(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
両面に電極を有するチップが複数形成されたウエハを保持するウエハチャックであって、前記ウエハの裏面に形成されたチップ裏面電極に接触する導電性の支持面を有するウエハチャックと、
前記ウエハチャックを移動及び回転する移動回転機構と、
前記ウエハの表面に形成されたチップ表面電極に接触して前記チップ表面電極をテスタの端子に接続するプローブを有するプローブ保持部と、
前記プローブ保持部の前記プローブの先端の高さを検出するプローブ位置検出カメラと、
前記ウエハチャックに保持された前記ウエハの前記チップ表面電極の位置を検出するウエハアライメントカメラと、
前記ウエハアライメントカメラを上下方向に昇降させる第1昇降機構と、
前記プローブ位置検出カメラの検出結果に基づいて、前記プローブの先端の高さと前記ウエハアライメントカメラの焦点位置とが同じ高さとなるように前記第1昇降機構を制御する制御部と、
前記支持面に対して平行に形成されると共に前記支持面に電気的に接続された導電性のステージ面を有し、前記ウエハチャックと一体的に移動するステージ部材と、
前記ウエハアライメントカメラと一体的に移動可能に構成され、前記ステージ面に接触して前記チップ裏面電極を前記テスタに電気的に接続する導電性接触子と、
を備えるプローバ。
前記ステージ部材は、前記ウエハチャックとは分離して構成され、前記ステージ面と前記支持面は配線部材を介して電気的に接続される、請求項1又は2に記載のプローバ。
前記ステージ部材は、前記ウエハチャックの移動可能範囲において前記プローブが前記チップ表面電極に接触するときには前記導電性接触子が前記ステージ面に常に接触可能に構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプローバ。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、薄い円板状の半導体ウエハに各種の処理を施して、半導体装置(デバイス)をそれぞれ有する複数のチップ(ダイ)を形成する。各チップは電気的特性が検査され、その後ダイサーで切り離なされた後、リードフレームなどに固定されて組み立てられる。上記の電気的特性の検査は、プローバとテスタで構成されるウエハテストシステムにより行われる。プローバは、ウエハをウエハチャックに固定し、各チップの電極にプローブを接触させる。テスタは、プローブに電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電流や電圧を印加し特性を測定する。
【0003】
パワートランジスタ、パワーMOSFET(電界効果型トランジスタ)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、LED、半導体レーザなどの半導体装置(デバイス)は、一般にウエハの表面に電極(チップ表面電極)が形成されると共に、ウエハの裏面にも電極(チップ裏面電極)が形成される。例えば、IGBTでは、ウエハの表面にゲート電極及びエミッタ電極が形成され、ウエハの裏面にコレクタ電極が形成される。
【0004】
上記のようなウエハの両面に電極を有するチップが複数形成されたウエハにおいてウエハレベル検査を行うため、ウエハチャックには、ウエハの裏面を接触した状態で保持し、テスタの測定電極として作用する導電性の支持面(ウエハ載置面)が設けられる。この支持面は、ウエハチャックから引き出されるケーブルを介してテスタに電気的に接続される。そして、検査を行う場合には、ウエハチャックにウエハを保持し、ウエハの表面に形成された各チップの電極(チップ表面電極)にプローブを接触させた状態で各種測定が行われるようになっている。
【0005】
しかしながら、ウエハチャックとテスタとの間を接続するケーブルは、プローバを構成する筐体の側面又は背面などに設けられる接続コネクタを介して筐体の内外を引き回された状態で配設されるため、その長さは通常1〜3mぐらいが必要となる。このため、チップ裏面電極とテスタとの間に形成される電気経路が長くなり、その抵抗やインダクタンスが大きくなるので、高周波測定や動的測定の測定誤差が生じ、要求される精度でウエハレベル検査を適正に行うことができない問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、ウエハチャックの導電性の支持面に対面するように設けられたチャックリード板と、ウエハチャックの周辺部に固定されたポゴピンと、を備えた検査装置が記載されている。