特許第6366411号(P6366411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6366411
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】液化天然ガス冷熱利用設備
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/04 20060101AFI20180723BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20180723BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F01K23/04 A
   F01K25/10 K
   F01K25/10 U
   F01K27/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-157695(P2014-157695)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-35221(P2016-35221A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 大樹
(72)【発明者】
【氏名】久角 喜徳
(72)【発明者】
【氏名】毛笠 明志
(72)【発明者】
【氏名】堀 司
(72)【発明者】
【氏名】ランディープ アガーワル
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−180012(JP,A)
【文献】 特開2015−001185(JP,A)
【文献】 特開平03−239897(JP,A)
【文献】 特開昭51−104152(JP,A)
【文献】 特開2000−204909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/04
F01K 25/10
F01K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留タンクから液化天然ガスポンプによって供給された液化天然ガスを加熱して天然ガスに気化させる液化天然ガス気化部と、当該液化天然ガス気化部で気化した天然ガスを加熱する第1天然ガス加熱部と、当該第1天然ガス加熱部にて加熱した天然ガスを膨張させて発電動力を出力する天然ガス膨張タービンと、当該天然ガス膨張タービンで膨張した天然ガスを取り出し可能な天然ガス取出部とを有する天然ガス直膨回路を備え、
第1冷媒液を加熱して第1冷媒蒸気に気化させる冷媒蒸気発生部と、当該冷媒蒸気発生部で気化した第1冷媒蒸気を加熱する冷媒蒸気加熱部と、当該冷媒蒸気加熱部にて加熱した第1冷媒蒸気を膨張させて発電動力を出力する冷媒蒸気膨張タービンと、当該冷媒蒸気膨張タービンで膨張した第1冷媒蒸気を冷却して第1冷媒液に復水させる冷媒蒸気復水部と、当該冷媒蒸気復水部で復水した第1冷媒液を前記冷媒蒸気発生部へ圧送する第1冷媒ポンプとを有するランキンサイクル回路を備え、
熱供給装置から供給される高温の加熱熱媒が通流する加熱熱媒通流部を備えた液化天然ガス冷熱利用設備であって、
格納容器の内部に形成される第1熱交換室の内部に、前記液化天然ガス気化部として前記液化天然ガス及び前記天然ガスを内部に通流する第1伝熱管と、前記冷媒蒸気発生部として前記第1冷媒液及び前記第1冷媒蒸気を内部に通流する第2伝熱管とを備えると共に、前記冷媒蒸気復水部として前記第1熱交換室内で前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管の外部に前記第1冷媒蒸気及び前記第1冷媒液を通流する第1熱交換領域を形成し、
少なくとも当該第1熱交換領域を通流する前記第1冷媒蒸気及び前記第1冷媒液を、前記第1伝熱管を通流する前記液化天然ガス及び前記天然ガスと、前記第2伝熱管を通流する前記第1冷媒液及び前記第1冷媒蒸気とに対して授熱側となる状態で熱交換させ、
前記格納容器の内部で前記第1熱交換室とは別に形成される第2熱交換室の内部に、前記第1天然ガス加熱部として前記天然ガスを内部に通流する第3伝熱管と、前記冷媒蒸気加熱部として前記第1冷媒蒸気を内部に通流する第4伝熱管とを備えると共に、前記加熱熱媒通流部として前記第2熱交換室内で前記第3伝熱管及び前記第4伝熱管の外部に前記加熱熱媒を通流する第2熱交換領域を形成し、
少なくとも当該第2熱交換領域を通流する前記加熱熱媒を、前記第3伝熱管を通流する前記天然ガスと前記第4伝熱管を通流する前記第1冷媒蒸気とに対して授熱側となる状態で熱交換させる液化天然ガス冷熱利用設備。
【請求項2】
前記格納容器の内部に、前記格納容器の内部空間を気密に仕切る第1内壁と、第2内壁とを、前記第1内壁と前記第2内壁との間に断熱室を形成する状態で設け、
前記格納容器の内部において、前記第1熱交換室と前記第2熱交換室とを前記断熱室により熱的に分離される状態で形成する請求項1に記載の液化天然ガス冷熱利用設備。
【請求項3】
前記天然ガス膨張タービンとして、前記第1天然ガス加熱部で加熱した初期圧天然ガスを膨張させて発電動力を出力する初期圧天然ガス膨張タービンと、当該初期圧天然ガス膨張タービンで膨張した後で前記初期圧天然ガスよりも低圧の高圧天然ガスを膨張させて発電動力を出力する高圧天然ガス膨張タービンと、当該高圧天然ガス膨張タービンで膨張した後で前記高圧天然ガスよりも低圧の中圧天然ガスを膨張させて発電動力を出力する中圧天然ガス膨張タービンとを備え、
前記格納容器の前記第2熱交換室の内部において、前記第1天然ガス加熱部としての前記第伝熱管を前記初期圧天然ガスを通流する状態で備えると共に、当該第伝熱管と、前記高圧天然ガスを加熱する第2天然ガス加熱部として前記高圧天然ガスを内部に通流する第5伝熱管と、前記中圧天然ガスを加熱する第3天然ガス加熱部として前記中圧天然ガスを内部に通流する第6伝熱管と、前記中圧天然ガス膨張タービンで膨張した後で前記中圧天然ガスよりも低圧の低圧天然ガスを加熱する第4天然ガス加熱部として前記低圧天然ガスを内部に通流する第7伝熱管とを、少なくとも前記第伝熱管を通流する前記初期圧天然ガスと前記第5伝熱管を通流する前記高圧天然ガスと前記第6伝熱管を通流する前記中圧天然ガスと前記第7伝熱管を通流する前記低圧天然ガスとの夫々が前記第2熱交換領域を通流する前記加熱熱媒に対して受熱側となる状態で備える請求項1又は2に記載の液化天然ガス冷熱利用設備。
【請求項4】
第2冷媒蒸気を冷却する冷媒蒸気冷却部と、当該冷媒蒸気冷却部にて冷却された第2冷媒液を冷凍倉庫内の空気と熱交換する庫内冷凍熱交換器と、前記冷媒蒸気冷却部にて冷却された第2冷媒液を前記庫内冷凍熱交換器へ圧送する第2冷媒ポンプとを有する冷凍回路を備え、
前記格納容器の前記第1熱交換室の内部に、前記冷媒蒸気冷却部として前記第2冷媒蒸気及び前記第2冷媒液を内部に通流する第8伝熱管を、少なくとも当該第8伝熱管の内部を通流する前記第2冷媒蒸気及び前記第2冷媒液が前記第1伝熱管を通流する前記液化天然ガスに対して授熱側となる状態で備える請求項1〜3の何れか一項に記載の液化天然ガス冷熱利用設備。
【請求項5】
前記熱供給装置が、天然ガスを燃料として駆動して電気と熱とを発生するコージェネレーション装置であり、当該コージェネレーション装置で発生する熱により前記加熱熱媒が加熱される請求項1〜4の何れか一項に記載の液化天然ガス冷熱利用設備。
【請求項6】
前記コージェネレーション装置と前記第2熱交換領域との間で前記加熱熱媒を循環させる加熱熱媒回路に前記加熱熱媒を圧送する熱媒ポンプと、
