(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、簡易な構成で容易に利用者の脚部を補助することが可能な脚部補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の脚部補助装置は、利用者の腰部に装着される腰装着部と、利用者の大腿に沿って配置され、上端が前記腰装着部に股関節部で回転可能に連結された大腿フレームと、利用者の下腿に沿って配置され、上端が前記大腿フレームの下端に膝関節部で回転可能に連結された下腿フレームと、利用者の足裏に沿って配置され、前記下腿フレームの下端に足首関節部で回転可能に連結された足部と、前記大腿フレームと前記下腿フレームとを連結し、前記大腿フレームと前記下腿フレームを互いの相対位置が膝伸張位置になるように支持すると共に前記膝伸張位置へ付勢する上付勢部材と、前記下腿フレームと前記足部とを連結し、前記下腿フレームと前記足部とを互いの相対位置が直立足首位置になるように支持すると共に前記直立足首位置へ付勢する下付勢部材と、利用者背面側に設けられ、利用者からの荷重を受けて前記腰装着部及び前記大腿フレームの少なくとも一方に下方への力を伝達する荷重伝達部と、を備え、前記荷重伝達部は、前記腰装着部または股関節部に取り付けられ、利用者が腰掛けることにより臀部と当接して荷重を受ける腰掛部を含んでおり、前記腰掛部
の前方側が開放された形状とされて
おり、前記上付勢部材及び前記下付勢部材は、前記荷重伝達部によって伝達された利用者からの前記荷重によって圧縮される。
【0007】
請求項1に記載の脚部補助装置では、腰装着部が利用者の腰に装着され、大腿フレーム、下腿フレーム、及び足部が、各々利用者の大腿、下腿、足に沿って配置される。大腿フレームと下腿フレームとは、膝関節部で回転可能に連結されており、下腿フレームと足部とは、足首関節部で回転可能に連結されている。したがって、利用者自身の膝関節及び足首の関節の動きに追従させて、大腿フレーム、下腿フレーム、及び足部を相対回転させることができる。
【0008】
上記の大腿フレームと下腿フレームとは、互いの相対位置が膝伸張位置に配置されるように、上付勢部材により付勢されている。また、下腿フレームと足部とは、互いの相対位置が直立足首位置に配置されるように下付勢部材により付勢されている。大腿フレーム、下腿フレーム、及び足部は、互いに膝伸張位置、直立足首位置に配置されるように付勢され、この位置で支持される。また、利用者の持つ荷物等の荷重は、荷重伝達部を介して、腰装着部及び大腿フレームの少なくとも一方から、下方への力として、大腿フレーム、下腿フレーム、及び足部へ伝達される。
【0009】
したがって、利用者が持つ荷物の荷重の少なくとも一部を大腿フレーム、下腿フレーム、及び足部で支持することができ、利用者の脚部の負担を軽減することができる。
【0010】
また、利用者が、膝及び足首を曲げることによりしゃがんで荷物を持ち、その後に立ち上がる場合には、大腿フレームと下腿フレームは、上付勢部材の付勢力に抗して膝関節部を中心に相対回転した位置に配置され、互いの相対位置が膝伸張位置に配置されるように付勢される。また、下腿フレームと足部は、下付勢部材の付勢力に抗して足首関節部を中心に相対回転した位置に配置され、互いの相対位置が直立足首位置に配置されるように付勢される。したがって、利用者の膝及び足首には、曲げ状態から伸びる方向への力が作用し、立ち上がり状態へと誘導される。これにより、利用者が荷物を持って立ち上がる場合に要する力が軽減され、利用者を補助することができる。
【0012】
上記構成の腰掛部を有することにより、利用者は荷重伝達部の腰掛部に腰掛けることにより、容易に大腿フレーム及び下腿フレームへ荷重をかけることができる。
【0013】
請求項2に記載の脚部補助装置は、請求項1記載の脚部補助装置において、前記上付勢部材が、前記大腿フレームにおける前記股関節部と前記膝関節部との間の中間部と、前記下腿フレームにおける前記膝関節部と前記足首関節部との間の中間部と、を連結しており、前記下付勢部材が、前記下腿フレームにおける前記膝関節部と前記足首関節部との間の中間部と、前記足部において前記足首関節部とは離れた部分と、を連結している。
請求項
3に記載の脚部補助装置は、前記荷重伝達部が、前記大腿フレームに取り付けられ、利用者の大腿裏側と当接して荷重を受ける大腿押圧部を有していること、を特徴とする。
