特許第6362390号(P6362390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6362390-ロータリージョイント、及び、研磨装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362390
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ロータリージョイント、及び、研磨装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/087 20060101AFI20180712BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20180712BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   F16L27/087
   B24B37/00 K
   H01L21/304 621D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-81010(P2014-81010)
(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公開番号】特開2015-200395(P2015-200395A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100114487
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100153947
【弁理士】
【氏名又は名称】家成 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】相澤 英夫
(72)【発明者】
【氏名】曽根 忠一
(72)【発明者】
【氏名】梅本 正雄
(72)【発明者】
【氏名】小菅 隆一
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−127725(JP,A)
【文献】 特開2014−003063(JP,A)
【文献】 特開平05−231425(JP,A)
【文献】 特開2008−213074(JP,A)
【文献】 特開2011−007274(JP,A)
【文献】 特開2006−177453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/087
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸周りに回転する回転体と、
前記回転体の周囲に設けられたハウジングと、
前記回転体と前記ハウジングとの間に設けられ、前記回転体の回転を支持する軸受と、を備え、
前記回転体の内部に形成された流路を介して、基板を研磨するための研磨パッドが貼り付けられる研磨テーブル、又は、前記基板を保持して前記研磨パッドへ押圧する保持部、へ流体を供給可能なロータリージョイントであって、
前記回転体と前記軸受との間、及び、前記ハウジングと前記軸受との間、の少なくとも一方には、弾性部材が介在
前記軸受は、前記回転体の両端部に一対に設けられ、
前記ハウジングは、前記一対の軸受の外輪が嵌め込まれる矩形部を形成するように矩形の面取り加工がされており、
前記ハウジングの前記矩形部には、前記一対の軸受と当接することによって前記一対の軸受が前記回転軸に沿って相互に近づく方向の移動を規制する規制部が形成され、
前記ロータリージョイントは、前記ハウジングの両端部に設けられた一対のフランジをさらに備え、前記一対のフランジは、前記一対の軸受を前記規制部に押圧するようにねじ止めにより前記ハウジングの両端部に固定されている、
ことを特徴とするロータリージョイント。
【請求項2】
請求項1のロータリージョイントにおいて、
前記回転体の前記軸受に対向する外面には、前記回転体の回転方向に沿って溝が形成され、
前記弾性部材は、前記溝に設けられたOリングである、
ことを特徴とするロータリージョイント。
【請求項3】
請求項1又は2のロータリージョイントにおいて、
前記回転体は、前記回転軸に沿って延在するシャフトであり、
前記シャフトの内部には、前記流体を通流させるための流路が前記回転軸に沿って延在して形成される、
ことを特徴とするロータリージョイント。
【請求項4】
請求項3のロータリージョイントにおいて、
前記流路には、少なくとも純水を含む流体が通流され、
前記シャフトは、樹脂で形成される、
ことを特徴とするロータリージョイント。
【請求項5】
基板を研磨するための研磨パッドが貼り付けられる研磨テーブルと、
前記基板を保持して前記研磨パッドへ押圧する保持部と、
前記研磨テーブル、又は、前記保持部、へ流体を供給する請求項1〜のいずれか1項のロータリージョイントと、
