(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)で準備されるB−ゼオライトが、元素として計算された、およびB−ゼオライトの全質量に対して、0.5〜5.0質量%の範囲のB含有量を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
液体溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
液体溶媒が水であり、かつ(ii)による脱ホウ素化が、95〜105℃の範囲の温度で、8〜15時間の範囲の時間にわたり行われ、(ii)による脱ホウ素化が、還流下で行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
(ii)で得られたゼオライトが、元素として計算された、およびゼオライトの全質量に対して、最大で0.2質量%のB含有量を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
触媒活性剤として、触媒活性剤を製造するための前駆体として、触媒成分として、またはキャリヤ上に適用されるウォッシュコートの成分としての、請求項17又は18に記載のゼオライト材料を使用する方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に、本発明による方法は、以下の3文字コードに従う骨格構造型を有するホウ素含有ゼオライト材料、または2種以上のホウ素含有ゼオライト材料の混合物を使用して行われ得ることが考えられる:ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MMFI、MFS、MON、MOR、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NEES、NON、NPO、OBW、OFF、OSI、OSO、PAR、PAU、PHI、PON、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN SFO、SGT、SOD、SSY、STF、STI、STT、TER、THO、TON、TSC、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、WEN、YUGおよびZON。3文字コードおよびそれらの定義に関しては、「Atlas of Zeolite Framework Types」、第5版、Elsevier、London、England(2001年)が挙げられる。MWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、およびRTHが好ましく、MWW、BEAおよびCHAがより好ましい。MWWが最も好ましい。
【0018】
工程(i)
工程(i)によれば、ホウ素含有ゼオライト材料、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくは構造型MWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTHのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、(B−BEA)、(B−MFI)、(B−CHA)、(B−MOR)、(B−MTW)、(B−RUB)、(B−LEV)、(B−FER)、(B−MEL)、(B−RTH)、より好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)が準備される。本発明のある実施形態によれば、(i)で準備されるホウ素含有ゼオライト材料は、B−MFIでなく、好ましくはこの本実施形態によれば、構造型MWW、BEA、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTHのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、(B−BEA)、(B−CHA)、(B−MOR)、(B−MTW)、(B−RUB)、(B−LEV)、(B−FER)、(B−MEL)、(B−RTH)、より好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)が、工程(i)で準備される。
【0019】
構造型MWWのゼオライト、例えば、ゼオライトMCM−22は、2つの独立した細孔系を保有する。1つの系は、4.1オングストローム×5.1オングストロームの楕円環断面を有する正弦曲線状10員環(MR)二次元チャネルからなる。他の系は、10−MR窓により連結された大きな12−MRスーパーケージからなる。この構造型MWWに関しては、例えば、M.K.Rubin、P.Chu、US4,954,325、M.E.Leonowicz、J.A.Lawton、S.L.Lawton、M.K.Rubin、Science、第264巻(1994年)1910ページ、またはS.L.Lawton、M.E.Leonowicz、R.D.Partidge、P.Chu、M.K.Rubin、Micropor.Mesopor.Mater.、第23巻(1998年)109ページが挙げられる。構造型MWWに関するさらなる詳細は、W.M.Meier、D.H.OlsonおよびCh.Baerlocher「Atlas of Zeolite Structure Types」、Elsevier、第5版、202および203ページ、Amsterdam、2001年に見出すことができる。
【0020】
本発明の文脈で使用される場合の「ホウ素含有ゼオライト材料」という用語、特に「構造型MWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、RTHのホウ素含有ゼオライト材料」という用語、とりわけ「構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料」という用語は、好ましくはゼオライト構造型MWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを有し、かつ一部のケイ素原子がホウ素原子で置き換えられているゼオライト骨格を有するケイ酸塩を表す。ケイ素、酸素、およびホウ素は別として、B−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、B−RTH、より好ましくはB−MWWは、アルミニウム、ジルコニウム、バナジウム、スズ、鉄、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、および/またはクロムのようなさらなる四価または三価の元素などのさらなる元素を含有してもよい。本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、工程(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、B−RTH、より好ましくはB−MWWは、ケイ素、ホウ素、および酸素から本質的になり、したがって、アルミニウム不含ゼオライト材料を表す。本発明の文脈で使用される場合の「アルミニウム不含ゼオライト材料」という用語は、元素として、およびB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの質量に対して計算された、最大で100質量ppm、好ましくは最大で50質量ppmのアルミニウムを含有するB−ゼオライトに関する。本発明のこの文脈で使用される場合の「ケイ素、ホウ素、および酸素から本質的になる」という用語は、ケイ素、ホウ素、および酸素に加えて、それぞれの製造方法から生じるある種の不純物、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または有機炭素を含有してもよいB−ゼオライト材料、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH物質、より好ましくはB−MWW物資に関する。これらの不純物は、B−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWに、それぞれの場合に、(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWに対して、好ましくは合計で1質量%まで、より好ましくは合計で0.5質量%まで、より好ましくは合計で0.2質量%まで、より好ましくは合計で0.1質量%までの量で含有される。
【0021】
本発明によれば、(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、元素として、および(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの全質量に対して計算された、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは0.75〜4.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%の範囲のB含有量を有する。とりわけ好ましいホウ素含有量は、1.4〜2.4質量%、より好ましくは1.6〜2.4質量%、より好ましくは1.8〜2.0質量%の範囲である。さらに、(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、元素Siとして、および(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの全質量に対して計算された、好ましくは38〜44質量%、より好ましくは39〜43質量%、より好ましくは40〜42質量%の範囲のSi含有量を有する。さらに、(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、元素Cとして、および(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの全質量に対して計算された、好ましくは0.14〜0.25質量%、より好ましくは0.15〜0.22質量%、より好ましくは0.16〜0.20質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する。
【0022】
したがって、本発明は、(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、B、Si、およびOから本質的になり、かつそれぞれの場合に(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの全質量に対して、元素Bとして計算された0.5〜5.0質量%の範囲のB含有量、元素Siとして計算された、38〜44質量%の範囲のSi含有量、および0.14から0.25質量%の範囲のTOC含有量を有する、上に定義されたとおりの、ゼオライト材料の製造方法、ならびにこの方法によって得られるおよび/または得られたゼオライト材料に関する。
【0023】
B−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWを準備する方法に関する限り、特別の制限は存在しない。とりわけ、考えられる方法は、P.Wuら、Hydrothermal Synthesis of a novel Titanosilicate with MWW Topology、Chemistry Letters(2000年)、774〜775ページまたはWO02/28774A2の実施例1〜5に記載されている。
【0024】
本発明の好ましい方法によれば、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、ホウ素含有ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくは構造型MWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTHのホウ素含有ゼオライト材料、より好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料の調製に適している、少なくとも1種の適切なケイ素源、少なくとも1種の適切なホウ素源、および少なくとも1種の適切なテンプレート化合物を含有する合成混合物から、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWを水熱合成して、B−MWWをその母液中に得、その後、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWをその母液から分離する工程を含む方法によって、(i)で準備される。適切なホウ素源には、例えば、ホウ酸、ホウ酸塩、ハロゲン化ホウ素、B
2O
3が含まれ、ホウ酸がとりわけ好ましい。適切なケイ素源には、例えば、ヒュームドシリカまたはコロイドシリカ、例えば、アンモニア安定化コロイドシリカが含まれ、アンモニア安定化コロイドシリカがとりわけ好ましい。B−MWWの調製のための適切なテンプレート化合物(構造指向剤)には、環状アミン、例えば、ピペリジンもしくはヘキサメチレンイミン、またはN,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウムヒドロキシドが含まれ、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびそれらの混合物がとりわけ好ましい。
【0025】
特にB−MWWに関する限り、水熱合成の間に、B−MWW前駆体が調製され、それから、か焼後に、B−MWWが得られる。
【0026】
したがって、本発明は、
(a)少なくとも1種のケイ素源、少なくとも1種のホウ素源、および少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する合成混合物から、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTHを水熱合成して、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTHをその母液中に得;
(b)B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTHを、その母液から分離し;
(c)(b)により分離されたB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTHを、場合によって乾燥させ;
(d)(b)または(c)から得られたB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTHを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度でか焼する、
上に定義されたとおりの、ゼオライト材料の製造方法、ならびにこの方法により得られるおよび/または得られたゼオライト材料に関する。
【0027】
したがって、本発明は好ましくは、
(a)少なくとも1種のケイ素源、好ましくはアンモニア安定化コロイドシリカ、少なくとも1種のホウ素源、好ましくはホウ酸、ならびに好ましくはピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する合成混合物からB−MWW前駆体を水熱合成して、B−MWWをその母液中に得;
(b)B−MWW前駆体をその母液から分離し;
(c)(b)により分離されたB−MWW前駆体を場合によって乾燥させ;
(d)(b)または(c)から得られたB−MWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度でか焼して、B−MWWを得る、
上に定義されたとおりの、ゼオライト材料の製造方法、ならびにこの方法により得られるおよび/または得られたゼオライト材料に関する。
【0028】
(a)によれば、B−ゼオライト前駆体、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれかの前駆体、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH前駆体、より好ましくはB−MWW前駆体、好ましくはB含有前駆体、Si含有前駆体、および少なくとも1種の適切なテンプレート化合物(構造指向剤)を含有する適切な出発物質、好ましくは水性混合物は、自生圧力下で水熱結晶化にかけられる。結晶化のために、少なくとも1種の適切なシーディング物質を用いることも考えられ得る。好ましくは、結晶化時間は、3〜8日間、より好ましくは4〜6日間の範囲である。水熱合成の間に、結晶化混合物は撹拌されてもよい。結晶化の間に適用される温度は、好ましくは160〜200℃、より好ましくは160〜180℃の範囲である。前駆体化合物の量は、上記B−ゼオライト、好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体が、記載された好ましい組成を有して得ることができるように適切に選択される。
【0029】
水熱合成後、得られたB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体は、その母液から適切に分離される。B−ゼオライト、好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体をその母液から分離する方法のすべてが考えられる。これらの方法には、例えば、ろ過、限外ろ過、透析ろ過、および遠心分離方法、または例えば、噴霧乾燥法および噴霧造粒法が含まれる。これらの方法の2種以上の組合せが適用され得る。本発明によれば、B−ゼオライト、好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体は、好ましくはその母液からろ過により分離されて、ろ過ケーキを得、これは、好ましくは水によって、好ましくは洗浄にかけられる。その後、適切な懸濁液を得るために場合によってさらに処理されたろ過ケーキは、噴霧乾燥または限外ろ過にかけられる。B−ゼオライト、好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体をその母液から分離する前に、懸濁液を濃縮することによって母液のB−ゼオライト、好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体の含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用される場合、洗浄水が1,000マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、洗浄プロセスを続けることが好ましい。
【0030】
好ましくはろ過によって行われる、懸濁液からのB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH前駆体、より好ましくはB−MWW前駆体の分離後、および洗浄後、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体を含有する洗浄ろ過ケーキは、例えば、ろ過ケーキを適切なガス流、好ましくは窒素流下に、好ましくは4〜10時間、より好ましくは5〜8時間の範囲の時間置くことによって、場合によって予備乾燥にかけられる。
【0031】
その後、予備乾燥されたろ過ケーキは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中で100〜300℃、より好ましくは150〜275℃、より好ましくは200〜250℃の範囲の温度で場合によって乾燥される。このような乾燥は、例えば、噴霧乾燥によって行うことができる。さらに、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体を、その母液から適切なろ過方法によって分離し、続いて、洗浄および噴霧乾燥することが可能である。
【0032】
したがって、本発明はまた、(i)で準備されるB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)前駆体でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW前駆体、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW前駆体が、噴霧粉末または噴霧顆粒の形態で準備される、上に定義された方法に関する。
【0033】
乾燥後、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中で500〜700℃、より好ましくは550〜675℃、より好ましくは600〜675℃の範囲の温度でか焼にかけられる。
【0034】
本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、その母液からろ過により分離され、噴霧乾燥にかけられ、得られた噴霧粉末は、か焼される。
【0035】
好ましくは、段階(l)でB−MWWが調製される場合、B−MWWは、その好ましい工程および条件が、示されるとおりの以下の実施形態1〜28およびそれぞれの従属関係で規定される方法によって調製される:
【0036】
1.