【0014】
上記構成の大腿押圧部を有することにより、利用者は荷重伝達部の大腿押圧部を腰掛けるような動作により大腿裏側で押圧することができ、容易に大腿フレーム及び下腿フレームへ荷重をかけることができる。
請求項
4に記載の脚部補助装置は、前記大腿押圧部
の前方側が開放された形状とされている。
【0015】
請求項
5に記載の脚部補助装置は、前記上付勢部材及び前記下付勢部材は、ガススプリングとコイルスプリングとを並列に配置して形成されていること、を特徴とする。
【0016】
このように、ガススプリングとコイルスプリングとを並列に配置して上付勢部材及び下付勢部材を形成することにより、付勢力の調整を容易に行うことができる。
【0017】
請求項
6に記載の脚部補助装置は、前記腰装着部に支持され、利用者の体幹に沿って配置される体幹支持体と、利用者の上腕に沿って配置され、肩関節部を介して利用者の体側に沿って回転可能となるように取り付けられた上腕装着部と、利用者の前腕に沿って配置され、肘関節部を介して利用者の体側に沿って回転可能となるように取り付けられた前腕装着部と、前記上腕装着部に前記肩関節部を中心に回転する力を作用させる第2アクチュエータと、前記前腕装着部に前記肘関節部を中心に回転する力を作用させる第3アクチュエータと、をさらに備えている。
【0018】
上記構成の脚部補助装置によれば、利用者が手に持った荷物の荷重は、腕装着部、体幹支持体を介して腰装着部へ伝達される。したがって、その荷重の少なくとも一部を大腿フレーム、下腿フレーム、及び足部で支持することができ、利用者の負担を軽減することができる。また、利用者が前屈みになって荷物を抱える際に、第2アクチュエータを作動させることにより、荷物を持ち上げる方向へ容易に腕を動かすことができる
。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、簡易な構成で容易に利用者の脚部を補助することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図中矢印FRにて示す利用者の前方側を前側とし、上下左右の方向は、この前方側を向いてみた場合の方向を基準とする。
【0022】
図1には、本実施形態に係る脚部補助装置10が示されている。脚部補助装置10は、腰装着部20、大腿フレーム30、下腿フレーム40、及び脚部50を備えている。
【0023】
腰装着部20は、上面から見て略U字状とされ、利用者の腰位置で背面側を通るように利用者の左右方向に架け渡されて、利用者に装着される。装着は、ベルトB等を腰装着部20の両端から利用者の腰回り前面に延出させて行うことができる。腰装着部20中央部分には、利用者の腰に当たる上下に幅広の腰パッド22が取り付けられている。腰装着部20の左右の両端には、各々、股関節部24が形成されている。腰装着部20には、股関節部24を介して、左右両側に大腿フレーム30が連結されている。股関節部24は、球面軸受け(不図示)を有している。
【0024】
腰装着部20の両端には、更に、腰掛部26が取り付られている。腰掛部26は、前方が開放された略U字状とされ、腰装着部20の一端から後斜め下方へ凸状となり、他端に架け渡されている。腰掛部26は帯状で、腰掛部26には、利用者の臀部が当接可能とされ、利用者が腰掛けることができるようになっている。
【0025】
大腿フレーム30は、長尺棒状の金属フレームで形成され、上端が股関節部24に取り付けられている。大腿フレーム30は、利用者の大腿に沿って配置され、球面軸受けを介して取り付けられて股関節部24を中心に、回転可能となっている。
【0026】
左右各々の大腿フレーム30の上方には、大腿押圧部38が取り付られている。大腿押圧部38は、利用者の大腿側部に沿った大腿側部38Aと、利用者の大腿後側に沿った大腿後部38Bとを有している。大腿側部38Aと大腿後部38Bとは、一体的に連続形成されている。
【0027】
各々の大腿フレーム30の下端には、膝関節部32を介して、下腿フレーム40が連結されている。下腿フレーム40は、長尺棒状の金属フレームで形成され、利用者の下腿に沿って配置されている。膝関節部32は、不図示の軸受けを有し、下腿フレーム40は、上端が膝関節部32の軸受けに支持され、膝関節部32を中心にして、前後方向に回転可能となるように取り付けられている。大腿フレーム30、膝関節部32、及び下腿フレーム40により、リンク機構が形成されている。
