(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
430nm以上に発光ピーク波長を有する窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子と、該発光素子が載置される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いる成形体と、を有する発光装置であって、
上記熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂に、(B)酸無水物と(C)酸化防止剤とを溶融混合して得られる固形物の粉砕物を樹脂成分として含有してなり、且つ、上記(A)成分に含まれるトリアジン誘導体エポキシ樹脂はトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート又はトリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレートであり、上記(A)成分は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂(A−1)と水素添加エポキシ樹脂(A−2)とを質量比で(A−1):(A−2)=8:2〜2:8の割合で含有すると共に、上記(A−1)及び(A−2)成分以外のエポキシ樹脂(A−3)の割合が(A)成分の全量の10質量%以下であり、上記(B)成分の酸無水物の配合量が、上記(A)成分のエポキシ樹脂1当量に対して、0.6〜2.0当量である発光装置。
上記成形体は、底面と側面を持つ凹部を有しており、上記凹部の底面は上記発光素子が載置されており、上記発光素子はトリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂又はケイ素含有樹脂を有する封止部材で封止されている請求項1〜15のいずれか1項記載の発光装置。
430nm以上に発光ピーク波長を有する窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子と、該発光素子が載置される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いる成形体と、を有する発光装置の製造方法であって、
上記熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を含有してなり、(A)成分に含まれるトリアジン誘導体エポキシ樹脂はトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート又はトリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレートであり、且つ、(A)成分は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂(A−1)と水素添加エポキシ樹脂(A−2)とを質量比で(A−1):(A−2)=8:2〜2:8の割合で含有すると共に、上記(A−1)及び(A−2)成分以外のエポキシ樹脂(A−3)の割合が(A)成分の全量の10質量%以下であるエポキシ樹脂であり、(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と(B)酸無水物とを、(C)酸化防止剤の存在下において、エポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させ、得られる反応固形物を粉砕し、該固形物の粉砕物に、(D)硬化触媒、(E)反射部材及び(F)無機充填剤を混合する第1の工程と、
金型内にリードを配置して上記第1の工程で得られる熱硬化性エポキシ樹脂組成物をトランスファ・モールド工程により成形する第2の工程と、
上記第2の工程で成形される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の上記リード上に発光素子を載置する第3の工程と
を有する発光装置の製造方法。
第1の工程において、(A),(B),(C)成分を、予め70〜120℃にて4〜20時間反応して、軟化点が50〜100℃である固形物とし、これを粉砕して配合する請求項17記載の発光装置の製造方法。
430nm以上に発光ピーク波長を有する窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子と、該発光素子が載置される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いる成形体と、を有する発光装置の製造方法であって、
上記熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を含有してなり、(A)成分に含まれるトリアジン誘導体エポキシ樹脂はトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート又はトリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレートであり、且つ、(A)成分は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂(A−1)と水素添加エポキシ樹脂(A−2)とを質量比で(A−1):(A−2)=8:2〜2:8の割合で含有すると共に、上記(A−1)及び(A−2)成分以外のエポキシ樹脂(A−3)の割合が(A)成分の全量の10質量%以下であるエポキシ樹脂であり、
(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂と(B)酸無水物とを、(C)酸化防止剤及び(D)硬化触媒の存在下において、エポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させ、得られる反応固形物を粉砕し、該固形物の粉砕物に、(E)反射部材及び(F)無機充填剤を混合する第1の工程と、
金型内にリードを配置して上記第1の工程で得られる熱硬化性エポキシ樹脂組成物をトランスファ・モールド工程により成形する第2の工程と、
上記第2の工程で成形される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の上記リード上に発光素子を載置する第3の工程と
を有する発光装置の製造方法。
第1の工程において、(A),(B),(C),(D)成分を、予め30〜80℃にて10〜72時間反応して、軟化点が50〜100℃である固形物とし、これを粉砕して配合する請求項20記載の発光装置の製造方法。
