【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0046】
<試験例1> 1次成形工程の条件(凹凸面11の形状)
〔1次成形〕
ポリフェニレンサルファイド樹脂(製品名:ジュラファイド 0220A9、ビカット軟化点:250℃、ポリプラスチックス社製)を下記の条件で射出成形し、縦13mm、横65mm、厚さ6.5mmの板状の第1樹脂成形体10を得た。
【0047】
第1樹脂成形体10の厚さ方向と縦方向とによって形成される一側面(縦6.5mm、横13mm)には、凹凸が形成されている。この凹凸からなる凹凸面11における凸部13の形状は、表1に記載のとおりであり、凹部はいずれも幅0.2mmである。
(1次成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:320℃
金型温度:150℃
射出速度:20mm/sec
保圧:50MPa
【0048】
〔2次成形〕
第1樹脂成形体10の凹凸面11を接触面として、縦13m、横130mm、厚さ6.5mmのキャビティを有する射出成形用金型にインサートし、1次成形の際に使用した樹脂と同じ樹脂を、1次成形と同じ条件で射出成形し、樹脂複合成形体1を得た。
【0049】
〔評価〕
試験例1−1〜1−5に係る樹脂複合成形体1のそれぞれについて、接合強度を測定した。接合強度の測定は、樹脂複合成形体1を引張り剥がし、破壊荷重を測定することによって行った。測定機器として、テンシロンUTA−50kN(オリエンテック社製)を使用し、クロスヘッド速度は、10mm/分とした。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
試験例1より、係数a(6L/bd
2)の値が5以上600以下の範囲内にあると、第1樹脂成形体10の凹凸面11を接触面として第2樹脂成形体20と一体化して樹脂複合成形体1を得た際に、第1樹脂成形体10及び第2樹脂成形体20の破壊を有意に防ぐことが可能であることが確認された。
【0052】
<試験例2> 2次成形工程の条件(第2樹脂組成物の射出温度)及び樹脂材料の比較
【表2】
【0053】
表2において、第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物の材質は、次のとおりである。
POM:ポリアセタール樹脂(製品名:ジュラコンM90−44、ビカット軟化点:148℃、ポリプラスチックス社製)
ガラス繊維入りPOM:ガラス繊維入りポリアセタール樹脂(製品名:ジュラコンGH−25、ビカット軟化点:154℃、ポリプラスチックス社製)
PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂(製品名:ジュラネックス2200、ビカット軟化点:190℃、ポリプラスチックス社製)
ガラス繊維入りPBT:ガラス繊維入りポリブチレンテレフタレート樹脂(製品名:ジュラネックス3300、ビカット軟化点:214℃、ポリプラスチックス社製)
PPS:ポリフェニレンサルファイド樹脂(製品名:ジュラファイドPPS 0220A9、ビカット軟化点:250℃、ポリプラスチックス社製)
ガラス繊維入りPPS:ガラス繊維入りポリフェニレンサルファイド樹脂(製品名:ジュラファイドPPS 1140A1、ビカット軟化点:266℃、ポリプラスチックス社製)
ガラス繊維入りPEEK:ガラス繊維入りポリエーテルエーテルケトン樹脂(製品名:VESTAKEEP 2000GF30、ダイセル・エボニック社製)
【0054】
〔本実施形態に記載の発明〕
まず、本実施形態に記載の手法によって、樹脂複合成形体1を得た。
[1次成形]
表2に記載の第1樹脂組成物を、下記の条件で射出成形し、試験例1−2と同じ形状(係数a(6L/bd
2)=38)の第1樹脂成形体10を得た。
(POM、ガラス繊維入りPOMにおける射出成形の条件)
予備乾燥:80℃、3時間
シリンダ温度:200℃
金型温度:80℃
射出速度:16mm/sec
保圧:50MPa
(PBT、ガラス繊維入りPBTにおける射出成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:260℃
金型温度:60℃
射出速度:20mm/sec
保圧:50MPa
(PPS、ガラス繊維入りPPSにおける射出成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:320℃
