(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態による露光装置及び露光方法並びにデバイス製造方法について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。尚、
図1に示す露光装置EXは、投影光学系PLとウェハWとの間の液体(純水)wを介して露光を行う液浸式の露光装置であって、半導体素子の回路パターンDPが形成されたレチクルRを用い、ステップ・アンド・リピート方式により、上記回路パターンDPの像をウェハWに転写する露光装置である。
【0014】
尚、以下の説明においては、図中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウェハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
【0015】
図1に示す露光装置EXは、露光光を供給するための光源1として、193nm(ArF)の波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源を備えている。光源1から射出されたほぼ平行光束は、ビーム整形光学系2を介して所定断面の光束に整形された後、干渉性低減部3に入射する。干渉性低減部3は、被照射面であるレチクルR上(ひいてはウェハW上)での干渉パターンの発生を低減する機能を有する。
【0016】
干渉性低減部3の詳細については、例えば特開昭59−226317号公報に開示されている。干渉性低減部3からの光束は、第1フライアイレンズ(第1オプティカルインテグレータ)4を介して、その後側焦点面に多数の光源を形成する。これらの多数の光源からの光は振動ミラー5で偏向された後、リレー光学系6を介して第2フライアイレンズ(第2オプティカルインテグレータ)7を重畳的に照明し、これにより第2フライアイレンズ7の後側焦点面には多数の光源からなる二次光源が形成される。
【0017】
第2フライアイレンズ7の射出面CJ、即ち照明光学系(照明系)ISの瞳面(投影光学系PLの瞳面と光学的に共役な面)には開口絞り板8が、駆動モータ8fによって回転自在に配置されている。
図2は、開口絞り板8の一例を示す正面図である。
図2に示す通
り、開口絞り板8は回転軸Oの周りで回転自在に構成された円板からなり、通常照明用の円形の開口絞り8a、輪帯照明用の開口絞り8b、4極変形照明(4極照明)用の開口絞り8c、小さいコヒーレンスファクタ(小σ)用の小円形の開口絞り8d、及び露光光の照度むら又は光量等を計測する時に用いられる可変の開口絞り8eが周方向に沿って形成されている。尚、
図2中に示した破線の大きな円は通常照明用の円形の開口絞り8aの大きさを表しており、開口絞り8b〜8eとの大きさの比較のため図示している。
【0018】
また、コヒーレンスファクタ(照明系のσ)は、投影光学系PLのレチクルR側の開口数NArと照明系光学系ISの開口数NAiとの比で、以下のように定義される。
σ=NAi/NAr
また、投影光学系PLの開口数NAは、通常ウェハW側の開口数NAwを示し、レチクル側の開口数NArは、投影光学系PLの倍率Mより、NAr=NAw/Mとして求められる。
【0019】
上記開口絞り8eは、開口の大きさが可変に形成されており、例えば0.05〜0.50の範囲でσ値を可変することができる。この開口絞り8eは、投影光学系PLの像面側の液体wなしで、照度むらや光量の計測を行う際に、投影光学系PLの像面側に向かう露光光の開き角(最外の光線と光軸とがなす角度)を調整(小さく)するためのものである。つまり、本実施形態の露光装置は、投影光学系PLとウェハWとの間の液体wを介して露光処理を行う液浸式の露光装置であるため、投影光学系PLの像面側に液体wがないと、例えば通常照明に用いる開き角の大きな露光光は、投影光学系PLの像面側の先端部分で一部の光が全反射して投影光学系PLを通過することができない。上記開口絞り8eは、投影光学系PLの像面側に向かう露光光の開き角を調整して、投影光学系PLでの全反射を防止するために設けられる。尚、
図2においては、本発明の特徴を明確化するため、開口絞り8dとは別途に開口絞り8eを開口絞り板8に設けた構成を図示しているが、開口絞り8dのコヒーレンスファクタも0.25〜0.35程度に設定されるので、計測の際に開口絞り8dを使うようにして、開口絞り8eを省略した構成であっても良い。その場合、開口絞り8dの開口を可変にしても良い。
【0020】
図1に戻り、開口絞り板8の回転軸Oは駆動モータ8fの回転軸に接続されており、駆動モータ8fを駆動して開口絞り板8を回転軸Oの周りで回転させることにより、第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置する開口絞りを切り替えることができる。第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置される開口絞りに応じて、第2フライアイレンズ7の射出面CJにおける露光光の強度分布(光束分布)が変更される。駆動モータ8fの駆動は露光装置EXの全体の動作を統括制御する主制御系20が制御する。
【0021】
第2フライアイレンズ7によって形成された二次光源からの光束のうちの開口絞り板8に形成された開口絞り8a〜8dの何れか1つを通過した露光光は、コンデンサ光学系10及び折り曲げミラー11を介して、下側面に所定の回路パターンDPが形成されたレチクルRを重畳的に均一照明する。これにより、レチクルRの照明領域内のパターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは例えば1/4又は1/5等)で、投影光学系PLの像面に配置された基板としてのウェハW上の露光領域(投影領域)に投影される。ウェハWは例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の円板状の基板である。尚、以上説明したビーム整形光学系2〜折り曲げミラー11は、照明光学系(照明系)ISを構成している。
【0022】
投影光学系PLは、レンズ等の複数の光学素子からなる。本実施形態では、露光光として真空紫外域のArFエキシマレーザ光源の光を用いているため、投影光学系PLを構成する光学素子の硝材としては、例えば合成石英又は蛍石(フッ化カルシウム:CaF
2)
が用いられる。投影光学系PLが備える光学素子の一部は、投影光学系PLの光軸AX方
向(Z方向)に移動可能且つX軸に平行な軸又はY軸に平行な軸の周りでチルト可能に構成されており、これらの光学素子は後述するレンズコントローラ部14によって制御される。この投影光学系PLは像面側に液体wが供給されている状態で、入射光束が像面側に結像する液浸式の投影光学系であり、開口数(N.A.)は1以上(例えば、1.03〜1.30)に設定されている。尚、本実施形態の投影光学系PLは、ジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることはいうまでもない。
【0023】
レチクルRは、レチクルホルダ(不図示)を介して、レチクルステージ13に載置されている。尚、レチクルステージ13は、主制御系20からの指令に基づき、レチクルステージ制御部(不図示)によって駆動される。このとき、レチクルステージ13の移動は、レチクル干渉計(不図示)とレチクルステージ13に設けられた移動鏡(不図示)とにより計測され、その計測結果は主制御系20に出力される。
【0024】
投影光学系PLには、温度や気圧を計測するとともに、温度、気圧等の環境変化に応じて投影光学系PLの結像特性等の光学特性を一定に制御するレンズコントローラ部14が設けられている。このレンズコントローラ部14は計測した温度や気圧を主制御系20へ出力し、主制御系20はレンズコントローラ部14から出力された温度及び気圧並びに後述する露光光センサ27の計測結果に基づいて、レンズコントローラ部14を介して投影光学系PLの結像光学系等の光学特性を制御する。
【0025】
ウェハWは、ウェハステージ15内に内蔵されたウェハホルダ16に真空チャックされている。尚、ウェハWはウェハホルダ16上に保持されたときに、その上面がウェハステージ15の上面と一致するように、ウェハホルダ16の高さ位置が設定されている。ウェハステージ15は、図中X軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動可能な一対のXステージ及びYステージを重ね合わせたものであり、XY平面内での位置が調整自在になっている。
【0026】
また、図示は省略しているが、ウェハステージ15は、Z軸方向にウェハWを移動させるZステージ、ウェハWをXY平面内で微小回転させるステージ、及びZ軸に対する角度を変化させてXY平面に対するウェハWの傾きを調整するステージ等から構成される。このように、ウェハステージ15は、X軸方向の移動機能、Y軸方向の移動機能、Z軸方向の移動機能、Z軸周りの回転機能、X軸周りのチルト機能、及びY軸周りのチルト機能を有する。
【0027】
ウェハステージ15の上面の一端には移動鏡17が取り付けられており、移動鏡17の鏡面に対向した位置にレーザ干渉計18が配置されている。尚、
図1では図示を簡略化しているが、移動鏡17はX軸に垂直な反射面を有する移動鏡及びY軸に垂直な反射面を有する移動鏡より構成されている。また、レーザ干渉計18は、X軸に沿って移動鏡17にレーザビームを照射する2個のX軸用のレーザ干渉計及びY軸に沿って移動鏡17にレーザビームを照射するY軸用のレーザ干渉計より構成され、X軸用の1個のレーザ干渉計及びY軸用の1個のレーザ干渉計により、ウェハステージ15のX座標及びY座標が計測される。
【0028】
また、X軸用の2個のレーザ干渉計の計測値の差により、ウェハステージ15のXY平面内における回転角が計測される。レーザ干渉計18により計測されたX座標、Y座標、及び回転角の情報はステージ位置情報として主制御系20に供給される。主制御系20は供給されたステージ位置情報をモニターしつつ、制御信号をステージ駆動系19へ出力し、ウェハステージ15の位置決め動作をナノメートルオーダーで制御する。尚、移動鏡17の替わりに、ウェハステージ15の側面に反射面を設けてもよい。このようにすることで、ウェハステージ15の上面をほぼ全面に渡ってほぼ面一とすることができる。
【0029】
また、
図1に示す露光装置EXは、投影光学系PLの像面側に液体wを供給するとともに、供給した液体wを回収するために、液体供給装置21と液体回収装置22とを備える。液体供給装置21は、液体wを収容するタンク、加圧ポンプ等を備えて構成される。この液体供給装置21には供給管23の一端部が接続されており、供給管23の他端部には供給ノズル24が接続されている。これら供給管23及び供給ノズル24を介して液体wが供給される。尚、本実施形態においては、露光光としてArFレーザ光を用いているので、液体wとしては純水を用いている。尚、液体供給装置21のタンク、加圧ポンプ等は、必ずしも露光装置EXが備えている必要はなく、それらの少なくとも一部を露光装置EXが設置される工場等の設備で代用することもできる。
