特許第6362882号(P6362882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362882固体イオンキャパシタ、及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362882
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】固体イオンキャパシタ、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/56 20130101AFI20180712BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20180712BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01G11/56
   H01G11/30
   H01G11/84
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-50605(P2014-50605)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-176911(P2015-176911A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】512103561
【氏名又は名称】エナジー・ストレージ・マテリアルズ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 敬章
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直之
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−130844(JP,A)
【文献】 特開2000−306762(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0331170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/56
H01G 11/30
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Agを含む第1および第2の電極層と、
Naを含むイオン伝導体のセラミックスからなる電解質層と、
を備え、
前記Naを含むイオン伝導体のセラミックスは、
Na1+x+y(AlZr2−y)(Si3−x)O12
0.1≦x≦0.67、0.1≦y≦0.4
を満たす組成を有し、
前記電解質層は、前記第1および第2の電極層の間に位置し、
前記電解質層と前記第1および第2の電極層とは共焼結体を構成している固体イオンキャパシタ。
【請求項2】
前記セラミックスの比誘電率が3000以上である請求項に記載の固体イオンキャパシタ。
【請求項3】
前記電解質層と、前記第1の電極層と、前記第2の電極層とをそれぞれ複数備え、
前記第1の電極層と前記第2の電極層とは、各電解質層とを介して交互に積層されている請求項1または2に記載の固体イオンキャパシタ。
【請求項4】
セラミックス用グリーンシートと、セラミックス用グリーンシートを挟むように形成した一対の金属ペースト層とを含むグリーンシート積層体を形成する工程と、
前記グリーンシート積層体を850℃以上1000℃以下の温度で保持することにより、セラミックス用グリーンシート金属ペースト層とを共焼結させる工程と
を包含し、
前記金属ペーストは、Agを含み、
前記セラミックス用グリーンシートは、セラミックスの主成分の原料として、Naを含み、
前記セラミックス用グリーンシートは、前記セラミックスの原料として、Na、Al、Zr、P、Siを、焼結後に
Na1+x+y(AlZr2−y)(Si3−x)O12
0.1≦x≦0.67、0.1≦y≦0.4
で表されるセラミックスとなる組成比で含む、固体イオンキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は固体イオンキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタの分野では、従来、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、マイカコンデンサ、電解コンデンサ等が使用されている。このうち、電解液を用いた電解コンデンサは容量が大きいという特性等を備え、電源回路の平滑用等に広く用いられている。
【0003】
電解コンデンサには、上述したように電解液が使用されているため、使用条件によっては、電解液を長期にわたって確実にキャパシタの容器に保持しておくことが難しい場合がある。電解液の漏洩が生じると、電解コンデンサの容量が低下する等の特性の変化が生じてしまう。
【0004】