(a)水、ケイ素源、ホウ素源、およびMWWテンプレート化合物を含有する合成混合物からB−MWW前駆体を水熱合成し、B−MWW前駆体を、9を超えるpHを有するその母液中に得る工程;
(b)(a)で得られた、かつB−MWW前駆体を含有する母液のpHを、6〜9の範囲の値に調整する工程;
(c)(b)で得られたpH調整母液からB−MWW前駆体をろ過装置においてろ過により分離する工程
を含む、骨格構造MWWを含むアルミニウム不含ホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)を調製する方法。
【0037】
2.(a)において、合成混合物の少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%が、水、ケイ素源、ホウ素源、およびテンプレート化合物からなる、実施形態1に記載の方法。
【0038】
3.(a)において、ケイ素源が、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ケイ素源は好ましくはコロイドシリカ、より好ましくはアンモニア安定化シリカであり、ホウ素源が、ホウ酸、ホウ酸塩、酸化ホウ素、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、ホウ素源は好ましくはホウ酸であり、ならびにMWWテンプレート化合物が、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−1,5−ペンタンジアンモニウムイオン、1,4−ビス(N−メチルピロリジニウム)ブタン、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘプチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウムヒドロキシド、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、MWWテンプレート化合物は好ましくはピペリジンである、実施形態1または2に記載の方法。
【0039】
4.(a)において、合成混合物が、元素ケイ素として計算されたケイ素源に対して元素ホウ素として計算されたホウ素源を、0.4:1〜2:0.1、好ましくは0.6:1から1.9:1、より好ましくは0.9:1〜1.4:1の範囲のモル比、元素ケイ素として計算されたケイ素源に対して水を、1:1〜30:1、好ましくは3:1〜25:1、より好ましくは6:1〜20:1の範囲のモル比、および元素ケイ素として計算されたケイ素源に対してテンプレート化合物を、0.4:1〜2.0:1、好ましくは0.6:1〜1.9:1、より好ましくは0.9:1〜1.4:1の範囲のモル比で含有する、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
5.(a)において、水熱合成が、160〜180℃未満、好ましくは170〜175℃の範囲の温度で1〜72時間、好ましくは6〜60時間、より好ましくは12〜50時間の範囲の時間行われる、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
6.(a)において、水熱合成が、少なくとも部分的に撹拌下で行われる、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
7.(a)において、合成混合物が、シーディング物質、好ましくは骨格構造MWWを含むゼオライト材料、より好ましくは骨格構造MWWを含むホウ素含有ゼオライト材料をさらに含有する、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
8.合成混合物が、ケイ素源に対してシーディング物質を、kg単位で二酸化ケイ素として計算されたケイ素源に含有されるケイ素に対してkg単位でシーディング物質の量として計算された、0.01:1〜1:1、好ましくは0.02:1〜0.5:1、より好ましくは0.03:1〜0.1:1の範囲の質量比で、含有する、実施形態7に記載の方法。
【0044】
9.(a)から得られた母液のpHが10を超え、好ましくは10.5〜12、より好ましくは11〜11.5の範囲である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
10.(b)において、(a)で得られた母液のpHが、6.5〜8.5、好ましくは7〜8の範囲の値に調整される、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
11.(b)において、pHが、
(i)B−MWW前駆体を含有する、(a)から得られた母液に酸を添加する工程であって、添加が、好ましくは少なくとも部分的に撹拌下で行われる工程
を含む方法によって調整される、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
12.(i)において、添加が、20〜70℃、好ましくは30〜65℃、より好ましくは40〜60℃の範囲の温度で行われる、実施形態11に記載の方法。
【0048】
13.(i)において、酸が、無機酸、好ましくは無機酸を含有する水溶液である、実施形態11または12に記載の方法。
【0049】
14.無機酸が、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、無機酸は、好ましくは硝酸である、実施形態13に記載の方法。
【0050】
15.
(ii)酸が(i)によって添加された母液を撹拌する工程であって、(ii)の間に、酸が母液にまったく添加されない工程をさらに含む、実施形態11から14のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
16.(ii)において、撹拌が、20〜70℃、好ましくは25〜65℃、より好ましくは30〜60℃の範囲の温度で行われる、実施形態15に記載の方法。
【0052】
17.(b)において、それぞれのDv10、Dv50、およびDv90値で表された、母液に含有される粒子のサイズが、Dv10に関して、少なくとも2%、好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも4.5%、Dv50に関して、少なくとも2%、好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少なくとも4.5%、およびDv90に関して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも7%増加する、実施形態1から16のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
18.(b)から得られたpH調整母液が、(b)から得られたpH調整母液の全質量に対して1〜10質量%、好ましくは4〜9質量%、より好ましくは7〜8質量%の範囲の固形分を有する、実施形態1から17のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
19.(b)から得られたpH調整母液が、10〜50mPa
*s/m
2、好ましくは15〜45mPa
*s/m
2、より好ましくは20〜40mPa
*s/m
2の範囲のろ過抵抗を有する、実施形態1から18のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
20.
(d)(c)から得られたB−MWW前駆体、好ましくは(c)から得られたろ過ケーキを洗浄する工程であって、洗浄は、好ましくは洗浄剤として水を用いて行われる工程
をさらに含む、実施形態1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
21.(d)において、(c)から得られたろ過ケーキが、10〜50mPa
*s/m
2、好ましくは15〜45mPa
*s/m
2、より好ましくは20〜40mPa
*s/m
2の範囲の洗浄抵抗を有する、実施形態20に記載の方法。
【0057】
22.洗浄が、ろ液の伝導度が、最大で300マイクロシーメンス/cm、好ましくは最大で250マイクロシーメンス/cm、より好ましくは最大で200マイクロシーメンス/cmであるまで行われる、実施形態20または21に記載の方法。
【0058】
23.
(e)(c)から、好ましくは(d)から得られたB−MWW前駆体を20〜50℃、好ましくは20〜40℃、より好ましくは20〜30℃の範囲の温度で乾燥させる工程であって、乾燥は、好ましくはB−MWWをガス流、好ましくは窒素流下に置くことによって行われる工程
をさらに含む、実施形態1から22のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
24.(c)、好ましくは(d)、より好ましくは(e)から得られたB−MWW前駆体の残留水分が、80〜90質量%、好ましくは80〜85質量%の範囲である、実施形態1から23のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
25.
(f)(c)、好ましくは(d)、より好ましくは(e)から得られたB−MWW前駆体を含有し、および10〜20質量%、好ましくは12〜18質量%、より好ましくは14〜16質量%の範囲の固形分を有する懸濁液、好ましくは水性懸濁液を調製する工程;
(g)B−MWW前駆体を含有する、(f)から得られた懸濁液を噴霧乾燥させ、噴霧粉末を得る工程;
(h)B−MWW前駆体を含有する、(g)から得られた噴霧粉末を、好ましくは500〜700℃、より好ましくは550〜650℃、より好ましくは575〜625℃の範囲の温度で1〜24時間、好ましくは2〜18時間、より好ましくは6〜12時間の範囲の時間か焼して、その少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.5質量%が、B−MWWからなる噴霧粉末を得る工程
をさらに含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
26.(h)において、か焼が、好ましくは回転か焼炉で、好ましくは1時間当たり0.5〜20kgの噴霧粉末の範囲の処理能力で、連続様式で行われる、実施形態25に記載の方法。
【0062】
27.(h)で得られた噴霧粉末中に含有されるB−MWWの結晶化度が、XRDによって決定して、少なくとも(75±5)%、好ましくは少なくとも(80±5)%である、実施形態25または26に記載の方法。
【0063】
28.(h)から得られた噴霧粉末中に含有されるB−MWWのBET比表面積が、DIN66131に従って決定して、少なくとも300m
2/g、好ましくは300〜500m
2/gの範囲である、実施形態25から27のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
本発明によれば、得られたB−MWWは、好ましくは、元素Bとして計算された、1.2〜2.4質量%または1.4〜2.4質量%の範囲のB含有量を有する。さらに、得られたB−MWWは、好ましくは、元素Siとして計算された、38〜45質量%または38〜44質量%の範囲のSi含有量を有する。さらに、得られたB−MWWは、好ましくは、元素Cとして計算された、0.14〜0.25質量%、より好ましくは0.15〜0.22質量%、より好ましくは0.16〜0.20質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する。より好ましくは、得られたB−MWWは、0.3質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する。
【0065】
工程(ii)
(i)で準備されたB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWW、とりわけ好ましくは分離され、噴霧乾燥され、およびか焼されたB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、(ii)において液体溶媒で脱ホウ素化される。従来技術の教示と対照的に、水蒸気も強制的な脱ホウ素化剤として記載された酸もいずれも用いられない。驚くべきことに、準備されたB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWを脱ホウ素化するために、水蒸気も前記酸もいずれも必要とされないことが見出された。さらにより驚くべきことに、B−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの脱ホウ素化は、酸をまったく必要としないことが見出された。したがって、本発明は、液体溶媒が無機もしくは有機酸、またはそれらの塩を含有しない、上に定義された方法およびそれから得られるまたは得られたゼオライト材料に関する。
【0066】
本発明の文脈で使用される場合の「B−ゼオライトを脱ホウ素化する」という用語、とりわけ「B−MWWを脱ホウ素化する」という用語は、ゼオライト骨格に含まれる少なくとも一部のホウ素原子が、本発明の処理によって除去される方法に関する。好ましくは、本発明の文脈で使用される場合の「B−ゼオライトを脱ホウ素化する」という用語、とりわけ「B−MWWを脱ホウ素化する」という用語は、得られたゼオライト、好ましくは得られたMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、RTH、より好ましくは得られたMWWが、元素として、およびゼオライト、好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、RTH、より好ましくはMWWの全質量に対して計算された、最大で0.2、より好ましくは最大で0.1重量%のホウ素を含有する方法に関する。
【0067】
(ii)で用いられる液体溶媒は、水、一価アルコール、多価アルコール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。一価アルコールおよび多価アルコールに関して、特別の制限は存在しない。好ましくは、これらのアルコールは、1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜5個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有する。多価アルコールは、好ましくは2〜5個のヒドロキシル基、より好ましくは2〜4個のヒドロキシル基、好ましくは2または3個のヒドロキシル基を含む。とりわけ好ましい一価アルコールは、メタノール、エタノール、ならびに1−プロパノールおよび2−プロパノールのようなプロパノールである。とりわけ好ましい多価アルコールは、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオールである。上記化合物の2種以上の混合物が用いられる場合、これらの混合物は、水ならびに少なくとも1種の一価アルコールおよび/または少なくとも1種の多価アルコールを含むことが好ましい。最も好ましくは、液体溶媒は、水からなる。したがって、本発明は、液体溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは水である、上記方法、およびそれから得られるまたは得られたゼオライト材料に関する。
【0068】
液体溶媒の量に対して用いられるB−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの量に関する限り、特別の制限は存在しない。驚くべきことに、大過剰の液体溶媒を用いる必要がないことが見出され、この所見は、本発明方法を非常に有利にする。好ましくは、B−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの液体溶媒に対する質量比は、1:5〜1:40、より好ましくは1:10〜1:30、より好ましくは1:10〜1:20、例えば、1:10〜1:15、1:11〜1:16、1:12〜1:17、1:13〜1:18、1:14〜1:19、1:15〜1:20の範囲である。
【0069】
(ii)による反応条件は、上に記載された溶媒系がその液体状態であることを条件として、特別に制限されない。特に、以下に記載される好ましい温度に関しては、当業者は、その下で脱ホウ素化が行われて、溶媒系をその液体状態に保つそれぞれの圧力を選択する。
