特許第6362854号(P6362854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362854
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ゲル状組成物、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/65 20060101AFI20180712BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20180712BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   A61K8/65
   A61K8/81
   A61K8/35
   A61K8/02
   A61Q13/00 100
   A61L9/01 Q
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-249998(P2013-249998)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-107919(P2015-107919A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北島 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 道香
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 和宏
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−192011(JP,A)
【文献】 特開2006−068668(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/052802(WO,A1)
【文献】 特開2006−180959(JP,A)
【文献】 特開2005−334055(JP,A)
【文献】 特開2002−331023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/65
A61K 8/02
A61K 8/35
A61K 8/81
A61L 9/01
A61Q 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゼラチン、(B)カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤、ならびに(C)1−オクタナール、1−デカナール、1−ドデカナール、トランス−2−ヘキセナール、トリプラール、p−アニスアルデヒド及びヘキシルシンナムアルデヒドからなる群より選択される少なくとも1種の香料を含有し、該(C)成分の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とするゲル状組成物。
【請求項2】
前記カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)が、無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との共重合体のアンモニア反応物であることを特徴とする請求項1に記載のゲル状組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゲル状組成物からなる芳香剤。
【請求項4】
(A)ゼラチン、(B)カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤、ならびに(C)1−オクタナール、1−デカナール、1−ドデカナール、トランス−2−ヘキセナール、トリプラール、p−アニスアルデヒド及びヘキシルシンナムアルデヒドからなる群より選択される少なくとも1種の香料を混合する工程を含むゲル状組成物の製造方法、ここで、該ゲル状組成物中、該(C)成分の含有量は0.01〜10質量%である
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、淡黄色乃至は赤褐色に呈色したゲル状組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、防虫剤、脱臭剤、芳香剤等の分野において、ゲル状組成物を用いて形成されるゲルを用いた製品が、広く一般的に利用されている。
【0003】
当該ゲルを形成するために用いられるゲル状組成物として、ゼラチンと、エチレン性不飽和化合物とマレイン酸の共重合体との反応物を必須成分とする水性液用ゲル化剤は、透明性かつ保形性を有し、ゲル作製時に毒性のある化合物を取り扱わず、さらに、作製時の溶解性も良好な水系ゲルが得られることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところで、前記のゲル状組成物から形成されるゲルにおいて、外観性を向上させるために、色素等の着色剤を配合し、呈色を施すことが知られている。しかしながら、ゲル中に色素等の着色剤を配合した場合、ゲル状組成物の調剤中に気泡が発生しやすくなるため、消泡剤等の更なる添加剤を配合する必要があった。また、色素等の着色剤が日光暴露によって退色するため、紫外線吸収剤の添加も必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−192011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、色素等の着色剤を配合しなくとも退色が起こらず、ゲルを安定して淡黄色乃至は赤褐色に呈色させることのできるゲル状組成物を提供することを目的とし、さらに、色素等の着色剤を配合することなく、退色が起こらずゲルを安定して淡黄色乃至は赤褐色に呈色させることのできるゲル状組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゼラチンをカルボン酸アミド化合物からなる架橋剤によって架橋することによって得られるゲルを形成するためのゲル状組成物において、アルデヒド基を有する香料を含有することで、ゲル状組成物、及び当該ゲル状組成物から形成されるゲルが、色素等の着色剤を配合することなく、淡黄色乃至は赤褐色に安定的に呈色することを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は下記項に示すゲル状組成物、及びその製造方法を提供する。
