(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれ窒化物半導体を含んでなるn型半導体層、活性層及びp型半導体層を順に含む半導体構造と、前記p型半導体層の前記活性層が設けられた側と反対の側における一表面に部分的に形成されたp電極と、前記n型半導体層の前記活性層が設けられた側と反対の側における一表面において前記p電極と対向する領域を除く領域に形成されたn電極とを含み、410nm以下の発光ピーク波長を有する発光素子と、
前記n電極の表面と前記n型半導体層の表面とを連続して覆う保護膜とを備え、
前記保護膜は、第1金属を含む第1金属酸化物膜と第2金属を含む第2金属酸化物膜とが交互に積層されてなり、前記第1金属酸化物膜は1又は2以上の単一第1金属酸化物膜を含み、第2金属酸化物膜は1又は2以上の単一第2金属酸化物膜を含む発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について説明する。
実施形態1.
実施形態1の発光装置の製造方法は、p電極14がp型半導体層11の下面においてn電極17と対向する領域を除いた領域に設けられているという特有の電極構造を有している発光素子を含む発光装置の製造方法において、水分透過率の低い保護膜を形成する方法を含む。具体的には、窒化物半導体を含む半導体構造10aを有し、上記特有の電極構造を有する発光素子1を準備する工程と、発光素子1の表面に保護膜18を形成する工程と、を備える。保護膜18を形成する工程は、酸素を含む酸素原料ガスを用いて、発光素子1の表面に酸素を結合させるA工程CS1と、第1金属を含む第1金属原料ガスを用いて、発光素子の表面に結合した酸素に第1金属を結合させるB工程CS2と、酸素を含む酸素原料ガスを用いて、酸素に結合された第1金属に酸素を結合させるC工程CS3と、第1金属とは異なる第2金属を含む第2金属原料ガスを用いて、第1金属に結合された酸素に第2金属を結合させるD工程CS4と、第2金属に酸素を結合させるE工程CS5と、を含む。
【0011】
これにより、半導体構造10aの劣化を低減できる発光装置を製造することができる。この点について、以下に詳細に説明する。
【0012】
近年、窒化物半導体発光素子の性能の向上により、高出力化が進んでいる。つまり、発光素子から高強度の発光が得られるようになっている。このとき、窒化物半導体を含む半導体構造に水分が侵入すると、水分と光とにより半導体構造が劣化する現象が生じる。
図9に劣化の現象の様子を図示しているが、この現象は電極の近傍における半導体構造13xにおいて顕著に起こる。つまり、電極の近傍では高い電流密度により高い光密度となるので、その光と水分とによって半導体構造が分解し、酸化して腐食することが原因であると考えられる。特に、発光波長が410nm以下であり、
図3〜
図5に示す、p電極14がp型半導体層11の下面においてn電極17と対向する領域を除く領域に設けられる電極構造を有する発光素子においては、n電極17の端部近傍でより高い電流密度となり、かつより高い光密度になることにより腐食が進む。これに対して、本願発明者らは、原子層堆積法により形成した保護膜は膜質が良く水分透過率の低い保護膜であると考え、1種類の金属酸化物膜の保護膜で発光素子及びその周辺を覆うことにより解決を図ったがそれによる効果は限定的であった。また、保護膜の膜厚を大きくして水分の透過を抑制することを試みたものの、同様に効果は限定的であった。このことは、p電極14とn電極17とが対向しないように構成した特有の電極構造を有している発光素子1を含む実施形態1の発光装置に対しては、単に原子層堆積法により形成した1種類の金属酸化物の保護膜を用いただけでは十分ではないことを意味する。
【0013】
そこで、本願発明者らは、原子層堆積法によって少なくとも2種類の金属酸化物膜を堆積して保護膜18を形成した。これにより、ある金属酸化物膜に生じる欠陥を、他の金属酸化物膜における欠陥がない部分で覆うことができるので、水分の透過率が小さい膜質の高い保護膜18とすることができるものと考えられる。さらに、所定の効果を得る際に、1種類の金属酸化物膜を堆積する場合に比較して、保護膜全体の膜厚を小さくすることができるため、保護膜18での発光素子1からの光の吸収を低減することができ、発光装置としての光取り出し効率の低下を抑制しやすくなる。
【0014】
以下、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法について詳細に説明する。
実施形態1の発光装置は、
図1及び
図2に示すように、発光素子1と、発光素子1が載置される基体3と、蓋体5とを含む。ここで、実施形態1の発光装置では、発光素子1と蓋体5との間には、透光性樹脂等が設けられておらず、気体が存在する。このように構成して、発光素子1の表面に発光ピーク波長が410nm以下の高エネルギーの光の照射により着色したり劣化する透光性樹脂を設けることなく、発光素子1を蓋体5で保護している。これにより、長時間の使用による発光波長の変化及び発光ムラの発生を抑制できる。また、発光素子1は、
図4及び
図5に示すように、n型半導体層13の上面の一部に設けられたn電極17と、p型半導体層11の下面においてn電極17と対向する領域を除いた領域全体に設けられたp電極14とを備えている。これにより、発光ピーク波長を410nm以下に設定した場合であっても、発光効率及び光の取り出し効率を高くできる。この点につき詳述する。p電極とn電極とを対向するように配置すると、p電極とn電極とが対向する部分での発光強度が高くなる。しかしながら、発光ピーク波長が410nm以下の短波長の可視光及び紫外光は、電極を構成する金属による吸収が大きい。したがって、p電極とn電極とが対向する部分で発光する光の多くがn電極を構成する金属により吸収されてしまい、光の取り出し効率が低下し、結果的に全体としての発光効率が低くなる。そこで、発光素子1では、p電極14とn電極17とが対向しないように配置している。尚、p電極14は、p側接続電極22と電気的に接続されている。
そして、実施形態1の発光装置では、少なくとも発光素子1を覆うように保護膜18が形成されており、保護膜18は、詳細後述するように、それぞれ原子層堆積法により形成された第1金属酸化物膜と第2金属酸化物膜とが堆積された膜である。本実施形態の発光装置では、保護膜18が、2種類以上の金属酸化物膜を含み、それぞれ原子層堆積法によって形成されていることから、半導体構造10aの劣化が低減可能な発光装置とできる。尚、
図3ではn電極17の形状を説明しやすくするためにワイヤ9を省略しているが、
図1、
図2、及び
図5に示すように各n側接続電極部17aにワイヤ9が接続されている。
以下、実施形態1の発光装置について、基体3及び発光素子1を含む発光装置の全体構成を説明した後、保護膜18について詳細に説明する。
【0015】
(基体3)