【0030】
液体回収装置22は、吸引ポンプ、回収した液体wを収容するタンク等を備える。液体回収装置22には回収管25の一端部が接続され、回収管25の他端部には回収ノズル26が接続されている。投影光学系PLの像面側に供給された液体wは、回収ノズル26及び回収管25を介して液体回収装置22に回収される。これら液体供給装置21及び液体回収装置22は、主制御系20により制御される。
【0031】
つまり、投影光学系PLの像面側の空間に液体wを供給する際に、主制御系20は液体供給装置21及び液体回収装置22のそれぞれ対して制御信号を出力して、単位時間当たりの液体wの供給量及び回収量を制御する。かかる制御により、液体wは投影光学系PLの像面側に必要十分な量だけ供給される。尚、
図2に示す例では、液体wをウェハステージ15の上方に設けられた回収ノズル26、回収管25、吸引ポンプ等を用いて回収しているが、これに限定されるものではない。例えば、ウェハステージ15の上面の周囲に液体wの回収部(排出口)を設けてもよいし、これと上記液体回収装置22とを併用しても良い。
【0032】
また、前述したウェハステージ15上には、投影光学系PLを介してウェハステージ15上に照射される露光光の照度むら(光量むら)又は積算光量むら、及び光量(照射量)を計測する露光光センサ27が設けられている。
図3は、露光光センサ27の構成の一例を示す図であって、(a)は斜視図であり、(b)は(a)中のA−A線断面矢視図である。
図3(a)に示す通り、露光光センサ27は略直方体形状のシャーシ30を備える。シャーシ30は熱伝導率の高い金属、例えばアルミによって形成される筐体であって、その上面33には光透過部としてのピンホール31及び開口32が形成されている。
【0033】
シャーシ30の上面33に形成されたピンホール31は、投影光学系PLを介して照射される露光光ILの照度むら又は積算光量むらを計測するために設けられ、その径は十数〜数十μm程度である。また、シャーシ30の上面33に形成された開口32は、露光領域(投影光学系PLの投影領域)と同程度の大きさに設定されている。この開口32には、例えばCr(クロム)が一面に蒸着され、入射光を減光するNDフィルタ34が設けられている。また、
図3(b)に示すように、シャーシ30内部に照度むらセンサ36及び照射量センサ37が設けられている。照度むらセンサ36及び照射量センサ37は、何れもPINフォトダイオード等の受光素子を備えており、これらの受光面に入射する露光光の光量が検出される。また、
図3(a)において、35は照度むらセンサ36及び照射量センサ37(
図3(b)参照)に設けられた受光素子の検出信号を露光光センサ27の外部に取り出す配線である。
【0034】
照度むらセンサ36は、受光面の面積がピンホール31を介した露光光を受光できる程度に設定され、照射量センサ37は、受光面の面積が開口32に設けられたNDフィルタ34を透過した露光光を受光できる程度に設定されている。照度むらセンサ36及び照射量センサ37の各々に設けられる受光素子は、その受光面にArFレーザ光に対するAR
コートが施されており、各々は支持部材を介して電気基板38に取り付けられる。
【0035】
電気基板38には配線35が接続されており、この配線35を介して照度むらセンサ36及び照射量センサ37が備える受光素子の検出信号を外部に取り出すよう構成されている。尚、照度むらセンサ36及び照射量センサ37の各々に設けられる受光素子としては、例えば光起電力効果、ショットキー効果、光電磁効果、光導電効果、光電子放出効果、焦電効果等を利用した光変換素子の何れであっても良い。尚、露光光センサ27は、その内部に受光素子を設けた構成ではなく、内部には露光光を受光する受光系のみを設け、光ファイバやミラー等を用いて受光系で受光した光をシャーシ30外に導いて光電子増倍管等の光電検出装置を用いて光電変換する構成であっても良い。
【0036】
露光光センサ27に設けられたピンホール31を露光領域内に配置し、露光光を露光領域に照射すると、照射された露光光の内のピンホール31を通過した露光光のみが照度むらセンサ36に設けられた受光素子で検出される。露光領域に露光光が照射されている状態で、ピンホール31を移動させつつ露光光を検出すると、露光領域内における露光光の照度むらや積算光量むらを計測することができる。また、露光光センサ27に設けられた開口32を露光領域に配置した状態で露光領域に露光光を照射すると、NDフィルタ34で減光された露光光が照射量センサ37が備える受光素子で検出される。NDフィルタ34の減光率は、既知であるため、この減光率と照射量センサ37が備える受光素子の検出結果とに基づいて、露光領域に照射される露光光の光量を計測することができる。
【0037】
以上説明した露光光センサ27の検出信号は主制御系20に供給されている。尚、照度むら及び光量の測定は、例えば定期的(ロット単位のウェハWを処理する度、レチクルRを交換する度)に実行される。主制御系20は、露光光センサ27の照度むらセンサ36を使って計測された照度むらや積算光量むらに基づいて、そのむらが小さくなるように光源1から射出される露光光の強度を変更したり、投影光学系PLの像面側に照射される露光光の照度分布を制御する。また、主制御系20は、露光光センサ27の光量センサ37を使って計測された露光光の光量に基づいて、露光光の入射に起因する投影光学系PLの光学特性の変動を補償するための制御パラメータを求め、ウェハWの露光時には、この制御パラメータを用い、レンズコントローラ部14を介して投影光学系PLの光学特性を制御する。尚、投影光学系PLの像面側に照射される露光光の照度分布の調整は、例えば特開平10−189427号公報、特開2002−100561号公報、特開2000−315648号公報に開示されているような手法を適用することができる。
【0038】
以上、本発明の第1実施形態による露光装置EXの構成について説明したが、次に上記構成における露光装置EXの動作について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による露光装置の露光処理開始時における動作例を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートは、例えば1ロット分のウェハWを露光処理する際に実行される。開始時点においては、レチクルRがレチクルステージ13上に保持されておらず、またウェハWがウェハホルダ16上に保持されおらず、更に投影光学系PLの像面側に液体wが供給されていない。
【0039】
この状態において、まず主制御系20は、駆動モータ8fを駆動して開口絞り板8に形成された開口絞り8a〜8eのうちの、極小σ値を有する極小円形の開口絞り8eを第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置する(ステップS11)。開口絞り8eの配置が完了すると、主制御系20は、レーザ干渉計18の計測結果をモニターしつつステージ駆動系1に対して制御信号を出力し、露光光センサ27のシャーシ30に形成された開口32(NDフィルタ34)が露光領域に配置されるようウェハステージ15を移動させる。
【0040】
ウェハステージ15の移動によって露光光センサ27の配置が完了すると、主制御系2
0は光源1に対して制御信号を出力して光源1を発光させる。光源1の発光により光源1から射出されたほぼ平行光束は、ビーム整形光学系2を介して所定断面の光束に整形され、干渉性低減部3、第1フライアイレンズ4、振動ミラー5、及びリレー光学系6を順に介して第2フライアイレンズ7に入射し、これにより第2フライアイレンズ7の射出面CJに多数の二次光源が形成される。
【0041】
これらの二次光源からの光束のうち、第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置された開口絞り8eを通過した露光光は、コンデンサ光学系10を通過し、折り曲げミラー11で偏向される。ここではレチクルステージ13上にレチクルRは保持されていないため、折り曲げミラー11で偏向された露光光は、レチクルRを介さずに投影光学系PLに直接入射する。
【0042】
ここで、投影光学系PLは高解像度を実現するために開口数NAが大きく設計されており、投影光学系PLの像面側に液体wが供給されている状態では、投影光学系PLの像面側に向かう露光光の開き角が大きくても、像面側にパターン像が結像できる。しかしながら、ここでは投影光学系PLの像面側に液体wが供給されていないため、仮に第2フライアイレンズ7の射出面CJに比較的σ値の大きな開口絞り8aが配置されていると、最外の光線を含む露光光の一部は、投影光学系PLの先端部分で全反射して投影光学系PLを通過することができない。
【0043】
本実施形態では、ステップS11において、極小σ値(例えば、0.25)を有する開口絞り8eを第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置することで、投影光学系PLの像面側に向かう露光光の開き角を調整している(開き角を小さくしている)ため、投影光学系PLに入射した露光光は投影光学系Pを通過することができる。投影光学系PLを通過した露光光は、露光領域に配置されたNDフィルタ34に入射し、所定量だけ減光されて照射量センサ37に設けられた受光素子で検出される。この検出信号は主制御系20に出力され、NDフィルタ34の減光率を用いて露光領域に照射される露光光の光量が算出される。これよりレチクルステージ13上にレチクルRが保持されていない状態で露光領域に照射される露光光の光量が計測される(ステップS12)。
【0044】
次に、主制御系20は光源1の発光を停止させた後で、不図示のレチクルローダ系に制御信号を出力して不図示のレチクルライブラリから所定のレチクルRを搬出させ、このレチクルRをレチクルステージ13上に保持させる(ステップS13)。レチクルステージ13上にレチクルRが保持されると、主制御系20は光源1を再度発光させて、レチクルRを介した露光光の光量を照射量センサ37を用いて計測する(ステップS14)。これによって、レチクルRがレチクルステージ13上に保持されている場合に露光領域に照射される露光光の光量と、保持されていない場合に露光領域に照射される露光光の光量との差を求めることができ、その差に基づいて、レチクルRの透過率(投影光学系PLへの入射光量)を求めることができる。
【0045】
