特許第6365218号(P6365218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6365218
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】単結晶の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 13/12 20060101AFI20180723BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C30B13/12
   C30B29/06
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-212483(P2014-212483)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-79065(P2016-79065A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】西岡 研一
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−087984(JP,A)
【文献】 特開2010−215431(JP,A)
【文献】 特開2005−306653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 13/12
C30B 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融帯域にドープガスを吹き付けながら単結晶の育成を行うガスドープ法を用いたFZ法による単結晶の製造方法であって、
前記単結晶の直径を徐々に大きくしながら育成するテーパー部育成工程と、前記単結晶の直径を一定に維持しながら育成する直胴部育成工程とを含み、
前記テーパー部育成工程中に前記ドープガスの吹き付けを開始し、
前記ドープガスの吹き付け開始時には前記ドープガスの流量を第1の流量とし、時間の経過と共に前記流量を徐々に増加させ、前記吹き付け開始時から一定時間経過後には前記流量を前記第1の流量よりも大きな第2の流量とするように前記ドープガスの流量を制御し、
前記第1の流量は0cc/minであり、前記第2の流量は前記単結晶に一定の電気抵抗率を付与するための所定流量であることを特徴とする単結晶の製造方法。
【請求項2】
前記ドープガスの流量は前記直胴部育成工程開始前に前記第2の流量に到達する、請求項1に記載の単結晶の製造方法。
【請求項3】
前記第1の流量から前記第2の流量まで変化させる際の前記一定時間が、2秒以上7000秒以下である、請求項1又は2に記載の単結晶の製造方法。
【請求項4】
前記第1の流量から前記第2の流量まで変化させる際の前記一定時間が、40秒以上7000秒以下である、請求項1又は2に記載の単結晶の製造方法。
【請求項5】
前記吹き付け開始時から前記一定時間経過以後は、前記第2の流量を一定に維持する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
【請求項6】
溶融帯域にドープガスを吹き付けながら単結晶の育成を行うガスドープ法を用いたFZ法による単結晶製造装置であって、
原料を昇降可能に支持する上軸と、
単結晶を昇降可能に支持する下軸と、
原料を加熱して前記溶融帯域を形成する誘導加熱コイルと、
前記溶融帯域にドープガスを吹き付けるガスドープ装置と、
前記ガスドープ装置に供給される前記ドープガスの流量を制御するマスフローコントローラとを備え、
前記ガスドープ装置は、前記単結晶の直径を徐々に大きくしながら育成するテーパー部育成工程中に前記ドープガスの吹き付けを開始し、
前記マスフローコントローラは、前記ドープガスの吹き付け開始時には前記流量を第1の流量とし、時間の経過と共に前記流量を徐々に増加させ、前記吹き付け開始時から一定時間経過後には前記流量を前記第1の流量よりも大きな第2の流量とし、
前記第1の流量は0cc/minであり、前記第2の流量は前記単結晶に一定の電気抵抗率を付与するための所定流量であることを特徴とする単結晶製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶の製造方法及び製造装置に関し、特に、ガスドープ法を用いたFZ法による単結晶の製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコンなどの単結晶を育成する方法の一つとしてFZ法が知られている。FZ法では、多結晶の原料ロッドの一部を加熱して溶融帯域を作り、溶融帯域の上方及び下方にそれぞれ位置する原料ロッド及び単結晶をゆっくりと引き下げることにより、単結晶を徐々に成長させる。FZ法は融液を支持するルツボを使用しないので、単結晶の品質がルツボの影響を受けることが無く、CZ法よりも高品質な単結晶を育成することが可能である。
