特許第6367041号(P6367041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミツトヨの特許一覧

<>
  • 特許6367041-外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法 図000002
  • 特許6367041-外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法 図000003
  • 特許6367041-外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法 図000004
  • 特許6367041-外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法 図000005
  • 特許6367041-外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法 図000006
  • 特許6367041-外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367041
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20180723BHJP
   G01B 11/08 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G01B11/02 Z
   G01B11/08 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-159681(P2014-159681)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-38213(P2016-38213A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】三木 豊
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−163346(JP,A)
【文献】 特開2003−329422(JP,A)
【文献】 実開昭54−070557(JP,U)
【文献】 特開2007−285839(JP,A)
【文献】 特開2012−073133(JP,A)
【文献】 特開2014−055920(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0092295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源から出射された光を光軸上に集束する光学系と、
前記光学系により集束した光を反射する反射部と、
前記光学系を通過した光の前記光軸上での集束位置に応じた反射光の強度を検出する検出部と、
測定対象物の前記光学系側の表面である第1面で反射した光について前記検出部で反射光強度のピークを検出した前記光軸上での第1集束位置と、前記反射部で反射して前記測定対象物の前記反射部側の表面である第2面に照射され、前記第2面で反射した光について前記検出部で反射光強度のピークを検出した前記光軸上での第2集束位置と、前記反射部の前記光軸上での位置と、を用いて前記測定対象物の外形寸法を演算する演算部と、
を備えたことを特徴とする外形寸法測定装置。
【請求項2】
前記反射部は、前記光軸と前記反射部との交差位置を中心とした中央領域と、前記中央領域の回りに設けられた周辺領域と、を有し、
前記中央領域の前記光の反射率は、前記周辺領域の前記光の反射率よりも低いことを特徴とする請求項1記載の外形寸法測定装置。
【請求項3】
前記光学系は、前記光軸上において軸上色収差を有し、
前記検出部は、前記光学系の共焦点位置に配置されたピンホールを通過した反射光を波長ごとに分光する分光器と、前記分光器で分光された反射光の強度を検出する受光部と、を有し、
前記演算部は、前記受光部で検出した反射光の波長に対応した前記光軸上での集束位置を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の外形寸法測定装置。
【請求項4】
前記光源から出射される光は、広帯域光であることを特徴とする請求項3記載の外形寸法測定装置。
【請求項5】
前記光源は、白色光源であることを特徴とする請求項3または4に記載の外形寸法測定装置。
【請求項6】
前記第1集束位置をP1、前記第2集束位置をP2、前記反射部の反射表面の前記光軸上での位置をP3、前記測定対象物の外形寸法をDとした場合、前記演算部は、
