(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケト官能化ラテックスポリマーが、アクロレイン、メタクロレイン、ホルミルスチレン、分子中に(メタ)アクリロイル基およびケト基(例えば、アセチル基)を有する化合物、またはビニルアルキルケトンを含む、請求項1に記載の水性ポリマー組成物。
前記ケト官能化ラテックスポリマーが、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート、またはビニルアセトアセトアミドを含む、請求項1に記載の水性ポリマー組成物。
前記インクで処理する前の基材に該インクを塗布するステップと、水を除去してインク被覆基材を形成するステップとをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年5月29日出願の米国仮特許出願第61/652660号に基づく利益および優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、概してインクおよび塗料に使用するための水性ポリマー組成物に関する。
【0003】
一態様では、水性組成物は、水およびカルボン酸官能性支持ポリマーを含む連続相と;ポリカルボジイミドと;ケト官能性ラテックスポリマーと;ジヒドラジドと含む。いくつかの実施形態では、水性組成物が、周囲条件下、密閉容器中で5日の貯蔵後に20%未満の粘度増加を受ける。いくつかの実施形態では、カルボン酸官能性支持ポリマーがアルカリ可溶性樹脂である。一実施形態では、カルボン酸官能性支持ポリマーが、スチレン、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートおよびアクリル酸を含むコポリマーである。いくつかの実施形態では、カルボン酸官能性支持ポリマーが、約500〜100000g/mol、1000〜20000g/molまたは500〜6000g/molの数平均分子量を有する。本明細書に記載される組成物のいずれも透明塗料またはインクなどの着色塗料であり得る。いくつかの実施形態では、組成物がインクである。
【0004】
上記実施形態のいずれかでは、ケト官能性ラテックスポリマーが、アクロレイン、メタクロレイン、ホルミルスチレン、分子中に(メタ)アクリロイル基およびケト基(例えば、アセチル基)を有する化合物、またはビニルアルキルケトンを含む。例えば、ケト官能性ラテックスポリマーは、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンおよびビニルイソブチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート、またはビニルアセトアセトアミドを含み得る。
【0005】
上記実施形態のいずれかでは、ケト官能化ラテックスポリマーがジアセトンアクリルアミドを含み得る。上記実施形態のいずれかでは、ジヒドラジドが式I:
【化1】
(式中、R
1はアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンアリールアルキレン、ヘテロシクリレン、アルキレンヘテロシクリレン、アルキレンヘテロシクリルアルキレン、ヘテロアリーレン、アルキレンヘテロアリーレンまたはアルキレンヘテロアリールアルキレンである)
の化合物である。種々の実施形態では、R
1がアルキルである。このような実施形態では、R
1がC
1〜C
20アルキルであり得る。一実施形態では、ジヒドラジドがアジピン酸ジヒドラジドである。
【0006】
上記実施形態のいずれかでは、ポリカルボジイミドが式:
【化2】
(式中、R
2はアルキレニル、アリーレニル、アラルキレニル、ヘテロアリーレニル、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリレニルまたはヘテロシクリルアルキレニルである)
の化合物である。いくつかの実施形態では、R
2がC
1〜C
20アルキレニル、ベンジレニル、フェニレニルまたはパーハロフェニレニルである。いくつかの実施形態では、R
2がC
1〜C
10アルキレニルまたはC
1〜C
20シクロアルキルアルキレニルである。いくつかの実施形態では、R
2が2,2,4−トリメチルヘキサメチレン;
【化3】
である。
【0007】
別の態様では、水性組成物を製造する方法が、ポリカルボジイミドを架橋性ポリマー担持エマルションと混合するステップを含み;架橋性ポリマー担持エマルションは、水に溶解した中和カルボン酸官能性支持ポリマーを反応器に装入するステップと;ケト官能性モノマーを含むモノマーを反応器に装入するステップと;少なくとも1種の開始剤を反応器に装入するステップと;中和カルボン酸官能性支持ポリマー、モノマーおよび少なくとも1種の開始剤を、架橋性ポリマー担持エマルションを製造するのに十分な温度および時間で攪拌するステップと、を含む方法により製造される。本方法は、顔料を架橋性ポリマー担持エマルションと混合するステップをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態によると、顔料が顔料分散液として混合される。本方法は、ジヒドラジドを架橋性ポリマー担持エマルションと混合するステップをさらに含んでもよい。上記方法のいずれかが、水性組成物を基材に塗布するステップと、水を除去して被覆基材を形成するステップとをさらに含んでもよい。
【0008】
別の態様では、塗料組成物から形成された塗料で被覆された基材が提供される。塗料組成物は、架橋性ケト官能化ラテックスポリマーと、架橋性水溶性支持樹脂とを含み;塗料で被覆された基材は4以上のサザーランド摩擦試験スコアを示し;サザーランド摩擦試験は塗料で被覆された基材を、塗料上Windex(登録商標)の存在下、グレード5の漂白布および2lb荷重で、1番の速度で15サイクル摩擦することを含み;基材はポリエチレンを含む。いくつかの実施形態では、塗料がインクである。いくつかの実施形態では、塗料が5のサザーランド摩擦試験スコアを示す。
【0009】
別の態様では、インクが架橋性ケト官能化ラテックスポリマーと、架橋性水溶性支持樹脂とを含み、インクが100印刷未満の再溶解性を示す、基材上にインクを印刷する方法が提供される。いくつかの実施形態では、インクが30印刷未満の再溶解性を示す。いくつかの実施形態では、インクが20〜50印刷の再溶解性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および特許請求の範囲に記載される例示的実施形態は限定を意図するものではない。ここに提示される主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され、他の変更がなされ得る。本技術はまた、本明細書の実施例によっても示されるが、これらの実施例は何ら限定するものと解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書で使用される場合、特に指示しない限り、以下の用語の定義を適用する。
【0013】
一般に、「置換」は、含有される水素原子との1個または複数の結合が、非水素または非炭素原子との結合に置き換えられた、以下に定義される基(例えば、アルキルまたはアリール基)を指す。置換基はまた、炭素(複数可)または水素(複数可)原子との1個または複数の結合が、ヘテロ原子との、二重または三重結合を含む1個または複数の結合に置き換えられた基も含む。したがって、特に指定しない限り、置換基は1個または複数の置換基で置換される。いくつかの実施形態では、置換基が1、2、3、4、5または6個の置換基で置換されている。置換基の例としては、ハロゲン(すなわち、F、Cl、BrおよびI);ヒドロキシル;アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、カルボニル(オキソ)、カルボキシル、エステル、ウレタン、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホニル、スルホンアミド、アミン、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、ニトロ基、ニトリル(すなわち、CN)などが挙げられる。