【0003】
FZ法における単結晶の電気抵抗率(以下、単に抵抗率という)を制御する方法としてガスドープ法が知られている(特許文献1〜3参照)。ガスドープ法は、溶融帯域にドーパントを含むガス(ドープガス)を供給することにより所望の抵抗率を有する単結晶を育成する方法であり、ドープガスとしてArベースのBガスとArベースのPHガスを用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−306653号公報
【特許文献2】特開平5−286792号公報
【特許文献3】特開2011−181585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスドープ法では、マスフロー制御ユニットに予め所定のガス流量(単結晶に付与する抵抗率によって異なるが、通常、5〜1000cc/minのガス流量が設定されることが多い)を設定しておき、単結晶育成中の所定のタイミングにてガスライン上のバルブを開くことでドープガスの供給が開始され、ドープガスの流量はマスフローコントローラによって所定のガス流量となるように制御される。
【0006】
しかしながら、マスフローコントローラを用いた従来のガスドープ方法では、ドープガスの吹き付け開始直後に単結晶の有転位化が発生するという問題がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ガスドープ法を用いたFZ法による単結晶の製造方法及び製造装置において、ドープガスの吹き付け開始直後に発生する単結晶の有転位化を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ドープガスの流し初めでマスフローコントローラの流量設定値とは無関係に、極めて短時間のうちに過大な流量のドープガスが流れることで有転位化が発生していることを見出し、本発明をなし得たものである。有転位化が発生するメカニズムは明らかではないが、過大流量の吹き付けよるガス圧によって溶融帯域の表面が揺れて結晶化が不安定となり、あるいは、ドープガスと一緒に塵やゴミが吹き付けられることによるものと推測される。
【0009】
本発明はこのような技術的知見に基づくものであり、本発明による単結晶の製造方法は、溶融帯域にドープガスを吹き付けながら単結晶の育成を行うガスドープ法を用いたFZ法による単結晶の製造方法であって、前記ドープガスの流量を制御し、前記ドープガスの吹き付け開始時には前記流量を第1の流量とし、時間の経過と共に前記流量を徐々に増加させ、前記吹き付け開始時から一定時間経過後には前記流量を前記第1の流量よりも大きな第2の流量とすることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ドープガスの吹き付け開始時に流量設定値とは無関係に過大な流量のドープガスが極めて短時間のうちに供給されることを防止できる。したがって、単結晶の有転位化を防止することができる。
【0011】
本発明において、前記第1の流量は0cc/minであり、前記第2の流量は前記単結晶に一定の電気抵抗率を付与するための所定流量であることが好ましい。また、前記第1の流量から前記第2の流量まで変化させる際の前記一定時間は2秒以上7000秒以下であることが好ましく、40秒以上7000秒以下であることがさらに好ましい。これによれば、単結晶の有転位化を確実に防止することができる。
【0012】
本発明による単結晶の製造方法は、前記単結晶の直径を徐々に大きくしながら育成するテーパー部育成工程と、前記単結晶の直径を一定に維持しながら育成する直胴部育成工程とを含み、前記ドープガスの吹き付け開始時は、前記テーパー部育成工程中であることが好ましい。これによれば、単結晶の有転位化を確実に防止すると共に、所望の抵抗率及び抵抗率分布を有する単結晶の直胴部を確実に育成することができる。
【0013】
また、本発明による単結晶製造装置は、溶融帯域にドープガスを吹き付けながら単結晶の育成を行うガスドープ法を用いたFZ法による単結晶製造装置であって、原料を昇降可能に支持する上軸と、単結晶を昇降可能に支持する下軸と、原料を加熱して前記溶融帯域を形成する誘導加熱コイルと、前記溶融帯域にドープガスを吹き付けるガスドープ装置と、前記ガスドープ装置に供給される前記ドープガスの流量を制御するマスフローコントローラとを備え、前記マスフローコントローラは、前記ガスドープの吹き付け開始時には前記流量を第1の流量とし、時間の経過と共に前記流量を徐々に増加させ、前記吹き付け開始時から一定時間経過後には前記流量を前記第1の流量よりも大きな第2の流量とすることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ドープガスの吹き付け開始時にマスフローコントローラへの流量設定値とは無関係に過大な流量のドープガスが極めて短時間のうちに供給されることによる単結晶の有転位化を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガスドープ法を用いたFZ法による単結晶の製造方法及び製造装置において、ドープガスの吹き付け開始直後に発生する単結晶の有転位化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の好ましい実施の形態によるFZ単結晶製造装置の構成を模式的に示す断面図である。
