(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366258
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】肉加工食品
(51)【国際特許分類】
A23L 13/00 20160101AFI20180723BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
A23L13/00 A
A23D9/00 518
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-236885(P2013-236885)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96042(P2015-96042A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】島田 雅子
(72)【発明者】
【氏名】將野 喜之
【審査官】
柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−095313(JP,A)
【文献】
特開2012−249589(JP,A)
【文献】
特開2005−185152(JP,A)
【文献】
特開2009−050234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00−9/06
A23L 13/00−17/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪分が10質量%以下の肉に、以下の油脂Aを0.1〜20質量%含ませる、肉加工食品の製造方法。
油脂A:未焙煎の菜種粗油に、脱ガム、脱酸、油脂に対して0.1〜0.4質量%添加
した活性白土と減圧下90〜120℃で10〜40分間接触させる脱色および
2〜10トールの減圧下120〜160℃での20〜90分間の脱臭、の各処
理をして得られる、ロビボンド比色計におけるY+10R値が40以上である
菜種油
【請求項2】
さらに、以下の油脂Bを0.1〜20質量%含ませる、請求項1に記載の肉加工食品の製造方法。
油脂B:ロビボンド比色計におけるY+10R値が20未満である
動植物油脂
【請求項3】
前記油脂Bがヨウ素価5以下の極度硬化油を含む、請求項2に記載の肉加工食品の製造方法。
【請求項4】
前記油脂Bがパーム系油脂を含む、請求項2または3に記載の肉加工食品の製造方法。
【請求項5】
前記肉加工食品が魚肉加工食品である、請求項1〜4の何れか一項に記載の肉加工食品の製造方法。
【請求項6】
脂肪分が10質量%以下の肉に、以下の油脂Aを0.1〜20質量%含ませることによる肉加工食品の風味改質方法。
油脂A:未焙煎の菜種粗油に、脱ガム、脱酸、油脂に対して0.1〜0.4質量%添加
した活性白土と減圧下90〜120℃で10〜40分間接触させる脱色および
2〜10トールの減圧下120〜160℃での20〜90分間の脱臭、の各処
理をして得られる、ロビボンド比色計におけるY+10R値が40以上である
菜種油
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は肉加工食品、特に脂肪分の少ない肉を加工した肉加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪分の少ない肉、特にマグロの赤身などは、ミンチ状としてサラダ油等の液状油と混合し、いわゆるネギトロとしてすし種等に使用されている。液状油との混合では、油のなじみや風味に満足できない部分に対しては、例えば、特許文献1には、ミンチ状生鮮魚肉にパーム油、大豆油等の植物油脂、豚脂、牛脂、魚硬化油等の動物油脂を用いたショートニングを含有させる魚肉加工品が開示されている。また、特許文献2には、特定のSFIを持つ油脂と水とを含み、特定の稠度を有する水中油型乳化物を混合することで脂肪分の少ない魚肉にとろ身の風味を付与することが開示されている。
しかしながら、上記の技術では、魚肉に油分や脂身を付与することはできても、コク味や旨味の面で満足の行くものではなかった。
【0003】
コク味や旨味を補うために、海産動物油脂に固形油脂を添加することにより調整された油脂組成物をミンチ状生鮮魚肉に添加する技術(例えば、特許文献3)や、精製マグロ油とマグロ油以外の精製魚油を主成分としてなる魚肉加工用油を使用する技術(例えば、特許文献4)が開示されているが、傷みやすい(風味が劣化し易い)魚油を扱うことは容易ではなく、また、消費者のネギトロに対する嗜好も、本来はイミテーションであるものが市場の大部分を占める現状において、あっさりとした風味に慣れていることもあり、本来のトロ由来のコク味や旨味まで求められるということではなくなっている。
従って、脂肪分の少ない肉を加工原料としながら、あっさりとした中にも程よいコク味や旨味がある肉加工食品の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−181979号公報