前記第2熱交換領域を通流した後の前記加熱熱媒の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段にて測定される温度が、前記加熱熱媒の凝固点より高い加熱熱媒下限閾値を下回ったときに、前記熱媒ポンプの回転数を増加する制御部とを備える請求項5に記載の液化天然ガス冷熱利用設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留タンクから液化天然ガスポンプによって供給された液化天然ガスを加熱して天然ガスに気化させる液化天然ガス気化部と、当該液化天然ガス気化部で気化した天然ガスを加熱する第1天然ガス加熱部と、当該第1天然ガス加熱部にて加熱した天然ガスを膨張させて発電動力を出力する天然ガス膨張タービンと、当該天然ガス膨張タービンで膨張した天然ガスを取り出し可能な天然ガス取出部とを有する天然ガス直膨回路を備え、
第1冷媒液を加熱して第1冷媒蒸気に気化させる冷媒蒸気発生部と、当該冷媒蒸気発生部で気化した第1冷媒蒸気を加熱する冷媒蒸気加熱部と、当該冷媒蒸気加熱部にて加熱した第1冷媒蒸気を膨張させて発電動力を出力する冷媒蒸気膨張タービンと、当該冷媒蒸気膨張タービンで膨張した第1冷媒蒸気を冷却して第1冷媒液に復水させる冷媒蒸気復水部と、当該冷媒蒸気復水部で復水した第1冷媒液を前記冷媒蒸気発生部へ圧送する第1冷媒ポンプとを有するランキンサイクル回路を備え、熱供給装置から供給される高温の加熱熱媒が通流する加熱熱媒通流部を備えた液化天然ガス冷熱利用設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガス冷熱利用設備としては、液化天然ガスが有する冷熱エクセルギー(力学的な仕事として取り出せるエネルギー)を、気化後の高圧の天然ガスを直接膨張タービンで膨張させて発電動力を得るための動力エネルギーとして回収する天然ガス直膨回路を備えると共に、冷媒液が液化天然ガスから回収した冷熱エクセルギーを、冷媒蒸気膨張タービンにて気化後の高圧の冷媒蒸気を直接膨張させて発電動力を得るための動力エネルギーとして回収するランキンサイクル回路を備えたものが知られている(非特許文献1を参照)。
説明を追加すると、天然ガス直膨回路は、貯留タンクから液化天然ガスポンプによって供給された液化天然ガスを加熱して天然ガスに気化させる液化天然ガス気化部と、当該液化天然ガス気化部で気化した天然ガスを加熱する天然ガス加熱部と、当該天然ガス加熱部にて加熱した天然ガスを膨張させて発電動力を出力する天然ガス膨張タービンと、当該天然ガス膨張タービンで膨張した天然ガスを取り出し可能な天然ガス取出部とを有する。
一方、ランキンサイクル回路にあっては、冷媒液を加熱して冷媒蒸気に気化させる冷媒蒸気発生部と、当該冷媒蒸気発生部で気化した第1冷媒蒸気を加熱する冷媒蒸気加熱部と、当該冷媒蒸気加熱部にて加熱した第1冷媒蒸気を膨張させて発電動力を出力する冷媒蒸気膨張タービンと、当該冷媒蒸気膨張タービンで膨張した冷媒蒸気を冷却して冷媒液に復水させる冷媒蒸気復水部と、当該冷媒蒸気復水部で復水した冷媒液を冷媒蒸気発生部へ圧送する冷媒液ポンプとを有する。
ここで、当該非特許文献1に開示の技術にあっては、天然ガス直膨回路の液化天然ガス気化部、及びランキンサイクル回路の冷媒蒸気復水部は、Plate Fin Typeの多流体熱交換器にて構成され、天然ガス直膨回路の天然ガス加熱部、及びランキンサイクル回路の冷媒蒸気発生部は、海水等の温水を熱源とするオープンラック式気化器、及びシェル&チューブ型の熱交換器にて構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】次世代LNG気化発電システムの研究(Journal of Japan Society of Energy and Resources,Vol.35,No.3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非特許文献1に係る液化天然ガス冷熱利用設備の構成にあっては、Plate Fin Typeの多流体熱交換器、オープンラック式気化器、及びシェル&チューブ型の熱交換器といった多くの熱交換器を用いていたため、構成が複雑になり多くの設置スペースが必要となり、必ずしも経済性の良い設備になっているとは言えなかった。
また、発電出力を増加させるべく、タービンへ導入する天然ガス及び冷媒蒸気の温度を上げ過ぎると、特に、Plate Fin Typeの多流体熱交換器では、温端温度差が大きくなり、伝熱板(Plate部位)において熱応力によるひずみが生じる虞があり、発電出力が制限される場合があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比べ構成の簡素化を図り、経済性を改善しながらも、温端温度差の増加に伴う熱ひずみが生じ難く、発電出力の設定自由度を上げ得る液化天然ガス冷熱利用設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための液化天然ガス冷熱利用設備は、
貯留タンクから液化天然ガスポンプによって供給された液化天然ガスを加熱して天然ガスに気化させる液化天然ガス気化部と、当該液化天然ガス気化部で気化した天然ガスを加熱する第1天然ガス加熱部と、当該第1天然ガス加熱部にて加熱した天然ガスを膨張させて発電動力を出力する天然ガス膨張タービンと、当該天然ガス膨張タービンで膨張した天然ガスを取り出し可能な天然ガス取出部とを有する天然ガス直膨回路を備え、
第1冷媒液を加熱して第1冷媒蒸気に気化させる冷媒蒸気発生部と、当該冷媒蒸気発生部で気化した第1冷媒蒸気を加熱する冷媒蒸気加熱部と、当該冷媒蒸気加熱部にて加熱した第1冷媒蒸気を膨張させて発電動力を出力する冷媒蒸気膨張タービンと、当該冷媒蒸気膨張タービンで膨張した第1冷媒蒸気を冷却して第1冷媒液に復水させる冷媒蒸気復水部と、当該冷媒蒸気復水部で復水した第1冷媒液を前記冷媒蒸気発生部へ圧送する第1冷媒ポンプとを有するランキンサイクル回路を備え、
熱供給装置から供給される高温の加熱熱媒が通流する加熱熱媒通流部を備えた液化天然ガス冷熱利用設備であって、その特徴構成は、
格納容器の内部に形成される第1熱交換室の内部に、前記液化天然ガス気化部として前記液化天然ガス及び前記天然ガスを内部に通流する第1伝熱管と、前記冷媒蒸気発生部として前記第1冷媒液及び前記第1冷媒蒸気を内部に通流する第2伝熱管とを備えると共に、前記冷媒蒸気復水部として前記第1熱交換室内で前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管の外部に前記第1冷媒蒸気及び前記第1冷媒液を通流する第1熱交換領域を形成し、
少なくとも当該第1熱交換領域を通流する前記第1冷媒蒸気及び前記第1冷媒液を、前記第1伝熱管を通流する前記液化天然ガス及び前記天然ガスと、前記第2伝熱管を通流する前記第1冷媒液及び前記第1冷媒蒸気とに対して授熱側となる状態で熱交換させ、
前記格納容器の内部で前記第1熱交換室とは別に形成される第2熱交換室の内部に、前記第1天然ガス加熱部として前記天然ガスを内部に通流する第3伝熱管と、前記冷媒蒸気加熱部として前記第1冷媒蒸気を内部に通流する第4伝熱管とを備えると共に、前記加熱熱媒通流部として前記第2熱交換室内で前記第3伝熱管及び前記第4伝熱管の外部に前記加熱熱媒を通流する第2熱交換領域を形成し、