【0014】
アルキル基は、1〜20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、1〜12、1〜8、1〜6または1〜4個の炭素原子を有する直鎖および分岐アルキル基を含む。アルキル基はシクロアルキル基をさらに含む。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルおよびn−オクチル基などの1〜8個の炭素原子を有するものが挙げられる。分岐アルキル基の例としては、それだけに限らないが、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、イソペンチルおよび2,2−ジメチルプロピル基が挙げられる。代表的な置換アルキル基は、上に列挙されているような置換基で1回または複数回置換され得る。ハロアルキルという用語が使用される場合、アルキル基が1個または複数のハロゲン原子で置換されている。
【0015】
シクロアルキル基は、それだけに限らないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基などの環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基が3〜8個の環構成員を有するが、他の実施形態では、環炭素原子の数が3〜5、3〜6または3〜7個に及ぶ。シクロアルキル基は、例えば、以下に記載される架橋シクロアルキル基などの単環、二環および多環の環系、ならびにそれだけに限らないが、デカリニルなどの縮合環をさらに含む。いくつかの実施形態では、多環シクロアルキル基は3個の環を有する。置換シクロアルキル基は、上で定義される非水素および非炭素基で1回または複数回置換され得る。しかしながら、置換シクロアルキル基はまた、上で定義される直鎖または分岐鎖アルキル基で置換された環を含む。代表的な置換シクロアルキル基は、一置換または、それだけに限らないが、2,2−、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−二置換シクロヘキシル基(上に列挙されているような置換基で置換されていてもよい)などの2回以上置換されたものであり得る。
【0016】
アルケニル基は、直鎖および分岐鎖、ならびに2個の炭素原子の間に少なくとも1個の二重結合が存在することを除いて、上に定義されるシクロアルキル基を含む。したがって、アルケニル基は、2〜約20個の炭素原子、典型的には2〜12個の炭素、いくつかの実施形態では、2〜8、2〜6または2〜4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、4〜20個の炭素原子、5〜20個の炭素原子、5〜10個の炭素原子または5、6、7もしくは8個の炭素原子さえ有するシクロアルケニル基を含む。例としては、それだけに限らないが、ビニル、アリル、CH=CH(CH
3)、CH=C(CH
3)
2、−C(CH
3)=CH
2、−C(CH
3)=CH(CH
3)、−C(CH
2CH
3)=CH
2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルなどが挙げられる。代表的な置換アルケニル基は、それだけに限らないが、上に列挙されているような置換基で一置換、二置換もしくは三置換されるなど一置換または2回以上置換されたものであり得る。
【0017】
アルキニル基は、2個の炭素原子の間に少なくとも1個の三重結合が存在することを除いて、直鎖および分岐鎖アルキル基を含む。したがって、アルキニル基は、2〜約20個の炭素原子、典型的には2〜12個の炭素原子、いくつかの実施形態では、2〜8、2〜6または2〜4個の炭素原子を有する。例としては、それだけに限らないが、−C≡CH、−C≡C(CH
3)、−C≡C(CH
2CH
3)、−CH
2C≡CH、−CH
2C≡C(CH
3)および−CH
2C≡C(CH
2CH
3)などが挙げられる。代表的な置換アルキニル基は、それだけに限らないが、上に列挙されているような置換基で一置換、二置換もしくは三置換されるなど一置換または2回以上置換されたものであり得る。
【0018】
アリールまたはアレーン基は、ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。アリール基は、単環、二環および多環の環系を含む。したがって、アリール基には、それだけに限らないが、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニレニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニルおよびナフチル基が含まれる。いくつかの実施形態では、アリール基が基の環部分に6〜14個の炭素、他では、6〜12または6〜10個の炭素原子を含有している。「アリール基」という句は縮合芳香族−脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)などの縮合環を含有する基を含むが、環構成員の1つに結合した、アルキルまたはハロ基などの他の基を有するアリール基を含まない。むしろ、トリルなどの基は置換アリール基と呼ばれる。代表的な置換アリール基は、一置換または2回以上置換されたものであり得る。例えば、一置換アリール基には、それだけに限らないが、上に列挙されているような置換基で置換されていてもよい2−、3−、4−、5−もしくは6−置換フェニルまたはナフチル基が含まれる。
【0019】
本明細書で使用される場合、アルキレニル、アリーレニル、アラルキレニルなどの基は、2つの結合点を有する基を指す。アルキレニルは、2つの結合点を有するアルキル基を指す。例えば、アルキレニル基には、それだけに限らないが、メチレン(−CH
2−)、ブチレン(−CH
2CH
2CH
2CH
2−;−CH
2CH(CH
3)CH
2−;−CH(CH
3CH
2)CH
2−)および他のアルキル系基についてこれに類するものが含まれ得る。アリーレニルは、2つの結合点を有するアリール基である。例えば、1つのこのような基に−C
6H
4−基がある。アラルキレニル基は、アルキレン基を有するアリール基である。例えば、1つのこのような基に−C
6H
4CH
2−がある。他の基の意味も同様に意図される。
【0020】
「アルコキシ」は、基−O−アルキル(式中、アルキルは本明細書で定義されている)を指す。アルコキシには、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシおよびn−ペントキシが含まれる。
【0021】
一般に、水性エマルションのための二重架橋系が提供される。この系は、インクおよび塗料に用途を見出し、以前の系に対する耐薬品性改善をもたらす。二重架橋系では、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)官能化ラテックスが、ポリカルボジイミド(PCDI)と架橋した酸官能基を有する支持樹脂の存在下で、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)の添加を介して架橋される。支持樹脂は、塩基により中和されて水溶性ポリマー溶液を形成するスチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸コポリマーであり得る。次いで、エマルション工程中に水溶性カルボン酸官能性ポリマー溶液が主に系に安定性をもたらすためのポリマー界面活性剤として添加される。したがって、系で生じる2つの架橋化学、ラテックス粒子を架橋するDAAM−ADH化学、および酸官能性ポリマー界面活性剤を架橋するPCDI−酸化学が存在する。この系により、同時に、および各個々の架橋系よりも効率的に粒子間および粒子内架橋が可能になる。さらに、各個々の架橋系の速度論が異なるので、インクおよび塗料についての調整可能な硬化および乾燥時間がもたらされる。