このため、固体材料であり、かつ容量の大きなキャパシタとして、電解液の代わりにイオン伝導体を用いてキャパシタを実現することが提案され、近年、盛んに研究がなされている。このような固体材料はイオン伝導体あるいは固体電解質と呼ばれており、特に、水素イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、酸素イオンなどを伝導させることのできるイオン伝導体が注目されている。これらのイオンを伝導させることのできる固体材料は、燃料電池、二次電池、キャパシタ、水素の生成等、エネルギーの蓄積や変換を行うデバイスに利用可能なためである。
【0005】
例えば、特許文献1は、Li1+X1XTi2-X(PO43(ただし、M1は、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であり、0≦X≦0.6である)、Na1+γZr2-ββ3-γSiγ12(ただし、0≦γ≦3、0≦β≦2である)、Na1+α4α52-α(PO43(ただし、M4は、AlおよびInより選ばれる少なくとも1種の金属であって、M5は、Ge、Sn、Ti、Zr、およびHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であり、0≦α≦2である)で示される組成を有するイオン伝導体と、スパッタにより形成された金やニッケルなどの電極とを含む電気二重層コンデンサを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−130844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された電気二重層コンデンサでは、イオン伝導体を形成した後に、金やニッケルなどの高価な金属を用いた電極が、スパッタ装置などを用いて形成される。しかしながら、材料や設備にかかる費用、さらに製造工程の煩雑性まで含む全体のコストを考慮した商業的な実用性を考えると、電極としてより安価な金属材料を用いて、スパッタ装置などの装置などを用いずに、キャパシタを提供できることが望まれる。本発明は、イオン伝導体と同時に焼結し得る電極材料によって構成される固体イオンキャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の固体イオンキャパシタは、Agを含む第1および第2の電極層と、Naを含むイオン伝導体のセラミックスからなる電解質層とを備え、前記電解質層は、前記第1および第2の電極層の間に位置し、前記電解質層と前記第1および第2の電極層とは共焼結体を構成している。
【0009】
前記Naを含むイオン伝導体のセラミックスは、Na1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12、、0.1≦x≦0.67、0.1≦y≦0.4を満たす組成を有することが好ましい。
【0010】
前記セラミックスの比誘電率が3000以上であることが好ましい。
【0011】
固体イオンキャパシタは、前記電解質層と、前記第1の電極層と、前記第2の電極層とをそれぞれ複数備え、前記第1の電極層と前記第2の電極層とは、各電解質層とを介して交互に積層されていてもよい。
【0012】
本発明の固体イオンキャパシタは、セラミックス用グリーンシートと、セラミックス用グリーンシートを挟むように形成した一対の金属ペースト層とを含むグリーンシート積層体を形成する工程と、前記グリーンシート積層体を850℃以上1000℃以下の温度で保持することにより、セラミックス用グリーンシート金属ペースト層とを共焼結させる工程とを包含し、前記金属ペーストは、Agを含み、前記セラミックス用グリーンシートは、セラミックスの主成分の原料として、Naを含む。
【0013】
前記セラミックス用グリーンシートは、前記セラミックスの原料として、Na、Al、Zr、P、Siを、焼結後にNa1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12、0.1≦x≦0.67、0.1≦y≦0.4で表されるセラミックスとなる組成比で含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、共焼結された電極層と電解質層とを含む長期信頼性に優れた固体イオンキャパシタを安価に実現することができる。電極層と電解質層とは、ほぼ同じ温度で緻密に焼結し、電極層と電解質層とを共焼結することが可能であるため、キャパシタの製造工程数を少なくすることが可能である。また、電解液を用いないため、長期信頼性に優れたキャパシタを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の固体イオンキャパシタの一実施形態であって、単板キャパシタの形態を示す模式的な断面図である。
図2】(a)から(e)は図1に示す固体イオンキャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
