特許第6362302号(P6362302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362302
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】光ファイバテープ心線及び光ケーブル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   G02B6/44 371
   G02B6/44 366
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-108014(P2013-108014)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-228688(P2014-228688A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年12月17日
【審判番号】不服2017-8364(P2017-8364/J1)
【審判請求日】2017年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文昭
(72)【発明者】
【氏名】高見 正和
(72)【発明者】
【氏名】宮野 寛
(72)【発明者】
【氏名】中根 久彰
(72)【発明者】
【氏名】角田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】浜口 真弥
(72)【発明者】
【氏名】柴田 征彦
【合議体】
【審判長】 森 竜介
【審判官】 居島 一仁
【審判官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−88445(JP,A)
【文献】 特開2011−169937(JP,A)
【文献】 実開昭63−33110(JP,U)
【文献】 特開2007−279226(JP,A)
【文献】 特開平1−138516(JP,A)
【文献】 特開2009−93077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B6/44
H01B7/04-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
6本以上の光ファイバ心線が平行一列に配列され、全体に共通の樹脂からなる共通被覆が形成された光ファイバテープ心線であって、
両端の光ファイバ心線と該両端の光ファイバ心線と隣り合う光ファイバ心線との間の長手方向には、前記共通被覆からなる連結部が連続的に形成された連続連結部が形成され、
前記両端の光ファイバ心線に挟まれた内部の各光ファイバ心線は、一方の隣り合う光ファイバ心線との間には長手方向に前記共通被覆からなる連結部と前記共通被覆に入れた切れ込みからなる非連結部とが間欠的に形成された間欠連結部が形成され、他方の隣り合う光ファイバ心線との間には長手方向に前記共通被覆からなる連結部が連続的に形成された連続連結部が形成されており、
前記両端のうち少なくとも一端の隣り合う2本の光ファイバ心線の外被部分のみに、前記光ファイバテープ心線を識別するためのマーキングが付与されていることを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバテープ心線を収容したケーブルコアを外被で被覆したことを特徴とする光ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本以上の光ファイバ心線が平行一列に配列された光ファイバテープ心線及び光ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の映像配信、IP電話、データ通信等のブロードバンドサービスの拡大により、光ファイバによる家庭向けのデータ通信サービス(FTTH:Fiber To The Home)の加入者が増加している。このFTTHでは、幹線光ファイバケーブルからドロップ光ケーブルを用いて加入者宅等に引き落とされる。
【0003】
しかし、光ファイバを加入者宅等に引き落とすには、多心のテープ心線を、例えば、4心のテープ心線に分離し、さらには単心の光ファイバ心線に分離(中間分岐)する必要がある。このため、例えば、特許文献1,2には、隣り合う光ファイバ心線同士を長手方向に間欠的に連結することにより、光ファイバ心線の単心分離を容易にすることが可能な光ファイバテープ心線(以下、間欠テープ心線という)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279226号公報