を備えることを特徴とする研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリージョイント、及び、研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、多層配線の層数も増加している。回路の微細化を図りながら多層配線を実現するためには、半導体デバイス表面を精度よく平坦化処理する必要がある。
【0003】
半導体デバイス表面の平坦化技術として、化学的機械研磨(CMP(Chemical
Mechanical Polishing))が知られている。CMPを行うための研磨装置は、研磨パッドが貼り付けられた研磨テーブルと、研磨対象物(例えば半導体ウエハなどの基板、又は基板の表面に形成された各種の膜)を保持するためのトップリングとを備えている。研磨装置は、研磨テーブルを回転させるとともにトップリングを回転させながら研磨対象物を研磨パッドに押圧することによって研磨対象物を研磨する。
【0004】
研磨装置においては、研磨テーブル又はトップリングなどの回転構造物へ流体を供給するためにロータリージョイントが使用される。例えば、ロータリージョイントは、研磨テーブルの冷却を行うための冷却水を研磨テーブルへ供給する場合に用いられる。また、ロータリージョイントは、研磨テーブルの内部に設けられた光学式膜厚センサによって研磨対象物の膜厚を検出する場合に、光学式膜厚センサの周りを純水で満たして検出精度を向上させるために、研磨テーブルへ純水を供給する場合に用いられる。また、これらの例に限らず、ロータリージョイントは、研磨装置においてその他の様々な用途に用いられる。
【0005】
ロータリージョイントは、回転軸周りに回転する回転体と、回転体の周囲に設けられたハウジングと、回転体とハウジングとの間に設けられた軸受と、を備えて構成される。ロータリージョイントは、ハウジングに形成された流体接続口、及び、回転体の内部に形成された流路、を介して研磨テーブル又はトップリングへ流体を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−325356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術は、ロータリージョイントの回転に起因する異音の発生を抑制することは考慮されていない。
【0008】
すなわち、軸受は、回転体とハウジングとの間に嵌め合いによって組み付けるのが一般的であるが、軸受、回転体、及び、ハウジングの寸法公差、又はこれらの部品の組み立て精度などの問題により適切な嵌め合いを持たせることが難しい場合がある。また、ロータリージョイントによって純水を供給する場合には、回転体は純水を通流させるために樹脂で形成されることがある。この場合、樹脂のクリープ現象、及び、絶対強度の関係で適切な嵌め合いを持たせることが難しい場合がある。
【0009】
軸受、回転体、及び、ハウジングの適切な嵌め合いが難しい場合、軸受と回転体との間、又は、軸受とハウジングとの間に隙間が形成されるおそれがある。すると、ロータリージョイントの回転時に振動が発生し、この振動に起因して異音が発生するおそれがある。
特に、ロータリージョイントが比較的低い回転速度で回転している場合には、異音が発生するおそれがある。
【0010】
そこで、本願発明の一形態は、ロータリージョイントの回転に起因する異音の発生を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明のロータリージョイントの一形態は、上記課題に鑑みなされたもので、回転軸周りに回転する回転体と、前記回転体の周囲に設けられたハウジングと、前記回転体と前記ハウジングとの間に設けられ、前記回転体の回転を支持する軸受と、を備え、前記ハウジングに形成された流体接続口、及び、前記回転体の内部に形成された流路を介して、基板を研磨するための研磨パッドが貼り付けられる研磨テーブル、又は、前記基板を保持して前記研磨パッドへ押圧する保持部、へ流体を供給可能なロータリージョイントであって、前記回転体と前記軸受との間、及び、前記ハウジングと前記軸受との間、の少なくとも一方には、弾性部材が介在する、ことを特徴とする。
【0012】
また、ロータリージョイントの一形態において、前記回転体の前記軸受に対向する外面には、前記回転体の回転方向に沿って溝が形成され、前記弾性部材は、前記溝に設けられたOリングとすることができる。
【0013】
また、ロータリージョイントの一形態において、前記回転体は、前記回転軸に沿って延在するシャフトであり、前記シャフトの内部には、前記流体を通流させるための流路が前記回転軸に沿って延在して形成されてもよい。
【0014】
また、ロータリージョイントの一形態において、前記流路には、少なくとも純水を含む流体が通流され、前記シャフトは、樹脂で形成されてもよい。
【0015】