図3】本発明の固体イオンキャパシタの一実施形態であって、積層キャパシタの形態を示す模式的な断面図である。
図4】(a)から(f)は図3に示す固体イオンキャパシタの製造方法を示す工程断面図である。
図5A】本発明の実施例であって、組成比yが0.2であり、850℃〜1200℃で焼結した場合におけるセラミックスの組成比xと収縮率との関係を示す。
図5B】本発明の実施例であって、組成比xが0.3であり、850℃〜1200℃で焼結した場合におけるセラミックスの組成比yと収縮率との関係を示す。
図6A】本発明の実施例であって、x=0.3、y=0.2の組成を有し、900℃で焼結したセラミックスの、表面を鏡面加工した面のSEM像を示す。
図6B】本発明の実施例であって、x=0.3、y=0.2の組成を有し、900℃で焼結したセラミックスの破断面のSEM像を示す。
図7A】本発明の実施例であって、x=0.3、y=0.2の組成を有し、850℃〜1200℃で焼結したセラミックスのX線回折パターン(CuKα線)を示す。
図7B】本発明の実施例であって、x=1、y=0.2の組成を有し、900℃〜1200℃で焼結したセラミックスのX線回折パターン(CuKα線)を示す。
図8A】本発明の実施例であって、組成比yが0.2であり、850℃〜1000℃で焼結した場合におけるセラミックスの組成比xと100Hzの比誘電率との関係を示す。
図8B】本発明の実施例であって、組成比xが0.3であり、850℃〜1000℃で焼結した場合におけるセラミックスの組成比yと100Hzの比誘電率との関係を示す。
図9A】本発明の実施例であって、Na1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12(x=0.3、y=0.2)の組成を有する仮焼粉砕粉とAg粉とを混合し、熱処理したセラミックスのXRDパターン(CuKα線)を示す。
図9B】本発明の比較例であって、Li1+x+y(AlyTi2-y)(Six3-x)O12(x=0.3,y=0.2)の組成を有する仮焼粉砕粉とAg粉とを混合し、熱処理したセラミックスのXRDパターン(CuKα線)を示す。
図10】本発明の実施例であって、単板キャパシタおよびバルクのセラミックスにおける、比誘電率の周波数特性を示す。
図11A】本発明の実施例であって、得られた単板キャパシタのセラミックス部分の鏡面研磨した表面のSEM像を示す。
図11B】本発明の実施例であって、得られた単板キャパシタのセラミックスと電極との界面部分の鏡面研磨した表面のSEM像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本実施形態の固体イオンキャパシタの実施の形態を説明する。本発明の固体イオンキャパシタは、単板キャパシタおよび積層キャパシタのいずれの形態でも実施可能である。
【0017】
(単板キャパシタ)
図1は、本実施形態の固体イオンキャパシタ11の断面構造を模式的に示している。固体イオンキャパシタ11は、電解質層1と第1および第2の電極層2、3とを備える。
【0018】
電解質層1は、Naを含むイオン伝導体のセラミックスからなる固体電解質材料を主成分として含む。Naを含む理由および、固体電解質材料となる理由を以下に説明する。
【0019】
電解質層1に用いられるNaを含むイオン伝導体のセラミックスは、A・M2(XO43で示される組成を有する。A・M2(XO43の組成式で示される酸化物はNASICON型結晶構造を有する。ここで、Aはアルカリ金属、Mは遷移金属であり、XはS、P、As、Mo、W等である。NASICON型結晶構造は、MO6の組成で示される頂点に酸素が位置する八面体と、XO4の組成で示される頂点に酸素が位置する四面体とが、頂点の酸素を共有して3次元的に配列されることによって構成される。
【0020】
好ましくは、Naを含むイオン伝導体のセラミックスは、以下の組成式(1)で示される組成を有している。
【0021】
Na1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12
0.1≦x≦0.67、0.1≦y≦0.4 (1)
【0022】
組成式(1)において、AlおよびZrは、NASICON型結晶構造のMサイトに位置し、PおよびSiはXサイトに位置している。Zrは4価の元素であり、Alは3価の元素であるから、セラミックスはZrをAlで置換した量に相当する量のNaをさらに含む。また、Pは5価の元素であり、Siは4価の元素であるから、セラミックスはPをSiで置換した量に相当する量のNaをさらに含む。この結晶構造は、上述した八面体や四面体間に大きな空隙を有し、空隙にNa+イオンなどが挿入され得る。また、挿入されたNa+イオンは、電界を印加することによって移動可能である。組成比xおよび組成比yが上述範囲であることで、Agを含む金属材料と共焼結する温度で緻密化でき、かつ高いイオン伝導性を発現できることから、高いキャパシタンス性能を得られる。