基体3は、例えば、凹部30を有しており、その凹部30は、中央部に第1底面を備え、第1底面の周りに第2底面を備えている。本実施形態においては、第2底面は、第1底面より高くなっている。凹部30の第1底面には、p側の電極層31が設けられ、第2底面にはn側の電極層33が設けられている。なお、第1底面と第2底面とは高さが異なっていればよく、例えば、第2底面を第1底面よりも低くしてもよい。
【0016】
(発光素子1)
発光素子1は、例えば、短波長の可視光又は紫外線を発光する発光ダイオードであり、発光素子構造部10と支持基板20とを含む。具体的には、発光素子1は、n型半導体層13、活性層12及びp型半導体層11を順に含む半導体構造10aと、p型半導体層11の活性層12が設けられた側と反対の側における一表面に部分的に形成され、支持基板20と半導体構造10aの間に位置するp電極14と、n型半導体層13の前記活性層12が設けられた側と反対の側における一表面においてp電極14と対向する領域を除く領域(以下、「電極形成領域」ともいう。)に形成されたn電極17とを有する。ここで、本明細書において、対向する領域とは、n電極17の上方から平面視したときに重なる領域をいう。また、電極形成領域に設けられたn電極17という場合には、必ずしも電極形成領域全体にn電極17が設けられていることを意味するものではなく、電極形成領域全体にn電極17が設けられている場合と、電極形成領域の外周から離れた内側にn電極17が設けられている場合を含む。例えば、n電極17の外周が電極形成領域の外周から所定の距離だけ離れるように、電極形成領域の外周の内側にn電極17を形成するようにしてもよい。n電極17の外周と電極形成領域の外周との離間距離を、n電極17の端部近傍のn型半導体層13における電流の集中の緩和及び発光効率を考慮して最適化することにより、n電極17の端部近傍でのn型半導体層13の腐食の進行を抑制でき、かつ発光効率の高い発光素子とできる。また、本明細書において、紫外線とは、400nm以下の光をいう。発光素子1のピーク波長は、例えば、410nm以下に設定され、発光素子1には、400nmより大きく410nm以下の短波長の可視光を発光する発光ダイオードが含まれる。また、発光素子1のピーク波長の下限は、好ましくは200nm以上、より好ましくは250nm以上とし、発光素子1のピーク波長の上限は、上述したように、好ましくは410nm以下、より好ましくは395nm以下とする。短波長の可視光及び紫外線は光エネルギーが高く、半導体構造の劣化が生じやすい傾向にあるため、本実施形態に係る発光装置の製造方法によって作製される発光装置において、半導体構造10aの劣化を低減する効果がより顕著となる。
以上のように、実施形態1の発光装置において、発光素子構造部10は、支持基板側からp型半導体層11と活性層12とn型半導体層13とを含む半導体構造10aを有し、n型半導体層13の上面には、
図3に示すような形状のn電極17が設けられ、p型半導体層11の下面には、n電極17に対向しないようにp電極14が設けられている。
【0017】
p型半導体層11、活性層12及びn型半導体層13は、窒化物半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN,0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を用いて構成することができ、紫外線を発光する発光素子とする場合は、p型半導体層11、活性層12及びn型半導体層13をそれぞれ、例えば、Alを含む窒化物半導体により構成する。
【0018】
n電極17及びp電極14は、p型半導体層11の抵抗率がn型半導体層13の抵抗率より高いことを考慮して、活性層12全体に偏り無く電流が供給されるように、形状及び面積比率が設定されている。
【0019】
n電極17は、
図3に示すように、一辺に平行な直線L1上に等間隔に設けられた複数(
図3では4個)のn側接続電極部17aと、直線L1に平行な中心線L3に対して線対称の直線L2上に等間隔に設けられた複数(
図3では4個)のn側接続電極部17aと、それらのn側接続電極部17aからそれぞれ延びる延伸部17bとを含む。本実施形態では、各n側接続電極部17aから4本の延伸部17bが延びており、4本の延伸部17bのうちの2本は直線L1と直線L2間の領域に延びており、他の2本は逆方向、すなわち直線L1及び直線L2の外側に延びている。直線L1と直線L2間の領域に延びた複数の延伸部17bは、略平行でかつ等間隔に配置される。また、直線L1及び直線L2の外側に延びた複数の延伸部17bは隣接するn側接続電極部17aから延びる延伸部17bと接続され、全体として複数の円弧部を含む形状になっている。
以上のように構成されたn電極17によれば、複数のn側接続電極部17aから供給される電子がn型半導体層13の全体に拡がり、活性層12全体に注入される。
【0020】
さらに、本実施形態では、p型半導体層11の抵抗率がn型半導体層13の抵抗率より高いことを考慮して、n電極17全体の面積に比較して、p電極14の面積が大きくなっており、p電極14は、p型半導体層11の下面において、好ましくは、n電極17と対向する領域を除いた領域全体に設けられる。これにより活性層12全体に偏り無く電流が供給される。また、p型半導体層11の下面において、n電極17と対向する領域(p電極14が形成されていない領域)には、p側保護膜15が形成される。
【0021】
支持基板20は、発光素子構造部10を支持するためのものであり、Si,SiC,AlN、AlSiC等のセラミック基板、Cu−W、Cu−Mo等の金属基板、Cu−ダイヤ等の金属とセラミックの積層基板等を用いることができる。好ましくは、安価でチップ化のしやすいSi又はCu−Wを用いる。
支持基板20は、発光素子構造部10の下面に形成されたメタライズ層16と支持基板20の上面に形成されたメタライズ層21を介して接合される。
さらに、支持基板20の下面には、メタライズ層22(以下、「p側接続電極22」ともいう。)が設けられている。メタライズ層22は、支持基板20、メタライズ層21及びメタライズ層16を介してp電極14と接続されている。
【0022】
(蓋体5)
発光装置において、蓋体5は、基体3の凹部30を覆って発光素子1を保護するものである。蓋体5は、例えば、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、サファイアガラス等の無機材料からなり、好ましくは、耐光性の高いホウ珪酸ガラスからなる。
【0023】
(発光装置の全体構成)
以上のように構成された発光素子1が、基体3の第1底面に形成されたp側の電極層31にp側接続電極22が接続されるように第1底面に実装される。また、発光素子1の上面のn側接続電極部17aが、基体3の第2底面に形成されたn側の電極層33にワイヤ9により接続される。そして、少なくとも発光素子1を覆うように、保護膜18が形成される。尚、発光装置は、
図1及び
図2に示すように、ツェナーダイオードなどの保護素子7を含んでいてもよい。
【0024】
保護膜18.