【0028】
下腿フレーム40の下端には、足首関節部42を介して、足部50が連結されている。足部50は、足底部52、踵部54、足保持部56、及び踝部58を有している。足底部52は板状とされ、利用者の足裏に沿って配置される。踵部54は、足底部52の後端部に立設され、利用者の踵部分に沿って配置される。足保持部56は、足底部52の左右端に架け渡され、利用者の足の甲に沿って配置される。足保持部56は、両端部が利用者の左右方向に配置された軸56Aにより足底部52上の取付部56Bに回転可能に支持されている。
図5に示されるように、足保持部56の取付部56Bには、軸56A周りに捩りコイルばね56Cが配置されており、捩りコイルバネ56Cにより、足保持部56は利用者の足甲を押圧するように付勢されている。また、踝部58は、足底部52の左右方向外端に立設され、利用者の外踝位置に配置される。足首関節部42は、不図示の軸受けを有し、足部50は、踝部58が足首関節部42の軸受けに支持され、足首関節部42を中心にして、回転可能となるように取り付けられている。下腿フレーム40、足首関節部42、及び足部50により、リンク機構が形成されている。
【0029】
利用者が足(靴SH)を足部50に装着する際には、
図5(A)に示すように、つま先を足保持部56に引っ掛けて足保持部56を前方へ回転させ、
図5(B)に示すように、足をつま先から足底部52と足保持部56の間に挿入する。そして、
図5(C)に示すように、利用者の踵を踵部54の前に入れ、
図5(D)に示すように、踵を後方に引いて踵部54に当接させる。利用者の足は、足保持部56によって足底部52及び踵部54に押しつけられるように押圧され、これにより足部50が装着される。
【0030】
大腿フレーム30と下腿フレーム40には、両者を架け渡すように、膝関節部32を跨いで、上付勢部材36が取り付けられている。上付勢部材36は、コイルスプリング36Aとガススプリング36Bとで構成されている。コイルスプリング36Aは、一端部が大腿フレーム30の中間部に取り付けられ、他端部が下腿フレーム40の中間部に取り付けられている。ガススプリング36Bは、コイルスプリング36Aの内側に収納され、一端部が大腿フレーム30の中間部に取り付けられ、他端部が下腿フレーム40の中間部に取り付けられ、コイルスプリング36Aと並列に配置されている。
【0031】
上付勢部材36は、大腿フレーム30と下腿フレーム40とが一直線状に(以下、当該大腿フレーム30と下腿フレーム40の相対位置を「膝伸張位置H1」という、
図2参照)なるように支持している。また、上付勢部材36は、バネ力により、大腿フレーム30と下腿フレーム40とが膝伸張位置H1に配置されるように、両者を付勢している。利用者からの荷重により、大腿フレーム30と下腿フレーム40とが相対回転して、
図3に示すようにコイルスプリング36A及びガススプリング36Bが圧縮され大腿フレーム30と下腿フレーム40とが膝屈位置H2に配置される。このとき、コイルスプリング36A及びガススプリング36Bの反力により、大腿フレーム30と下腿フレーム40には、膝伸張位置H1に戻るように力が作用する。
【0032】
下腿フレーム40と足部50には、両者を架け渡すように、足首関節部42を跨いで、下付勢部材44が取り付けられている。下付勢部材44は、コイルスプリング44Aとガススプリング44Bとで構成されている。コイルスプリング44Aは、一端部が下腿フレーム40の中間部に取り付けられ、他端部が足部50の足底部52前端に取り付けられている。ガススプリング44Bは、コイルスプリング44Aの内側に収納され、一端部が下腿フレーム40の中間部に取り付けられ、他端部が足底部52の前端に取り付けられ、コイルスプリング44Aと並列に配置されている。
【0033】
下付勢部材44は、下腿フレーム40と足部50とが略垂直に(以下、当該下腿フレーム40と足部50の相対位置を「直立足首位置K1」という、
図2参照)なるように支持している。また、下付勢部材44は、ばね力により、下腿フレーム40と足部50とが直立足首位置K1に配置されるように、両者を付勢している。利用者からの荷重により、下腿フレーム40と足部50とが相対回転して、コイルスプリング44A及びガススプリング44Bが圧縮され下腿フレーム40と足部50とが足首屈位置K2(