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒、(E)反射部材、(F)無機充填剤を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物にて形成される発光装置用成形体であって、上記熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を溶融混合して得られる固形物の粉砕物を樹脂成分として含有してなり、且つ、上記(A)成分に含まれるトリアジン誘導体エポキシ樹脂はトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート又はトリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレートであり、上記(A)成分は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂(A−1)と水素添加エポキシ樹脂(A−2)とを質量比で(A−1):(A−2)=8:2〜2:8の割合で含有すると共に、上記(A−1)及び(A−2)成分以外のエポキシ樹脂(A−3)の割合が(A)成分の全量の10質量%以下であり、上記(B)成分の酸無水物の配合量が、上記(A)成分のエポキシ樹脂1当量に対して、0.6〜2.0当量である発光装置用成形体。
【背景技術】
【0002】
発光素子を用いた表面実装型発光装置は、小型で電力効率が良く、鮮やかな色の発光をする。また、この発光素子は半導体素子であるため球切れなどの心配がない。更に初期駆動特性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強いという特徴を有する。このような優れた特性を有するため、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いる発光装置は、各種の光源として利用されている。近年、発光素子の高出力化が急速に進んでいる。
この表面実装型発光装置は、量産性の良さから一般に液晶ポリマー、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ナイロン等の熱可塑性樹脂を成形体に用いる場合が多い。
一方、発光素子を水分や埃等から保護するための封止部材は、エポキシ樹脂が使用されている(例えば、特許文献1:特許第3512732号公報、特許文献2:特開2001−234032号公報、特許文献3:特開2002−302533号公報参照)。
また、発光素子の高出力化に伴い、シリコーン樹脂が使用されている。
【0003】
しかしながら、従来の表面実装型発光装置の成形体に用いられる熱可塑性樹脂は耐熱性に優れるものの、分子内に芳香族成分を有するため耐光性に乏しい。また、分子末端に接着性を向上させる水酸基等を有しないため、リードや封止部材との密着性が乏しい。特にシリコーン樹脂を用いる封止部材は、エポキシ樹脂を用いる封止部材に比べ、熱可塑性樹脂を用いる成形体との密着性が大幅に低下するため、長期信頼性に乏しい。
エポキシ樹脂は封止部材として使用されているが、成形し難いこと等からリードフレームタイプの表面実装型の成形体としては使用されていない。
また、赤色を発光する発光素子よりも青色を発光する窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子の方が高出力であり、発熱量も大きい。そのため、青色に発光する発光素子を使用した場合に成形体の劣化が問題となってくる。
【0004】
また、特許第2656336号公報(特許文献4)には、封止樹脂が、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を構成成分とするBステージ状の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、上記構成成分が分子レベルで均一に混合されている樹脂組成物の硬化体で構成されていることを特徴とする光半導体装置が記載されており、この場合、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が主として用いられ、トリグリシジルイソシアネート等を使用し得ることも記載されているが、トリグリシジルイソシアネートは、実施例においてビスフェノール型エポキシ樹脂に少量添加使用されているもので、本発明者らの検討によれば、このBステージ状半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特に高温・長時間の放置で黄変するという問題がある。
【0005】
また、いずれにしてもこの特許第2656336号公報(特許文献4)には、
「上記光半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特にコンパクトデイスクの受光素子封止材料あるいは固体撮像素子であるラインセンサー,エリアセンサーの封止材料に好適に用いることができる。そして、このような光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用い、例えば固体撮像素子等の受光素子を樹脂封止してなる光半導体装置は、形成画像に、樹脂の光学むらに起因する縞模様や封止樹脂中の異物に起因する黒点が現れることのない高性能品であり、樹脂封止品でありながら、セラミックパッケージ品と同等かそれ以上の性能を発揮する。」
と記載されているように、その封止樹脂は受光素子に用いられるものであって、発光素子を封止するものではない。
【0006】
この場合、発光素子封止用エポキシ樹脂組成物におけるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の使用については、特開2000−196151号公報(特許文献5)、特開2003−224305号公報(特許文献6)、特開2005−306952号公報(特許文献7)に記載があるが、これらは、いずれもトリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とを反応させて得られた固形物を用いたものではない。
【0007】
なお、本発明に関連する公知文献としては、上記の公報に加えて、下記特許文献8,9及び非特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特許第3512732号公報
【特許文献2】特開2001−234032号公報
【特許文献3】特開2002−302533号公報
【特許文献4】特許第2656336号公報
【特許文献5】特開2000−196151号公報
【特許文献6】特開2003−224305号公報
【特許文献7】特開2005−306952号公報
【特許文献8】特開2005−259972号公報
【特許文献9】特開2006−156704号公報
【非特許文献1】エレクトロニクス実装技術2004.4の特集