【特許文献2】特開平1−265870号公報
【特許文献3】特開平7−39348号公報
【特許文献4】特開2004−135586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、あっさりとした中にも程よいコク味や旨味が付与された、脂肪分の少ない肉を加工した肉加工食品を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、食用油脂を製造するために行う精製処理条件を調整し、ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上であるように調製した菜種油を、脂肪分の少ない肉を原料とした肉加工食品に使用することで、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明の態様の1つは、以下の油脂Aを0.1〜20質量%含む肉加工食品である。
油脂A:ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である
脱臭処理を経た菜種油
好ましい態様としては、上記油脂Aのロビボンド比色計におけるY+10R値が30以上である肉加工食品である。
好ましい態様としては、上記油脂Aの脱臭処理の脱臭温度が200℃未満である肉加工食品である。
好ましい態様としては、さらに、以下の油脂Bを0.1〜20質量%含む肉加工食品である。
油脂B:ロビボンド比色計におけるY+10R値が20未満である
動植物油脂
好ましい態様としては、魚肉加工食品である肉加工食品である。
本発明のまた別の態様としては、以下の油脂Aを含む油脂組成物である。
油脂A:ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である
脱臭処理を経た菜種油
本発明のまた別の態様としては、以下の油脂Aを0.1〜20質量%含ませることによる肉加工食品の風味改質方法である。
油脂A:ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である
脱臭処理を経た菜種油
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、あっさりとした中にも程よいコク味や旨味が付与された、脂肪分の少ない肉を加工した肉加工食品を提供することができる。また、本発明によれば、脂肪分の少ない肉を加工した肉加工食品の風味改質方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の肉加工食品は、ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である脱臭処理を経た菜種油(以下、油脂Aと表記することがある)を0.1〜20質量%含有する。ここで、ロビボンド比色計におけるY+10R値とは、1インチセル(25.4ミリセル)を使用して測定したY値と、同じく1インチセル(25.4ミリセル)を使用して測定したR値とから、Y値にR値の10倍の数を加えることによって導き出される値である。ロビボンド比色計におけるY値及びR値の測定は、日本油化学協会、基準油脂分析法2.2.1.1−1996のロビボンド法に準拠して行うことができる。色度が濃い(ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である)菜種油を使用することで、肉加工食品に良好なコク味や旨味を付与することができる。
【0010】
本発明の肉加工食品に使用する油脂Aは、菜種種子より圧搾乃至圧搾抽出により得られるものであるが、少なくとも脱臭処理を経たものである。菜種種子は焙煎処理されたものでも良いが、未焙煎油である方がよりマイルドな風味であり、広く一般に受け入れられ易くなるので好ましい。脱臭処理は、揮発性物質等を除去することができれば、その脱臭方法は特に限定されないが、例えば、油脂の精製に通常用いられる減圧水蒸気蒸留にて脱臭することが好ましい。
【0011】
減圧水蒸気蒸留の条件は、脱臭処理する油脂の臭気の強さにより適宜変更されるが、通常の食用油脂の精製における脱臭温度(200〜270℃)より低い温度、すなわち、脱臭温度が200℃以上とはならない(200℃未満である)ことが好ましい。例えば、20トール未満の減圧下(好ましくは2〜10トールの減圧下)、脱臭温度180℃以下で行うことが好ましく、100〜170℃で行うことがより好ましく、120〜160℃で行うことが更に好ましい。脱臭時間は、10〜120分間であることが好ましく、20〜90分間であることがより好ましい。上記脱臭条件で脱臭処理することにより、ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である、雑味・エグ味が取れ、適度なコク味・香味が残った菜種油が得られるので好ましい。
【0012】