【特許文献2】特開2011−169937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1,2に記載されているような間欠テープ心線を、他の光ファイバ心線またはテープ心線と融着接続する際に、間欠テープ心線の端部を固定するために光ファイバホルダが使用される。
【0006】
図10は、光ファイバホルダ及び間欠テープ心線を示す図である。図10(A)は間欠テープ心線がセットされた光ファイバホルダを示す図で、図中、100は光ファイバホルダ、110は間欠テープ心線を示す。また、図10(B)は図10(A)の間欠テープ心線110を示す図である。すなわち、間欠テープ心線110は、4本の光ファイバ心線112a〜112dが平行一列に配列され、隣り合う光ファイバ心線間に連結部111a〜111eと非連結部113a〜113dとが間欠的に形成されている。
【0007】
間欠テープ心線110と、他の光ファイバ心線またはテープ心線とを融着接続する場合、図10(A)に示すように、間欠テープ心線110の長手方向の端末近傍部分が光ファイバホルダ100の収納溝にセットされ、保持固定される。そして、間欠テープ心線110の各光ファイバ心線112a〜112dの被覆が一括除去され、被覆の除去により露出されたガラスファイバを所定の長さで一括カットして端面を揃える。そして、この光ファイバホルダ100を、そのまま融着接続機にセットして互いの光ファイバ接続端を突き合わせ、アーク放電等により複数本の光ファイバ心線を一括融着して接続する。
【0008】
しかしながら、間欠テープ心線110は、各端部(幅方向)の光ファイバ心線同士が間欠的に固定されているため、連結部以外の非連結部では両端の光ファイバ心線が単心分離された状態となる。このため、間欠テープ心線110を光ファイバホルダ100の収納溝にセットする際に、両端の光ファイバ心線を収納溝に収めることが難しく、次のような問題が発生する。例えば、図11(A)に示すように、最端の光ファイバ心線112aの単心部(非連結部)が連結部111cに乗り上げたり、あるいは、図11(B)に示すように、端部の隣り合う光ファイバ心線112a,112bの単心部同士が交差してしまったり、あるいは、図11(C)に示すように、最端の光ファイバ心線112aの単心部が光ファイバホルダ100の収納溝からはみ出てしまったり、という問題が発生する。
【0009】
これに対して、間欠テープ心線を光ファイバホルダにセットする際の作業性を改善するために、隣接する光ファイバ心線間における連結部を長くし、単心部(非連結部)を短くすることが考えられる。しかしながら、連結部を長く、単心部を短く加工するのは間欠加工の生産性が悪くなるという問題がある。さらには、連結部が増加するために、変形し難くなり、間欠テープ心線が持つ優れた変形容易性が損なわれてしまう。このため、光ケーブル化後の小径曲げ時に曲げ歪みが増加するといった問題もある。
【0010】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、間欠テープ心線の生産性や変形容易性を損なうことなく、融着作業時に光ファイバホルダにセットする際の作業性を改善することができる光ファイバテープ心線及び光ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による光ファイバテープ心線は、6本以上の光ファイバ心線が平行一列に配列され全体に共通被覆が形成された光ファイバテープ心線であって、両端の光ファイバ心線と該両端の光ファイバ心線と隣り合う光ファイバ心線との間の長手方向には、前記共通被覆からなる連結部が連続的に形成された連続連結部が形成され、前記両端の光ファイバ心線に挟まれた内部の各光ファイバ心線は、一方の隣り合う光ファイバ心線との間には長手方向に前記共通被覆からなる連結部と前記共通被覆に入れた切れ込みからなる非連結部とが間欠的に形成された間欠連結部が形成され、他方の隣り合う光ファイバ心線との間には長手方向に前記共通被覆からなる連結部が連続的に形成された連続連結部が形成されており、前記両端のうち少なくとも一端の隣り合う2本の光ファイバ心線の外被部分のみに、前記光ファイバテープ心線を識別するためのマーキングが付与されている。
【0013】
また、本発明による光ケーブルは、上記における光ファイバテープ心線を収容したケーブルコアを外被で被覆したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、間欠テープ心線の両端の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向に、連続的に形成された連結部を有することにより、間欠テープ心線の生産性や変形容易性を損なうことなく、融着作業時に光ファイバホルダにセットする際の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】間欠構造を持つ光ファイバテープ心線の参考例を示す図である。