この検査装置によれば、チップ裏面電極とテスタとの間に形成される電気経路がポゴピンとチャックリード板とを経由して構成されるので、上述した従来の構成に比べて上記電気経路に生じる抵抗やインダクタンスを小さくすることが可能となる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載される検査装置では、ポゴピンがウエハチャックに固定されているので、検査するチップのウエハ上の位置によってチップ裏面電極とテスタとの間の電気経路の長さが変化する。例えば、ウエハの中央付近に存在するチップを検査する場合とウエハの端部付近に存在するチップを検査する場合とでは上記電気経路の長さが異なってしまう。このため、検査するチップのウエハ上の位置に応じて上記電気経路に生じる抵抗やインピーダンスが変化してしまい、高周波測定や動的測定に悪影響を及ぼし、ウエハレベル検査を高精度に行うことができないという問題がある。
【0008】
このような問題に対し、本願出願人は、ウエハチャックと一体的に移動する導電性のステージ部材に対して、ステージ部材と対面する位置に固定された接触子を電気的に接触させるように構成したプローバを提案している(特許文献2参照)。このプローバによれば、検査するチップのウエハ上の位置に左右されることなく、チップ裏面電極とテスタとの間に形成される電気経路における抵抗やインピーダンスが小さくかつ変動が少ないため、高周波測定や動的測定を安定して行うことができ、ウエハレベル検査を高精度に行うことが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、本願出願人が提案した上記プローバにおいては、ステージ部材がウエハチャックと一体的に移動するため、プローブコンタクト時のウエハチャックの高さ(コンタクト高さ)に合わせて接触子の高さを調整する必要がある。特に、例えばプローブカード等に代表されるプローブ保持部には多種類があり、プローブの長さは様々であるため、段取り替え等によるプローブ保持部の交換等が発生すると、その都度コンタクト高さに合わせて接触子の高さを調整しなければならず、作業効率の低下及びコストアップを招く要因となる。また、接触子の高さが適正に調整されていないと、ステージ部材に対する接触子の接触圧にばらつきが生じ、チップ裏面電極とテスタとの間に形成される電気経路における抵抗やインピーダンスが変化してしまい、ウエハレベル検査の精度を低下させる要因となる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、作業効率の向上及びコストの削減を図ることができ、高周波測定や動的特性のウエハレベル検査を高精度に行うことができるプローバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第1態様に係るプローバは、両面に電極を有するチップが複数形成されたウエハを保持するウエハチャックであって、ウエハの裏面に形成されたチップ裏面電極に接触する導電性の支持面を有するウエハチャックと、ウエハチャックを移動及び回転する移動回転機構と、ウエハの表面に形成されたチップ表面電極に接触してチップ表面電極をテスタの端子に接続するプローブを有するプローブ保持部と、プローブ保持部のプローブの先端の高さを検出するプローブ位置検出カメラと、ウエハチャックに保持されたウエハのチップ表面電極の位置を検出するウエハアライメントカメラと、ウエハアライメントカメラを上下方向に昇降させる第1昇降機構と、プローブ位置検出カメラの検出結果に基づいて、プローブの先端の高さとウエハアライメントカメラの焦点位置とが同じ高さとなるように第1昇降機構を制御する制御部と、支持面に対して平行に形成されると共に支持面に電気的に接続された導電性のステージ面を有し、ウエハチャックと一体的に移動するステージ部材と、ウエハアライメントカメラと一体的に移動可能に構成され、ステージ面に接触してチップ裏面電極をテスタに電気的に接続する導電性接触子と、を備える。
【0013】
本態様によれば、導電性接触子はウエハアライメントカメラと一体的に移動可能に構成されるので、プローブの先端の高さ(プロービング高さ)とウエハアライメントカメラの焦点位置(アライメント高さ)とが同一の高さとなるようにウエハアライメントカメラを上下方向に移動させることで、導電性接触子の先端の高さはプローブの先端の高さに対して常に一定の位置関係となる。したがって、プローブ保持部を交換した際にプローブの長さが変わった場合でも、導電性接触子の高さ調整は不要となるので、作業効率の向上及びコストの削減を図ることができる。また、プロービング高さが変化してもステージ部材の導電性接触子に対する接触圧は常に一定となるので、接触圧のばらつきによる抵抗やインダクタンスの変化を抑えることができ、高周波測定や動的測定を安定して行うことができ、ウエハレベル検査を高精度に行うことが可能となる。
【0014】
本発明の第2態様に係るプローバは、第1態様において、ウエハアライメントカメラに対する導電性接触子の相対的な高さを変化させる第2昇降機構を備える。
