特許第6365002号(P6365002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6365002新規液晶性化合物及びそれを用いた液晶組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365002
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】新規液晶性化合物及びそれを用いた液晶組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 25/22 20060101AFI20180723BHJP
   C07C 25/24 20060101ALI20180723BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20180723BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C07C25/22CSP
   C07C25/24
   C09K19/32
   G02F1/13 500
【請求項の数】8
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2014-131336(P2014-131336)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-8207(P2016-8207A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】林 卓央
(72)【発明者】
【氏名】青木 良夫
(72)【発明者】
【氏名】大橋 裕二
(72)【発明者】
【氏名】谷口 士朗
(72)【発明者】
【氏名】東條 健太
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−253469(JP,A)
【文献】 特開2001−040354(JP,A)
【文献】 特開2005−272562(JP,A)
【文献】 特開2008−266646(JP,A)
【文献】 特開2003−286485(JP,A)
【文献】 特開2003−286217(JP,A)
【文献】 特開2005−019219(JP,A)
【文献】 特表2014−510710(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/034867(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00952135(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103254907(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103725295(CN,A)
【文献】 特許第5413706(JP,B2)
【文献】 Organic Electronics,2010年,11,658−663
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 25/22
C07C 25/24
C09K 19/32
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(N)
【化1】
(上記一般式(N)中、L、L、LおよびLは水素原子を表し、
はフッ素原子を表し、
およびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10個のアルキル基、炭素原子数2〜10個のアルケニル基、炭素原子数1〜10個のアルコキシ基または水素原子を表し、
は−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−又は単結合を表し、
は−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
環Aおよび環Aはそれぞれ独立して、
(a)1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられても良い。)
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良い。)
(c)ナフタレン−2,6−ジイル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)〜基(c)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
aおよびbはそれぞれ独立して、0、1または2を表す。)で表される化合物。
【請求項2】
前記一般式(1)において、A及びAはそれぞれ独立して、以下の式(1−1)〜(1−3)からなる群から選択される少なくとも1種で表される、請求項1に記載の化合物。
【化2】
【化3】
【化4】
【請求項3】
前記一般式(1)において、が1又は2である請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(1)において、は0である請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
前記一般式(1)において、R及びRがそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から1のアルケニル基を表す請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物を1種以上含有するp型液晶組成物。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物を1種以上含有するn型液晶組成物。
【請求項8】
請求項6または7に記載の液晶組成物を使用した液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、新規液晶性化合物、及び当該化合物を含有する液晶組成物、更に当該液晶組成物を含有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッサー、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ、時計、広告表示板等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(ツイステッド・ネマチック)型、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型、TFT(薄膜トランジスタ)を用いた垂直配向型やIPS(イン・プレーン・スイッチング)型またはFFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)型等がある。液晶組成物に求められる主な特性としては、(1)水分、空気、熱、光などの外的刺激に対して安定であること、(2)室温を中心としてできるだけ広い温度範囲で液晶相を示していること、(3)低粘性であること、および(4)駆動電圧が低いことの4つが挙げられ、個々の表示素子にとって誘電率異方性(Δε)や屈折率異方性(Δn)等を最適な値とするために、液晶組成物は数種類から数十種類の化合物から構成されていることが一般的である。
【0003】
現在、全ての駆動方式において応答速度の改善が求められており、この課題を解決するために現行よりも低粘度な液晶組成物が必要とされている。低粘度な液晶組成物を得る効果的な方法の一つは、系内の減粘成分の含有量を多くするために、従来よりも高いΔnを備えた非極性の液晶化合物を使用することである。かかる先行技術としては特許文献1が挙げられる。当該特許文献1では、一般式(I)で表されるターフェニル骨格の化合物を使用することで、極めて低い回転粘度γ1および比較的高い光学異方性値Δnを有する組成物が開示されている。また、他の先行技術である特許文献2でも、特許文献1と同一のターフェニル骨格の化合物を使用することで、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、低粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの複数の特性を満たす組成物を提供できる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2005/007775号パンフレット
【特許文献2】国際公開2006/038443号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1や上記の特許文献2の実施例でも示されているように、従来の以下のようなターフェニル骨格を備えた化合物(D)と、下記式(B)や下記式(C)で表される化合物とを組み合わせることにより、液晶組成物全体の高Δn化がなされてきた。
【0006】
【化1】
【0007】
しかしながら、式(B)の化合物は転移温度が0℃前後であり、式(C)の化合物は転移温度が160℃前後と比較的高いものの他の液晶組成物との相溶性が低いという欠点がある。また、上記特許文献(1)および(2)の必須成分である式(D)の化合物のΔnは、0.24前後と大きいが、また転移温度も120℃前後であるため、広いネマチック温度範囲を有する液晶化合物として、その物性値は十分ではなかった。
【0008】
そのため、従来の液晶化合物の組み合わせでは、高速応答化と広い動作温度範囲とを同時に達成するために必要な特性、低粘度、相溶性、高転移温度および高Δnを同時に満たすことができなかった。
【0009】
そこで、本発明では、高速応答化に必要な特性の低粘度や相溶性は担保でき、TniおよびΔn値の向上に寄与する化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために、一般式(1)で表されるナフタレン誘導体およびそれを含む液晶組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る液晶化合物は、粘度が低く、アイソトロピック転移温度が高く、相溶性が高く、屈折率異方性が高く、熱や光による劣化を起こしにくい。本発明に係る液晶化合物を用いた液晶組成物を用いると高速応答液晶表示素子の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係る液晶表示素子の構成の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、本発明に係る液晶表示素子の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一は、一般式(1)
【0014】
【化2】
【0015】
(上記一般式(1)中、R及びR’はそれぞれ独立して、炭素原子数1から15のアルキル基又は炭素原子数2から15のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−CO−により置き換えられても良く、
ナフタレン環は水素原子またはフッ素原子に置換されていてもよく、
環A、環A、環A、環A、環A、環A、環A及び環Aはそれぞれ独立して、以下の(a)、(b)および(c)からなる群より選ばれる基であり、
(a)1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられても良い。)
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良く、この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良い。)
(c)ナフタレン−2,6−ジイル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良い。)
上記の基(a)〜基(c)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、m、n、p、r、s、t、u及びvはそれぞれ独立して、0又は1を表すが、m+n+p+r+s+t+u+vは0、1、2、3又は4である。)で表される化合物である。