図3参照)に配置される。このとき、コイルスプリング44A及びガススプリング44Bの反力により、下腿フレーム40と足部50には、直立足首位置K1に戻るように力が作用する。
【0034】
腰装着部20には、左右両端部に連結部28が設けられ、各々の連結部28には、体幹支持体60が取り付けられている。体幹支持体60は、連結部28を中心に前後方向に回転可能に取り付けられている。体幹支持体60は長尺筒状とされ、連結部28を介して腰装着部20に支持されている。体幹支持体60は、利用者の体幹に沿って背面側に配置され、互いに上方の左右方向中央へ向かって延出されている。体幹支持体60は、図中に一転鎖線で示す肩ベルトKを利用者の肩に架け渡すことより、利用者に装着することができる。
【0035】
体幹支持体60の上端は、肩フレーム62に連結されている。肩フレーム62は、利用者の背面側の肩ラインに沿って左右各々に配置されており、肩フレーム62の上面側には、ガイドレール62Aが形成されている。ガイド部62Aには、肩関節部64が取り付けられている。左右各々の肩関節部64は、ガイドレール62Aに係合された係合部64A、及び、係合部64Aから前方に延びる取付部64Bを有している。取付部64Bには、上腕フレーム66が利用者の体側に沿って回転可能に取り付けられている。
【0036】
上腕フレーム66は、長尺状とされ、一端部が肩関節部64の取付部64Bに取り付けられている。上腕フレーム66の他端部には、肘関節部68が形成されており、肘関節部68には、前腕フレーム70が利用者の体側に沿って取り付けられている。
【0037】
前腕フレーム70は、長尺状とされ、一端部が肘関節部68に取り付けられている。前腕フレーム70は、利用者の前腕を支持する支持プレート72を有している。支持プレート72の先端には、支持プレート72の左右両端に上側へ湾曲したプレートとを架け渡した環状部74が形成されている。利用者は、支持プレート72と環状部74の間に前腕を挿入する。
【0038】
体幹支持体60の内部には、アクチュエータAKが収納されている。アクチュエータAKは、左右各々に3本ずつ、合計6本が設けられている。6本の内の2本は股関節部24の左右に各々用いられ、2本は肩関節部64の左右に各々用いられ、他の2本は肘関節部68の左右に各々用いられる。以下、各々第1アクチュエータAK1、第2アクチュエータAK2、第3アクチュエータAK3とする。
【0039】
アクチュエータAKとしては、空気圧式アクチュエータ(流体圧式アクチュエータ、所謂、McKibben人工筋肉)を用いることができる。アクチュエータAKは、円筒状とされ、軸方向に伸縮可能とされ、この短縮により短縮方向の力を発生させる。各々のアクチュエータAKの一端には、ワイヤ61が取り付けられている。ワイヤ61は、各々のアクチュエータAKの一端から出て、各々連結部28、肩関節部64、肘関節部68に設けられた円板体80、82、84に巻き掛けられつつ固定されている。第1アクチュエータAK1(連結部28用)の作動により、体幹支持体60は前傾状態から起きあがり状態へと引き上げられる。第2アクチュエータAK2(肩関節部64用)の作動により、上腕フレーム66は肩関節部64を中心に前方上側へ持ち上げられるように回転する。第3アクチュエータAK3(肘関節部68用)の作動により、前腕フレーム70は肘関節部68を中心に前方上側へ持ち上げられるように回転する。第1アクチュエータAK1が伸張されているときには、体幹支持体60の前傾を許容するように連結部28と相対回転可能となっている。第2アクチュエータAK2が伸張されているときには、肩関節部64では、上腕フレーム66の下方向への回転が許容されている。第3アクチュエータAK3が伸張されているときには、肘関節部68では、前腕フレーム70の下方向への回転が許容されている。
【0040】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0041】
利用者が、前方の床にある荷物を持ち上げる場合には、腰掛部26に腰掛けるようにして体重をかけると共に、膝を曲げて大腿裏側で大腿押圧部38を押圧する。これにより、下向きの力が作用して、
図3に示すように、上付勢部材36及び下付勢部材44が圧縮され、大腿フレーム30と下腿フレーム40とが膝伸張位置H1から膝屈位置H2に配置され、下腿フレーム40と足部50とが直立足首位置K1から足首屈位置K2に配置される。
【0042】