【0015】
本態様によれば、ウエハアライメントカメラが配置されるアライメント領域にウエハチャックが移動した場合でも、第2昇降機構によってウエハアライメントカメラに対する導電性接触子の相対的な高さを変化させることができるので、導電性接触子がウエハチャックまたはその上に保持されるウエハと干渉するのを防ぐことが可能となる。
【0016】
本発明の第3態様に係るプローバは、第1態様又は第2態様において、ステージ部材は、ウエハチャックとは分離して構成され、ステージ面と支持面は配線部材を介して電気的に接続される。
【0017】
本態様は、本発明の好ましい一態様である。この態様によれば、ステージ部材がウエハチャックから熱的に分離されるため、ウエハレベル検査の際にウエハチャックを加熱、冷却する場合でも、ウエハチャックの温度変化がステージ部材に伝熱しにくく断熱効果が得られるのでエネルギー効率が良く、しかもステージ部材の熱変形が防止される。これにより、ステージ部材のステージ面に対する導電性接触子の接触位置(Z方向の高さ)が変動することなく、導電性接触子は常に一定の接触圧でステージ部材のステージ面に当接することができる。したがって、ウエハチャックの温度変化による影響を受けることなく、ウエハレベル検査の測定精度や信頼性を高めることが可能となる。
【0018】
本発明の第4態様に係るプローバは、第1態様又は第2態様において、ステージ部材は、ウエハチャックと一体的に構成される。
【0019】
本態様は、本発明における具体的態様の1つを示したものである。すなわち、ステージ部材は、ウエハチャックと一体的に構成されていてもよく、上述した第1態様における効果を得ることができる。
【0020】
本発明の第5態様に係るプローバは、第1態様〜第4態様のいずれか1つの態様において、ステージ部材は、ウエハチャックの移動可能範囲においてプローブがチップ表面電極に接触するときには導電性接触子がステージ面に常に接触可能に構成される。
【0021】
本態様によれば、ウエハチャックの位置に関係なく、プローブがチップ表面電極に接触するときには接触子がステージ部材のステージ面に常に接触可能に構成されるので、ウエハレベル検査を安定かつ確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、作業効率の向上及びコストの削減を図ることができ、高周波測定や動的特性のウエハレベル検査を高精度に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明が適用されるウエハテストシステムを示した概略構成図である。同図に示すように、ウエハテストシステム100は、ウエハW上の各チップの電極にプローブ25を接触させるプローバ10と、プローブ25に電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電流や電圧を印加し特性を測定するテスタ30とで構成される。
【0026】
プローバ10は、基台11と、その上に設けられた移動ベース12と、Y軸移動台13と、X軸移動台14と、Z軸移動・回転部15と、ウエハチャック16と、プローブ位置検出カメラ18と、ウエハアライメントカメラ19と、ヘッドステージ22と、ヘッドステージ22に設けられたカードホルダ23と、カードホルダ23に取り付けられるプローブカード24と、プローバ10の各部を制御する制御部60と、を有する。プローブカード24には、プローブ25が設けられる。
【0027】
移動ベース12と、Y軸移動台13と、X軸移動台14と、Z軸移動・回転部15は、ウエハチャック16を3軸方向及びZ軸周りに回転する移動回転機構を構成する。移動回転機構については広く知られているので、ここでは説明を省略する。
【0028】
ウエハチャック16は、複数のチップが形成されたウエハWを真空吸着により保持するものであり、その上面にはテスタ30の測定電極として作用する導電性の支持面(ウエハ載置面)16aが設けられる。また、ウエハチャック16の内部には、チップを高温状態、例えば、最高で150℃、又は低温状態、例えば最低で−40℃、で電気的特性検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱/冷却機構(加熱冷却機構)が設けられる。加熱/冷却機構としては、公知の適宜の加熱器/冷却器が採用できるものであり、例えば、面ヒータの加熱層と冷却流体の通路を設けた冷却層との二重層構造にしたものや、熱伝導体内に加熱ヒータを巻き付けた冷却管を埋設した一層構造の加熱/冷却装置など、様々のものが考えられる。また、電気加熱ではなく、熱流体を循環させるものでもよく、またペルチエ素子を使用してもよい。
【0029】