次に、主制御系20は、不図示のレチクルローダ系に制御信号を出力してレチクルステージ13から搬出して待機させるとともに、レーザ干渉計18の計測結果をモニターしつつステージ駆動系1に対して制御信号を出力し、露光光センサ27のシャーシ30に形成されたピンホール31が露光領域内の所定位置に配置されるようウェハステージ15を移動させる。ウェハステージ15の移動によって露光光センサ27の配置が完了すると、主制御系20は光源1に対して制御信号を出力して光源1を発光させ、ウェハステージ15を移動させながら照度むらセンサ36を用いて露光領域に照射される露光光の照度むらを計測する(ステップS15)。
【0046】
以上の処理が終了すると、主制御系20は、ステップS14,S15の計測結果に基づ
いて、光源1に制御信号を出力して露光光の強度や強度分布を変更し、又はレンズコントローラ部14を介して投影光学系PLの光学性能を調整するためのパラメータを変更する(ステップS16)。次に、主制御系20は、不図示のレチクルローダに制御信号を出力してレチクルステージ13上にレチクルRを保持させるとともに駆動モータ8fを駆動して第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置する開口絞り8eを、ウェハWを露光するための開口絞り8a〜8dの何れかに変更する。例えば、輪帯照明を行う場合には、開口絞り8bを第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置する(ステップS17)。
【0047】
次に、主制御系20は、不図示のウェハローダ系に制御信号を出力して、ウェハWを露光装置EXの不図示のチャンバ内に搬送させてウェハホルダ16上に保持させる。ウェハWがウェハホルダ16上に保持されると、主制御系20は液体供給装置21及び液体回収装置22に対して制御信号を出力する。これによって、投影光学系PLの像面側の空間に液体wが供給され(ステップS18)、レチクルRに形成されたパターンを投影光学系PL及び液体wを介してウェハW上に転写する露光処理が行われる(ステップS19)。この露光処理は、1ロット分のウェハW全てに対して行われる。以上説明した
図4に示す処理は、新たなロットに対する露光処理を行う度に行われる。また、1ロット分のウェハWの露光中は、ステップS16で求めた制御パラメータを使って投影光学系PLへの露光光の照射量に応じた投影光学系PLの光学性能の調整が行われる。
【0048】
尚、
図4に示すフローチャートにおいては、説明の便宜のため、液体wなしに極小σ値を有する開口絞り8eが第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置された状態で、照射量センサ37を用いた光量の計測(ステップS14)と、照度むらセンサ36を用いた照度むらの計測(ステップS15)とを連続して行う場合を例に挙げて説明したが、どちらか一方の計測を、投影光学系PLの像面側の液体wを介して行うようにしてもよい。特に、実際の露光条件と異なる条件(極小σ値0.25の条件)では、正確な照度むらを計測できない場合もあるので、照度むらセンサ36に液浸対応を施して、例えばピンホール31に対して防水処理を施して、投影光学系PLの像面側に液体wが供給されている状態(つまり、ステップS18とステップS19との間)でステップS15の計測を行うようにしても良い。
【0049】
また、上述の実施形態においては、照射量センサ37を用いた光量計測を行った後に、照度むらセンサ36による照度むら計測を行っているが、レチクルRの搬出、搬入の工程がスループットを低下させることになるので、照度むらセンサ36による照度むら計測を行った後に、照射量モニタ37による光量計測を行う方が好ましい。また、照度むらセンサ36を用いた照度むら計測の際に、露光光の光路上からレチクルRを退避させていたが、パターンが形成されていないレチクル(計測用の素ガラス)を配置しても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置する開口絞りを変えることによって、コヒーレンスファクタ(照明系のσ)を変更し、投影光学系PLの像面側に向かう露光光の開き角を調整していたが、露光光の開き角の調整は、これに制限されず種々の方法を用いることができる。例えば、第2フライアイレンズ7の前段(光源1側)にズーム光学系を配置し、第2フライアイレンズ7に入射する光束の分布を変更して、第2フライアイレンズ7の射出面CJにおける露光光の光束分布を変更することで調整しても良い。また、上述の実施形態においては、コヒーレンスファクタ(照明系のσ)値を0.25に設定したが、これに限るものでなく、液体wの屈折率及び投影光学系PLの開口数を考慮して、投影光学系PLの像面側に液体wが無い状態でも投影光学系PLの先端面で露光光の一部に全反射が起きないように設定してやればよい。
【0051】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLの像面側に液体wが無い状態で照度むらセンサ36による計測や照射量センサ37による計測を行うようにしているが、露光
光の開き角を調整したとしても、投影光学系PLの像面側に液体wがある状態と液体wがない状態とでは、投影光学系PLの下面での反射率が異なる場合がある。その場合には、例えば所定の反射率を有する反射板を投影光学系PLの像面側に配置した状態で露光光を照射し、例えば特開2001−144004号公報に開示されているような反射量モニタを使って、液体wがある状態と液体wがない状態とで投影光学系PLから戻ってくる光量をそれぞれ計測する。そして、その差を補正情報として保持しておき、照度むらセンサ36や照射量モニタ37の液体w無しでの計測結果をその補正情報を用いて補正するようにすればよい。
【0052】
尚、第1実施形態においては、照度むらセンサ36や照射量センサ37を液体wなしで計測する場合について説明したが、後述する空間像計測装置や波面収差計測装置等の各種計測装置に液体wなしでの計測を適用することもできる。この場合、投影光学系PLの像面側の空間に液体wに相当する光学(ガラス)部材を配置しても良い。このような光学部材を配置することによって、液体wなしでも、投影光学系PLの像面側の空間を液体wで満たしている場合に近い条件で計測を行なうことができる。尚、波面収差計測装置は、例えば米国特許6,650,399や米国特許公開2004/0090606に開示されている。以上のように、第1実施形態においては、液浸法の採用によって投影光学系の開口数が増大しても、投影光学系PLに入射した露光光を各種センサの光透過部を介して良好に受光できる。また、液体wを介さずに露光光を受光しているので、液体wの状態(温度変化、ゆらぎ、透過率変化等)の影響を受けずに、各種センサの計測を行なうことができる。
【0053】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による露光装置について説明する。本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、第1実施形態においては、露光光センサ27は、投影光学系PLの像面側に液体wなしに計測動作(露光光の受光)を行ったが、以下の説明においては、露光光センサ27は投影光学系PLの像面側の液体wを介して計測動作を行う。また、
図3に示す通り、第1実施形態で説明した露光光センサ27は照度むらセンサ36と照射量センサ37とを備えているが、以下では説明の簡単のため、主として露光光センサ27に設けられる照度むらセンサについて説明する。
【0054】
図5は、本発明の第2実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサの概略構成を示す図であって、(a)は断面図であり、(b)は照度むらセンサに設けられる平凸レンズの斜視図である。
図5(a)に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照度むらセンサ40は、平凸レンズ41と受光素子42とを含んで構成される。
【0055】
図5(a),(b)に示す通り、平凸レンズ41は平坦部41aと所定の曲率を有する曲面部41bが形成された光学レンズである。本実施形態は、第1実施形態と同様に露光光として真空紫外域のArFエキシマレーザ光源の光が用いられるため、平凸レンズ41の硝材としては、例えば合成石英又は蛍石が用いられる。平凸レンズ41の平坦部41aには、中央部を除いた全面にCr(クロム)等の金属を蒸着して遮光部43が形成されている。平坦部41aの中央部にはCr(クロム)等の金属が蒸着されておらず、これにより十数〜数十μm程度の径を有する光透過部44が形成されている。
【0056】
かかる構成の平凸レンズ41は、遮光部43が形成された平坦部41aを投影光学系PLに向けて、且つ上面(遮光部43の上面)がウェハステージ15の上面15aと一致するようにウェハステージ15に取り付けられる。また、受光素子42は受光面42aを平凸レンズ41の曲面部41bに向け、且つ受光面42aのほぼ中心が平凸レンズ41の光軸上に配置されるようウェハステージ15に取り付けられる。この受光素子42は受光面
42aにArFレーザ光に対するARコートが施されている。
【0057】
尚、ここでは、説明の便宜上、平凸レンズ41及び受光素子42がウェハステージ15に取り付けられているとしているが、これらを
図3に示すシャーシ30と同様のシャーシ内に取り付け、シャーシをウェハステージ15上に設けることが好適である。かかる構成の場合には、平凸レンズ41の上面(遮光部43の上面)がシャーシの上面と一致するように平凸レンズ41がシャーシに取り付けられ、且つシャーシの上面がウェハステージ15の上面15aと一致するようにシャーシがウェハステージ15に取り付けられる。
【0058】
平凸レンズ41がウェハステージ15に取り付けられる場合、及び
図3に示すシャーシ30と同様のシャーシに取り付けられる何れの場合であっても、ウェハステージ15上の液体wが照度むらセンサ40内に浸入しないように、シール材等によって防水(防液)対策が施されている。従って、
図5(a)に示す通り、投影光学系PLの下方(−Z方向)に照度むらセンサ40が配置されているときに、投影光学系PLとウェハステージ15との間に液体wが供給されても、液体wが照度むらセンサ40内に浸入することはない。
【0059】
このため、本実施形態の照度むらセンサ40を用いた露光光の照度むら又は積算光量むらの計測は、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとウェハステージ15の上面15a(平凸レンズ41)との間に液体wを供給した状態で行うことができる。液体wが投影光学系PLとウェハステージ15の上面15aとの間に供給されている状態においては、投影光学系PLに入射した露光光は、投影光学系PLの先端部において全反射されずに投影光学系PLを通過して液体wに入射する。