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態は、430nm以上に発光ピーク波長を有する窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子と、該発光素子が載置される、トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いる成形体とを有する発光装置に関する。これにより窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子を使用した場合でも、耐熱性、耐光性に優れた発光装置を提供することができる。
【0013】
前記成形体は、(A)前記トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂に、更に(B)酸無水物、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒、(E)反射部材、(F)無機充填剤を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。前記成形体は、硬化性に優れ、耐熱性、耐光性に優れると共に、良好な強度を有する。
前記熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、(A)前記トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂に、更に(B)酸無水物、(C)酸化防止剤を溶融混合して得られる固形物の粉砕物を含有することが好ましい。これにより曲げ強度を高めることができる。
この場合、前記熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる固形物の粉砕物を樹脂成分として含有することが好ましく、またこの際、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物との反応を、酸化防止剤の存在下で行うようにすること、又は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物との反応を、硬化触媒又は硬化触媒と酸化防止剤との存在下で行うようにすることが好ましく、前記熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、更に(E)反射部材、(F)無機充填剤を含有することが好ましい。
前記成形体は、430nm以上の反射率が70%以上であることが好ましい。これにより発光素子からの放射効率の高い発光装置を提供することができる。
前記成形体は、底面と側面を持つ凹部を有しており、前記凹部の底面は前記発光素子が載置されており、前記発光素子はトリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂又はケイ素含有樹脂を有する封止部材で封止することが好ましい。成形体との密着性が大幅に向上するからである。
【0014】
本実施形態は、430nm以上に発光ピーク波長を有する発光素子と、該発光素子が載置される、トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と酸無水物と反射部材と硬化触媒とを必須成分とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いる成形体とを有する発光装置に関する。これにより耐熱性、耐光性に優れた発光装置を提供することができる。この場合も、前記熱硬化性エポキシ樹脂組成物に用いるトリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と酸無水物とが、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる固形物の粉砕物として配合されることが好ましく、この際、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物との反応を、酸化防止剤の存在下で行うようにすること、又はトリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物との反応を、硬化触媒又は硬化触媒と酸化防止剤との存在下で行うと共に、硬化触媒の配合を前記固形物の粉砕物として行うようにすることが好ましい。
【0015】
本実施形態は、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂及び(B)酸無水物、(C)酸化防止剤を溶融混合して得られる固形物の粉砕物に、(D)硬化触媒、(E)反射部材及び(E)無機充填剤を混合する第1の工程と、金型内にリードを配置して前記第1の工程で得られる熱硬化性エポキシ樹脂組成物をトランスファ・モールド工程により成形する第2の工程と、前記第2の工程で成形される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の前記リード上に発光素子を載置する第3の工程とを有する発光装置の製造方法に関する。これにより簡易に熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の成形体を用いる発光装置を提供することができる。
【0016】
また、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6〜2.0の割合で反応させて得られる固形物の粉砕物に、(D)硬化触媒、(E)反射部材及び(F)無機充填剤を混合する第1の工程と、
金型内にリードを配置して前記第1の工程で得られる熱硬化性エポキシ樹脂組成物をトランスファ・モールド工程により成形する第2の工程と、
前記第2の工程で成形される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の前記リード上に発光素子を載置する第3の工程と
を有する発光装置の製造方法を提供することができ、この場合、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物との反応を、酸化防止剤の存在下で行うようにすること、又はトリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物との反応を、硬化触媒又は硬化触媒と酸化防止剤との存在下で行うと共に、硬化触媒の配合を前記固形物の粉砕物として行うようにすることができる。
【0017】
本実施形態は、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒、(E)反射部材、(F)無機充填剤を含有し、前記(A),(B),(C)成分を溶融混合して得られる固形物の粉砕物として含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物にて形成される発光装置用成形体に関する。これにより耐熱性、耐光性に優れた成形体を提供することができる。
【0018】