【0023】
第1および第2の電極層2、3は、Agを含む。本願発明者の詳細な検討によれば、Liを含むNASICON型結晶構造を有するセラミックスの材料とAgを含む金属材料とを共焼結させた場合、LiとAgとの置換が生じ、電極を構成するAgが消失してしまう。これに対し、Naを含み、Liを含まないNASICON型結晶構造を有するセラミックスの材料とAgを含む金属材料とを共焼結させてもAgは消失せず、共焼結が可能であることが分かった。また、セラミックスを構成する他の元素もAgと反応せず、電極層に大きな影響を与えることがないことが分かった。
【0024】
したがって、上記組成式(1)を満たすように、Na、Al、Zr、P、Siを含むセラミックス用グリーンシートを、一対の焼結金属材料の層で挟み込むように積層し、共焼結させることによって、第1および第2の電極層2、3およびこれらの間に位置する電解質層1を含む共焼結体7を得ることができる。本実施形態によれば、電極層を後から形成する場合に比べて製造工程数を減らすことでき、製造時間の短縮および製造コストを低減できる。また、以下の実施例において説明するように、本実施形態の共焼結体7は優れたキャパシタ特性を備えている。さらに、電解液を含まない固体イオンキャパシタは、長期信頼性に優れる。
【0025】
第1および第2の電極層2、3の金属材料は、導電性が高く、電解質層1と共焼結が可能な温度で十分に収縮し、共焼結後に電解質層1などへ拡散・消失せず電極層として構成する材料であることが好ましい。また、第1および第2の電極層2、3の金属材料は、焼結温度の制御や焼結後の第1および第2の電極層2、3の緻密性を制御するためにガラス等の添加剤を含んでいてもよい。例えば、第1および第2の電極層2、3は、Agの単体金属が好ましく、Agを含む金属材料は、不可避的不純物を含んでいても良い。また収縮量調整のためのガラスなどを含んでいてもよい。キャパシタとして利用するためには第1の電極層と第2の電極層は同じ金属材料を含むことが好ましい。
【0026】
固体イオンキャパシタ11は、電解質層1と第1および第2の電極層2、3とを含む共焼結体7のまま種々の用途に用いてもよいし、共焼結体7を樹脂によって覆ってもよい。例えば、固体イオンキャパシタ11は、一対の引き出し電極5と、一対の引き出し電極5を第1および第2の電極層2、3にそれぞれ電気的に接続する半田4と、半田4および引き出し電極5が設けられた共焼結体7全体を覆う樹脂モールド6とをさらに備えていてもよい。好ましくは、抵抗体やコイルなど他の素子と同時焼成して回路を形成することで、回路の製造工程数を少なくすることができるため好ましい。
【0027】
本実施形態の固体イオンキャパシタ11において、例えば、第1の電極層2を高電位に接続し、第2の電極層3を低電位に接続すると電解質層1内のNa+イオンは、第2の電極層3側へ移動する。Na+イオンは、イオン伝導体ではない第2の電極層3へは移動しないため、電解質層1内の第2の電極層3側にNa+イオンによる正の電荷が蓄積され、Na+イオンが移動したことによる負の電荷が第1の電極層2側に蓄積される。このため、固体イオンキャパシタ11は、キャパシタとして機能する。
【0028】
次に図2を参照しながら、固体イオンキャパシタ11の製造方法を説明する。固体イオンキャパシタ11は、従来のLTCCの製造方法と同様の方法によって製造することができる。
【0029】
まず、セラミックスの原料として、Na、Al、Zr、P、Siを含む原料を用意する。例えば、Na、Al、Zr、PおよびSiをそれぞれ含む酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、アンモニウム塩などを、上記組成式(1)に示す含有比率となるように見込んで秤量する。
【0030】
Na、Al、Zr、PおよびSiを含む原料の例としては、Na2CO3、Al23、ZrO2、(NH4)H2(PO43、SiO2等を挙げることができる。焼結によってセラミックスを製造する一般的な手順に従い、ボールミルなどを用いて、原料をよく混合、粉砕する。
【0031】
次に混合した原料を例えば、大気中で仮焼きする。仮焼きは1段階で行ってもよいし、温度を異ならせ、2段階以上で行ってもよい。例えば、2段階で仮焼きする場合には、300℃2時間および700℃2時間で仮焼きを行う。
【0032】
その後、得られた仮焼体をボールミルなどで粉砕する。得られた紛体に、有機バインダーおよび必要に応じて溶媒や可塑剤を添加し、電解質層の原料スラリーを得る。
【0033】
また、Agの粉末を含む金属ペーストを用意する。市販の金属ペーストを用いてもよいし、Agの粉末に有機バインダー、溶媒、可塑剤等を添加し金属ペーストを作製してもよい。
【0034】
次に、図2(a)、(b)、(c)に示すように、例えば、PETフィルムなどの樹脂フィルム20を用意する。ドクターブレード法によって、樹脂フィルム20上に、それぞれ、第1の金属ペースト層2’、第2の金属ペースト層3’およびグリーンシート1’をそれぞれ形成する。