【0060】
図5(a)に示す通り、液体wに入射した露光光のうち遮光部43に入射した露光光は遮光され、ピンホール状の光透過部44に入射した露光光のみが平坦部41aから平凸レンズ41内に入射する。ここで、平凸レンズ41の屈折率は、液体wの屈折率と同程度又は液体wの屈折率よりも高いため、光透過部44に入射する露光光の入射角が大きくても光透過部44に入射した露光光は、光透過部44内に露出している平凸レンズ41の平坦部41aで全反射することなく、平凸レンズ41内に入射する。また、平凸レンズ41に入射した露光光は、平凸レンズ41に形成された曲面部41bによって集光された後で受光面42aに入射して受光素子42で受光される。
【0061】
このように、本実施形態においては、平凸レンズ41の平坦部41aに遮光部43及び光透過部44を形成して、光透過部44を通過した露光光を気体中を通過させずに直接屈折率の高い平凸レンズ41に入射させている。このため、大きな入射角を有する露光光が光透過部44に入射しても、全反射されることなく平凸レンズ41内に取り込むことができる。また、平凸レンズ41に入射した露光光を曲面部41bで集光して受光素子42の受光面42aに導いているため、光透過部44に入射した露光光が大きな入射角を有していても受光素子42で受光することができる。
【0062】
尚、
図5に示す照度むらセンサ40は、平凸レンズ41の平坦部41a上に中心部を除いてCr(クロム)等の金属を蒸着して遮光部43及び光透過部44を形成している。このため、
図5(a)に示す通り、光透過部44が凹部として形成されてしまう。投影光学系PLに供給される液体wは液体供給装置21及び液体回収装置22によって常時循環させる場合には、光透過部44の存在によって液体wの流れが乱される可能性が考えられる。また、平凸レンズ41上に液体wの供給を開始したときに、光透過部44に気泡が残ってしまう虞もある。次に説明する
図6に示した照度むらセンサは、この点で本実施形態を改善している。
【0063】
図6は、本発明の第2実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサの変形例を示す図であって、(a)は断面図であり、(b)は照度むらセンサに設けられる平凸レンズの斜視図である。
図6に示す照度むらセンサ40は、
図5に示す照度むらセンサ40に設けられる平凸レンズ41に代えて平凸レンズ45を備える点が相違する。
図6に示す通り、平凸レンズ45は、平凸レンズ41に形成された平坦部41a及び曲面部41bと同様に平坦部45a及び曲面部45bが形成されている。しかしながら、平坦部45aが全面に亘って平坦ではなく、上部が平坦な凸部46が平坦部45aの中央付近に形成されている点が異なる。
【0064】
平坦部45a上には、凸部46を除いてCr(クロム)等の金属を蒸着して遮光部43が形成されており、平坦部45aの中央部に形成された凸部46の高さは遮光部43の厚みとほぼ同じに設定されている。つまり、
図6に示す照度センサ40においては、光透過部44として凸部46が形成されている。このため、
図6に示す通り、投影光学系PLの下方(−Z方向)に照度むらセンサ40が配置された状態で、投影光学系PLとウェハステージ15(平凸レンズ45)との間に液体wが供給されても、光透過部44内に液体wが流入することはなく、液体wの流れが乱されることはない。また、光透過部44に気泡が残ることもない。よって、
図6に示す構成の照度むらセンサ40を用いることで、より確度の高い計測を行うことができる。
【0065】
尚、第2実施形態においては、凸部46は、平凸レンズ45と一体的に形成されているが、別々に形成してもよい。また、凸部46と平凸レンズ45とを異なる物質で形成するようにしてもよい。この場合、凸部46を形成する物質は、露光光を透過できる物質であって、平凸レンズ45の材料の屈折率と同程度、若しくは液体wの屈折率よりも高く、かつ平凸レンズ45の材料の屈折率よりも低いものを用いることができる。
【0066】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態による露光装置について説明する。上述した第2実施形態と同様に、本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態においても主として露光光センサ27に設けられる照度むらセンサについて説明する。
【0067】
図7は、本発明の第3実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサの概略構成を示す図であって、(a)は断面図であり、(b)は照度むらセンサに設けられる開口板及び平凸レンズの斜視図である。
図7(a)に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照度むらセンサ50は、上板51、平凸レンズ52、及び受光素子53を含んで構成される。
【0068】
図7(a),(b)に示す通り、上板51は、真空紫外域のArFエキシマレーザ光源の光に対して高い透過率を有する合成石英又は蛍石からなる平行平板54を備えている。この平行平板54の一方の面には、中央部を除いた全面にCr(クロム)等の金属を蒸着して遮光部55が形成されており、Cr(クロム)等の金属が蒸着されていない中央部が円形の光透過部56となっている。また、平凸レンズ52は
図5に示す平凸レンズ41と同様に、平坦部52aと所定の曲率を有する曲面部52bが形成された合成石英又は蛍石からなる光学レンズである。
【0069】
上板51は、遮光部55が形成された面を下側にしてウェハステージ15の上面15aに当接させて取り付けられている。また、平凸レンズ52は、平坦部52aを投影光学系PLに向けて上板51の遮光部55に当接させて(密接させて)取り付けられている。また、受光素子53は
図5に示す受光素子42と同様のものであり、受光面53aを平凸レンズ52の曲面部52bに向け、且つ受光面53aのほぼ中心が平凸レンズ53の光軸上
に配置されるようウェハステージ15に取り付けられる。
【0070】
尚、第2実施形態と同様に、上板51、平凸レンズ52、及び受光素子53を
図3に示すシャーシ30と同様のシャーシ内に取り付け、シャーシをウェハステージ15上に設けるようにしても良い。かかる構成の場合には、シャーシ上に遮光部55を当接させて上板51が取り付けられ、シャーシの上面がウェハステージ15の上面15aと一致するようにシャーシがウェハステージ15に取り付けられる。上板51は、ウェハステージ15の上面又はシャーシの上面との間において、シール材等によって防水対策が施されている。
【0071】
かかる構成の照度むらセンサ50において、上板51は液体wが照度むらセンサ30内に浸入するのを防止する役目を果たす。本実施形態の照度むらセンサ50を用いても、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとウェハステージ15の上面15aとの間に液体wを供給した状態で照明むら等の計測を行うことができる。
【0072】
投影光学系PLとウェハステージ15の上面15aとの間に液体wが供給されている状態において、投影光学系PLに入射した露光光は、投影光学系PLの先端部において全反射されずに投影光学系PLを通過して液体wに入射する。上板51に設けられる平行平板54の屈折率は液体wの屈折率と同程度又は液体wの屈折率よりも高いため、液体をw介した露光光は上板51に入射し、上板51に形成された光透過部56からの光が平凸レンズ52に入射する。平凸レンズ52に入射した露光光は、平凸レンズ52に形成された曲面部52bによって集光されて受光面53aに導かれ、受光素子53で受光される。
【0073】
尚、本実施形態においては、平凸レンズ52の平坦部52aを上板51の遮光部55が形成された面に当接させているため、気体中を通過せずに平凸レンズ52で光透過部56からの光を受光素子53に導くことができる。また、
図7において、平行平板54の一方の面に形成された遮光部(膜)の厚みのために、光透過部56において平行平板54の下面と平凸レンズ52の上面との間に空間が形成されてしまう場合には、その光透過部56の空間に気体以外の媒質であって光透過性の媒質、例えば、液体、超臨界流体、ペースト、固体を光透過部と集光部材との間に、例えば薄膜状に介在させても良い。或いは、露光光を透過する接着剤を、平行平板54と平凸レンズ52との接合に使用して、その接着剤を光透過部56の空間に介在させてることもできる。この場合、光透過部56に介在する物質の露光光に対する屈折率は、平凸レンズ52及び平行平板54の屈折率と同程度であることが望ましい。更に、平凸レンズ52に代えて
図8に示す平凸レンズ57を設けても良い。
図8は、本発明の第3実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサが備える平凸レンズの他の例を示す斜視図である。
図8に示す平凸レンズ57は、
図7に示す平凸レンズ52と同様に平坦部57a及び曲面部57bが形成されているが、平坦部57aが全面に亘って平坦ではなく、上部が平坦な凸部58が平坦部57aの中央付近に形成されている点が異なる。
【0074】
この凸部58の高さは、上板51に形成された遮光部55の厚みとほぼ同じに設定され、その径は上板51に形成された光透過部56の径とほぼ同じに設定される。かかる構成の平凸レンズ57の平坦部57aを上板51の遮光部55が形成された面に当接させると、凸部58が上板51に形成された光透過部56に嵌合する。これによって、上板51の平行平板54に入射した露光光のうちの光透過部56に入射する露光光は、凸部58の上面から平凸レンズ57に入射して光透過部56を通過する。尚、
図8において、凸部58は、平凸レンズ57と一体的に形成されているが、別々に形成してもよい。また、凸部58と平凸レンズ57とを異なる物質で形成するようにしてもよい。この場合、凸部58を形成する物質は、露光光を透過できる物質であって、平行平板54の材料及び平凸レンズ57の材料の露光光に対する屈折率と同程度であることが望ましい。また、本実施形態に
おいては、平行平板54の底面側に遮光部55を形成して平凸レンズ52(57)を当接させる構成であるが、平凸レンズ52(57)の平坦部52a(57a)に遮光部55を
形成して平行平板54を当接させても良い。
【0075】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態による露光装置について説明する。上述した第2,第3実施形態と同様に、本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態においても主として露光光センサ27に設けられる照度むらセンサについて説明する。
