(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下では、図面を参照して、本実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
まず、本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
図1に、本実施の形態の半導体装置の概略構成図を示す。
図1(1)は、半導体装置10を基板12の主面側から見た場合の平面図である。また、
図1(2)は、
図1(1)に示した半導体装置10のA’−A断面の断面図である。また、
図1(3)は、
図1(1)に示した半導体装置10のB’−B断面の断面図である。
【0015】
本実施の形態の半導体装置10は、基板12の主面に、導電型がN−型のN型ウエル層14が形成されている。
【0016】
また、半導体装置10の中央部のN型ウエル層14の上には、第1領域の一例である、導電型がN+型のドレイン領域22が形成されている。なお、ここでドレイン領域22が形成された「中央」とは、詳細を後述する、基板コンタクト領域16、ソース領域18、及びゲート電極20が設けられている位置よりも基板12の中央であることをいい、基板12の主面の真ん中でなくともよい。
【0017】
本実施の形態のドレイン領域22は、対向する一対の円弧状の辺と、対向する一対の直線状の辺とにより囲まれた形状の領域である。
【0018】
また、ゲート酸化膜19またはフィールド酸化膜23を介して、基板12の主面のN型ウエル層14の外縁上に、ドレイン領域22を取り囲むように矩形状に、ゲート電極20が形成されている。なお、
図1(1)では、フィールド酸化膜23の図示は省略している。
【0019】
本実施の形態では、ゲート電極20の側壁には、サイト゛ウォールスペーサ21S、21Dが形成されている。ゲート電極20の材質の具体例としては、不純物が高濃度でドープされた多結晶シリコン材料等が挙げられる。
【0020】
また、ゲート電極20の外縁(より正確には、サイト゛ウォールスペーサ21Sの外縁)に沿って、当該外縁の一部に、第2領域の一例である、導電型がN+型のソース領域18が形成されている。なお、本実施の形態のソース領域18は、ドレイン領域22の直線状の辺に対して、ゲート電極20を介して対向する位置に形成されている。
【0021】
また、N型ウエル層14、ソース領域18、ゲート電極20、及びドレイン領域22を囲むように矩形状に、導電型がP+型の基板コンタクト領域16が形成されている。基板コンタクト領域16は、基板12に基板電位(例えば、接地電位)を供給するのに用いられるものである。
【0022】
さらに、本実施の形態の半導体装置10では、基板12の主面に、フィールド酸化膜23が形成されている。より具体的には、
図1(2)に示すように、ソース領域18が形成されている領域では、ドレイン領域22の辺(端部)からN型ウエル層14の上に形成されたゲート電極20の下部領域の途中まで、N型ウエル層14の表面上にフィールド酸化膜23が形成されている。また、フィールド酸化膜23が、基板12の主面の、ソース領域18と基板コンタクト領域16との間に形成されている。
【0023】
一方、
図1(3)に示すように、ソース領域18が形成されていない領域では、フィールド酸化膜23が、基板12の主面上の、ドレイン領域22から基板コンタクト領域16までの間に形成されている。
【0024】
そのため、
図1(2)に示すように、ソース領域18に併設する部分のゲート電極20は、ゲート酸化膜19及びフィールド酸化膜23を介して、基板12の主面上に形成されている。一方、
図1(3)に示すように、ソース領域18に併設しない部分のゲート電極20は、フィールド酸化膜23を介して、基板12の主面上に形成されている。フィールド酸化膜23は、ゲート酸化膜19よりも厚み(基板12の積層方向の厚み)があるため、ゲート電極20の下部に設けられたフィールド酸化膜23は、ゲート電極20の下部領域の電界強度を緩和させるフィールドプレートとして機能する。半導体装置10では、ゲート電極20の下部をフィールド酸化膜23とすることにより、ゲート酸化膜19とした場合よりも、ゲート閾値電圧が高くなる。
【0025】
本実施の形態の半導体装置10では、耐圧は、ドレイン領域22の端部からN型ウエル層14の端部までの長さ(