D=P1−P2−2(P3−P2)
によって前記測定対象物の外形寸法Dを演算することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の外形寸法測定装置。
【請求項7】
光ファイバの端面のコア部分を前記ピンホールとみなし、前記光ファイバを介して前記反射光を伝達することを特徴とする請求項3記載の外形寸法測定装置。
【請求項8】
光源から出射した光を光学系で光軸上に集束し、測定対象物に直接照射するとともに反射部で反射して照射する工程と、
前記測定対象物の前記光学系側の表面である第1面で反射した光について反射光強度のピークとなる前記光軸上での第1集束位置を検出する工程と、
前記反射部で反射して前記測定対象物の前記反射部側の表面である第2面に照射され、前記第2面で反射した光について反射光強度のピークとなる前記光軸上での第2集束位置を検出する工程と、
前記第1集束位置と、前記第2集束位置と、前記反射部の前記光軸上での位置と、を用いて前記測定対象物の外形寸法を演算する工程と、
を備えたことを特徴とする外形寸法測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法に関し、特に細い線材の外形寸法を測定するのに適した外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触で線材等の測定対象物の外形寸法を測定する装置として、レーザスキャン式マイクロメータ、イメージセンサ式マイクロメータ、光切断式2次元形状測定センサなどが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、レーザスキャン式マイクロメータが開示される。このレーザスキャン式マイクロメータは、レーザビームを出力する発光部と、測定領域にてレーザビームを走査する走査部と、測定領域を通過したレーザビームを受光する受光部と、受光信号から測定対象物の寸法を算出するプログラムとを備える。ここでは、走査レーザビームが測定対象物によって遮光されている状態を受光部で検出し、その遮光時間を計測し、時間に速度を乗じて、測定対象物の寸法を算出している。
【0004】
また、特許文献2には、イメージセンサ式マイクロメータが開示される。このイメージセンサ式マイクロメータは、スリット状の平行光を出射する投光器と、寸法測定エリアを通過したスリット状の平行光を受光する受光素子と、受光素子に入射される光のうち測定対象物により遮光される遮光領域を検出する遮光領域検出手段と、遮光領域に基づき測定対象物の寸法を算出する寸法算出手段とを備える。ここでは、測定対象物によってできる影の大きさを受光素子(CCD等のイメージセンサ)で検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−106817号公報
【特許文献2】特許第5507895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法では、例えば、外径10μm未満といった細い線材を測定対象物として外形寸法を測定することは困難である。すなわち、レーザスキャン式マイクロメータでは、スキャンレーザビーム径よりも線材径の方が細くなり、レーザビームは測定対象物によって一部しか遮光されないため、遮光されている状態の検出が困難になる。また、イメージセンサ式マイクロメータでは、測定対象物からの光の回折(回り込み)による影のコントラスト低下、イメージセンサの画素サイズで決まる分解能の制限などにより、遮光領域の検出が困難になる。
【0007】
本発明の目的は、細い線材などの測定対象物の外形寸法を高い精度で測定することができる外形寸法測定装置及び外形寸法測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の外形寸法測定装置は、光を出射する光源と、光源から出射された光を光軸上に集束する光学系と、光学系により集束した光を反射する反射部と、光学系を通過した光の光軸上での集束位置に応じた反射光の強度を検出する検出部と、測定対象物の光学系側の表面である第1面で反射した光について検出部で反射光強度のピークを検出した光軸上での第1集束位置と、反射部で反射して測定対象物の反射部側の表面である第2面に照射され、この第2面で反射した光について検出部で反射光強度のピークを検出した光軸上での第2集束位置と、反射部の光軸上での位置と、を用いて測定対象物の外形寸法を算出する演算部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、測定対象物の光学系側の表面である第1面で反射した光と、測定対象物の反射部側の表面である第2面で反射した光とに基づき、第1面及び第2面のそれぞれ位置を検出するため、例えば非常に細い外径を有する測定対象物であっても、その外径の細さによる影響を受けにくい。これにより、演算部は、第1集束位置、第2集束位置及び反射部の位置に基づき測定対象物の外形寸法を高精度に演算することができる。また、第1面で反射した光と、第2面で反射した光とを検出部で検出するため、第1集束位置と第2集束位置とを一度の測定で同時に求めることができる。
