【実施例】
【0071】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。なお、重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定したものである。
【0072】
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:N−メチルピロリドン
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0073】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0074】
(1)塗工物の調製法
[グラビア印刷物]
グラビアインキ組成物を、ヘリオ175線ベタ版を用いて、印刷速度毎分40メートルの速度で2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」、厚さ12μm;以下、「PETフィルム」と略記する。)及び2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「パイレンP2161」、厚さ20μm;以下、「OPPフィルム」と略記する。)のコロナ表面処理面にそれぞれ膜厚2μmで塗工し、80℃で乾燥させた。
【0075】
[IJインク印刷物]
インクジェットインク組成物を、最大駆動周波数7.6KHz、解像度360DPI(25.4mm当たり360ドット)のピエゾヘッドを有するインクエジェットプリンターで、PETフィルム及びOPPフィルムのコロナ表面処理面にそれぞれ膜厚1μmで印刷し、80℃で乾燥させた。
【0076】
[塗料塗工物]
塗料組成物を、エアースプレーを用いて、ポリエチレンテレフタレート板(厚さ2mm;以下、「PET板」と略記する。)及びポリカーボネート板(厚さ2mm;以下、「PC板」と略記する。)にそれぞれ膜厚5μmで塗装を行い、常温で10分静置した後、80℃で乾燥させた。
【0077】
(2)塗工物の評価法
[光沢値]
基材にPETフィルムもしくはPET板を用い、上述の方法により得られた塗工物について、光沢計(BYK Gardner製「micro−TRI−gloss」)で入射角60度、反射角60度の光沢を任意の5点で測定し、その平均値を記録した。
【0078】
[塗膜外観]
基材にPETフィルムもしくはPET板を用い、上述の方法により得られた塗工物の外観について、下記項目を以下に示す基準にて目視評価した。
(下地隠蔽性)
○:下地を完全に隠蔽している。
△:下地が僅かに透けている。
×:下地が明確に透けており、基材種類を目視で判別できる。
(塗膜の鏡面反射)
○:像の歪み・ぼやけなく鏡像の細部に至るまで認識できる。
△:像の歪み・ぼやけが多少あるが鏡像の形状は認識できる。
×:像の歪み・ぼやけが酷く鏡像が何であるか認識できない。
(塗膜粒状感)
○:メッキ表面のように粒状感が全くない。
△:非常に細かい粒状模様が見える。
×:明らかに粒状感がある。
【0079】
[電磁波透過性]
基材にPETフィルムもしくはPET板を用い、上述の方法により得られた塗工物の電磁波透過特性を、KEC法、自由空間法の2種類を用いて測定した。
【0080】
KEC法は近傍界の電界シールド効果および磁界のシールド効果測定方法で、信号発生器から送られた任意の周波数の電磁波がサンプルを透過する前後での信号強度差から電磁波透過性を評価する方法である。具体的には、周波数100MHz、500MHz、700MHz、900MHz及び1GHzにおける電界、磁界の透過率を測定した。この際、(透過信号強度)/(入射信号強度)×100=(電磁波透過率)の計算式に基づいて、電磁波透過率(%)を求めた。
【0081】
また、自由空間法はホーンアンテナや誘導体レンズを用いてシート状の試料に平面波を入射させ、試料からの反射波強度や透過波強度を測定して電磁波透過性を評価する方法である。具体的には、Wバンドに相当する周波数76GHzの電磁波を試料に入射し、入射波と透過波の強度差から透過率を測定した。この際、(透過信号強度)/(入射信号強度)×100=(電磁波透過率)の計算式に基づいて電磁波透過率(%)を求めた。
【0082】
[グラビア印刷物の密着性]
上述の方法により得られたグラビア印刷物の塗工表面にセロファンテープ(ニチバン株式会社製「セロテープ」、18mm幅)を貼り付け、貼り付けから10秒後に毎秒10mmの速度で180度方向にテープを剥がし、剥離試験を行った。試験後の塗工物表面を解像度300dpiのスキャナで電子データ化し、剥離部分面積/セロテープ面積=塗膜剥離比率(%)を算出した。この値が小さい程、インク塗膜とフィルム間の密着性が強いことを意味する。この値は各フィルムにおいて30%以下であることが好ましく、15%以下であると更に好ましい。
【0083】
[インクジェット印刷物の密着性]