金型温度:150℃
射出速度:20mm/sec
保圧:50MPa
【0055】
[2次成形]
第1樹脂成形体10の凹凸面11を接触面として、試験例1と同じ射出成形用金型にインサートし、表2に記載の第2の樹脂組成物を射出成形し、樹脂複合成形体1を得た。第2樹脂組成物の温度(シリンダ温度)と第1樹脂成形体10のビカット軟化点との差は、表2に示した通り、−66℃から252℃の範囲内で複数設定した。射出成形の条件は、1次成形の条件と同様、第2樹脂組成物を構成する樹脂の種類によって異なるものとした。
なお、ガラス繊維入りPEEKにおける射出成形の条件は下記の通りである。
(ガラス繊維入りPEEKにおける射出成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:400℃
金型温度:180℃
射出速度:20mm/sec
保圧:80MPa
【0056】
〔評価〕
試験例2に係る樹脂複合成形体1のそれぞれについて、試験例1と同じ手法によって接合強度を測定した。結果を表2及び
図5に示す。
【0057】
図5に示す試験例2の結果より、第2樹脂組成物を射出する際における第2樹脂組成物の温度と第1樹脂成形体10のビカット軟化点との差(ΔT)が15℃以上300℃以下であると、第1樹脂成形体10の凹凸面11を接触面として第2樹脂成形体20と一体化して樹脂複合成形体1を得た際に、10MPa以上の接合強度が得られ、第1樹脂成形体10及び第2樹脂成形体20の破壊を有意に防ぐことが可能であるといえる。
【0058】
試験例2の結果より、上記ΔTが30℃以上110℃以下であると、20MPa以上の接合強度が得られる。上記ΔTが40℃以上90℃以下であると、30MPa以上の接合強度が得られる。上記ΔTが45℃以上80℃以下であると、40MPa以上の接合強度が得られる。上記ΔTが50℃以上70℃以下であると、50MPa以上の接合強度が得られる。
【0059】
上記ΔTが15℃未満であると、樹脂複合成形体1を得ても、十分な接合強度を得ることができない。これは、第2樹脂組成物の射出によって第1樹脂成形体10の凹凸面11を十分に熱変形させることができず、結果、第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20とを好適に接合できなかったためであると予想される。
【0060】
他方、ΔTが300℃を超えると、十分な接合強度を得ることが難しい。これは、第1樹脂成形体10の凹凸面11が溶解してしまい、凹凸面11の凸部13が消失する傾向にあるためであると予想される。
【0061】
(試験例2−1〜2−9)第1樹脂組成物=ガラス繊維不含
試験例2−1〜2−9は、いずれも第1樹脂成形体10がガラス繊維を含有していない。そして、試験例2−1〜2−9の樹脂複合成形体1は、いずれも10MPa以上の接合強度を有する。
【0062】
試験例2−1〜2−9から、本実施形態に記載の発明により、樹脂成形体における無機充填剤の有無、樹脂成形体の色に制約を伴うことなく、他の成形体と接合したときの強度をよりいっそう高めることの可能な樹脂複合成形体を提供できることが裏付けられる。
【0063】
中でも、試験例2−1、2−2、2−5、2−8及び2−9では、第1樹脂組成物を構成する樹脂と、第2樹脂組成物を構成する樹脂とが同じである。そして、試験例2−1、2−2、2−5、2−8及び2−9の樹脂複合成形体1は、いずれも20MPa以上の接合強度を有する。
【0064】
試験例2−1、2−2、2−5、2−8及び2−9から、本実施形態に記載の発明では、第1樹脂組成物を構成する樹脂と、第2樹脂組成物を構成する樹脂とが、同じであることが好ましいことが裏づけられる。
【0065】
(試験例2−10〜2−13)第1樹脂組成物を構成する樹脂=第2樹脂組成物を構成する樹脂
試験例2−10〜2−13では、第1樹脂成形体10がガラス繊維を含有する。そして、第1樹脂組成物を構成する樹脂と、第2樹脂組成物を構成する樹脂とが同じである。試験例2−10〜2−13の樹脂複合成形体1は、いずれも20MPa以上の接合強度を有する。
【0066】
試験例2−10〜2−13からも、本実施形態に記載の発明では、第1樹脂組成物を構成する樹脂と、第2樹脂組成物を構成する樹脂とが、同じであることが好ましいことが裏づけられる。
【0067】
(試験例2−14〜2−16)2次成形のシリンダ温度と第1樹脂組成物のビカット軟化点の差(ΔT)≧15℃