【0022】
本明細書で使用される場合、(メタ)アクリルモノマーという用語は、アクリル酸またはメタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、ならびにアクリル酸またはメタクリル酸の塩、アミドおよび他の適当な誘導体、ならびにこれらの混合物を指す。適当なアクリルモノマーの例としては、限定されないが、以下のメタクリレートエステルが挙げられる:メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMA)、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、ベンジルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、sec−ブチル−メタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、メタリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メトキシブチルメタクリレート、2−ニトロ−2−メトキシプロピルメタクリレート、2−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートおよびテトラヒドロピラニルメタクリレート。適当なアクリレートエステルの例としては、限定されないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート(BA)、n−デシルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、t−ブチルアミノエチルアクリレート、2−スルホエチルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、アリルアクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、sec−ブチル−アクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、シンナミルアクリレート、クロチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、フルフリルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、メタリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メトキシブチルアクリレート、2−ニトロ−2−メチルプロピルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、プロパルギルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートおよびテトラヒドロピラニルアクリレートが挙げられる。
【0023】
二重硬化塗料系が提供される。二重硬化系は、水性ケト官能性ポリマー担持エマルションおよびジヒドラジドと;カルボン酸官能性支持ポリマーおよびポリカルボジイミド溶液との組み合わせを含む。この系では、塗料が、水性ケト官能性ポリマーおよびカルボン酸官能性支持ポリマーを混合するステップと、引き続いてポリカルボジイミドおよびジヒドラジド溶液を添加して塗料組成物を形成するステップとによって製造される。塗料がインクである場合、水性顔料分散液がケト官能性ポリマー担持エマルション、またはケト官能性ポリマー/ポリカルボジイミド混合物に添加され得る。次いで、塗料が膜として基材に塗布され、膜が室温または高温で硬化させられる。二重硬化インクおよび塗料は経済的コストで優れた耐性を示し、印刷で優れた再溶解性を示す。記載される塗料およびインクはフレキソおよびグラビア印刷運転に有用であり、可撓性包装への印刷に特に適している。
【0024】
理論により拘束されるものではないが、ケト官能化ラテックスおよび酸官能性保護コロイドを含む水性エマルションがジヒドラジド成分と反応してラテックスのケト基を架橋する一方で、保護コロイドがポリカルボジイミドと架橋すると考えられる。1つの例示的実施形態では、ジアセトン−アクリルアミド(DAAM)−官能化ラテックスおよび酸官能性保護コロイドを含む水性エマルションが、DAAM−ADH架橋が起こる室温でアジピン酸ジヒドラジド(ADH)と反応する。次いで、ポリカルボジイミド(PCDI)が添加されて保護コロイドの酸基を架橋する。二重架橋系により、同時粒子間および粒子内架橋が可能になり、したがって、系が各個々の架橋系よりも効率的に働く。二重架橋系は、優れた耐摩擦性ならびに水およびアンモニアなどの塩基性溶液、Windex(登録商標)洗浄液、エタノールなどに対する耐汚点性を示す高化学性能の水性塗料およびインクの架橋に使用され得る。印刷は、優れたアイスクリンクル耐性および耐アルカリ性も有する。
【0025】
上記エマルションを使用して製造した分散液は、ポリマー膜を含む種々の基材のための耐性インクおよび塗料を形成するために比較的少量の架橋剤(ポリカルボジイミド)を要する。エマルションを含有するインクは、優れた印刷再溶解性を提供するために保護コロイドとして使用され得る。耐インク性は、2液型ポリアジリジン架橋系に匹敵するが、高度に毒性のポリアジリジンを使用しない。
【0026】
一態様では、エマルションが、上記二重架橋系の一部として提供される。エマルションは、水およびカルボン酸官能性支持ポリマーを含む連続相と;ポリカルボジイミドと;ケト官能化ラテックスポリマーとを含む。エマルションは、水に溶解した中和カルボン酸官能性支持ポリマーを反応器(例えば、第1の容器)に装入することによって製造される。第2の容器から、(メタ)アクリレートモノマーおよびスチレンモノマーの溶液も反応器に装入される。第3の容器から、アクリルアミド水溶液も反応器に装入される。次いで、反応物質の混合物が、反応物質が混ぜ合わさってポリマー担持エマルションを形成するのに十分な温度および時間で攪拌される。本明細書で使用される場合、容器は、容器の各々の成分が主反応器に入る前にインライン混合している、主反応器への供給路であり得る。あるいは、反応中に第3の容器からアクリルアミド溶液を添加する代わりに、アクリルアミドが中和カルボン酸官能性支持ポリマーと共に反応器の初期装入に添加され得る、またはエマルションが製造された後でアクリルアミドが添加され得る。ポリマー担持エマルションの製造後、反応温度または冷却後のいずれかで、ジヒドラジドおよび塩基が、基材に塗布される前にエマルションに添加される。
【0027】
反応では、(メタ)アクリレートモノマー(複数可)がスチレンモノマーと共にケト官能性ラテックスポリマーエマルションを形成する。次いで、ジヒドラジドが架橋様式でケト官能性ラテックスポリマーのケト基と反応してエマルション/基材上の塗料を硬化する。したがって、これが二重架橋の一番目である(このような架橋反応への反応経路と考えられているものを示す、以下のスキーム1を参照されたい)。第2の架橋は、ポリカルボジイミドと、カルボン酸官能性支持ポリマー上の残留酸基の反応である(ポリカルボジイミド架橋への反応経路と考えられているものを示す、以下のスキーム2を参照されたい)。ポリカルボジイミドの添加は、インクが製造される場合、インクを製造するために顔料をエマルションに組み込むのと併せてまたはその後で行われ得る。
【化4】
したがって、ポリマー中のケト官能性(スキーム1)とカルボン酸官能性(スキーム2)の両方によって、特に可撓性基材用途に関して優れた耐性および優れた再溶解性を有する塗料およびインクを提供するための二重架橋系が達成され得る。