以下、実施形態1の発光装置の保護膜18について詳細に説明する。
実施形態1の発光装置において、保護膜18は、
図6に示すように、原子層堆積法によって種類の異なる2種類の金属酸化物膜を堆積した膜である。ここで特に、実施形態1の保護膜18は、厚さ方向に最小単位の厚さに形成された第1金属酸化物膜18aと厚さ方向に最小単位の厚さに形成された第2金属酸化物膜18bとが交互に堆積された膜である。本明細書において、厚さ方向に最小単位の厚さに形成された金属酸化物膜とは酸素原料ガスを用いた1回の工程と金属原料ガスを用いた1回の工程により得られるものをいい、金属酸化物膜には、略均一の厚さに形成された膜の他、点在する開口部を含む膜、分離された複数の膜からなる膜、が含まれる。以下では厚さ方向に最小単位の厚さに形成された金属酸化物膜を「単一金属酸化物膜」ともいう。また、特に、第1金属を用いた単一金属酸化物膜を「単一第1金属酸化物膜」とし、第2金属を用いた単一金属酸化物膜を「単一第2金属酸化物膜」とする。
【0025】
実施形態1の保護膜18において、第1金属は、例えば、Al,Nb,Ti及びSiから選択することができ、第2金属は、Al,Nb,Ti及びSiからなる群から選択された他の1つとすることができる。好ましくは、第1金属と第2金属の一方を、Alとし、他方をSiとする。これにより、良好な膜質であり、且つ、透光性に優れた保護膜18とすることができる。
【0026】
実施形態1の保護膜18は、n電極17の表面から半導体構造10aの表面に連続して形成されているのが好ましい。つまり、保護膜18は、n電極17の表面とn型半導体層13の表面とを連続して覆うことが好ましい。電極の近傍では光密度が高くなり、特に劣化が生じやすいため、半導体構造10aの劣化抑制の効果が顕著となる。
【0027】
以下、実施形態1の発光装置の製造方法について説明する。
実施形態1の発光装置の製造方法は、発光素子1の準備工程と実装工程と保護膜形成工程とを含む。
【0028】
[発光素子1の準備工程]
発光素子1の準備工程は、例えば、半導体構造形成工程と、p電極形成工程と、p側保護膜形成工程と、接合層形成工程と、貼り合わせ工程と、n電極形成工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
【0029】
<半導体構造形成工程>
半導体構造形成工程では、例えば、サファイアからなる成長基板の表面に、所定の半導体材料及びドーパント等を含むガスを供給して、n型半導体層13、活性層12及びp型半導体層11の順に成長させて半導体構造10aを形成する。
【0030】
<p電極形成工程>
p電極形成工程では、p型半導体層11の活性層12が設けられた側と反対の側における一表面に所定の形状のp電極14を形成する。例えば、p型半導体層11の表面の一部に、Ag、Ni、Ti、Ptを順に成膜することによりp電極14を形成する。以下、p型半導体層11の表面において、p電極14が形成された領域を第1領域という。また、p型半導体層11の表面において、第1領域を除いた領域を第2領域という。n型半導体層13の表面において、p電極14が形成された第1領域に対向する領域を除いた領域を、電極形成領域という。つまり、n型半導体層13の表面において、第2領域に対向する領域を電極形成領域という。
【0031】
<p側保護膜形成工程>
p側保護膜形成工程では、p型半導体層11の表面の第2領域にp側保護膜15を形成する。p側保護膜15は、例えば、SiO
2を成膜することにより形成する。なお、p電極形成工程の前にp側保護膜形成工程を行ってもよい。
【0032】
<接合層形成工程>
接合層形成工程では、p電極14及びp側保護膜15の表面にメタライズ層16を形成し、支持基板20の一方の面にメタライズ層21を形成する。メタライズ層16は、p電極14及びp側保護膜15側から、例えば、Ti、Pt、Auを順に成膜することにより形成する。メタライズ層21は、支持基板20側から、例えば、Ti、Pt、Auを順に成膜することにより形成する。
【0033】
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程では、メタライズ層16とメタライズ層21とを接合することにより、成長基板により支持された半導体構造10aと支持基板20とを貼り合わせる。
【0034】
<成長基板剥離工程>
成長基板剥離工程では、例えば、パルス発振の高密度UVレーザ光を成長基板側から照射して、半導体構造10aを成長基板から剥離する。
【0035】
<n電極形成工程>
n電極形成工程では、n型半導体層13の表面の電極形成領域に、n電極17を形成する。n型半導体層13側から、例えば、Ti、Pt、Au、Pt、Tiを順に成膜することによりn電極17を形成する。
ここで、実施形態の製造方法では、n電極17を形成する前に、n型半導体層13を薄くしてもよい。
このようにすると、活性層12で発光した光がn型半導体層13により吸収されることを抑えることができ、取り出し効率を高くすることができる。
【0036】
[実装工程]
発光素子1を、基体3の第1底面に、p側の電極層31とp側接続電極22が接続されるように実装する。
次に、半導体構造10aの上面のn側接続電極部17aと基体3の第2底面に形成されたn側の電極層33とをワイヤ9により接続(ワイヤボンディング)する。
【0037】
[保護膜形成工程]
実施形態1において、保護膜18は、
図7に示す工程フローにしたがって作製される。
まず、原子層堆積装置の真空チャンバー内に、発光素子1が実装された基体3をセットする。
【0038】
(ステップCS1)