上述の方法により得られたインクジェット印刷物の塗工表面にセロファンテープ(ニチバン株式会社製「セロテープ」18mm幅)を貼り付け、10秒後に毎秒10mmの速度で180度方向にセロテープをはがし、剥離試験を行った。試験後の塗工物表面を解像度300dpiのスキャナで電子データ化し、剥離部分面積/セロテープ面積=塗膜剥離比率[%]を算出した。この値が小さい程、インク塗膜とフィルム間の密着性が強いことを意味する。この値は各フィルムにおいて30%以下であることが好ましく、20%以下であると更に好ましい。
【0084】
[塗料塗工物の1次密着性]
上述の方法で得られた塗料塗工物の塗膜表面にカッターナイフで1mm角で10×10個の切れ目を入れ、セロファンテープ(ニチバン社製「セロテープ」、18mm幅)による剥離試験を行い、残存する目数を下記基準で評価した。
○:86〜100個
△:60〜85個
×:59個以下
【0085】
(3)塗工液の評価法
[沈降安定性]
各組成物をガラス製サンプル瓶に入れて蓋を閉め、常温で静置し、6時間静置後、24時間静置後の顔料分の沈降度合を目視で観測した。
○:24時間後も顔料沈降は観測されなかった。
△:6時間後は顔料沈降が観測されなかったが、24時間後には顔料沈降が確認された。
×:6時間後で顔料沈降が確認された。
【0086】
[保存安定性]
各組成物を、E型粘度計(東機産業株式会社製「TV−20形」)で粘度を測定した後、ガラス製サンプル瓶に入れて蓋を閉めて密封させた状態で60℃の恒温槽に放置した。30日後に恒温槽からサンプル瓶を取り出し、インクの粘度を測定した。評価は以下のように判断した。
○:粘度の変化率が10%未満。
△:粘度の変化率が10%以上20%未満。
×:粘度の変化率が20%以上、又はインクの分離が発生。
【0087】
<合成例1>
容量50mlの三角フラスコに、酸化剤として過塩素酸鉄(III)6.5g、アセトニトリル7.3gを加え、攪拌して濃度1Mの溶液を調製した。つぎに、窒素導入管、アリーン冷却管を装着した容量100mlの三口フラスコに、3−メトキシチオフェン1.0g、アセトニトリル12.8gを加え、窒素ガスを液中に導入しながらフラスコを氷浴に浸し、30分間攪拌して濃度0.5Mの溶液を調製した。このあと氷浴を外して液温を20℃まで上げた後、前述の1M−過塩素酸鉄(III)アセトニトリル溶液を三口フラスコ中に注ぎ、20℃で4時間反応させた。反応終了後、得られた溶液を桐山漏斗で濾過し、更にメタノールによる残渣洗浄を行って酸化剤を除去した。洗浄後に得られた残渣を真空乾燥し、金属光沢を発現するポリチオフェン系化合物(S−1)の青紫色固体を収率80%で得た。ポリチオフェン系化合物(S−1)の重量平均分子量Mwは1,600であり、その繰り返し単位数は、約15であった。
【0088】
<合成例2>
容量50mlの三角フラスコに、酸化剤として塩化鉄(III)9.5g、アセトニトリル4.3gを加え、攪拌して濃度2Mの溶液を調製した。つぎに、窒素導入管、アリーン冷却管を装着した容量100mlの三口フラスコに、3−メトキシチオフェン1.0g、アセトニトリル12.8gを加え、窒素ガスを液中に導入しながらフラスコを氷浴に浸し、30分間攪拌して濃度0.5Mの溶液を調製した。このあと氷浴を外して液温を50℃まで上げた後、前述の2M−塩化鉄(III)アセトニトリル溶液を三口フラスコ中に注ぎ、50℃で4時間反応させた。反応終了後、得られた溶液を桐山漏斗で濾過し、更にメタノールによる残渣洗浄を行って酸化剤を除去した。洗浄後に得られた残渣を真空乾燥し、金属光沢を発現するポリチオフェン系化合物(S−2)の青紫色固体を収率75%で得た。ポリチオフェン系化合物(S−2)の重量平均分子量Mwは1,400であり、その繰り返し単位数は、約13であった。
【0089】
<実施例1>
合成例1で得られたポリチオフェン系化合物(S−1)1gを、アセトニトリル70g、メチルエチルケトン29.6gから成る混合溶媒に溶解させ、更にこの溶液を攪拌しながらレオロジーコントロール剤(ビックケミー社製「BYK−410」)0.1g、消泡剤(サンノプコ株式会社製「ダッポーSN−368」)0.3gを加え、メタリックグラビアインキ組成物(A−1)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷することにより、グラビアインキ印刷物(AP−1)を得た。
【0090】
<実施例2>
プライマー(DICグラフィックス株式会社製「ユニビアNT K1メジューム」)を希釈溶剤(DICグラフィックス株式会社製「レジューサーNo.3K」)を用いてザーンカップNo.3−15秒の粘度になるまで希釈した。この希釈プライマー溶液を、上述のグラビアインキの塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷し、プライマー塗膜の乾燥後に実施例1で得られたメタリックグラビアインキ組成物(A−1)を上述の方法で塗工・印刷した。これによりプライマー/グラビアインキの2層からなるグラビアインキ印刷物(AP−2)を得た。
【0091】
<実施例3>