また、ロータリージョイントの一形態において、前記軸受は、前記回転体の両端部に一対に設けられ、前記ハウジングには、前記一対の軸受と当接することによって前記一対の軸受が前記回転軸に沿って相互に近づく方向の移動を規制する規制部が形成され、前記ロータリージョイントは、前記ハウジングの両端部に設けられ、前記一対の軸受を前記規制部に押圧する一対のフランジをさらに備える、ことができる。
【0016】
本願発明の研磨装置の一形態は、基板を研磨するための研磨パッドが貼り付けられる研磨テーブルと、前記基板を保持して前記研磨パッドへ押圧する保持部と、前記研磨テーブル、又は、前記保持部、へ流体を供給する上記のいずれかのロータリージョイントと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
かかる本願発明の一形態によれば、ロータリージョイントの回転に起因する異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、研磨装置の全体構成を模式的に示す図である。
図2図2は、ロータリージョイントの概略構成、及び、軸受の構成を示す図である。
図3図3は、ロータリージョイントの詳細構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明の一実施形態に係るロータリージョイント、及び、研磨装置を図面に基
づいて説明する。まず、研磨装置について説明する。
【0020】
<研磨装置>
図1は、研磨装置の全体構成を模式的に示す図である。図1に示すように、研磨装置100は、研磨対象物(例えば、半導体ウエハなどの基板、又は基板の表面に形成された各種の膜)102を研磨するための研磨パッド108を上面に取付け可能な研磨テーブル110と、研磨テーブル110を回転駆動する第1の電動モータ112と、研磨対象物102を保持可能なトップリング116と、トップリング116を回転駆動する第2の電動モータ118と、を備える。
【0021】
また、研磨装置100は、研磨パッド108の上面に研磨材を含む研磨砥液を供給するスラリーライン120を備える。また、研磨装置100は、研磨装置100に関する各種制御信号を出力する研磨装置制御部140を備える。また、研磨装置100は、研磨テーブル110へ各種電気信号を供給するためのロータリーコネクタ170を備える。
【0022】
また、研磨装置100は、研磨テーブル110を冷却するためのチラー水、及び、後述する光学式膜厚センサの膜厚測定に用いられる純水を、研磨テーブル110へ供給するためのロータリージョイント160を備える。ロータリージョイント160には、チラー水の供給管162、チラー水の排出管166、及び純水の供給管164が接続される。
【0023】
研磨装置100は、研磨対象物102を研磨するときは、研磨砥粒を含む研磨スラリーをスラリーライン120から研磨パッド108の上面に供給し、第1の電動モータ112によって研磨テーブル110を回転駆動する。そして、研磨装置100は、トップリング116を、研磨テーブル110の回転軸とは偏心した回転軸回りで回転させた状態で、トップリング116に保持された研磨対象物102を研磨パッド108に押圧する。これにより、研磨対象物102は研磨スラリーを保持した研磨パッド108によって研磨され、平坦化される。
【0024】
次に、研磨終点検出装置200について説明する。図1に示すように、研磨終点検出装置200は、光学式膜厚センサ210と、ロータリージョイント・コネクタ160,170を介して光学式膜厚センサ210と接続された終点検出装置本体220と、を備える。
【0025】
研磨テーブル110及び研磨パッド108には、光学式膜厚センサ210を研磨テーブル110の裏面側から挿入できる穴が形成されている。光学式膜厚センサ210は、研磨テーブル110及び研磨パッド108に形成された穴に挿入される。光学式膜厚センサ210は、研磨対象物102へ向けて光を照射し、研磨対象物102から反射した複数の反射光を受光し、終点検出装置本体220へ送る。
【0026】
終点検出装置本体220は、光学式膜厚センサ210から送られた複数の反射光の合成波の信号強度の推移に基づいて、研磨対象物102の研磨終点を検出する。終点検出装置本体220は、例えば、研磨対象物102の研磨レートと合成波の信号強度の推移の周期との関係が既知になっていれば、研磨対象物102の研磨終点を検出することができる。
【0027】
終点検出装置本体220は、研磨装置100に関する各種制御を行う研磨装置制御部140と接続されている。終点検出装置本体220は、複数の反射光の合成波の信号強度の推移に基づいて研磨対象物102の研磨終点を検出したら、その旨を示す信号を研磨装置制御部140へ出力する。研磨装置制御部140は、終点検出装置本体220から研磨終点を示す信号を受信したら、研磨装置100による研磨を終了させる。
【0028】
<ロータリージョイント>
次に、ロータリージョイント160について説明する。図2は、ロータリージョイントの概略構成、及び、軸受の構成を示す図である。図3は、ロータリージョイントの詳細構成を示す図である。
【0029】