【0009】
項1.(A)ゼラチン、(B)カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤、及び(C)アルデヒド基を有する香料を含有することを特徴とするゲル状組成物。
【0010】
項2.前記アルデヒド基を有する香料(C)が、炭素数6〜15のアルデヒド化合物を含むことを特徴とする項1に記載のゲル状組成物。
【0011】
項3.前記アルデヒド基を有する香料(C)が、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を有するアルデヒド化合物を含むことを特徴とする項1又は2に記載のゲル状組成物。
【0012】
項4.前記カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)が、無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との共重合体のアンモニア反応物であることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載のゲル状組成物。
【0013】
項5.項1〜4のいずれかに記載のゲル状組成物からなる芳香剤。
【0014】
項6.(A)ゼラチン、(B)カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤、及び(C)アルデヒド基を有する香料を混合する工程を含むゲル状組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のゲル状組成物は、ゲル化することによって得られるゲルが、色素等の着色剤を配合しなくとも淡黄色乃至は赤褐色を安定的に呈色することができる。そのため、色素等の着色剤をさらに配合する必要がない。また、本発明のゲル状組成物は、退色が起きず、安定して淡黄色乃至は赤褐色に呈色するため、従来の色素等の着色剤を配合することによって生じる、日光等の暴露による退色を防止するための紫外線吸収剤等の配合が必要ない。
【0016】
さらに、色素等の着色剤を配合することによって生じるゲル中の気泡の発生についても、本発明のゲル状組成物では、色素等の着色剤を配合する必要がないため、消泡剤等の更なる添加が不要であり、簡易な処方で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明のゲル状組成物は、(A)ゼラチン、(B)カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤、及び(C)アルデヒド基を有する香料とを含有する。
【0018】
ゼラチン(A)としては、アルカリ処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、またゼラチン加水分解物も用いることができ、少なくとも1個の遊離のアミノ基を持っていればよい。例えば、牛骨の無機物を取り除いてオセインとした後、消石灰の懸濁液中に浸漬させておき、牛皮は適当な大きさに切断し、水洗してから石灰液中に通常2〜3ケ月間浸漬させる。このような石灰液による前処理を行って得られるゼラチンをアルカリ処理ゼラチンという。これに対して豚皮を希塩酸又は希硫酸に数十時間浸漬させて処理して得られるゼラチンを酸処理ゼラチンという。本発明のゲル状組成物として用いるゼラチン(A)としては、前記のいずれのゼラチンを用いてもよい。
【0019】
ゼラチン(A)の形状としては、粒状、粉末、シート状のいずれの形状であっても使用でき、分子量としては3,000〜30,000程度が好ましく、特にゲルの透明性かつ保形性を得られるという観点から、分子量5,000〜20,000程度がより好ましい。
【0020】
ゲル状組成物中に含有するゼラチン(A)の含有割合としては、1〜10質量%程度が好ましく、1〜5質量%程度がより好ましく、1〜3質量%程度がさらに好ましい。ゼラチン(A)の含有割合を1質量%程度以上に設定することにより、ゲル状組成物は、強固な三次元ネットワークを形成させることができ、ゲル化後、十分な保形性を得ることができる。また、ゼラチン(A)の含有割合を10質量%程度以下に設定することにより、水系成分の抱え込み等を抑制することができ、芳香剤等の機能が低下しない。なお、本発明のゲル状組成物を芳香剤として使用する場合には、ゲル状組成物中に含有するゼラチン(A)の含有割合を1〜3質量%程度に設定することが好ましい。
【0021】
カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)としては、例えば、側鎖にカルボン酸アミドを有する重合体が挙げられる。前記側鎖にカルボン酸アミドを有する重合体としては、例えば、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらの中で、取り扱いの安全性の観点から、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物がより好ましい。
【0022】
前記のエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体を得た後にアンモニアと反応させたものでもよいし、無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をエチレン性不飽和化合物と共重合したものでもよい。前者はエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒中で共重合して得られる共重合体にアンモニアを反応させることによって得られるものであり、後者は溶剤の存在下又は不存在下に無水マレイン酸とアンモニアを反応させたものをエチレン性不飽和化合物と共重合して得られる。好ましくは前者である。
【0023】
前記エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物を得るために用いるエチレン性不飽和化合物としては、無水マレイン酸と共重合し得るエチレン性不飽和化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えば、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類を有するオレフィン系不飽和化合物、非オレフィン系不飽和化合物等が挙げられる。
【0024】