本実施形態は、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒、を含有し、前記(A),(B),(C)成分を溶融混合して得られる固形物の粉砕物として含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物にて形成される発光装置用封止部材に関する。これにより耐熱性、耐光性に優れた封止部材を提供することができる。
なお、本発明において、フォトカプラーは包含されず、除外される。
【0019】
本実施形態に係る発光装置は、耐熱性、耐光性及び密着性に優れている。発光素子を載置する成形体は、硬化性に優れ、良好な強度を有すると共に、長期間にわたり耐熱性、耐光性及び密着性を保持する。封止部材は、更に均一でかつ色むら発生の少ない硬化物を与えるものである。
【0020】
以下、本発明に係る発光装置、成形体、及びそれらの製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。但し、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。実施の形態に係る表面実装型発光装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
図2は、同実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
図1は、
図2のI−Iの概略断面図である。
【0021】
発光装置100は、430nm以上に発光ピーク波長を有する窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10と、発光素子10を載置する成形体40とを有する。成形体40は(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒、(E)反射部材、(F)無機充填剤を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いることが好ましい。成形体40は第1のリード20と第2のリード30とを有している。成形体40は底面と側面を持つ凹部を有しており、凹部の底面に発光素子10を載置する。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極は第1のリード20及び第2のリード30とワイヤ60を介して電気的に接続している。発光素子10は封止部材50により封止している。封止部材50はトリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂又は軟質並びに硬質のシリコーン樹脂、硬質シリコーンレジン、エポキシ変性シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂の単独あるいは2種以上の組成物よりなるケイ素含有樹脂で封止することが好ましい。成形体40との密着性を高めることができるからである。但し、その他のエポキシ樹脂、ウレタン樹脂で封止することもできる。封止部材50は発光素子10からの波長を変換するための蛍光体70を含有している。また、金型等を使用して製造される、凹部を有する成形体40は高い反射率を有するため、成形体40の凹部の底面及び側面方向への光の透過を低減し、正面方向への光の放出を増大することができる。
【0022】
成形体40は、430nm以上に発光ピーク波長を有する発光素子10を用いて、430nm以上の反射効率が高い成形体40を用いている。そのため発光素子10から出射される光の大部分は成形体40に吸収されず、外部に放射されるため、発光素子10からの放射効率が高い。逆に、反射率が低い成形体40を使用した場合、発光素子10から出射される光の大部分が成形体40に吸収され、成形体40の劣化が促進される。
【0023】
(成形体)
成形体40として、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒、(E)反射部材、(F)無機充填剤を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いる。以下、各要素について説明する。
【0024】
(A)エポキシ樹脂
(A)成分であるエポキシ樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むものである。
(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂
トリアジン誘導体エポキシ樹脂は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の黄変を抑制し、かつ経過劣化の少ない半導体発光装置を実現する。かかるトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂であることが好ましい。特にイソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂は、耐光性や電気絶縁性に優れており、1つのイソシアヌレート環に対して、2価の、より好ましくは3価のエポキシ基を有することが望ましい。具体的には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート等を用いることができる。
トリアジン誘導体エポキシ樹脂の軟化点は90〜125℃であることが好ましい。なお、本発明において、このトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、トリアジン環を水素化したものは包含しない。
【0025】
(A−2)水素添加エポキシ樹脂
水素添加エポキシ樹脂(A−2)を上記トリアジン誘導体エポキシ樹脂と併用して用いることができる。水素添加エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂を水素化したエポキシ樹脂が好ましく、より好ましくは、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂である。
【0026】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は各々同一であっても異なってもよく、水素原子、メチル基又はシクロヘキシル基を示し、nは0〜20の整数である。)
【0027】
なお、(A−2)水素添加エポキシ樹脂の軟化点は70〜100℃であることが好ましい。
【0028】
(A−3)その他のエポキシ樹脂
また、必要に応じて、上記(A−1),(A−2)以外のエポキシ樹脂(A−3)を本発明の効果を損なわない範囲で一定量以下併用することができる。このエポキシ樹脂の例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂又は4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂のようなビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、及びフェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、(A−3)その他のエポキシ樹脂の軟化点は70〜100℃であることが好ましい。