試験例2−14〜2−16では、第1樹脂成形体10がガラス繊維を含有する。そして、第1樹脂組成物を構成する樹脂と、第2樹脂組成物を構成する樹脂とが異なり、第2樹脂組成物の射出工程の温度は、第1樹脂組成物のビカット軟化点よりも15℃以上高い。
【0068】
試験例2−14〜2−16の樹脂複合成形体1は、いずれも10MPa以上の接合強度を有する。
【0069】
(試験例2−17〜2−25)2次成形のシリンダ温度と第1樹脂組成物のビカット軟化点の差(ΔT)<15℃
試験例2−17〜2−25では、第1樹脂成形体10がガラス繊維を含有する。そして、第1樹脂組成物を構成する樹脂と、第2樹脂組成物を構成する樹脂とが異なり、第2樹脂組成物の射出工程の温度と、第1樹脂組成物のビカット軟化点との差は15℃よりも低い。
【0070】
この場合、第1樹脂成形体10の凹凸面11に対して未硬化の第2樹脂組成物を射出しても、第1樹脂成形体10の凹凸面11が熱変形せず、第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20とを好適に接合できない。よって、第2樹脂組成物の射出工程の温度は、第1樹脂組成物のビカット軟化点よりも15℃以上高いことを要する。
【0071】
(試験例2−26)
第1樹脂組成物を、ガラス繊維を入れていないPOM、第2樹脂組成物をガラス繊維入りPEEKとした例である。ΔT=252、接合強度は10.2MPaであった。
【0072】
<試験例3> 特許文献1に記載の発明
【表3】
【0073】
表3において、第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物の材質は、次のとおりである。
POM:ポリアセタール樹脂(製品名:ジュラコンM90−44、ビカット軟化点:148℃、ポリプラスチックス社製)
ガラス繊維入りPOM:ガラス繊維入りポリアセタール樹脂(製品名:ジュラコンGH−25、ビカット軟化点:154℃、ポリプラスチックス社製)
ガラス繊維入りPBT:ガラス繊維入りポリブチレンテレフタレート樹脂(製品名:ジュラネックス3300、ビカット軟化点:214℃、ポリプラスチックス社製)
ガラス繊維入りPPS:ガラス繊維入りポリフェニレンサルファイド樹脂(製品名:ジュラファイドPPS 1140A1、ビカット軟化点:266℃、ポリプラスチックス社製)
【0074】
〔特許文献1に記載の発明〕
試験例2との対照として、特許文献1に記載の手法によって、樹脂複合成形体1を得た。
[溝付き樹脂成形品の製造]
表3に記載の第1樹脂組成物を、下記の条件で射出成形し、縦13mm、横65mm、厚さ6.5mmの板状の射出成形体を得た後、当該射出成形体の厚さ方向と縦方向とによって形成される一側面(縦6.5mm、横13mm)に、レーザを溝の幅が100μm、隣り合う溝の間隔が300μmになるように、斜格子状に30回照射した。発振波長:1.064μm、最大定格出力:13W(平均)を用い、出力90%、周波数50kHz、走査速度1000mm/sとした。これにより、溝付き樹脂成形体を得た。
(POM、ガラス繊維入りPOMにおける射出成形の条件)
予備乾燥:80℃、3時間
シリンダ温度:200℃
金型温度:80℃
射出速度:16mm/sec
保圧:50MPa
(ガラス繊維入りPBTにおける射出成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:260℃
金型温度:60℃
射出速度:20mm/sec
保圧:50MPa
(ガラス繊維入りPPSにおける射出成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:320℃
金型温度:150℃
射出速度:20mm/sec
保圧:50MPa
【0075】
[樹脂複合成形体の製造]
溝付き樹脂成形体のそれぞれについて、レーザの照射によって形成された溝を有する面を接触面として射出成形用金型にインサートし、表3に示す第2樹脂組成物を、〔特許文献1に記載の発明〕の[溝付き樹脂成形品の製造]に記載の条件と同じ条件で射出成形し、樹脂複合成形体を得た。
【0076】
〔評価〕
試験例3に係る樹脂複合成形体1のそれぞれについて、試験例1と同じ手法によって接合強度を測定した。結果を
図6に示す。なお、
図6では、試験例3に係る各試験例について、表2に示す試験例2の各試験例と、材料の組み合わせが同一のもの(例.試験例2−1と試験例3−1)を対比するよう並べて示す。
【0077】
[試験例3−1〜3−4]第1樹脂組成物=ガラス繊維不含