ウエハチャック16は、Z軸移動・回転部15の上に取り付けられており、上述した移動回転機構により3軸方向(X、Y、Z方向)に移動可能であると共に、Z軸周りの回転方向(θ方向)に回転可能である。
【0030】
ウエハWが保持されるウエハチャック16の上方には、プローブカード24が配置される。プローブカード24は、プローバ10の筺体の天板を構成するヘッドステージ22の開口部に取り付けられたカードホルダ23が装着される。
【0031】
プローブカード24は、検査するチップの電極配置に応じて配置されたプローブ25を有し、検査するチップに応じて交換される。なお、プローブカード24は、プローブ保持部の一例である。
【0032】
テスタ30は、テスタ本体31と、テスタ本体31に設けられたコンタクトリング32とを備えている。プローブカード24には、各プローブ25に接続される端子が設けられており、コンタクトリング32はこの端子に接触するように配置されたスプリングプローブを有する。テスタ本体31は、図示していない支持機構により、プローバ10に対して保持される。
【0033】
プローブ位置検出カメラ18は、X軸移動台14の上に取り付けられており、X軸移動台14及びY軸移動台13によりウエハチャック16と一体となってXY方向に移動可能である。プローブ位置検出カメラ18は、プローブカード24のプローブ25を下方から撮像してプローブ25の先端位置を検出する。プローブ25の先端の水平面内の位置(X及びY座標)はカメラの座標により検出され、垂直方向(Z方向)の位置、すなわちプローブ25の先端の高さ(プロービング高さ)はカメラの焦点位置で検出される。プローブ位置検出カメラ18による検出結果は、制御部60に入力される。
【0034】
ウエハアライメントカメラ19は、プローブカード24が配置されるプローブ領域に隣接したアライメント領域に配置される。ウエハアライメントカメラ19は、図示しない支柱によって支持されており、カメラ昇降機構(第1昇降機構)40によってZ方向(上下方向)に移動可能である。このカメラ昇降機構40は、公知の直線的な移動機構であればよく、例えばリニアガイド機構、ボールネジ機構等により構成されており、制御部60からの出力によって駆動される。ウエハアライメントカメラ19は、ウエハチャック16に保持されたウエハWを上方から撮像してウエハWの表面に形成されたチップの電極(チップ表面電極)の位置を検出する。ウエハアライメントカメラ19による検出結果は、制御部60に入力される。制御部60では、ウエハアライメントカメラ19で得られた情報とプローブ位置検出カメラ18で得られたプローブ25の先端の位置情報とをもとに、公知の画像処理技術を用いて、プローブ25とウエハWのチップの電極(チップ表面電極)のXY面内の二次元的な位置整合を自動で行う。
【0035】
本実施形態のプローバ10は、上述した構成に加えてさらに、ウエハチャック16とは別体で構成された円板状の分離構造体からなるステージ部材50を有する。
【0036】
ステージ部材50は、ウエハチャック16に隣接した位置に配置されており、L字状の連結部材52を介してZ軸移動・回転部15に連結固定され、ウエハチャック16と一体となって3軸方向(X、Y、Z方向)に移動可能となっている。
【0037】
また、ステージ部材50を構成する材質としては、例えばセラミックスなどの熱膨張係数の小さな材質が好適である。ステージ部材50を熱膨張係数の小さな材質で構成することにより、ウエハレベル検査の際にウエハチャック16を加熱、冷却する場合でも、ステージ部材50の熱変形を防止することができる。これにより、ウエハチャック16の温度変化による影響を受けることなく、ウエハレベル検査の測定精度や信頼性を高めることが可能となる。
【0038】
ステージ部材50の上面には、後述する導電性接触子70が接触可能な導電性のステージ面50aが設けられる。このステージ面50aは、
図2に示すように、ウエハチャック16の支持面16aと同様の平面形状(円形状)を有し、それらの面積(平面面積)は互いに等しく構成される。なお、ステージ面50aは、ウエハチャック16の支持面16aよりも面積(平面面積)が大きく円形以外で構成されていてもよい。
【0039】
ステージ部材50とウエハチャック16との間には複数の配線64(配線部材)が設けられている。本例では、3つの配線64が設けられている。各配線64の一端はステージ部材50のステージ面50aに電気的に接続され、これらの他端はウエハチャック16の支持面16aに電気的に接続されている。すなわち、ステージ部材50のステージ面50aと、ウエハチャック16の支持面16aとは、複数の配線64によって電気的導通が確保されている。
【0040】
図1に戻り、ステージ部材50に対向する位置には導電性接触子70が設けられている。導電性接触子70は、例えばそれ自体がバネ性を有する導電性の細い針(スプリングピン)からなり、ケーブル76を介してテスタ本体31に電気的に接続されている。