【0035】
第1の金属ペースト層2’、第2の金属ペースト層3’およびグリーンシート1’を乾燥させた後、図2(d)に示すように、樹脂フィルムを剥離させ、グリーンシート1’の両面に第1の金属ペースト層2’および第2の金属ペースト層3’を配置し、これらを重ねて、例えば、85℃、200kg/cm2で加圧して圧着する。これにより、第1の金属ペースト層2’および第2の金属ペースト層3’とこれら挟まれたグリーンシート1’とを含むグリーンシート積層体21が得られる。
【0036】
第1の金属ペースト層2’、第2の金属ペースト層3’およびグリーンシート1’の大きさや厚さは、焼結後の電解質層1、第1の電極層2および第2の電極層3の厚さや大きさに基づき、焼結による収縮を考慮して決定される。
【0037】
その後、グリーンシート積層体21を焼結する。焼結温度は、850℃以上1100℃以下である。焼結時間は、例えば、1分以上24時間以下である。また、焼結は、例えば、大気中で行うことができる。
【0038】
焼結によって、第1の金属ペースト層2’、第2の金属ペースト層3’およびグリーンシート1’から有機バインダーや溶媒などの揮発成分が除去される。また、それぞれの層が焼結し、図2(e)に示すように、第1の金属ペースト層2’および第2の金属ペースト層3’に含まれるAgからなる第1および第2の電極層2、3と、上記組成式(1)で示される組成を有し、NASICON型結晶構造を有するセラミックスからなる固体電解質材料を含む電解質層1とを含む共焼結体7が得られる。
【0039】
その後、半田4を用いて、第1および第2の電極層2、3に引き出し電極5をそれぞれ接続し、共焼結体7全体を樹脂モールド6で覆うことによって、固体イオンキャパシタ11が完成する。
【0040】
(積層キャパシタ)
積層キャパシタの実施形態を説明する。図3は、本実施形態の固体イオンキャパシタ12の断面構造を模式的に示している。固体イオンキャパシタ12は、複数の電解質層1と、複数の第1の電極層2と複数の第2の電極層3とを備える。複数の第1の電極層2と複数の第2の電極層3とは、各電解質層1を介して交互に積層されている。このため、各電解質層1は、複数の第1の電極層2の1つおよび複数の第2の電極層3の1つによって挟まれている。複数の電解質層1と、複数の第1の電極層2と複数の第2の電極層3は共焼結体7を構成している。
【0041】
共焼結体7は、互いに反対側に位置する側面7aおよび7bを有しており、側面7aにおいて、複数の第1の電極層2の端面が露出している。同様に、側面7bにおいて、複数の第2の電極層3の端面が露出している。
【0042】
固体イオンキャパシタ12は、さらに第1の外部電極8および第2の外部電極9を備える、第1の外部電極8は、側面7aに設けられており、複数の第1の電極層2と電気的に接続されている。同様に、第2の外部電極9は、側面7bに設けられており、複数の第2の電極層3と電気的に接続されている。
【0043】
固体イオンキャパシタ12において、複数の電解質層1、複数の第1の電極層2および複数の第2の電極層3は、固体イオンキャパシタ11の電解質層1、第1および第2の電極層2、3とそれぞれ同じ材料によって構成されている。このように、内部に形成される複数の第1の電極層2および複数の第2の電極層3が複数の電解質層1と共焼結可能であるため、積層キャパシタを従来のLTCCと同様のプロセスを用いて製造することができる。
【0044】
次に図4を参照しながら、固体イオンキャパシタ12の製造方法を説明する。
【0045】
まず、固体イオンキャパシタ11と同様、電解質層の原料スラリーおよび金属ペーストを用意する。
【0046】
図4(a)に示すように、例えば、PETフィルムなどの樹脂フィルム20を用意する。ドクターブレード法によって、樹脂フィルム20上にまず、グリーンシート1’を形成する。グリーンシート1’の大きさや厚さは、焼結後の電解質層1の厚さや大きさに基づき、焼結による収縮を考慮して決定される。
【0047】
図4(b)に示すように、スクリーン印刷やドクターブレード法等によって、別途、樹脂フィルム20上に、グリーンシート1’を形成し、さらに、グリーンシート1’上に、第2の金属ペースト層3’を所定の電極寸法になるような印刷パターンで形成する。
【0048】
図4(c)に示すように、図4(a)でつくられたグリーンシート上に、図4(b)で作成した金属ペーストがパターニングされたグリーンシートを重ね合わせ、樹脂フィルム20を剥がして電極を上下シートに対して所定の位置に配置する。このときズレや剥がれを防ぐために、弱く加圧しても良い。
【0049】