【0028】
塗料またはインクとして製造される場合、エマルションが、エマルションの、硬化および乾燥塗料またはインクへの硬化を助けるための開始剤を含んでもよい。このような開始剤には、エマルションとの迅速な混合およびブレンドのために水溶性であるものが含まれ得る。開始剤は熱開始剤であり得る。適当な開始剤には、それだけに限らないが、2,2’−アゾジ−(2,4−ジメチルバレロニトリル);2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル);1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル);tert−ブチルペルベンゾエート;tert−アミルペルオキシ2−エチルヘキシルカルボネート;1,1−ビス(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−アミルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート(TBPB)、2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジ−tert−アミルペルオキシド(DTAP);ジ−tert−ブチルペルオキシド(DTBP);ラウリルペルオキシド;ジラウリルペルオキシド(DLP)、コハク酸ペルオキシド;または過酸化ベンゾイルが含まれる。いくつかの実施形態では、重合開始剤には、2,2’−アゾジ−(2,4−ジメチルバレロニトリル);2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);または2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)が含まれる。他の実施形態では、重合開始剤には、ジ−tert−アミルペルオキシド(DTAP);ジ−tert−ブチルペルオキシド(DTBP);ラウリルペルオキシド;コハク酸ペルオキシド;または過酸化ベンゾイルが含まれる。
【0029】
カルボン酸官能性支持ポリマーは、典型的にはアルカリ可溶性樹脂である。換言すれば、カルボン酸官能性支持ポリマーは、ポリマーのカルボキシレート基でアルカリ性材料と反応してイオン塩を形成し、それによってポリマーの水溶性特性を強化することができる。適当なカルボン酸官能性支持ポリマーには、それだけに限らないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、イタコン酸無水物、無水マレイン酸、フマル酸無水物、クロトン酸無水物、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert−ブチルスチレン、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、酢酸ビニル、メチルアクリレート、鎖式共役ジエン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルエステル、塩化ビニル、または任意の2種以上のこのようなモノマーの混合物などのモノマーから製造されたものが含まれる。いくつかの実施形態では、カルボン酸官能性支持ポリマーには、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、酢酸ビニル、メチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、または任意の2種以上のこのようなモノマーの混合物の重合化モノマーが含まれる。一実施形態では、カルボン酸官能性支持ポリマーには、アクリル酸、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、酢酸ビニル、メチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、または任意の2種以上のこのようなモノマーの混合物の重合化モノマーが含まれる。一実施形態では、カルボン酸官能性支持ポリマーがスチレン、メチルメタクリレートおよびアクリル酸を含むコポリマーである。
【0030】
カルボン酸官能性支持ポリマーは、典型的には約500〜100000g/molの数平均分子量を有する。一実施形態では、数平均分子量が約2000〜10000g/molである。一実施形態では、数平均分子量が約500〜20000g/molである。一実施形態では、数平均分子量が約500〜5000g/molである。カルボン酸官能性支持ポリマーおよびその製造の例は、例えば、米国特許第4820762号中に見出すことができる。
【0031】
カルボン酸官能性支持体は、約20を超える酸価を有し得る。いくつかの実施形態では、酸価が約30を超える。上限は特に限定されないが、いくつかの実施形態では、酸価が約20〜約150または約30〜150となり得る。
【0032】
上記ケト官能化ラテックスポリマーは、いくつかの異なるケト官能性モノマーから製造され得る。例えば、ケト官能化ラテックスは、それだけに限らないが、アクロレイン、メタクロレイン、ホルミルスチレン、分子中に(メタ)アクリロイル基およびケト基(例えば、アセチル基)を有する化合物、またはビニルアルキルケトンなどのモノマー単位を含み得る。例えば、このようなケトモノマーには、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンおよびビニルイソブチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート、またはビニルアセトアセトアミドが含まれる。一実施形態では、ケト官能化ラテックスポリマーにはジアセトンアクリルアミドが含まれる。
【0033】
インク用のエマルションの製造に使用され得る例示的ジヒドラジドには、式I:
【化5】
により表されるものが含まれる。式I中、R
1はアルキレニル、シクロアルキレニル、アリーレニル、アルキルアリール、アルキルアリールアルキル、ヘテロシクリレニル、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリーレニル、アルキルヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、R
1が置換または未置換アルキレニルである。いくつかの実施形態では、R
1がC
1〜C
20アルキルである。1つの例示的ジヒドラジドにアジピン酸ジヒドラジドがある。
【0034】
上記エマルションにおいて、ポリカルボジイミドは、式II:
【化6】
により表され得る。式II中、R
2はアルキレニル、シクロアルキレニル、アリーレニル、アラルキレニル、ヘテロアリーレニル、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリレニルもしくはヘテロシクリルアルキレニル、またはCN、NO
2、F、Br、Cl、I、スルフィド、アミン、アルコキシ基およびアリールオキシ基などの1個もしくは複数の置換基を場合により含む前記のいずれかである。例えば、R
2はC
1〜C
20アルキレニル、ベンジレニル、フェニレニルもしくはパーハロフェニレニルであり得る、またはいくつかの実施形態では、R
2はC
1〜C
10アルキレニルもしくはC
1〜C
20シクロアルキルアルキレニルである。
【0035】
式IIのいくつかの例示的化合物には、R
2が2,2,4−トリメチルヘキサメチレン;
【化7】
であるものが含まれる。
【0036】
次いで、エマルションは塗料として基材に塗布され得る。例えば、エマルションは、顔料および/またはインクとして使用するための他の添加剤を含んでもよい。適当な基材には、それだけに限らないが、紙、セメント状材料、ボール紙、ファイバーボード、木材、プラスチック、金属、ガラスまたはセラミックが含まれる。
【0037】