【0029】
(A)成分であるエポキシ樹脂は、上記したトリアジン誘導体エポキシ樹脂(A−1)と、必要に応じて水素添加エポキシ樹脂(A−2)及びその他のエポキシ樹脂(A−3)とを併用するものである。ここで、(A−1),(A−2)成分の使用比率は、質量比として(A−1):(A−2)=10:0〜2:8、特に8:2〜2:8、とりわけ7:3〜3:7が好ましい。水素化エポキシ樹脂(A−2)の比率が高すぎると耐熱性、耐光性が低下してしまう場合がある。また、(A−3)の併用できる割合は、全エポキシ樹脂の30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
【0030】
(B)酸無水物
(B)成分の酸無水物は、硬化剤として作用するものであり、耐光性を与えるために非芳香族であり、かつ炭素炭素二重結合を有さないものが好ましく、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物などが挙げられ、これらの中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの酸無水物系硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0031】
酸無水物系硬化剤の配合量としては、エポキシ樹脂1当量に対し、酸無水物0.5〜2.0当量であることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5当量である。0.5当量未満では硬化不良が生じ、信頼性が低下する場合がある。また、2.0当量を超える量では未反応硬化剤が硬化物中に残り、得られる硬化物の耐湿性を悪化させる場合がある。
【0032】
この場合、(A)成分として(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂のみを用いる際は、酸無水物系硬化剤の配合量としては、上記したトリアジン誘導体エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し、酸無水物基が0.6〜2.0当量であり、好ましくは1.0〜2.0当量、更に好ましくは1.2〜1.6当量である。0.6当量未満では硬化不良が生じ、信頼性が低下する場合がある。また、2.0当量を超える量では未反応硬化剤が硬化物中に残り、得られる硬化物の耐湿性を悪化させる場合がある。
【0033】
(C)酸化防止剤
(C)成分の酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤を使用でき、酸化防止剤の具体例としては、以下のような酸化防止剤が挙げられる。
【0034】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、中でも2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが好ましい。
【0035】
リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリ(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホネート等が挙げられ、中でも亜リン酸トリフェニルが好ましい。
【0036】
また、硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0037】
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で使用できるが、リン系酸化防止剤単独又はフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との使用割合は、質量比でフェノール系酸化防止剤:リン系酸化防止剤=0:100〜70:30、特に0:100〜50:50とすることが好ましい。
【0038】
酸化防止剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.03〜5質量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると十分な耐熱性が得られず、変色する場合があり、多すぎると硬化阻害を起こし、十分な硬化性、強度を得ることができない場合がある。
【0039】
(D)硬化触媒
(D)成分の硬化触媒としては、エポキシ樹脂組成物の硬化触媒として公知のものが使用でき、特に限定されないが、第三級アミン類、イミダゾール類、それらの有機カルボン酸塩、有機カルボン酸金属塩、金属−有機キレート化合物、芳香族スルホニウム塩、有機ホスフィン化合物類、これらの塩類等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、イミダゾール類、リン系硬化触媒、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、メチル−トリブチルホスホニウム−ジメチルホスフェイト、第四級ホスホニウムブロマイドが更に好ましい。
【0040】
硬化促進剤の使用量は、組成物全体の0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるおそれがある。
【0041】
本発明においては、上記した(A),(B)及び(C)成分を、予め70〜120℃、好ましくは80〜110℃にて溶融混合して、軟化点が50〜100℃、好ましくは60〜90℃である固形物とし、これを粉砕して配合することが必要である。溶融混合して得られる物質の軟化点が、50℃未満では固形物とはならず、100℃を超える温度では流動性が低下する。
【0042】
更に好ましい態様としては、(A)成分として(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を単独で用い、(A−1),(B)成分、好ましくは(A−1),(B),(C)成分を、予め70〜120℃、好ましくは80〜110℃にて4〜20時間、好ましくは6〜15時間、又は(A−1),(B),(D)成分又は(A−1),(B),(C),(D)成分を予め30〜80℃、好ましくは40〜60℃にて10〜72時間、好ましくは36〜60時間反応して、軟化点が50〜100℃、好ましくは60〜90℃である固形物とし、これを粉砕して配合することが好ましい。反応して得られる物質の軟化点が、50℃未満では固形物とはならず、100℃を超える温度では流動性が低下するおそれがある。
【0043】