本発明の肉加工食品に使用する油脂Aの態様の1つとしては、菜種種子より圧搾乃至圧搾抽出された菜種油を、脱ガム、脱臭処理した菜種油であることが好ましい。脱ガム処理としては、例えば、温度70〜80℃、水添加量約3質量%(対圧搾油乃至圧搾抽出油)の条件下、必要に応じてクエン酸もしくはリン酸を添加して、遠心分離機で遠心分離することでリン脂質の除去がなされる。必要に応じて水洗い、乾燥後、再度ろ過する等方法が挙げられるが、これに限定するものではない。
【0013】
通常食用油脂の製造で行われる、脱酸、脱色処理は特に必須ではないが、脱酸、脱色処理を行うことで、脱臭後の菜種油の品質はより安定したものとなる。
【0014】
脱酸処理においては、例えば、80〜90℃程度に加温した脱ガム処理油に、油脂中の遊離脂肪酸に対して中和当量で5〜40質量%過剰のアルカリ水溶液を添加攪拌し、遠心分離により、沈殿物を除去することにより、油脂中に含まれる遊離した脂肪酸を除去することができる。脱酸処理で使用するアルカリ水溶液は、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等公知の種々のアルカリ水溶液を使用することができる。
【0015】
脱酸処理に付随する後工程として、必要に応じて油脂中に含まれる石鹸(アルカリ成分)を除去するために水洗を行う(水洗工程)。水洗工程は、アルカリ成分を除去することができれば水洗でなくてもよく、例えば、湯を使用してアルカリ成分を除去してもよい。なお、水洗工程後必要に応じて、脱酸水洗された油脂を乾燥させてもよい。
【0016】
脱色処理は、油脂に吸着剤を添加することにより行う。油脂に添加する吸着剤は、適宜変更することができるが、例えば、モンモリロナイトを主成分とする白色から黄褐色の粘土鉱物である白土を酸処理した活性白土、活性炭等公知の種々の吸着剤を使用することができる。これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。
【0017】
吸着剤の添加量は、油脂中に含まれる着色成分量によって適宜変化させることができるが、例えば、活性白土の場合、油脂に対して0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.4質量%であることが更に好ましい。吸着剤の添加量が上記範囲であると、脱臭処理後の風味が適度なものとなり好ましい。油脂と吸着剤との接触条件は、油脂によって適宜変更することができるが、例えば90〜120℃で10〜40分間接触させることが好ましい。この条件で効率的に脱色処理を行うことができる。
【0018】
また、油脂と吸着剤とを接触させる際、水分の存在による吸着剤の吸着効率の低下を防止するとともに、酸素の存在による油脂の酸化を防止するために、減圧下で油脂と吸着剤とを接触させ、脱色処理を行うことが好ましい。脱色処理の終了には、フィルタープレス等によりろ過し、吸着剤を除去する。
【0019】
本発明の肉加工食品に使用する油脂Aは、未焙煎の菜種種子から圧搾乃至圧搾抽出した油脂を、上記記載の条件で、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭処理したものが、肉加工食品に使用した場合、良好なコク味や旨味を付与することができるので好ましい。
【0020】
本発明の肉加工食品に使用する油脂Aは、肉加工食品に良好なコク味や旨味を付与するために、ロビボンド比色計におけるY+10R値が30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましく、55以上であることが更により好ましい。Y+10R値の上限値は特に制限はないが、品質をより安定したものとするために、150以下であることが好ましく、120以下であることがより好ましく、100以下であることが更に好ましい。また、本発明の肉加工食品は、油脂Aを、0.5〜15質量%含有することが好ましく、1〜12質量%含有することがより好ましく、2〜10質量%含有することが更に好ましい。肉加工食品に油脂Aを使用することにより、コク味や旨味の付与など、肉加工食品の風味を改質することができる。
【0021】
本発明の肉加工食品は、ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である脱臭処理を経た菜種油(油脂A)の他に、ロビボンド比色計におけるY+10R値が20未満である動植物油脂(以下、油脂Bと表記することがある)を0.1〜20質量%含有することが好ましい。本発明でいう動植物油脂は、本発明でいうロビボンド比色計におけるY+10R値が20未満であり、食用に適したものであれば、どのようなものであっても構わないが、あっさりとした風味をベースとするには、脱臭油であることが好ましく、また、植物油脂であることが好ましい。例えば、従来食用に供される大豆油、菜種油、綿実油、ヒマワリ種子油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、イリッペ脂、サル脂、シア脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油等、並びに、これらに、硬化、分別、エステル交換(油脂と脂肪酸または脂肪酸エステルとのエステル交換も含む)等の加工を加えた加工油脂の中から1種あるいは2種以上を選択して使用できる。ヨウ素価5以下の極度硬化油を0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%使用すると、肉加工食品からの油の滲み出しが抑制されるので好ましい。