図2】本発明による光ファイバテープ心線の一例を示す図である。
図3】光ファイバテープ心線の参考例を示す図である。
図4図3の間欠8心テープ心線にマーキングを付与した例を示す図である。
図5】間欠加工前の光ファイバテープ心線の一例を示す図である。
図6】本発明による間欠テープ心線の製造に使用される製造装置の一例を示す図である。
図7図6の間欠加工装置の一例を示す図である。
図8】本発明による光ケーブルの一例を示す図である。
図9】本発明による光ケーブルの他の例を示す図である。
図10】光ファイバホルダ及び間欠テープ心線を示す図である。
図11】融着作業時に間欠テープ心線を光ファイバホルダにセットする際の問題点について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の光ファイバテープ心線及び光ケーブルに係る好適な実施の形態について説明する。
図1は、間欠構造を持つ光ファイバテープ心線の参考例を示す図である。本参考例は、前述の図10(B)と同様の間欠構造を持つ8本の光ファイバ心線からなる間欠テープ心線(以下、間欠8心テープ心線ともいう)について示しており、図1(A)は間欠8心テープ心線を幅方向に開いた状態を示し、図1(B)は間欠8心テープ心線を幅方向に閉じた状態を示す。図中、10は間欠8心テープ心線、11は光ファイバ心線、12は連結部、13は非連結部を示す。
【0017】
すなわち、間欠8心テープ心線10は、8本の光ファイバ心線11が平行一列に配列され、隣り合う光ファイバ心線間の長手方向に連結部12と非連結部13とが間欠的に形成されている。連結部12は、隣り合う光ファイバ心線間に所定長の紫外線硬化樹脂(以下、UV樹脂という)が所定間隔で塗布されて形成される。また、非連結部13は、連結部12以外の部分であって、UV樹脂を塗布しないようにして形成される。従って、非連結部13では、隣り合う光ファイバ心線同士が連結されておらず、単心分離された状態とされる。
【0018】
なお、光ファイバ心線11は、例えば、外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した光ファイバ素線とも言われているもの、あるいは、そのファイバ被覆の外面に着色層を施したものを含めた単心の光ファイバを言うものとする。
【0019】
上記の図1に示す間欠テープ心線とした場合、各端部(幅方向)の隣り合う光ファイバ心線間に連結部12と非連結部13とが間欠的に形成されているため、前述の図11で説明したような問題が起こり得る。これに対して、本発明による光ファイバテープ心線は、本以上の光ファイバ心線が平行一列に配列された間欠テープ心線であって、両端の光ファイバ心線に挟まれた内部の隣り合う光ファイバ心線間のうち少なくとも一部の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、連結部と非連結部とが間欠的に形成され、両端の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、連結部が連続的に形成されている。これにより、間欠テープ心線の生産性や変形容易性を損なうことなく、融着作業時に光ファイバホルダにセットする際の作業性を改善することができる。
【0020】
図2は、本発明による光ファイバテープ心線の一例を示す図である。図中、10aは間欠8心テープ心線を示す。間欠8心テープ心線10aの場合、両端の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、連続的に連結部14が形成され、両端の光ファイバ心線に挟まれた内部の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、複数本の光ファイバ心線毎に連結部12と非連結部13とが間欠的に形成されている。ここでは、光ファイバ心線11が8本の場合について示しており、2本の光ファイバ心線毎に連結部12と非連結部13とが間欠的に形成されている。なお、本例の構成は、光ファイバ心線11が6本以上の場合に適用することができる。
【0021】