【0070】
好ましくは、(ii)による処理は、50〜125℃、より好ましくは70〜120℃、より好ましくは90〜115℃、より好ましくは90〜110℃、より好ましくは90〜105℃、より好ましくは95〜105℃、より好ましくは95〜100℃の範囲の温度で行われる。最も好ましくは、(ii)による脱ホウ素化は、溶媒系の沸点で行われる。溶媒系が2種以上の成分からなる場合、(ii)による脱ホウ素化は、好ましくは最も低い沸点を有する成分の沸点で行われる。本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、(ii)による脱ホウ素化は、還流下で行われる。したがって、(ii)による脱ホウ素化に用いられる好ましい容器は、還流コンデンサを備えている。(ii)の間に、液体溶媒の温度は、本質的に一定に保たれるか、または変えられ、したがって、脱ホウ素化は、2つ以上の異なる温度で行われる。最も好ましくは、温度は本質的に一定に保たれる。
【0071】
驚くべきことに、脱ホウ素化工程前にホウ素含有ゼオライト材料を高温で液体系によって前処理して、これらの工程の間に一部のホウ素を除去することは必要でないことが見出された。また、本発明によって、唯1つの脱ホウ素化工程(ii)が所望のホウ素除去を得るために必要であるので、この所見は、例えば、経済的観点から、本発明方法を非常に有利にする。したがって、本発明によれば、工程(ii)は、好ましくは正確に1回行われる。本発明の好ましい実施形態によれば、その合成後に(i)で準備されたゼオライト材料は、(ii)による脱ホウ素化前に、50℃以上の温度で、洗浄剤などによる処理などの、液体系による処理にかけられない。
【0072】
(ii)による脱ホウ素化の間に、液体溶媒を適切に撹拌することはさらに好ましい。(ii)の間に、撹拌速度は、本質的に一定に保たれるか、または変えられ、したがって、脱ホウ素化は、2つ以上の異なる撹拌速度で行われる。最も好ましくは、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、最初の撹拌速度で液体溶媒に懸濁され、上記温度での脱ホウ素化の間に、撹拌速度は変えられ、好ましくは増加される。撹拌速度それ自体は、例えば、液体溶媒の容量、用いられるB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWの量、および所望の温度などに依存して適切に選択され得る。好ましくは、その下でB−ゼオライト、好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWが液体溶媒に懸濁される撹拌速度は、0〜200r.p.m.(1分間当たりの回転数)、より好ましくは10〜200r.p.m.、より好ましくは20〜55r.p.m.、より好ましくは30〜50r.p.m.の範囲である。その下で上記温度での脱ホウ素化が行われる撹拌速度は、好ましくは50〜100r.p.m.、より好ましくは55〜90r.p.m.、より好ましくは60〜80r.p.m.の範囲である。
【0073】
好ましくは、B−ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはB−MWW、B−BEA、B−MFI、B−CHA、B−MOR、B−MTW、B−RUB、B−LEV、B−FER、B−MEL、またはB−RTH、より好ましくはB−MWWは、液体溶媒に周囲温度および圧力で懸濁され、次いで、液体溶媒の温度は、所望の脱ホウ素化温度まで上昇させる。好ましくは、温度は、1時間当たり5〜10℃、より好ましくは1時間当たり6〜9℃の速度で上昇させる。
【0074】
(ii)の脱ホウ素化の期間に関して、特別の制限は存在しない。驚くべきことに、工程(ii)による処理をあまりに長い時間行うことは必要ないことが見出され、この所見は、例えば、経済的観点から、および特に工業規模プロセスに対して、本発明方法を非常に有利にする。好ましくは、(ii)による処理は、6〜20時間、より好ましくは7〜17時間、より好ましくは8〜15時間、より好ましくは9〜12時間の範囲の時間行われる。この時間は、液体溶媒が、上記脱ホウ素化温度下で維持される時間と理解されるべきである。
【0075】
工程(iii)
本発明の好ましい実施形態によれば、(ii)から得られた、脱ホウ素化されたゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、ゼオライト、好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWの分離、好ましい乾燥および場合によるか焼を含む後処理にかけられる。
【0076】
したがって、本発明は、
(iii)
(iii.1)ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを、液体溶媒から分離する工程;
(iii.2)分離されたゼオライト、好ましくは分離されたMWW、またはMWWでない分離されたゼオライト、より好ましくは分離されたMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくは分離されたMWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(iii.3)(iii.1)または(iii.2)から得られた、ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって、(ii)から得られたゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを後処理する工程
をさらに含む、上に定義された方法、およびそれから得られるまたは得られたゼオライト材料に関する。
【0077】
したがって、本発明は、好ましくは、
(iii)
(iii.1)MWWを液体溶媒から分離する工程;
(iii.2)分離されたMWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(iii.3)(iii.1)または(iii.2)から得られたMWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって、(ii)から得られたMWWを後処理する工程
をさらに含む、上に定義された方法、およびそれから得られるまたは得られたゼオライト材料に関する。
【0078】
(iii.1)によれば、ゼオライト、好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、好ましくは(iii)の前に冷却される、(ii)から得られた懸濁液から適切に分離される。懸濁液からゼオライト、好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを分離する方法のすべてが考えられる。これらの方法には、例えば、ろ過、限外ろ過、透析ろ過および遠心分離方法、または例えば、噴霧乾燥法および噴霧造粒法が含まれる。これらの方法の2種以上の組合せが適用され得る。本発明によれば、ゼオライト、好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、好ましくは懸濁液からろ過により分離されて、ろ過ケーキを得、これは、好ましくは水によって、好ましくは洗浄にかけられる。その後、適切な懸濁液を得るために場合によってさらに処理されたろ過ケーキは、噴霧乾燥または限外ろ過、好ましくは噴霧乾燥にかけられる。懸濁液からゼオライト、好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを分離する前に、懸濁液を濃縮することによって懸濁液のゼオライト含有量、好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH含有量、より好ましくはMWW含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用される場合、洗浄水が、1,000マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、洗浄プロセスを続けることが好ましくあり得る。
【0079】
好ましくはろ過により達成される、懸濁液からのゼオライトの分離後、および洗浄後、ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを含有する洗浄ろ過ケーキは、好ましくは、例えば、ろ過ケーキを適切なガス流、好ましくは窒素流下に、好ましくは4〜10時間、より好ましくは5〜8時間の範囲の時間置くことによって、予備乾燥にかけられる。
【0080】
その後、予備乾燥されたろ過ケーキは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中で好ましくは100〜300℃、より好ましくは150〜275℃、より好ましくは200〜250℃の範囲の温度で乾燥される。このような乾燥は、例えば、噴霧乾燥によって行うことができる。さらに、適切なろ過方法によって懸濁液からゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを分離し、続いて、洗浄し、および噴霧乾燥させることも可能である。
【0081】
乾燥後、ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中で400から700℃、より好ましくは550から675℃、より好ましくは600〜675℃の範囲の温度でか焼に場合によってかけられる。好ましくは、特に工程(iv)が以下に記載されるとおりに行われる場合、か焼は(iii)によって行われない。
【0082】
本発明によれば、(iii)から、好ましくは(iii.2)後に得られた、ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、元素Bとして計算された、好ましくは最大で0.1質量%、より好ましくは最大で0.09質量%、より好ましくは最大で0.08質量%のB含有量を有する。さらに、得られたゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、好ましくは、元素Siとして計算された、39〜45質量%、より好ましくは40〜44質量%、より好ましくは41〜43質量%の範囲のSi含有量を有する。さらに、得られた、ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、好ましくは、元素Cとして計算された、0.15〜0.30質量%、より好ましくは0.18〜0.27質量%、より好ましくは0.20〜0.25質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する。
【0083】
場合によって後処理された脱ホウ素化ゼオライト材料は、例えば、ゼオライト材料を少なくとも1種の結合剤および/または少なくとも1種の結合剤前駆体、ならびに場合によって、少なくとも1種の細孔形成剤および/または少なくとも1種の可塑剤と適切に混合することによって、例えば、成形品がゼオライト材料をベースとして調製される、その後の工程にかけることができる。
【0084】
工程(iv)
脱ホウ素化MWW関する本発明の好ましい実施形態によれば、好ましくは、(ii)または(iii)、好ましくは(iii)、より好ましくは(iii.2)から得られた後処理脱ホウ素化MWWは、少なくとも1種のヘテロ原子Het
1の組み込みをさらに施されて、構造型MWWを有し、かつ好ましくはSiおよびOならびに場合によってあらゆる残留Bに加えて、少なくとも1種のヘテロ原子Het
1を含有するゼオライト材料を得る。一般に、このようなヘテロ原子がMWWにどのように導入されるかについての特別の制限はない。好ましい方法によれば、少なくとも1種のヘテロ原子は、水熱合成によって、すなわち、高温で自生圧力下の水溶液中で導入される。
【0085】
本発明の好ましい方法によれば、適切な合成混合物、好ましくは水性合成混合物は、工程(iv.1)で調製され、この合成混合物は、MWW、少なくとも1種の適切なテンプレート化合物および少なくとも1種のヘテロ原子(Het
1)の少なくとも1種の源を含有する。適切なテンプレート化合物(構造指向剤)には、環状アミン、例えば、ピペリジンもしくはヘキサメチレンイミン、またはN,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウムヒドロキシドが含まれ、ピペリジン、ヘキサメチレンイミンおよびそれらの混合物がとりわけ好ましい。最も好ましいのは、ピペリジンである。少なくとも1種のヘテロ原子Het
1に関する限り、特別の制限は存在しない。好ましいヘテロ原子は、Ti、Al、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、In、Pb、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。Het
1としてはチタンがとりわけ好ましい。
【0086】
チタンの好ましい源に関して、酸化チタン、ハロゲン化チタンおよびテトラアルキルオルトチタネートが挙げられてもよい。しかしながら、本発明はそれらに限定されない。これらのうちで、ハロゲン化チタンおよびテトラアルキルオルトチタネートがより好ましい。より好ましいのは、四フッ化チタン、テトラエチルオルトチタネート、テトラプロピルオルトチタネートおよびテトラブチルオルトチタネートであり、テトラブチルオルトチタネートがとりわけ好ましい。
【0087】
アルミニウムの好ましい源に関して、アルミナ、硝酸アルミニウムが挙げられてもよく、硝酸アルミニウムがとりわけ好ましい。
【0088】
ジルコニウムの好ましい源に関して、酸化ジルコニウム、ハロゲン化ジルコニウムおよびジルコニウムテトラアルコキシドオキシドが挙げられてもよい。これらのうちで、ハロゲン化ジルコニウムおよびジルコニウムテトラアルコキシドがより好ましい。より好ましいのは、四フッ化ジルコニウム、ジルコニウムテトラエトキシド、およびジルコニウムテトラブトキシドである。
【0089】
バナジウムの好ましい源に関して、酸化バナジウム、ハロゲン化バナジウムおよびバナジウムトリアルコキシドオキシドが挙げられてもよい。これらのうちで、ハロゲン化バナジウムおよびバナジウムトリアルコキシドがより好ましい。より好ましいのは、三塩化バナジウムおよびバナジウムオキシトリイソプロポキシドである。
【0090】
ニオブの好ましい源に関して、酸化ニオブ、ハロゲン化ニオブおよびニオブテトラアルカノエートが挙げられてもよい。より好ましいのは、ニオブテトラアルカノエートであり、ニオブテトラキス(2−エチルヘキサノエート)がとりわけ好ましい。
【0091】
タンタルの好ましい源に関して、酸化タンタル、ハロゲン化タンタルおよび二硫化タンタルが挙げられてもよく、二硫化タンタルがとりわけ好ましい。
【0092】
クロムの好ましい源に関して、酢酸クロム、硝酸クロムおよびハロゲン化クロムが挙げられてもよく、硝酸クロムがとりわけ好ましい。
【0093】
モリブデンの好ましい源に関しては、酸化モリブデン、ハロゲン化モリブデンおよび硫化モリブデンが挙げられてもよく、三塩化モリブデンがとりわけ好ましい。
【0094】
タングステンの好ましい源に関して、酸化タングステンおよびハロゲン化タングステンが挙げられてもよく、四塩化タングステンがとりわけ好ましい。
【0095】
マンガンの好ましい源に関して、酸化マンガン、ハロゲン化マンガン、酢酸マンガンおよびマンガンアセチルアセトネートが挙げられてもよく、マンガントリスアセチルアセトネートがとりわけ好ましい。
【0096】
鉄の好ましい源に関して、酸化鉄、ハロゲン化鉄、酢酸鉄および硝酸鉄が挙げられてもよく、硝酸鉄がとりわけ好ましい。
【0097】
コバルトの好ましい源に関して、酸化コバルト、ハロゲン化コバルトおよびコバルトトリスアセチルアセトネートが挙げられてもよく、コバルトトリスアセチルアセトネートがとりわけ好ましい。
【0098】
ニッケルの好ましい源に関して、酸化ニッケル、ハロゲン化ニッケル、硝酸ニッケルおよび酢酸ニッケルが挙げられてもよく、硝酸ニッケルおよび酢酸ニッケルがとりわけ好ましい。
【0099】