真空チャンバー内が所定の真空度になるように排気し、発光素子1及び基体3を所定の成膜温度に加熱する。成膜温度は、好ましくは150℃以上300℃以下、より好ましくは200℃以上250℃以下の範囲に設定する。前述の下限値以上とすることで保護膜18のバリア性を向上させることができるとともに発光素子1に付着している有機物等を除去することができ、前述の上限値以下とすることで発光素子1の熱による劣化を低減することができる。
そして、真空チャンバー内に、酸素を含む酸素原料ガスを導入して、発光素子の表面、ワイヤ9の表面、基体3の凹部全体に酸素を結合させる(A工程)。
発光素子1の表面等に酸素を結合させた後、酸素原料ガスを排気する。
ここで、酸素を含む酸素原料ガスとして、O
3(オゾン)ガスを用いることができる。原料としてガスを用いることで、プラズマを用いる場合に比較して、発光素子1の表面、ワイヤ9の表面、及び基体3の凹部全体に酸素を結合しやすくなる。
尚、本ステップでは、H
2Oを用いて、発光素子1の表面等にOH基を結合させてもよい。
【0039】
(ステップCS2)
次に、真空チャンバー内に、第1金属を含む第1金属原料ガスを導入し、発光素子1の表面等に結合した酸素と第1金属原料ガスとを反応させて、発光素子1の表面等に結合した酸素に第1金属を結合させる(B工程)。
発光素子1の表面等に結合した酸素に第1金属を結合させた後、第1金属原料ガスを排気する。
【0040】
(ステップCS3)
真空チャンバー内に、酸素を含む酸素原料ガスを導入して、酸素に結合した第1金属と酸素原料ガスとを反応させて、酸素に結合した第1金属に酸素を結合させる(C工程)。
本ステップにおいて、第1金属原料ガスとしてSiの原料ガスを用いる場合は、酸素を含む酸素原料ガスとして、好ましくはO
3(オゾン)ガスを用いる。SiはH
2Oと反応しにくいため、O
3(オゾン)ガスを用いることでSiとの反応性を良くすることができるためである。尚、第1金属の材料によってはH
2Oを用いて、第1金属にOH基を結合させてもよい。
第1金属に酸素を結合させた後、酸素原料ガスを排気する。
【0041】
以上のステップCS1〜ステップCS3を経て、厚さ方向に最小単位の厚さに堆積された第1金属酸化物膜(単一第1金属酸化物膜)が形成される。
【0042】
(ステップCS4)
単一第1金属酸化物膜を形成した後、第1金属とは異なる第2金属を含む第2金属原料ガスを用いて、第1金属に結合した酸素と第2金属原料ガスとを反応させて、第1金属に結合した酸素に第2金属を結合させる(D工程)。
酸素に第2金属を結合させた後、第2金属原料ガスを排気する。
【0043】
(ステップCS5)
次に、酸素に結合した第2金属に酸素を結合させる(E工程)。
本ステップにおいて、真空チャンバー内に、酸素を含む酸素原料ガスを導入して、酸素に結合した第2金属に結合させる。第2金属原料ガスとしてSiの原料ガスを用いる場合は、酸素を含む酸素原料ガスとして、好ましくはO
3(オゾン)ガスを用いる。第2金属の材料によってはH
2Oを用いて、第2金属にOH基を結合させてもよい。
尚、本ステップでは、真空チャンバー内を大気圧雰囲気とすることで、酸素に結合した第2金属と大気に含まれる酸素とを反応させて、酸素に結合した第2金属に酸素を結合させてもよい。
以上のステップCS4とステップCS5とにより、厚さ方向に最小単位の厚さに堆積された第2金属酸化物膜(単一第2金属酸化物膜)が形成される。
以上のステップCS1〜CS5により、1つの単一第1金属酸化物膜の上に、1つの単一第2金属酸化物膜が堆積された単一金属酸化物膜の多重構造が形成される。
【0044】
1つの単一第1金属酸化物膜の上に、1つの単一第2金属酸化物膜が堆積された膜を保護膜18とする場合は、ステップJS11(設定サイクルは1)を経て終了する。
また、実施形態1では、単一第1金属酸化物膜と単一第2金属酸化物膜を交互に所定の数だけ堆積して保護膜18を形成するようにしてもよい。その場合は、ステップJS11を経て、ステップS8で、第1金属を含む第1金属原料ガスを用いて、ステップCS5において第2金属に結合された酸素に第1金属を結合させる(F工程)。そして、ステップS8、ステップCS3、ステップCS4、及びステップCS5を1サイクルとしてnサイクル(ただし、nは1以上の整数)繰り返す(G工程)。そして、ステップJS11で設定サイクルと判断されれば終了する。以上により、単一第1金属酸化物膜と単一第2金属酸化物膜が交互に所定の数だけ堆積された保護膜18が形成される。
【0045】
以上のステップにおいて、第1金属としては、例えば、Al,Nb,Ti、Si等を用いることができ、第2金属としては、前述の金属のうち第1金属とは異なる金属を用いることができる。第1金属原料ガス及び第2金属原料ガスとしては、Alの原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMA)、Nbの原料ガスとしてトリス(ジエチルアミド)(tert-ブチルイミド)ニオブ(V)、Tiの原料ガスとしてテトラキス(ジメチルアミド)チタン、Siの原料ガスとして、トリス(ジメチルアミノ)シランガス又はビス(ジエチルアミノ)シランガスが挙げられる。
【0046】
後述する比較例1及び比較例2から、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを用いて形成した膜よりもビス(ジエチルアミノ)シランガスを用いて形成した膜の方が半導体構造10aの劣化を低減できてきたことが確認されている。これは、トリス(ジメチルアミノ)シランガスは3価であるのに対してビス(ジエチルアミノ)シランガスは2価であるため、酸素にSi原料ガスが結合する際に、隣接するSi原料の分子間の距離を短くすることができ、その結果として緻密な膜とすることができるためと考えられる。したがって、第1金属原料ガスおよび第2金属原料ガスとしては、ビス(ジエチルアミノ)シランガスなどの比較的価数が小さいものが好ましいと考えられる。