別の態様では、塗料を製造する方法が提供される。この方法は、ポリカルボジイミドをポリマー担持エマルションと混合して塗料組成物を形成するステップを含むことができる。ポリマー担持エマルションは、上に記載され、水に溶解した中和カルボン酸官能性支持ポリマーを反応器に装入するステップと;(メタ)アクリレートおよびスチレンモノマーを反応器に装入するステップと;水に溶解したケト官能性モノマーを反応器に装入するステップとによって製造されるもののいずれかである。中和カルボン酸官能性支持ポリマー、(メタ)アクリレート、スチレンモノマーおよびケト官能性モノマーは全て、架橋性支持ポリマーエマルションを製造するために十分な温度および時間で、攪拌、振盪または他のかき混ぜによってかき混ぜられる。あるいは、ケト官能性モノマーが初期装入と共に、または他の反応物質の全てが反応器に装入された後で反応器に添加される類似の方法が行われ得る。エマルションの製造後であるが塗料またはインクとしてのエマルションの基材への塗布前に、エマルションが、エマルションを硬化させるためにジヒドラジド、および場合により、塩基と混ぜ合わされ得る。ジヒドラジドは溶液としてまたは固体として添加され得る。
【0038】
(メタ)アクリレートモノマーは上に記載されているものである。例えば、適当な(メタ)アクリレートモノマーには、それだけに限らないが、アクリル酸またはメタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、ならびにアクリル酸またはメタクリル酸の塩、アミドおよび他の適当な誘導体、ならびにこれらの混合物が含まれ得る。適当なアクリルモノマーの例としては、限定されないが、以下のメタクリレートエステルが挙げられる:メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMA)、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、ベンジルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、sec−ブチル−メタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、メタリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メトキシブチルメタクリレート、2−ニトロ−2−メトキシプロピルメタクリレート、2−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートおよびテトラヒドロピラニルメタクリレート。適当なアクリレートエステルの例としては、限定されないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート(BA)、n−デシルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、t−ブチルアミノエチルアクリレート、2−スルホエチルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、アリルアクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、sec−ブチル−アクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、シンナミルアクリレート、クロチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、フルフリルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、メタリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メトキシブチルアクリレート、2−ニトロ−2−メチルプロピルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、プロパルギルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートおよびテトラヒドロピラニルアクリレートが挙げられる。
【0039】
記載する方法のいずれかに使用するための例示的スチレンモノマーには、それだけに限らないが、スチレンおよびα−メチルスチレンが含まれ得る。例示的ジヒドラジドも、式Iに関連して上に記載されている通りである。塩基は、それだけに限らないが、アンモニア、モノ−、ジ−もしくはトリ−アルキルアミン(それだけに限らないが、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミンなど)、ピリジン、ピペリジン、4−メチルピペリジン、ジアザビシクロウンデセン、ジメチルエタノールアミン、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む多種多様な塩基のいずれかであり得る。
【0040】
上記方法で、ポリマー担持エマルションの製造は、室温または高温で行われ得る。例えば、製造は、約25℃〜約100℃で行われ得る。いくつかの実施形態では、製造が約50℃〜約90℃で行われる。反応の時間は数分〜数時間まで変化し得る。いくつかの実施形態では、時間が約30分〜4時間である。反応はバッチ式反応器または連続反応器で行われ得る。
【0041】
塗料を製造する上記方法はまた、顔料を架橋性支持ポリマーエマルションと共にポリカルボジイミドと混合するステップを含んでもよい。このステップは、反応速度論が効率的で制御可能な反応に好都合な温度で行われ得る。例えば、温度は室温より上、室温、または室温より下であり得る。一実施形態では、温度が室温または室温より下である。本明細書で製造されるインク、塗料およびエマルションは、早期硬化に対する安定性を示すので、結果として優れた再溶解性が維持される。例えば、水性塗料およびインク組成物は、密閉容器で貯蔵されると、周囲条件下、5日の貯蔵後に25%未満の粘度増加を示す。したがって、二重架橋系でさえ、周囲条件では、粘度が5日にわたって25%以下しか増加しないように、架橋が明らかな速度では進行しない。いくつかの実施形態では、塗料またはインク組成物が、密閉容器で貯蔵されると、周囲条件下、5日の貯蔵後に20%未満の粘度増加を示す。いくつかの実施形態では、塗料またはインク組成物が、密閉容器で貯蔵されると、周囲条件下、5日の貯蔵後に15%未満の粘度増加を示す。いくつかの実施形態では、塗料またはインク組成物が、密閉容器で貯蔵されると、周囲条件下、5日の貯蔵後に10%未満の粘度増加を示す。いくつかの実施形態では、塗料またはインク組成物が、密閉容器で貯蔵されると、周囲条件下、5日の貯蔵後に5%未満の粘度増加を示す。粘度増加の程度が小さいほど、エマルションが長い貯蔵寿命を示す。
【0042】
塗料を製造する上記方法はまた、塗料組成物を基材に塗布するステップと、水を除去して被覆基材を形成するステップとを含んでもよい。水は、二重架橋系の乾燥を助けかつ硬化を助ける高温で、組成物/エマルションから除去され得る。高温は約30℃〜約100℃に及び得る。いくつかの実施形態では、高温が約45℃〜約70℃である。上記実施形態のいずれかでは、高温が約60℃となり得る。
【0043】
別の態様では、塗料で被覆された基材が提供される。塗料は、架橋性ケト官能化ラテックスポリマーと、架橋性水溶性支持樹脂とを有する上記二重架橋系のいずれかに基づく。塗料で被覆された基材は、Windex(登録商標)摩擦に関して4以上のサザーランド摩擦試験スコアを示す。いくつかの実施形態では、塗料がWindex(登録商標)摩擦に関して5のサザーランド摩擦試験スコアを示す。サザーランド摩擦試験は、実施例において以下でさらに説明されるが、簡単に言えば、この試験は塗料完全性および基材との接着の尺度を提供する。適当な基材には、それだけに限らないが、紙、ボール紙、木材、ポリマー、セメント、モルタル、セメント状材料、ガラスおよびセラミックが含まれる。一実施形態では、基材がポリエチレンを含む。