少なくとも当該第2熱交換領域を通流する前記加熱熱媒を、前記第3伝熱管を通流する前記天然ガスと前記第4伝熱管を通流する前記第1冷媒蒸気とに対して授熱側となる状態で熱交換させる点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、天然ガス直膨回路における液化天然ガス気化部と第1天然ガス加熱部と、ランキンサイクル回路における冷媒蒸気発生部と冷媒蒸気加熱部と冷媒蒸気復水部と、熱供給装置から供給される高温の加熱熱媒が通流する加熱熱媒通流部とを、一の格納容器の内部に形成される熱交換器にて構成するから、Plate Fin Typeの多流体熱交換器、オープンラック式気化器、及びシェル&チューブ型の熱交換器といった複数の熱交換器を備えた従来の液化天然ガス冷熱利用設備に比べ、構成の簡略化を図ることができ、経済性を改善できる。
更に、上記特徴構成によれば、比較的低温の流体を熱交換させる第1熱交換室と、比較的高温の流体を熱交換させる第2熱交換室とを、格納容器内において各別に設けているから、各熱交換室内で熱交換する流体の温端温度差を比較的小さくできる。
また、第1熱交換室においては、少なくとも、第1伝熱管及び第2伝熱管の内部を通流する受熱側の流体と、当該第1伝熱管及び第2伝熱管の外部の第1熱交換領域を通流する授熱側の流体とが熱交換するように構成していると共に、第2熱交換室においては、少なくとも、第3伝熱管及び第4伝熱管の内部を通流する受熱側の流体と、当該第3伝熱管及び第4伝熱管の外部の第2熱交換領域を通流する授熱側の流体とが熱交換するように構成しているから、伝熱板等のように、温端温度差が大きくなった場合に熱応力による熱ひずみが発生し易い部位が存在せず、熱応力による熱ひずみの発生を抑制できる。
以上より、従来に比べ構成の簡素化を図り、経済性を改善しながらも、熱交換部位での温端温度差の増加に伴う熱ひずみが生じ難く、発電出力の設定自由度を上げ得る液化天然ガス冷熱利用設備を実現できる。
【0008】
本発明の液化天然ガス冷熱利用設備の更なる特徴構成は、
前記格納容器の内部に、前記格納容器の内部空間を気密に仕切る第1内壁と、第2内壁とを、前記第1内壁と前記第2内壁との間に断熱室を形成する状態で設け、
前記格納容器の内部において、前記第1熱交換室と前記第2熱交換室とを前記断熱室により熱的に分離される状態で形成する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、格納容器の内部において、第1内壁と第2内壁とを、それらの間に断熱室を形成する状態で設けると共に、当該断熱室により熱的に分離される状態(断熱室を挟む状態)で、比較的低温の流体の熱交換を行う第1熱交換室と比較的高温の流体の熱交換を行う第2熱交換室とを形成するから、第1熱交換室と第2熱交換室とを、第1内壁と第2内壁とを設けるという比較的簡易な構成により断熱できる。
そして、当該断熱室を第1熱交換室と第2熱交換室との間に形成することにより、例えば、熱供給装置から供給される高温の加熱熱媒を温水から構成する場合に、当該温水が、第1熱交換室を通流する比較的低温の液化天然ガスの冷熱により凍結する等の問題が発生することを防止できる。
【0010】
本発明の液化天然ガス冷熱利用設備の更なる特徴構成は、
前記天然ガス膨張タービンとして、前記第1天然ガス加熱部で加熱した初期圧天然ガスを膨張させて発電動力を出力する初期圧天然ガス膨張タービンと、当該初期圧天然ガス膨張タービンで膨張した後で前記初期圧天然ガスよりも低圧の高圧天然ガスを膨張させて発電動力を出力する高圧天然ガス膨張タービンと、当該高圧天然ガス膨張タービンで膨張した後で前記高圧天然ガスよりも低圧の中圧天然ガスを膨張させて発電動力を出力する中圧天然ガス膨張タービンとを備え、
前記格納容器の前記第2熱交換室の内部において、前記第1天然ガス加熱部としての前記第伝熱管を前記初期圧天然ガスを通流する状態で備えると共に、当該第伝熱管と、前記高圧天然ガスを加熱する第2天然ガス加熱部として前記高圧天然ガスを内部に通流する第5伝熱管と、前記中圧天然ガスを加熱する第3天然ガス加熱部として前記中圧天然ガスを内部に通流する第6伝熱管と、前記中圧天然ガス膨張タービンで膨張した後で前記中圧天然ガスよりも低圧の低圧天然ガスを加熱する第4天然ガス加熱部として前記低圧天然ガスを内部に通流する第7伝熱管とを、少なくとも前記第伝熱管を通流する前記初期圧天然ガスと前記第5伝熱管を通流する前記高圧天然ガスと前記第6伝熱管を通流する前記中圧天然ガスと前記第7伝熱管を通流する前記低圧天然ガスとの夫々が前記第2熱交換領域を通流する前記加熱熱媒に対して受熱側となる状態で備える点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、初期圧天然ガス膨張タービンと、高圧天然ガス膨張タービンと、中圧天然ガス膨張タービンとを備えると共に、初期圧天然ガス膨張タービンにて膨張される初期圧天然ガスを加熱する第1天然ガス加熱部としての第3伝熱管と、高圧天然ガス膨張タービンにて膨張される高圧天然ガスを加熱する第2天然ガス加熱部としての第5伝熱管と、中圧天然ガス膨張タービンにて膨張される中圧天然ガスを加熱する第3天然ガス加熱部としての第6伝熱管と、低圧天然ガスを加熱する第4天然ガス加熱部としての第7伝熱管とを第2熱交換室内に備えることで、天然ガスを段階的に加熱・膨張させて発電動力を出力することができる。
更に、取り出す天然ガスとしては、一日のうちでピークの使用時間帯が異なる高圧、中圧、低圧の天然ガスの夫々を、時間帯に応じて取り出し割合を変化させる形態で、取り出し可能に構成されているから、需要に追従した圧力の天然ガスを逐次供給する形態で設備の運転状態を制御することにより、設備の稼働率を高めることができる。
【0012】
本発明の液化天然ガス冷熱利用設備の更なる特徴構成は、
第2冷媒蒸気を冷却する冷媒蒸気冷却部と、当該冷媒蒸気冷却部にて冷却された第2冷媒液を冷凍倉庫内の空気と熱交換する庫内冷凍熱交換器と、前記冷媒蒸気冷却部にて冷却された第2冷媒液を前記庫内冷凍熱交換器へ圧送する第2冷媒ポンプとを有する冷凍回路を備え、
前記格納容器の前記第1熱交換室の内部に、前記冷媒蒸気冷却部として前記第2冷媒蒸気及び前記第2冷媒液を内部に通流する第8伝熱管を、少なくとも当該第8伝熱管の内部を通流する前記第2冷媒蒸気及び前記第2冷媒液が前記第1伝熱管を通流する前記液化天然ガスに対して授熱側となる状態で備える点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、液化天然ガスの冷熱エクセルギーを、発電電力を得るためのみならず、冷凍倉庫での冷凍の用にも供することができる。
【0014】
本発明の液化天然ガス冷熱利用設備の更なる特徴構成は、
前記熱供給装置が、天然ガスを燃料として駆動して電気と熱とを発生するコージェネレーション装置であり、当該コージェネレーション装置で発生する熱により前記加熱熱媒が加熱される点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、液化天然ガスを気化する熱源としての加熱熱媒に熱を供給する熱供給装置としてコージェネレーション装置を備え、当該コージェネレーション装置で、発生する熱を効率良く利用する形態で、電力を発生できる。
【0016】
本発明の液化天然ガス冷熱利用設備の更なる特徴構成は、
前記コージェネレーション装置と前記第2熱交換領域との間で前記加熱熱媒を循環させる加熱熱媒回路に前記加熱熱媒を圧送する熱媒ポンプと、
前記第2熱交換領域を通流した後の前記加熱熱媒の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段にて測定される温度が、前記加熱熱媒の凝固点より高い加熱熱媒下限閾値を下回ったときに、前記熱媒ポンプの回転数を増加する制御部とを備える点にある。
【0017】