図2図2は、FZ法による単結晶の製造工程を概略的に示すフローチャートである。
図3図3は、単結晶インゴットの形状を示す略側面図である。
図4図4は、ドープガスの流量制御の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の好ましい実施の形態によるFZ単結晶製造装置の構成を模式的に示す断面図である。
【0019】
図1に示すように、このFZ単結晶製造装置10は、シリコン単結晶を育成するための装置であって、原料ロッド1を回転可能及び昇降可能に支持する上軸11と、種結晶2(単結晶3)を回転可能及び昇降可能に支持する下軸12と、原料ロッド1の外周面を囲むリング状の誘導加熱コイル13と、成長が進んで大型化した単結晶の重量を支える単結晶保持具14と、溶融帯域4にドープガスを供給するガスドープ装置15と、ガスドープ装置15から噴出されるドープガスの流量制御を行うマスフローコントローラ16とを備えている。
【0020】
原料ロッド1はモノシラン等のシリコン原料を精製して得られた高純度多結晶シリコンからなり、原料ロッド1の上端は上軸11に取り付けられている。原料ロッド1の下端部分は誘導加熱コイル13により加熱されて融解し、これにより溶融帯域4が形成される。その後、上軸11に取り付けられた種結晶2を溶融帯域4に接触させ、下方に引き下げつつ、所望の直径になるように増径させながら結晶化させる。このとき、同時に原料ロッド1を下方へ移動させることで、原料ロッド1の下端部分を連続的に融解させ、結晶化に必要な量の融液を供給する。単結晶3は、ある程度成長して重量が増したところで単結晶保持具14によりサポートされる。
【0021】
ガスドープ装置15は、溶融帯域4にドープガスを吹き付けてドーパントを取り込ませるためのものであり、ガスノズル15a、ガスボンベ15b、及びバルブ15dを備えている。ガスボンベ15b中にはドープガスが高圧状態で収容されており、バルブ15dの開度に応じてガスライン圧が調整される。ガスノズル15aは、図示のように誘導加熱コイル13の近傍に配置されており、その直径は3mm程度である。ガスノズル15aの先端から溶融帯域4の表面までの距離は20〜30mm程度である。
【0022】
図2は、FZ法による単結晶の製造工程を概略的に示すフローチャートである。また、図3は、単結晶インゴットの形状を示す略側面図である。
【0023】
図2及び図3に示すように、FZ法による単結晶の育成では、原料ロッド1の先端部を溶融して種結晶2に融着させる融着工程S1、無転位化のため単結晶の直径が細く絞られた絞り部3aを形成する絞り工程S2、単結晶の直径を目標の直径まで徐々に拡大させてテーパー部3bを育成するテーパー部育成工程S3、単結晶の直径を一定に維持して直胴部3cを育成する直胴部育成工程S4、単結晶の直径を縮小させたボトム部3dを育成するボトム部育成工程S5、及び単結晶の育成を終了して冷却する冷却工程S6が順に実施される。なお直胴部が実際にとして提供される部分である。
【0024】
マスフローコントローラ16はガスドープ装置15の制御を行うものであり、マスフロー制御ユニット17に予め設定された流量のシーケンスプログラムに従ってドープガスの流量を制御する。ドープガスの供給は単結晶のテーパー部3bの育成中から開始され、直胴部3cの育成中には既定流量のドープガスが安定的に供給される。したがって、テーパー部の育成が終了する前に既定流量の供給が開始されるように制御することが必要である。
【0025】
ここで、マスフロー制御ユニット17に予め既定流量を設定し、バルブ15dを開いたドープガスの流し初めに既定流量のドープガスの供給がいきなり開始されるようにすると、マスフローコントローラ16から既定流量以上の過大な流量のドープガスが供給され、単結晶に有転位化が発生するおそれがある。これは、マスフローコントローラ16によっては、流量制御がオーバーシュートとなっているものと考えられる。一方、流量制御について長期的に見た場合には、直胴部の育成開始時に既定流量が安定的に供給されていれば流量を徐々に増加させても問題はなく、所望の抵抗率及び抵抗率分布を得ることが可能である。
【0026】
そこで本実施形態においては、ドープガスの流量を既定流量よりも少ない流量(第1の流量)で吹き付けを開始し、時間の経過と共にドープガスの吹き付け量を徐々に増加させ、前記吹き付け開始時から一定時間経過後には既定流量(第2の流量)に到達するようにドープガスの流量を制御する。