【0016】
一般式(1)で表されるナフタレン誘導体により、低粘度、高いアイソトロピック転移温度、高い相溶性、高い屈折率異方性、耐熱性や耐光性に優れた液晶組成物を提供することができる。
【0017】
前記一般式(1)において、環A、環A、環A、環A、環A、環A、環A及び環Aはそれぞれ独立して、以下の式(1−1)〜(1−37)からなる群から選択される少なくとも1種で表されることが好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
本発明に係る一般式(1)で表される化合物において、環A、環A、環A、環A、環A、環A、環A及び環Aからなる群から選択される少なくとも一つは、Δn、Tniを重視する場合はベンゼン(式(1−1))が好ましく、さらに相溶性を重視する場合はモノフッ素化ベンゼン(式(1−2)〜式(1−3))が好ましい。また、ΔnやTniを重視する場合は、ナフタレン系(式(1−9)〜式(1−29))が好ましく、Δεを重視する場合は、ピラン、ジオキサン、ピリミジン(式(1−30)〜式(1−36))が好ましく、相溶性や粘性を重視する場合は、シクロヘキサン環(式(1−37))が好ましい。Δn、Tni、相溶性、粘性等を重視する場合は、ベンゼン環(式(1−1)〜式(1−8))とナフタレン環(式(1−9)〜式(1−29))が単結合で連結した部分構造が好ましく、特に、ベンゼン環(式(1−1)〜式(1−3))とナフタレン環(式(1−9))が単結合で連結した部分構造がより好ましい。相溶性や粘性を重視する場合は、シクロヘキサン環(式(1−387)とベンゼン環(式(1−1)〜式(1−8))が単結合で連結した部分構造が好ましく、特に、シクロヘキサン環(式(1−37))とベンゼン環(式(1−1)〜式(1−3))が単結合で連結した部分構造がより好ましい。
【0022】
これらのうち、式(1−1)〜(1−4)、式(1−9)〜(1−15)および式(1−39)からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)、式(1−9)および式(1−37)がよりさらに好ましく、式(1−2)、式(1−3)、式(1−9)および式(1−37)が特に好ましい。
また、使用する他のp型液晶化合物や他のn型液晶化合物の環構造におけるフッ素の向きと同一であるとΔεへの寄与があると考えられる。
【0023】
本明細書において、炭素原子数2〜15個のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられ、直鎖状または分岐状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
【0024】
本発明に係るより好ましいアルケニル基としては次に記載する式(xi)(ビニル基)、式(xii)(1−プロペニル基)、式(xiii)(3−ブテニル基)および式(xiv)(3−ペンテニル基):
【0025】
【化6】
【0026】
(上記式(i)〜(iv)中、*は環構造への結合部位を示す。)
で表される。
【0027】
本発明に係る「炭素原子数1〜15個のアルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基などが挙げられる。なお、本明細書中において、アルキル基の例は共通であり、各々のアルキル基の炭素原子数の数によって適宜上記例示などから選択される。
【0028】
また、本発明に係るアルコキシ基の例は、上記アルキル基に酸素原子が結合したアルコキシ基が好ましい。
【0029】
前記一般式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子数2〜5個のアルケニル基または炭素原子数が1〜5個のアルキル基がより好ましい。一般式(1)で表される化合物の両端の置換基の炭素原子数が5個以下であると、溶解性やネマチック相形成の観点で好ましい。
【0030】
また、本発明に係る一般式(1)で表される化合物において、環の数は1個〜5個が好ましく、環の数は2個〜4個がより好ましく、環の数は3個〜4個がさらに好ましい。例えば、Δnおよび相溶性が高く、粘性が低い化合物を選択する場合は2環、相溶性およびTniが高く、粘性が低い化合物を選択する場合は3環、ΔnおよびTniが高い化合物を選択する場合は4環である。なお、ここでの環の数はナフタレン環などの縮合環は1つである。
【0031】
前記一般式(1)において、m+n+p+r+s+t+u+vが1、2、又は3であることが好ましく、m+n+p+r+s+t+u+vが1または2であることがより好ましい。
【0032】
前記一般式(1)において、sは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。前記一般式(1)において、tは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。前記一般式(1)において、uは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。前記一般式(1)において、vは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0033】
前記一般式(1)において、m+n+p+rまたはs+t+u+vのいずれかが0であることが好ましい。
【0034】
前記一般式(1)において、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合であることが好ましく、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合であることがより好ましい。また、前記一般式(1)において、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZのうち少なくとも1個以上単結合であることが好ましい。
【0035】
本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、以下の一般式(N)で表される化合物であることが好ましい。
【0036】
当該一般式(N)は、
【0037】
【化7】
【0038】
(上記一般式(N)中、L、L、L、LおよびLはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子またはシアノ基を表し、
およびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10個のアルキル基、炭素原子数2〜10個のアルケニル基、炭素原子数1〜10個のアルコキシ基、水素原子、フッ素原子、シアノ基、−CFまたは−OCFを表し、
およびZはそれぞれ独立して、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
環Aおよび環Aはそれぞれ独立して、
a)1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられても良い。)
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良く、この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良い。)
(c)ナフタレン−2,6−ジイル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)〜基(c)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
aおよびbはそれぞれ独立して、0、1または2を表す。少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0039】
一般式(N)で表される化合物は、ナフタレン環を有することおよびフェニル環とナフタレン環が単結合で結合していることにより高Δnと低粘度との効果を両立できる。
【0040】
上記一般式(N)中、L、L、L、LおよびLは、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子が好ましい。また、L、L、L、LおよびLのうちいずれか一つ以上がフッ素原子で置換されていることが好ましく、同一の環内にあるLもしくはLのいずれか一方、またはL、LおよびLのいずれか一つがフッ素原子で置換されていることがより好ましい。
【0041】
上記一般式(N)中、aは1または2であることが好ましく、bは0または1であることが好ましく、a+bが1、2または3であることが好ましく、a+bが1または2であることがより好ましく、bは0であることがさらにより好ましい。
【0042】
上記一般式(N)中、環Aおよび環Aはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン基が好ましい。
【0043】
上記一般式(N)中、ZおよびZはそれぞれ独立して、ZおよびZはそれぞれ独立して、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合であることが好ましく、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合であることがより好ましい。
【0044】
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の好ましい例としては、例えば以下一般式(N−1)〜(N−7)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0045】
【化8】
【0046】
(上記一般式(N−1)〜(N−7)中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10個のアルキル基、炭素原子数2〜10個のアルケニル基、炭素原子数1〜10個のアルコキシ基、または炭素原子数2〜10個のアルケニルオキシ基を表す。)
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の(n.1−1)〜(n.7−6)が挙げられる。
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
ナフタレン環に隣接するベンゼン環をモノフッ素化することにより、フェニルナフタレン骨格本来の高いΔn及び高いTniという優れた特性を損なわずに、溶解性および粘性の低下を抑制する特徴を備える。
【0057】
本発明において、一般式(1)で表される化合物は、例えば以下の製法1〜製法3に従って製造することができる。勿論本発明の趣旨及び適用範囲は、これら製造例により制限されるものではない。
【0058】
(製法1)
一般式(2)
【0059】
【化18】
【0060】
(上記一般式(2)中、Mはボロン酸(−B(OH))又はボロン酸エステルを表し、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、m、n、p及びrは各々独立して、一般式(1)におけるR、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、m、n、p及びrと同じ意味を表す。)で表される化合物と、一般式(3)
【0061】
【化19】
【0062】
(上記一般式(3)中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R’、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるR’、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)で表される化合物を反応させることにより一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0063】