【0044】
上記のように、二重架橋性エマルションは、優れた再溶解性を示すインクを提供する。再溶解性は、組成物の移動、濡れ、接着および画像解像度特性の組み合わせを指し、印字ヘッドが、乾燥している印刷インクを再溶媒和させることによって印刷停止後に元の印刷品質に戻る能力で現れる。本明細書で提供されるエマルション組成物は、インク配合物への使用で現在利用可能な他のポリマー組成物に対して改善した再溶解性を可能にする。再溶解性は、実験室のグラビア印刷装置によって測定および定量化され得る。このような装置を使用すると、再溶解性についての尺度が、一定の印刷停止後に元の印刷画質を回復するのに要する印刷数となる。再溶解性についての値は、1印刷の理論最低値から何百以上の印刷またはそれ以上までに及び得る。本開示および続く特許請求の範囲の目的のために、組成物の再溶解性は以下の「再溶解性試験」の点から定義される。再溶解性試験は、Moser型フレキソまたはグラビア印刷機を使用する。印刷平衡に達した後、印刷が5分間停止され、次いで、再開され、元の印刷品質を再現するために必要とされる印刷数がカウントされる。印刷機は20m/分で運転される。38〜42ダインの表面張力を有する白色ポリエチレン基材が使用される。2ロール印刷ステーションを使用して水性インクが印刷される。グラビアシリンダは120線/cmを有する。インプレッションロールは硬度750、ショア印圧1barおよび測定接触面積9mmを有する。500Wのインラインコロナ処理が使用される。50%相対湿度および22℃に維持された気候制御室で印刷が行われる。60℃に設定されたサーモスタット制御乾燥炉が印刷ステーション後に使用される。
【0045】
この再溶解性試験によって測定される場合、上記エマルション組成物から製造された印刷インクは、100印刷以下で元の印刷画質の少なくとも95%を回復することができる。これには、エマルション組成物から製造された印刷インクが、75印刷以下で元の印刷画質の少なくとも95%を回復することができる実施形態が含まれる。これには、エマルション組成物から製造された印刷インクが、50印刷以下で元の印刷画質の少なくとも95%を回復することができる実施形態が含まれる。これには、エマルション組成物から製造された印刷インクが、100印刷以下で元の印刷画質を完全に回復することができる実施形態がさらに含まれる。これには、エマルション組成物から製造された印刷インクが、10〜80印刷で元の印刷画質を完全に回復することができる実施形態がさらに含まれる。これには、エマルション組成物から製造された印刷インクが、5〜35印刷で元の印刷画質を完全に回復することができる実施形態がさらに含まれる。これには、エマルション組成物から製造された印刷インクが、25〜35印刷で元の印刷画質を完全に回復することができる実施形態がさらに含まれる。
【0046】
こうして一般的に記載される本技術は、以下の実施例を参照してより容易に理解されるが、以下の実施例は例として提供されるものであって、本技術を限定することを意図していない。
【実施例】
【0047】
実施例1 RCエマルションを使用して調製されるDAAM官能化エマルションの一般的合成。
ソリッドグレードオリゴマー(SGO;水溶性ポリマーであるカルボン酸官能性支持ポリマー)を、水を含む反応器に添加する。SGOは、典型的には水中アンモニアによって中和された約30重量%SGOポリマー固体である。SGOの酸価は20〜150で変化する。全バッチ固体に対するSGO固体の割合は1重量%〜30重量%の間で変化する。ジアセトンアクリルアミド(DAAM)をスチレンおよびアクリレート/メタクリレートなどのモノマーと一緒に共供給(co−feed)として反応器に添加する。DAAMの割合は全バッチ固体の0.5%〜5%で変化する。
【0048】
実施例2Aおよび2B SGO溶液の調製。
実施例2Aおよび2Bは中和度が異なる(例えば、異なるレベルのアンモニアを添加した)酸官能性ポリマーの溶液である。
【0049】
実施例2A
コポリマー樹脂(28.26g;n−ブチルアクリレート(14%)、スチレン(27%)、メチルメタクリレート(49%)およびアクリル酸(10%)のコポリマー)を脱イオン水(70.10g)に溶解する。混合物を攪拌しながら60℃に加熱する。加熱混合物に、攪拌しながら、14分間にわたってアンモニアの水中30重量%溶液(1.64g)を添加する。次いで、全ての樹脂が水に溶解するまで、混合物を2時間80℃に加熱する。次いで、得られたSGO樹脂溶液を室温に冷却する。溶液はわずかに曇った液体である。樹脂溶液は、固形分28.0重量%;pH7.80;Tg65℃;および酸価75を有する。
【0050】
実施例2B
コポリマー樹脂(30.00g;n−ブチルアクリレート(14%)、スチレン(27%)、メチルメタクリレート(49%)およびアクリル酸(10%)のコポリマー)を脱イオン水(68.80g)に溶解する。混合物を攪拌しながら60℃に加熱する。加熱混合物に、攪拌しながら、14分間にわたってアンモニアの水中30重量%溶液(1.40g)を添加する。次いで、全ての樹脂が水に溶解するまで、混合物を2時間80℃に加熱する。次いで、得られたSGO樹脂溶液を室温に冷却する。溶液は薄いピンクがかった青色のわずかに曇った液体である。樹脂溶液は、固形分30.9重量%;pH7.30;Tg65℃;および酸価75を有する。
【0051】
実施例3A〜3F二重架橋性エマルション系についての手順。
実施例3A、3Bおよび3Cは、中和ポリマー溶液として上記実施例2Aの樹脂溶液を使用する、系中の酸官能性ポリマーのレベルが異なるエマルションの例である。実施例3A、3Bおよび3Cは、それぞれ、実施例2Aの樹脂6.73g、13.45gおよび20.2gを有する。実施例3DはDAAMおよびADHのレベルが異なり、DAAM3.6gおよびADH1.8gを使用して合成した。実施例3Eは、実施例2Aの樹脂13.58gと共に共重合性界面活性剤ADEKA REASOAP SR−1025(反応性乳化剤、Adeka Corp.の商品名)を使用して調製した。実施例3Fは実施例2Bの樹脂を使用して調製した。
【0052】
実施例3A
反応器に、脱イオン水(32.10g)、実施例2Aの樹脂溶液(6.73g)、界面活性剤[Softanol(商標)120(0.45g)]およびNaHCO
3溶液(10重量%;0.09g)を装入した。反応器および混合物を85℃に加熱した。共供給容器中で、DAAM(1.80g)および脱イオン水(9.46g)を混合する。別のモノマー供給容器中で、スチレン(9.0g)およびn−ブチルアクリレート(9.0g)を混合する。脱イオン水(1.10g)に希釈した過硫酸アンモニウム(0.18g)を反応器に添加し、引き続いて共供給(55分にわたって供給)およびモノマー供給(60分にわたって供給)を同時に添加した。供給が完了したら、容器に脱イオン水(共供給のために1.50g;およびモノマー供給のために0.75g)を流した。次いで、メチルメタクリレート(9.0g)、n−ブチルアクリレート(9.0g)および水(0.19g)の第2のモノマー供給を50分にわたって反応器に供給した。水(13.56g)、アンモニア(0.045g)およびアジピン酸ジヒドラジド(0.90g)を添加し、混合物を室温に冷却した。保存剤(0.15g)を室温で添加した。次いで、ポリマー分散液を濾過し、固形分39.40重量%、pH約8.10および粘度約100cpsを有する白色液体として回収した。
【0053】
実施例3B
反応器に、脱イオン水(25.38g)、実施例2Aの樹脂溶液(13.45g)、界面活性剤[Softanol(商標)120(0.45g)]およびNaHCO