本発明の如く、液化天然ガス冷熱利用設備で、格納容器の内部の第2熱交換室の第2熱交換領域に通流されるコージェネレーション装置の加熱熱媒は、当該第2熱交換領域に不純物等が堆積することを防止する目的で、比較的凝固点の高い水を用いられることがある。また、第2熱交換領域における第2熱媒の流れ方向の下流側では、第2熱媒が比較的温度の低い(例えば、−30℃程度)の天然ガスと熱交換する場合がある。
このような場合、加熱熱媒(水)は、第2熱交換領域の下流側において、その凝固点を下回り、凝固(凍結)してしまう虞がある。
上記実施形態にあっては、制御部が、温度測定手段により測定される第2熱交換領域を通過した後の加熱熱媒の温度が、加熱熱媒の凝固点より高い加熱熱媒下限閾値を下回ったとき、即ち、加熱熱媒の温度が加熱熱媒の凝固点に近づいたときに、熱媒ポンプの回転数を増加させるから、第2熱交換領域で加熱熱媒が凝固(凍結)する前に、第2熱交換領域への供給熱量を増加させて、加熱熱媒の凝固(凍結)を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】液化天然ガス冷熱利用設備の概略構成図
図2】格納容器の内部構造に係る概略構成図
図3】第1熱交換室内を通流する各流体のTQ線図
図4】第1熱交換室内を通流する流体の授熱側合成曲線と受熱側合成曲線とのTQ線図
図5】第2熱交換室内を通流する各流体のTQ線図
図6】第2熱交換室内を通流する流体の授熱側合成曲線と受熱側合成曲線とのTQ線図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る液化天然ガス冷熱利用設備100は、当該設備にて通流する流体同士が熱交換する部位を、一の格納容器E内に収めて構成の簡略化を図りながらも、熱交換器における温端温度差に伴う熱ひずみを良好に抑制できる構成を採用している点を特徴とする。そこで、以下、当該実施形態に係る液化天然ガス冷熱利用設備100の基本構成を説明した後、格納容器Eに係る詳細構成、及びそれらの構成を採用した場合の各流体のTQ線図に係るシミュレーション結果について説明する。尚、TQ線図は、流体の温度と熱交換量とを示すグラフ図である。
【0020】
当該実施形態に係る液化天然ガス冷熱利用設備100は、図1に示すように、メタンを主成分とする液化天然ガスLNGの冷熱を利用して発電動力を得ると共に冷凍倉庫Fへ冷熱を供給するための設備であって、液化天然ガスLNGが有する冷熱エクセルギーを、天然ガス膨張タービンNGTにて、気化後の高圧の天然ガスNGを直接膨張させて発電動力を得るための動力エネルギーとして回収する天然ガス直膨回路L1を備えると共に、第1冷媒液RG1(L)が液化天然ガスLNGから回収した冷熱エクセルギーを、冷媒蒸気膨張タービンRGTにて気化後の高圧の第1冷媒蒸気RG1(S)を直接膨張させて発電動力を得るための動力エネルギーとして回収するランキンサイクル回路L2を備えている。
更に、第2冷媒蒸気RG2(S)が液化天然ガスLNGから回収した冷熱エクセルギーを冷凍倉庫F内の冷凍エネルギーとして回収する冷凍回路L3とを備えると共に、液化天然ガスLNG、第1冷媒RG1、及び第2冷媒RG2を加熱するための熱を確保すべく、天然ガスNGを燃料として駆動して電気と熱とを発生するコージェネレーション装置CO(熱供給装置の一例)から供給される比較的高温の温水HW(加熱熱媒の一例)を通流する温水回路L4(加熱熱媒回路の一例)とを備えている。
以下、天然ガス直膨回路L1、ランキンサイクル回路L2、及び冷凍回路L3の夫々に係る構成について順に説明を加える。
【0021】
〔天然ガス直膨回路〕
天然ガス直膨回路L1は、図1に示すように、貯留タンクLTから第1液化天然ガスポンプP1により供給される液化天然ガスLNGを加熱して天然ガスNGに気化させる液化天然ガス気化部NGSと、当該液化天然ガス気化部NGSで気化した天然ガスNGを加熱する第1天然ガス加熱部NGH1と、当該第1天然ガス加熱部NGH1にて加熱した天然ガスNGを膨張させて発電動力を出力する天然ガス膨張タービンNGTと、当該天然ガス膨張タービンで膨張した天然ガスNGを取り出し可能な天然ガス取出部NGOとを有する。
説明を追加すると、天然ガス膨張タービンNGTとしては、第1天然ガス加熱部NGH1で加熱し昇圧した初期圧天然ガスNGを膨張させて発電動力を出力する初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)と、当該初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)で膨張した後で初期圧天然ガスNG(I)よりも低圧の高圧天然ガスNG(H)を膨張させて発電動力を出力する高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)と、当該高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)で膨張した後で高圧天然ガスNG(H)よりも低圧の中圧天然ガスNG(M)を膨張させて発電動力を出力する中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)とを備えている。
【0022】
初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)にて膨張した後の高圧天然ガスNG(H)は、膨張により降温・降圧しているため、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)と高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)との間には、当該高圧天然ガスNG(H)を加熱し昇圧する第2天然ガス加熱部NGH2が設けられている。
同様の理由で、高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)と中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)との間には、中圧天然ガスNG(M)を加熱して昇圧する第3天然ガス加熱部NGH3が設けられ、中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)の下流側には、中圧天然ガスNG(M)よりも低圧の低圧天然ガスNG(L)を加熱して昇圧する第4天然ガス加熱部NGH4が設けられている。
【0023】
天然ガス取出部NGOとして、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)で膨張した後の高圧天然ガスNG(H)を取り出し可能な高圧天然ガス取出部NGO(H)と、高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)で膨張した後の中圧天然ガスNG(M)を取り出し可能な中圧天然ガス取出部NGO(M)と、中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)で膨張した後の低圧天然ガス(L)を取り出し可能な低圧天然ガス取出部NGO(L)とを備えている。
本実施形態にあっては、高圧天然ガス取出部NGO(H)は、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(H)の下流側で第2天然ガス加熱部NGH2の上流側の流路に接続され、中圧天然ガス取出部NGO(M)は、高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)の下流側で第3天然ガス加熱部NGH3の上流側の流路に接続され、低圧天然ガス取出部NGO(L)は、低圧天然ガス膨張タービンNGT(L)の下流側で第4天然ガス加熱部NGH4の下流側の流路に接続されている。