当該製法1において、反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。金属触媒の具体例としては[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)等が好ましい。塩基の具体例としては炭酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム等が好ましい。溶媒の具体例としてはテトラヒドロフラン、トルエン、エタノール、水等が好ましい。
【0064】
本明細書では、(例えば上記一般式(2)において、)ボロン酸とは、ホウ素−炭素結合を持つ化合物を言い、ボロン酸エステルとは、ボロン酸と(多価)アルコールとのコンプレックス(いわゆるボロン酸エステル残基、例えば、Ph−B(OR))を言い、以下の構造が挙げられる。なお、以下の式中の*は、炭素原子への結合を意味する。
【0065】
【化20】
【0066】
上記一般式(2)と一般式(3)との反応における反応温度は、室温(25℃)から120℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
【0067】
また、上記一般式(2)と一般式(3)との反応における反応雰囲気は、空気下においても反応は進行するが、不活性雰囲気(窒素および/またはアルゴン雰囲気)下で行うのが好ましい。
【0068】
上記一般式(2)と一般式(3)との反応における反応時間は、30分〜10時間程度が好ましい。
【0069】
(製法2)
一般式(4)
【0070】
【化21】
【0071】
(上記一般式(4)中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、m、n、p及びrは各々独立して一般式(1)におけるR、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、m、n、p及びrと同じ意味を表す。)で表される化合物と、一般式(5)
【0072】
【化22】
【0073】
(上記一般式(5)中、Mはホウ酸又はホウ酸エステルを表し、R’、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるR’、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)で表される化合物を反応させることにより一般式(1)で表される化合物を、製法1と同様の反応例を用いて得ることができる。
【0074】
上記一般式(4)と一般式(5)との反応における反応温度は、室温(25℃)から120℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
【0075】
また、上記一般式(2)と一般式(3)との反応における反応雰囲気は、空気下においても反応は進行するが、不活性雰囲気(窒素および/またはアルゴン雰囲気)下で行うのが好ましい。
【0076】
上記一般式(2)と一般式(3)との反応における反応時間は、30分〜10時間程度が好ましい。
【0077】
(製法3)
一般式(1)で表される化合物のうち、一般式(1−1)
【0078】
【化23】
【0079】
(式中、R及びRは各々独立して炭素原子数1から15のアルキル基又は炭素原子数2から15のアルケニル基を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)で表される化合物は、前記製法1および2に加え、以下に説明する工程(A1)、工程(A2)、工程(B)、工程(C)および工程(D)により製造することができる。すなわち、本発明に係る一般式(1−1)で表される化合物は、一般式(6)で表される化合物と、一般式(7)で表される化合物を反応させる工程(A1)または一般式(8)で表される化合物と、一般式(9)で表される化合物とを反応させる工程(A2)により後述の一般式(1−2)で表される化合物を得た後、当該一般式(1−2)で表される化合物を還元して一般式(1−3)で表される化合物を得て(工程(B))、当該一般式(1−3)で表される化合物をクロロ化して一般式(1−4)で表される化合物を得て(工程(C))、次いで当該一般式(1−4)で表される化合物をアルケニル化することにより一般式(1−1)で表される化合物を得ることが好ましい(工程(D))。以下、各工程について説明する。
【0080】
(工程(A))
一般式(6)
【0081】
【化24】
【0082】
(上記一般式(6)中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、Rはホルミル基、カルボキシル基、エステル基又は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、A、A、A、A、Z、Z、Z、m、n、p及びrは各々独立して一般式(1)におけるR、A、A、A、A、Z、Z、Z、m、n、p及びrと同じ意味を表す。)で表される化合物と、一般式(7)
【0083】
【化25】
【0084】
(上記一般式(7)中、Mはホウ酸又はホウ酸エステルを表し、Rはホルミル基、カルボキシル基、エステル基又は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、A、A、A、A、Z、Z、Z、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるR’、A、A、A、A、Z、Z、Z、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)で表される化合物を反応させる工程(A1)または一般式(8)
【0085】
【化26】
【0086】
(上記一般式(8)中、Mはホウ酸又はホウ酸エステルを表し、Rはホルミル基、カルボキシル基、エステル基又は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、A、A、A、A、Z、Z、Z、m、n、p及びrは各々独立して一般式(1)におけるR、A、A、A、A、Z、Z、Z、m、n、p及びrと同じ意味を表す。)で表される化合物と、一般式(9)
【0087】
【化27】
【0088】
(上記一般式(9)中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、Rはホルミル基、カルボキシル基、エステル基又は炭素原子数1から15のアルキル基を表し、A、A、A、A、Z、Z、Z、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるR’、A、A、A、A、Z、Z、Z、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)で表される化合物を反応させることにより一般式(1−2)で表される化合物を、反応させる工程(A2)を、製法1又は製法2と同様の反応条件を用いて以下の一般式(1−2)で表される化合物を得ることができる。
【0089】
【化28】
【0090】
(式中、R及びRはホルミル基、カルボキシル基、エステル基又は炭素原子数1から15のアルキル基(R又はRのうち少なくとも一つはホルミル基、カルボキシル基及びエステル基を表す)を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)
(工程(B))
工程(B)は、前記上記一般式(1−2)で表される化合物を還元することにより下記一般式(1−3)
【0091】
【化29】
【0092】
(上記一般式(1−3)中、R及びRはヒドロキシメチル基又は炭素原子数1から15のアルキル基(R又はRのうち少なくとも一つはヒドロキシメチル基を表す)を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
【0093】
工程(B)において、還元剤として例えば水素化アルミニウムリチウム等のヒドリド還元剤が挙げられる。溶媒の具体例としてはテトラヒドロフランといったエーテル系溶媒等が挙げられる。
【0094】
上記工程(B)の反応において、触媒は使用しなくてもまたは公知のものを使用してもよい。また、当該反応における反応温度は、−40℃から80℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
【0095】
また、上記工程(B)の反応における反応雰囲気は、空気下においても反応は進行するが、不活性雰囲気(窒素および/またはアルゴン雰囲気)下で行うのが好ましい。
上記工程(B)の反応における反応時間は、30分〜5時間程度が好ましい。さらに、上記工程(B)の反応は、安全面から禁水条件で行うのが好ましい。
【0096】
(工程(C))
工程(C)は、一般式(1−3)で表される化合物をクロロ化することにより一般式(1−4)
【0097】
【化30】
【0098】
(上記一般式(1−4)中、R及びRはクロロメチル基又は炭素原子数1から15のアルキル基(R又はRのうち少なくとも一つはクロロメチル基を表す)を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvは各々独立して一般式(1)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、p、r、s、t、u及びvと同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
【0099】
工程(C)におけるクロロ化試薬としては、例えばp−トルエンスルホン酸クロリド、塩化チオニル、オキシ塩化リン等が挙げられる。溶媒の具体例としてはテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン等が挙げられる。共存させる塩基の具体例としては、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
【0100】
上記工程(C)の反応において、触媒は使用しなくてもまたは公知のものを使用してもよい。また、当該反応における反応温度は、−20℃から80℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。
【0101】
また、上記工程(C)の反応における反応雰囲気は、空気下においても反応は進行するが、不活性雰囲気(窒素および/またはアルゴン雰囲気)下で行うのが好ましい。
上記工程(C)の反応における反応時間は、30分〜5時間程度が好ましい。さらに、上記工程(C)の反応は、安全面から禁水条件で行うのが好ましい。
【0102】
(工程(D))
工程(D)は、一般式(1−4)で表される化合物をアルケニル化することにより一般式(1−1)で表される化合物を得ることができる。
【0103】
当該アルケニル化試薬として例えばアリルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド、クロチルマグネシウムクロリド、クロチルマグネシウムブロミド等が挙げられる。溶媒の具体例としてはテトラヒドロフランといったエーテル系溶媒等が挙げられる。
【0104】
上記工程(D)の反応において、触媒は使用しなくてもまたは公知のものを使用してもよい。また、当該反応における反応温度は、−70℃から80℃が好ましく、−20〜50℃がより好ましい。
【0105】
また、上記工程(D)の反応における反応雰囲気は、空気下においても反応は進行するが、不活性雰囲気(窒素および/またはアルゴン雰囲気)下で行うのが好ましい。
上記工程(D)の反応における反応時間は、30分〜5時間程度が好ましい。さらに、上記工程(D)の反応は、安全面から禁水条件で行うのが好ましい。
【0106】
本発明の第二は、一般式(1)で表される化合物を含む液晶組成物であり、ネマチック液晶組成物であることが好ましい。
【0107】
液晶組成物は一般的にΔnの値で調製されるため、より高いΔnを備えた非極性の液晶化合物を使用すると、その使用量を低減できることから、結果的に減粘成分の役割を担う粘度の低い化合物の含有量を高くすることができる。これにより組成物全体の粘度を低くすることができる。
【0108】
この場合、液晶組成物の物性値を調整するために一般式(1)で表される化合物以外の化合物を使用してもよく、液晶相を持つ化合物以外にも必要に応じて液晶相を持たない化合物を添加することもできる。