【0010】
本発明の外形寸法測定装置において、反射部は、光軸と反射部との交差位置を中心とした中央領域と、中央領域の回りに設けられた周辺領域と、を有し、中央領域の光の反射率が、周辺領域の光の反射率よりも低くなっていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、光軸と反射部との交差位置に設けられた中央領域で焦点を結ぶ光の反射光の強度を低くすることができ、第1面で反射した光と、第2面で反射光とを的確に抽出することができる。
【0012】
本発明の外形寸法測定装置において、光学系は、光軸上において軸上色収差を有し、検出部は、光学系の共焦点位置に配置されたピンホールを通過した反射光を波長ごとに分光する分光器と、分光器で分光された反射光の強度を検出する受光部と、を有し、演算部は、検出部で検出した反射光強度のピークに対応した光軸上での集束位置を演算してもよい。このような構成によれば、光学系の軸上色収差を利用して、ピンホールを通過する光の波長における集束位置に基づき、第1集束位置及び第2集束位置を求めることができる。また、第1面で反射した光と、第2面で反射した光とについて、分光器及び受光部で検出する光の波長は比較的離れているため、第1集束位置と第2集束位置とを一度の測定で同時に求めることができる。
【0013】
本発明の外形寸法測定装置において、光源から出射される光は、広帯域光であってもよい。このような構成によれば、広帯域光に含まれる波長の範囲内において測定対象物の外形寸法を測定することができる。
【0014】
本発明の外形寸法測定装置において、光源は、白色光源であってもよい。このような構成によれば、白色光源から出射される白色光に含まれる波長の範囲内において測定対象物の外形寸法を測定することができる。
【0015】
本発明の外形寸法測定装置において、第1集束位置をP1、第2集束位置をP2、反射部の反射表面の光軸上での位置をP3、測定対象物の外形寸法(例えば、外径)をDとした場合、演算部は、D=P1−P2−2(P3−P2)によって測定対象物の外形寸法Dを演算してもよい。このような構成によれば、演算部による演算によって測定対象物の外形寸法Dを高精度に演算することができる。
【0016】
本発明の外形寸法測定装置において、光ファイバの端面のコア部分をピンホールとみなし、光ファイバを介して反射光を伝達してもよい。このような構成によれば、光ファイバの端面のコア部分をピンホールとみなして、共焦点であるコア部分に集光した反射光を光ファイバを介して取り込むことができる。
【0017】
本発明の外形寸法測定方法は、光源から出射した光を光学系で光軸上に集束し、測定対象物に直接照射するとともに反射部で反射して照射する工程と、測定対象物の光学系側の表面である第1面で反射した光について反射光強度のピークとなる光軸上での第1集束位置を検出する工程と、測定対象物の反射部側の表面である第2面で反射した光について反射光強度のピークとなる光軸上での第2集束位置を検出する工程と、第1位置と、第2位置と、反射部の光軸上での位置と、を用いて測定対象物の外形寸法を演算する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、測定対象物の光学系側の表面である第1面で反射した光と、測定対象物の反射部側の表面である第2面で反射した光とに基づき、第1面及び第2面の位置をそれぞれ検出し、その測定ビームスポット径を数μm以下にすることができるため、外径10μm以下の細い線材を測定対象物とする場合でも、従来技術において不可避の測定原理に係る問題(遮光状態や遮光領域の検出が困難であること)を回避することができる。これにより、第1集束位置、第2集束位置及び反射部の位置に基づき測定対象物の外形寸法を高い精度で求めることができる。また、第1面で反射した光と、第2面で反射した光とを検出するため、第1集束位置と第2集束位置とを一度の測定で同時に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る外形寸法測定装置を例示する模式図である。