亜鉛の好ましい源に関して、酸化亜鉛、ハロゲン化亜鉛、酢酸亜鉛および硝酸亜鉛が挙げられてもよく、酢酸亜鉛および硝酸亜鉛がとりわけ好ましい。
【0100】
ガリウムの好ましい源に関しては、酸化ガリウム、ハロゲン化ガリウムおよび硝酸ガリウムが挙げられてもよく、硝酸ガリウム、三塩化ガリウム、および三フッ化ガリウムがとりわけ好ましい。
【0101】
インジウムの好ましい源に関して、酸化インジウム、ハロゲン化インジウムおよびトリアルコキシインジウムが挙げられてもよく、三塩化インジウム、三フッ化インジウム、およびインジウムトリイソプロキシドがとりわけ好ましい。
【0102】
鉛の好ましい源に関して、ハロゲン化鉛およびテトラアルコキシ鉛が挙げられてもよく、酢酸鉛、塩化鉛、硝酸鉛、鉛アセチルアセトネート、および鉛がとりわけ好ましい。
【0103】
(iv.1)の合成混合物において、MWW中のHet
1のSiに対する原子比は、好ましくは0.001:1〜0.3:1、例えば、0.005:1〜0.2:1または0.01:1〜0.2:1の範囲である。
【0104】
(iv.1)で得られた合成混合物は、自生圧力下で水熱結晶化にかけられる。工程(iv.2)で少なくとも1種の適切なシーディング物質を用いて、その母液に含有される少なくとも1種のヘテロ原子(Het
1MWW)を含有する構造型MWWのゼオライト材料を得ることが考えられてもよい。好ましくは、結晶化時間は、4〜8日間、より好ましくは4〜6日間の範囲である。水熱合成の間、結晶化混合物は撹拌されてもよい。結晶化の間に適用される温度は、好ましくは160〜200℃、より好ましくは160〜180℃の範囲である。
【0105】
水熱合成後、得られた結晶質ゼオライト材料Het
1MWWは、工程(iv.3)において母液から適切に分離される。Het
1MWWをその母液から分離する方法のすべてが考えられる。これらの方法には、例えば、ろ過、限外ろ過、透析ろ過および遠心分離方法、または例えば、噴霧乾燥法および噴霧造粒法が含まれる。これらの方法の2種以上の組合せが適用され得る。本発明によれば、Het
1MWWは、好ましくはその母液からろ過により分離されて、ろ過ケーキを得、これは、好ましくは水によって、好ましくは洗浄にかけられる。
【0106】
その後、適切な懸濁液を得るために場合によってさらに処理されたろ過ケーキは、好ましくは工程(iv.4)において噴霧乾燥または限外ろ過にかけられる。Het
1MWWをその母液から分離する前に、懸濁液を濃縮することによって母液のHet
1MWW含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用される場合、洗浄水が1,000マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、洗浄プロセスを続けることが好ましい。
【0107】
好ましくはろ過によって達成される、Het
1MWWのその母液からの分離後、および洗浄後、Het
1MWWを含有する洗浄ろ過ケーキは、好ましくは、例えば、ろ過ケーキを適切なガス流、好ましくは窒素流下に、好ましくは4〜10時間、より好ましくは5〜8時間の範囲の時間置くことによって、予備乾燥にかけられる。
【0108】
その後、予備乾燥されたろ過ケーキは、好ましくは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中で100〜300℃、より好ましくは150〜275℃、より好ましくは200〜250℃の範囲の温度で乾燥される。このような乾燥は、例えば、噴霧乾燥によって行うことができる。
【0109】
乾燥後、Het
1MWWは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中で500〜700℃、より好ましくは550〜675℃、より好ましくは600〜675℃の範囲の温度で工程(iv.5)においてか焼にかけられてもよい。好ましくは、特にHet
1MWWが以下に記載されるとおりに工程(v)にかけられる場合、か焼は行われない。
【0110】
したがって、本発明は、
(iv)
(iv.1)(ii)または(iii)、好ましくは(iii)によって得られたMWW、好ましくはピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびそれらの混合物から選択されたテンプレート化合物、ならびに少なくとも1種のヘテロ原子(Het
1)(該ヘテロ原子(Het
1)は、Ti、Al、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、In、Pb、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはTiである)の少なくとも1種の源を含有する合成混合物を調製する工程;
(iv.2)(iv.1)から得られた合成混合物からHet
1MWWを水熱合成し、それにより、Het
1MWWをその母液中に得る工程;
(iv.3)Het
1MWWをその母液から分離する工程;
(iv.4)(iv.3)により分離されたHet
1MWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(iv.5)(iv.3)または(iv.4)から得られたHet
1MWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、好ましくはか焼する工程
を含む方法によって、少なくとも1種の第1のヘテロ原子(Het
1)をMWWに組み込み、それにより、少なくとも1種のヘテロ原子(Het
1MWW)を含有する構造型MWWのゼオライト材料を得る工程
をさらに含む、上に定義された方法、およびそれらから得られるまたは得られたゼオライト材料に関する。
【0111】
上記のとおり、Tiは、好ましくはHet
1としてMWWに組み込まれる。この実施形態によれば、(iv)から得られたTiMWWは、好ましくは、元素Tiとして計算された、2.0〜3.0質量%の範囲、より好ましくは2.1〜2.7質量%の範囲、より好ましくは2.2〜2.6質量%、より好ましくは2.3〜2.5質量%の範囲のTi含有量を有する。さらに、得られたTiMWWは、好ましくは、元素Siとして計算された、34〜40質量%、より好ましくは35〜39質量%、より好ましくは36〜38質量%の範囲のSi含有量を有する。さらに、得られたTiMWWは、好ましくは、元素Cとして計算された、7.0〜8.0質量%、より好ましくは7.2〜7.8質量%、より好ましくは7.4〜7.6質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する。
【0112】
したがって、本発明はまた、
上記のとおり定義され、かつ
(iv)
(iv.1)(ii)または(iii)、好ましくは(iii)によって得られたMWW、好ましくはピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択されたテンプレート化合物、ならびにTiの少なくとも1種の源を含有する合成混合物を調製する工程;
(iv.2)(iv.1)から得られた合成混合物からTiMWWを水熱合成し、それによりTiMWWをその母液中に得る工程;
(iv.3)TiMWWをその母液から分離する工程;
(iv.4)(iv.3)により分離されたTiMWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(iv.5)(iv.3)または(iv.4)から得られたTiMWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で場合によってか焼する工程
を含む方法によって、TiをMWWに組み込み、それにより、Tiを含有する構造型MWWのゼオライト材料(TiMWW)を得る工程
をさらに含む、Tiを含有するゼオライト構造MWWのゼオライト材料(TiMWW)の製造方法、およびこの方法によって得られるまたは得られたTiMWWに関する。
【0113】
なおさらに、本発明は、元素Tiとして計算された、2.1〜2.7質量%、より好ましくは2.2〜2.6質量%、より好ましくは2.3〜2.5質量%の範囲のTi含有量、元素Siとして計算された、34〜40質量%、より好ましくは35〜39質量%、より好ましくは36〜38質量%の範囲のSi含有量、元素Cとして計算された、7.0〜8.0質量%、より好ましくは7.2〜7.8質量%、より好ましくは7.4〜7.6質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する、Tiを含有するゼオライト構造MWWのゼオライト材料(TiMWW)に関する。
【0114】
(iv)から得られたHet
1MWWは、例えば、ゼオライト材料を少なくとも1種の結合剤および/または少なくとも1種の結合剤前駆体、ならびに場合によって少なくとも1種の細孔形成剤および/または少なくとも1種の可塑剤と適切に混合することによって、例えば、成形品がゼオライト材料をベースとして調製される、その後の工程にかけることができる。
【0115】
工程(v)
本発明の好ましい実施形態によれば、(iv)から得られたHet
1MWWは、さらなる工程(v)で酸処理にかけられる。
【0116】
工程(v)によれば、Het
1MWWを工程(v.1)において、好ましくは水を含み、より好ましくは水からなり、かつ少なくとも1種の酸を含有する液体溶媒に懸濁させることが好ましい。液体溶媒に含有される適切な酸は、例えば、無機および/または有機酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、または酒石酸である。より好ましくは、液体溶媒は、少なくとも1種の無機酸、より好ましくは硝酸を含有する。
【0117】
その後の工程(v.2)において、(v.2)から得られた懸濁液は、好ましくは75〜125℃、より好ましくは85〜115℃、より好ましくは95〜105℃の範囲の温度に、好ましくは17〜25時間、より好ましくは18〜22時間の範囲の時間加熱される。
【0118】
工程(v.2)における酸処理後、得られたHet
1MWWは、好ましくは、酸をさらに含む懸濁液から適切に分離される。Het
1MWWを懸濁液から分離する方法のすべてが考えられる。これらの方法には、例えば、ろ過、限外ろ過、透析ろ過および遠心分離方法、または例えば、噴霧乾燥法および噴霧造粒法が含まれる。これらの方法の2種以上の組合せが適用され得る。本発明によれば、Het
1MWWは、好ましくは懸濁液からろ過により分離されて、ろ過ケーキを得、これは、好ましくは水によって、好ましくは洗浄にかけられる。
【0119】
その後、適切な懸濁液を得るために場合によってさらに処理されたろ過ケーキは、噴霧乾燥または限外ろ過にかけられる。Het
1MWWを懸濁液から分離する前に、懸濁液を濃縮することによって、懸濁液のHet
1MWW含有量を増加させることが可能である。洗浄が適用される場合、洗浄水が1,000マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、洗浄プロセスを続けることが好ましくあり得る。
【0120】
好ましくはろ過によって達成される、懸濁液からのHet
1MWWの分離後、および洗浄後、Het
1MWWを含有する洗浄ろ過ケーキは、好ましくは、例えば、ろ過ケーキを適切なガス流、好ましくは窒素流下に、好ましくは4〜10時間、より好ましくは5〜8時間の範囲の時間置くことによって、予備乾燥にかけられる。
【0121】
その後、予備乾燥ろ過ケーキは、好ましくは、工程(v.4)において、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中100〜300℃、より好ましくは150〜275℃、より好ましくは200〜250℃の範囲の温度で乾燥される。このような乾燥は、例えば、噴霧乾燥によって行うことができる。さらに、適切なろ過方法によってHet
1MWWを懸濁液から分離し、続いて、洗浄し、および噴霧乾燥させることが可能である。
【0122】
乾燥後、Het
1MWWは、好ましくは、工程(v.5)において、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中500〜700℃、より好ましくは550〜675℃、より好ましくは600〜675℃の範囲の温度でか焼にかけられる。
【0123】
したがって、本発明は、
(v)(iv)から得られたHet
1MWWを、
(v.1)Het
1MWWを液体溶媒、好ましくは水に懸濁させる工程であって、前記溶媒系は、少なくとも1種の酸を含有する、好ましくは硝酸を含有する工程;
(v.2)(v.1)から得られた懸濁液を、75〜125℃の範囲の温度で17〜25時間の範囲の時間加熱する工程;
(v.3)酸処理されたHet
1MWWを懸濁液から分離する工程;
(v.4)(v.3)によって分離されたHet
1MWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(v.5)(v.3)または(v.4)から得られたHet
1MWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、好ましくはか焼する工程
を含む方法によって、酸処理する工程
をさらに含む、上に定義された方法、およびそれから得られるまたは得られたゼオライト材料に関する。
【0124】
上記のとおり、Tiは、好ましくはMWW中にHet
1として組み込まれる。この実施形態によれば、(v)から得られたTiMWWは、好ましくは、元素Tiとして計算された、1.3〜1.9質量%、より好ましくは1.4〜1.8質量%、より好ましくは1.5〜1.7質量%の範囲のTi含有量、好ましくは、元素Siとして計算された、39.5〜45.5質量%、より好ましくは40.5〜44.5質量%、より好ましくは41.5〜43.5質量%の範囲のSi含有量、および好ましくは、元素Cとして計算された、0.10〜0.25質量%、より好ましくは0.11〜0.20質量%、より好ましくは0.13〜0.18質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する。
【0125】
したがって、本発明はまた、上記のとおりに定義され、かつ
(v)(iv)から得られたTiMWWを、
(v.1)TiMWWを液体溶媒、好ましくは水に懸濁させる工程であって、前記溶媒系は、少なくとも1種の酸を含有する、好ましくは硝酸を含有する工程;
(v.2)(v.1)から得られた懸濁液を、75〜125℃の範囲の温度で17〜25時間の範囲の時間加熱する工程;
(v.3)酸処理されたTiMWWを懸濁液から分離する工程;
(v.4)(v.3)によって分離されたTiMWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(v.5)(v.3)または(v.4)から得られたTiMWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、好ましくはか焼する工程
を含む方法によって、酸処理する工程
をさらに含む、Tiを含有するゼオライト構造MWWのゼオライト材料(TiMWW)の製造方法、およびこの方法によって得られるまたは得られたTiMWWに関する。
【0126】
なおさらに、本発明は、元素Tiとして計算された、1.3〜1.9質量%、より好ましくは1.4〜1.8質量%、より好ましくは1.5〜1.7質量%の範囲のTi含有量、好ましくは、元素Siとして計算された、39.5〜45.5質量%、より好ましくは40.5〜44.5質量%、より好ましくは41.5〜43.5質量%の範囲のSi含有量、および好ましくは、元素Cとして計算された、0.10〜0.25質量%、より好ましくは0.11〜0.20質量%、より好ましくは0.13〜0.18質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する、Tiを含有するゼオライト構造MWWのゼオライト材料(TiMWW)に関する。
【0127】
(v)から得られたHet
1MWWは、例えば、ゼオライト材料を少なくとも1種の結合剤および/または少なくとも1種の結合剤前駆体、ならびに場合によって、少なくとも1種の細孔形成剤および/または少なくとも1種の可塑剤と適切に混合することによって、例えば、成形品がゼオライト材料をベースとして調製される、その後の工程にかけることができる。