【0027】
図4は、ドープガスの流量制御の一例を示すシーケンス図である。
【0028】
図4に示すように、ドープガス吹き付け開始時の初期流量Qは0cc/minとし、ドープガス吹き付け開始から一定時間経過後に既定流量Qに到達する。ドープガス吹き付け開始時から既定流量Qに到達するまでの一定時間は7000秒以下であることが好ましい。単結晶のテーパー部3bの長さは単位時間あたり成長する単結晶長さよりも十分に長いため、7000秒の間に規定流量Qになるように流量を増加させればよく、これにより既定流量Qのドープガスを単結晶の直胴部の育成開始時に供給することができる。
【0029】
また、ドープガス吹き付け開始時から既定流量Qに到達するまでの一定時間は2秒以上であることが好ましく、40秒以上であることがさらに好ましい。ドープガス吹き付け開始から2秒未満で既定流量Qに到達するような短時間での流量変更はオーバーシュートによる過大な流量と相まって有転位化が発生する可能性が高いからである。さらに、既定流量Qに到達するまでの一定時間が40秒以上であれば、過大な流量のドープガスによる有転位化の発生を十分に防止でき、所望の抵抗率及び抵抗率分布を有する単結晶を確実に育成することが可能である。
【0030】
以上説明したように、本実施形態による単結晶の製造方法は、ドープガスの吹き付け開始時にはドープガスの流量を既定流量よりも少ない流量(第1の流量)とし、時間の経過と共にドープガスの流量を徐々に増加させ、吹き付け開始時から一定時間経過後には前記既定流量(第2の流量)でドープガスの吹き付けを行うので、ドープガスの吹き付け開始時にマスフローコントローラへの流量設定値とは無関係に過大な流量のドープガスが供給されることによる単結晶の有転位化を防止することができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上記実施形態においては、シリコン単結晶を育成する場合について説明したが、本発明はシリコン単結晶に限定されず、種々の単結晶の育成に適用可能である。
【実施例】
【0033】
図1に示したFZ単結晶製造装置10を用いてシリコン単結晶の育成を行った。シリコン単結晶の育成工程は、図2に示す絞り工程、テーパー部育成工程、直胴部育成工程、ボトム部育成工程、冷却工程を順に実施するものであり、これにより図3に示す形状のシリコン単結晶を得た。テーパー部育成工程では、所定のタイミングにてガスライン上のバルブを開くことでドープガスの供給を開始して、ドープガスの流量が所定のガス流量となるようにマスフローコントローラによって制御した。
【0034】
試験番号T1〜T4の比較例では、ガスライン圧を数Mpaとし、ドープガス吹き付け開始直後から単結晶に一定の抵抗率を付与可能な既定流量のドープガスを供給するようにした。
【0035】
一方、試験番号T5〜T8の実施例では、ガスライン圧を数Mpaとし、マスフロー制御ユニット17に設定するドープガスの初期流量を0cc/minとし、ドープガス供給開始直後から2秒後には単結晶に一定の抵抗率を付与可能な既定流量Qに到達するように流量を徐々に増加させ、既定流量Qに到達した時点でドープガスの流量を一定にした。さらに、試験番号T9〜T12の実施例では、ガスライン圧を数Mpaとし、マスフロー制御ユニット17に設定するドープガスの初期流量を0cc/minとし、ドープガス供給開始直後から40秒後には単結晶に一定の抵抗率を付与可能な既定流量Qに到達するように流量を徐々に増加させ、既定流量Qに到達した時点でドープガスの流量を一定にした。実施例及び比較例による単結晶の育成結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から明らかなように、比較例である試験番号T1〜T4のうち、T1、T2、T4のシリコン単結晶には転位が発生し、T3のシリコン単結晶だけに転位が発生しなかった。これに対し、実施例である試験番号T5〜T8のうち、T6のシリコン単結晶には転位が発生したが、T5、T7、T8のシリコン単結晶には転位が発生しなかった。さらに、実施例である試験番号T9〜T12のいずれにも転位は発生しなかった。以上の結果から、ドープガスの流量をその供給開始直後から徐々にランプアップさせることで有転位化を抑えることができ、流量Qから流量Qになるまでの時間が長くなるほど有転位化の確率は低下することが分かった。
【符号の説明】
【0038】
1 原料ロッド
2 種結晶
3 単結晶
3a 絞り部
3b テーパー部
3c 直胴部
3d ボトム部
4 溶融帯域
10 単結晶製造装置
11 上軸
12 下軸
13 誘導加熱コイル
14 単結晶保持具
15 ガスドープ装置
15a ガスノズル
15b ガスボンベ
15d バルブ
16 マスフローコントローラ
17 マスフロー制御ユニット
図1
図2
図3
図4