オレフィン系不飽和化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、ビニリデン(塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)等が挙げられる。
【0025】
また、その他に、芳香族系オレフィン(スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンスルホン酸等);ハロゲン含有オレフィン(塩化ビニル、フッ化ビニル、四フッ化エチレン等);窒素含有オレフィン(ニトロエチレン、アクリロニトリル等)等が挙げられる。
【0026】
非オレフィン系不飽和化合物の具体例としては、ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ポリオキシアルキレン(n=2〜200)モノアリルモノアルキル(炭素数1〜24)エーテル等];アルキル基、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ベヘニル等);カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸グリコールモノエーテル等];スルホン酸基含有不飽和化合物[3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等];燐酸基含有不飽和化合物[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート等];アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等];3級アミン又は第4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、その4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等];エポキシ基含有不飽和化合物[グリシジル(メタ)アクリレート等];その他(N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルをケン化して得られるビニルアルコール等)等が挙げられる。
【0027】
これらの中で、好ましくは直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類及びビニルエーテルであり、より好ましくはイソブチレン、メチルビニルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアリルモノアルキルエーテルであり、特に好ましくはイソブチレン及びメチルビニルエーテルである。これらの単量体は、単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
前記共重合体を得るための重合方法としては、上記エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒の存在下又は不存在下熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合することができる。重合は例えば0〜200℃で常圧下又は加圧下にて行われる。熱ラジカル重合の場合はアゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(tert−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)、増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が併用される。得られた共重合物は溶媒を脱溶媒して使用してもよいし溶媒が存在したままでも使用してもよい。好ましくは脱溶媒したものである。重合体中におけるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との組成比は、生成した共重合体のアンモニア反応物が水に溶解するものであればどの程度であっても差し支えない。無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との組成比は、モル比で通常100:1〜1:100程度であり、好ましくは10:1〜1:10程度であり、特に好ましくは5:1〜1:5程度である。また生成した共重合体の分子量は、通常2,000〜5,000,000程度であり、好ましくは3,000〜3,000,000程度である。
【0029】
共重合体とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、共重合体の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法、あるいは共重合体粉末をアンモニア水に溶解する方法等が好ましく採用される。共重合体とアンモニアとの反応比は共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対して通常アンモニア0.5〜2モル、好ましくは0.8〜2モルである。反応生成物の水溶液(5質量%の濃度)の25℃における粘度は、通常5〜100,000cpsであり、好ましくは10〜10,000cpsであり、特に好ましくは15〜5,000cpsである。
【0030】
ゼラチン(A)とカルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)との反応は、カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)中のカルボン酸アミド基(−CONH)とゼラチン(A)中のリジン残基のアミノ基とが反応し、NHが脱離し、新たにアミド結合が形成され、その結果として三次元構造(ゲル化)が形成されると推定される。
【0031】
カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)の含有量としては、ゼラチン(A)100質量部に対して、3〜50質量部程度が好ましく、5〜40質量部程度がより好ましい。カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)の含有量を3質量部程度以上に設定することにより、低温条件下において、ゲル状組成物中に存在する水に対して溶解しないゲルを形成することができる。また、カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)の含有量を50質量部程度以下に設定することにより、透明性が損なわれず、外観が良好なゲル状組成物を得ることができる。