【0109】
このように、一般式(1)で表される化合物と混合して使用することのできる化合物の好ましい代表例としては、本発明の提供する組成物においては、その第一成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有するが、その他の成分として特に以下の第二から第七成分から少なくとも1種含有することが好ましい。
【0110】
本発明に係る一般式(1)で表される化合物を含む液晶組成物は、ネマチック液晶組成物が好ましい。本発明に係る液晶組成物をp型ネマチック液晶組成物として使用する場合は、第一成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種と、第二成分として以下の一般式(A1)〜(A3)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種および/または第三成分として以下の一般式(B1)〜(B3)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを含み、必要により第四成分〜第七成分からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、第一成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種と、第二成分として以下の一般式(A1)〜(A3)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種および/または第三成分として以下の一般式(B1)〜(B3)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、第四成分として一般式(C1)〜(C3)で示される化合物で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを含み、必要により第五成分〜第七成分からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
【0111】
また、本発明に係る液晶組成物をn型ネマチック液晶組成物として使用する場合は、第一成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種と、第七成分として以下の一般式(F1)〜(F3)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、を含み、必要により第二成分〜第六成分からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、第一成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種と、第七成分として以下の一般式(F1)〜(F3)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、第四成分として一般式(C1)〜(C3)で示される化合物で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、を含み、必要により第二成分〜第六成分からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
【0112】
即ち、第二成分はいわゆるフッ素系(ハロゲン系)のp型液晶化合物であって、以下の一般式(A1)〜(A3)で示される化合物を挙げることができる。
【0113】
【化31】
【0114】
上式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であっても分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、末端が炭素原子数1〜3のアルコキシ基により置換された炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。また、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよい。
【0115】
環A、環B及び環Cは各々独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基またはピリジン−2,5−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基又は1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ましい。特に環Bがトランス−1,4−シクロへキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に、環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましく、環Cがトランス−1,4−シクロへキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に環B及び環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。また、(A3)において環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
【0116】
、L及びLは連結基であって、各々独立して単結合、エチレン基(−CHCH−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH)CH−及び−CHCH(CH)−)、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は−CH=NN=CH−を表すが、単結合、エチレン基、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−又は−C≡C−が好ましく、単結合又はエチレン基が特に好ましい。また、(A2)においてはその少なくとも1個が、(A3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0117】
環Zは芳香環であり以下の一般式(La)〜(Lc)のいずれかひとつを表す。
【0118】
【化32】
【0119】
式中、Y〜Yは各々独立して水素原子あるいはフッ素原子を表すが、(La)において、Y及びYの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、(Lb)において、Y〜Yの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、特にYはフッ素原子であることがさらに好ましく、(Lc)において、Y及びYの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、特にYはフッ素原子であることがさらに好ましい。
【0120】
末端基Pはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基、2個以上のフッ素原子により置換された炭素原子数2又は3のアルコキシ基、2個以上のフッ素原子により置換された炭素原子数2又は3のアルキル基、2個以上のフッ素原子により置換された炭素原子数2又は3のアルケニル基又は2個以上のフッ素原子により置換された炭素原子数2又は3のアルケニルオキシ基を表すが、フッ素原子、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0121】
第三成分はいわゆるシアノ系のp型液晶化合物であって、以下の一般式(B1)〜(B3)で示される化合物を挙げることができる。
【0122】
【化33】
【0123】
上式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であっても分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、末端が炭素原子数1〜3のアルコキシ基により置換された炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。又、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよい。
【0124】
環D、環E及び環Fは各々独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基又は1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ましい。特に環Eがトランス−1,4−シクロへキシレン基又はトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に、環Dはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましく、環Fがトランス−1,4−シクロへキシレン基又はトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に環D及び環Eはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。又、(B3)において環Dはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
【0125】
、L及びLは連結基であって、各々独立して単結合、エチレン基(−CHCH−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH)CH−及び)−CHCH(CH)−)、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−又は−CH=NN=CH−を表すが、単結合、エチレン基、−COO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−又は−C≡C−が好ましく、単結合、エチレン基又は−COO−が特に好ましい。又、一般式(B2)においてはその少なくとも1個が、一般式(B3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0126】
はシアノ基を表す。
【0127】
環Yは芳香環であり以下の一般式(Ld)〜(Lf)のいずれかひとつを表す。
【0128】
【化34】
【0129】
式中、Y〜Yは各々独立的して水素原子あるいはフッ素原子を表すが、(Ld)において、Y及びYの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、(Le)において、Y〜Yの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、特にYはフッ素原子であることがさらに好ましく、(Lf)において、Y及びYの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、特にYはフッ素原子であることがさらに好ましい。
【0130】
第四成分は誘電率異方性が−1〜+5程度である、いわゆる非極性液晶化合物であり、以下の一般式(C1)〜(C3)で示される化合物を挙げることができる。
【0131】
【化35】
【0132】
上式中、R及びPは各々独立して炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であっても分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH−は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシ基又は末端が炭素原子数1〜3アルコキシ基により置換された炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基が好ましく、更に少なくとも一方は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基又は炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基であることが特に好ましい。