図9は、本発明の第4実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサの概略構成を示す断面図である。
図9に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照度むらセンサ60は、平行平板61、平凸レンズ62、及び受光素子63を含んで構成される。
【0076】
平行平板61は、真空紫外域のArFエキシマレーザ光源の光に対して高い透過率を有する合成石英又は蛍石からなり、
図3に示すシャーシ30に形成されたピンホール31を覆うようにシャーシ30の上面33に取り付けられている。この平行平板61は、投影光学系PLの像面側に供給される液体wがピンホール31を介して照度むらセンサ60内に浸入しないよう、シャーシ30の上面33との間においてシール材等によって防水対策が施されている。
【0077】
平凸レンズ62は、その径がピンホール31の径と同程度又は僅かに小さく設定された合成石英又は蛍石からなる光学レンズである。この平凸レンズ62は、平坦部が平行平板61に張り合わされてピンホール31の内部に配置される。また、受光素子63は
図5に示す受光素子42と同様のものであり、受光面63aを平凸レンズ62の曲面部に向け、且つ受光面63aのほぼ中心が平凸レンズ62の光軸上に配置されるようシャーシ30内部に取り付けられる。尚、受光素子42の受光面63aの面積は入射する露光光の光束の幅に応じて適宜変更しても良い。
【0078】
本実施形態の照度むらセンサ60においても、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wを供給した状態で照明むら等の計測を行うことができる。投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wが供給されている状態において、投影光学系PLに入射した露光光は、投影光学系PLの先端部において全反射されずに投影光学系PLを通過して液体wに入射する。
【0079】
平行平板61及び平凸レンズ62の屈折率は液体wの屈折率と同程度又は液体wの屈折率よりも高いため、液体をw介して平行平板61に入射した露光光のうちピンホール31に向かう露光光は、平凸レンズ62に入射して集光され、受光面63aに導かれて受光素子63で受光される。このように、本実施形態においても、投影光学系PLから液体wに入射した露光光が平凸レンズ62から射出されるまでは気体中を通過しない。このため、大きな入射角を有する露光光がピンホール31に入射しても、全反射されることなく平凸レンズ62内に取り込むことができ、更には受光素子63で受光することができる。尚、平凸レンズ62の周囲からの液体wの浸入が防止できる場合には、平行平板61はなくても良い。
【0080】
また、
図9に示す例では、平凸レンズ62をピンホール31内に配置し、シャーシ30上に取り付けられた平行平板61に貼り付けるようにしていた。しかしながら、平凸レンズ62の径はピンホール31と同程度の十数〜数十μm程度であるため、平凸レンズ62の取り扱いが困難なことがある。かかる場合には、平行平板61上に平凸レンズ62と同様の凸レンズを一体的に形成し、この凸レンズがピンホール31内に配置されるよう平行
平板61をシャーシ30上に取り付けるのが好適である。尚、シャーシ30の上板の厚さが極めて薄い場合には、シャーシ30の下面に大きな平凸レンズを配置しても良い。この場合も、
図7(a)と同様に、ピンホール31からの光を受光素子に集めることができる。
【0081】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態による露光装置について説明する。上述した第2〜第4実施形態と同様に、本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態においても主として露光光センサ27に設けられる照度むらセンサについて説明する。
図10は、本発明の第5実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサの概略構成を示す断面図である。
図10に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照度むらセンサ70は、平凸レンズ71及び受光素子72を含んで構成される。
【0082】
平凸レンズ71は、真空紫外域のArFエキシマレーザ光源の光に対して高い透過率を有する合成石英又は蛍石からなり、その径は
図3に示すシャーシ30に形成されたピンホール31の径よりも大に設定されている。この平凸レンズ71はピンホール31の形成位置において平坦部71aがシャーシ30の内側に張り合わされている。これにより、ピンホール31が平凸レンズ71によってふさがれた状態になり、ピンホール31を介した液体wの照度むらセンサ70内への浸入を防止することができる。尚、平凸レンズ71をシャーシ30の内側に張り合わせるときに、シール材等によって防水対策することが好ましい。
【0083】
また、受光素子72は
図5に示す受光素子42と同様のものであり、受光面72aを平凸レンズ72の曲面部71bに向け、且つ受光面72aのほぼ中心が平凸レンズ71の光軸上に配置されるようシャーシ30内部に取り付けられる。本実施形態の照度むらセンサ70においても、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wを供給した状態で照明むら等の計測を行うことができる。
【0084】
投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wが供給されている状態において、投影光学系PLに入射した露光光は、投影光学系PLの先端部において全反射されずに投影光学系PLを通過して液体wに入射する。平凸レンズ71の屈折率は液体wの屈折率と同程度又は液体wの屈折率よりも高いため、液体wに入射した露光光のうち、ピンホール31に入射した露光光は、平凸レンズ71に入射して集光され、受光面72aに導かれて受光素子72で受光される。
【0085】
このように、本実施形態においては、投影光学系PLから液体wに入射した露光光のうち、ピンホール31を通過した露光光は気体中を通過せずに直接屈折率の高い平凸レンズ71に入射する。このため、大きな入射角を有する露光光がピンホール31に入射しても、全反射されることなく平凸レンズ71内に取り込むことができ、更には受光素子72で受光することができる。
【0086】
尚、本実施形態では、第2実施形態と同様に、ピンホール31の存在によって液体wの流れが乱され、更には渦流の発生により液体wが沸騰して液体w内に気泡が生ずる可能性が考えられる。これらを防止するために、平凸レンズ71として
図8に示す平凸レンズ57を用い、平坦部57aに形成された凸部58がピンホール31に嵌合するよう平凸レンズ57をシャーシ30の内側に貼り付けることができる。或いは、ピンホール31に、露光光を透過する物質を介在させてもよい。
【0087】
以上説明した第2〜第5実施形態においては平凸レンズ41,45,52,57,62,71と受光素子42、53,63,72とを離間させて配置した場合を例に挙げて説明したが、酸素等による露光光の吸収を極力避けるために、平凸レンズ41,45,52,57,62,71と受光素子42、53,63,72とを接触させても良い。また、上記実施形態では、集光部材として平凸レンズ41,45,52,57,62,71を例に挙げて説明したが、これ以外にDOE(回折光学素子)、小レンズアレイ、フレネルレンズ、反射ミラー等を用いることができる。
【0088】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態による露光装置について説明する。本実施形態の露光装置も全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態の露光装置が備える露光光センサ27は、上述した第2〜第5実施形態と同様に、投影光学系PLの像面側の液体wを介して計測動作を行うものである。但し、本実施形態においては、主として露光光センサ27に設けられる照射量センサについて説明する。
【0089】
図11は、本発明の第6実施形態による露光装置に設けられる照射量センサの概略構成を示す図である。
図11(a)に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照射量センサ80は、集光板81及び受光素子82を含んで構成される。集光板81は、真空紫外域のArFエキシマレーザ光源の光に対して高い透過率を有する合成石英又は蛍石からなり、
図11(a),(b)に示す通り、その一面(液体wと接触しない面)81aにマイクロレンズアレイ83が形成されている。
【0090】
マイクロレンズアレイ83は、例えば直交する2方向に配列された円形状の正屈折力を有する多数の微小レンズからなる光学素子である。尚、
図11に示すマイクロレンズアレイ83はあくまでも例示であり、微小レンズの形状は円形状に限らず正方形状であってもよく、その配列は直交する2方向への配列に限らず稠密配列であっても良い。マイクロレンズアレイ83は、例えば平行平面ガラス板の一面にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。
【0091】
集光板81は、マイクロレンズアレイ83が形成された面81aと対向する平坦な面81bを投影光学系PL側(+Z方向)に向けて、且つ面81bが
図3に示すシャーシ30の上面33と一致するように、シャーシ30に形成された開口32内に設けられている。尚、本実施形態では
図3に示すNDフィルタ34は設けられていない。尚、マイクロレンズアレイ83をNDフィルタ34に貼り付けた構成、又はマイクロレンズアレイ83と受光素子82との間にNDフィルタを設けた構成としても良い。集光板81とシャーシ30との間は、投影光学系PLの像面側に供給される液体wがシャーシ30内に浸入しないようシール材等によって防水対策が施されている。
【0092】
また、受光素子82は受光面82aを集光板81に向け、且つ受光面82aのほぼ中心が集光板81の中央部のほぼ中心の真下(−Z方向)に位置するよう配置されている。この受光素子82は、集光板81で集光された光束の多くが受光面82aで受光されるよう、集光板81に近接して取り付けられている。尚、受光素子82の受光面82aには、ArFレーザ光に対するARコートが施されている。
【0093】
本実施形態の照射量センサ80を用いて露光領域に照射される露光光の光量を計測する場合には、第1実施形態の照射量センサ37での計測とは異なり、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wを供給した状態で行うことができる。投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wが供給されている状態において、投