これにより、高圧天然ガス取出部NGO(H)から取り出される高圧天然ガスNG(I)は、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(H)にて膨張された後で第2天然ガス加熱部NGH2にて加熱される前のガスとなり、中圧天然ガス取出部NGO(M)から取り出される中圧天然ガスNG(M)は、高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)にて膨張された後で第3天然ガス加熱部NGH3にて加熱される前のガスとなり、低圧天然ガス取出部NGO(L)から取り出される低圧天然ガスNG(L)は、低圧天然ガス膨張タービンNGT(L)にて膨張した後で第4天然ガス加熱部NGH4にて加熱された後のガスとなる。
ここで、天然ガス取出部NGOから取り出す天然ガスNGを、第1天然ガス加熱部NGH1〜第4天然ガス加熱部NGH4の夫々にて、どの程度加熱するかは、必要とされる高圧天然ガスNG(H)、中圧天然ガスNG(M)、低圧天然ガスNG(L)の目標温度・圧力に基づいて決定されており、温水回路L4の加熱熱媒通流部KNTにて温水HWにて供給される熱量及び温度により制御される。
【0024】
ここで、天然ガスNGを送出するガス送出ラインとしては、高圧幹線用送出ライン(設計圧力:約7MPaG)、火力発電燃料供給用送出ライン(設計圧力:約4MPaG)、中圧導管用送出ライン(設計圧力:約1MPaG)がある。
高圧天然ガス取出部NGO(H)は、高圧幹線用送出ラインに接続されることから、高圧天然ガスNG(H)の圧力は約6.8MPaGに設定され、中圧天然ガス取出部NGO(M)は火力発電燃料供給ラインに接続されていることから、中圧天然ガスNG(M)の圧力は約3.8MPaGに設定されており、低圧天然ガス取出部NGO(L)は、中圧導管用送出ラインに接続されていることから、低圧天然ガスNG(L)の圧力は約0.94MpaGに設定される。
【0025】
尚、本実施形態において、貯留タンクLTから送られる液化天然ガスLNGの導入量を約200t/hとし、高圧天然ガス取出部NGO(H)からの送出量を約50t/hとし、中圧天然ガス取出部NGO(M)からの送出量を約100t/hとし、低圧天然ガス取出部NGO(L)からの送出量を約50t/hとしている。
【0026】
中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)にて膨張した低圧天然ガスNG(L)のうち、低圧天然ガス取出部NGO(L)から取り出されなかった残部は、第4天然ガス加熱部NGH4を介さずに天然ガス冷却部NGCに供給され、液化天然ガス気化部NGSの液化天然ガスLNGが有する冷熱により冷却された冷媒蒸気膨張タービンRGTから出た第1冷媒RG1(S)により間接的に冷却凝縮された後、貯留タンクLTから供給される液化天然ガスLNGと混合され、第2液化天然ガスポンプP2に吸引される形態で液化天然ガス気化部NGSへ圧送される。
これにより、天然ガス直膨回路L1では、あたかも液化天然ガスLNGを用いたランキンサイクルのように天然ガスNGの循環量が増加し、天然ガス膨張タービンNGTで出力される発電動力が増加される。
【0027】
〔ランキンサイクル回路〕
ランキンサイクル回路L2は、第1冷媒RG1(例えば、エタン30mol%、プロパン50mol%、イソブタン20mol%)として液化石油ガスLPGを利用したランキンサイクル回路であって、液化天然ガスLNGの冷熱エクセルギーを第1冷媒RG1にて回収し、冷媒蒸気膨張タービンRGTから発電動力として出力するように構成されている。
説明を追加すると、ランキンサイクル回路L2は、第1冷媒液RG1(L)を加熱して第1冷媒蒸気RG1(S)に気化させる冷媒蒸気発生部RGGと、当該冷媒蒸気発生部RGGで気化した第1冷媒蒸気RG1(S)を加熱する冷媒蒸気加熱部RGHと、当該冷媒蒸気加熱部RGHにて加熱し昇圧した第1冷媒蒸気RG1(S)を膨張させて発電動力を出力する冷媒蒸気膨張タービンRGTと、当該冷媒蒸気膨張タービンRGTで膨張した第1冷媒蒸気RG1(S)を冷却して第1冷媒液RG1(L)に復水させる冷媒蒸気復水部RGCと、当該冷媒蒸気復水部RGCで復水した第1冷媒液RG1(L)を冷媒蒸気発生部RGGへ圧送する第1冷媒ポンプP3とを有する。
【0028】
〔冷凍回路〕
冷凍回路L3は、アンモニア等の自然冷媒からなる第2冷媒RG2にて、液化天然ガスLNGの冷熱を回収して、冷凍倉庫Fの冷凍の用に供するように構成されている。
説明を追加すると、冷凍回路L3は、第2冷媒蒸気RG2(S)を冷却して凝縮する冷媒蒸気冷却部RGFと、当該冷媒蒸気冷却部RGFにて冷却された第2冷媒液RG2(L)を冷凍倉庫F内の空気と熱交換する庫内冷凍熱交換器EXと、冷媒蒸気冷却部RGFにて冷却された第2冷媒液RG2(L)を庫内冷凍熱交換器EXへ圧送する第2冷媒ポンプP4とを有する。更に、当該冷凍回路L3には、第2冷媒蒸気RG2の流量を調整可能な流量調整弁Vが設けられており、当該流量調整弁Vの開度を適宜調整することにより、冷凍能力を調整可能に構成されている。
【0029】
当該実施形態に係る液化天然ガス冷熱利用設備100にあっては、液化天然ガスLNGが保有する冷熱エクセルギーを有効に利用すべく、天然ガス直膨回路L1を通流する液化天然ガスLNG(又は、天然ガスNG)と、ランキンサイクル回路L2の第1冷媒RG1と、冷凍回路L3の第2冷媒RG2と、温水回路L4の温水HWとが、互いに熱交換(自身との熱交換を含む)するように構成されており、本発明にあっては、当該熱交換が、図2に示す一の格納容器Eの内部にて実行可能に構成されている。
【0030】
以下、当該格納容器Eに係る詳細構成を、図2に基づいて説明を加える。
格納容器Eは、図2に示すように、鉛直方向(図2で、矢印Yに沿う方向)に筒軸心を沿わせる中空の有底円筒形状を有する。その内部には、その隔壁面を水平方向(図2で、矢印Xに沿う方向)に沿わせた状態で配置される第1隔壁K1、第2隔壁K2(第1内壁に相当)、第3隔壁K3(第2内壁に相当)、及び第4隔壁K4が、鉛直方向の上方側から順に設けられている。
格納容器Eの内部には、格納容器Eの鉛直方向で上段の第1側壁IW1と第1隔壁K1と第2隔壁K2とに外囲される第2熱交換室E2と、格納容器Eの鉛直方向で中段の第3側壁IW3と第2隔壁K2と第3隔壁K3とに外囲される断熱室E3と、格納容器Eの鉛直方向で下段の第2側壁IW2と第3隔壁K3と第4隔壁K4とに外囲される第1熱交換室E1とが、鉛直方向で上方側から順に気密に形成されている。即ち、第1熱交換室E1と第2熱交換室E2とは、格納容器Eの内部において断熱室E3により熱的に分離される状態(互いに断熱される状態)で形成される。尚、断熱室E3の内部の断熱領域R3は、第1熱交換室E1と第2熱交換室E2との間の断熱効果を高める観点からは、略真空状態に保たれることが好ましい。
【0031】
格納容器Eには、格納容器Eの外部と内部とを気密に遮蔽した状態で、外部と内部との間で流体を通流する配管を配設可能な複数の開口部AP1〜AP7が設けられている。