【0047】
発光素子からの光に対する透過率および得られる膜質などを考慮すると、第1金属原料ガス及び第2金属原料ガスとしては、第1金属原料ガスとしてトリメチルアルミニウムを用い、第2金属原料ガスとしてビス(ジエチルアミノ)シランガスを用いるのが好ましい。
【0048】
以上の
図7の工程フローを用いた説明では、発光素子1等の表面に最初に第1金属酸化物膜を形成して、最後に第2金属酸化物膜を形成して終了するようになっており、保護膜18は同じ数の単一第1金属酸化物膜と単一第2金属酸化物膜とが堆積された構造となっている。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、発光素子1等の表面に最初に第1金属酸化物膜を形成して、最後に第1金属酸化物膜を形成して終了するようにしてもよい。
【0049】
[蓋体固定工程]
基体3の凹部を塞ぐように蓋体5を固定する。蓋体5は、例えば、シリコーン樹脂等の接着剤を用いて、基体3の上面に固定される。接着剤は、基体3の上面にいて凹部を取り囲むように配置されていてもよいが、本実施形態では、基体3の4隅に配置されている。
【0050】
以上のように構成された実施形態1の発光装置は、半導体構造10aを介して対向しないように設けられたp電極14とn電極17とを含む発光素子1を含んでいるが、単一第1金属酸化物膜の上に単一第2金属酸化物膜が堆積された保護膜18を少なくとも発光素子1の表面に備えているので、半導体構造10aの劣化を効果的に抑制することができる。これは、単一第1金属酸化物膜に生じる欠陥を、単一第2金属酸化物膜における欠陥がない部分で覆うことができるので、水分の透過率が小さい膜質の高い保護膜18とすることができるためであると考えられる。また、2種類の金属酸化物膜を用いることで保護膜全体として膜厚を小さくすることができるため、保護膜18での発光素子1からの光の吸収を抑制することができる。1種類の金属酸化物膜を厚く堆積することで半導体構造10aの劣化はある程度抑制できるものの保護膜全体の膜厚が大きくなるため発光素子1からの光の吸収が大きくなってしまう。これに対して、本実施形態によれば、保護膜全体の膜厚を小さくしても半導体構造10aの劣化を低減することができるため、保護膜18で光の吸収を抑えることができ、発光装置としての光取り出し効率の低下を抑制しやすくなる。
【0051】
実施形態2.
次に、本発明に係る実施形態2の発光装置について説明する。
実施形態2の発光装置は、保護膜18の構成が異なる他は、実施形態1と同様に構成される。
【0052】
実施形態2の保護膜18.
以下、実施形態2の発光装置の保護膜18について詳細に説明する。
実施形態2に係る発光装置の保護膜18は、原子層堆積法によって種類の異なる2種類の金属酸化物膜を堆積した膜である点では実施形態1と同様であるが以下の点で異なっている。
すなわち、実施形態2の保護膜18は、厚さ方向に最小単位の厚さに堆積された単一第1金属酸化物膜が2回以上堆積された多重第1金属酸化物膜と、厚さ方向に最小単位の厚さに堆積された単一第2金属酸化物膜が2回以上堆積された多重第2金属酸化物膜とが堆積された多層膜である。つまり、本実施形態では、第1金属酸化物膜が複数回堆積されて多重第1金属酸化物膜18aが形成されており、第2金属酸化物膜が複数回堆積されることで多重第2金属酸化物膜18bが形成されている(
図6参照)。なお、
図6は実施形態1の保護膜18を説明するものであるが、第1金属酸化物膜と第2金属酸化物膜が交互に堆積されるという点では実施形態2にも当てはまる。したがって、実施形態2においても、
図6を用いて保護膜18を説明することができる。
【0053】
実施形態2の保護膜18において、実施形態1と同様、第1金属は、例えば、Al,Nb,Ti及びSiから選択することができ、第2金属は、前述の金属のうち第1金属とは異なる金属を選択することができる。好ましくは、第1金属と第2金属の一方を、Alとし、他方をSiとする。
以下、実施形態2の保護膜18の製造方法について説明する。
【0054】
実施形態2における保護膜18の製造方法
実施形態2において、保護膜18は、
図8に示す工程フローにしたがって作製される。
(前工程)
実施形態1と同様にして、発光素子1を実装し、ワイヤボンディングする。
そして、原子層堆積装置の真空チャンバー内に、発光素子1が実装された基体3をセットする。
【0055】
最初に、実施形態1と同様のステップCS1及びステップCS2を実施し、その後、以下に説明するステップRS1及びステップRS2をmサイクル(ただし、mは1以上の整数)繰り返す。
【0056】
(ステップRS1)
ここでは、真空チャンバー内に酸素を含む酸素原料ガスを導入して、酸素に結合した第1金属と酸素原料ガスとを反応させて、酸素に結合した第1金属に酸素を結合させる。
本ステップにおいて、酸素を含む酸素原料ガスとして、好ましくはO
3(オゾン)ガスを用いることができる。尚、用いる金属材料によってはH
2Oを用いて、第1金属にOH基を結合させてもよい。
第1金属に酸素を結合させた後、酸素原料ガスを排気する。
【0057】
(ステップRS2)
ここでは、真空チャンバー内に第1金属を含む第1金属原料ガスを導入して、第1金属に結合した酸素と第1金属原料ガスとを反応させて、第1金属に結合した酸素に第1金属を結合させる。
酸素に第1金属を結合させた後、第1金属原料ガスを排気する。
【0058】
ステップRS1及びステップRS2をmサイクルだけ繰り返したら、ステップJS21を経て、実施形態1と同様のステップCS3及びステップCS4を実施し、その後、以下に説明するステップRS3及びステップRS4をpサイクル(ただし、pは1以上の整数)繰り返す。