影光学系PLに入射した露光光は、投影光学系PLの先端部において最外の光線も全反射されずに投影光学系PLを通過して液体wに入射する。
【0094】
集光板81の屈折率は液体wの屈折率と同程度又は液体wの屈折率よりも高いため、液体wに入射した露光光は集光板81に入射する。露光光の波面は集光板81の面81aに形成されたマイクロレンズアレイ83をなす多数の微小レンズにより二次元的に分割されるとともに微小レンズの屈折作用によって集束され、その後で分割された波面の各々は受光素子82の受光面82aに入射して受光される。
【0095】
このように、本実施形態においても、投影光学系PLから液体wに入射した露光光が集光板81から射出されるまでは気体中を通過しない。このため、大きな入射角を有する露光光が集光板81に入射しても全反射されることなく集光板81内に取り込むことができで受光素子82で受光することができる。また、照射量センサは、開口32の面積が大きいため、前述した第2、第3、第5実施形態で説明した平凸レンズ41,52,71のような単レンズを開口32に設けて入射した光を集光する構成にすると、照射量センサが大型化してしまい、
図1に示すウェハステージ15に搭載する上で不具合が生ずる。本実施形態では、このような単レンズを用いずにマイクロレンズアレイ83を用いることで、照射量センサ80を小型・軽量にすることができる。
【0096】
尚、以上の説明では、集光板81の一面81aにマイクロレンズアレイ83が形成されている場合について説明したが、両面(面81a,81b)にマイクロアレイレンズが形成されている集光板を用いても良い。また、マイクロレンズアレイに代えてフライアイレンズを用いることもできる。また、集光板81の一面81aにのみマイクロレンズアレイ83が形成されている場合には、
図12に示す通り、集光板81の投影光学系PLに向く面81bに、マイクロレンズアレイ83をなす多数の微小レンズ各々に対応させて開口84を形成したものを用いても良い。
図12は、マイクロレンズアレイに対する開口が形成された集光板の構成例を示す斜視図である。
【0097】
図12に示す開口84は、例えば面81bの全面にCr(クロム)等の金属を蒸着し、微小レンズの各々に対応する箇所をエッチングすることで形成される。開口84は、各々の微小レンズに入射する光束の量を制限する絞りの働きをするため、NDフィルタと同様の機能を持たせることができる。本実施形態では、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定しているため、集光板81及び受光素子82の保護の観点から、開口84を形成するのが望ましい。尚、本実施形態では露光光センサ27に設けられる照射量センサ80について説明したが、例えば
図5に示す平凸レンズ41に替えてマイクロレンズアレイが形成された集光板を用いることで照度むらセンサに適用することも可能である。
【0098】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態による露光装置について説明する。本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態の露光装置が備える露光光センサ27は、上述した第2〜第5実施形態と同様に、投影光学系PLの像面側の液体wを介して計測動作を行うものである。但し、本実施形態においては、主として露光光センサ27に設けられる照射量センサについて説明する。
【0099】
図13は、本発明の第7実施形態による露光装置に設けられる照射量センサの概略構成を示す図である。
図13に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照射量センサ85は、拡散板86及び受光素子87を含んで構成され、拡散板86がシャーシ30に形成された開口32内に設けられている。拡散板86は合成石英又は蛍石から構成され、微細
な凹凸が形成された面86aと平坦な面86bとを有し、面86bを投影光学系PL側(+Z方向)に向けて、且つ面86bが
図3に示すシャーシ30の上面33と一致するよう開口32内に設けられている。尚、拡散板86とシャーシ30との間はシール材等によって防水対策が施されている。受光素子87は、受光面87aを拡散板86に向け、且つ受光面87aのほぼ中心が拡散板86の中央部のほぼ中心の真下(−Z方向)に位置するよう配置されている。また、受光素子87は受光面87aを拡散板86に近接させた状態に配置されている。この受光素子87の受光面87aにはArFレーザ光に対するARコートが施されている。
【0100】
本実施形態の照射量センサ85を用いて露光領域に照射される露光光の光量を計測する場合には、第6実施形態と同様に、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wを供給した状態で行う。この状態において、投影光学系PLに露光光が入射すると、露光光は投影光学系PLの先端部において最外の光線も全反射されずに投影光学系PLを通過して液体wに入射し、更には屈折率が液体wと同程度又は液体wよりも高い拡散板86に入射する。拡散板86に入射した露光光は、拡散板86から射出される際に微細な凹凸が形成された面86aで拡散され、その後に受光素子87の受光面87aに入射して受光される。
【0101】
このように、本実施形態においても、投影光学系PLから液体wに入射した露光光は拡散板86から射出されるまでは気体中を通過していないため、大きな入射角を有する露光光が拡散板86に入射しても全反射されることはない。また、露光光が拡散板86から射出されるときに拡散される。これらにより、大きな入射角を有する露光光をより多く受光素子87で受光することができる。また、第6実施形態と同様に、照射量センサ85の小型化を図ることができる。
【0102】
尚、以上の説明では、一面86aのみに微細な凹凸が形成された拡散板86を用いる場合を例に挙げて説明したが、両面(86a,86b)に微細な凹凸が形成された拡散板86を用いても良い。また、上記の拡散板86に代えて入射した露光光を回折作用により回折させて受光素子に入射させるDOE(回折光学素子)が形成された回折板を用いてもよい。ここで、DOEは、入射角が小さな光束に対しては回折角が小さく、入射角が大きな光束に対しては回折が大きくなるよう設計するのが望ましい。回折板を用いる場合には、DOEが片面のみに形成されたものを用いても良く、両面に形成されたものを用いても良い。また、上述の拡散板及び回折板は、照度むらセンサに適用することもできる。
【0103】
〔第8実施形態〕
次に、本発明の第8実施形態による露光装置について説明する。本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態の露光装置が備える露光光センサ27は、上述した第2〜第5実施形態と同様に、投影光学系PLの像面側の液体wを介して計測動作を行うものである。但し、本実施形態においては、主として露光光センサ27に設けられる照射量センサについて説明する。
【0104】
図14は、本発明の第8実施形態による露光装置に設けられる照射量センサの概略構成を示す図である。
図14に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照射量センサ90は、蛍光板91及び受光素子92を含んで構成される。蛍光板91は上面を一致させてシャーシ30に形成された開口32内に設けられており、入射する露光光によって励起され、露光光とは異なる波長の蛍光又は燐光を発するものである。つまり、蛍光板91は、真空紫外域の波長を有する露光光を、例えば可視領域の光に波長変換するものである。蛍光板91は、例えば、露光光を吸収してそれよりも長波長の蛍光又は燐光を発する有機色
素材を含有する光透過板や、有機色素を表面にコーティングした光透過板を用いることができる。この場合、受光素子は蛍光波長の感度に応じて適宜選択することができる。
【0105】
尚、蛍光板91とシャーシ30との間はシール材等によって防水対策が施されている。受光素子92は、露光光の波長とは異なる波長領域(例えば、可視領域)を受光する特性を有している。この受光素子92は、受光面92aのほぼ中心が蛍光板91の中央部のほぼ中心の真下(−Z方向)に位置し、且つ蛍光板91に近接した位置に配置されている。受光素子92の受光面92aには蛍光及び燐光を含む可視領域の光に対するARコートが施されている。
【0106】
本実施形態の照射量センサ90を用いて露光領域に照射される露光光の光量を計測する場合には、第6,第7実施形態と同様に、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wを供給した状態で行う。露光光の光量を計測する前に、予め蛍光板91に入射する光量と、蛍光板91から波長変換されて射出される光の光量との関係を求めておく。
【0107】
照明光学系ISの照明条件が露光時の照明条件に設定されている状態において、投影光学系PLに露光光が入射すると、露光光は投影光学系PLの先端部において全反射されずに投影光学系PLを通過して液体wを介して蛍光板91に入射する。露光光が蛍光板91に入射すると、その光量の一部又は全部が蛍光板91によって吸収され、吸収した光量に応じた光量を有する蛍光又は燐光が発せられる。この蛍光又は燐光は、露光光の波長とは異なる波長を有し、露光光の入射角に依存しない方向に蛍光板91から射出され、その後に受光素子92の受光面92aに入射して受光される。
【0108】
このように、本実施形態においても、投影光学系PLから液体wに入射した露光光は蛍光板91から射出されるまでは気体中を通過していないため、大きな入射角を有する露光光が蛍光板91に入射しても全反射されることはない。また、入射角の大きな露光光が入射しても、その露光光は異なる波長を有する蛍光又は燐光に変換されて入射角とは異なる方向にも射出されるため、受光素子92での受光が容易になる。また、第6,第7実施形態と同様に、照射量センサ90の小型化を図ることができる。
【0109】
尚、蛍光板91に入射した露光光の全てが異なる波長の蛍光又は燐光に変換されない場合には、露光光の一部が蛍光板91を透過して受光素子92に入射する。上述した通り、受光素子92の受光特性は、露光光とは異なる波長領域の光を受光する特性であるため、露光光が受光素子92に入射してもさほど問題はない。しかしながら、蛍光板91を透過した露光光が受光素子92に入射することによって、例えば発熱等による計測誤差が生ずる場合には、蛍光板91と受光素子92との間に、蛍光板91で生じた蛍光又は燐光が含まれる波長領域の光は透過させ、露光光が含まれる波長領域の光は遮光するフィルタを設けるのが好ましい。