説明を追加すると、格納容器Eの外部と第1熱交換室E1の内部の上部領域との間で流体を通流する配管を配設する第1開口部AP1が第2側壁IW2に設けられ、格納容器Eの外部と第1熱交換室E1の内部の下部領域との間で流体を通流する配管を配設する第2開口部AP2が第2側壁IW2に設けられ、格納容器Eの外部と第2熱交換室E2の内部の上部領域との間で流体を通流する配管を配設する第5開口部AP5が第1側壁IW1に設けられ、格納容器Eの外部と第2熱交換室E2の内部の下部領域との間で流体を通流する配管を配設する第6開口部AP6が第1側壁IW1に設けられ、格納容器Eの外部と断熱室E3との間で流体を通流する配管を配設する第7開口部AP7が第3側壁IW3に設けられている。
更に、格納容器Eの天板Cに第4開口部AP4が設けられると共に、格納容器Eの底板Bに第3開口部AP3が設けられている。
【0032】
〔第1熱交換室の内部構成〕
第1熱交換室E1の内部には、天然ガス直膨回路L1の液化天然ガス気化部NGSとして液化天然ガスLNG及び天然ガスNGを内部に通流する第1伝熱管ET1と、天然ガス直膨回路L1の天然ガス冷却部NGCとして天然ガスNG及び液化天然ガスLNGを内部に通流する第9伝熱管ET9と、ランキンサイクル回路L2の冷媒蒸気発生部RGGとして第1冷媒液RG1(L)及び第1冷媒蒸気RG1(S)を内部に通流する第2伝熱管ET2と、冷凍回路L3の冷媒蒸気冷却部RGFとして第2冷媒液RG2(L)及び第2冷媒蒸気RG2(S)を内部に通流する第8伝熱管ET8とを備えている。
ここで、液化天然ガス気化部NGSとしての第1伝熱管ET1を通流する液化天然ガスLNG及び天然ガスNGは、第2開口部AP2に配設される流入側配管から第1伝熱管ET1へ流入し、第1熱交換室E1の内部を下方から上方へ通流し、第1開口部AP1に配設される流出側配管から流出する。
天然ガス冷却部NGCとしての第9伝熱管ET9を通流する天然ガスNG及び液化天然ガスLNGは、第1開口部AP1に配設される流入側配管から第9伝熱管ET9へ流入し、第1熱交換室E1の内部を上方から下方へ通流し、第2開口部AP2に配設される流出側配管から流出する。
冷媒蒸気発生部RGGとしての第2伝熱管ET2を通流する第1冷媒液RG1(L)及び第1冷媒蒸気RG1(S)は、第2開口部AP2に配設される流入側配管から第2伝熱管ET2へ流入し、第1熱交換室E1を下方から上方へ通流し、第1開口部AP1に配設される流出側配管から流出する。
冷媒蒸気冷却部RGFとしての第8伝熱管ET8を通流する第2冷媒液RG2(L)及び第2冷媒蒸気RG2(S)は、第1開口部AP1に配設される流入側配管から第8伝熱管ET8へ流入し、第1熱交換室E1の内部を上方から下方へ通流し、第1開口部AP1に配設される流出側配管から流出する。尚、当該第2伝熱管ET2の下流側の流出側配管を、第1熱交換室E1の上部の第1開口部AP1に配設すると共に、第2伝熱管ET2が第1熱交換室E1の鉛直方向(図2で矢印Yに沿う方向)で中央より上方側に配設されている。これにより、低温流体が流れる第1伝熱管ET1と第2伝熱管ET2とにより冷却された伝熱管の外側を流れる第1冷媒RG1により、冷凍倉庫Fに必要な温度よりも低い温度にまで冷却されること、更には、当該第2冷媒RG2が凝固(凍結:アンモニアの凝固点約−78℃)することを避けている。
【0033】
更に、第1熱交換室E1の内部には、ランキンサイクル回路L2の冷媒蒸気復水部RGCとして、第1伝熱管ET1と第2伝熱管ET2と第8伝熱管ET8と第9伝熱管ET9の外部の第1熱交換領域R1が形成され、第1冷媒液RG1(L)及び第1冷媒蒸気RG1(S)が通流する。
説明を追加すると、第1熱交換領域R1を通流する第1冷媒液RG1(L)及び第1冷媒蒸気RG1(S)は、第7開口部AP7に配設される流入側配管を介して、第3隔壁K3を貫通する状態で配設される散布管STの複数の散布孔STaから均一に下方へ向けて散布される形態で、第1熱交換領域R1へ流入し、第1熱交換領域R1を上方から下方へ通流し、第4隔壁を介して第3開口部AP3に配設される流出側配管から流出する。
【0034】
以上の如く構成することで、第1熱交換室E1においては、液化天然ガス気化部NGSとしての第1伝熱管ET1を通流する液化天然ガスLNG及び天然ガスNGと、冷媒蒸気発生部RGGとしての第2伝熱管ET2を通流する第1冷媒液RG1(L)及び第1冷媒蒸気RG1(S)とが受熱側の流体として働き、天然ガス冷却部NGCとしての第9伝熱管ET9を通流する液化天然ガスLNG及び天然ガスNGと、冷媒蒸気冷却部RGFとしての第8伝熱管ET8を通流する第2冷媒液RG2(L)及び第2冷媒蒸気RG2(S)と、冷媒蒸気復水部RGCとしての第1熱交換領域R1を通流する第1冷媒液RG1(L)及び第1冷媒蒸気RG1(S)とが授熱側の流体して働く。
また、受熱側の流体と授熱側の流体とは、全体としては、格納容器Eの筒軸心方向に対向流となり、効率良く熱交換が行われる。
【0035】
〔第2熱交換室の内部構成〕
第2熱交換室E2の内部には、天然ガス直膨回路L1の第1天然ガス加熱部NGH1として天然ガスNGを内部に通流する第3伝熱管ET3と、第2天然ガス加熱部NGH2として天然ガスNGを内部に通流する第5伝熱管ET5と、第3天然ガス加熱部NGH3として天然ガスNGを内部に通流する第6伝熱管ET6と、第4天然ガス加熱部NGH4として天然ガスNGを内部に通流する第7伝熱管ET7と、ランキンサイクル回路L2の冷媒蒸気加熱部RGHとして第1冷媒蒸気RG1(S)を内部に通流する第4伝熱管ET4とを備えている。
ここで、第2熱交換室E2の内部において、第3伝熱管ET3、第4伝熱管ET4、第5伝熱管ET5、第6伝熱管ET6、及び第7伝熱管ET7の夫々には、第6開口部AP6に配設される複数の流入側配管が各別に接続されると共に、第5開口部AP5に配設される複数の流出側配管が各別に接続されている。
これにより、第3伝熱管ET3、第4伝熱管ET4、第5伝熱管ET5、第6伝熱管ET6、及び第7伝熱管ET7の内部を通流する流体は、第2熱交換室E2の内部を下方から上方へ通流することとなる。
【0036】
更に、第2熱交換室E2の内部には、温水回路L4の加熱熱媒通流部KNTとして、第3伝熱管ET3と第4伝熱管ET4と第5伝熱管ET5と第6伝熱管ET6と第7伝熱管ET7の外側に第2熱交換領域R2が形成され、加熱熱媒としての温水HWが通流する。
説明を加えると、第2熱交換領域R2を通流する温水HWは、第4開口部AP4に配設される流入側配管を介して、第1隔壁K1に設けられる複数の管通孔K1aから均一に下方へ向けて送り出される形態で、第2熱交換領域R2へ流入し、第2熱交換領域R2を上方から下方へ通流し、第7開口部AP7に配設される流出側配管から第2隔壁K2を介して第2熱交換室E2内の第2熱交換領域R2から流出する。
【0037】
以上の如く構成することで、第2熱交換室E2においては、第3伝熱管ET3、第5伝熱管ET5、第6伝熱管ET6、及び第7伝熱管ET7の夫々を通流する天然ガスNGと、第4伝熱管ET4を通流する第1冷媒蒸気RG1(S)とが受熱側の流体として働き、第2熱交換領域R2を通流する温水HWが授熱側の流体として働く。
これにより、当該第2熱交換室E2においても、第1熱交換室E1と同様に、受熱側の流体と授熱側の流体とは、全体としては、格納容器Eの筒軸心方向に対向流となり、効率良く熱交換が行われる。
【0038】
尚、詳細な図示は省略するが、上記第1熱交換室E1及び第2熱交換室E2内に配設される、第1伝熱管ET1〜第9伝熱管ET9は、コイル状の伝熱管として、第1熱交換領域R1及び第2熱交換領域R2に充填されている。
伝熱管としては、例えば、外径が10mmのものが好適に設けられ、この場合、伝熱管内を通流する流体の流速は、流体が液体の場合は5m/s、流体が気体の場合は15m/sとなる。
更に、第1熱交換室E1及び第2熱交換室E2内に配設される各伝熱管の配置及び長さは、各伝熱管に必要な交換熱量に基づいて、適宜設定される。