【0041】
導電性接触子70は、後述するホルダ74によって所定の高さ位置に保持固定されており、ウエハチャック16が上昇してプローブ25がウエハWのチップ表面電極に接触するとき(すなわち、ウエハチャック16がコンタクト高さに移動したとき)、ステージ部材50のステージ面50aに所定の接触圧で電気的に接触する。これにより、ウエハWの表面に形成されるチップ表面電極にプローブ25を接触させた状態で各種測定を行う際に、ウエハWの裏面に形成されるチップ裏面電極は、ウエハチャック16(支持面16a)、配線64、ステージ部材50(ステージ面50a)、導電性接触子70、及びケーブル76を介してテスタ本体31に電気的に接続される。
【0042】
本実施形態においては、導電性接触子70は、ウエハアライメントカメラ19に取り付けられ、ウエハアライメントカメラ19と一体的に移動可能に構成されている。具体的には、ウエハアライメントカメラ19には、接触子昇降機構(第2昇降機構)78によってZ方向(上下方向)に移動可能なZテーブル72が設けられており、このZテーブル72には導電性接触子70を保持固定するホルダ74が取り付けられている。したがって、導電性接触子70は、カメラ昇降機構40によりウエハアライメントカメラ19と一体となってZ方向に移動可能であると共に、接触子昇降機構78によってウエハアライメントカメラ19に対する導電性接触子70の相対的な高さを変化させることが可能である。なお、接触子昇降機構78は、上述したカメラ昇降機構40と同様に、例えばリニアガイド機構、ボールネジ機構等の公知の直線的な移動機構により構成される。
【0043】
次に、本実施形態のウエハテストシステム100によるウエハレベル検査について
図3〜
図8を参照して説明する。
図3は、ウエハレベル検査の流れを示したフローチャート図である。
図4〜
図8は、
図3に示した各工程を説明するための図である。なお、
図4〜
図8は、ウエハテストシステムの主要な部分のみを抜き出して示したものである。なお、導電性接触子70は、接触子昇降機構78によりウエハアライメントカメラ19に対する相対位置が退避位置(上端位置)と接触位置(下端位置)との間で移動可能であり、導電性接触子70が接触位置に移動したとき、導電性接触子70の先端(ステージ部材50側先端)がウエハアライメントカメラ19の焦点位置の高さ(アライメント高さ)に一致するように予め調整されているものとする。
【0044】
(ステップS10:プロービング高さ検出工程)
まず、
図4に示すように、プローブ位置検出カメラ18をプローブカード24の下に位置するようにウエハチャック16と共にプローブ位置検出カメラ18を移動させ、プローブ位置検出カメラ18でプローブ25の先端の高さ(プロービング高さ)h0を検出する。プローブ位置検出カメラ18による検出結果は、制御部60に入力される。
【0045】
(ステップS12:ウエハ搬送工程)
次に、不図示のウエハロード機構により、検査するウエハWをウエハチャック16上にロードして、ウエハチャック16にウエハWを保持させる。
【0046】
(ステップS14:アライメント高さ調整工程)
次に、
図5に示すように、ウエハチャック16にウエハWを保持した状態で、ウエハWをウエハアライメントカメラ19の下に位置するように、ウエハチャック16を移動させた後、制御部60は、ウエハアライメントカメラ19のカメラ昇降機構40を制御して、ウエハアライメントカメラ19の焦点位置の高さ(アライメント高さ)がh1である場合には、Δh(=h1−h0)だけウエハアライメントカメラ19をZ方向に移動する。これにより、
図6に示すように、プロービング高さh0とアライメント高さh1とが同一となる。
【0047】
続いて、
図7に示すように、制御部60は、ウエハチャック16に保持されたウエハWがアライメント高さ(すなわち、ウエハアライメントカメラ19の焦点位置の高さ)に位置するように、ウエハチャック16をZ方向に移動させる。このとき、制御部60は、ウエハチャック16またはその上面(支持面16a)に保持されたウエハWとの干渉を防ぐため、接触子昇降機構78によりZテーブル72をZ方向に移動させて、導電性接触子70がウエハチャック16またはウエハWに接触しない退避位置に移動させる。
【0048】
(ステップS16:ウエハアライメント工程)
次に、ウエハアライメントカメラ19でウエハW上のチップの電極(チップ表面電極)の位置を検出する。1チップのすべての電極の位置を検出する必要はなく、いくつかの電極の位置を検出すればよい。また、ウエハW上のすべてのチップの電極を検出する必要はなく、いくつかのチップの電極の位置が検出される。ウエハアライメントカメラ19による検出結果は、制御部60に入力される。
【0049】