【0110】
〔第9実施形態〕
次に、本発明の第9実施形態による露光装置について説明する。本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態の露光装置が備える露光光センサ27は、上述した第2〜第5実施形態と同様に、投影光学系PLの像面側の液体wを介して計測動作を行うものであって、主に露光光センサ27に設けられる照度むらセンサについて説明する。
【0111】
図15は、本発明の第9実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサの概略構成を示す図である。
図15(a)に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照度む
らセンサ100は、導波部材101と受光素子102とを含んで構成される。導波部材101は、
図3に示すシャーシ30に形成されたピンホール31の径よりも大きな径を有する円柱状であり、その中心軸とピンホール31の中心位置とをほぼ一致させて、ピンホール31の下方(−Z方向)に一端101aを当接させた状態で配置されている。
【0112】
この導波部材101は、合成石英又は蛍石から構成されており、一端101aから内部に入射した露光光を外周(空気との境界)で全反射させつつ導波して他端101bから射出するものである。導波部材101として、例えばオプティカルインテグレータの一種であるロッドインテグレータ又は光ファイバを用いることができる。尚、導波部材101がシャーシ30に当接する部分は、シール材等によって防水対策が施されている。受光素子102は露光光を含む波長領域の光を受光する特性を有し、その受光面102aを導波部材101の他端101bに当接させた状態で配置されている。受光素子102の受光面102aにはArFレーザ光に対するARコートが施されている。
【0113】
ここで、受光素子102aの受光面102aを導波部材101の他端101bに当接させるのは、他端101bから射出される射出角の大きな露光光を受光素子102の受光面102aに入射させて受光するためである。つまり、導波部材101の他端101bからは種々の角度を有する露光光が射出されるため、導波部材101の他端101bと受光素子102の受光面102aとが離間している状態では、拡がりながら射出された露光光の全てを受光面102aに入射させることができず、特に射出角の大きな露光光を受光することができないからである。
【0114】
本実施形態の照度むらセンサ100を用いて露光領域に照射される露光光の光量を計測する場合には、第6〜第8実施形態と同様に、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wを供給した状態で行う。この状態において、投影光学系PLに露光光が入射すると、露光光は投影光学系PLの先端部において全反射されずに投影光学系PLを通過して液体w及びピンホール31を介して一端101aから導波部材101内に入射する。導波部材101に入射した露光光は導波部材101の外周で反射しながら導波部材101内を進行し、導波部材101の他端101bに当接した状態で配置されている受光素子で102で受光される。
【0115】
このように、本実施形態においては、投影光学系PLから液体wに入射し、ピンホール31を通過した露光光は気体中を通過せずに導波部材101に入射する。このため、大きな入射角を有する露光光を含め露光領域に照射された露光光の多くを受光することができる。尚、以上の説明では、導波部材101と空気との屈折率差を利用して露光光を外周で全反射させつつ導波する場合について説明したが、外周に対する露光光の入射角が小さいと露光光が外周から外部に射出されてしまうことがある。このため、導波部材101の外周にCr(クロム)等の金属を蒸着することが望ましい。
【0116】
また、照度むらセンサ100の構成上、導波部材101と受光部材102とを離間させて配置せざるを得ない場合も考えられる。かかる場合には、
図15(b)に示す通り、他端101bの形状を曲面形状(レンズ形状)として導波部材101内を進行した露光光の射出角を極力小さくすることが望ましい。更に、上記実施形態では円柱状の導波部材101について説明したが、その形状は四角柱、その他の形状のものを用いることができる。
【0117】
〔第10実施形態〕
次に、本発明の第10実施形態による露光装置について説明する。本実施形態の露光装置の全体構成は
図1に示す露光装置とほぼ同様の構成であるが、露光光センサ27の構成が相違する。尚、本実施形態の露光装置が備える露光光センサ27は、上述した第2〜第
5実施形態と同様に、投影光学系PLの像面側の液体wを介して計測動作を行うものであって、主に露光光センサ27に設けられる照度むらセンサについて説明する。
【0118】
図16は、本発明の第10実施形態による露光装置に設けられる照度むらセンサの概略構成を示す図である。
図16に示す通り、本実施形態の露光装置に設けられる照度むらセンサ110は、オプティカルインテグレータの一種である積分球111と受光素子112とを含んで構成される。積分球111は、合成石英又は蛍石から構成されており、その一部を平坦に切り欠いて入射部111a及び射出部111bが形成されている。
【0119】
入射部111aは、その径が
図3に示すシャーシ30に形成されたピンホール31の径よりも大きな径に設定されている。積分球111は、入射部111aの中心位置とピンホール31の中心位置とをほぼ一致させて、ピンホール31の周囲部と入射部111aの外周部とを当接させた状態でピンホール31の下方(−Z方向)に配置されている。尚、入射部111aがシャーシ30に当接する部分は、シール材等によって防水対策が施されている。
【0120】
射出部111bは入射部111aに対して所定の位置に所定の大きさの径に形成される。射出部111bの形成位置は、例えば入射部111aの中心を通り入射部111aに垂直な直線と、射出部111bの中心を通り射出部111bに垂直な直線とが直交する位置である。また、
図16に示す例では、射出部111bには、射出角が大きな露光光を反射して受光素子112に導くためのガイド部111cが設けられている。
【0121】
受光素子112は露光光を含む波長領域の光を受光する特性を有し、その受光面112aを射出部111bに向けた状態で配置されている。受光素子112の受光面112aにはArFレーザ光に対するARコートが施されている。尚、ここでは、積分球111の射出部111bにガイド部111cを設けて積分球111と受光素子112とを離間して配置した構成について説明するが、ガイド部111cを省略して受光素子112の受光面112aを積分球111の射出部111bに当接させた構成であっても良い。
【0122】
本実施形態の照度むらセンサ110を用いて露光領域に照射される露光光の光量を計測する場合には、前述した第6〜第9実施形態と同様に、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLとシャーシ30の上面33との間に液体wを供給した状態で行う。この状態において、投影光学系PLに露光光が入射すると、露光光は投影光学系PLの先端部において全反射されずに投影光学系PLを通過して液体w及びピンホール31を介して気体中を通過することなく入射端111aから積分球111内に入射する。積分球111に入射した露光光は積分球111の外周で多重反射し、最終的には射出端111bから射出される。射出端111bから射出された露光光のうち射出角の小さなものは直接受光面112aに入射し、射出角が大きなものはガイド部111cで反射された後に受光面112に入射して受光される。
【0123】
このように、本実施形態においても、投影光学系PLから液体wに入射し、ピンホール31を通過した露光光は、気体中を通過せずに積分球111に入射する。このため、大きな入射角を有する露光光が入射端111aに入射しても全反射されることなく、最終的に受光素子112で受光することができる。尚、前述した第9実施形態と同様に、入射部11a及び射出部111bを除いた積分球111全体にCr(クロム)等の金属を蒸着することが望ましい。
【0124】
〔その他の実施形態〕
また、上記第2〜第5実施形態では、露光光を集光する集光部材として1つの平凸レンズ41,45,52,57,62,71を備える場合を例に挙げて説明し、上記第6〜第
10実施形態では露光光を受光素子に入射させるための光学系として、集光板81、拡散板86、蛍光板91、導波部材101、及び積分球111を含む構成について説明した。しかしながら、平凸レンズ41,45,52,57,62,71と受光素子との間、並びに、集光板81、拡散板86、蛍光板91、導波部材101、及び積分球111と受光素子との間に複数のレンズを設けて露光光等を受光素子に導く構成が望ましい。
【0125】
図17は、第2実施形態による露光装置が備える照度むらセンサ40の変形例を示す図である。
図17に示す例では、平凸レンズ41からの露光光、特に入射角の大きな露光光をより簡単に平行光に変換するために、平凸レンズ41と受光素子42との間に2つのレンズ121,122が設けられている。平凸レンズ41と受光素子42との間にレンズ121,122を設けることによって平行光に変換された露光光を受光素子42に導いている。このようなレンズを第3〜第10実施形態にも用いることができる。尚、レンズの数は任意の数でよい。
【0126】
また、上述した第2〜第10実施形態においては、照明光学系ISの照明条件をウェハWに対する露光処理を行うときに設定される照明条件に設定し、投影光学系PLの像面側に液体wを供給した状態で照度むらを計測する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これらの実施形態においても第1実施形態と同様に、投影光学系PLの像面側に液体wが供給されていない状態で、極小σを有する開口絞り8eを第2フライアイレンズ7の射出面CJに配置して射出面CJにおける露光光の光束分布を調整することで、露光光の開き角の調整を行ってむらや光量等を計測することができる。
【0127】
また、
図1に示した露光装置においては、照度むらセンサと照射量モニタとを一つのシャーシ30内に設けているが、別々にウェハステージ15上に配置するようにしても良い。また、液体wの回収を容易とするために、露光光センサ27の液体と接触する面(上面)が撥水性になっている場合には、露光光(紫外線)の照射によって、その撥水性が劣化する虞がある。従って、液体wと接触する面が撥水性のセンサを使って計測を行う場合には、例えば特開2001−144044号に開示されているような複数のNDフィルタを備えたエネルギー(光量)調整器を使って、露光光の光量を最大光量の50%以下、望ましくは20%以下に減衰させるとよい。
【0128】