図2,3に示すように、ロータリージョイント160は、仮想的な回転軸Aの周りに回転する回転体1600と、回転体1600の周囲に設けられた円筒状のハウジング1620と、回転体1600とハウジング1620との間に設けられ、回転体1600の回転を支持する軸受1630と、を備える。回転体1600は、回転軸Aに沿って延在し回転軸Aの周りに回転するシャフト1610と、シャフト1610の下端にボルトなどによって固定されたスリーブ1618と、を備える。ハウジング1620は、シャフト1610及びスリーブ1618と同心円状の筒体である。また、ロータリージョイント160は、ハウジング1620の外周に設けられた、ハウジング1620の回転を規制するための回り止めプレート1660を備える。
【0030】
ハウジング1620には、流体を研磨テーブル110へ供給するための流体接続口1622,1626が形成される。流体接続口1622は、チラー水の供給管162に接続される。流体接続口1626は、チラー水の排出管166に接続される。また、ハウジング1620には、研磨テーブル110へ純水を供給するための流体接続口1624が形成される。流体接続口1624は、純水の供給管164に接続される。流体接続口1622,1624,1626は、ハウジング1620を径方向に貫通するように形成される。ロータリージョイント160は、流体接続口1622とチラー水の供給管162との接続部、及び、流体接続口1626とチラー水の排出管166との接続部に設けられたメカニカルシール1690を備える。また、ロータリージョイント160は、流体接続口1624と純水の供給管164との接続部に設けられたメカニカルシール1690を備える。ただし、ここに示した配管接続はあくまで一例であり、他の接続口と接続することができる。
【0031】
シャフト1610及びスリーブ1618は、回転軸Aに沿って延在し中空に形成される。シャフト1610及びスリーブ1618の中空部分には、研磨テーブル110へ接続される各種信号の配線が配置される。シャフト1610の内部には、流体を通流させるための流路1612,1614,1616が回転軸Aに沿って延在して形成される。例えば、流体接続口1622から供給されたチラー水は、流路1612を介して研磨テーブル110へ供給される。研磨テーブル110を経たチラー水は、流路1616を通り流体接続口1626から排出される。また、流体接続口1624から供給された純水は、流路1614を介して研磨テーブル110(光学式膜厚センサ210が設置された穴)へ供給される。流路1614には純水を含む流体が通流されるので、シャフト1610は樹脂で形成される。
【0032】
ロータリージョイント160は、ハウジング1620に形成された流体接続口1622,1624,1626、及び、シャフト1610の内部に形成された流路1612,1614,1616を介して、研磨テーブル110へ流体を供給可能である。なお、本実施形態は、研磨テーブル110へ流体を供給するロータリージョイント160について説明するが、これには限られない。例えば、トップリング116へ流体を供給するロータリージョイントについても同様の構成を採用することができる。
【0033】
<軸受、及び、弾性部材>
軸受1630は、一例としてリング状のボールベアリングであり、回転体1600(シャフト1610及びスリーブ1618)の両端部に一対に設けられる。具体的には、研磨テーブル110側に設けられた軸受1630は、シャフト1610の研磨テーブル110側の端部に設けられる。また、ロータリーコネクタ170側に設けられた軸受1630は、スリーブ1618のロータリーコネクタ170側の端部に設けられる。軸受1630は
、リング状に形成された内輪1634と、内輪1634より大きな径でリング状に形成された外輪1636と、内輪1634と外輪1636との間に挟まれた複数のボール1632と、を備える。
【0034】
本実施形態では、回転体1600と軸受1630との間、及び、ハウジング1620と軸受1630との間、の少なくとも一方には、弾性部材1640が介在する。具体的には、本実施形態では、シャフト1610と軸受1630との間、及び、スリーブ1618と軸受1630との間、に弾性部材1640が介在している。より具体的には、軸受1630の内輪1634と、シャフト1610の外面と、の間、及び、軸受1630の内輪1634と、スリーブ1618の外面と、の間、に弾性部材1640が介在する。
【0035】
シャフト1610の軸受1630に対向する外面には、シャフト1610の回転方向に沿って溝1619が形成される。同様に、スリーブ1618の軸受1630に対向する外面には、スリーブ1618の回転方向に沿って溝1619が形成される。そして、弾性部材1640は、溝1619に設けられたOリングとすることができる。ただし、弾性部材1640は、Oリングに限らず、弾性を有する部材であればよい。
【0036】