プライマー(DICグラフィックス株式会社製「ユニビアNT K1メジューム」)を希釈溶剤(DICグラフィックス株式会社製「レジューサーNo.3K」)を用いてザーンカップNo.3−15秒の粘度になるまで希釈した。この希釈プライマー溶液を、上述のグラビアインキの塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷し、プライマー塗膜の乾燥後に実施例1で得られたメタリックグラビアインキ組成物(A−1)を上述の方法で塗工・印刷した。次にトップコート(DICグラフィックス株式会社製「アルティマZ OPニス」)を希釈溶剤(DICグラフィックス株式会社製「レジューサーNo.3K」)を用いてザーンカップNo.3−15秒の粘度になるまで希釈した。この希釈トップコート溶液を、上述のグラビアインキの塗工・印刷方法と同様の方法で、前述の(A−1)層の上に塗工・印刷し、プライマー/グラビアインキ/トップコートの3層からなるグラビアインキ印刷物(AP−3)を得た。
【0092】
<実施例4>
合成例2で得られたポリチオフェン系化合物(S−2)1gを水99.2gに溶解させ、更にこの溶液を攪拌しながらレオロジーコントロール剤(ビックケミー社製「BYK−420」)0.1g、消泡剤(サンノプコ株式会社製「SNデフォーマー777」)0.2g、レベリング剤(ビックケミー社製「BYK−348」)0.5gを加え、メタリックグラビアインキ組成物(A−2)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷することにより、グラビアインキ印刷物(AP−4)を得た。
【0093】
<実施例5>
プライマー(DICグラフィックス株式会社製「SFプライマー No.930」)を希釈溶剤(DICグラフィックス株式会社製「レジューサーNo.3K」)を用いてザーンカップNo.3−15秒の粘度になるまで希釈した。この希釈プライマー溶液を、上述のグラビアインキの塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷し、プライマー塗膜の乾燥後に実施例4で得られたメタリックグラビアインキ組成物(A−2)を塗工・印刷した。これによりプライマー/グラビアインキの2層からなるグラビアインキ印刷物(AP−5)を得た。
【0094】
<比較例1>
溶剤系裏刷りグラビアインキ(DICグラフィックス株式会社製「ユニビアLT 銀K1」)をメタリックグラビアインキ組成物(B−1)と呼称し、希釈溶剤(DICグラフィックス株式会社製「レジューサーNo.3K」)を用いてザーンカップNo.3−15秒の粘度になるまで希釈した。この溶液を上述の方法で塗工・印刷し、グラビアインキ印刷物(BP−1)を得た。
【0095】
<比較例2>
水系裏刷りグラビアインキ(DICグラフィックス株式会社製「マリーンプラスG 銀(K3)」)をメタリックグラビアインキ組成物(B−2)と呼称し、希釈溶剤(DICグラフィックス株式会社製「水性用レジューサーNo.3」)を用いてザーンカップNo.3−18秒の粘度になるまで希釈した。この溶液を上述の方法で塗工・印刷し、グラビアインキ印刷物(BP−2)を得た。
【0096】
上記の実施例1〜5及び比較例1〜2で得られたメタリックグラビアインキ組成物及びそれらを用いた印刷物について上記の評価を行った。
【0097】
本発明における塗工液をグラビアインキとして用いた場合のグラビアインキ印刷物の構成及び各評価結果をまとめたものを表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
<実施例6>
プロピレングリコール5g、1,3−ブタンジオール3g、水89.8gの混合溶媒を調製し、ここに合成例2で得られたポリチオフェン系化合物(S−2)1gを溶解させた。更にこの溶液を攪拌しながら、レベリング剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール485」)1.2gを加え、水性インクジェット記録用メタリックインク(A−6)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷することにより、インクジェット印刷物(AP−6)を得た。
【0100】
<実施例7>
プロピレングリコール15g、1,3−ブタンジオール10g、及び水64.9gから成る混合溶媒を調製し、ここに合成例2で得られたポリチオフェン系化合物(S−2)1gを溶解させた。更にこの溶液を攪拌しながら、アクリル樹脂(DIC株式会社製「ボンコート WKA−565」)8.6g及びレベリング剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール485」)0.5gを加え、水性インクジェット記録用メタリックインク(A−7)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷することにより、インクジェット印刷物(AP−7)を得た。
【0101】
<実施例8>