【0022】
本発明の肉加工食品は、油脂Bとして、パーム系油脂を含有することが好ましい。パーム系油脂を含有することで、油脂Aにより付与される良好なコク味や旨味がより引き立つので好ましい。本発明の肉加工食品に使用する油脂B中のパーム系油脂の含量としては、20質量%以上であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明でいうパーム系油脂とは、パーム油、パーム油の分別油及びそれらの加工油(硬化、エステル交換及び分別のうち1以上の処理がなされたもの)であれば何れでもよく、具体的には、1段分別油であるパームオレイン、パームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)等が例示できる。また、それらの1種以上とパーム系油脂以外の油脂との混合油のエステル交換油や硬化油の場合、原料油脂中のパーム系油脂含量に応じた量をパーム系油脂として扱うことができる。パーム系油脂は、パーム油やパームオレインであることが好ましい。なお、パーム核油はパーム系油脂には含まれない。
【0024】
本発明の肉加工食品に使用する油脂Bは、食用油脂の精製工程に通常を用いられる、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭等の各処理を経て製造することができる。特に、脱色処理における吸着剤の添加量と、脱臭処理における脱臭温度を、ロビボンド比色計におけるY+10R値が20以上である脱臭処理を経た菜種油よりも強めの条件で精製することにより得ることができる。例えば、脱色処理の場合、吸着剤が活性白土の場合の添加量は、油脂に対して0.3〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。例えば、脱臭処理の場合、脱臭温度は、200〜270℃であることが好ましく、220〜260℃であることがより好ましい。
【0025】
本発明の肉加工食品に使用する油脂Bは、食用油脂の風味のベースをあっさりとしたものにするために、ロビボンド比色計におけるY+10R値が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。Y+10R値の下限値は特に制限はないが、過剰精製による品質の劣化を防止するために、0より大きいことが好ましい。
なお、通常市販されているキャノーラ油(菜種油)やサラダ油(菜種油と大豆油の混合油)等の食用油脂は、ロビボンド比色計におけるY+10R値が1程度であり、油脂Bとして好適に使用できる。
【0026】
本発明の肉加工食品は、本発明の特徴を損なわない限りにおいて、油脂Aと油脂B以外の油脂(以下、油脂Cと表記することがある)を含有しても差し支えないが、本発明の肉加工食品の特徴を再現する上で、油脂Cの含量は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0〜3質量%あることがさらに好ましい。
【0027】
本発明の肉加工食品は、脂肪分の少ない肉を加工した肉加工食品であることが好ましい。本発明の肉加工食品に使用される肉は、その脂肪分が、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。具体的には、赤身肉であることが好ましく、魚肉であることが好ましい。より具体的には、マグロ、カツオ、サケなどの脂肪分が少ない赤身の生魚肉であることが好ましい。特に、マグロの赤身肉であることが好ましく、マグロとしては、キハダマグロ、本マグロ、ミナミマグロ、インドマグロ等が挙げられる。
【0028】
本発明の肉加工食品としては、油脂Aを使用する以外、通常の肉加工食品が挙げられるが、その好ましい態様としては、脂肪分の少ない赤身の生肉をミンチ状とし、これに少なくとも油脂A、必要に応じて油脂B等を均一に混合することにより得られるネギトロ様の加工食品が挙げられる。赤身の畜肉に混合する場合は、混合後に、焼く、茹でる等の加熱調理を行ってもよいし、生のままでもよい。また、本発明の肉加工食品のまた別の好ましい態様としては、脂肪分の少ない生肉の切り身を、少なくとも油脂Aを含む調味液に漬けこんだマリネ風の加工食品が挙げられる。これらの食品は、油脂Aを使用することを除いては、通常のネギトロ様もしくはマリネ風の食品を製造するのと同様の方法により製造することができる。
【0029】