説明を追加すると、第1熱交換室E1に配設される第1伝熱管ET1、第2伝熱管ET2、第8伝熱管ET8、及び第9伝熱管ET9は、交換熱量が多いほど多くの伝熱面積を確保する目的で、コイルの巻径を大きくするように配設されている。具体的には、図3に示されるように、最も交換熱量が大きい第1伝熱管ET1が、最も大きい巻径で配設される。
同様に、第2熱交換室E2に配設される第3伝熱管ET3、第4伝熱管ET4、第5伝熱管ET5、第6伝熱管ET6、及び第7伝熱管ET7は、交換熱量が多いほど多くの伝熱面積を確保する目的で、コイルの巻径を大きくするように配設されている。具体的には、図5に示されるように、最も交換熱量が大きい第3伝熱管ET3が、最も大きい巻径で配設される。
また、図2に示すように、冷媒蒸気冷却部RGFとしての第8伝熱管ET8は、自身を通過する第2冷媒RG2が低温になり過ぎることを防止するべく、第1熱交換室E1の上方側に設けられている。
【0039】
更に、当該実施形態に係る液化天然ガス冷熱利用設備100では、特に、第2熱交換室E2の内部にて、温水HWが凍結することを防止すべく、第2熱交換領域R2を通流した後の温水HWの温度を測定する温度センサ(温度測定手段の一例:図示せず)と、当該温度センサの測定結果に基づいて熱媒ポンプP5の回転数を制御する制御装置(制御部の一例:図示せず)とが設けられている。
当該制御装置は、例えば、温度センサにて測定される温水HWの温度が、温水HWの凝固点より高い加熱熱媒下限閾値(例えば、4℃)を下回ったときに、熱媒ポンプP5の回転数を高回転域に切り替え、測定される温度が、加熱熱媒下限閾値よりも所定温度以上高い温度(例えば、7℃)を超えたときに、熱媒ポンプP5の回転数を通常回転領域に切り替える制御を実行することで、第2熱交換領域R2を通流する温水HWの温度を昇温させ、当該第2熱交換領域R2にて温水HWが凍結することを防止する。
【0040】
当該実施形態に係る液化天然ガス冷熱利用設備100のシミュレーションによる性能評価結果を以下に示す。
貯留タンクLTからは、200t/hの液化天然ガスLNGが、第1液化天然ガスポンプP1にて1MPaGに昇圧された状態で供給され、高圧天然ガス取出部NGO(H)からは、6.8MPaGに調整された高圧天然ガスNG(H)が50t/hで送出され、中圧天然ガス取出部NGO(M)からは、3.8MPaGに調整された中圧天然ガスNG(M)が100t/hで送出され、低圧天然ガス取出部NGO(L)からは、0.94MPaGに調整された低圧天然ガスNG(L)が50t/hで送出されることとする。また、温水回路L4の加熱熱媒通流部KNTには、コージェネレーション装置COから、例えば、50℃の温水HWが約895m3/hで通流することとする。尚、冷凍倉庫Fへの供給冷熱量がない場合はこの量は増加する。また、タービン効率は、88%であるとする。
ここで、以下に示す数値は、一例であり、これらの値は、貯留タンクLTからの液化天然ガスLNGの供給流量、温水回路L4の加熱熱媒通流部KNTにて温水HWからの供給熱量を変更することにより、変化するものである。
【0041】
<天然ガス直膨回路に係る性能評価>
第1液化天然ガスポンプP1にて圧送された液化天然ガスLNGは、天然ガス冷却部NGCにて冷却され凝縮された液化天然ガスLNGが混合され、第2液化天然ガスポンプP2で8〜14MPaGに昇圧される(温水回路L4の加熱熱媒通流部KNTへの温水HWの導入温度が、20℃の場合は8MPaGへ、50℃の場合は12MPaGへ、80℃の場合は14MPaGへ昇圧される)。昇圧された液化天然ガスLNGは、約−145℃となり、第1熱交換室E1の内部の液化天然ガス気化部NGSを通流し、第1熱交換室E1の授熱側の流体と熱交換して、約−29℃程度に昇温される(加熱熱媒通流部KNTを通流する温水HWが50℃の場合)。液化天然ガス気化部NGSを通過した液化天然ガスLNGは、第2熱交換室E2の内部の第1天然ガス加熱部NGH1にて、第2熱交換室E2の授熱側の流体である温水HWとの熱交換により、温水HWが50℃の場合、約45℃まで昇温され、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)へ供給される。
初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)へ供給された天然ガスNGは、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)にて膨張し、約11.7MPaGから約6.8MPaGまで減圧され、約9℃まで降温した状態で、高圧天然ガスNG(H)として高圧天然ガス取出部NGO(H)から取り出される。これにより、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(I)では軸出力として3770kWが回収される。
高圧天然ガスNG(H)のうち高圧天然ガス取出部NGO(H)から取り出されなかった残部は、第2熱交換室E2の第2天然ガス加熱部NGH2にて、第2熱交換室E2の授熱側の流体である温水HW(約50℃)との熱交換により45℃程度まで昇温した後、高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)へ供給され、当該高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)で膨張し、約6.7MPaGから約3.8MPaGまで減圧され、約9℃まで降温した状態で、中圧天然ガスNG(M)として中圧天然ガス取出部NGO(M)から取り出される。この場合、高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)では軸出力として、3470kWが回収される。
中圧天然ガスNG(H)のうち中圧天然ガス取出部NGO(M)から取り出されなかった残部は、第2熱交換室E2の第3天然ガス加熱部NGH3にて、第2熱交換室E2の授熱側の流体である温水HW(約50℃)との熱交換により、45℃程度まで昇温した後、中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)へ供給され、当該中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)で膨張し、約3.7MPaGから約1MPaGまで減圧され、約−24℃まで降温する。その後、第2熱交換室E2の第4天然ガス加熱部NGH4にて、第2熱交換室E2の授熱側の流体である温水HW(約50℃)との熱交換により、15℃程度まで昇温し、低圧天然ガスNG(L)として、低圧天然ガス取出部NGO(L)から取り出される。この場合、中圧天然ガス膨張タービンNGT(M)では軸出力として、4100kWが回収される。
低圧天然ガスNG(L)として低圧天然ガス取出部NGO(L)から取り出されなかった残部は、第1熱交換室E1の天然ガス冷却部NGCにて冷却され凝縮し、−140℃程度に降温した後、貯留タンクLTから供給され第1液化天然ガスポンプP1にて圧送された液化天然ガスLNGに混合される。
【0042】
<ランキンサイクル回路に係る性能評価>