尚、上述の実施形態においては、照度むらや積算光量むらを計測するための照度むらセンサや、投影光学系PLの像面側に照射される露光光の光量(照射量)を計測するための照射量センサについて説明したが、本発明は、米国特許6,650,399に開示されている波面収差を計測するためのセンサや特開2002−14005号公報に開示されている結像特性等を計測するための空間像計測センサや特開平11−238680号公報や国際公開第02/063664号パンフレットに開示されているような基板ステージに対して着脱可能なセンサ等にも本発明は適用でき、投影光学系の開口数が大きい場合でも投影光学系を通過した露光光を受光でき、各種の計測を所望の精度で実行することができる。
【0129】
また、上記実施形態においては、光源1として、ArFエキシマレーザ光源を使用しているため、液体wとして純水を用いている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、ウェハW上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有率が極めて低いため、ウェハW表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。また、工場の純水はそのレベル(純水度)が低いことも考えられるので、その場合には露光装置自身が超純水化機構を持つようにしても良い。
【0130】
波長が193nm程度の露光光に対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われ
ており、露光光の光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、ウェハW上では1/n、即ち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、即ち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
【0131】
尚、液浸露光に用いる光源1としてKrFエキシマレーザ光源やF
2レーザ光源を用い
ることもできる。F
2レーザ光源を用いる場合、液浸露光用の液体としてはF
2レーザ光を透過可能な例えばフッ素系オイルや過フッ化ポリエーテル(PFPE)等のフッ素系の液体を用いればよい。また、その他にも、露光光に対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLやウェハW表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの終端光学部材の射出側の光路空間を液体(純水)で満たしてウェハWを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系の終端光学部材の入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。この場合、投影光学系PLが1.0以上の大きな開口数を有していても、終端光学部材として無屈折力の平行平板や屈折力の非常に小さいレンズを採用することができる。
【0132】
尚、液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.7になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像特性が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(ラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分)の回折光が多く射出されるようにするとよい。
【0133】
投影光学系と基板表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系と基板表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を超えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特に、ダイポール照明法)等を適宜組み合わせるとより効果的である。
【0134】
また、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
【0135】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLとウェハWとの間を局所的に液体で満たす液浸露光装置を採用しているが、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する液浸露光装置にも本発明を適用可能である。
【0136】
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報等に開示されているように、ウェハ等の被処理基板を別々に載置してXY方向に独立に移動可能な2つのステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。また、本発明は、特開平11−135400号に開示されているように、ウェハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の計測部材やセンサを備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。この場合、上述の各実施形態で説明した複数のセンサ(計測装置)のうちの少なくとも一部を計測ステージに搭載することができる。
【0137】
また更に、上記実施形態では露光光源1として、ArFエキシマレーザ光源の場合を例に挙げて説明したが、これ以外に露光光源1としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、F
2レーザ(波長157nm)、Kr
2レーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。
【0138】
更に、光源としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。
【0139】
また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちF
2レ
ーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0140】
また、上記実施形態では上記照明光学系IS内に設けられる光学素子の硝材、投影光学系PLを構成する屈折部材の硝材、平凸レンズ41,45,52,57,62,71等の硝材としては蛍石(フッ化カルシウム:CaF
2)を用いる場合を例に挙げて説明した。
しかしながら、これらは、露光光の波長に応じて、フッ化マグネシウム(MgF
2)等の
フッ化物結晶又はこれらの混晶、又フッ素や水素等の物質をドープした石英硝子等の真空紫外光を透過する光学材料から選択される。尚、所定の物質をドープした石英硝子は、露光光の波長が150nm程度より短くなると透過率が低下するため、波長が150nm程度以下の真空紫外光を露光光として用いる場合には、光学素子の光学材料としては、蛍石(フッ化カルシウム)、フッ化マグネシウム等のフッ化物結晶又はこれらの混晶が使用される。
【0141】
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置にも本発明を適用することができる。更に、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型
レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0142】
次に、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図18は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造工程の一例を示すフローチャートである。
図18に示すように、まず、ステップS20(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS21(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS22(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0143】
次に、ステップS23(ウェハ処理ステップ)において、ステップS20〜ステップS22で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS24(デバイス組立ステップ)において、ステップS23で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS24には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS25(検査ステップ)において、ステップS24で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0144】
図19は、半導体デバイスの場合における、
図18のステップS23の詳細なフローの一例を示す図である。
図19において、ステップS31(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS32(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS33(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS34(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS31〜ステップS34のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0145】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS35(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS36(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS37(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS38(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS39(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。