図4(d)に示すように、スクリーン印刷やドクターブレード法等によって、別途、樹脂フィルム20上に、グリーンシート1’を形成し、さらに、グリーンシート1’上に、第1の金属ペースト層2’を所定の電極寸法になるような印刷パターンで形成する。同様に、図4(d)で作成した金属ペーストがパターニングされたグリーンシートを図4(c)に示す積層したグリーンシートの上に重ね合わせ、樹脂フィルム20を剥がす。
【0050】
さらにその上に、同様の重ね合わせを複数枚繰り返すことにより、最終的に図4(e)のように所定の数の第1の金属ペースト層2’、グリーンシート1’および第2の金属ペースト層3’を積層する。これにより、複数の第1の金属ペースト層2’および複数の第2の金属ペースト層3’がグリーンシート1’を介して積層されたグリーンシート積層体21が得られる。これを例えば、85℃、200kg/cm2で加圧して圧着する。
【0051】
その後、図4(f)に示すように、樹脂フィルム20をグリーンシート積層体21から剥離し、グリーンシート積層体21を焼結する。焼結温度は、850℃以上1200℃以下である。焼結時間は、例えば、1分以上24時間以下である。また、焼結は、例えば、大気中で行うことができる。
【0052】
焼結によって、複数の第1の金属ペースト層2’、複数の第2の金属ペースト層3’および複数のグリーンシート1’から有機バインダーや溶媒などの揮発成分が除去される。また、それぞれの層が焼結し、図4(f)に示すように、第1の金属ペースト層2’および第2の金属ペースト層3’に含まれるAgからなる複数の第1の電極層2および複数の第2の電極層3と、上記組成式(1)で示される組成を有し、NASICON型結晶構造を有するセラミックスからなる固体電解質材料を含む複数の電解質層1とを含む共焼結体7が得られる。
【0053】
その後、共焼結体7の側面7a、7bに第1および第2の外部電極8、9をそれぞれ形成することにより、固体イオンキャパシタ12が完成する。
【0054】
(実施例)
以下、本実施形態の固体イオンキャパシタで用いるセラミックスを作製し、種々の特性を調べた結果を説明する。
【0055】
(1) セラミックスの焼結条件およびセラミックスの特性の確認
原料としてNa2CO3、Al23、ZrO2、SiO2、リン酸アンモニウム(NH4)H2(PO43の粉末を用意し、Na、Al、Zr、SiおよびPがNa1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12の組成比となるように秤量した。組成比x、yは、y=0、0.1、0.2、0.4、0.6、x=0、0.1、0.3、0.67、1、2、2.5とした。表1にxおよびyの組み合わせを示す。
【0056】
ボールミル容器中にエタノール、ジルコニアボールおよび秤量した原料を投入し、100rpmで20時間、ボールミルによる混合を行った。混合した原料を取り出し、乾燥後、テフロン(登録商標)容器に入れた。混合した原料を、大気中、300℃で2時間加熱し、一次仮焼きを行った。一次仮焼きした原料をテフロン(登録商標)容器から取り出し、アルミナ容器に移し替え、大気中、700℃で2時間加熱し、二次仮焼きを行った。
【0057】
次に、二次仮焼きした原料を乳鉢で解砕した後、ボールミルで混合と同様に粉砕を行った。粉砕した仮焼き後の原料を乾燥させ、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)を原料に対して1.2wt%の割合で添加し、乳鉢で混合し、500μmメッシュを通して造粒を行った。
【0058】
得られた造粒粉を1g秤量し、直径14mmの円形の金型を用いて、1.5Ton/cm2でプレス成形し、ペレットを作製した。ペレットの温度を200℃/Hrの昇温速度で上昇させ、大気中、900〜1200℃の保持温度で2時間焼結を行った。
【0059】
焼結によって得られた焼結体を取り出した後、外径寸法の収縮量から焼結性を求めた。さらに研磨加工によって焼結体の厚さが0.5mmになるまで研磨し、XRDで結晶構造を調べた。その後、両面に直径6mmの円形のAg電極を形成し、300℃で焼付け、Ag電極を焼結体に固着させた。これによりキャパシタを得た。
【0060】
次に、キャパシタの電気的特性を求めた。インピーダンスメータで周波数掃引してZ−θ計測を行い、比誘電率を求めた。
【0061】
表1に、各試料の組成比と、850℃〜1200℃で焼結した焼結体の収縮率を示す。
収縮率は焼結前後の成型体の直径に対して焼結体の直径の収縮量を変化比で示しており、温度を変えることにより焼結の進み具合を見積もることができる。即ち、収縮率が0より大きければ焼結によって収縮し始めており、大きければ大きいほど収縮していることを示している。また、図5Aに組成比yが0.2であり、850℃〜1200℃で焼結した場合における組成比xと収縮率との関係を示す。また、図5Bに組成比xが0.3であり、850℃〜1200℃で焼結した場合における組成比yと収縮率との関係を示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1および図5Aより、y=0.2で、xが1以上である場合、大きな収縮率を得られる温度が高くなることが分かった。