図2】(a)は、第1実施形態に係る外形寸法測定装置の構成を例示するブロック図、(b)は、共焦点で光ファイバが受ける光の波長分布を例示する図である。
図3】ワーク(測定対象物)及びミラーの検出位置を例示する模式図である。
図4】外形寸法測定方法の流れを例示するフローチャートである。
図5】(a)は、第2実施形態に係る外形寸法測定装置を例示する模式図、(b)は、共焦点で光ファイバが受ける光の波長分布を例示する図である。
図6】外形寸法測定方法の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る外形寸法測定装置を例示する模式図である。
図1に表したように、本実施形態に係る外形寸法測定装置1は、センサヘッド100と、コンソール200とを備え、測定対象物であるワークWの外形寸法を光学的に非接触で測定する装置である。
【0022】
センサヘッド100とコンソール200とは光ファイバ40によって接続される。外形寸法測定装置1は、センサヘッド100から出射された光の反射光を用いてワークWの外形寸法を測定する。本実施形態においてワークWは、センサヘッド100から出射される光を反射する材料によって形成される。ワークWは、例えば線材(ワイヤー等)である。
【0023】
ワークWの下側(ワークWの、センサヘッド100とは反対側)には反射部であるミラー30が設けられる。ミラー30は平面ミラーである。ミラー30は、中央領域31と周辺領域32とを有する。中央領域31は、光学系20の光軸とミラー30との交差位置を中心とした所定範囲の領域である。中央領域31は、例えば円形の領域である。
【0024】
周辺領域32は、中央領域31の回りに設けられた領域である。中央領域31の光の反射率は、周辺領域32の光の反射率よりも低い。本実施形態では、中央領域31はミラー30に設けられた孔の領域である。周辺領域32は、ミラー30の孔以外の領域である。この構成によって、細い線材から成るワークWであっても高精度に外径(外形寸法)が測定される。
【0025】
なお、中央領域31は、孔以外の構成であってもよい。例えば、中央領域31に光の反射を抑制する色(例えば、黒色)を形成したり、光を拡散させる微小な凹凸を設けたりしてもよい。
【0026】
図2(a)は、第1実施形態に係る外形寸法測定装置の構成を例示するブロック図である。
図2(a)に表したように、コンソール200には、光源10、検出部50(分光器51、受光部52)及び演算部60が設けられる。また、コンソール200には、これらのほか、ファイバカプラ41が設けられる。
【0027】
光源10から出射される光は広帯域光である。光源10としては、例えば白色光源(白色LEDなど)が用いられる。光源10から出射される光は、ファイバカプラ41及び光ファイバ40を介してセンサヘッド100に伝達される。
【0028】
センサヘッド100には光学系20が組み込まれる。光学系20は、光源10から出射された光を光軸上に集束させる。光学系20は、コリメートレンズ21及び対物レンズ22を有する。
【0029】
コリメートレンズ21は、光源10から出射され光ファイバ40から放射された光を平行光にする。コリメートレンズ21は、軸上色収差の小さなレンズである。軸上色収差の小さなコリメートレンズ21では、対物レンズ22側からコリメートレンズ21に向かう光軸に沿った平行光を、波長にかかわらず光軸上の一点(共焦点FP)に集束させる。なお、コリメートレンズ21は必要に応じて設けられていればよい。コリメートレンズ21が設けられていない場合には、光ファイバ40から放射された光を、そのまま対物レンズ22に入射すればよい。
【0030】
対物レンズ22は、コリメートレンズ21よりもワークW側、すなわち、センサヘッド100の先端側に配置される。対物レンズ22は、軸上色収差の大きなレンズである。対物レンズ22は、コリメートレンズ21で平行にされた光をワークW側の光軸上に集束させる。
【0031】
コリメートレンズ21から対物レンズ22に入射される平行光は、軸上色収差の大きな対物レンズ22を通過すると、光の波長に応じて光軸上の異なる位置に焦点を結ぶ。すなわち、対物レンズ22を通過した光の光軸上の焦点距離は、光の波長に応じて異なっている。対物レンズ22では、波長が短いほど焦点距離が短く、波長が長いほど焦点距離が長くなる。例えば、青色光、緑色光、赤色光では、焦点距離は、青色光、緑色光、赤色光の順に長くなる。
【0032】
ワークWの対物レンズ22とは反対側にはミラー30が配置される。ミラー30で反射した光は、ワークWのミラー30側の表面に照射される。本実施形態では、ワークWの外側からミラー30の周辺領域32の表面で反射した光がワークWのミラー30側の表面に照射される。