また、第1アクチュエータAK1、第2アクチュエータAK2、第3アクチュエータAK3をオフの状態として、各アクチュエータを伸張させる。これにより、
図4に示すように、利用者は、体幹支持体60を前傾させて前屈みとなることができ、上腕フレーム66、前腕フレーム70を自由に回転させて、前方下側にある荷物へ向かって、腕を伸ばすことができる。
【0043】
この状態から、利用者が荷物を抱えて起き上がる際には、第1アクチュエータAK1、第2アクチュエータAK2、及び第3アクチュエータAK3を作動させて短縮させる。これにより、体幹支持体60は前傾状態から起きあがり状態へと引き上げられ、上腕フレーム66は肩関節部64を中心に前方上側へ持ち上げられるように回転し、前腕フレーム70は肘関節部68を中心に前方上側へ持ち上げられるように回転する。
【0044】
また、利用者は、腰掛部26及び大腿押圧部38へかけている荷重を、膝及び股関節を伸ばしつつ自身の足に移す。これにより、上付勢部材36及び下付勢部材44の反力により、大腿フレーム30と下腿フレーム40とが膝屈位置H2から膝伸張位置H1へ戻り、下腿フレーム40と足部50とが足首屈位置K2から直立足首位置K1へ戻る。この状態で、利用者は直立状態となり、第1アクチュエータAK1、第2アクチュエータAK2、及び第3アクチュエータAK3の短縮状態を維持することにより、荷物の荷重は、前腕フレーム70から、上腕フレーム66、肩フレーム62、体幹支持体60、腰装着部20、大腿フレーム30、下腿フレーム40、及び足部50を経て床上に支持される。
【0045】
本実施形態の脚部補助装置10によれば、持ち上げる荷物の荷重が、脚部補助装置10によって床上に支持されているので、利用者の負担を軽減することができる。
【0046】
また、上付勢部材36及び下付勢部材44の反力により、利用者の膝及び足首には、曲げ状態から伸びる方向への力が作用し、立ち上がり状態へと誘導される。これにより、利用者が荷物を持って立ち上がる場合に要する力が軽減され、利用者を補助することができる。このとき、上付勢部材36及び下付勢部材44の反力は、腰装着部20及び大腿フレーム30からの荷重(利用者が腰掛部26及び大腿押圧部38へかけている荷重及び荷物の荷重)に応じて発生する。すなわち、上付勢部材36及び下付勢部材44は、圧縮された分だけ戻る力を大腿フレーム30、下腿フレーム40、及び足部50に作用させる。したがって、電動モータ等を用いて大腿フレーム、下腿フレーム、及び足部を動作させる場合と比較して、簡易に利用者の脚部の動きに追随して補助を行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、腰装着部20の上部に、体幹支持体60、肩フレーム62、上腕フレーム66、及び、前腕フレーム70等の上肢を補助するためのものを設けたが、これら各部は本発明に必須ではない。特に、これらを設けてアクチュエータを作動させることにより、利用者の前傾姿勢からの起き上がり動作、腕で荷物を抱えながらの持ち上げ動作、を補助することができる。
【0048】
なお、これら各部(体幹支持体60、肩フレーム62、上腕フレーム66、及び、前腕フレーム70等)を備えない場合には、利用者が腕に抱えた荷物の荷重は、利用者から直接、腰掛部26、大腿押圧部38へ伝達される。
【0049】
また、本実施形態では、利用者からの荷重を伝達する部材として、腰掛部26と大腿押圧部38を設けたが、いずれか一方のみでもよい。両方設けることにより、利用者は安定して荷重を腰装着部20及び大腿フレーム30へかけることができる。
【0050】
また、本実施形態では、上付勢部材36及び下付勢部材44として、コイルスプリング36A、44Aとガススプリング36B、44Bを並列に配置して用いたが、いずれか一方のみを用いてもよい。このように、コイルスプリング36A、44Aとガススプリング36B、44Bを並列に配置することにより、付勢力の調整を容易に行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態の脚部補助装置10を装着して歩行する場合には、
図6(A)〜(D)に示すように、歩行時に利用者が股関節、膝関節、足首を屈伸させても、大腿フレーム30と下腿フレーム40は膝伸張位置H1、下腿フレーム40と足部50は直立足首位置K1に配置された状態となる。
【0052】
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。