本発明の肉加工食品を製造する好ましい態様としては、予め油脂Aを含む油脂組成物を調製しておき、該油脂組成物を肉加工食品の製造に使用する態様が挙げられる。ここで油脂組成物は含水のマーガリンタイプであってもよいし、無水のショートニングタイプであってもよい。油脂組成物中の油脂Aの含量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、10〜70質量%であることがさらに好ましい。また、油脂組成物中を構成する油脂の油脂A以外の部分は、油脂Bであることが好ましい。
【0030】
上記油脂組成物は、本発明の特徴を損なわない限りにおいて、必要に応じて通常のマーガリン・ショートニングに用いられる添加剤を適宜含有することができる。具体的には、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、低温化での結晶抑制等を目的としたポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、ビタミンE、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、オリザノール、トコフェロール等の酸化防止剤、着色料、香料等が挙げられる。油脂組成物中の添加剤の含量は3質量%以下であることが好ましい。
【0031】
上記油脂組成物は、マーガリン・ショートニングの製造において採られる常法に従って、融解した油脂組成物を急冷可塑化することにより製造できる。また、本発明の肉加工食品は、当該油脂組成物を肉加工食品の製造にあたって、油脂Aを使用するタイミングで同様に使用することにより、製造することができる。例えば、ネギトロ様の加工食品は、脂肪分の少ない赤身の生肉をミンチ状とし、これに油脂組成物を均一に混合することにより製造することができる。
【0032】
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明について詳しく説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例の内容に、何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
<油脂の調製>
調製した油脂の色度Y値及びR値の測定は、ロビボンド比色計(ティントメーター社製、TINTOMETER MODEL F)で25.4ミリセル(=1インチセル)を用いて測定した。
(油脂Aの調製)
〔菜種油1〕
未焙煎の菜種種子から圧搾抽出された菜種粗油を、常法に従って、脱ガム、脱酸処理した後、活性白土を対油0.3質量%添加して、減圧下90〜110℃で20分間攪拌した後、ろ過により活性白土を除去して脱色(処理)油を得た。得られた脱色油を、5〜6トールの減圧下、140℃で60分水蒸気蒸留(脱臭処理)を行い、ロビボンド比色計におけるY+10R値が62である菜種油1を得た。
【0034】
(油脂Bの調製)
〔菜種油2〕
未焙煎の菜種種子から圧搾抽出された菜種粗油を、常法に従って、脱ガム、脱酸処理した後、活性白土を対油0.7質量%添加して、減圧下90〜110℃で20分間攪拌した後、ろ過により活性白土を除去して脱色(処理)油を得た。得られた脱色油を、5〜6トールの減圧下、255℃で60分水蒸気蒸留(脱臭処理)を行い、ロビボンド比色計におけるY+10R値が0.1である菜種油2を得た。
〔パーム系油脂1〕
軽度精製パーム油(ヨウ素価53、輸入品)に、活性白土を対油2質量%添加して、減圧下90〜110℃で20分間攪拌した後、ろ過により活性白土を除去して脱色(処理)油を得た。得られた脱色油を、5〜6トールの減圧下、255℃で60分水蒸気蒸留(脱臭処理)を行い、ロビボンド比色計におけるY+10R値が0.2であるパーム系油脂1を得た。
〔パーム系油脂2〕
パーム極度硬化油(ヨウ素価2以下、横関油脂工業株式会社製)をパーム系油脂2とした。ロビボンド比色計におけるY+10R値は0.1であった。
【0035】
(油脂Cの調製)
〔パーム系油脂3〕
軽度精製パームオレイン(ヨウ素価65、輸入品)をパーム系油脂3とした。ロビボンド比色計におけるY+10R値は65であった。
【0036】
上記油脂を、表1に示した配合で混合し、常法に従って急冷練り合わせを行い、油脂組成物1〜5を得た。得られた油脂組成物15質量部を、ミンチ状にしたマグロの赤身生肉(脂肪分2%)85質量部と均一に混和し、実施例1〜3および比較例1〜2のネギトロ様肉加工食品を得た。得られたネギトロ様肉加工食品について、パネル5名による風味評価を行い、以下に示す評価基準に従って総合的に判断した。結果を表2に示した。
【0037】
(風味評価の基準)
あっさりとした中にもコク味、旨味が十分に感じられ、とてもおいしい 4点
あっさりとした中にもコク味、旨味が感じられ、おいしい 3点
あっさりとしており、物足りなさを感じる 2点
コク味、旨味ではない油っぽさが感じられる 1点
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】