試験例3−1〜3−4では、溝付き樹脂成形品がガラス繊維を含有していないため、特許文献1に記載の手法によって樹脂複合成形体を得ることは、できない。一方、試験例2−1〜2−4に示した通り、本実施形態に記載の手法であれば、第1樹脂成形体が無機充填剤を含有していなくとも、10MPa以上の接合強度を有する樹脂複合成形体1を得ることができる。
【0078】
[試験例3−5〜3−8]第1樹脂組成物を構成する樹脂=第2樹脂組成物を構成する樹脂
試験例3−5〜3−8と試験例2−10〜2−13の対比によると、本実施形態に記載の手法によって得られる樹脂複合成形体の接合強度は、特許文献1に記載の手法によって得られる樹脂複合成形体の接合強度と同等以上である。
【0079】
なお、特許文献1に記載の手法を用いる場合、溝付き樹脂成形品の樹脂成分をレーザの照射によって除去して溝を形成するには、樹脂部が効率よくレーザを吸収するように、カーボンブラック等の着色剤で樹脂組成物を着色する必要があるのに対し、本実施形態に記載の発明では、金型に設けられた凹凸の転写により、第1樹脂成形体10を射出成形した時点で凹凸面11が形成されることから、第1樹脂組成物の色目は特に制約を受けることなく自由に設定できるため、外観部品等においても適用可能な点で有利である。
【0080】
[試験例3−9〜3−12]樹脂複合体成形時のシリンダ温度と第1樹脂組成物のビカット軟化点の差(ΔT)<15℃
試験例3−9〜3−12では、第1樹脂成形体10がガラス繊維を含有する。そして、第1樹脂組成物を構成する樹脂と、第2樹脂組成物を構成する樹脂とが異なり、第2樹脂組成物を射出成形する際のシリンダ温度と、第1樹脂組成物のビカット軟化点との差は15℃よりも低い。
【0081】
この場合、試験例2−19、2−20、2−24及び2−25に示す、本実施形態に記載の手法では十分な接合強度が得られていなかったのに対し、試験例3−9〜3−12に示す、特許文献1に記載の手法では、高い接合強度が得られていたことから、本実施形態に記載の手法と、特許文献1に記載の手法とでは、その接合のメカニズムが全く異なるものであるということができる。
【0082】
<試験例4> 凹凸面11の形状及び樹脂材料の比較
試験例1−2の形状(係数a(6L/bd
2)=38)に加え、表4に示す各形状について、表5に示す樹脂材料の組み合わせで、試験例1と同じ射出成形用金型及び試験例2と同じ成形条件にて、樹脂複合成形体1を成形し、試験例1と同じ手法にて接合強度を測定した。結果を表5に示す。
【表4】
【0083】
ここで、表4における形状1は、試験例1−2と同じ形状である。
【表5】
【0084】
試験例4−1から試験例4−4及び試験例4−7に示される通り、係数a(6L/bd
2)の値が5以上600以下であり、第2樹脂組成物の射出工程の温度と、第1樹脂組成物のビカット軟化点との差(ΔT)の値が15℃以上300℃以下の範囲内にあると、10MPa以上の高い接合強度が得られることが確認された。また、試験例4−5及びX−6に示される通り、第2樹脂組成物の射出工程の温度と、第1樹脂組成物のビカット軟化点との差が15℃よりも低い場合、いずれの係数aにおいても10MPaに満たない接合強度しか得られないことが確認された。なお、試験例4−7のa=750の「製造不可」は、形状6の凸部13が非常に細長い形状となることから、金型製造が困難であったため、試験が不可能であったことを意味する。
【0085】
<試験例5> 係数aの評価法の検討
係数a、すなわち、6L/bd
2は、金型の寸法である。他方、樹脂複合成形体では接合界面で溶着が生じているため、樹脂複合成形体1における第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との接合界面の形状は、金型の寸法と完全に同一とはいえない。
【0086】
しかしながら、特許発明の技術的範囲の属否を検討するにあたり、金型の寸法から特許発明の技術的範囲の属否を立証するのは難しいため、樹脂複合成形体1の形状から、特許発明の技術的範囲の属否を立証する手法を確立することを要する。
【0087】