この場合、反応時間が短すぎると、高分子成分が少なくて固形物とならず、長すぎると、流動性が低下する場合が生じる。
【0044】
ここで得られた反応固形物は、(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂と(B)成分の酸無水物との反応生成物のうち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析において(但し、分析条件として試料濃度0.2質量%、注入量50μLを移動相THF100%、流量1.0mL/min、温度40℃の条件下、検出器RIで測定)、分子量が1500を超える高分子量成分と、分子量300〜1500の中分子量成分と、モノマー成分とを含有し、高分子量成分が20〜70質量%、中分子量成分が10〜60質量%、モノマー成分が10〜40質量%であることが好ましい。
【0045】
上記反応固形物は、(A)成分としてトリグリシジルイソシアネートを用いた場合、下記式(2)で示される反応生成物を含有し、特に(B)成分の酸無水物がメチルヘキサヒドロ無水フタル酸である場合、下記式(3)で示される反応生成物を含有する。
【0047】
上記式中、Rは酸無水物残基、nが0〜200の範囲の任意のものを含み、平均分子量が500〜10万の成分であるが、本発明に係る反応固形物にあっては、分子量1500を超える高分子量成分を20〜70質量%、特に30〜60質量%、分子量が300〜1500の中分子量成分を10〜60質量%、特に10〜40質量%、モノマー成分(未反応エポキシ樹脂及び酸無水物)を10〜40質量%、特に15〜30質量%含有することが好ましい。
【0048】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記のようにして得られる樹脂成分を含有するが、この樹脂成分の製造に際し、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒を使用しなかった場合、エポキシ樹脂組成物の調製の段階で樹脂成分に(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒を配合することが好ましい。
また、エポキシ樹脂組成物には、更に下記の成分を配合し得る。
【0049】
(E)反射部材
(E)成分の反射部材として、二酸化チタンが特に好ましいが、チタン酸バリウムや酸化亜鉛なども用いることができる。二酸化チタンは、白色着色剤として、白色度を高めるために配合するものであり、この二酸化チタンの単位格子はルチル型、アナタース型のどちらでも構わない。また、平均粒径や形状も限定されない。上記二酸化チタンは、樹脂や無機充填剤との相溶性、分散性を高めるため、AlやSiなどの含水酸化物等で予め表面処理することができる。
二酸化チタンの充填量は、組成物全体の2〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。2質量%未満では十分な白色度が得られない場合があり、80質量%を超えると未充填やボイド等の成形性が低下する場合がある。
【0050】
(F)無機充填剤
(F)成分の無機充填剤としては、上記(E)成分以外の、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、ガラス繊維、三酸化アンチモン等が挙げられる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されない。
上記無機充填剤は、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
【0051】
無機充填剤の充填量は、(A)エポキシ樹脂と(B)酸無水物の総量100質量部に対し、20〜700質量部、特に50〜400質量部が好ましい。20質量部未満では、十分な強度を得ることができないおそれがあり、700質量部を超えると、増粘による未充填不良や柔軟性が失われることで、装置内の剥離等の不良が発生する場合がある。なお、この無機充填剤は、組成物全体の10〜90質量%、特に20〜80質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0052】
その他の添加剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、シリコーン系等の低応力剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
【0053】
(エポキシ樹脂組成物の調製方法)
本発明のエポキシ樹脂組成物を成形材料として調製する場合の方法としては、予め(A),(B),(C)の各成分を混合して、70〜120℃、好ましくは80〜110℃の温度範囲にて、無溶媒の加温可能な反応釜等の装置により均一に溶融混合し、混合物が常温で取扱うのに十分な軟化点、具体的には50〜100℃、より好ましくは60〜90℃になるまで増粘させたものを冷却して、固形化した混合物とする。なお、上述した(A−1),(B),(D)成分又は(A−1),(B),(C),(D)成分を用いる場合は、各成分を混合して30〜80℃、好ましくは40〜60℃の温度にて上記と同様に反応させることが好ましい。
【0054】
この場合、これら成分を混合する温度域として、混合温度が低すぎると、室温で固形となるような混合物を得るためには温度が低すぎ、高すぎると、反応速度が速くなりすぎるため、期待した反応度で反応を停止することが難しくなってしまう。
【0055】
次に、この混合物を粉砕した後、(E),(F)の各成分、その他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕してエポキシ樹脂組成物の成形材料とすることができる。
【0056】
このようにして得られる本発明の白色エポキシ樹脂組成物は、半導体・電子機器装置、特には発光素子を用いる成形体、あるいは発光素子、その他の半導体装置の封止材として有効に利用できるが、受光素子、及び発光素子と受光素子とが一体化されたフォトカプラーは除かれる。
この場合、封止の最も一般的な方法としては低圧トランスファ・モールド成形法が挙げられる。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の成形温度は150〜185℃で30〜180秒行うことが望ましい。後硬化は150〜195℃で2〜20時間行ってもよい。
【0057】
(発光素子)