上記において、内部の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、複数本の光ファイバ心線毎に連結部12と非連結部13とが間欠的に形成された間欠連結部を有するが、この間欠連結部の間に挟まれ且つ隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、連結部14が連続的に形成された連続連結部を有している。本例の場合、内部の隣り合う光ファイバ心線間には、間欠連結部が2本の光ファイバ心線毎に形成されているため、この間欠連結部と、連続連結部とが交互に形成されることになる。換言すれば、内部の各光ファイバ心線は、一方の隣り合う光ファイバ心線との間には長手方向に連結部と非連結部とが間欠的に形成された間欠連結部が形成され、他方の隣り合う光ファイバ心線との間には長手方向に連結部が連続的に形成された連続連結部が形成されている。
【0022】
図2の構成とすることで、融着作業時に間欠8心テープ心線10aを光ファイバホルダ(図10(A)を参照)にセットする際の作業性を改善することができる。また、連結部12に対して非連結部13の比率が小さくなるため、間欠加工の生産性の点で有利となる。しかし一方で、テープ心線がやや変形し難い。そこで、この点を改良したものを図3に示す。
【0023】
図3は、光ファイバテープ心線の参考例を示す図である。図中、10bは間欠8心テープ心線を示す。間欠8心テープ心線10bの場合、両端の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、連続的に連結部14が形成され、両端の光ファイバ心線に挟まれた内部の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、1本の光ファイバ心線毎に連結部12と非連結部13とが間欠的に形成されている。
【0024】
図3の構成は、図2の構成と比べて、非連結部13の比率が大きくなるため、テープ心線の変形がし易く、十分な変形容易性を得ることができる。また、光ケーブル化時にテープが柔軟に変形するため、高密度収納を実現することができる。
【0025】
なお、本発明は、以上の光ファイバ心線からなる間欠テープ心線適用することができるが、地下配線がメインで単心分離の必要がない8心以上のテープ心線に適用することが望ましい。また、本発明は、図2図3に示した間欠8心テープ心線に限らず、間欠12心テープ心線、間欠16心テープ心線等にも適用することができる。
【0026】
ここで、上記の多心ケーブルとした場合に、複数枚の間欠テープ心線が収容されるため、個々の間欠テープ心線を識別できるようにする必要がある。このため、間欠テープ心線の両端のうち少なくとも一端の隣り合う2本の光ファイバ心線の外被部分に、間欠テープ心線を識別するためのマーキングが付与されていることが望ましい。つまり、各端部の隣り合う2本の光ファイバ心線間には、間欠加工が施されていないため、この2本の光ファイバ心線の外被部分に、例えば、インクジェット方式などによりマーキングを印字する。
【0027】
図4は、図3の間欠8心テープ心線10bにマーキングを付与した例を示す図である。図中、Mはマーキングを示す。本例の場合、間欠8心テープ心線10bの一端の隣り合う2本の光ファイバ心線の外被部分であって、非連結部13に対応する部分に、マーキングM(図中、白抜きの3つの縦線に相当)が付与されている。ここでは、マーキングMとして、印字した縦線の数で何番テープであるかを示すものとする。すなわち、1番テープであれば、非連結部13に対応する外被部分に縦線を1本、2番テープであれば、非連結部13に対応する外被部分に縦線を2本、などというようにして、各間欠テープ心線が何番テープであるかを識別できるようにする。図4の例では、非連結部13に対応する外被部分に縦線が3本印字されているため、3番テープであると識別できる。
【0028】
なお、上記において、マーキングMを施す箇所は、上記に限定されるものではなく、間欠8心テープ心線10bの両端に施すようにしてもよい。また、非連結部13に対応する外被部分ではなく、連結部12に対応する外被部分であってもよい。また、マーキングMの印字色は、印字する光ファイバ心線の外被の色と異なる色にしたほうが、識別性の観点からより好ましい。
【0029】
従来のテープマーキングのようにテープ全体に印字すると、間欠加工による単心部の印字が見え難いという問題があった。これに対して、上記のように、間欠加工を行わない端部2本の光ファイバ心線間には単心部が存在しないため、これら2本の光ファイバ心線の外被部分にマーキングを印字することで、より識別性を向上させることができる。
【0030】