【0032】
アルデヒド基を有する香料(C)としては、例えば、炭素数6〜15、好ましくは、炭素数6〜12のアルデヒド化合物を含む香料が挙げられる。
【0033】
また、アルデヒド化合物の具体例としては、例えば、置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を有するアルデヒド化合物、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基を有するアルデヒド化合物等が挙げられる。
【0034】
即ち、式(1):
−CHO (1)
(式(1)中、Rは、置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基である。)
で表されるアルデヒド化合物が挙げられる。
【0035】
置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基における炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数5〜14のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数5〜14のアルケニル基等が挙げられる。
【0036】
直鎖状又は分岐鎖状の炭素数5〜14のアルキル基の具体例としては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。
【0037】
また、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数5〜14のアルケニル基としては、前記アルキル基に、二重結合を1個〜2個程度有する基が挙げられる。なお、当該アルケニル基としては、トランス体、又はシス体のいずれの構造異性体であってもよい。
【0038】
前記直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基における置換されていてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基等が挙げられる。
【0039】
炭素数1〜4のアルキル基が置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、tert−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0040】
炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロアルキル基、ジメチルシクロアルキル基等が挙げられる。
【0041】
炭素数3〜8のシクロアルケニル基としては、前記シクロアルキル基に、二重結合を1個〜2個程度有する基が挙げられる。なお、当該シクロアルケニル基としては、トランス体、又はシス体のいずれの構造異性体であってもよい。また、これらの構造異性体が混合されたものであってもよい。
【0042】
炭素数1〜4の低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
【0043】
これらの直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基に置換されていてもよい置換基は、炭化水素基上に1〜3個程度有していてもよい。
【0044】
置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を有するアルデヒド化合物のより具体的な例としては、1−オクタナール、1−デカナール、1−ドデカナール、トランス−2−ヘキナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、3−(4−tert−ブチルフェニル)ブタナール、3,7−ジメチルオクト−6−エナール等が挙げられる。
【0045】
置換基を有していてもよい環状の炭化水素基を有するアルデヒド化合物における環状の炭化水素基としては、炭素数6〜10のアリール基、炭素数3〜8程度のシクロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0046】
炭素数6〜10のアリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。炭素数3〜8のシクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0047】
炭素数3〜8のシクロアルケニル基としては、前記シクロアルキル基に、二重結合を1個〜2個程度有する基が挙げられる。なお、当該シクロアルケニル基としては、トランス体、又はシス体のいずれの構造異性体であってもよい。これらの構造異性体が混合されたものであってもよい。
【0048】
前記環状の炭化水素基に置換されていてもよい置換基としては、水酸基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基等が挙げられる。
【0049】
前記置換基を有していてもよい環状の炭化水素基を有するアルデヒド化合物のより具体的な例としては、トリプラール、p−アニスルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2,4,6−トリメチルシクロヘキシ−3−エン−1−カルバルデヒド、3,5,6−トリメチルシクロヘキシ−3−エン−1−カルバルデヒド、1,2−ジメチルシクロヘキシ−3−エン−1−カルバルデヒド、2,4−ジメチルシクロヘキシ−3−エン−1−カルバルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0050】
これらのアルデヒド化合物の中で、置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を有するアルデヒド化合物が好ましく、さらに、ゲル状組成物を淡黄色乃至は赤褐色に安定的に呈色させることができる点、混合後速やかに呈色させることができる点等から、直鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有するアルデヒド化合物がより好ましい。
【0051】
なお、前記のアルデヒド化合物において、分子中に不斉炭素を有する場合は、R体、S体のいずれの構造異性体であってもよく、また、R体、S体の混合物、ラセミ体であってもよい。
【0052】