【0059】
(ステップRS3)
ここでは、真空チャンバー内に酸素を含む酸素原料ガスを導入して、酸素に結合した第2金属と酸素原料ガスとを反応させて、酸素に結合した第2金属に酸素を結合させる。
本ステップにおいて、酸素を含む酸素原料ガスとして、O
3(オゾン)ガスを用いることが好ましいが、金属材料によっては、H
2Oを用いて、第2金属にOH基を結合させてもよい。
第2金属に酸素を結合させた後、酸素原料ガスを排気する。
【0060】
(ステップRS4)
ここでは、真空チャンバー内に第2金属を含む第2金属原料ガスを導入して、第2金属に結合した酸素と第2金属原料ガスとを反応させて、第2金属に結合した酸素に第2金属を結合させる。
第2金属に酸素を結合させた後、第2金属原料ガスを排気する。
【0061】
ステップRS3及びステップRS4をpサイクルだけ繰り返したら、ステップJS22を経て、実施形態1と同様のステップCS5を実施する。そして、設定サイクルに達するまで、ステップJS23及びステップRS5を経て、ステップRS1〜ステップCS5を繰り返す。
ここで、ステップRS5では、真空チャンバー内に第1金属を含む第1金属原料ガスを導入して、ステップCS5にて第2金属に結合した酸素と第1金属原料ガスとを反応させて、第2金属に結合した酸素に第1金属を結合させる。
【0062】
以上のような工程を経て、実施形態2に係る多重第1金属酸化物膜と多重第2金属酸化物膜とを交互に堆積した保護膜18は、形成される。
【0063】
以上のステップにおいて、第1金属としては、例えば、Al,Nb,Ti、Si等を用いることができ、第2金属としては、前述の金属のうち第1金属とは異なる金属を用いることができる。第1金属原料ガス及び第2金属原料ガスとしては、Alの原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMA)、Nbの原料ガスとしてトリス(ジエチルアミド)(tert-ブチルイミド)ニオブ(V)、Tiの原料ガスとしてテトラキス(ジメチルアミド)チタン、Siの原料ガスとして、トリス(ジメチルアミノ)シランガス、又は、ビス(ジエチルアミノ)シランガスが挙げられる。
【0064】
以上の
図8の工程フローを用いた説明では、発光素子等の表面に最初に多重第1金属酸化物膜を形成して、最後に多重第2金属酸化物膜を形成して終了するようになっており、保護膜18は同じ数の多重第1金属酸化物膜と多重第2金属酸化物膜とが堆積された構造となっている。しかしながら、本実施形態は、これに限定されるものではなく、発光素子1等の表面に最初に多重第1金属酸化物膜を形成して、最後に多重第1金属酸化物膜を形成して終了するようにしてもよい。
【0065】
以上のように構成された実施形態2の発光装置は、多重第1金属酸化物膜と多重第2金属酸化物膜が堆積された保護膜18を少なくとも発光素子1の表面に備えているので、半導体構造10aの劣化を効果的に抑制することができる。これは、多重第1金属酸化物膜に生じる欠陥を、多重第2金属酸化物膜における欠陥がない部分で覆うことができるので、水分の透過率が小さい膜質の高い保護膜18とすることができるためであると考えられる。また、2種類の金属酸化物膜を用いることで保護膜全体として膜厚を小さくすることができるため、保護膜18での発光素子1からの光の吸収を抑制することができ、発光装置としての光取り出し効率の低下を抑制しやすくなる。さらに、多重第1金属酸化物膜と多重第2金属酸化物膜が堆積された保護膜18は、各層の膜厚を制御しやすくなる。これにより、保護膜18を反射防止膜として機能させることができるため、半導体構造10aからの光の反射を防止させることができ、発光素子1からの光の取出しを向上させることができると考えられる。
【0066】
実施形態1及び2の変形例
上述した実施形態1では、単一第1金属酸化物膜と単一第2金属酸化物膜とを交互に堆積して保護膜18を形成し、実施形態2では、多重第1金属酸化物膜と多重第2金属酸化物膜とを堆積して保護膜18を形成している。
【0067】
しかしながら、保護膜18が第1金属酸化物膜と、第1金属と異なる第2金属酸化物膜と、が堆積されていれば本発明の範囲内とする。例えば、単一第1金属酸化物膜と多重第2金属酸化物膜とを交互に堆積した保護膜18を形成するようにしてもよい。
このような保護膜18は、実施形態2の
図8に示す工程フローにおいて、ステップCS2から、ステップRS1、ステップRS2、ステップJS21を経由することなくステップCS3を実施するようにすればよい。
また、単一第1金属酸化物膜、単一第2金属酸化物膜、多重第1金属酸化物膜、及び多重第2金属酸化物膜を組み合わせて保護膜18とすることもできる。
以上のようにしても、半導体構造10aの劣化を効果的に抑制することができる発光装置を提供することができる。
【0068】
以上の実施形態1、実施形態2及びその変形例では、発光素子1を、基体3の第1底面に実装し、n側接続電極部17aとn側の電極層33とをワイヤボンディングした後に、保護膜18を原子層堆積法によって形成している。
したがって、実施形態1、実施形態2及びその変形例の発光装置では、例えば、発光素子1と基体3の第1底面のように面方向が不連続に変化する角部においても、他の平面部と同様に、2種類の金属酸化物膜が所定の膜厚で堆積された保護膜18を形成することができる。また、ワイヤボンディング部においても、他の平面部と同様に、2種類の金属酸化物膜が堆積された保護膜18を形成することができる。
これにより、実施形態1、実施形態2及びその変形例の製造方法によれば、半導体構造10aの劣化を効果的に抑制することに加え、極めて信頼性の高い発光装置を製造することができる。
【実施例】
【0069】
実施例1.