次に、本発明による間欠テープ心線の製造方法について説明する。間欠テープ心線については、これまで種々の形状と製造方法が提案されている。例えば、第1の方法は、隣り合う光ファイバ心線間の長手方向に所定長だけ接着性樹脂または被覆樹脂が付与された連結部と、所定長だけ接着性樹脂または被覆樹脂が付与されていない非連結部とを交互に形成する方法である。また、第2の方法は、複数本の光ファイバ心線の全長にUV(紫外線硬化)樹脂を塗布した後、長手方向に間欠的にUV照射を行い、UV樹脂の硬化部分(連結部)と未硬化部分(非連結部)とを交互に形成する方法である。また、第3の方法は、光ファイバテープ心線の共通被覆の長手方向にカッター刃で切り込みを形成し、連結部と非連結部とを交互に形成する方法である。
【0031】
本発明の間欠テープ心線の製造方法としては、上記の第1〜第3のいずれの方法を用いてもよい。以下では、製造方法の実施例として、第3の方法を用いた場合について具体的に説明する。
【0032】
図5は、間欠加工前の光ファイバテープ心線の一例を示す図である。図中、10′は光ファイバテープ心線を示す。この光ファイバテープ心線10′は、8本の光ファイバ心線11(被覆径250μm)を平行一列に並べ、全体にテープ樹脂(UV樹脂)15を塗布して共通被覆が形成されている。すなわち、図5の光ファイバテープ心線10′は、間欠加工前に共通被覆が施された状態のテープ心線であって、テープ厚が約280μm、テープ幅が約2mmとされる。
【0033】
図6は、本発明による間欠テープ心線の製造に使用される製造装置の一例を示す図である。図中、20は繰出機、21はサプライガイドローラ、22はサプライダンサローラ、23は集線ローラ、24は樹脂供給装置、25はUV樹脂タンク、26は加圧装置、27はUV照射装置、28は引取ガイドローラ、29は引取機、30はアキュームレータ、31は巻取ダンサローラ、32は巻取ガイドローラ、33は巻取機、34は間欠加工装置を示す。
【0034】
間欠テープ心線の製造は、まず、複数本(ここでは8本)の光ファイバ心線11をそれぞれの繰出機20から繰出し、サプライガイドローラ21およびサプライダンサローラ22を介して、集線ローラ23により平行一列に並べる。平行一列に並べられて走行される光ファイバ心線の少なくとも一方の配列面に、樹脂供給装置24によりUV樹脂が付与される。なお、樹脂供給装置24へのUV樹脂は、加圧装置26により作動されるUV樹脂タンク25から供給される。
【0035】
次いで、光ファイバ心線の配列面に付与されたUV樹脂は、UV照射装置27により硬化され、図5の光ファイバテープ心線10′とされる。光ファイバテープ心線10′は、引取ガイドローラ28を経て引取機29により引取られ、アキュームレータ30および巻取ダンサローラ31を経て、間欠加工装置34に案内される。間欠加工装置34では、光ファイバテープ心線10′に間欠加工が行われ、連結部と非連結部とが形成された間欠8心テープ心線10a(図2)または間欠8心テープ心線10b(図3)とされる。そして、間欠8心テープ心線10aまたは間欠8心テープ心線10bは、巻取ガイドローラ32に案内され、巻取機33で巻き取られる。なお、テープ心線10′の間欠加工は、別工程で行うようにしてもよい。
【0036】
図7は、図6の間欠加工装置34の一例を示す図である。間欠加工装置34は、カッター刃34aと、テープガイド34bとで構成される。間欠加工前の光ファイバテープ心線10′がテープガイド34bに案内されると、図7(A)に示すように、切り込みを入れるべき位置にカッター刃34aを移動させ、図7(B)に示すように、カッター刃34aを降下させて切り込みを入れる。このようにして、光ファイバテープ心線10′の所定位置に所定長の切り込みを入れていき、長手方向に連結部と非連結部とを形成する。これにより、前述の図2に示した間欠8心テープ心線10aまたは図3に示した間欠8心テープ心線10bが製造される。
【0037】
以上では、本発明による光ファイバテープ心線の実施形態について説明したが、本発明は、この光ファイバテープ心線を収容し、外被で被覆した光ケーブルの形態としてもよい。例えば、複数枚の光ファイバテープ心線をケーブルコアに収容し、このケーブルコアの外側を外被で被覆してなる光ケーブルとすることができる。
【0038】
図8は、本発明による光ケーブルの一例を示す図で、スロット型光ファイバケーブルに上述した光ファイバテープ心線をユニット化して組み込んだものである。図8(A)はスロット型光ファイバケーブルを示し、図8(B)は図8(A)のスロット型光ファイバケーブルに収容されるテープ心線ユニットを示す。本例に示す間欠4心テープ心線10cの場合、図3の8心の場合と同様に、両端の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、連続的に連結部14が形成され、両端の光ファイバ心線に挟まれた内部の隣り合う光ファイバ心線間の長手方向には、連結部12と非連結部13とが間欠的に形成されている。