プロピレングリコール15g、1,3−ブタンジオール10g、及び水63.5gから成る混合溶媒を調製し、ここに合成例2で得られたポリチオフェン系化合物(S−2)1gを溶解させた。更にこの溶液を攪拌しながら、ポリオレフィン樹脂(東洋紡株式会社製「ハードレン NA−3002」)10g及びレベリング剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール485」)0.5gを加え、水性インクジェット記録用メタリックインク(A−8)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷することにより、インクジェット印刷物(AP−8)を得た。
【0102】
<比較例3>
蒸着アルミ顔料(BASF社製「Metasheen 41−0310」、アルミ含有量10質量%の2−メトキシ―1−メチルエチルアセテート分散液)を、超音波発振器(日本精機製作所株式会社製「US−300T」)を用いて3分間超音波破砕し、平均粒子径(D50)6.0μm、平均厚さ20nmのアルミ顔料分散液を得た。この分散液20gに、プロピレングリコール15g、1,3−ブタンジオール10g、水45.9g、アクリル樹脂(DIC株式会社製「ボンコート WKA−565」)8.6g及びレベリング剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール485」)0.5gを加え、水性インクジェット記録用メタリックインク(B−3)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷することにより、インクジェット印刷物(BP−3)を得た。
【0103】
上記の実施例6〜8及び比較例3で得られたインクジェットインク及びそれらを用いた印刷物について、上記の評価を行った。
【0104】
本発明における塗工液をインクジェットインクとして用いた場合のインクジェット印刷物の構成及び各評価結果をまとめたものを表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】
<実施例9>
アクリル樹脂(DIC株式会社製「アクリディック 56−1155」)40g、芳香族系有機溶剤(東燃ゼネラル石油株式会社製「ソルベッソ100」)30g、及び酢酸ブチル30gを混合して攪拌し、プライマーを調製した。これを上述のメタリック塗料の塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷した。次に、合成例1で得られたポリチオフェン系化合物(S−1)1.5gを、アセトニトリル18g、N−メチルピロリドン80gから成る混合溶媒に溶解させ、更にこの溶液を攪拌しながらレベリング剤(ビックケミー社製「BYK−348」)0.5gを加え、メタリック塗料(A−9)を得た。これを前述のプライマー塗工層の上に、上述の方法で塗工・印刷することにより、プライマー層/メタリック塗工層の2層からなるメタリック塗装物(AP−9)を得た。
【0107】
<実施例10>
N−メチルピロリドン47.5g、アセトニトリル12.5gから成る混合溶媒を調製し、ここに合成例1で得られたポリチオフェン系化合物(S−1)1gを溶解させた。更にこの溶液を攪拌しながら、アクリル樹脂(DIC株式会社製「アクリディック 56−1155」)40gを加え、メタリック塗料(A−10)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷した。次に、紫外線硬化型樹脂(DIC製「ユニディック V−4025」)100gに、希釈用シンナーとして酢酸エチル/酢酸ノルマルブチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=20/70/10を加え、溶液粘度がイワタカップで12秒になるまで希釈してトップコート溶液を調製した。これを上述のメタリック塗料の塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷し、然る後に出力80W/cmの高圧水銀ランプを用いて、照射量0.8J/cm
2の紫外線照射を行い、紫外線硬化によるトップコート層を含むメタリック塗装物(AP−10)を得た。
【0108】
<実施例11>
水性アクリル樹脂(DIC株式会社製「ボンコート EM−400」)80g、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル19.7g、及びレベリング剤(ビックケミー社製「BYK−348」)0.5gを混合して攪拌し、プライマーを調製した。これを上述のメタリック塗料の塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷した。次に、合成例2で得られたポリチオフェン系化合物(S−2)1.5gを水98.0gに溶解させ、更にこの溶液を攪拌しながらレベリング剤(ビックケミー社製「BYK−348」)0.5gを加え、メタリック塗料(A−11)を得た。これを前述のプライマー塗工層の上に、上述の方法で塗工・印刷することにより、プライマー層/メタリック塗工層の2層からなるメタリック塗装物(AP−11)を得た。
【0109】
<実施例12>
ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル10g、及び水48.5gから成る混合溶媒を調製し、ここに合成例1で得られたポリチオフェン系化合物(S−1)1gを溶解させた。更にこの溶液を攪拌しながら、水性アクリル樹脂(DIC株式会社製「ボンコート EM−400」)40g、及びレベリング剤(ビックケミー社製「BYK−348」)0.5gを加え、メタリック塗料(A−12)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷した。次に、紫外線硬化型樹脂(DIC株式会社製「ユニディック WNS−232」)100gに、レベリング剤「BYK−348」(ビックケミー社製)0.5gを混合して攪拌し、トップコート溶液を調製した。これを上述のメタリック塗料の塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷し、然る後に出力80W/cmの高圧水銀ランプを用いて、照射量0.8J/cm
2の紫外線照射を行い、紫外線硬化によるトップコート層を含むメタリック塗装物(AP−12)を得た。
【0110】
<比較例4>
アルミ顔料(東洋アルミ株式会社製「TCR−3040」)4.67g、アルミ顔料(昭和アルミパウダー株式会社製「SAP 550N」)3.88g、アクリル樹脂(DIC株式会社製「アクリディック 56−1155」)33.6g、キシレン10g、芳香族系有機溶剤(東燃ゼネラル石油株式会社製「ソルベッソ100」)20g、及び酢酸ブチル31.7gを混合し、メタリック塗料(B−4)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷した。次に、紫外線硬化型樹脂(DIC株式会社製「ユニディック V−4025」)100gに、希釈用シンナーとして酢酸エチル/酢酸ノルマルブチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=20/70/10を加え、溶液粘度がイワタカップで12秒になるまで希釈してトップコート溶液を調製した。これを上述のメタリック塗料の塗工・印刷方法と同様の方法で塗工・印刷し、然る後に出力80W/cmの高圧水銀ランプを用いて、照射量0.8J/cm
2の紫外線照射を行い、紫外線硬化によるトップコート層を含むメタリック塗装物(BP−4)を得た。
【0111】
<比較例5>
アルミ顔料(Eckart社製「STAPA Hydrolan 2194」)5.0g、ジエチレングリコールジメチルエーテル5.0g、及び顔料分散剤(楠本化学株式会社製「Disparlon AQ−330」)0.5gを混合して混練し、アルミペーストを調製した。このアルミペースト10.0gに水性アクリル樹脂(DIC株式会社製「バーノック WD−551」)55.6g、レベリング剤(ビックケミー社製「BYK−348」)0.2g、レベリング剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール 104DPM」)0.6g、消泡剤(ビックケミー社製「BYK−011」)0.4g、及びレオロジーコントロール剤(ビックケミー社製「BYK−425」)0.3gを混合し、主剤メタリック塗料を調製した。さらにこの主剤メタリック塗料70gに水分散型ポリイソシアネート(DIC株式会社製「バーノック DNW−5500」)5.8g、水10gを加えて2液硬化型メタリック塗料(B−5)を得た。これを上述の方法で塗工・印刷し、メタリック塗装物(BP−5)を得た。ただし、本比較例では、乾燥は、塗装後、23℃で7日間行った。
【0112】
<比較例6>
アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レフィルム加工株式会社製「VM−PET 1510」、膜厚12μm)に何も塗工せずに、電磁波透過性を評価した。なお、塗料は塗工していないため、光沢値・塗膜外観等については未評価である。
【0113】
上記の実施例9〜12及び比較例4〜5で得られたメタリック塗料及びそれらの塗装物について、上記の評価を行った。
【0114】
本発明における塗工液をメタリック塗料として用いた場合のメタリック塗装物の構成及び各評価結果をまとめたものを表3に示す。
【0115】
【表3】
【0116】
表1〜表3に示した評価結果から、本発明における塗工液は、メタリックグラビアインキ、メタリックインクジェットインク、メタリック塗料として十分使用できることが確認できた。また、これらを非金属基材上に塗工、印刷することにより、被印刷物、被塗工物に、粒状感のない均一な金属メッキと同等のメタリック調の塗膜を形成できるとともに、高い電磁波透過性を付与できることも確認できた。したがって、これらの被印刷物、被塗工物を電磁波送受信機器用カバーとして十分使用できることが確認できた。
【0117】
一方、メタリック顔料を用いた比較例1〜5の塗工液は、沈降安定性、保存安定性に劣ることが確認できた。また、比較例1〜5の塗工液を非金属基材上に塗工、印刷することにより、被印刷物、被塗工物に、メタリック調の意匠は得られるものの、粒状感のあるメタリック調光沢しか得られず、また、低い電磁波透過性しか得られなかった。比較例6については、アルミの蒸着膜を備えることから、電磁波透過性をほとんど示さなかった。