冷媒蒸気膨張タービンRGTにて膨張され、−27℃程度の第1冷媒蒸気RG1(S)は、第1熱交換室E1の冷媒蒸気復水部RGCにて、第1熱交換室E1で受熱側の流体との熱交換により、−142℃程度まで過冷却されて凝縮して第1冷媒液RG1(L)となり、第1冷媒ポンプP3にて約2MPaGに昇圧された後、第1熱交換室E1の冷媒蒸気発生部RGGにて、第1熱交換室E1で受熱側の流体との熱交換により、−29℃程度まで昇温し、第2熱交換室E2の冷媒蒸気加熱部RGHにて、第2熱交換室E2の授熱側の流体である50℃程度の温水HWとの熱交換により、1.3MPaGで45℃程度まで昇温した後、冷媒蒸気膨張タービンRGTへ供給され、当該冷媒蒸気膨張タービンRGTで膨張して、減圧される。この場合、冷媒蒸気膨張タービンでは軸出力として、約2810kWが回収される。なお、冷凍倉庫Fへの供給冷熱量がない場合、この軸出力は4680kWに増加する。すなわち、天然ガス膨張タービンNGTと合わせて発電出力として、供給されるLNG流量1tに対して、発電機や減速機の効率を加味して約76kWhを得ることができる。この値は、高圧天然ガス取出部NGO(H)への送出量が増えるほど、低下し、逆に低圧天然ガス取出部NGO(L)への送出量が増えるほど、増加する。
【0043】
<冷凍回路に係る性能評価>
冷凍回路L3では、冷凍倉庫Fの庫内冷凍熱交換器EXを出た第2冷媒液RG2(S)が、第1熱交換室E1の冷媒蒸気冷却部RGFにて冷却され、−50℃程度となり、第2冷媒ポンプP4で昇圧された後、庫内冷凍熱交換器EXにて放熱して蒸発する形態で庫内を冷却する。庫内冷凍熱交換器EXを出た後の第2冷媒蒸気RG2(S)は、約−30℃程度となり、若干温度が上昇して冷媒蒸気冷却部RGFに戻される。
【0044】
図3に、上記シミュレーションに示す条件において、第1熱交換室E1での液化天然ガス気化部NGSとしての第1伝熱管ET1を通流する液化天然ガスLNG、天然ガス冷却部NGCとしての第9伝熱管ET9を通流する天然ガスNG、冷媒蒸気復水部RGCとしての第1熱交換領域R1を通流する第1冷媒蒸気RG1(S)及び第1冷媒液RG1(L)、冷媒蒸気発生部RGGとしての第2伝熱管ET2を通流する第1冷媒蒸気RG1(S)及び第1冷媒液RG1(L)、冷媒蒸気冷却部RGFとしての第8伝熱管RG8を通流する第2冷媒蒸気RG2(S)及び第2冷媒液RG2(L)の、夫々の交換熱量及び温度に係るTQ線図を示し、図4に、当該第1熱交換室E1での授熱側の流体のTQ線図の合成曲線と、受熱側の流体のTQ線図の合成曲線とを示す。このTQ線図からわかるように、授熱側の流体と受熱側の流体の最小温度差は、2℃であり、受熱流体の入口および出口、並びに循環天然ガスNGの凝縮開始点の3箇所でこの最小温度差が生じる。
尚、当該図3、4に示したのは、冷凍回路L3を通流する第2冷媒RG2を20t/hとした場合であり、この場合の冷凍倉庫Fの冷却能力は8120kW(約2100日本冷凍トン)である。
【0045】
図5に、上記シミュレーションに示す条件において、第2熱交換室E2での第1天然ガス加熱部NGH1としての第3伝熱管ET3を通流する天然ガスNG、第2天然ガス加熱部NGH2としての第5伝熱管ET5を通流する天然ガスNG、第3天然ガス加熱部NGH3としての第6伝熱管ET6を通流する天然ガスNG、第4天然ガス加熱部NGH4としての第7伝熱管ET7を通流する天然ガスNG、冷媒蒸気加熱部RGHとしての第4伝熱管ET4を通流する第1冷媒RG1(S)の、夫々の交換熱量及び温度に係るTQ線図を示し、図5に、当該第2熱交換室E2での授熱側の流体のTQ線図の合成曲線と、受熱側の流体のTQ線図の合成線図を示す。
この合成線図からわかるように授熱側の流体と受熱側の流体の最小温度差は、5℃である。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、液化天然ガスの冷熱の利用先として発電及び冷凍倉庫を備える例を挙げたが、5℃冷水を地域冷暖房としての空調設備に用いても構わない。
【0047】
(2)上記実施形態では、理解を容易にすべく、天然ガス及び冷媒の状態が、各流路で液体又は気体の何れの状態にあるかを例示した。しかしながら、天然ガス及び冷媒が各流路において液体であるか気体であるかは、コージェネレーション装置COから供給される温水HWの温度や貯留タンクLTから供給される液化天然ガスLNGの流量等によって異なる。また、各流路において、天然ガス及び冷媒は、液体と気体との混合流体である場合もある。
【0048】
(3)上記実施形態において、格納容器Eは、中空の有底円筒形状であるとしたが、別に、有底円筒形状以外の形状を採用しても構わない。
【0049】
(4)上記実施形態においては、高圧天然ガス取出部NGO(H)は、初期圧天然ガス膨張タービンNGT(H)の下流側で第2天然ガス加熱部NGH2の上流側の流路に接続され、中圧天然ガス取出部NGO(M)は、高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)の下流側で第3天然ガス加熱部NGH3の上流側の流路に接続され、低圧天然ガス取出部NGO(L)は、低圧天然ガス膨張タービンNGT(L)の下流側で第4天然ガス加熱部NGH4の上流側の流路に接続されている例を示したが、別に、他の位置に接続されていても構わない。
例えば、高圧天然ガス取出部NGO(H)は、第2天然ガス加熱部NGH2の下流側で高圧天然ガス膨張タービンNGT(H)の上流側の流路に接続され、中圧天然ガス取出部NGO(M)は、第3天然ガス加熱部NGH3の下流側で低圧天然ガス膨張タービンNGT(L)の上流側の流路に接続され、低圧天然ガス取出部NGO(L)は、低圧天然ガス膨張タービンNGT(L)の下流側で第4天然ガス加熱部NGH4の上流側の流路に接続されるように構成しても構わない。
【0050】
(5)上記実施形態では、熱供給装置としてのコージェネレーション装置COで発生する熱により加熱熱媒としての温水HWが加熱される例を示した。しかしながら、熱供給装置として、海水を圧送する海水圧送ポンプを備える共に、当該海水を加熱熱媒として加熱熱媒通流部KNTへ通流する構成を採用しても構わない。また近隣に設置された火力発電所の蒸気タービン出口蒸気の復水用冷却水や加湿空気タービンシステムの投入水を回収するための冷却水を用いても構わない。
【0051】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の液化天然ガス冷熱利用設備は、従来に比べ構成の簡素化を図り、経済性を改善しながらも、温端温度差の増加に伴う熱ひずみが生じ難く、発電出力の設定自由度を上げ得る装置として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
100 :液化天然ガス冷熱利用設備
CO :コージェネレーション装置
E :格納容器
E1 :第1熱交換室
E2 :第2熱交換室
E3 :断熱室
ET1 :第1伝熱管
ET2 :第2伝熱管
ET3 :第3伝熱管
ET4 :第4伝熱管
ET5 :第5伝熱管
ET6 :第6伝熱管
ET7 :第7伝熱管
EX :庫内冷凍熱交換器
F :冷凍倉庫
HW :温水
K2 :第2隔壁
K3 :第3隔壁
KNT :加熱熱媒通流部
L1 :天然ガス直膨回路
L2 :ランキンサイクル回路
L3 :冷凍回路
L4 :温水回路
LNG :液化天然ガス
LT :貯留タンク
NGC :天然ガス冷却部
NGH :天然ガス加熱部
NGH1 :第1天然ガス加熱部
NGH2 :第2天然ガス加熱部
NGH3 :第3天然ガス加熱部
NGH4 :第4天然ガス加熱部
NGT(M):中圧天然ガス膨張タービン
NGT(H):高圧天然ガス膨張タービン
NGT(I):初期圧天然ガス膨張タービン
P1 :第1液化天然ガスポンプ
P3 :第1冷媒ポンプ
P5 :熱媒ポンプ
R1 :第1熱交換領域
R2 :第2熱交換領域
RG :第2冷媒液
RG1 :第1冷媒
RG2 :第2冷媒
RGC :冷媒蒸気復水部
RGF :冷媒蒸気冷却部
RGG :冷媒蒸気発生部
RGH :冷媒蒸気加熱部
RGT :冷媒蒸気膨張タービン
図1
図2
図3
図4
図5
図6