【0039】
そして、本例は、この間欠4心テープ心線10cを10枚並べ、各テープ心線間を連結部16により連続的にあるいは間欠的に連結した40心のテープ心線ユニット45を、1スロット内に5枚ずつ収容した場合について示している。なお、本発明による光ケーブルに適用可能な間欠テープ心線は、上記の4心に限らず、8心、12心、16心等としてもよい。
【0040】
図8(A)において、光ファイバケーブル40は、例えば、プラスチックで形成され、中心部に鋼線等のテンションメンバ43が埋設されたスロットロッド41を用いたもので、螺旋状またはSZ状のスロット溝42に、上述したテープ心線ユニット45を収納して構成される。スロット溝42内にテープ心線ユニット45を収納した後、外周面に上巻テープ(図示せず)を縦添えまたは横巻きで巻付け、その外周をポリエチレン等の外被44で覆って形成される。本例の場合、1つのスロット溝42に、40心のテープ心線ユニット45が5枚収納されるため、1つのスロット溝42について、200心の光ファイバ心線が収納されることになる。そして、このスロット溝42が5個あるため、全体では1000心の光ファイバ心線が収納される。
【0041】
また、図8(B)のテープ心線ユニット45は、間欠4心テープ心線10cを10枚平行一列に並べ、その片面側が連結部16により連結され、40心のテープ心線ユニットとされている。そして、図8(B)に示すように、連結部16を内側にして丸めた形態としているが、連結部16を外側にして丸めた形態としてもよい。連結部16を内側にして丸めた場合、テープ心線ユニット45を曲げ易いという利点がある。
【0042】
図9は、本発明による光ケーブルの他の例を示す図で、上述した光ファイバテープ心線ユニットを複数束ねて集合し光ファイバケーブルに組み込んだものである。図9(A)は光ファイバケーブルを示し、図9(B),(C)は図9(A)の光ファイバケーブルに収容されるテープ心線ユニットの集合体を示す。本例のテープ心線ユニット52は、例えば、図8(B)のテープ心線ユニット45と同様である。
【0043】
光ファイバケーブル50は、例えば、テープ心線ユニット52のユニット集合体51を、複数(図では5組)組み付けて円形状に束ね、その外周をポリエチレン等の外被55で覆って形成される。なお、外被55には、鋼線等のテンションメンバ56が埋設されると共に、外被引裂き用の引裂き紐57が配設される。
【0044】
光ファイバケーブル50のユニット集合体51は、例えば、図9(B)に示すように、複数のテープ心線ユニット52を断面が扇状になるように束ねて、縦添えテープ53aと押え巻き紐54により、集合一体化させて形成される。また、図9(C)に示すように、複数のテープ心線ユニット52を断面が扇状になるように束ねて、横巻きテープ53bで集合一体化させて形成してもよい。
【0045】
なお、図9(B),(C)に示すテープ心線ユニット52は、例えば、40心のテープ心線ユニットを使用し、これを5枚組み込んで200心の光ファイバ心線からなるユニット集合体51aまたは51bとした例である。また、図9(A)の光ファイバケーブル50は、200心の光ファイバ心線からなるユニット集合体51aまたは51bの5組を組み付けて、1000心の光ファイバ心線を有する光ファイバケーブルとしたものである。なお、図9では、ユニット集合体51aまたは51bの断面形状を扇状としているが、光ファイバケーブルとして組み付け易い形状としたもので、これに特定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
10,10a,10b…間欠テープ心線(間欠8心テープ心線)、10c…間欠テープ心線(間欠4心テープ心線)、10′…光ファイバテープ心線、11…光ファイバ心線、12,14,16…連結部、13…非連結部、15…テープ樹脂、20…繰出機、21…サプライガイドローラ、22…サプライダンサローラ、23…集線ローラ、24…樹脂供給装置、25…UV樹脂タンク、26…加圧装置、27…UV照射装置、28…引取ガイドローラ、29…引取機、30…アキュームレータ、31…巻取ダンサローラ、32…巻取ガイドローラ、33…巻取機、34…間欠加工装置、40,50…光ファイバケーブル、41…スロットロッド、42…スロット溝、43,56…テンションメンバ、44,55…外被、45,52…テープ心線ユニット、51,51a,51b…ユニット集合体、53a…縦添えテープ、53b…横巻きテープ、54…押え巻き紐、57…引裂き紐。
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