続いて、制御部60は、ウエハアライメントカメラ19で得られた情報とプローブ位置検出カメラ18で得られたプローブ25の先端の位置情報とをもとに、公知の画像処理技術を用いて、プローブ25とウエハWのチップの電極(チップ表面電極)のXY面内の二次元的な位置整合を自動で行う。すなわち、制御部60は、プローブ25の位置及びウエハWのチップの電極の位置を検出した後、チップの電極の配列方向がプローブ25の配列方向に一致するように、Z軸移動・回転部15によりウエハチャック16を回転する。
【0050】
(ステップS18:プロービング工程)
次に、制御部60は、ウエハチャック16を一旦わずかにZ方向に下降させた後、
図8に示すように、ウエハチャック16に保持されるウエハWがプローブカード24の下に位置するように、ウエハチャック16を移動させる。その後、ウエハチャック16をZ方向に下降させる直前の高さ、すなわちアライメント高さと同じ高さであるプローブ25の先端の高さ(プロービング高さ)までZ方向に上昇させ、ウエハWの検査するチップの電極をプローブ25に接触させる。
【0051】
このとき、ウエハチャック16に隣接して配置されるステージ部材50は、ウエハチャック16と一体となって導電性接触子70に対向する位置に移動する。さらに制御部60は、ウエハチャック16の移動に連動(同期)して接触子昇降機構78を制御することにより、ウエハアライメントカメラ19に対する導電性接触子70の相対位置が接触位置となるように導電性接触子70を移動させる。これにより、ステージ部材50のステージ面50aに導電性接触子70が所定の接触圧で接触し、ウエハWの裏面に形成されるチップ裏面電極は、ウエハチャック16(支持面16a)、配線64、ステージ部材50(ステージ面50a)、導電性接触子70、及びケーブル76を介してテスタ本体31に電気的に接続される。そして、テスタ本体31から、チップに電流や電圧を印加し特性を測定する。
【0052】
このチップの検査が終了すると、一旦ウエハWとプローブ25を離し、他のチップがプローブ25の下に位置するように移動し、同様の動作を行う。以下、各チップを順次選択して検査する。そして、ウエハ上の指定されたすべてのチップの検査が終了すると、1枚のウエハの検査を終了する。
【0053】
このようにして、ウエハW上のすべてのチップの検査が終了すると、ウエハWの検査を終了し、検査済みのウエハWをアンロードして、次に検査するウエハWをロードして上記の動作を行う。
【0054】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0055】
図9は、プローブカード24のプローブ25の長さが異なる場合におけるアライメント高さとプロービング高さとの関係を示した図である。(a)はプローブ25の長さが短い場合を示し、(b)はプローブ25の長さが長い場合を示している。
【0056】
本実施形態では、
図9の(a)、(b)に示すように、プローブカード24を交換した際にプローブ25の長さが変わった場合でも、プロービング高さとアライメント高さとが同一となるように、ウエハアライメントカメラ19が移動するので、ウエハWのアライメント後のプローブ25の先端とウエハWのチップの電極パッドとの位置整合は、XY面内のみで行えばよく、Z方向での誤差を削減できる。これに対して、プロービング高さとアライメント高さが異なる場合には、ウエハWのアライメント後にZ方向での位置整合も行わなければならず、Z移動・回転部15の倒れ誤差やねじれ誤差が生じる恐れがあり、位置決め精度が悪化する要因となる。
【0057】
また、本実施形態によれば、ウエハアライメントカメラ19には導電性接触子70が取り付けられ、ウエハアライメントカメラ19と一体的に導電性接触子70が移動する構成となっている。このため、導電性接触子70の取り付け時にウエハアライメントカメラ19との位置関係を予め調整しておくことで、プローブカード24を交換した際にプローブ25の長さが変わった場合でも、プロービング高さとアライメント高さとが同一となるようにウエハアライメントカメラ19をZ方向に移動させることで導電性接触子70の先端の高さはプローブ25の先端の高さに対して常に一定の位置関係となる。したがって、プローブカード24を交換した場合でも導電性接触子70の調整は不要となり、作業効率の向上及びコストの削減を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、導電性接触子70はウエハアライメントカメラ19に対して退避位置と接触位置との間で相対的に移動可能に構成されるので、ウエハアライメント時には導電性接触子70を退避位置に移動させておくことにより、ウエハWまたはウエハチャック16との干渉を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、検査するチップのウエハW上の位置が変化しても、その位置から導電性接触子70が接触するステージ部材50上の位置までの距離は常に一定となる。したがって、検査するチップのウエハW上の位置に関係なく、チップ裏面電極からウエハチャック16(支持面16a)、配線64、ステージ部材50(ステージ面50a)、導電性接触子70、及びケーブル76を介してテスタ本体31に接続される電気経路の長さが常に一定となるので、その電気経路における抵抗やインピーダンスの影響を受けることなく、高周波測定や動的測定を安定して行うことができ、ウエハレベル検査を高精度に行うことが可能となる。