【0033】
ワークWに照射される光のうち、ワークWの対物レンズ22側の表面(第1面)で焦点を結ぶ波長成分の光は、ワークWの第1面で反射して対物レンズ22を介してコリメートレンズ21により共焦点FPに集束する。また、ワークWのミラー30側の表面(第2面)で焦点を結ぶ波長成分の光は、再度ミラー30で反射して対物レンズ22を介してコリメートレンズ21により共焦点FPに集束する。一方、ワークWの第1面及び第2面のいずれでも焦点を結ばない大部分の波長成分の光は、共焦点FPに集束せず散逸する。
【0034】
光ファイバ40は、センサヘッド100とコンソール200との間に設けられる。光ファイバ40のセンサヘッド100側の端面は、共焦点FPに配置される。光ファイバ40の端面のコア部分は共焦点FPに配置されたピンホールとみなすことができる。光ファイバ40は、共焦点FPに配置されたピンホールを通過した反射光を受けてコンソール200側へ伝達する。
【0035】
光ファイバ40のコンソール200側の端面は、ファイバカプラ41に接続される。光ファイバ40は、光源10から出射された光をセンサヘッド100に伝達し、コリメートレンズ21に向けて出射する。一方、光ファイバ40は、ワークWやミラー30で反射した光を共焦点FPで受けてコンソール200に伝達する。
【0036】
コンソール200のファイバカプラ41は、一方側に少なくとも2ポート、他方側に少なくとも1ポートを有する。一方側のポートの一つである第1ポートPT1には光源10が接続され、他の一つである第2ポートPT2には検出部50の分光器51が接続される。他方側のポートである第3ポートPT3には光ファイバ40が接続される。
【0037】
検出部50は、分光器51と受光部52とを有する。分光器51は、入射された光を波長に応じて分散させる。分光器51としては、例えば回折格子が用いられる。受光部52は、光ファイバ40で伝達された光に基づき共焦点FPに集束した反射光の波長毎の強度を検出する。受光部52は、例えばイメージセンサを有する。分光器51で波長に応じて分散された光を受光部52で検出することにより、受光部52で検出した位置に基づき共焦点FPに集束した反射光の波長毎の強度を検出することができる。
【0038】
演算部60は、受光部52で検出した反射光の波長毎の強度に基づき、反射光強度にピークが生じる波長に対応した高さを演算する。本実施形態では、後述する処理によって、ワークWの外形寸法を演算する。
【0039】
このような構成を備える本実施形態の外形寸法測定装置1は、クロマティックコンフォーカル式変位計の測定原理と演算部60での演算処理によってワークWの外形寸法を高精度に求める。
【0040】
ここで、クロマティックコンフォーカル式変位計の測定原理を説明する。
先ず、光源10から光を出射して、センサヘッド100の対物レンズ22から測定対象物に向けて光を照射する。対物レンズ22の軸上色収差により、この照射する光は波長によって異なる位置に焦点を結ぶ。測定対象物で反射した光のうち、測定対象物の表面で合焦していない波長の光は、共焦点FPで集束せず、光ファイバ40にはわずかしか取り込まれない。一方、測定対象物で反射した光のうち、測定対象物の表面で合焦した波長の光は共焦点FPに集束してその多くが光ファイバ40を介して分光器51に伝達される。したがって、光ファイバ40に取り込まれる光は、測定対象物の表面で合焦する波長成分の強度が強く、それ以外の成分の強度は弱いものとなる。
【0041】
分光器51には、共焦点FPに集束して光ファイバ40で伝達された光が送られる。分光器51に送られた光は、波長に応じて分散して受光部52に到達する。受光部52では、分光器51で分散した光の位置毎に受光強度を検出する。受光部52における光の検出位置は波長毎に決まっているので、特定の検出位置で受光強度にピークが生じた場合には、その検出位置に対応する波長を求めることができる。演算部60は、このピークが生じた波長での対物レンズ22の焦点距離に基づいて、測定対象物の表面(反射面)の位置(高さ)を求める。
【0042】
本実施形態に係る外形寸法測定装置1では、光源10から出射された光を対物レンズ22からワークWに照射し、ワークWの光学系20側の表面である第1面で反射した光と、ミラー30で反射してワークWのミラー30側の表面である第2面で反射した光と、を共焦点FPで受けて光ファイバ40で伝達する。そして、第1面で反射した光について受光部52で反射光強度のピークを検出した光軸上の位置(第1集束位置)と、第2面で反射した光について受光部52で反射光強度のピークを検出した光軸上の位置(第2集束位置)と、ミラー30の光軸上の位置と、を用いて演算部60による演算でワークWの外形寸法を求める。