図2の矢印Dを参照)により耐圧が定まる。以下、この長さを「長さD」という。例えば、半導体装置10の耐圧が700Vの場合は、長さD=70μm〜50μmが好ましい。また、半導体装置10の耐圧が500Vの場合は、長さD=50μm〜30μmが好ましい。なお、耐圧が700Vの場合の本実施の形態の半導体装置10における、その他の領域の長さの具体例としては、ゲート電極20の内縁の端部からN型ウエル層14の端部までの長さ(
図2の矢印Eを参照)は3μm、及びN型ウエル層14からソース領域18までの長さ(
図2の矢印Fを参照)は6μmが好ましい。また、ソース領域18の内縁から外縁までの長さ(
図2の矢印Gを参照)は4μm、及びソース領域18の幅(ゲート電極20に併設する長さ、
図1の矢印Wを参照)は1.38μmが好ましい。
【0026】
本実施の形態の半導体装置10では、ソース領域18の基板12の主面に対する面積(以下、単に「面積」という)により、ドレイン領域22とソース領域18との間を流れる電流(IDSS:ドレイン飽和電流)の電流量を、所望の電流量に調整することができる。具体例として、
図5に示した、基板112の主面に、N型ウエル層114、基板コンタクト領域116、ソース領域118、ゲート酸化膜119、ゲート電極120、サイト゛ウォールスペーサ121S、121D、ドレイン領域122、及びフィールド酸化膜123が形成された従来の半導体装置100と比較する。従来の半導体装置100では、ソース領域118は、ゲート電極120の外縁全体に併設されている。従来の半導体装置100が、IDSS=10mAが流れる700Vの高耐圧素子であるとする。これに対して、本実施の形態の半導体装置10では、耐圧をそのままにして、IDSS=10μAにしたい場合には、ソース領域18の面積を、10μA/10mA=1/1000にすればよい。
【0027】
本実施の形態の半導体装置10では、半導体装置10の電流量を調整する場合、ソース領域18の幅Wにより調整することが好ましい。上述の具体例の場合では、IDSS=10mAが流れる半導体装置のソース領域に比べて、面積が1/1000になるように、ソース領域18の幅Wを調整することにより、IDSS=10μAとすることができる。
【0028】
次に、本実施の形態の半導体装置10の製造方法の一例について説明する。
【0029】
図3には、本実施の形態の半導体装置10の製造方法の一例における各工程(第1工程〜第5工程)の説明図を示す。
【0030】
本実施の形態の半導体装置10の製造方法では、
図3に示した第1工程として、基板12の主面にN型ウエル層14を形成する。本実施の形態では、まず、基板12として、P型のシリコン基板を準備する。次に、基板12の主面を熱酸化(イニシャル酸化)し、例えば、数十nm程度の厚みを有する保護酸化膜(図示省略)を形成する。次に、形成した保護酸化膜上のN型ウエル層14を形成しない領域に、フォトリソグラフィにより、レジスト30を形成する。次に、レジスト30をマスクとして、基板12のN型ウエル層14を形成する領域に、N型の不純物を選択的にイオン注入する。注入するN型の不純物としては、例えば、P(リン)等が挙げられる。次に、レジスト30と保護酸化膜とを除去し、表面を洗浄する。次に、熱処理(ドライブイン)を行い、注入されたN型の不純物イオンを活性化させることにより、基板12の主面に、N型ウエル層14が形成されて
図3の第1工程として示した状態になる。
【0031】
次に、
図3に示した第2工程として、フィールド酸化膜23を形成するための準備を行う。まず、第1工程が終了し、N型ウエル層14が形成された基板12の主面に、パッド酸化膜32を形成する。パッド酸化膜32の材質の具体例としては、SiO
2が挙げられる。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、パッド酸化膜32上に、シリコン窒化膜34を形成する。シリコン窒化膜34の具体例としては、SiNが挙げられる。次に、シリコン窒化膜34をエッチングにより除去して、フィールド酸化膜23を形成する領域に開口部を形成することにより、
図3の第2工程として示した状態になる。
【0032】
次に、
図3に示した第3工程として、フィールド酸化膜23を形成する。まず、基板12を熱処理して、上記第2工程で形成した開口部に、フィールド酸化膜23を形成する。次に、シリコン窒化膜34及びパッド酸化膜32を除去する。シリコン窒化膜34の除去方法としては、例えば、プラズマエッチング等が挙げられる。また、パッド酸化膜32の除去方法としては、例えば、HF(フッ化水素)を含む水溶液で洗浄することが挙げられる。次に、ゲート酸化膜19を形成する領域をパターニングした基板12を、酸素雰囲気下で熱酸化することにより、ゲート酸化膜19を形成する。本実施の形態において、ゲート酸化膜19を形成する領域は、ドレイン領域22(より具体的には、フィールド酸化膜23)と、後述する第4工程により形成されるソース領域18との間に設けられた、ゲート電極20を形成する領域である。