発光素子10は、430nm以上に発光ピーク波長を持つものを使用する。この波長以上であれば成形体40は高い反射率を示し、耐光性を有するからである。特に窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましい。従来のPPSを用いた成型体に窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子を載置した発光装置では、該成型体が該発光素子からの熱により劣化する問題を有している。窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子はGaP系、GaAs系等の発光素子よりも電流投入時の発熱量が大きいためである。窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10は基板上にGaN、InGaN、InAlGaN等の半導体を発光層として形成させたものが用いられる。
【0058】
(封止部材)
封止部材50は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂に代表されるケイ素含有樹脂を用いることが好ましい。
トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を用いる封止部材50は、成形体40と同一系統の材質であるため、密着性を高めることができる。窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10は、電流投入時に100℃以上になるため、わずかではあるが封止部材50と成形体40は共に熱膨張する。そのため封止部材50と成形体40とを同一系統の部材を使用することにより熱膨張係数が近似したものとなり、封止部材50と成形体40との界面の剥離が生じ難い。
【0059】
ケイ素含有樹脂を用いる封止部材の多くは熱可塑性樹脂を用いる従来の成形体と密着性が劣る傾向があるが、成形体40を本発明のエポキシ樹脂組成物とすることにより密着性を高めることができる。窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10は、電流投入時に発光エネルギーの高い青色光を発するため発光素子10と直に接している封止部材は最も劣化しやすいが、シリコーン樹脂に代表されるケイ素含有樹脂を封止部材とすることにより劣化速度を最小としてやることができる。同様に、成形体40の表面、即ち、封止部材50との接着界面も光により劣化し、剥離が発生しやすいが、耐光性に優れたケイ素含有樹脂よりなる封止部材と本発明のエポキシ樹脂組成物よりなる成形体の接着界面は破壊され難い。
【0060】
また、封止部材50は、(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)酸化防止剤、(D)硬化触媒を含有し、(A),(B),(C)成分を、予め70〜120℃にて(A),(B),(C)成分を溶融混合して得られる軟化点が50〜100℃である固形物の粉砕物として含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物にて形成されるものも使用することができる。
【0061】
(蛍光体)
蛍光体70は発光素子10からの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Y
3Al
5O
12:Ce、(Y,Gd)
3Al
5O
12:Ce、Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ce等で表されるCe等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類系アルミン酸塩蛍光体等を用いることができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0063】
<参考例1,2、実施例
3〜5、参考例6〜10>
表1に示す成分のうち、エポキシ樹脂、酸無水物、酸化防止剤を予め反応釜により、100℃にて3時間溶融混合し、冷却して固化させた後(軟化点は60℃)、粉砕し、他成分と所定の組成比にて配合し、熱2本ロールにて均一に溶融混合し、冷却、粉砕して発光装置用の成形体である白色エポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。使用した原材料を下記に示す。
【0064】
(A)エポキシ樹脂
(A−1)トリアジン誘導体エポキシ樹脂
(イ)トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアネート(TEPIC−S:日産化学工業(株)製商品名、エポキシ当量100)
(A−2)水素添加エポキシ樹脂
(ロ)ビスフェノールA型水素添加エポキシ樹脂(YL−7170:ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、エポキシ当量1200)
(ハ)ビフェニル型水素添加エポキシ樹脂(YL−7040:ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、エポキシ当量220)
(A−3)その他の芳香族エポキシ樹脂
(ニ)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(E1004:ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、エポキシ当量890)
【0065】
(B)酸無水物
(ホ)非炭素炭素二重結合酸無水物;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH:新日本理化(株)製商品名)
(へ)含炭素炭素二重結合酸無水物;テトラヒドロ無水フタル酸(リカシッドTH:新日本理化(株)製商品名)
(ト)フェノールノボラック樹脂(TD−2131:大日本インキ化学工業(株)製商品名)
(C)酸化防止剤
(チ)リン系酸化防止剤;亜リン酸トリフェニル(和光純薬(株)製商品名)
(リ)フェノール系酸化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:和光純薬(株)製商品名)
【0066】
(D)硬化触媒
(ヌ)リン系硬化触媒;メチル−トリブチルホスホニウム−ジメチルホスフェイト(PX−4MP:日本化学(株)製商品名)
(ル)イミダゾール系触媒;2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成(株)製商品名)
(E)二酸化チタン;ルチル型(タイペーク、CR−90:石原産業(株)製商品名)
(F)無機充填剤;破砕溶融シリカ((株)龍森製商品名)
【0067】
これらの組成物につき、以下の諸特性を測定した。結果を表1に示す。
(スパイラルフロー値)
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃、6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で測定した。
【0068】
(溶融粘度)
高化式フローテスターを用い、10kgfの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度175℃で粘度を測定した。