【0133】
環G、環H、環I及び環Jは各々独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基は1個以内であることが好ましく、他の環はトランス−1,4−シクロへキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基であることが好ましい。環G、環H、環I及び環Jに存在するフッ素原子数の合計は2個以下が好ましく、0又は1個が好ましい。
【0134】
、L及びLは連結基であって、各々独立して単結合、エチレン基(−CHCH−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH)CH−及び)−CHCH(CH)−)、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は−CH=NN=CH−を表すが、単結合、エチレン基、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−C≡C−又は−CH=NN=CH−が好ましく、一般式(C2)においてはその少なくとも1個が、一般式(C3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0135】
なお、一般式(C1)〜(C3)で示される化合物は一般式(A1)〜(A3)で示される化合物及び一般式(B1)〜(B3)で示される化合物を除く。
【0136】
一般式(A1)〜(A3)で示される化合物、一般式(B1)〜(B3)及び一般式(C1)〜(C3)で示される化合物で示される化合物において、ヘテロ原子同士が直接結合する構造となることはない。また、前記一般式(C1)〜(C3)は、一般式(LC6−a)から一般式(LC6−m)
【0137】
【化36】
【0138】
(式中、RLC61及びRLC62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
【0139】
第五成分は液晶組成物にらせん構造を誘起する為に用いられる、光学活性な化合物である。好ましくは不斉炭素原子を持つ化合物であり、1−メチルヘプチルオキシ基を持つ化合物である事がさらに好ましい。
【0140】
第六成分は応答速度を改善もしくは液晶組成物の配向性を改善する為に加えられる、紫外線照射又は加熱により重合させる事が可能な重合性官能基を持つ化合物である。重合性基としてはアクリルオキシ基又はメタクリルオキシ基である事が好ましく、メタクリルオキシ基である事が更に好ましい。また、重合性官能基を1から3個有する事が好ましく、2個有する事が更に好ましい。
【0141】
第七成分は、いわゆるフッ素系(ハロゲン系)のn型液晶化合物であって、以下の一般式(F1)〜(F3)で示される化合物を挙げることができる。
【0142】
【化37】
【0143】
(上記式中、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51及びALC52はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
【0144】
【化38】
【0145】
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はCl、CF又はOCFで置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC31、ZLC32、ZLC41、ZLC42、ZLC51及びZLC51はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、ZはCH基又は酸素原子を表し、XLC41は水素原子又はフッ素原子を表し、mLC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51及びmLC52はそれぞれ独立して0〜3を表し、mLC31+mLC32、mLC41+mLC42及びmLC51+mLC52は1、2又は3であり、ALC31〜ALC52、ZLC31〜ZLC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
【0146】
LC31〜RLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0147】
【化39】
【0148】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC31〜ALC52はそれぞれ独立して下記の構造が好ましく、
【0149】
【化40】
【0150】
LC31〜ZLC51はそれぞれ独立して単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CFO−、−OCF−又は−OCH−が好ましい。
【0151】
前記一般式(F1)は、下記一般式(LC3−a)及び一般式(LC3−b)
【0152】
【化41】
【0153】
(式中、RLC31、RLC32、ALC31及びZLC31はそれぞれ独立して前記一般式(F1)におけるRLC31、RLC32、ALC31及びZLC31と同じ意味を表し、XLC3b1〜XLC3b6は水素原子又はフッ素原子を表すが、XLC3b1及びXLC3b2又はXLC3b3及びXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、mLC3a1は1、2又は3であり、mLC3b1は0又は1を表し、ALC31及びZLC31が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
LC31は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。
LC31は単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
一般式(LC3−a)としては、下記一般式(LC3−a1)〜一般式(LC3−a4)を表すことが好ましい。
【0154】
【化42】
【0155】
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数1〜7のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
【0156】
一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b12)を表すことが好ましく、一般式(LC3−b1)、一般式(LC3−b6)、一般式(LC3−b8)、一般式(LC3−b11)を表すことがより好ましく、一般式(LC3−b1)及び一般式(LC3−b6)を表すことがさらに好ましく、一般式(LC3−b1)を表すことが最も好ましい。
【0157】
【化43】
【0158】
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数2又は3のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数2のアルキル基を表すことがより好ましい。
【0159】
前記一般式(F2)は、下記一般式(LC4−a)から一般式(LC4−c)、一般式(F3)は下記一般式(LC5−a)から一般式(LC5−c):
【0160】
【化44】
【0161】
(式中、RLC41、RLC42及びXLC41はそれぞれ独立して前記一般式(F2)におけるRLC41、RLC42及びXLC41と同じ意味を表し、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して前記一般式(LC5)におけるRLC51及びRLC52と同じ意味を表し、ZLC4a1、ZLC4b1、ZLC4c1、ZLC5a1、ZLC5b1及びZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
【0162】
LC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
【0163】
LC4a1〜ZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
【0164】
本発明の第三は、一般式(1)で表される化合物を含む液晶組成物を備えた液晶表示組成である。本発明の化合物を含有する液晶組成物を用いた液晶表示素子は、高速応答と表示不良の抑制を両立させた有用なものであり、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード、PSAモード、IPSモード、FFSモード又はECBモード用液晶表示素子に適用できる。
【0165】
以下、本発明に係る液晶性化合物(一般式(1))をp型液晶組成物として液晶表示素子に使用した例を挙げて、図面を参照しつつ、本発明に係る液晶表示装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲は図面に限定されることなく、また本発明に係る液晶性化合物をn型液晶組成物やそれを備えた液晶表示素子にも使用できることは言うまでもない。
【0166】
図1は、互いに対向する二つの基板と、前記基板間に設けられたシール材と、前記シール材に囲まれた封止領域に封入された液晶とを備えている液晶表示素子を示す断面図である。
【0167】
具体的には、基板a100上に、TFT層102、画素電極103を設け、その上からパッシベーション膜104及び配向膜a105を設けたバックプレーンと、基板b200上に、ブラックマトリックス202、カラーフィルタ203、平坦化膜(オーバーコート層)201、透明電極204を設け、その上から配向膜b205を設け、前記バックプレーンと対向させたフロントプレーンと、前記基板間に設けられたシール材301と、前記シール材に囲まれた封止領域に封入された液晶層303とを備え、前記シール材301が接する基板面には突起304が設けられている液晶表示素子の具体的態様を示している。
前記基板a又は前記基板bは、実質的に透明であれば材質に特に限定はなく、ガラス、セラミックス、プラスチック等を使用することができる。プラスチック基板としてはセルロ−ス、トリアセチルセルロ−ス、ジアセチルセルロ−ス等のセルロ−ス誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコ−ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、更にガラス繊維−エポキシ樹脂、ガラス繊維−アクリル樹脂などの無機−有機複合材料などを用いることができる。
【0168】
なおプラスチック基板を使用する際には、バリア膜を設けることが好ましい。バリア膜の機能は、プラスチック基板が有する透湿性を低下させ、液晶表示素子の電気特性の信頼性を向上することにある。バリア膜としては、それぞれ、透明性が高く水蒸気透過性が小さいものであれば特に限定されず、一般的には酸化ケイ素などの無機材料を用いて蒸着やスパッタリング、ケミカルベーパーデポジション法(CVD法)によって形成した薄膜を使用する。
【0169】
本発明においては、前記基板a又は前記基板bとして同素材を使用しても異素材を使用してもよく特に限定はない。ガラス基板を用いれば耐熱性や寸法安定性の優れた液晶表示素子を作製することができて好ましい。またプラスチック基板であれば、ロールツウロール法による製造方法に適し且つ軽量化あるいはフレキシブル化に適しており好ましい。また、平坦性及び耐熱性付与を目的とするならば、プラスチック基板とガラス基板とを組み合わせると良い結果を得ることができる。
【0170】
バックプレーンには、基板a100上に、TFT層102及び画素電極103を設けている。これらは通常のアレイ工程にて製造される。この上にパッシベーション膜104及び配向膜a105を設けてバックプレーンが得られる。
【0171】
パッシベーション膜104(無機保護膜ともいう)はTFT層を保護するための膜で、通常は窒化膜(SiNx)、酸化膜(SiOx)等を化学的気相成長(CVD)技術等により形成する。