ゲル状組成物中におけるアルデヒド基を有する香料(C)の含有割合としては、0.01〜10質量%程度が好ましく、ゲル状組成物を着色する際に、より鮮明な色合いを発現させるためには、0.03〜5質量%程度に設定することがより好ましい。アルデヒド基を有する香料(C)の含有割合を0.01質量%程度以上に設定することで、ゲル状組成物を着色することができる。また、アルデヒド基を有する香料(C)の含有割合を10質量%程度以下に設定することで、色合いが濃くなることを抑制でき、透明性が失われない点で好ましい。なお、ゲル状組成物の着色について、更に濃い色を発現させる場合には、10質量%程度含有していることが好ましい。
【0053】
なお、前記のアルデヒド基を有する香料(C)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の香料をさらに含有していてもよい。
【0054】
その他の香料としては、芳香性を有する物質として一般的に使用されているものであればよく、特に制限されるものではない。
【0055】
芳香性を有する物質としては、例えば天然香料や合成香料が挙げられ、これらは水溶性のものであればその水溶液、非水溶性のものであれば水と乳化剤、必要により溶剤等からなる水性エマルジョン又は水性液とすることができる。
【0056】
ここで、芳香性を有する物質はマスキング効果を兼備するため、実用上消臭性を有するとも言えることがある。
【0057】
天然香料としては、じゃ香、霊猫香、竜挺香等の動物性香料、アビエス油、アジヨクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ベージル油、ベルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブテ油、カナンガ油、カブシカム、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュベブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーリカ油、フエンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロベージ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はっか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油、ウォームウッド油、ワニラ豆エキストラクト等の植物性香料を含む。
【0058】
合成香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素類;リナロール、ゲラニオール、シトロネオール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコール等のアルコール類;アネノール、オイゲノール等のフェノール類;メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリン、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、P−メチルアセトフェノン、イオノン等のケトン類;アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン又はオキシド類;メチルフオーメート、イソプロピルフオーメート、リナリールフオーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸ゲラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ベラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリル酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチン酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルビルベート、エチルα−ブチルブチレート等のエステル類等を含む。
【0059】
これらのその他の香料は、一種類のみでもよいし、二種類以上を調合した調合香料でもよい。香料とともに、バッチュリ油等の揮発保留剤、オイゲノール等の変調剤その他香料工業に使用される種々の成分を添加して差し支えない。
【0060】
これらのその他の香料の使用量は、その種類により多少異なるが、通常、用いる全香料成分中、0.001〜99質量%程度である。
【0061】
さらに本発明のゲル状組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、脱酸素剤、酸化防止剤、界面活性剤、アルコール、充填剤、増量剤等が挙げられる。更に後述する用途に応じて、害虫忌避成分、消臭成分、殺虫成分、誘引成分等の成分を含有していてもよい。
【0062】
消臭成分としては、例えば、イネ、松、ヒノキ、笹等の植物からの抽出物質、酸又はアルカリ性の水性液等があり、これらを水、又は一部溶剤を含んだ水溶液で希釈した水性液とすることができる。
【0063】
なお、本発明のゲル状組成物は、前記成分(A)〜(C)を含有することで、黄色〜赤褐色の色を呈色することができる。そのため、色素等の着色剤をさらに添加する必要がない。また、着色剤として用いられる色素は、日光暴露等により退色するため、紫外線吸収剤をゲル状組成物中に含有させる必要があるが、本発明のゲル状組成物は色素を含有せず、安定して呈色することが可能である。そのため、紫外線吸収剤を含有しなくてもよい。
【0064】
本発明のゲル状組成物の製造方法は、(A)ゼラチンと(B)カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤と、(C)アルデヒド基を有する香料を混合する工程を含む。
【0065】
ゼラチン(A)、カルボン酸アミド化合物からなる架橋剤(B)、アルデヒド基を有する香料(C)としては、前記で挙げられたものを用いることができる。
【0066】
ゼラチン(A)、架橋剤(B)、香料(C)の配合順序は特に限定されるものではないが、事前にゼラチン(A)と架橋剤(B)を混合すると、反応機構上、呈色に関与するアンモニアが、反応相手である香料(C)と接触する前に一部ロスする傾向がある。そのため、ゼラチン(A)と架橋剤(B)が反応した際に発生するアンモニアと香料(C)が、効率よく反応し、より鮮明に呈色を促すために、ゼラチン(A)、及び香料(C)を予め混合した後に架橋剤(B)を混合する順序、若しくは、架橋剤(B)、及び香料(C)を予め混合した後にゼラチン(A)を混合する順序がより好ましい。なお、上記の混合順序は、前記効果に加えて、速やかにゲル状組成物が得られるという観点からも、好ましい。