【0060】
また、本実施形態によれば、ステージ部材50はウエハチャック16とは別体で分離された構成となっており、ステージ部材50がウエハチャック16から熱的に分離されている。このため、ウエハレベル検査の際にウエハチャック16を加熱、冷却する場合でも、ウエハチャック16の温度変化がステージ部材50に伝熱しにくく断熱効果が得られるので、エネルギー効率が良く、しかもステージ部材50の熱変形が防止される。これにより、導電性接触子70のステージ部材50のステージ面50aに対する接触位置(Z方向の位置)が変動することなく、導電性接触子70は常に一定の接触圧でステージ部材50のステージ面50aに当接することができる。したがって、ウエハチャック16の温度変化による影響を受けることなく、ウエハレベル検査の測定精度や信頼性を高めることが可能となる。
【0061】
また、本実施形態によれば、ウエハチャック16とステージ部材50は別体で分離された構成となっているため、ウエハチャック16については従来のものを再利用することが可能となり、設計期間・製造プロセスの短縮、設計労力の低減、コストの低減等を図ることが可能となる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。以下、いくつかの変形例について説明する。
【0063】
[変形例1]
上述した実施形態では、ステージ部材50はウエハチャック16とは別体で分離された構成となっているが、ステージ部材50をウエハチャック16と一体的な構成としてもよい。
【0064】
例えば、
図10に示した変形例では、ステージ部材50をウエハチャック16と一体的な構成となっている。さらにこの変形例では、ステージ部材50は、その端部(ウエハチャック側端部)に設けられた回転軸54を中心にして回転可能に構成されている。すなわち、ステージ部材50は、Y軸(紙面に垂直な方向)周りに回転可能に構成されており、ステージ面50aが、ウエハチャック16の支持面16aに対して平行に配置された状態(
図10に実線で図示)と垂直に配置された状態(
図10に破線で図示)との間で相互に遷移可能となっている。
【0065】
このようにステージ部材50を折りたたみ可能な構成とした態様によれば、上述した実施形態と同様の作用効果が得られると共に、ウエハWのロードまたはアンロード時やアライメント時には、ステージ部材50を折りたたんだ状態(
図10に破線で図示)でウエハチャック16を移動させることで、ウエハチャック16の動作可能範囲を拡大することができる。また、より大きなウエハチャック16を搭載することも可能となり、大径のウエハWに対してもウエハレベル検査を行うことが可能となる。
【0066】
[変形例2]
上述した実施形態では、
図2に示したように、ステージ部材50のステージ面50aは、ウエハチャック16の支持面16aと同形状かつ同面積であるが、少なくともウエハチャック16の移動可能範囲において導電性接触子70が常に接触可能なステージ面50aを有するものであれば異なる形状または面積であってもよい。例えば、ステージ部材50のステージ面50aは、ウエハチャック16の支持面16aと同じ平面形状(円形状)であって、その支持面16aよりも大きな面積を有する態様でもよい。また、
図11に示すように、ステージ部材50のウエハチャック16側の側面が、ウエハチャック16の側面に沿った凹状に形成された態様でもよい。いずれの態様においても、少なくともウエハチャック16の移動可能範囲において導電性接触子70が常に接触可能なステージ面50aを有するものであり、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
[変形例3]
上述した実施形態では、ステージ部材50のステージ面50aに接触可能な導電性接触子70としてスプリングピンを用いたが、これに限らず、例えばカンチレバータイプや垂直針タイプなどのプローブカード状の接触子を用いてもよい。
【0068】
[変形例4]
上述した実施形態では、プローブ保持部としてプローブカード24を備えた構成を示したが、これに限らず、例えばマニピュレータ型のプローブヘッドなどを備えていてもよい。