【0128】
工程(vi)
本発明の実施形態によれば、(v)から得られたHet
1MWWは、少なくとも1種の第2のヘテロ原子Het
2がHet
1MWWに組み込まれる、さらなる工程(vi)にかけられる。
【0129】
この実施形態によれば、(iv)または(v)から得られたHet
1MWWは、好ましくは、工程(vi.1)において、好ましくは水を含む、より好ましくは水からなる液体溶媒に懸濁される。さらに、液体溶媒は、Het
2含有前駆体とも称される、Het
2の少なくとも1種の適切な源を含有する。第2のヘテロ原子Het
2としては、Ti、Al、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、In、Sn、Pb、およびそれらの2種以上の混合物が好ましい。一般に、Het
2は、Het
1と同じであってもよい。好ましくは、Het
2は、Het
1と異なる。本発明によれば、Znが最も好ましい。
【0130】
亜鉛の好ましい源に関して、酸化亜鉛、ハロゲン化亜鉛、酢酸亜鉛および硝酸亜鉛が挙げられてもよく、酢酸亜鉛および硝酸亜鉛がとりわけ好ましい。
【0131】
チタンの好ましい源に関して、酸化チタン、ハロゲン化チタンおよびテトラアルキルオルトチタネートが挙げられてもよい。しかしながら、本発明はそれらに限定されない。これらのうちで、ハロゲン化チタンおよびテトラアルキルオルトチタネートがより好ましい。より好ましいのは、四フッ化チタン、テトラエチルオルトチタネート、テトラプロピルオルトチタネートおよびテトラブチルオルトチタネートであり、テトラブチルオルトチタネートがとりわけ好ましい。
【0132】
アルミニウムの好ましい源に関して、アルミナ、硝酸アルミニウムが挙げられてもよく、硝酸アルミニウムがとりわけ好ましい。
【0133】
ジルコニウムの好ましい源に関して、酸化ジルコニウム、ハロゲン化ジルコニウムおよびジルコニウムテトラアルコキシドが挙げられてもよい。これらのうちで、ハロゲン化ジルコニウムおよびジルコニウムテトラアルコキシドがより好ましい。より好ましいのは、四フッ化ジルコニウム、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラブトキシドである。
【0134】
バナジウムの好ましい源に関して、酸化バナジウム、ハロゲン化バナジウムおよびバナジウムトリアルコキシドオキシドが挙げられてもよい。これらのうちで、ハロゲン化バナジウムおよびバナジウムトリアルコキシドオキシドがより好ましい。より好ましいのは、三塩化バナジウムおよびバナジウムオキシトリイソプロポキシドである。
【0135】
ニオブの好ましい源に関して、酸化ニオブ、ハロゲン化ニオブおよびニオブテトラアルカノエートが挙げられてもよい。より好ましいのは、ニオブテトラアルカノエートであり、ニオブテトラキス(2−エチルヘキサノエート)がとりわけ好ましい。
【0136】
タンタルの好ましい源に関して、酸化タンタル、ハロゲン化タンタルおよび二硫化タンタルが挙げられてもよく、二硫化タンタルがとりわけ好ましい。
【0137】
クロムの好ましい源に関して、酢酸クロム、硝酸クロムおよびハロゲン化クロムが挙げられてもよく、硝酸クロムがとりわけ好ましい。
【0138】
モリブデンの好ましい源に関して、酸化モリブデン、ハロゲン化モリブデンおよび硫化モリブデンが挙げられてもよく、三塩化モリブデンがとりわけ好ましい。
【0139】
タングステンの好ましい源に関して、酸化タングステンおよびハロゲン化タングステンが挙げられてもよく、四塩化タングステンがとりわけ好ましい。
【0140】
マンガンの好ましい源に関して、酸化マンガン、ハロゲン化マンガン、酢酸マンガンおよびマンガンアセチルアセトネートが挙げられてもよく、マンガントリスアセチルアセトネートがとりわけ好ましい。
【0141】
鉄の好ましい源に関しては、酸化鉄、ハロゲン化鉄、酢酸鉄および硝酸鉄が挙げられてもよく、硝酸鉄がとりわけ好ましい。
【0142】
コバルトの好ましい源に関して、酸化コバルト、ハロゲン化コバルトおよびコバルトトリスアセチルアセトネートが挙げられてもよく、コバルトトリスアセチルアセトネートがとりわけ好ましい。
【0143】
ニッケルの好ましい源に関して、酸化ニッケル、ハロゲン化ニッケル、硝酸ニッケルおよび酢酸ニッケルが挙げられてもよく、硝酸ニッケルおよび酢酸ニッケルがとりわけ好ましい。
【0144】
ガリウムの好ましい源に関して、酸化ガリウム、ハロゲン化ガリウムおよび硝酸ガリウムが挙げられてもよく、硝酸ガリウム、三塩化ガリウム、および三フッ化ガリウムがとりわけ好ましい。
【0145】
インジウムの好ましい源に関して、酸化インジウム、ハロゲン化インジウムおよびトリアルコキシインジウムが挙げられてもよく、三塩化インジウム、三フッ化インジウム、およびインジウムトリイソプロキシドがとりわけ好ましい。
【0146】
スズの好ましい源に関して、ハロゲン化スズおよびテトラアルコキシスズが挙げられてもよく、四塩化スズ、四フッ化スズ、テトラエトキシスズ、およびテトラ−tert−ブトキシスズがとりわけ好ましい。
【0147】
鉛の好ましい源に関して、ハロゲン化鉛およびテトラアルコキシ鉛が挙げられてもよく、酢酸鉛、塩化鉛、硝酸鉛、鉛アセチルアセトネート、および鉛がとりわけ好ましい。
【0148】
(vi.1)の懸濁液において、Het
1MWWにおいてHet
2のSiに対する比は、好ましくは0.001:1〜0.3:1の範囲である。特に、Zn含有前駆体に関する限り、以下に記載される好ましいZnTiMWWを得ることを可能にする量でそれを用いることが好ましい。
【0149】
その後の工程(vi.2)において、(vi.1)から得られた懸濁液は、好ましくは75〜125℃、より好ましくは85〜115℃、より好ましくは95〜105℃の範囲の温度に、好ましくは3〜6時間、より好ましくは3.5〜5時間の範囲の時間加熱される。したがって、Het
2は、Het
1MWW上に湿式含浸される。
【0150】
代替として、少なくともHet
2含有前駆体を含有する液体溶媒を調製し、液体溶媒をHet
1MWW上に噴霧することによって、少なくとも1種のHet
2をHet
1MWW中に組み込むことが考えられる。噴霧と湿式含浸との適切な組合せも可能である。
【0151】
含浸後、得られたHet
2Het
1MWWは、好ましくは懸濁液から適切に分離される。Het
2Het
1MWWを懸濁液から分離する方法のすべてが考えられる。とりわけ好ましくは、分離は、ろ過、限外ろ過、透析ろ過または遠心分離方法によって行われる。これらの方法の2種以上の組合せが適用され得る。本発明によれば、Het
2Het
1MWWは、好ましくはろ過により懸濁液から分離されて、ろ過ケーキを得、これは、好ましくは水によって、好ましくは洗浄にかけられる。洗浄が適用される場合、洗浄水が1,000マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは900マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは800マイクロシーメンス/cm未満、より好ましくは700マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、洗浄プロセスを続けることが好ましい。
【0152】
その後、好ましくは洗浄ろ過ケーキは、例えば、ろ過ケーキを適切なガス流、好ましくは窒素流下に、好ましくは5〜15時間、より好ましくは8〜12時間の範囲の時間置くことによって、予備乾燥にかけられる。
【0153】
したがって、本発明は、
(vi)
(vi.1)Het
1MWWを液体溶媒、好ましくは水に懸濁させる工程であって、前記液体溶媒は、少なくとも1種のHet
2含有前駆体、好ましくは少なくとも1種のHet
2塩を含有し、第2のヘテロ原子(Het
2)は、好ましくはTi、Al、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、In、Sn、Pb、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはZnである工程;
(vi.2)(v.1)から得られた懸濁液を、75〜125℃の範囲の温度に3〜6時間の範囲の時間加熱する工程;
(vi.3)Het
2Het
1MWWを懸濁液から場合によって分離する工程
を含む方法によって、少なくとも1種の第2のヘテロ原子(Het
2)をHet
1MWW中に組み込み、それにより、少なくとも2種のヘテロ原子を含有する構造型MWWのゼオライト材料(Het
2Het
1MWW)を得る工程
をさらに含む、上に定義された方法、およびそれから得られるまたは得られたゼオライト材料に関する。
【0154】
上記のとおり、Tiは、好ましくはHet
1として組み込まれ、Znは、好ましくはHet
2として組み込まれる。本発明によれば、好ましくは洗浄および好ましくは予備乾燥後、(vi.2)において含浸から得られたZnTiMWWは、好ましくは、元素Znとして計算された、1.0〜2.0質量%の範囲のZn含有量、好ましくは、元素Tiとして計算された、1.0〜2.0質量%の範囲のTi含有量、好ましくは、元素Siとして計算された、39〜45質量%の範囲のSi含有量、および好ましくは、元素Cとして計算された、1.1〜1.7質量%、より好ましくは1.2〜1.6質量%、より好ましくは1.3〜1.5質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有する。
【0155】
したがって、本発明は、
(vi)
(vi.1)TiMWWを液体溶媒、好ましくは水に懸濁させる工程であって、前記液体溶媒は、少なくとも1種のZn含有前駆体を含有する工程;
(vi.2)(v.1)から得られた懸濁液を、75〜125℃の範囲の温度で3〜6時間の範囲の時間加熱し、得られたZnTiMWWを場合によって洗浄し、および予備乾燥させる工程;
(vi.3)ZnTiMWWを懸濁液から場合によって分離する工程
を含む方法によって、ZnをTiMWW中に組み込み、それにより、ZnおよびTiを含有する構造型MWWのゼオライト材料(ZnTiMWW)を得る工程液体溶媒
をさらに含む、ZnおよびTiを含有するゼオライト構造MWWのゼオライト材料(ZnTiMWW)の製造方法、およびこの方法によって得られるまたは得られたZnTiMWWに関する。
【0156】
なおさらには、本発明は、好ましくは、元素Znとして計算された、1.0〜2.0質量%の範囲のZn含有量、好ましくは、元素Tiとして計算された、1.0〜2.0質量%の範囲のTi含有量、好ましくは、元素Siとして計算された、39〜45質量%の範囲のSi含有量、および好ましくは、元素Cとして計算された、1.1〜1.7質量%、より好ましくは1.2〜1.6質量%、より好ましくは1.3〜1.5質量%の範囲のC含有量(全有機炭素、TOC)を有して、ZnおよびTiを含有するゼオライト構造MWWのゼオライト材料(ZnTiMWW)に関する。
【0157】
Het
2Het
1MWW、好ましくは(vi.3)における分離、場合によって続いて、洗浄および予備乾燥から得られたZnTiMWWは、好ましくは予備乾燥ろ過ケーキが、好ましくは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中100〜300℃、より好ましくは150〜275℃、より好ましくは200〜250℃の範囲の温度で乾燥される乾燥段階に渡すことができる。本発明のこの文脈において、乾燥は、噴霧乾燥などの急速乾燥方法によって行われずに、適切なオーブンなどにおける乾燥などの従来の乾燥によって行われることが理解されるべきである。乾燥後、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWは、工業用窒素、空気、または希薄空気などの適切な雰囲気中、好ましくは空気または希薄空気中500〜700℃、より好ましくは550〜675℃、より好ましくは600〜675℃の範囲の温度でか焼にかけられてもよい。このか焼は、好ましくはマッフル炉、回転炉および/またはベルトか焼炉で行われ、か焼は、一般に0.5時間以上、例えば、0.25〜12時間、好ましくは0.5〜6時間の範囲の時間行われる。か焼の間、温度を一定に保つこと、または温度を連続的もしくは不連続的に変化させることが可能である。か焼が2回以上行われる場合、個別の工程におけるか焼温度は、異なっていても、同一であってもよい。か焼温度は、好ましくは700℃まで、好ましくは400〜700℃、より好ましくは500〜700℃、より好ましくは600〜700℃、より好ましくは625〜675℃の範囲である。
【0158】
このようにして得られたHet
2Het
1MWWは、例えば、ゼオライト材料を少なくとも1種の結合剤および/または少なくとも1種の結合剤前駆体、ならびに場合によって少なくとも1種の細孔形成剤および/または少なくとも1種の可塑剤と適切に混合することによって、例えば、成形品がゼオライト材料をベースとして調製される、その後の工程にかけることができる。
【0159】
本発明の好ましい実施形態によれば、分離され、場合によって洗浄および予備乾燥されたHet
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWは、急速乾燥、好ましくは工程(vi.4)における噴霧乾燥、好ましくは続いて、(vi.4)から得られた噴霧粉末をか焼する工程(vi.5)にかけられる。工程(vi.4)に関する限り、分離され、場合によって洗浄および予備乾燥されたHet
2Het
1MWWに基づいて、水性懸濁液が調製されることが好ましく、これは、前記(vi.4)における噴霧乾燥にかけられる。噴霧乾燥から、噴霧粉末が得られる。
【0160】
一般に、この噴霧粉末は、任意の量でHet
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWを含有することが考えられる。例えば、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWは別として、噴霧粉末は、結合剤材料として作用する少なくとも1種の化合物をさらに含有することが考えられてもよい。このような結合剤の例は、金属酸化物、例えば、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2、ZrO
2、もしくはMgOなど、またはクレー、あるいはこれらの酸化物の2種以上の混合物、あるいはSi、Al、Ti、Zr、およびMgの少なくとも2種の混合酸化物である。クレー物質および自然に存在するまたは合成的に製造されたアルミナ、例えば、アルファ−アルミナ、ベータ−アルミナ、ガンマ−アルミナ、デルタ−アルミナ、イータ−アルミナ、カッパ−アルミナ、カイ−アルミナまたはシータ−アルミナなど、およびそれらの無機または有機金属前駆体化合物、例えば、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイトもしくは擬ベーマイト、またはトリアルコキシアルミネート、例えば、アルミニウムトリイソプロピレートは、Al
2O
3結合剤として特に好ましい。さらに考えられる結合剤は、極性および非極性部分を有する両親媒性化合物ならびに黒鉛であり得る。さらなる結合剤は、例えば、クレー、例えば、モンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ヘクトライト、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライトまたはアナキサイト(anaxites)などであり得る。この考えられる実施形態によれば、噴霧粉末は、噴霧粉末の質量に対して、95質量%まで、または90質量%まで、または85質量%まで、または80質量%まで、または75質量%まで、または70質量%まで、または65質量%まで、または60質量%まで、または55質量%まで、または50質量%まで、または45質量%まで、または40質量%まで、または35質量%まで、または30質量%、または25質量%、または20質量%、または15質量%、または10質量%、または5質量%の1種または複数の結合剤材料を含有し得る。
【0161】