【0064】
Agを共焼結する場合には、Agの融点である962℃近傍でそれより低い850℃から950℃程度において、緻密な焼結体が得られることが好ましい。よって、組成比xは、この温度範囲で大きな収縮率が得られる0以上0.67以下(0≦x≦0.67)であることが好ましいことが分かる。
【0065】
同様に、表1および図5Bより、xが0.3である場合、yが0では1000℃以上でで緻密化し、y>0では850℃から焼結体は焼結前のペレットよりも収縮しており、緻密化していることが分かった。
【0066】
Agを共焼結する場合には、Agの融点である962℃より、少し低い温度の850℃から950℃程度において、緻密な焼結体が得られることが好ましい。よって、組成比yは、この温度範囲で大きな収縮率が得られる0.1以上0.6以下(0.1≦y≦0.6)であることが好ましいことが分かる。
【0067】
図6Aおよび図6Bにx=0.3、y=0.2の組成を有し、900℃で焼結した試料の、表面を鏡面加工した面のSEM像および破断面のSEM像を示す。いずれも空孔などの生成がみられず、緻密化した焼結体が得られていることを示している。
【0068】
組成と各焼結温度での結晶性を確認するため、CuKα線源によるX線回折パターンを計測した結果を図7Aおよび図7Bに示す。図7Aは、x=0.3、y=0.2の組成を有し、850℃〜1200℃で焼結した試料のX線回折パターンを示す。また、図7Bは、x=1、y=0.2の組成を有し、900℃〜1200℃で焼結した試料のX線回折パターンを示す。丸印は、Na1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12のNASICON型結晶構造に由来するピークである。図7Aから分かるように、組成比xが0.3である場合、850℃から1200℃の温度範囲において、NASICON型結晶構造に由来するピークがみられ、他の結晶構造に由来するピークはほとんど見られない。
【0069】
一方、組成比xが1であり、焼結温度が900℃および1000℃である場合、NASICON型結晶構造に由来するピークのピークが弱く、NASICON型結晶構造を有するセラミックスの合成があまり進んでいないことが分かる。また、×で示される酸化ジルコニウムのピークがみられる。焼結温度が1200℃である場合、NASICON型結晶構造を有するセラミックスのピークは強く観測されるものの、酸化ジルコニウムのピークも観測されている。これは、焼結温度が高すぎるために、NASICON型結晶構造を有するセラミックスが合成されるものの、一部は分解し、酸化ジルコニウムが析出していると考えられる。
【0070】
表2に、各試料の組成比と、850℃〜1000℃で焼結した焼結体の比誘電率の測定結果とを示す。また、図8Aに組成比yが0.2であり、850℃〜1000℃で焼結した場合における組成比xと、電解コンデンサで用いられる周波数100Hzにおける比誘電率との関係を示す。図8Bに組成比xが0.3であり、850℃〜1000℃で焼結した場合における組成比yと、電解コンデンサで用いられる周波数100Hzにおける比誘電率との関係を示す。
【0071】
【表2】
【0072】
表2および図8Aより、組成比yが0.2である場合、組成比xは、0.1以上0.67以下の範囲および850℃以上1000℃以下の焼結温度範囲において、比誘電率が3000以上になることが分かった。
【0073】
また、表2および図8Bより、組成比xが0.3である場合、組成比yが0より大きく0.4以下の範囲および850℃以上1000℃以下の焼結温度範囲において、比誘電率が3000以上になることが分かった。
【0074】
以上のことから、Agと同時焼結可能な850℃以上1000℃以下の焼結温度において、焼結体が緻密化し、焼結体が3000以上の比誘電率を備えるためには、組成比、x、yは、0.1≦x≦0.67および0.1≦y≦0.4を満たすことが好ましいことが分かった。
【0075】
(2) 金属との共焼結の確認
次に、金属との共焼結の可否を検討するため、組成式(1)で示されるセラミックスと電極の材料であるAgとの反応性を確認した。
【0076】
Na1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12(x=0.3、y=0.2)の組成を有し、上述の手順によって仮焼きし粉砕した仮焼粉砕粉(以降NAZPと略す)とAg粉とを1:1の体積比で秤量し、乳鉢を用いて混合し、サファイア基板上に混合粉末を配置し、大気中900℃で2時間熱処理した。比較のために、Li1+x+y(AlyTi2-y)(Six3-x)O12(x=0.3,y=0.2)の組成を有し、上述の手順によって仮焼きし粉砕した、仮焼粉砕粉(以降LAZPと略す)とAg粉とを同様に混合し、熱処理した。
【0077】