【0043】
次に、本実施形態に係る外形寸法測定装置1による外形寸法の測定原理について説明する。
図2(b)には、共焦点FPで光ファイバ40が受ける光の波長分布を例示する図が表される。本実施形態に係る外形寸法測定装置1では、対物レンズ22からワークWに直接照射される光のうち、ワークWの第1面に集光点を有する波長λ1の光が反射して、共焦点FPから光ファイバ40に取り込まれる。また、対物レンズ22からワークWの方向に照射されミラー30で反射した光のうち、ワークWの第2面に集光点を有する波長λ2の光は、第2面で反射し、さらにミラー30で反射して共焦点FPから光ファイバ40に取り込まれる。
【0044】
このように、共焦点FPでは、波長λ1の光と、波長λ2の光とが集束して光ファイバ40に取り込まれる。したがって、光ファイバ40に取り込まれ伝達される光の波長分布は、波長λ1及び波長λ2の2つのピークを有する。
【0045】
ここで、ミラー30の光軸との交差位置を中心とした中央領域31には孔が設けられているため、対物レンズ22からワークWの方向に照射され、ミラー30の光軸との交差位置に集光点を有する波長の光はミラー30で反射することはない。したがって、光ファイバ40で取り込まれる光の波長分布として、ミラー30で反射してワークWに当たらず共焦点FPまで到達する光は発生しない。
【0046】
もし、ミラー30で反射してワークWに当たらず共焦点FPまで到達する光があると、ミラー30の光反射率は高いため、図2(b)の破線で示すように非常に大きなピークとして現れることになる。本実施形態では、ミラー30の中央領域31に孔を設けて周辺領域32よりも反射率を低くしているため、このような大きなピークを有する波長成分の光は発生せず、波長λ1及び波長λ2の2つのピークの光を的確に検出することができる。
【0047】
演算部60は、波長λ1及び波長λ2の2つのピークの光に基づき検出した位置と、ミラー30の位置とを用いたワークWの外形寸法を演算する。図3には、ワークW及びミラー30の検出位置が表される。対物レンズ22とミラー30との間にワークWを配置した状態で光を照射すると、ワークWの対物レンズ22側の表面(第1面F1)に光が当たる。この光のうち第1面F1に集光点を有する波長λ1の光を受光部52で検出し、演算部60は、受光部52で検出した位置に基づき波長λ1に対応した第1集束位置P1を求める。
【0048】
また、ワークWのミラー30側の表面(第2面F2)には、対物レンズ22から照射されミラー30で反射した光が当たることになる。この光のうち第2面F2に集光点を有する波長λ2の光を受光部52で検出し、演算部60は、受光部52で検出した位置に基づき波長λ2に対応した第2集束位置P2を求める。
【0049】
ここで、演算部60で求めた第1集束位置P1は、ワークWの第1面F1の実際の高さ方向の位置Z1と等しい。また、演算部60で求めたミラー30の表面の位置P3は、ミラー30の表面の実際の高さ方向の位置Z3と等しい。
【0050】
しかし、演算部60で求めた第2集束位置P2は、ワークWの第2面F2の実際の高さ方向の位置Z2とは異なる。すなわち、演算部60で求めた第2集束位置P2は、ミラー30で反射して第2面F2に当たった光によって求めた位置であることから、ミラー30で反射しなかったと仮定した場合にミラー30よりも遠い光軸上で波長λ2の光が集束する位置Z2’と等しくなる。つまり、演算部60で求めた第2集束位置P2の値は、実質的に位置Z2’を求めていることになる。
【0051】
このような関係から、ワークWの第2面F2の実際の高さ方向の位置Z2と、演算部60で求めた第2集束位置P2(すなわち位置Z2’)との差は、ミラー30の表面の位置P3と、演算部60で求めた第2集束位置P2(すなわち位置Z2’)との距離の2倍になることが分かる。
【0052】
本実施形態において、演算部60は、演算によって求めた第1集束位置P1、第2集束位置P2及び予め求めたミラー30の表面の位置P3を用いて、以下の演算式(1)によりワークWの外形寸法Dを求める。
D=P1−P2−2(P3−P2) …(1)
【0053】
このような演算によって、ワークWの第1面F1及び第2面F2での反射光に基づきワークWの外形寸法Dを高精度に求めることができる。
【0054】
本実施形態に係る外形寸法測定装置1では、ワークWの第1面F1及び第2面F2での反射光を用いてワークWの外形寸法Dを求め、かつ、その測定ビームスポット径を数μm以下にすることができるため、外径10μm以下の細い線材をワークWとする場合でも、従来技術では不可避の測定原理に係る問題(遮光状態や遮光領域の検出が困難であること)を回避し、ワークWの外径を高精度に求めることができる。