実施例1では、
図1〜
図5に示す発光装置において、Al
2O
3とSiO
2とを交互に堆積することで保護膜18を形成した。尚、実施例1において、蓋体5は、基体3の4つの隅で基体3の上面に固定しており、気密構造にはしていない。
実施例1では、発光素子1の半導体構造10aとして、AlGaNであらわされる窒化物半導体からなる活性層を有し、発光ピーク波長が365nmの発光ダイオードを用いた。
実施例1において、保護膜18は、以下のようにして形成した。
【0070】
(1)原子層堆積装置の真空チャンバー内に基体3上に発光素子1を実装した成膜対象をセットし、1Paまで排気する。
(2)発光素子1及び基体3の温度を200℃まで上昇させる。
(3)オゾン(O
3)ガスを導入し、発光素子1及び基体3の表面に酸素を結合させて、オゾン(O
3)ガスを排気する。
(4)トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを導入して、発光素子1及び基体3の表面の酸素とトリメチルアルミニウム(TMA)とを反応(第1反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを排気する。
(5)オゾン(O
3)ガスを導入して、第1反応で酸素と結合したトリメチルアルミニウム(TMA)とオゾンとを反応(第2反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)のメチル基に代えてアルミニウムに酸素を結合させ、オゾン(O
3)ガスを排気する。
以上の(1)〜(5)により、厚さが1.2ÅのAl
2O
3を形成する。
【0071】
(6)(5)でオゾンガスを排気した後、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを導入して、アルミニウムに結合した酸素とトリス(ジメチルアミノ)シランとを反応(第3反応)させ、酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランを結合し、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを排気する。
(7)オゾンガスを導入して、第3反応で酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランとオゾンとを反応(第4反応)させ、トリス(ジメチルアミノ)シランのアミノ基に代えて酸素を結合させ、オゾンガスを排気する。
以上の(6)及び(7)により、Al
2O
3の上に、厚さが1.2ÅのSiO
2を形成する。
(8)(7)でオゾン(O
3)ガスを排気した後、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを導入して、Siに結合した酸素とトリメチルアルミニウム(TMA)とを反応させ、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを排気する。
【0072】
そして、(8)、(5)、(6)、(7)を1サイクルとして、繰り返すことにより、単一金属酸化物膜となるAl
2O
3と単一金属酸化物膜となるSiO
2とを交互に堆積した総膜厚が200Åの保護膜18を形成する。
【0073】
実施例2.
実施例2では、実施例1の発光装置において、多重第1金属酸化物膜であるAl
2O
3と、多重第2金属酸化物膜であるSiO
2とを交互に堆積することで保護膜18を形成した。
実施例2の発光装置の保護膜18以外の構成は、実施例1と同様にした。
実施例2において、保護膜18は、以下のようにして形成した。
【0074】
(1)原子層堆積装置の真空チャンバー内に基体3上に発光素子1を実装した成膜対象をセットし、1Paまで排気する。
(2)発光素子1及び基体3の温度を200℃まで上昇させる。
(3)オゾン(O
3)ガスを導入し、発光素子1及び基体3の表面に酸素を結合させて、オゾン(O
3)ガスを排気する。
(4)トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを導入して、発光素子1及び基体3の表面の酸素とトリメチルアルミニウム(TMA)とを反応(第1反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを排気する。
(5)オゾン(O
3)ガスを導入して、酸素と結合したトリメチルアルミニウム(TMA)とオゾンとを反応(第2反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)のメチル基に代えてアルミニウムに酸素を結合させ、オゾン(O
3)ガスを排気する。
(6)トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを導入して、(5)でアルミニウムに結合した酸素とトリメチルアルミニウム(TMA)とを反応(第3反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを排気する。
以下、(6)と(7)を繰り返す。
(7)オゾン(O
3)ガスを導入して、第3反応で酸素と結合したトリメチルアルミニウム(TMA)とオゾンとを反応させ、トリメチルアルミニウム(TMA)のメチル基に代えてアルミニウムに酸素を結合させ、オゾン(O
3)ガスを排気する。
以上の(1)〜(7)により、厚さが20ÅのAl
2O
3を形成する
【0075】
(8)20ÅのAl
2O
3を形成した後、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを導入して、アルミニウムに結合した酸素とトリス(ジメチルアミノ)シランとを反応(第4反応)させ、酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランを結合し、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを排気する。
(9)オゾンガスを導入して、第4反応で酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランとオゾンとを反応(第5反応)させ、トリス(ジメチルアミノ)シランのアミノ基に代えてSiに酸素を結合させ、オゾンガスを排気する。
(10)トリス(ジメチルアミノ)シランガスを導入して、Siに結合した酸素とトリス(ジメチルアミノ)シランとを反応させ、酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランを結合し、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを排気する。
以上の(9)及び(10)を繰り返す。
(11)オゾンガスを導入して、酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランとオゾンとを反応させ、トリス(ジメチルアミノ)シランのアミノ基に代えてSiに酸素を結合させ、オゾンガスを排気する。
以上の(8)〜(11)により、厚さが20ÅのSiO
2を形成する。
(12)トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを導入して、(11)でSiに結合した酸素とトリメチルアルミニウム(TMA)とを反応(第6反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを排気する。
以後、(12)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)を1サイクルとして繰り返すことにより、厚さが20ÅのAl
2O
3と厚さが20ÅのSiO
2とが交互に堆積された総膜厚200Åの保護膜18を形成した。
【0076】
比較例1.