【0172】
また、配向膜a105は、液晶を配向させる機能を有する膜であり、通常ポリイミドのような高分子材料が用いられることが多い。塗布液には、高分子材料と溶剤からなる配向剤溶液が使われる。配向膜はシール材との接着力を阻害する可能性があるため、封止領域内にパターン塗布する。塗布にはフレキソ印刷法のような印刷法、インクジェットのような液滴吐出法が用いられる。塗布された配向剤溶液は仮乾燥により溶剤が蒸発した後、ベーキングにより架橋硬化される。この後、配向機能を出すために、配向処理を行う。
【0173】
配向処理は通常ラビング法にて行われる。前述のように形成された高分子膜上を、レーヨンのような繊維から成るラビング布を用いて一方向にこすることにより液晶配向能が生じる。
【0174】
また、光配向法を用いることもある。光配向法は、光感受性を有する有機材料を含む配向膜上に偏光を照射することにより配向能を発生させる方法であり、ラビング法による基板の傷や埃の発生が生じない。光配向法における有機材料の例としては二色性染料を含有する材料がある。二色性染料としては、光二色性に起因するワイゲルト効果による分子の配向誘起もしくは異性化反応(例:アゾベンゼン基)、二量化反応(例:シンナモイル基)、光架橋反応(例:ベンゾフェノン基)、あるいは光分解反応(例:ポリイミド基)のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じる基(以下、光配向性基と略す)を有するものを用いることができる。塗布された配向剤溶液は仮乾燥により溶剤が蒸発した後、任意の偏向を有する光(偏光)を照射することで、任意の方向に配向能を有する配向膜を得ることができる。
【0175】
一方のフロントプレーンは、基板b200上に、ブラックマトリックス202、カラーフィルタ203、平坦化膜201、透明電極204、配向膜b205を設けている。
【0176】
ブラックマトリックス202は、例えば、顔料分散法にて作製する。具体的にはバリア膜201を設けた基板b200上に、ブラックマトリックス形成用に黒色の着色剤を均一分散させたカラーレジン液を塗布し、着色層を形成する。続いて、着色層をベーキングして硬化する。この上にフォトレジストを塗布し、これをプリベークする。フォトレジストにマスクパターンを通して露光した後に、現像を行って着色層をパターニングする。この後、フォトレジスト層を剥離し、着色層をベーキングしてブラックマトリックス202が完成する。
【0177】
あるいは、フォトレジスト型の顔料分散液を使用してもよい。この場合は、フォトレジスト型の顔料分散液を塗布し、プリベークしたのち、マスクパターンを通して露光した後に、現像を行って着色層をパターニングする。この後、フォトレジスト層を剥離し、着色層をベーキングしてブラックマトリックス202が完成する。
【0178】
カラーフィルタ203は、顔料分散法、電着法、印刷法あるいは染色法等にて作成する。顔料分散法を例にとると、(例えば赤色の)顔料を均一分散させたカラーレジン液を基板b200上に塗布し、ベーキング硬化後、該上にフォトレジストを塗布しプリベークする。フォトレジストにマスクパターンを通して露光した後に現像を行い、パターニングする。この後フォトレジスト層を剥離し、再度ベーキングすることで、(赤色の)カラーフィルタ203が完成する。作成する色順序に特に限定はない。同様にして、緑カラーフィルタ203、青カラーフィルタ203を形成する。
【0179】
透明電極204は、前記カラーフィルタ203上に(必要に応じて前記カラーフィルタ203上に表面平坦化のためにオーバーコート層(201)を設けてもよい。)設ける。透明電極204は透過率が高い方が好ましく、電気抵抗が小さいほうが好ましい。透明電極204はITOなどの酸化膜をスパッタリング法などによって形成する。
【0180】
また、前記透明電極204を保護する目的で、透明電極204の上にパッシベーション膜を設ける場合もある。
【0181】
配向膜b205は、前述の配向膜a105と同じものである。
【0182】
以上本発明で使用する前記バックプレーン及び前記フロントプレーンについての具体的態様を述べたが、本願においては該具体的態様に限定されることはなく、所望される液晶表示素子に応じた態様の変更は自由である。
【0183】
前記柱状スペーサーの形状は特に限定されず、その水平断面を円形、四角形などの多角形など様々な形状にすることができるが、工程時のミスアラインマージンを考慮して、水平断面を円形または正多角形にすることが特に好ましい。また該突起形状は、円錐台または角錐台であることが好ましい。
【0184】
前記柱状スペーサーの材質は、シール材もしくはシール材に使用する有機溶剤、あるいは液晶に溶解しない材質であれば特に限定されないが、加工及び軽量化の面から合成樹脂(硬化性樹脂)であることが好ましい。一方、前記突起は、フォトリソグラフィによる方法や液滴吐出法により、第一の基板上のシール材が接する面に設けることが可能である。このような理由から、フォトリソグラフィによる方法や液滴吐出法に適した、光硬化性樹脂を使用することが好ましい。
【0185】
例として、前面柱状スペーサーをフォトリソグラフィ法によって得る場合について説明する。
【0186】
前記フロントプレーンの透明電極204上に、柱状スペーサー形成用の(着色剤を含まない)レジン液を塗布する。続いて、このレジン層をベーキングして硬化する。この上にフォトレジストを塗布し、これをプリベークする。フォトレジストにマスクパターンを通して露光した後に、現像を行ってレジン層をパターニングする。この後、フォトレジスト層を剥離し、レジン層をベーキングして柱状スペーサーが完成する。
【0187】
柱状スペーサーの形成位置はマスクパターンによって所望の位置に決めることができる。従って、液晶表示素子の封止領域内と封止領域外(シール材塗布部分)との両方を同時に作成することができる。また柱状スペーサーは封止領域の品質が低下することがないように、ブラックマトリックスの上に位置するように形成させることが好ましい。このようにフォトリソグラフィ法によって作製された柱状スペーサーのことを、カラムスペーサ又はフォトスペーサと呼ぶことがある。
【0188】
前記スペーサーの材質は、PVA−スチルバゾ感光性樹脂などのネガ型水溶性樹脂や多官能アクリル系モノマー、アクリル酸共重合体、トリアゾール系開始剤などの混合物が使用される。あるいはポリイミド樹脂に着色剤を分散させたカラーレジンを使う方法もある。本発明においては特に限定はなく、使用する液晶やシール材との相性に従い公知の材質でスペーサーを得ることができる。
【0189】
このようにして、フロントプレーン上の封止領域となる面に柱状スペーサーを設けた後、該バックプレーンのシール材が接する面にシール材(図1における301)を塗布する。
【0190】
シール材の材質は特に限定はなく、エポキシ系やアクリル系の光硬化性、熱硬化性、光熱併用硬化性の樹脂に重合開始剤を添加した硬化性樹脂組成物が使用される。また、透湿性や弾性率、粘度などを制御するために、無機物や有機物よりなるフィラー類を添加することがある。これらフィラー類の形状は特に限定されず、球形、繊維状、無定形などがある。さらに、セルギャップを良好に制御するために単分散径を有する球形や繊維状のギャップ材を混合したり、基板との接着力をより強化するために、基板上突起と絡まりやすい繊維状物質を混合しても良い。このとき使用する繊維状物質の直径はセルギャップの1/5〜1/10以下程度が望ましく、繊維状物質の長さはシール塗布幅よりも短いことが望ましい。
【0191】
また、繊維状物質の材質は所定の形状が得られるものであれば特に限定されず、セルロース、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維やガラス、炭素などの無機材料を適宜選ぶことが可能である。
【0192】
シール材を塗布する方法としては、印刷法やディスペンス法があるが、シール材の使用量が少ないディスペンス法が望ましい。シール材の塗布位置は封止領域に悪影響を及ぼさないように通常ブラックマトリックス上とする。次工程の液晶滴下領域を形成するため(液晶が漏れないように)、シール材塗布形状は閉ループ形状とする。
【0193】
前記シール材を塗布したフロントプレーンの閉ループ形状(封止領域)に液晶を滴下する。通常はディスペンサーを使用する。滴下する液晶量は液晶セル容積と一致させるため、柱状スペーサーの高さとシール塗布面積とを掛け合わせた体積と同量を基本とする。しかし、セル貼り合わせ工程における液晶漏れや表示特性の最適化のために、滴下する液晶量を適宜調整することもあれば、液晶滴下位置を分散させることもある。
【0194】
次に、前記シール材を塗布し液晶を滴下したフロントプレーンに、バックプレーンを貼り合わせる。具体的には、静電チャックのような基板を吸着させる機構を有するステージに前記フロントプレーンと前記バックプレーンとを吸着させ、フロントプレーンの配向膜bとバックプレーンの配向膜aとが向きあい、シール材ともう一方の基板が接しない位置(距離)に配置する。この状態で系内を減圧する。減圧終了後、フロントプレーンとバックプレーンとの貼り合せ位置を確認しながら両基板位置を調整する(アライメント操作)。貼り合せ位置の調整が終了したら、フロントプレーン上のシール材とバックプレーンとが接する位置まで基板を接近させる。この状態で系内に不活性ガスを充填させ、徐々に減圧を開放しながら常圧に戻す。このとき、大気圧によりフロントプレーンとバックプレーンが貼り合わされ、柱状スペーサーの高さ位置でセルギャップが形成される。この状態でシール材に紫外線を照射してシール材を硬化することによって液晶セルを形成する。この後、場合によって加熱工程を加え、シール材硬化を促進する。シール材の接着力強化や電気特性信頼性の向上のために、加熱工程を加えることが多い。
【実施例】
【0195】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0196】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。
【0197】
以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0198】
n−iはネマチック相−等方相の転移温度を表す。
【0199】
化合物記載に下記の略号を使用する。
【0200】
THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
Me:メチル基、Ph:フェニル基、Ts:p−トルエンスルホニル基
py:ピリジン、Tf:トリフルオロメタンスルホニル基
PPTS:p−トルエンスルホン酸ピリジニウム
DHP:3,4−ジヒドロ−2H−ピラン
THP:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基
dppf:1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
amphos:ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン
(実施例1)2−(3−ブテン−1−イル)−6−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ナフタレンの合成
【0201】
【化45】
【0202】
(1−1)窒素雰囲気下、6−ブロモ−2−ナフトエ酸メチル(80.0g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.7g)、2mol/L炭酸カリウム水溶液(302mL)及びTHF(400mL)を混合し、60℃に加熱した。加熱下、(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ほう酸(81.1g)のTHF(400mL)溶液を滴下し、60℃にて3.5時間撹拌した。室温まで放冷し、水及び飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水層を分離後、THF/トルエン混合溶媒で抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトンで懸濁洗浄する事で6−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−ナフトエ酸メチル(103.1g)を得た。