【0055】
また、ワークWに光を照射することで、第1面F1で合焦する波長λ1の反射光と、第2面F2で合焦する波長λ2の反射光とを同時に取り込むことができる。したがって、演算部60は、1回の光照射によって波長λ1の受光強度のピークと、波長λ2の受光強度のピークとから、第1集束位置P1及び第2集束位置P2を演算することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る外形寸法測定装置1では、ポリゴンミラー等によって光を走査したり、光の走査範囲をカバーするような広い受光面積を備えた受光部を設ける必要はない。すなわち、コンパクトなセンサヘッド100と、簡単なミラー30によって装置構成を簡素化できるとともに、装置の小型化を達成することができる。
【0057】
次に、外形寸法測定方法について説明する。以下の説明では、本実施形態に係る外形寸法測定装置1による外形寸法の測定方法を例とする。
図4は、外形寸法測定方法の流れを例示するフローチャートである。
先ず、ステップS101に表したように、光源10から光を出射し、センサヘッド100の対物レンズ22から測定対象物であるワークWに向けて光を照射する。ワークWに向けて照射された光は、ワークWの第1面F1に照射されるとともに、ミラー30で反射してワークWの第2面F2にも照射される。
【0058】
ワークWに照射された光のうち、第1面F1で合焦する波長の光及び第2面F2で合焦する波長の光の反射光は、共焦点FPから光ファイバ40に取り込まれる。
【0059】
次に、ステップS102に表したように、第1面F1の位置及び第2面F2の位置を検出する。すなわち、検出部50の受光部52は、共焦点FPに焦点を結ぶ第1面F1での反射光及び第2面F2での反射光を受けて、波長λ1及び波長λ2の光の強度のピーク位置を検出する。そして、演算部60によって、波長λ1に基づく光軸上での第1集束位置P1及び第2集束位置P2を演算する。
【0060】
次に、ステップS103に表したように、測定対象物であるワークWの外形寸法Dを演算する。演算部60は、予め求めたミラー30の位置P3と、先に求めた第1集束位置P1及び第2集束位置P2によって、上記演算式(1)を用いてワークWの外形寸法Dを求める。
【0061】
これにより、クロマティックコンフォーカル式変位計の測定原理を用いて、ワークWの外形寸法Dを求めることができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の説明を行う。
図5(a)は、第2実施形態に係る外形寸法測定装置1Bを例示する模式図である。なお、図5(a)には、対物レンズ22からミラー30Bまでの構成が表される。
本実施形態に係る外形寸法測定装置1Bにおいては、ミラー30Bの中央領域に孔が設けられていない。他の構成は第1実施形態に係る外形寸法測定装置1と同様である。
【0063】
ミラー30Bの反射面は一様な反射率を有している。このため、対物レンズ22からワークWに向けて照射される光のうち、ワークWの外側からミラー30Bの表面(反射面)で合焦する波長λ0の光も到達することになる。ミラー30Bの表面で合焦する波長の光は、強い反射光として対物レンズ22からコンソール200へ取り込まれる。
【0064】
図5(b)には、共焦点FPで光ファイバ40が受ける光の波長分布を例示する図が表される。本実施形態では、ワークWの第1面F1で合焦して反射した波長λ1の反射光と、ワークWの第2面F2で合焦して反射した波長λ2の反射光のほか、ミラー30Bの表面で合焦して反射した波長λ0の反射光が共焦点FPから光ファイバ40に取り込まれる。
【0065】
本実施形態に係る外形寸法測定装置1Bの演算部60では、検出部50で検出した反射光強度のピークのうち、波長λ0を中心とした所定範囲の受光信号を外形寸法Dの演算から除外する処理を行う。すなわち、信号処理によって波長λ0を中心とした所定範囲の受光信号を除外し、波長λ1及び波長λ2の受光信号を用いて第1集束位置P1及び第2集束位置P2を演算する。これにより、上記演算式(1)を用いてワークWの外形寸法Dを演算によって求める。
【0066】
なお、演算部60は、測定の際に波長λ1及び波長λ2の受光信号に基づき第1集束位置P1及び第2集束位置P2を求めるとともに、波長λ0の受光信号を用いてミラー30Bの表面の位置P3を求めてもよい。この第1集束位置P1及び第2集束位置P2とともに求めたミラー30Bの表面の位置P3は、ワークWの外形寸法Dを演算する際に用いればよい。これにより、予めミラー30Bの表面の位置P3を求めておく必要がなく、ミラー30Bの位置の経時変化による誤差をなくすことができる。