樹脂複合成形体1から係数aを評価する手法として、(1)X線CTによる評価、(2)第1樹脂成形体10を溶解せず、第2樹脂成形体20を溶解する溶媒を用いて第2樹脂成形体20を溶融させ、残りの第1樹脂成形体10について係数aを評価する手法、(3)第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を観察できるように樹脂複合成形体1を切削し、切削後の断面から第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を観察する手法等が挙げられる。中でも、係数aを簡便かつ低コストで評価できることから、上記(3)第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を観察できるように樹脂複合成形体1を切削し、切削後の断面から第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を観察する手法によって係数aを評価できることが好ましい。
【0088】
そこで、係数aの評価法として、上記(3)の手法を採用できるかを検討した。
【0089】
〔検討〕
試験例1−3に係る樹脂複合成形体1の上方から下方に向け、第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を観察できるように切断した。そして、切削後の断面から第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を拡大観察した。結果を
図7に示す。
【0090】
図7に示すとおり、樹脂複合成形体1の断面の形状は、金型の形状とは多少異なっている。これは、樹脂複合成形体1では接合界面で溶着が生じているため、と予想される。
【0091】
しかしながら、
図7に示す通り、接合前後において、接合界面の寸法が大きく異なるものではなく、上記(3)の手法によっても、係数aを正しく評価できる。
【0092】
そこで、本実施形態では、係数aを評価する手法として、上記(3)第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を観察できるように樹脂複合成形体1を切削し、切削後の断面から第1樹脂成形体10と第2樹脂成形体20との境界を観察する手法を採用するものとする。
【0093】
<試験例6> 成形条件による影響の検討
一般的に、インサート成形により樹脂成形体を接合する場合、2次成形時のシリンダ温度、金型温度、射出速度、保圧といった成形条件を高めに設定したり、1次成形体(第1樹脂成形体10)を予備加熱しておく等、成形条件によって接合強度を向上させる試みもなされている。そこで、本実施形態においても、凹凸面11の形状(係数a)及び樹脂材料の組み合わせ(ΔT)を揃えた状態で、成形条件を変更し、成形条件が接合強度に与える影響について検討した。
【0094】
[1次成形]
ポリフェニレンサルファイド樹脂(製品名:ジュラファイド 1140A1、ビカット軟化点:266℃、ポリプラスチックス社製)を下記の条件で射出成形し、試験例4の形状2と同じ、係数a(6L/bd
2)=75の第1樹脂成形体10を得た。
(1次成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:320℃
金型温度:150℃
射出速度:20mm/sec
保圧:50MPa
【0095】
[2次成形]
第1樹脂成形体10の凹凸面11を接触面として、試験例1と同じ射出成形用金型にインサートし、ポリアセタール樹脂(製品名:ジュラコン M90−44、ビカット軟化点:148℃、ポリプラスチックス社製)を表6の成形条件で射出成形し、樹脂複合成形体1を得た。ここで、試験例6−1の成形条件は、試験例2におけるガラス繊維入りPOMの成形条件と同じであり、それを基準に、成形条件の各項目を変更したものである。なお、表中の「予備加熱」は、第1樹脂成形体10を150℃のホットプレート上に静置し、接触面の表面温度が150℃に上がるまで十分待ってから、射出成形用金型にインサートしたことを意味する。
【0096】
〔評価〕
試験例6に係る樹脂複合成形体1のそれぞれについて、試験例1と同じ手法によって接合強度を測定した。結果を表6に示す。
【表6】
【0097】
表6に示す試験例6の結果より、成形条件を種々変更した場合において、接合強度の変化は大きくとも0.8MPa程度であった。ここで、試験例2−24と同じ樹脂材料の組み合わせ(第1樹脂組成物にガラス繊維入りPPS、第2樹脂組成物にPOM)及び同じ成形条件により得られたものである試験例6−1が、試験例2−24に対し接合強度が1MPa以上向上していることが確認された。すなわち、成形条件による接合強度の向上よりも、本実施形態の、凹凸面11の形状(係数a)による接合強度の向上の方が、より高い効果を得ることができる。