これらの結合剤は、そのままで、または噴霧乾燥および/またはその後のか焼の間に所望の結合剤を形成する適切な前駆体化合物の形態で用いることができる。このような結合剤前駆体の例は、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタネート、テトラアルコキシジルコネート、あるいは2種以上の異なるテトラアルコキシシランの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコキシチタネートの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコキシジルコネートの混合物、または少なくとも1種のテトラアルコキシシランと少なくとも1種のテトラアルコキシチタネートとの、もしくは少なくとも1種のテトラアルコキシシランと少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートとの、もしくは少なくとも1種のテトラアルコキシチタネートと少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートとの混合物、または少なくとも1種のテトラアルコキシシランと、少なくとも1種のテトラアルコキシチタネートと、少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートとの混合物である。本発明の文脈において、SiO
2を全面的もしくは部分的のいずれかで含むか、またはSiO
2が形成されるSiO
2の前駆体である結合剤が、好ましくあり得る。この文脈において、コロイドシリカと、いわゆる「湿式法」シリカおよびいわゆる「乾式法」シリカの両方ともを用いることができる。特に好ましくは、このシリカは非晶質シリカであり、シリカ粒子のサイズは、例えば、5〜100nmの範囲であり、シリカ粒子の表面積は、50〜500m
2/gの範囲である。好ましくはアルカリ性および/またはアンモニア性溶液として、より好ましくはアンモニア性溶液としての、コロイドシリカは、とりわけ、例えば、Ludox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)またはSnowtex(登録商標)として市販されている。「湿式法」シリカは、とりわけ、例えば、Hi−Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron−Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)またはNipsil(登録商標)として市販されている。「乾式法」シリカは、とりわけ、例えば、Aerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)またはArcSilica(登録商標)として市販されている。とりわけ、コロイドシリカのアンモニア性溶液が本発明において好ましい。
【0162】
本発明の好ましい実施形態によれば、懸濁液が(vi.4)によって調製される場合、結合剤も結合剤前駆体も、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWを含有する懸濁液に添加されない。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、(ii)によって噴霧乾燥にかけられる懸濁液は、結合剤も結合剤の前駆体も含有しない。
【0163】
必要に応じて、(vi.4)による懸濁液が調製される場合、少なくとも1種の細孔形成剤が添加され得る。用いられてもよい細孔形成剤は、好ましくは水または水性溶媒混合物に分散性、懸濁性もしくは乳濁性であるポリマーである。このようなポリマーは、ポリマー性ビニル化合物、例えば、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドなど)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルなど、炭水化物、例えば、セルロースもしくはセルロース誘導体(例えば、メチルセルロースなど)、または糖もしくは天然繊維であってもよい。さらなる適切な細孔形成剤は、例えば、パルプまたは黒鉛であってもよい。望ましい細孔特性が達成される場合、2種以上の細孔形成剤の混合物が用いられてもよい。本発明による方法の特に好ましい実施形態において、細孔形成剤は、(vi.5)によるか焼によって除去されて、噴霧粉末を与える。
【0164】
本発明の好ましい実施形態によれば、懸濁液が(vi.4)によって調整される場合、細孔形成剤は添加されない。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、(vi.4)によって噴霧乾燥にかけられる懸濁液は、細孔形成剤を含有しない。
【0165】
Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiWWに関して(vi.4)で準備される懸濁液の文脈に関する限り、特別の制限は存在しない。好ましくは、以上で検討されたとおりの噴霧粉末の調製を可能にするような濃度が選択される。好ましくは、(vi.4)で準備される懸濁液は、5〜25質量%、好ましくは10〜20質量%の範囲の固形分を有する。好ましい範囲は、10〜15質量%、または11〜16質量%、または12〜17質量%、または13〜18質量%、または14〜19質量%、または15〜20質量%である。
【0166】
懸濁液を準備する場合、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWは、任意の適切な液体または2種以上の液体の混合物に懸濁され得る。好ましくは、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWは、水、または水と少なくとも1種のさらなる適切な液体との混合物に懸濁される。最も好ましくは、Het
2Het
1MWW、好ましくは、ZnTiMWWは、唯一の液体として水に懸濁される。したがって、(vi.4)で準備される懸濁液は、好ましくは水性懸濁液である。
【0167】
したがって、好ましい実施形態によれば、(vi.4)で準備され、噴霧乾燥にかけられる懸濁液は、以上に検討されたとおりのHet
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWW、および水から本質的になる。好ましくは、懸濁液の含有量は、(vi.4)で噴霧乾燥にかけられる場合、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWW、および水に関して、懸濁液の全質量に対して、少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%である。
【0168】
(vi.4)によれば、準備された懸濁液は、好ましくは噴霧乾燥にかけられる。
【0169】
一般に、噴霧乾燥は、例えば、十分に分散された液体−固体スラリーまたは懸濁液を適切なアトマイザに供給し、その後、高温ガスの流れにおいてフラッシュ乾燥させることによって、スラリーまたは懸濁液を乾燥させる直接法である。それにより、スラリーまたは懸濁液は、ノズル、霧化ディスクまたは他の適切な霧化手段(例えば、Arthur Lefebvre、「Atomisation and Sprays」、Hemisphere Publishing Corporation、1989年、ISBN 0−89116−603−3が挙げられる)を連続的に通過させられ、少なくとも1つの高温ガスで適切に加熱されている乾燥チャンバ中に噴霧される。噴霧乾燥は一般に、噴霧区画への固体の戻しなしで、またはそれとともに(凝集モード)のいずれかで、連続的に行われる。噴霧乾燥は、例えば、K.Masters、「Spray Drying Handbook」、Longman Scientific & Technical、1991年、ISBN 0−582−06266−7に開示されている。上に記載されたアトマイザは、いくつかの異なるタイプのものがあり得る。最も一般的なものは、ホイールまたは円板の高速回転を用いて、スラリーを液滴に離散させ、これはホイールからチャンバの中にスピンアウトし、チャンバ壁に当たる前にフラッシュ乾燥されるホイールアトマイザである。霧化はまた、スラリーを小ノズルに押し通す静水圧に依存する一成分ノズルによって行われてもよい。二成分ノズルなどの多成分ノズルも用いられ、ここで、ガス圧がスラリーをノズルに押し通すために用いられる。回転噴霧器の使用も考えられる。
【0170】
本発明によれば、100〜500℃の範囲、好ましくは150〜450℃の範囲、より好ましくは200〜400℃の範囲、より好ましくは250〜350℃の範囲、より好ましくは275〜325℃の範囲の温度を有する乾燥ガスを用いることがとりわけ好ましい。乾燥ガスとして、空気、希薄空気、または10容積%まで、好ましくは5容積%まで、より好ましくは、例えば、2容積%までのような、5容積%未満の酸素含有量を有する酸素−窒素混合物が用いられてもよい。乾燥ガスとして不活性ガスを用いることが好ましい。工業用窒素は、とりわけ乾燥ガスとして好ましい。乾燥ガスの流量は、好ましくは400〜700kg/時間、より好ましくは500〜600kg/時間、より好ましくは525〜575kg/時間の範囲、例えば、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、または575kg/時間である。
【0171】
本発明によれば、10〜100℃の範囲、好ましくは15〜75℃の範囲、より好ましくは20〜50℃の範囲、より好ましくは20〜30℃の範囲の温度を有するノズルガスを用いることがとりわけ好ましい。ノズルガスとして、空気、希薄空気、または10容積%まで、好ましくは5容積%まで、より好ましくは、例えば、2容積%までのような、5容積%未満の酸素含有量を有する酸素−窒素混合物が用いられてもよい。ノズルガスとして不活性ガスを用いることが好ましい。工業用窒素は、とりわけノズルガスとして好ましい。ノズルガスの流量は、好ましくは10〜50kg/時間、より好ましくは15〜35kg/時間、より好ましくは20〜25kg/時間の範囲である。
【0172】
ノズルとして、二成分ノズルがとりわけ好ましい。特に、このような二成分ノズルは、2〜6mm、好ましくは3〜5mm、より好ましくは3.5〜4.5mm、より好ましくは3.9〜4.1mmの範囲、より好ましくは4mmの直径を有する。
【0173】
さらに、噴霧されるスラリーと一緒に乾燥ガスが、その構成を通過する、除湿機、フィルタ、およびスクラバで、好ましくはこの配列で、構成された噴霧塔を用いることが好ましい。この実施形態によれば、以上に記載されたとおりの乾燥ガスの温度は、除湿機に通される乾燥の初期温度として理解されるべきである。
【0174】
したがって、本発明は、(vi.4)において、噴霧装置、好ましくは噴霧塔が、懸濁液を噴霧乾燥するために用いられ、前記装置は、少なくとも1つの噴霧ノズル、好ましくは少なくとも1つの二物質ノズル、より好ましくは1つの二物質ノズルを有し、前記ノズルは、3.5〜4.5mm、好ましくは3.9〜4.1mmの範囲の直径を有する、上に定義された方法に関する。
【0175】
さらに、本発明は、(vi.4)において、噴霧装置、好ましくは噴霧塔が、懸濁液を噴霧乾燥させるために用いられ、前記装置は、20〜50℃の範囲、好ましくは20〜30℃の範囲の温度を有するノズルガス、および250〜350℃、好ましくは275〜325℃の範囲の温度を有する乾燥ガスで操作され、前記ノズルガスは、好ましくは不活性ガス、より好ましくは工業用窒素であり、および前記乾燥ガスは、好ましくは不活性ガス、より好ましくは工業用窒素である、前記方法に関する。
【0176】
(vi.4)から得られる噴霧粉末は、好ましくは少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも4質量%、より好ましくは少なくとも3質量%、より好ましくは少なくとも2質量%の好ましい残留水分含量を有する。
【0177】
さらに、本発明はまた、上で検討されたとおりの方法によって得られるまたは得られた、噴霧粉末に関する。
【0178】
(vi.5)によれば、(vi.4)から得られた噴霧粉末は、場合によってか焼される。本発明によれば、(vi.4)から得られた噴霧粉末をか焼にかけることが好ましい。
【0179】
噴霧粉末のか焼は、任意の適切なガス雰囲気下で行うことができ、空気および/または希薄空気が好ましい。さらに、か焼は、好ましくはマッフル炉、回転炉および/またはベルトか焼炉で行われ、か焼は一般に、0.5時間以上、例えば、0.25〜12時間、好ましくは0.5〜6時間、より好ましくは1〜3時間の範囲の時間行われる。か焼の間、温度を一定に保つか、または温度を連続的もしくは不連続的に変化させることが可能である。か焼が2回以上行われる場合、個別の工程におけるか焼温度は、異なっていても、同一であってもよい。か焼温度は、好ましくは700℃まで、好ましくは400〜700℃、より好ましくは500〜700℃、より好ましくは600〜700℃、より好ましくは625〜675℃、例えば、625〜645℃、または635〜655℃、または645〜665℃、または655〜675℃の範囲である。
【0180】
したがって、本発明は、
(vi)
(vi.1)Het
1MWWを液体溶媒、好ましくは水に懸濁させる工程であって、前記液体溶媒は、少なくとも1種のHet
2含有前駆体、好ましくは少なくとも1種のHet
2塩を含有し、第2のヘテロ原子(Het
2)は、好ましくはTi、Al、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、In、Sn、Pb、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはZnである工程;
(vi.2)(v.1)から得られた懸濁液を75〜125℃の範囲の温度に3〜6時間の範囲の時間加熱する工程;
(vi.3)Het
2Het
1MWWを懸濁液から分離する工程;
(vi.4)(vi.3)により分離されたHet
2Het
1MWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(vi.5)(vi.3)または(vi.4)から得られたHet
2Het
1MWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって、少なくとも1種の第2のヘテロ原子(Het
2)、好ましくはZnを、Het
1MWW、好ましくはTiMWW中に組み込み、それにより、少なくとも2種のヘテロ原子を含有する構造型MWWのゼオライト材料(Het
2Het
1MWW)、好ましくはZnTiMWWを得る工程
をさらに含む、少なくとも1種のヘテロ原子Het
1および少なくとも1種のヘテロ原子Het
2を有するゼオライト構造MWWのゼオライト材料(Het
2Het
1MWW)、好ましくはZnTiMWWの製造方法、およびこの方法によって得られるまたは得られた、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWに関する。
【0181】
工程(vi.4)による前記噴霧乾燥、および好ましくはその後の工程(vi.5)におけるか焼から、噴霧粉末は好ましくは得られ、その粒子は、少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有し、前記噴霧粉末は、DIN66133に従ってHgポロシメトリによって決定して2〜50nmの範囲の平均細孔直径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、噴霧粉末の質量に対して、少なくとも95質量%のゼオライト材料Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWを含む。本発明の文脈で言及される場合の「Dv10値」という用語は、噴霧粉末の粒子の10容積%が、比較的小さいサイズを有する平均粒径を表す。好ましくは、Dv10値は、少なくとも2.5、より好ましくは少なくとも3である。本発明によれば、Dv10値は、100gの脱イオン水中1.0gの噴霧粉末の懸濁液を調製し、この懸濁液を1分間撹拌し、Mastersizer S長床バージョン2.15、シリアルナンバ33544−325;供給者:Malvern Instruments GmbH、Herrenberg、独国において、以下の装置パラメータ:
