を表示するものである。本実施形態では、複数の検知部2の出力を直列に接続し、当該直列に接続した複数の検知部2全体の出力電圧に基づき、情報通信の有無を表示するように表示部3を構成している。
【0035】
本実施形態では、表示部3は、発光により情報通信の有無を表示する発光回路10を備えている。発光回路10は、発光ダイオード等の発光素子を有しており、複数の検知部2全体の出力電圧により発光素子を発光させるように構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、複数の検知部2は、交流遮断用の誘導素子Lを介して直列に接続されている。これにより、検知部2から漏れた交流信号が他の検知部2に入力されてクロストークを発生させてしまうことを抑制できる。ここでは、さらに、各検知部2の出力を容量素子Cを介して短絡させることで、クロストークの発生をより抑制するように構成している。
【0037】
なお、本実施形態では、4つの信号線対に対応するように4つの検知部2を備えているが、これに限らず、検知部2は2つ、または3つであっても構わない。
【0039】
本実施形態に係るケーブル信号検出器1では、異なる信号線対から伝送する信号の一部を分岐させて取り出し直流に整流して出力する複数の検知部2と、複数の検知部2からの出力に基づき情報通信の有無を表示する表示部3と、を備え、複数の検知部2の出力を直列に接続し、当該直列に接続した複数の検知部2全体の出力電圧に基づき、情報通信の有無を表示するように表示部3を構成している。
【0040】
このように構成することで、通信ケーブル4の情報通信の有無を表示することが可能となり、通信ケーブル4の誤抜を抑制することが可能になる。
【0041】
また、本実施形態では、従来技術のように監視用の信号線等を通信ケーブル4に設ける必要がないため、通信ケーブル4として汎用のものを使用することが可能であり、低コストである。
【0042】
さらに、本実施形態では、表示部3を、直列に接続した複数の検知部2全体の出力電圧に基づき、情報通信の有無を表示するように構成しているため、各検知部2で取り出す信号のレベルを小さくしても安定して情報通信の有無を検出することが可能となり、反射損失や挿入損失を抑制して通信ケーブル4を伝送する信号の信号品質の劣化を抑制することが可能になる。
【0043】
また、複数の信号線対から信号を取り出すため、時間的な信号強度の変動の影響を受けにくく、安定して情報通信の有無を検出することが可能である。
【0044】
さらに、各検知部2に増幅回路を備える場合であっても、各増幅回路の出力電力を小さくすることができ、消費電力を抑制すると共に、増幅回路の出力信号が通信ケーブル4に進行することによる信号品質の劣化を抑制することも可能になる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 ケーブル信号検出器
2 検知部
3 表示部
4 通信ケーブル