【0033】
ゲート酸化膜19の厚みは、基板12の目標耐圧に応じて定められる。なお、本実施の形態では、ゲート酸化膜19として熱酸化膜が形成されるが、これに限定されない。例えば、熱酸化膜に代えて、シリコン酸窒化膜等の高誘電率薄膜を形成してもよい。次に、LP−CVD(low pressure chemical vapor deposition:減圧CVD)法により、基板12の主面の全面に亘り、多結晶シリコン等の導電性材料層を成膜する。次に、この導電性材料層をフォトリソグラフィ及びエッチングにより、パターニングすることにより、ゲート電極20が形成されて、
図3の第3工程として示した状態になる。なお、ゲート電極20の厚みの具体例としては、数百nmが挙げられる。
【0034】
なお、
図3において図示を省略したが、本実施の形態では、続けて、ゲート電極20の側壁にサイト゛ウォールスペーサ21S、21Dを形成する。例えば、CVD法により、基板12の主面に、シリコン酸化物などの絶縁材料からなる絶縁膜を堆積させ、この絶縁膜を異方性エッチングによりエッチバックすることにより形成する。
【0035】
次に、
図3に示した第4工程として、ドレイン領域22及びソース領域18を形成する。まず、基板12の主面に、フォトリソグラフィ技術により、ドレイン領域22及びソース領域18用のレジストパターンを形成する。次に、N型の不純物を基板12の主面にイオン注入することにより、ドレイン領域22及びソース領域18が形成される。N型の不純物の具体例としては、As(砒素)が挙げられる。本工程において形成したレジストパターンが、ドレイン領域22及びソース領域18の形成後に除去され、
図3の第4工程として示した状態になる。
【0036】
次に、
図3に示した第5工程として、基板コンタクト領域16を形成する。まず、基板12の主面に、フォトリソグラフィ技術により、基板コンタクト領域16用のレジストパターンを形成する。次に、P型の不純物を基板12の主面にイオン注入することにより、基板コンタクト領域16が形成される。P型の不純物の具体例としては、B(ボロン)が挙げられる。本工程において形成したレジストパターンが、ドレイン領域22及びソース領域18の形成後に除去され、
図3の第5工程として示した状態になる。なお、基板12の熱処理を行うことにより、ドレイン領域22、ソース領域18、及び基板コンタクト領域16に注入された不純物イオンが、活性化される。
[第2の実施の形態]
本実施の形態の半導体装置は、第1の実施の形態の半導体装置10と、基板コンタクト領域16の配置が異なっている。
図4に、本実施の形態の半導体装置の概略構成図を示す。本実施の形態の半導体装置50は、第1の実施の形態の半導体装置10と同様の構成を有するため、同様の部分には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0037】
図4(1)は、半導体装置50を基板12の主面側から見た場合の平面図である。また、
図4(2)は、
図4(1)に示した半導体装置50のA’−A断面の断面図である。また、
図4(3)は、
図4(1)に示した半導体装置50のB’−B断面の断面図である。さらに、
図4(4)は、
図4(1)に示した半導体装置50のC’−C断面の断面図である。
【0038】
図4に示すように、本実施の形態の半導体装置50では、基板コンタクト領域56が、ソース領域18が形成されていない部分のゲート電極20の外縁に併設されている。言い換えれば、ゲート電極20の外縁に沿って、基板コンタクト領域56が形成されており、外縁に沿った一部分が、ソース領域18に置き換わっている状態になっている。本実施の形態の半導体装置50では、
図4(4)に示すように、基板コンタクト領域16とソース領域18とは、接続された状態にあるため、基板コンタクト領域16とソース領域18とは同電位になっている。なお、ソース領域18の内縁から外縁までの長さ(
図2の矢印Gを参照)と、基板コンタクト領域16の内縁から外縁までの長さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