− 焦点幅: 300RFmm
− ビーム長: 10.00mm
− モジュール: MS17
− シャドーイング 16.9%
− 分散モデル: 3$$D
− 分析モデル: 多分散
− 補正: なし
によって、Dv10値を測定することによって決定される。
【0182】
本発明の文脈で使用される場合の「4V/A」という用語は、2〜50nmの間の細孔の累積表面に関するAで除した、2〜50nmの間の細孔の累積容積Vの4倍に関する。
【0183】
本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWW含有噴霧粉末は、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWゼオライト材料そのまま以外の化合物を本質的に含有しない。好ましくは本発明の噴霧粉末は、噴霧粉末の質量に対して、少なくとも95、より好ましくは少なくとも96質量%、より好ましくは少なくとも97質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.7質量%のHet
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWを含む。
【0184】
本発明によれば、X線回折(XRD)分析により決定して、本発明噴霧粉末に含有されるHet
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWの結晶化度は、広い範囲で変わってもよい。例えば、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWの結晶化度は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%であってもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、本発明噴霧粉末に含有されるHet
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWの結晶化度は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%である。それぞれの値は、プラス/マイナス10%の測定誤差を有すると理解されるべきである。
【0185】
好ましくは、本発明による、少なくとも2種のヘテロ原子Het
1およびHet
2を含有する構造型MWWのゼオライト材料(Het
2Het
1MWW)は、元素Het
2として計算された、およびHet
2Het
1MWWの質量に対して、1.0〜2.0質量%の範囲のHet
2含有量を有し、かつ元素Het
1として計算された、およびHet
2Het
1MWWの質量に対して、1.0〜2.0質量%の範囲のHet
1含有量を有する。
【0186】
特に、本発明の噴霧粉末に含有される好ましいZnTiMWWに関する限り、ZnTiMWWのZn含有量に関する限りは特別の制限は存在しない。概して、例えば、5質量%までの範囲の、元素Znとして計算されたZn含有量が考えられ、考えられる範囲は、0.01〜5質量%、または0.02〜4質量%、または0.05〜3質量%、または0.1〜2質量%である。驚くべきことに、特に触媒活性物質として用いられる場合、より特には、以下に詳細に記載されるとおりのエポキシ化プロセスで触媒活性物質として用いられる場合、ZnTiMWWのZn含有量が、Znとして計算された、およびZnTiMWWの質量に対して、1.0〜2.0質量%の狭い範囲である場合に、特に有利であることが見出された。ZnTiMWWのTi含有量に関する限り、特別の制限は存在しない。概して、例えば、5質量%までの範囲の、元素Tiとして計算されたTi含有量が考えられ、考えられる範囲は、0.01〜5質量%、または0.02〜4質量%、または0.05〜3質量%、または0.1〜2質量%である。特に触媒活性物質として、より特には、以下に詳細に記載されるとおりのエポキシ化プロセスで触媒活性物質として用いられる場合、ZnTiMWWのTi含有量は、Tiとして計算された、およびZnTiMWWの質量に対して、1.0〜2.0質量%の狭い範囲である場合に、特に有利であることが見出された。
【0187】
このようにして得られたHet
2Het
1MWW、特にHet
2Het
1MWW噴霧粉末は、ゼオライト材料を少なくとも1種の結合剤および/または少なくとも1種の結合剤前駆体、ならびに場合によって、少なくとも1種の細孔形成剤および/または少なくとも1種の可塑剤と適切に混合することによって、例えば、成形品がゼオライト材料をベースにして調製される、その後の工程にかけることができる。
【0188】
好ましくは本発明による方法によって得られた、本発明によるゼオライト材料は、例えば、触媒活性剤、分子篩、吸着剤、充填剤、成形品の調製のための出発原料などの考えられる目的ごとに、そのままで用いることができる。好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料は、触媒活性剤として用いられる。特に、好ましいZnTiMWWのために、ゼオライト材料は、好ましくは溶媒としてアセトニトリル中で、および/または好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて、好ましくはプロペンからのプロピレンオキシドの調製のための、触媒活性剤として用いられる。また、本発明は、好ましくは上に記載されたとおりの方法から得られた、ゼオライト材料、特に上に記載されたとおりのZnTiMWWが触媒として用いられる、エポキシ化方法、好ましくはプロペンからプロピレンオキシドを調製する方法、より好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いてプロペンからプロピレンオキシドを調製する方法、より好ましくは溶媒としてのアセトニトリル中で酸化剤として過酸化水素を用いて、プロペンからプロピレンオキシドを調製する方法に関する。
【0189】
ゼオライト材料が、それによって骨格構造型MWWを有する、本発明の好ましい実施形態に関する限り、本発明は、好ましくは以下の実施形態およびそれらの従属関係によって示されるとおりのこれらの実施形態の組合せを特徴とする:
【0190】
1.
(i)構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)を準備する工程;
(ii)B−MWWを液体溶媒で処理することによってB−MWWを脱ホウ素化し、それにより、脱ホウ素化B−MWW(MWW)を得る工程
を含み、
液体溶媒は、水、一価アルコール、多価アルコール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、かつ前記液体溶媒は、無機もしくは有機酸、またはそれらの塩を含有せず、酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、および酒石酸からなる群から選択される、ゼオライト材料の製造方法。
【0191】
2.(i)において、構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)が、
(a)少なくとも1種のケイ素源、好ましくはアンモニア安定化コロイドシリカ、少なくとも1種のホウ素源、好ましくはホウ酸、ならびに好ましくはピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する合成混合物からB−MWW前駆体を水熱合成して、B−MWW前駆体をその母液中に得る工程;
(b)B−MWW前駆体をその母液から分離する工程;
(c)(b)により分離されたB−MWW前駆体を場合によって乾燥させる工程;
(d)(b)または(c)から得られたB−MWW前駆体を、好ましくは500〜700℃の範囲の温度でか焼して、B−MWWを得る工程
を含む方法によって準備される、実施形態1に記載の方法。
【0192】
3.液体溶媒が、無機もしくは有機酸、またはそれらの塩を含有しない、実施形態1または2に記載の方法。
【0193】
4.液体溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、液体溶媒は、好ましくは水である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
5.(ii)による処理が、50〜125℃の範囲の温度で行われる、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
6.(ii)による処理が、6〜20時間の範囲の時間行われる、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
7.(ii)による処理が、少なくとも2つの別個の工程で行われ、少なくとも2つの処理工程の間で、MWWが、好ましくは100〜150℃の範囲の温度で乾燥される、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
8.
(iii)(ii)から得られたMWWを、
(iii.1)MWWを液体溶媒から分離する工程;
(iii.2)分離されたMWWを、好ましくは噴霧乾燥させることによって、好ましくは乾燥させる工程;
(iii.3)(iii.1)または(iii.2)から得られたMWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって後処理する工程
をさらに含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
9.
(iv)
(iv.1)(ii)または(iii)、好ましくは(iii)によって得られたMWW、好ましくはピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるテンプレート化合物、ならびに少なくとも1種のヘテロ原子(Het
1)の少なくとも1種の源を含有する合成混合物を調製する工程であって、ヘテロ原子(Het
1)は、好ましくはTi、Al、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、In、Pb、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはTiである工程;
(iv.2)(iv.1)から得られた合成混合物から、Het
1MWWを水熱合成し、それにより、Het
1MWWをその母液中に得る工程;
(iv.3)Het
1MWWをその母液から分離する工程;
(iv.4)(iv.3)によって分離されたHet
1MWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(iv.5)(iv.3)または(iv.4)から得られたHet
1MWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって、少なくとも1種の第1のヘテロ原子(Het
1)をMWWに組み込み、それにより、少なくとも1種のヘテロ原子を含有する構造型MWWのゼオライト材料(Het
1MWW)を得る工程
をさらに含む、実施形態1から8のいずれか1つ、好ましくは実施形態8に記載の方法。
【0199】
10.
(v)
(v.1)Het
1MWWを液体溶媒、好ましくは水に懸濁させる工程であって、前記液体溶媒は、少なくとも1種の酸を含有し、好ましくは硝酸を含有する工程;
(v.2)(v.1)から得られた懸濁液を、75〜125℃の範囲の温度で17〜25時間の範囲の時間加熱する工程;
(v.3)酸処理されたHet
1MWWを懸濁液から分離する工程;
(v.4)(v.3)により分離されたHet
1MWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(v.5)(v.3)または(v.4)から得られたHet
1MWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、好ましくはか焼する工程
を含む方法によって、(iv)から得られたHet
1MWWを酸処理する工程
をさらに含む、実施形態9に記載の方法。
【0200】
11.
(vi)
(vi.1)Het
1MWWを液体溶媒、好ましくは水に懸濁させる工程であって、前記液体溶媒は、少なくとも1種のHet
2含有前駆体、好ましくは少なくとも1種のHet
2塩を含有し、第2のヘテロ原子(Het
2)は、好ましくはTi、Al、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、In、Sn、Pb、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはZnである工程;
(vi.2)(v.1)から得られた懸濁液を、75〜125℃の範囲の温度で3〜6時間の範囲の時間加熱する工程;
(vi.3)Het
2Het
1MWWを懸濁液から分離する工程;
(vi.4)(vi.3)により分離されたHet
2Het
1MWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(vi.5)(vi.3)または(vi.4)から得られたHet
2Het
1MWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって、少なくとも1種の第2のヘテロ原子(Het
2)をHet
1MWWに組み込み、それにより、少なくとも2種のヘテロ原子を含有する構造型MWWのゼオライト材料(Het
2Het
1MWW)を得る工程
をさらに含む、実施形態9または10に記載の方法。
【0201】
12.実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法によって得られるまたは得られた、ゼオライト材料。
【0202】
13.Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWである、実施形態11に記載の方法によって得られるまたは得られた、実施形態12に記載のゼオライト材料。
【0203】
14.元素Het
2として計算された、およびHet
2Het
1MWWの質量に対して、1.0〜2.0質量%の範囲のHet
2含有量、ならびに元素Het
1として計算された、およびHet
2Het
1MWWの質量に対して、1.0〜2.0質量%の範囲のHet
1含有量を有する、少なくとも2種のヘテロ原子Het
1およびHet
2を含有する構造型のゼオライト材料(Het
2Het
1MWW)。
【0204】
15.Het
1がTiであり、Het
2がZnである、実施形態14に記載のゼオライト材料。
【0205】
16.噴霧粉末に含有される、実施形態12から15のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0206】
17.噴霧粉末の粒子が、少なくとも2マイクロメートルのDv10値を有し、前記噴霧粉末が、DIN66133に従ってHgポロシメトリにより決定して2〜50nmの範囲の平均細孔直径(4V/A)を有するメソ細孔を含み、かつ噴霧粉末の質量に対して、少なくとも95質量%のHet
2Het
1MWWを含む、実施形態16に記載のゼオライト材料。
【0207】
18.触媒活性剤またはその前駆体としての、実施形態12から17のいずれか1つに記載のゼオライト材料の使用。
【0208】
19.好ましくは溶媒としてアセトニトリル中および/または好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて、好ましくはプロペンからプロピレンオキシドの調製のための、触媒活性剤としての、ゼオライト材料が、Het
2Het
1MWW、好ましくはZnTiMWWである、実施形態18に記載の使用。
【0209】
20.実施形態12から17のいずれか1つに記載のゼオライト材料、好ましくはZnTiMWWが、触媒活性剤として用いられる、好ましくは溶媒としてアセトニトリル中および/または好ましくは酸化剤として過酸化水素を用いて、プロピレンオキシドを調製する方法。
【0210】
さらなる態様によれば、本発明は、好ましくは以下の実施形態、およびそれらの従属関係によって示されるとおりのこれらの実施形態の組合せを特徴とする:
【0211】
I.