3溶液(10重量%;0.09g)を装入した。次いで、反応器および混合物を85℃に加熱した。共供給容器中で、DAAM(1.80g)および脱イオン水(9.46g)を混合する。モノマー供給容器中で、スチレン(9.0g)およびn−ブチルアクリレート(9.0g)を混合する。脱イオン水(1.10g)に希釈した過硫酸アンモニウム(0.18g)を反応器に添加し、引き続いて共供給(55分にわたって供給)およびモノマー供給(60分にわたって供給)を同時に添加した。供給が完了したら、容器に脱イオン水(共供給のために1.50g;およびモノマー供給のために0.75g)を流した。次いで、メチルメタクリレート(9.0g)、n−ブチルアクリレート(9.0g)および水(0.19g)の第2のモノマー供給を50分にわたって反応器に供給した。水(8.56g)、アンモニア(0.045g)およびアジピン酸ジヒドラジド(0.90g)を添加し、混合物を室温に冷却した。保存剤(0.15g)を室温で添加した。次いで、ポリマー分散液を濾過し、固形分43.08重量%、pH約7.9および粘度約300cpsを有する白色液体として回収した。
【0054】
実施例3C
反応器に、脱イオン水(18.63g)、実施例2のB−82 SGO溶液(20.20g)、界面活性剤[Softanol(商標)120(0.45g)]およびNaHCO
3溶液(10重量%;0.09g)を装入した。次いで、反応器および混合物を85℃に加熱した。共供給容器中で、DAAM(1.80g)および脱イオン水(9.46g)を混合した。モノマー供給容器中で、スチレン(9.0g)およびn−ブチルアクリレート(9.0g)を混合した。脱イオン水(1.10g)に希釈した過硫酸アンモニウム(0.18g)を反応器に添加し、引き続いて共供給(55分にわたって供給)およびモノマー供給(60分にわたって供給)を同時に添加した。供給が完了したら、容器に脱イオン水(共供給のために1.50g;およびモノマー供給のために0.75g)を流した。メチルメタクリレート(9.0g)、n−ブチルアクリレート(9.0g)および水(0.19g)の第2のモノマー供給を50分にわたって反応器に供給した。水(13.56g)、アンモニア(0.045g)およびアジピン酸ジヒドラジド(0.90g)を添加し、混合物を室温に冷却した。保存剤(0.15g)を室温で添加した。次いで、ポリマー分散液を濾過し、固形分42.05重量%、pH約8.10および粘度約2100cpsを有する白色液体として回収した。
【0055】
実施例3D
反応器に、脱イオン水(22.03g)、実施例2のB−82 SGO溶液(14.11g)、界面活性剤[Softanol(商標)120(0.45g)]およびNaHCO
3溶液(10重量%;0.09g)を装入した。次いで、反応器および混合物を85℃に加熱した。共供給容器中で、DAAM(1.80g)および脱イオン水(9.46g)を混合した。モノマー供給容器中で、スチレン(9.0g)およびn−ブチルアクリレート(9.0g)を混合した。脱イオン水(1.10g)に希釈した過硫酸アンモニウム(0.18g)を反応器に添加し、引き続いて共供給(55分にわたって供給)およびモノマー供給(60分にわたって供給)を同時に添加した。供給が完了したら、容器に脱イオン水(共供給のために1.50g;およびモノマー供給のために0.75g)を流した。メチルメタクリレート(9.0g)、n−ブチルアクリレート(9.0g)および水(0.19g)の第2のモノマー供給を50分にわたって反応器に供給した。水(13.56g)、アンモニア(0.045g)およびアジピン酸ジヒドラジド(0.90g)を添加し、混合物を室温に冷却した。保存剤(0.15g)を室温で添加した。次いで、ポリマー分散液を濾過し、固形分41.2重量%、pH約8.0および粘度約300cpsを有する白色液体として回収した。
【0056】
実施例3E
反応器に、脱イオン水(23.58g)、実施例2のB−82 SGO溶液(13.45g)、共重合性界面活性剤Adeka Reasoap SR1025(0.18g)、界面活性剤[Softanol(商標)120(0.45g)]およびNaHCO
3溶液(10重量%;0.09g)を装入した。次いで、反応器および混合物を85℃に加熱した。共供給容器中で、DAAM(1.80g)および脱イオン水(9.46g)を混合した。モノマー供給容器中で、スチレン(9.0g)およびn−ブチルアクリレート(9.0g)を混合した。脱イオン水(1.10g)に希釈した過硫酸アンモニウム(0.18g)を反応器に添加し、引き続いて共供給(55分にわたって供給)およびモノマー供給(60分にわたって供給)を同時に添加した。供給が完了したら、容器に脱イオン水(共供給のために1.50g;およびモノマー供給のために0.75g)を流した。メチルメタクリレート(9.0g)、n−ブチルアクリレート(9.0g)および水(0.19g)の第2のモノマー供給を50分にわたって反応器に供給した。水(13.56g)、アンモニア(0.045g)およびアジピン酸ジヒドラジド(0.90g)を添加し、混合物を室温に冷却した。保存剤(0.15g)を室温で添加した。次いで、ポリマー分散液を濾過し、固形分41.26重量%、pH約7.6および粘度約1000cpsを有する白色液体として回収した。
【0057】
実施例3F 二重架橋系についての手順。
反応器に、脱イオン水(30.08g)、実施例2BのSGO溶液(13.58g)、界面活性剤[Softanol(商標)120(0.45g)]およびNaHCO
3溶液(10重量%;0.09g)を装入した。次いで、反応器および混合物を85℃に加熱した。共供給容器中で、DAAM(1.817g)および脱イオン水(9.545g)を混合した。モノマー供給容器中で、スチレン(9.1g)およびn−ブチルアクリレート(9.1g)を混合した。脱イオン水(1.106g)に希釈した過硫酸アンモニウム(0.18g)を反応器に添加し、引き続いて共供給(55分にわたって供給)およびモノマー供給(60分にわたって供給)を同時に添加した。供給が完了したら、容器に脱イオン水(共供給のために1.51g;およびモノマー供給のために0.76g)を流した。メチルメタクリレート(9.1g)およびスチレン(9.1g)の第2のモノマー供給を50分にわたって反応器に供給した。室温に冷却した後、水(3.46g)、アンモニア(0.17g)およびアジピン酸ジヒドラジド(0.91g)を添加する。次いで、ポリマー分散液を濾過し、固形分43.0重量%、pH約7.8および粘度約800cpsを有する白色液体として回収した。
【0058】
実施例4 インク調製。
実施例3Fで調製したDAAM官能性エマルションを水性顔料分散液とブレンドしてインクを調製した。次いで、ポリカルボジイミド溶液(水中に分散)を、基材に塗布する前にインクに添加した。インクをポリマー基材に塗布し、膜を室温または高温で硬化させる。インクは、典型的にはハンドプルーファー(hand proofer)を使用してポリプロピレン基材上にドローダウンし、耐性について試験する前に一晩乾燥させる。次いで、サザーランド摩擦試験を使用したWindex(登録商標)溶液に対するスクラブ耐性を用いて硬化膜の耐性を測定する。DAAMを添加したエマルションは、二重硬化系のために3以上(3〜5)の評価を提供した。PCDIもDAAMも含まないエマルションは、3より有意に低いまたは3に等しい評価(1〜3の間の評価)を与える。
【0059】
Flexverse III BGD−3153青色分散液(Sun Chemical製の銅フタロシアニンブルー15:3顔料分散液)をエマルションと35:65の比で高速分散機により5分間混合することによって青色インクを調製した。次いで、カラー分散体溶液(35/65のカラー分散体/水)で希釈して、インク粘度を100mPa・s(cps)に調整した。別の容器で、ポリカルボジイミド(60%固体)の溶液を、水を用いて(50/50)調製した。次いで、ポリカルボジイミド溶液をインクと、100部のインクと6部のポリカルボジイミドの比で混合した。
【0060】
上記エマルションを用いておよびPCDIを添加して調製したインクを、フレキソハンドプルーファー(360線)でコロナ処理ポリエチレン膜にドローダウンし、60℃のオーブンで10分間硬化した。
【0061】
実施例5