【0067】
本発明のゲル状組成物は、含有する香料、上記の害虫忌避成分、消臭成分、殺虫成分、誘引成分等の成分等を揮散させることがさせる。そのため、これらの薬剤揮散させる薬剤揮散用組成物として用いることができる。
【0068】
さらに、本発明ゲル状組成物は、芳香剤、消臭剤、虫除け剤、殺虫剤、誘引剤等の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】実施例1〜8のゲル状組成物の吸光度を示すグラフである。なお、グラフの横軸は、波長を示し、縦軸は、吸光度を示す。
図2】比較例1〜7のゲル状組成物の吸光度を示すグラフである。なお、グラフの横軸は、波長を示し、縦軸は、吸光度を示す。
図3】実施例1〜8及び比較例1〜7のゲル状組成物について、48時間経過後の各サンプルの写真である。
図4】参考例1〜14の組成物について、48時間経過後の各サンプルの写真である。
【0070】
[実施例]
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
・実施例1〜8及び比較例1〜7
表1に示す成分、及び表2に示す香料(実施例1〜8)又は表3に示す香料(比較例1〜7)を、表1に示す含有割合になるように配合し、30℃で約3時間加熱させ、各サンプルを調製した。なお、表1に示す各成分の商品名及び製造元は、以下の通りである。
【0072】
・ゼラチン(ゼラチンSE−1((株)ニッピ製))
・イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、分子量6×10(架橋剤)(イソバン−04((株)クラレ製))
【0073】
[架橋剤溶液の調整]
イソバン−04(10質量部)にイオン交換水(84質量部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(6質量部)とを加え室温下1時間で均一に攪拌し、アンモニア中和率80%の均一に溶解した『イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアンモニア反応物』を得た。
【0074】
・ノニオン系界面活性剤(可溶化剤)(サンデットSK−30(三洋化成工業(株)製))
・3−メトキシ−3−メチル−ブタノール(溶剤)(ソルフィット((株)クラレ製)
・3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(防腐剤)(ホクサイドIPB(北興産業(株)製)
・チアゾリン系化合物(防腐剤)(スラオフ717A(日本エンバイロケミカルズ(株)製))
【0075】
得られた各サンプルについて、(株)島津製作所製の吸光光度計(UV‐1650PC)を用いて、吸光度を測定した。図1に実施例1〜8のゲル状組成物の吸光度のグラフを示す。なお、グラフの横軸は、波長を表し、縦軸は、吸光度を示す。また、図2に比較例1〜7のゲル状組成物の吸光度のグラフを示す。なお、グラフの横軸は、波長を表し、縦軸は、吸光度を示す。
【0076】
さらに、実施例1〜8及び比較例1〜7の各サンプルについて、48時間静置し、ゲル化した各サンプルを目視により、色調を以下の基準に準じて、6段階評価した。なお、評価人数は7名で、下記に示す評価基準に準じて評価を行い、評価結果は7名の平均値とした。評価結果を表2及び表3に示す。
【0077】
0:無色透明(ゼラチンのみと同じ色目)である
1:やや黄味がかっている
2:淡い黄色である
3:明らかに黄色である
4:やや赤味を帯びている
5:赤味を帯びている
【0078】
さらに、実施例1〜8及び比較例1〜7のゲル状組成物について、前記調製後の48時間経過後の各サンプルの写真を図3に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
・参考例1〜15
表4に示す成分、及び表5に示す香料(参考例1〜8)又は表6に示す香料(参考例9〜15)を、表4に示す含有割合になるように配合し、各サンプルを調製した。得られた参考例1〜15の各サンプルの写真を図4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】

【0085】
【表6】
【0086】
<結果と考察>
図1の吸光度のグラフ、及び表2の色調評価より、香料として、アルデヒド化合物を有する実施例1〜8のゲル状組成物は、ゲル状組成物が着色していることが分かる。
【0087】
特に、実施例1〜4のように、直鎖状の炭化水素を有するアルデヒド化合物を含むゲル状組成物においては、図1の吸光度のグラフ、及び図3の写真、並びに表2の色調評価からも明らかなように、着色がより顕著に発現した。
【0088】
さらに、図3の写真は、48時間経過後の写真であり、実施例1〜8のゲル状組成物は、安定して着色が維持されていることが確認できた。なお、実施例1〜8のゲル状組成物の着色は、90日以上経過しても、安定して直色が保持されていた。
【0089】
一方、香料として、エステルを用いた比較例1〜2のゲル状組成物、アルコールを用いた比較例3〜4のゲル状組成物、及びケトンを用いた比較例5〜7のゲル状組成物では、図2の吸光度のグラフ、図3の写真、及び表3の色調評価からも明らかなように、ゲル状組成物が全く着色していないことが分かる。
【0090】
このように、香料としてアルデヒド化合物を用いた場合において、着色剤のような添加剤を含有せずとも、淡黄色〜赤褐色の着色を付与することが可能である。
【0091】
参考例1〜3、及び5〜8のように、単に実施例1〜3及び実施例5〜8のアルデヒド化合物の香料とアンモニアを混合した場合では、図4に示すように、着色が全く見られなかった。
【0092】
また、参考例4は、実施例4と同じアルデヒド化合物を用いているが、実施例4と比較して、十分に着色していないことが分かる。
【0093】
本発明のゲル状組成物の着色のメカニズムは明らかではないが、ゼラチンと架橋剤との架橋反応の際に生じるアンモニアと、アルデヒド化合物との化学的な相互作用のみでは、着色効果が得られるものではなく、ゼラチンと架橋剤との架橋によって生じるアンモニアとアルデヒド化合物との反応物と、ゼラチンゲルとの立体構造とが合わさって、光の吸収(色付き)に影響しているものと推察される。
図1
図2
図3
図4