また、本実施形態は、軸受1630の内輪1634と、回転体1600の外面と、の間に弾性部材1640が介在する例を示したが、これには限られない。例えば、軸受1630の外輪1636と、ハウジング1620の内面と、の間に弾性部材1640が介在していてもよい。また、軸受1630の内輪1634と回転体1600の外面との間、及び、軸受1630の外輪1636とハウジング1620の内面との間、の両方に弾性部材1640が介在していてもよい。
【0037】
<フランジ>
また、ハウジング1620には、一対の軸受1630と当接することによって一対の軸受1630が回転軸Aに沿って相互に近づく方向の移動を規制する規制部1628が形成される。具体的には、円筒状のハウジング1620の両端部の内周側の角部には、軸受1630の外輪1636が嵌め込まれる矩形の面取り加工がされている。この面取り加工によって、ハウジング1620には、軸受1630の外輪1636の外周面に当接する側面と、軸受1630の外輪1636の底面に当接する底面が形成される。規制部1628は、ハウジング1620の面取り加工によって形成される底面に相当する。
【0038】
ロータリージョイント160は、ハウジング1620の両端部に設けられ、一対の軸受1630を規制部1628に押圧する一対のフランジ1650を備える。一対のフランジ1650は、例えば、ねじ止めなどによってハウジング1620の両端部に固定され、一対の軸受1630を規制部1628に押圧する。一例としては、研磨テーブル110側のフランジ1650は、軸受1630の外輪1636の回転軸A方向の締め代が0.15〜0.5mmとなるように、軸受1630を規制部1628に押圧することができる。また、一例としては、ロータリーコネクタ170側のフランジ1650は、軸受1630の外輪1636の回転軸A方向の締め代が0.05〜0.5mmとなるように、軸受1630を規制部1628に押圧することができる。ただし、ここに示した締め代はあくまで一例であり、その他の締め代とすることができる。
【0039】
以上、本実施形態のロータリージョイント160によれば、ロータリージョイント160の回転に起因する異音の発生を抑制することができる。すなわち、軸受1630は、回転体1600とハウジング1620との間に嵌め合いによって組み付けるのが一般的である。しかしながら、従来技術では、軸受1630、回転体1600、及び、ハウジング1620の寸法公差、又はこれらの部品の組み立て精度などの問題により適切な嵌め合いを持たせることが難しい場合がある。また、本実施形態のように、ロータリージョイント1
60によって純水を供給する場合には、回転体1600のシャフト1610は純水を通流させるために樹脂で形成される。この場合、樹脂のクリープ現象、及び、絶対強度の関係で適切な嵌め合いを持たせることが難しい場合がある。
【0040】
軸受1630、回転体1600、及び、ハウジング1620の適切な嵌め合いが難しい場合、軸受1630と回転体1600との間、又は、軸受1630とハウジング1620との間に隙間が形成されるおそれがある。すると、ロータリージョイント160の回転時に振動が発生し、この振動に起因して異音が発生するおそれがある。特に、ロータリージョイント160が比較的低い回転速度で回転している場合には、異音が発生するおそれがある。
【0041】
これに対して本実施形態では、回転体1600と軸受1630との間に弾性部材1640であるOリングが介在して設けられている。弾性部材1640は、軸受1630と回転体1600との間、及び、軸受1630とハウジング1620との間の隙間に応じて弾性変形する。したがって、軸受1630と回転体1600との間、及び、軸受1630とハウジング1620との間の隙間は、弾性部材1640によって吸収される。したがって、本実施形態によれば、ロータリージョイント160の回転時に振動が発生することが抑制され、その結果、ロータリージョイント160の回転に起因する異音の発生を抑制することができる。
【0042】
これに加えて、本実施形態では、一対のフランジ1650によって、一対の軸受1630を規制部1628に押圧するので、ロータリージョイント160の回転時に振動が発生することが抑制される。その結果、本実施形態によれば、ロータリージョイント160の回転に起因する異音の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0043】
100 研磨装置
102 研磨対象物
108 研磨パッド
110 研磨テーブル
116 トップリング
160 ロータリージョイント
162 チラー水の供給管
164 純水の供給管
166 チラー水の排出管
210 光学式膜厚センサ
1600 回転体
1610 シャフト
1612,1614,1616 流路
1618 スリーブ
1619 溝
1620 ハウジング
1622,1624,1626 流体接続口
1628 規制部
1630 軸受
1632 ボール
1634 内輪
1636 外輪
1640 弾性部材(Oリング)
1650 フランジ
1690 メカニカルシール
A 回転軸
図1
図2
図3