次いで、実施例4の印刷をサザーランド摩擦試験およびWindex(登録商標)耐性に供した。この試験のために、Windex(登録商標)(5mL;無希釈)をグレード5の漂白布に施用し、次いでこれを2lbブロックサザーランド摩擦試験機に、1番の速度で15サイクルにわたって固定する。次いで、基材からのインクの除去にしたがって基材を評価する。評価スケールは1〜5であり、1はインクが基材から溶解したことを示し、2はインクが軟化し、不鮮明になったことを示し、3はインクがはがれ、剥離していることを示し、4はインクがわずかに傷ついていることを示し、5はインクに何ら影響がなかったことを示す(優秀な結果)。インク除去を示すサザーランド摩擦試験についての標準パネルについては
図1を参照されたい。
【0062】
実施例4のインクエマルションで印刷した膜は5の評価を示したが、PCDIを用いない他の試料は2の評価を示した。
図2は、PCDIを添加しない(A)、4%(B)および6%(C)PCDI架橋剤を添加して調製したインクによる、サザーランド摩擦試験に供した青色印刷のドローダウンを示している。PCDIを添加することにより、印刷インクのスクラブ耐性が明らかに改善している。
【0063】
実施例6
Moser印刷機を使用して印刷を調製してインクエマルションの再溶解性も決定した。Moser印刷機は、グラビアまたはフレキソ印刷フォーマットのいずれかで運転することができる。典型的な再溶解性実験のためには、グラビア設定が一般的に選択される。実験では、Moser印刷機が直径13.5cmおよび幅18.0cmのグラビアシリンダを備え、この印刷機を20m/分の速度で運転し、オーブン温度を60℃とする。
【0064】
5分間印刷機を停止した後に元の印刷品質を回復するのに必要とされる印刷数をカウントすることによって、再溶解性を導く。印刷品質を目視判断によって決定した。
図3は、1印刷(A)および10印刷(B)での再開後の印刷の例である。印刷上のハイライト領域は、印刷機を停止および試験した際の非浸漬領域である。これは、インクが中断中の印刷工程前の色濃度を回復する能力を調べるための対象となる領域である。Moser印刷機試験によると、上記エマルションは30印刷未満の再溶解性をもたらす一方、二重架橋系を用いない対照試料は元の印刷品質に戻るために100印刷超を要する。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
均等物
本開示は、本出願に記載されている特定の実施形態の点から限定されるべきではない。当業者に明らかであるように、その精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書において列挙されているものに加えて、本開示の範囲内の機能的に均等の方法および組成物が、前記説明から当業者に明らかである。このような修正および変形は添付の特許請求の範囲の範囲に入ることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本開示は特定の方法、試薬、化合物組成または生物系に限定されず、当然変化し得ることが理解されるべきである。本明細書において使用される用語法は特定の実施形態を記載することのみを目的としたものであり、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0068】
本明細書で使用される場合、「約」は当業者により理解され、この語が使用される文脈に応じてある程度異なる。当業者に明らかでないこの用語の使用が、この用語が使用される文脈で与えられる場合、「約」は特定の用語の最大で+または−10%を意味する。
【0069】
要素を記載する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに類似の指示対象の使用は、本明細書において特段の指示がない限りかつ文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特段の指示がない限り、その範囲内に入る各別々の値を個別的に指す速記法として働くことが意図されているに過ぎず、各別々の値はあたかもそれが本明細書において個別的に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において特段の指示がない限りかつ文脈上明らかに矛盾しない限り、任意の適当な順で行うことができる。本明細書で提供される任意のおよび全ての例、または代表的言語(例えば、「など」)の使用は、特に明言しない限り、実施形態をよりよく示すことを意図されているに過ぎず、特許請求の範囲の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も要求されていない要素を必須として示すと解釈されるべきではない。
【0070】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(複数可)または限定(複数可)の不存在下で適切に実施され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等は、拡張的かつ限定なしに読まれるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、示されて記載されている特徴の同等物またはその一部を除外するような用語および表現の使用の意図はないが、要求される技術の範囲内で種々の修正が可能であることが認識される。さらに、「から本質的になる(consisting essentially of)」という句は、具体的に列挙されている要素および要求される技術の基本的かつ新規な特徴に実質的には影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解される。「からなる(consisting of)」という句は、明示されていないいかなる要素も除外する。
【0071】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループの点から記載されている場合、当業者であれば、本開示がまたそれによってマーカッシュグループの個々の構成員または構成員のサブグループの点から記載されていることを認識するだろう。
【0072】
当業者によって理解されるように、特に明細書を提供する点から、任意のおよび全ての目的のために、本明細書に開示される全ての範囲は、任意のおよび全ての可能な部分範囲ならびにその部分範囲の組み合わせも包含する。任意の列挙されている範囲は、同範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分解することを十分に記載および可能にしていると容易に認識され得る。非限定的例として、本明細書に論じられている各範囲は、下3分の1、中3分の1および上3分の1等に容易に分解され得る。同様に当業者によって理解されるように、「最大で」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」などの全ての言語は、列挙されている数を含み、後に上に論じられている部分範囲に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は各個々の構成員を含む。
【0073】
本明細書で言及されている全ての刊行物、特許出願、登録特許および他の文献は、あたかも各個々の刊行物、特許出願、登録特許または他の文献が、全体が参照により組み込まれることを具体的かつ個別的に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる本文中に含有される定義は、それらが本開示の定義と矛盾する限りでは除外される。
【0074】
特定の実施形態が示され、記載されてきたが、以下の特許請求の範囲に定義される広範な態様の技術から逸脱することなく、当技術分野における通常の技能によって変更および修正がなされ得ることが理解されるべきである。