【0203】
【化46】
【0204】
(1−2)窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(10.1g)及びTHF(100mL)の混合物に、6−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−ナフトエ酸メチル(102.0g)のTHF(500mL)溶液を氷冷下で滴下し、室温で2時間撹拌した。氷冷下で水、10%塩酸及びトルエンを加え、水層を分離後、THF/トルエン混合溶媒で抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、トルエンで懸濁洗浄する事で2−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−ヒドロキシメチルナフタレン(91.4g)を得た。
【0205】
【化47】
【0206】
(1−3)窒素雰囲気下、2−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−ヒドロキシメチルナフタレン(86.3g)、p−トルエンスルホニルクロリド(50.8g)及びDMF(350mL)の溶液にピリジン(1.9g)を室温で滴下し、3時間撹拌した。水を加え、析出した固体を濾取し、メタノールで洗浄後、アセトンで懸濁洗浄する事で2−クロロメチル−6−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ナフタレン(87.2g)を得た。
【0207】
【化48】
【0208】
(1−4)窒素雰囲気下、2mol/LアリルマグネシウムクロリドTHF溶液(174mL)に2−クロロメチル−6−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ナフタレン(87.0g)のTHF(870mL)溶液を室温で滴下し、2時間撹拌した。水及び塩酸を加え、水層を分離後、トルエンで抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトンから2回、ヘキサン/トルエン混合溶媒から1回再結晶する事で2−(3−ブテン−1−イル)−6−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ナフタレン(69.2g)を得た。
MS m/z:380[M
相転移温度(℃):Cr 107 N 234 Iso
HNMR(CDCl、TMS内部標準)δ(ppm)=1.30(t,3H,J=7.6Hz),2.48(m,2H),2.72(q,2H,J=7.6Hz),2.90(t,2H,J=8.0Hz),5.05(m,2H),5.90(m,1H),7.39(m,5H),7.64(m,5H),7.85(m,2H),8.03(s,1H)
(実施例2)2−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレンの合成
【0209】
【化49】
【0210】
(2−1)窒素雰囲気下、2−ブロモ−6−メトキシナフタレン(100.0g)とジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.7g)のTHF(2000mL)溶液に、1mol/LプロピルマグネシウムクロリドTHF溶液(635mL)を室温で滴下し、16時間攪拌した。反応液を0℃の塩酸に加え、水層を分離後、トルエンで2回抽出し、有機層をあわせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−メトキシ−6−プロピルナフタレン(74.2g)を得た。
【0211】
【化50】
【0212】
(2−2)窒素雰囲気下、2−メトキシ−6−プロピルナフタレン(74.2g)のジクロロメタン溶液(550mL)に1mol/L三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液(550mL)を0℃で滴下し、0℃で2時間、室温で4時間攪拌した。反応液を氷水に加え、水層を分離後、ジクロロメタンで2回抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、6−プロピルナフタレン−2−オール(55.1g)を得た。
【0213】
【化51】
【0214】
(2−1)6−プロピルナフタレン−2−オール(50.0g)とピリジン(25.5g)のジクロロメタン(200mL)の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(79.7g)のジクロロメタン(150mL)溶液を0℃で滴下し、2.5時間攪拌した。0℃で塩酸を加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、トリフルオロメタンスルホン酸6−プロピル−2−ナフチル(79.1g)を得た。
【0215】
【化52】
【0216】
(2−2)窒素雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸6−プロピル−2−ナフチル(31.8g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.6g)、2mol/L炭酸カリウム水溶液(75mL)及びトルエン(80mL)を混合し、60℃に加熱した。加熱下、(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ほう酸(24.4g)のエタノール(122mL)溶液を滴下し、60℃にて3.5時間撹拌した。室温まで放冷し、水及びトルエンを加え、水層を分離後、トルエンで抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトン/メタノール混合溶媒から2回、ヘキサン/トルエン混合溶媒から1回再結晶する事で、2−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン(22.6g)を得た。
MS m/z:368[M
相転移温度(℃):Cr 118 N 232 Iso
HNMR(CDCl、TMS内部標準)δ(ppm)=0.99(t,3H,J=7.2Hz),1.29(t,3H,J=8.0Hz),1.75(m,2H),2.74(m,4H),7.40(m,5H),7.63(m,5H),7.84(m,2H),8.02(s,1H)
(実施例3)2−(3−ブテン−1−イル)−6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]ナフタレンの合成
【0217】
【化53】
【0218】
(3−1)窒素雰囲気下、6−ブロモ−2−ナフトエ酸メチル(25.0g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.4g)、2mol/L炭酸カリウム水溶液(95mL)及びTHF(125mL)を混合し、50℃に加熱した。加熱下、4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニルほう酸(25.9g)のTHF(125mL)溶液を滴下し、50℃にて11.5時間撹拌した。氷冷し、水及びメタノールを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトンで懸濁洗浄する事で6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]−2−ナフトエ酸メチル(34.8g)を得た。
【0219】
【化54】
【0220】
(3−2)窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(3.9g)及びTHF(35mL)の混合物に、6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]−2−ナフトエ酸メチル(34.8g)のTHF(175mL)溶液を氷冷下で滴下し、室温で4時間撹拌した。氷冷下で水、10%塩酸及びトルエンを加え、水層を分離後、THF/トルエン混合溶媒で抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、トルエンで懸濁洗浄する事で2−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]−6−ヒドロキシメチルナフタレン(30.5g)を得た。
【0221】
【化55】
【0222】
(3−3)窒素雰囲気下、2−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]−6−ヒドロキシメチルナフタレン(30.5g)、p−トルエンスルホニルクロリド(17.6g)及びDMF(120mL)の溶液にピリジン(0.7g)を室温で滴下し、2時間撹拌した。氷冷し、水を加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄した。アセトン/メタノール混合溶媒で再結晶する事で、2−クロロメチル−6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]ナフタレン(28.6g)を得た。
【0223】
【化56】
【0224】
(3−4)窒素雰囲気下、2−クロロメチル−6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]ナフタレン(28.6g)のTHF(150mL)溶液に、2mol/LアリルマグネシウムクロリドTHF溶液(56mL)を室温で滴下し、1.5時間撹拌した。水、塩酸及びトルエンを加え、有機層を塩酸及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトン/エタノール混合溶媒から1回、アセトンから1回、ヘキサン/トルエン混合溶媒から1回再結晶する事で2−(3−ブテン−1−イル)−6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニル]ナフタレン(11.0g)を得た。
MS m/z:386[M
相転移温度(℃):Cr 86 N 205 Iso
HNMR(CDCl、TMS内部標準)δ(ppm)=0.92(t,3H,J=7.2Hz),1.06(m,2H),1.27(m,3H),1.48(dq,2H,J=2.8Hz,12.8Hz),1.94(m,4H),2.50(m,3H),2.89(t,2H,J=8.0Hz),5.05(m,2H),5.90(m,1H),7.06(m,2H),7.34−7.83(m,6H),7.96(s,1H)
(実施例4)2−[4’−(3−ブテン−1−イル)−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル]−6−プロピルナフタレンの合成
【0225】
【化57】
【0226】
(4−1)p−ブロモベンジルアルコール(75.0g)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(4.0g)及びジクロロメタン(250mL)の混合物に3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(50.0g)を室温で加え、9時間攪拌した。室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、4−{[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル}ブロモベンゼン(113.0g)を得た。
【0227】
【化58】
【0228】