第1の実施の形態では、図示及び説明を省略したが、一般的に、半導体装置10、50の基板12の主面には、ドレイン領域22、基板コンタクト領域16、56、及びソース領域18が形成される活性領域が形成されている。当該活性領域に不純物を注入することにより、ドレイン領域22、基板コンタクト領域16、56、及びソース領域18が形成される。ソース領域18に対応する活性領域は、ソース領域18の下部領域全体を覆い、さらにゲート電極20の下部領域の一部まで広がっている。
【0040】
第1の実施の形態の半導体装置10では、ソース領域18に対応する活性領域の寸法の変動により、ドレイン領域22とソース領域18との間を流れる電流の電流量の変動のばらつきが大きい場合がある。一方、本実施の形態の半導体装置50では、ソース領域18と基板コンタクト領域56とがゲート電極20外縁に併設されているため、例えば、当該活性領域は、
図5に示した従来の半導体装置100と同様になる。そのため、ドレイン領域22とソース領域18との間を流れる電流の電流量の変動のばらつきを抑制することができる。
【0041】
また、本実施の形態の半導体装置50においても、第1の実施の形態の半導体装置10と同様に、ソース領域18が、ゲート電極20の外縁の一部に併設されている。従って、ソース領域18の面積または幅Wを調整することにより、耐圧に与える影響を抑制して、半導体装置50のドレイン領域22とソース領域18との間を流れる電流の電流量を調整することができる。
【0042】
なお、本実施の形態の半導体装置50の製造方法は、基板コンタクト領域56を設ける基板12の主面の位置が第1の実施の形態と異なる以外は、第1の実施の形態で上述した第1工程〜第5工程と同様である。
【0043】
以上、上記各実施の形態の半導体装置10、50では、ドレイン領域22を囲むように、ゲート電極20が設けられており、ゲート電極20の外縁の一部に併設してソース領域18が設けられている。上記各実施の形態の半導体装置10、50では、ソース領域18の面積または幅Wを調整することにより、半導体装置10、50のドレイン領域22とソース領域18との間を流れる電流の電流量を調整することができる。面積または幅Wを大きくすれば、電流量は大きくなり、面積または幅Wを小さくすれば、電流量は小さくなる。
【0044】
従って、上記各実施の形態の半導体装置10、50では、電流量の調整を容易に行うことができる。
【0045】
また、上記各実施の形態の半導体装置10、50では、ソース領域18の面積または幅Wにより電流量を調整するため、耐圧に影響を与える、ドレイン領域22の端部からN型ウエル層14の端部までの長さDを変化させることなく、電流量を調整することができる。また、ドレイン領域22等の不純物濃度を変化させることなく、電流量を調整することができる。従って、半導体装置10、50では、耐圧を変化させることなく、電流量の調整を行うことができる。
【0046】
従って、上記各実施の形態の半導体装置10、50では、耐圧に影響を与える影響を抑制した電流量の調整を行うことができる。
【0047】
なお、上記各実施の形態の半導体装置10、50では、ソース領域18を、ドレイン領域22の直線状の辺に対して、ゲート電極20を介して対向する位置に形成しているが、ソース領域18を設ける位置はこれに限らない。例えば、ドレイン領域22の円弧状の辺に対して、ゲート電極20を介して対向する位置に形成してもよい。なお、ソース領域18とドレイン領域22との間の距離が、ドレイン領域22の円弧状の辺に対向する位置に形成した場合は、一定とならず、上記各実施の形態のように直線状の辺に対して対向する位置に形成した場合は、一定となるため、上記各実施の形態の半導体装置10、50のように形成することが好ましい。
【0048】
また、上記各実施の形態の半導体装置10、50では、ドレイン領域22及びソース領域18の導電型がN型であり、基板コンタクト領域16の導電型がP型である場合について説明したが、導電型はこれに限らない。例えば、ドレイン領域22、ソース領域18、及び基板コンタクト領域16の導電型は、上記各実施の形態の半導体装置10、50と逆であってもよい。
【0049】
また、上記各実施の形態の半導体装置10では、基板12の周面の中央にドレイン領域22を設けているが、これに限らない。例えば、中央にソース領域を設けて、これを囲むようにゲート電極を設け、ゲート電極の外縁の一部に併設してドレイン領域を設けるようにしてもよい。
【0050】
また、その他の上記各実施の形態で説明した半導体装置10の構成、及び製造方法は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。