(曲げ強度)
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃、6.9N/mm
2、成形時間120秒の条件で硬化物を作製し、その曲げ強度をJIS K 6911に基づいて測定した。
(耐熱性;黄変性)
175℃、6.9N/mm
2、成形時間2分の条件で直径50×3mmの円盤を成形し、180℃で24時間放置し、黄変性を比較した。
【0069】
【表1】
【0070】
(A),(B),(C)を予め予備混合した実施例
3〜5は、予備混合しなかった参考例6及び7よりも種々の特性が向上している。また、(B)成分の酸無水物が、非芳香族であり、かつ炭素炭素二重結合を有さないものである実施例
3〜5は、炭素炭素二重結合を含む
参考例8よりも種々の特性が向上している。(A−1)
及び(A−2)を使用する実施例
3〜5は、(A−3)を使用する参考例9及び10よりも種々の特性が向上している。実施例
3〜5は、耐熱性;黄変性の試験において白色を維持している。これに対し、参考例6〜10は黄変している。よって、実施例
3〜5は、高い耐熱性を有しており、成型体の劣化も生じていない。
【0071】
(反射率)
成形体に所定の波長の光を照射して反射率を測定する。
図3は、成形体の反射率を示す図である。
これより、430nm以上の波長の光では極めて高い反射率を示す。
【0072】
<実施例11>
実施例11は発光装置である。実施例11の発光装置は、銅合金よりなるリードフレームに本発明に係るエポキシ樹脂組成物よりなる成形体をトランスファ・モールド工程により成形する。成形体は、底面と側面を持つ凹部を有する。InGaNを発光層とするサファイヤ基板からなる青色発光の発光素子はエポキシ樹脂接着剤を用いて載置する。発光素子とリードフレームとは直径30μの金線ワイヤを用いて電気的接続を行う。発光素子が底面に載置されている凹部を有する成形体に封止部材を滴下する。封止部材は、シリコーン樹脂100質量部に対しYAG蛍光体30質量部と酸化珪素よりなる光拡散剤5質量部を含むものを使用し、室温から150℃まで3時間かけ昇温、150℃で5時間硬化させる。最後にリードフレームより切り出しを行い、白色発光の発光装置を得る。
【0073】
<比較例1>
比較例1は発光装置である。比較例1の発光装置は、銅合金よりなるリードフレームにPPS(ポリフェニレンサルファイド)よりなる成形体を射出成形により成形する。成形体の形状は実施例11とほぼ同様である。InGaNを発光層とするサファイヤ基板からなる青色発光の発光素子はエポキシ樹脂接着剤を用いて載置する。発光素子とリードフレームとは直径30μの金線ワイヤを用いて電気的接続を行う。発光素子が底面に載置されている凹部を有する成形体に封止部材を滴下する。封止部材は、シリコーン樹脂100質量部に対しYAG蛍光体30質量部と酸化珪素よりなる光拡散剤5質量部を含むものを使用し、室温から150℃まで3時間かけ昇温、150℃で5時間硬化させる。最後にリードフレームより切り出しを行い、白色発光の発光装置を得る。
【0074】
<比較試験>
実施例11と比較例1より得られた各発光装置を室温下に電流150mAで500時間通電した際の各発光装置の性能並びに外観を比較した。
【0075】
【表2】
【0076】
相対出力(%)は通電前を100%として、500時間通電後の出力を測定し、その相対値を示したものである。相対出力においては実施例11及び比較例1を各5個を測定し、その平均値をとったものである。また、成形体・封止部材間の剥離発生率が0%は剥離が全く生じなかったことを示し、100%は全て剥離したことを示す。この成形体・封止部材間の剥離は、成形体と封止部材との界面に少なくとも一部でも剥離した部分があれば剥離したものとする。剥離発生率においては実施例11及び比較例1を各100個用意して、何個剥離が発生したかを示すものである。
これより実施例11は、比較例1よりも耐熱性、耐光性及び密着性が極めて良好であることが明らかとなった。
【0077】
<実施例12〜15>
表3に示す成分のうち、(反応)成分を同表に示す条件で溶融混合し、得られた反応固形物を粉砕したものを(後配合)成分と配合し、エポキシ樹脂組成物を得た。
上記反応固形物、及び上記エポキシ樹脂組成物をトランスファー成型機にて硬化して得られた硬化物の特性を下記方法で調べた。結果を表3に併記する。
【0078】
反応固形物
下記条件で反応固形物をGPC分析した。
HLC−8120(東ソー社製の装置)を用い、カラム;TSKguardcolumnHXL−L+G4,3,2,2HxL、試料濃度0.2%、注入量50μLを移動相THF100%,流量1.0mL/min、温度40℃の条件下、検出器RIにて測定した。
得られたGPC分析データから、以下のようにしてTEPICモノマー比、MHモノマー比、中分子量成分比、高分子量成分比を算出した。なお、表3において各成分比の値は質量割合を示す。
・TEPIC−Sモノマー比;37.3±0.5分にピークを持つ1つのエリア
・MHモノマー比;38.3±0.5分にピークを持つ1つのエリア
・中分子量成分比;30.8〜36.8分の範囲のエリア
・高分子量成分比;0〜30.7分の範囲のエリア
【0079】
組成物の評価
組成物のゲル化時間、黄変性、熱重量分析(TG−DTA)、強度について以下のように測定、評価した。
ゲル化時間:175℃の熱板上に試料1.0gを置き、同時にストップウォッチにて測定を開始し、熱板上の試料を削り取り、試料がゲル化開始した時点を測定した。
黄変性:試料10gをアルミシャーレにて180℃,60秒で硬化した場合の黄変性、及び、これを180℃で24時間放置した後の黄変性を評価した。
評価基準 ◎:透明無色
○:薄黄色
△:茶色
×:褐色
TG−DTA:試料を180℃,60秒で成形した底面10mmφ、高さ2mmの円筒試験片を用いて、昇温5℃/minにて室温から500℃まで測定し、得られた温度重量曲線から0.2%減量する場合の温度を求めた。
強度:試料を180℃,60秒で硬化して50×10×0.5mmの試験片を作製し、室温にてテストスピード2mm/秒で3点曲げ強度を測定した。
【0080】
【表3】
【0081】
なお、実施例12〜15の反応固形物において、下記式で示される成分のうち、分子量1500を超えるものの割合X、分子量300〜1500の割合Y、モノマーの割合Zは以下のとおりである。割合は質量割合である。
【0082】
【化3】
【0083】
実施例12の反応固形物
X 51.6
Y 16.2
Z 27.0
実施例13の反応固形物
X 53.8
Y 17.3
Z 20.4
実施例14の反応固形物
X 49.0
Y 16.3
Z 27.2
実施例15の反応固形物
X 23.8
Y 58.3
Z 10.2
【0084】
なお、本発明において、Bステージ化していないものも場合により実施可能であるが、Bステージ化させた方が好ましい。Bステージ化させた方が黄変しにくく、高強度を維持できるからである。