(4−2)窒素雰囲気下、4−{[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル}ブロモベンゼン(113.0g)のTHF(315mL)溶液に、1.6mol/Lノルマルブチルリチウムヘキサン溶液を−70℃で滴下し、1時間攪拌した後、ほう酸トリメチル(47.7g)を−60℃で滴下し、0.5時間攪拌した。室温まで放冷し、水及び飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水層をトルエンで抽出後、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、4−{[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル}フェニルほう酸(97.6g)を得た。
【0229】
【化59】
【0230】
(4−3)窒素雰囲気下、6−プロピルナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホン酸(183.0g)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(4.7g)、酢酸カリウム(180.0g)及びジメチルスルホキシド(1200mL)の混合物に、85℃でビス(ピナコラト)ジボロン(161.0g)を加え、85℃で5時間攪拌した。氷冷し、水を加え、水層を分離後、トルエンで抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、4,4,5,5−テトラメチル−2−(6−プロピルナフタレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(178.3g)を得た。
【0231】
【化60】
【0232】
(4−4)窒素雰囲気下、4−ブロモ−3−フルオロフェノール(100.0g)、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)(1.9g)、2mol/L炭酸カリウム水溶液(520mL)及びTHF(500mL)を混合し、60℃に加熱した。加熱下、4,4,5,5−テトラメチル−2−(6−プロピルナフタレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(173.5g)のTHF(500mL)溶液を滴下し、60℃にて3時間撹拌した。氷冷し、水を加え、水層を分離後、トルエンで抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、3−フルオロ−4−(6−プロピルナフタレン−2−イル)フェノール(203.0g)を得た。
【0233】
【化61】
【0234】
(4−5)3−フルオロ−4−(6−プロピルナフタレン−2−イル)フェノール(203.0g)とピリジン(50.0g)のジクロロメタン(400mL)の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(158.1g)のジクロロメタン(400mL)溶液を0℃で滴下し、5時間攪拌した。0℃で水を加え、水層を分離後、ジクロロメタンで抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、トリフルオロメタンスルホン酸3−フルオロ−4−(6−プロピルナフタレン−2−イル)フェニル(212.1g)を得た。
【0235】
【化62】
【0236】
(4−6)窒素雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸3−フルオロ−4−(6−プロピルナフタレン−2−イル)フェニル(127.0g)、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)(2.0g)、2mol/L炭酸カリウム水溶液(308mL)及びTHF(635mL)を混合し、60℃に加熱した。加熱下、4−{[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル}フェニルほう酸(80.0g)のTHF(400mL)溶液を滴下し、60℃にて20時間撹拌した。氷冷し、水を加え、水層を分離後、トルエンで抽出し、有機層をあわせ、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトン/メタノール混合溶媒から再結晶する事で、2−(3−フルオロ−4’−{[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル}−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン(109.9g)を得た。
【0237】
【化63】
【0238】
(4−7)窒素雰囲気下、2−(3−フルオロ−4’−{[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル}−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン(109.9g)、THF(550mL)、メタノール(110mL)及び濃塩酸(15mL)を混合し、室温で5時間攪拌した。氷冷し、水及びメタノールを加え、析出した固体を濾取し、メタノールで洗浄後、アセトン/メタノール混合溶媒から再結晶する事で、2−(3−フルオロ−4’−ヒドロキシメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン(45.6g)を得た。
【0239】
【化64】
【0240】
(4−8)窒素雰囲気下、2−(3−フルオロ−4’−ヒドロキシメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン(45.0g)、p−トルエンスルホニルクロリド(25.5g)及びDMF(180mL)の溶液にピリジン(1.0g)を室温で滴下し、4時間撹拌した。水を加え、析出した固体を濾取し、メタノールで洗浄後、アセトンで懸濁洗浄する事で2−(3−フルオロ−4’−クロロメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン(41.4g)を得た。
【0241】
【化65】
【0242】
(4−9)窒素雰囲気下、2mol/LアリルマグネシウムクロリドTHF溶液(79mL)に2−(3−フルオロ−4’−クロロメチル−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン(41.0g)のTHF(410mL)溶液を室温で滴下し、2時間撹拌した。水及び塩酸を加え、水層を分離後、トルエンで抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトン及びヘキサン/トルエン混合溶媒から再結晶する事で、2−{4’−(3−ブテン−1−イル)−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}−6−プロピルナフタレン(16.6g)を得た。
MS m/z:394[M
相転移温度(℃):Cr 101 SmA 104 N 238 Iso
HNMR(CDCl、TMS内部標準)δ(ppm)=0.99(t,3H,J=7.2Hz),1.76(m,2H),2.43(m,2H),2.77(m,4H),5.05(m,2H),5.90(m,1H),7.38(m,5H),7.63(m,5H),7.84(m,2H),8.02(s,1H)
(実施例5)2−(3−ブテン−1−イル)−6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)フェニル]ナフタレンの合成
【0243】
【化66】
【0244】
(5−1)窒素雰囲気下、マグネシウム(5.3g)及びTHF(5mL)の混合物に、4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)ブロモベンゼン(53.4g)のTHF(150mL)溶液を−70℃で滴下し、1時間攪拌した後、ほう酸トリメチル(23.9g)のTHF(50mL)溶液を0℃で滴下し、1.5時間室温で攪拌した。氷冷し、水、塩酸及びトルエンを加え、水層を分離後、トルエン/THF混合溶媒で抽出し、有機層をあわせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、ヘキサンで懸濁洗浄する事で、4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)フェニルほう酸(31.6g)を得た。
【0245】
【化67】
【0246】
(5−2)実施例3で使用した4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)−2−フルオロフェニルほう酸の替わりに、4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)フェニルほう酸を使用する以外は、実施例3に記載した方法にて2−(3−ブテン−1−イル)−6−[4−(trans−4−エチルシクロヘキシル)フェニル]ナフタレンを得た。
MS m/z:368[M
HNMR(CDCl、TMS内部標準)δ(ppm)=0.93(t,3H,J=7.2Hz),1.08(m,2H),1.27(m,3H),1.50(m,2H),1.93(m,4H),2.50(m,3H),2.88(t,2H,J=8.0Hz),5.04(m,2H),5.90(m,1H),7.33(m,3H),7.63−7.84(m,6H),7.99(s,1H)
(比較例1)4−(3−ブテン−1−イル)−4’’−エチル−2’−フルオロ−1,1’:4’,1’ ’−テルフェニルの合成
【0247】
【化68】
【0248】
特許第5077074号に記載の方法により、4−(3−ブテン−1−イル)−4’’−エチル−2’−フルオロ−1,1’:4’,1’’−テルフェニルを合成した。
【0249】
(実施例6)液晶組成物の調製−1
以下の組成からなるホスト液晶組成物(H)
【0250】
【化69】
【0251】
を調製した。ここで、(H)の物性値は以下の通りである。
【0252】
ネマチック相上限温度(Tn−i):103.4℃
屈折率異方性(Δn):0.099
この母体液晶(H)80%と、実施例1で得られた2−(3−ブテン−1−イル)−6−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ナフタレン20%からなる液晶組成物(M−A)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
【0253】
n−i:123.5℃
Δn:0.1461
調製した液晶組成物(M−A)は、室温にて一ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
【0254】
(実施例7)液晶組成物の調製−2
母体液晶(H)80%と実施例2で得られた2−(4’−エチル−3−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−プロピルナフタレン20%からなる液晶組成物(M−B)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
【0255】
n−i:121.8℃
Δn:0.1468
調製した液晶組成物(M−B)は、室温にて一ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
【0256】
(比較例2)液晶組成物の調製−3
母体液晶(H)80%と比較例1にて得られた4−(3−ブテン−1−イル)−4’’−エチル−2’−フルオロ−1,1’:4’,1’ ’−テルフェニル20%からなる液晶組成物(M−C)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
【0257】
n−i:108.5℃
Δn:0.1325
調製した液晶組成物(M−C)は、室温にて一ヶ月間以上均一なネマチック液晶状態を維持した。
【0258】
実施例6及び7と比較例2を比較する事により、本願化合物はT→i及びΔnを効果的に上昇させる事が判明した。
図1
図2