得られたセラミックスをXRDで分析した。LATPを用いた試料は、熱処理中に溶融し基板と別離できなかったため、基板とともにXRD測定した。XRDパターンをそれぞれ図9Aおよび図9Bに示す。
【0078】
図9Aから分かるように、NAZPを用いた試料では、Na1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12のNASICON型結晶構造に由来するピーク(○で示される)と、Agに由来するピーク(×で示される)とがみられ、NASICON型結晶構造のセラミックが合成されていること、および、Agが単体で、合成したセラミックスと反応することなく存在していることが分かる。
【0079】
これに対し、図9Bから分かるように、LAZPを用いた試料では、NASICON型結晶構造のセラミックは合成されておらず、AgTi2312に由来するピーク(○で示される)、LiTiPO5に由来するピーク(+で示される)およびサファイア基板に由来するピーク(Sで示される)がみられた。また、単体のAgに由来するピークはみられない。このことから、熱処理によって、Agが仮焼粉砕粉と反応し、NASICON型結晶構造を有しない、別の化合物が生成し、単体のAgは消失していると考えられる。また、同じNASICON型結晶構造のセラミックであるLi1+x+y(AlyTi2-y)(Six3-x)O12とAgとは共焼結することが困難であることが分かった。
【0080】
(3) キャパシタの特性の確認
単板キャパシタを作製し、特性を確認した。
【0081】
Na1+x+y(AlyZr2-y)(Six3-x)O12(x=0.3、y=0.2)の組成を有し、上述の手順によって仮焼きし粉砕した仮焼粉砕粉、エタノール、PVB(ポリビニルブチラール)および可塑剤を混合してスラリーを作製した。仮焼粉砕粉と有機材(エタノール、PVBおよび可塑剤)の重量比は、5:4であった。
【0082】
スラリーをPETフィルム上へ0.1mmの厚さで塗布し、乾燥させた。乾燥後、得られたグリーンシートを直径14mmの円形に打ち抜き、打ち抜いた3枚のシートを重ねた。また、Agのペースト層を直径6mmの円形に打ち抜き、重ねた3枚のグリーシートの両面に配置し、85℃、200kg/cm2でプレスで圧接した。得られた積層体を昇温200℃/Hrの昇温速度で加熱し、900℃で2時間共焼結した。上述の実施例と同様に得られたキャパシタのインピーダンス測定を行った。図10に比誘電率の周波数特性を示す。また、上述した実施例のバルク状態のセラミックスの比誘電率の周波数特性を合わせて示す。
【0083】
図10から分かるように、比誘電率は、バルク同等の傾向を示した。また、図10から、Agと共焼結しても、NASICON型結晶構造のセラミックが合成され、合成されたセラミックは、Agと共焼結していないバルクと同程度の比誘電率を有していることが分かった。
【0084】
図11Aおよび図11Bに得られたキャパシタのセラミックス部分(電解質層1)の鏡面研磨した表面のSEM像および、セラミックスと電極(第1の電極層2、第2の電極層3)との界面部分の鏡面研磨した表面のSEM像を示す。図11Aより、セラミックス部分に小さな孔がみられるが、緻密な構造を有していることが分かる。また、図11Bより、電極とセラミックスとの界面において、SEM像で観察できるレベルでは、電極とセラミックスとが反応していないことが確認できた。
【0085】
(4) まとめ
本実施例から、Na、Al、Zr、P、Siを含みNASICON型結晶構造を有するセラミックスが850℃以上1000℃以下の温度で焼結可能であり、得られたセラミックスは容量の大きなキャパシタとして使用し得る高い比誘電率を備えていることが確認できた。
【0086】
また、Naを含むNASICON型結晶構造を有するセラミックスの材料とAgを含む金属材料と共焼結させても、Agは消失せず、共焼結が可能であること、共焼結によって、作製したキャパシタはセラミックス単体と同程度の高い比誘電率を有することが確認できた。よって本実施例から、Na、Al、Zr、P、Siを含みNASICON型結晶構造を有するセラミックスを電解質材料とする固体イオンキャパシタを安価に実現可能であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、電源回路などの長期信頼性を要求される種々の用途に使用可能なキャパシタに好適に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1’ グリーンシート
1 電解質層
2’ 第1の金属ペースト層
2 第1の電極層
3’ 第2の金属ペースト層
3 第2の電極層
4 半田
5 引き出し電極
6 樹脂モールド
7 共焼結体
7a、7b 側面
8 第1の外部電極
9 第2の外部電極
11、12 固体イオンキャパシタ
20 樹脂フィルム
21 グリーンシート積層体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B