比較例1では、実施例1の発光装置において、発光素子及び基体上に、原子層堆積法により、SiO
2を200Åの厚さで形成して保護膜とした以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
具体的には、
(1)原子層堆積装置の真空チャンバー内に基体3上に発光素子1を実装した成膜対象をセットし、1Paまで排気する。
(2)発光素子1及び基体3の温度を200℃まで上昇させる。
(3)オゾン(O
3)ガスを導入し、発光素子1及び基体3の表面に酸素を結合させて、オゾン(O
3)ガスを排気する。
(4)オゾンガスを排気した後、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを導入して、発光素子1及び基体3の表面に結合した酸素とトリス(ジメチルアミノ)シランとを反応させ、酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランを結合し、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを排気する。
(5)オゾンガスを導入して、第3反応で酸素と結合したトリス(ジメチルアミノ)シランとオゾンとを反応(第4反応)させ、トリス(ジメチルアミノ)シランのアミノ基に代えて酸素を結合させ、オゾンガスを排気する。
以後、(4)及び(5)を繰り返して、総膜厚200ÅのSiO
2を形成し、保護膜とする。
【0077】
比較例2.
比較例2では、実施例1の発光装置において、発光素子及び基体上に、原子層堆積法により、SiO
2を200Åの厚さで形成して保護膜とした以外は実施例1と同様にして発光装置を作製した。
具体的には、
(1)原子層堆積装置の真空チャンバー内に基体3上に発光素子1を実装した成膜対象をセットし、1Paまで排気する。
(2)発光素子1及び基体3の温度を200℃まで上昇させる。
(3)オゾン(O
3)ガスを導入し、発光素子1及び基体3の表面に酸素を結合させて、オゾン(O
3)ガスを排気する。
(4)オゾンガスを排気した後、ビス(ジエチルアミノ)シランガスを導入して、発光素子1及び基体3の表面に結合した酸素とビス(ジエチルアミノ)シランとを反応させ、酸素と結合したビス(ジエチルアミノ)シランを結合し、ビス(ジエチルアミノ)シランガスを排気する。
(5)オゾンガスを導入して、第3反応で酸素と結合したビス(ジエチルアミノ)シランとオゾンとを反応(第4反応)させ、ビス(ジエチルアミノ)シランのアミノ基に代えて酸素を結合させ、オゾンガスを排気する。
以後、(4)及び(5)を繰り返して、総膜厚200ÅのSiO
2を形成し、保護膜とする。
【0078】
比較例3.
比較例3では、実施例1の発光装置において、発光素子及び基体上に、原子層堆積法により、Al
2O
3膜を200Åの厚さに形成して保護膜とした以外は実施例1と実質的に同様にして発光装置を作製した。
具体的には、以下のようにして保護膜を形成した。
【0079】
(1)原子層堆積装置の真空チャンバー内に基体3上に発光素子1を実装した成膜対象をセットし、1Paまで排気する。
(2)発光素子1及び基体3の温度を100℃まで上昇させる。
(3)H
2Oガスを導入し、発光素子1及び基体3の表面に酸素を結合させて、H
2Oガスを排気する。
(4)トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを導入して、発光素子1及び基体3の表面の酸素とトリメチルアルミニウム(TMA)とを反応(第1反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを排気する。
(5)H
2Oガスを導入して、第1反応で酸素と結合したトリメチルアルミニウム(TMA)とH
2Oとを反応(第2反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)のメチル基に代えてアルミニウムに酸素を結合させ、H
2Oガスを排気する。
(6)トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを導入して、(5)でアルミニウムに結合した酸素とトリメチルアルミニウム(TMA)とを反応(第3反応)させ、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを排気する。
(7)H
2Oガスを導入して、第3反応で酸素と結合したトリメチルアルミニウム(TMA)とH
2Oとを反応させ、トリメチルアルミニウム(TMA)のメチル基に代えてアルミニウムに酸素を結合させ、H
2Oガスを排気する。
以下、(6)と(7)を繰り返して、総膜厚200Å厚のAl
2O
3を形成する。
【0080】
評価
以上のようにして作製した、実施例1の発光装置、実施例2の発光装置、比較例1の発光装置、比較例2の発光装置及び比較例3の発光装置を、以下の条件で高温高湿動作試験を行った。
試験条件
温度:60℃
湿度:90%RH
順方向電流:3500mA
【0081】
評価結果
以上の試験の結果、比較例1は、1000時間で20%の試験サンプルが劣化し、比較例2は、1700時間で20%の試験サンプルが劣化し、比較例3は、2000時間で20%の試験サンプルに劣化したのに対して、実施例1及び2は、3500時間の時点でも劣化の発生はなかった。なお、各実施例ではSiの原料ガスとしてトリス(ジメチルアミノ)シランガスを用いたが、トリス(ジメチルアミノ)シランガスを用いて形成したSiO
2(比較例1)とビス(ジエチルアミノ)シランガスで形成したSiO
2(比較例2)とを比較すると、後者の方が半導体構造10aの劣化の発生を低減できた。このことから、後者を用いればより半導体構造10aの劣化を低減させることができると考えられる。
【0082】
図9には、比較例1、2及び3で生じた劣化の様子を模式的に示している。
以上の結果から、発光装置において、保護膜18を原子層堆積法によって種類の異なる2種類の金属酸化物膜を堆積した膜とすることにより、半導体構造10aの劣化を低減できることが確認された。