【0067】
次に、本実施形態に係る外形寸法測定装置1Bを用いた外形寸法測定方法を説明する。
図6は、外形寸法測定方法の流れを例示するフローチャートである。
先ず、ステップS201に表したように、光源10から光を出射し、センサヘッド100の対物レンズ22から測定対象物であるワークWに向けて光を照射する。ワークWに向けて照射された光は、ワークWの第1面F1に照射されるとともに、ミラー30Bで反射してワークWの第2面F2にも照射される。
【0068】
ワークWに照射された光のうち、第1面F1で合焦する波長の光及び第2面F2で合焦する波長の光の反射光は、共焦点FPから光ファイバ40に取り込まれる。また、ミラー30Bの表面で合焦した波長の光の反射光も共焦点FPから光ファイバ40に取り込まれる。
【0069】
次に、ステップS202に表したように、反射光の受光プロファイルに対する処理を施す。受光プロファイルの処理では、ミラー30Bの表面で合焦した反射光の波長λ0を中心とした所定範囲の受光プロファイルを除外し、第1面F1で合焦した波長λ1の反射光の受光プロファイル及び第2面F2で合焦した波長λ2の反射光の受光プロファイルを残すよう処理する。
【0070】
受光プロファイルの処理としては、次のような例が挙げられる。
<信号処理>
信号処理では、先ず、ワークWを配置していない状態で、予めミラー30Bの表面で合焦した反射光の受光プロファイルを登録しておく。そして、外形寸法Dを測定する際には、測定で得た受光プロファイルから、予め登録された受光プロファイルを差し引く演算を行う。この信号処理は、演算部60によって行われる。
【0071】
<光学フィルタによる処理>
光学フィルタによる処理では、例えばバンドエリミネートフィルタを用いて、ミラー30Bの表面で合焦した反射光の波長の光を除去し、それ以外の波長の光を透過する処理を行う。
【0072】
<マスキング処理>
マスキング処理では、検出部50に含まれるイメージセンサの受光面に部分的にマスキング(遮光)を施しておく。すなわち、ミラー30Bの表面で合焦する光の波長に対応したイメージセンサの受光位置(受光領域)に予めマスキングを施しておく。これにより、検出部50から演算部60に出力される受光信号から、ミラー30Bの表面で合焦する光の波長に対応した位置(領域)の信号が除外される。
【0073】
次に、ステップS203に表したように、第1面F1の位置及び第2面F2の位置を検出する。すなわち、検出部50で検出した反射光強度のピークの位置に基づき、演算部60によって、波長λ1に基づく光軸上での第1集束位置P1及び第2集束位置P2を演算する。
【0074】
次に、ステップS204に表したように、測定対象物であるワークWの外形寸法Dを演算する。演算部60は、予め求めたミラー30Bの位置P3と、先に求めた第1集束位置P1及び第2集束位置P2によって、上記演算式(1)を用いてワークWの外形寸法Dを求める。
【0075】
本実施形態に係る外形寸法測定装置1B及び外形寸法測定方法では、ミラー30Bの中央領域に孔を設ける必要なく、ワークWの外形寸法Dを測定することが可能になる。
【0076】
以上説明したように、実施形態によれば、細い線材などの測定対象物の外形寸法を高精度に測定することができる外形寸法測定装置1,1B及び外形寸法測定方法を提供することが可能になる。
【0077】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、光源10から単一波長の光を照射し、対物レンズ22を音叉などで光軸方向に振動させることで焦点位置を変化させるレーザ共焦点式変位計や、合焦点式変位計など、光の焦点位置によって対象物の位置(高さ)を測定する変位計にも本発明の構成を適用することができる。また、センサヘッド100とコンソール200との間に光ファイバ40を設けた例を説明したが、光ファイバ40を介さずに光を伝達する構成であってもよい。また、前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0078】
1,1B…外形寸法測定装置
10…光源
20…光学系
21…コリメートレンズ
22…対物レンズ
30,30B…ミラー
31…中央領域
32…周辺領域
40…光ファイバ
41…ファイバカプラ
50…検出部
51…分光器
52…受光部
60…演算部
100…センサヘッド
200…コンソール
D…外形寸法
F1…第1面
F2…第2面
FP…共焦点
P1…第1集束位置
P2…第2集束位置
W…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6