(i)ホウ素含有ゼオライト材料(B−ゼオライト)を準備する工程;
(ii)B−ゼオライトを液体溶媒で脱ホウ素化し、それにより、脱ホウ素化B−ゼオライト(ゼオライト)を得る工程
を含み、
液体溶媒は、水、一価アルコール、多価アルコール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、かつ前記液体溶媒は、無機もしくは有機酸、またはそれらの塩を含有せず、酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、および酒石酸からなる群から選択される、ゼオライト材料の製造方法。
【0212】
II.(i)で準備されたホウ素含有ゼオライト材料B−ゼオライトが、構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、または構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)でないホウ素含有ゼオライト材料のいずれか、好ましくは構造型MWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTHのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)、(B−BEA)(B−MFI)、(B−CHA)、(B−MOR)、(B−MTW)、(B−RUB)、(B−LEV)、(B−FER)、(B−MEL)、または(B−RTH)、より好ましくは構造型MWWのホウ素含有ゼオライト材料(B−MWW)であり、かつ(ii)で得られた脱ホウ素化B−ゼオライト(ゼオライト)が、脱ホウ素化B−MWW(MWW)、またはMWWでない脱ホウ素化B−ゼオライト(ゼオライト)、好ましくは脱ホウ素化B−MWW(MWW)、B−BEA(BEA)、B−MFI(MFI)、B−CHA(CHA)、B−MOR(MOR)、B−MTW(MTW)、B−RUB(RUB)、B−LEV(LEV)、B−FER(FER)、B−MEL(MEL)、B−RTH(RTH)、より好ましくは脱ホウ素化B−MWW(MWW)である、実施形態Iに記載の方法。
【0213】
III.(i)において、ホウ素含有ゼオライト材料B−ゼオライトが、
(a)少なくとも1種のケイ素源、少なくとも1種のホウ素源、および少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する合成混合物からB−ゼオライトを水熱合成して、B−ゼオライトをその母液中に得る工程;
(b)B−ゼオライトをその母液から分離する工程;
(c)(b)により分離されたB−ゼオライトを好ましくは乾燥させて、(b)により分離されたB−ゼオライトを好ましくは噴霧乾燥させる工程;
(d)(b)または(c)から得られたB−ゼオライトを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって準備される、実施形態IまたはIIに記載の方法。
【0214】
IV.(i)において、ホウ素含有ゼオライト材料が、
(a)少なくとも1種のケイ素源としてアンモニア安定化コロイドシリカ、少なくとも1種のホウ素源としてホウ酸、ならびにピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する合成混合物からB−MWW前駆体を水熱合成して、B−MWW前駆体をその母液中に得る工程;
(b)B−MWW前駆体をその母液から分離する工程;
(c)(b)により分離されたB−MWW前駆体を好ましくは乾燥させて、(b)により得られたB−MWWを好ましくは噴霧乾燥させる工程;
(d)(b)または(c)から得られたB−MWW前駆体を、好ましくは500〜700℃の範囲の温度でか焼して、B−MWWを得る工程
を含む方法によって準備されるB−MWWである、実施形態IIIに記載の方法。
【0215】
V.(i)で準備されるB−ゼオライトが、アルミニウム不含ゼオライト材料である、実施形態IからIVのいずれか1つに記載の方法。
【0216】
VI.(i)で準備されるB−ゼオライトが、元素として計算された、およびB−ゼオライトの全質量に対して、0.5〜5.0質量%、より好ましくは0.75〜4.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%の範囲のB含有量を有する、実施形態IからVのいずれか1つに記載の方法。
【0217】
VII.(i)で準備されるB−ゼオライトが、噴霧粉末または噴霧顆粒の形態で準備される、実施形態IからVIのいずれか1つに記載の方法。
【0218】
VIII.液体溶媒が、無機もしくは有機酸、またはそれらの塩を含有しない、実施形態IからVIIのいずれか1つに記載の方法。
【0219】
IX.液体溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2,3−トリオール、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、実施形態IからVIIIのいずれか1つに記載の方法。
【0220】
X.液体溶媒が水である、実施形態IからIXのいずれか1つに記載の方法。
【0221】
XI.(ii)による脱ホウ素化が、50〜125℃の範囲の温度で行われる、実施形態IからXのいずれか1つに記載の方法。
【0222】
XII.(ii)による脱ホウ素化が、6〜20時間の範囲の時間行われる、実施形態IからXIのいずれか一項に記載の方法。
【0223】
XIII.(ii)による脱ホウ素化において、B−ゼオライトの液体溶媒に対する質量比が、1:5〜1:40、好ましくは1:10〜1:30、より好ましくは1:10〜1:20の範囲である、実施形態IからXIIのいずれか1つに記載の方法。
【0224】
XIV.(ii)による脱ホウ素化が、少なくとも2つの別個の工程で行われ、少なくとも2つの処理工程の間で、ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWは、好ましくは100〜150℃の範囲の温度で乾燥される、実施形態IからXIIIのいずれか1つに記載の方法。
【0225】
XV.液体溶媒が水であり、かつ(ii)による脱ホウ素化が、95〜105℃、好ましくは95〜100℃の範囲の温度で、8〜15時間、好ましくは9〜12時間の範囲の時間行われ、好ましくは、(ii)による脱ホウ素化が還流下で行われる、実施形態IからXIVのいずれか1つに記載の方法。
【0226】
XVI.(ii)による脱ホウ素化の間に、液体溶媒が撹拌される、実施形態IからXVのいずれか1つに記載の方法。
【0227】
XVII.(ii)で得られたゼオライトが、元素として計算された、およびゼオライトの全質量に対して、最大で0.2質量%、より好ましくは最大で0.1質量%のB含有量を有する、実施形態IからXVIのいずれか1つに記載の方法。
【0228】
XVIII.
(iii)
(iii.1)ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを液体溶媒から分離する工程:
(iii.2)分離されたゼオライト、好ましくは分離されたMWW、またはMWWでない分離されたゼオライト、より好ましくは分離されたMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくは分離されたMWWを、好ましくは噴霧乾燥によって、好ましくは乾燥させる工程;
(iii.3)(iii.1)または(iii.2)から得られた、ゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを、好ましくは500〜700℃の範囲の温度で、場合によってか焼する工程
を含む方法によって、(ii)から得られたゼオライト、好ましくはMWW、またはMWWでないゼオライト、より好ましくはMWW、BEA、MFI、CHA、MOR、MTW、RUB、LEV、FER、MEL、またはRTH、より好ましくはMWWを後処理する工程
をさらに含む、実施形態IからXVIIのいずれか1つに記載の方法。
【0229】
XIX.実施形態IからXVIIIのいずれか1つに記載の方法によって得られるまたは得られた、ゼオライト材料。
【0230】
XX.元素として計算された、およびゼオライトの全質量に対して、最大で0.2質量%、より好ましくは最大で0.1質量%のホウ素を含有する、脱ホウ素化ゼオライト材料(ゼオライト)、好ましくは実施形態XVIに記載のゼオライト材料。
【0231】
XXI.そのゼオライト材料が、噴霧粉末または噴霧顆粒の形態である、実施形態XIXまたはXXに記載のゼオライト材料。
【0232】
XXII.触媒活性剤として、触媒活性剤の調製のための前駆体として、触媒活性剤のための担体などの触媒成分として、またはキャリヤ上に適用されたウォッシュコートの成分としての、実施形態XIXからXXIのいずれか1つに記載のゼオライト材料の使用。
【0233】
本発明は、以下の実施例によって例証される:
【実施例1】
【0234】
脱ホウ素化MWWの調製
1.1ホウ素含有MWWの調製
470.4kgの脱イオン水を容器中に準備した。70rpm(1分間当たりの回転数)で撹拌下、162.5kgのホウ酸を水に懸濁させた。この懸濁液を、もう3時間撹拌した。その後、272.5kgのピペリジンを添加し、この混合物をもう1時間撹拌した。得られた溶液に、392.0kgのLudox(登録商標)AS−40を添加し、得られた混合物を70rpmでもう1時間撹拌した。
【0235】
最後に得られた混合物を結晶化容器に移し、自生圧力および撹拌(50rpm)下で5時間以内170℃に加熱した。170℃の温度を120時間本質的に一定に保ち、これらの120時間の間、混合物を50rpmで撹拌した。その後、混合物を50〜60℃の温度に5時間以内で冷却した。B−MWWを含有する水性懸濁液は、pH電極による測定によって決定して11.3のpHを有した。
【0236】
前記懸濁液から、B−MWW前駆体をろ過により分離した。次いで、洗浄水が700マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、ろ過ケーキを脱イオン水で洗浄した。
【0237】
このようにして得たろ過ケーキから、15質量%の固形分を有する水性懸濁液を調製した。この懸濁液を以下の噴霧乾燥条件によって噴霧塔中で噴霧乾燥にかけた:
乾燥ガス、ノズルガス: 工業用窒素
温度 乾燥ガス:
− 温度 噴霧塔(内): 288〜291℃
− 温度 噴霧塔(外): 157〜167℃
− 温度 フィルタ(内): 150〜160℃
− 温度 スクラバ(内): 40〜48℃
− 温度 スクラバ(外): 34〜36℃
圧力差 フィルタ: 8.3〜10.3ミリバール
ノズル:
− トップコンポーネントノズル 供給者Gerig;サイズ0
− ノズルガス温度 室温
− ノズルガス圧力 2.5バール
操作モード: 窒素ストレート(nitrogen straight)
用いた装置: 噴霧塔(1ノズル付き)
配置: 噴霧塔−フィルタ−スクラバ
ガス流量: 1,900kg/時間
フィルタ材: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
2
可撓性チューブポンプによる投与: SP VF 15(供給者:Verder)
噴霧塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直配置シリンダからなり、このシリンダは、底部で円錐形状に狭かった。円錐の長さは、600mmであった。シリンダの頭部に、霧化手段(二成分ノズル)を配置した。噴霧乾燥物質は、噴霧塔のフィルタ下流で乾燥ガスから分離し、次いで、乾燥ガスは、スクラバを通過させた。懸濁液はノズルの内側開口部を通過させ、ノズルガスは、開口部を取り囲む環形状スリットを通過させた。
【0238】
次いで、噴霧乾燥物質は、650℃で2時間か焼にかけた。か焼物質は、1.9質量%のホウ素(B)含有量、41質量%のケイ素(Si)含有量、および0.18質量%の全有機炭素(TOC)含有量を有した。
【0239】
1.2脱ホウ素化MWWの調製
a)脱ホウ素化
上記実施例1.1に従って得られた噴霧乾燥物質に基づいて、4バッチの脱ホウ素化ゼオライトMWWを調製した。最初の3つのバッチのそれぞれにおいて、実施例1.1に従って得られた35kgの噴霧乾燥物質、および525kgの水を用いた。第4のバッチにおいて、実施例1.1に従って得られた32kgの噴霧乾燥物質、および480kgの水を用いた。全部で、実施例1.1に従って得られた137kgの噴霧乾燥物質、および2025kgの水を用いた。
【0240】
それぞれのバッチについて、それぞれの量の水を、還流コンデンサを備えた容器中に移した。40r.p.m.で撹拌下、所与の量の噴霧乾燥物質を水に懸濁させた。その後、容器を密閉し、還流コンデンサを稼動させた。撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。70r.p.m.で撹拌下、容器の内容物を10時間以内で100℃に加熱し、この温度で10時間保った。次いで、容器の内容物を50℃未満の温度に冷却した。
【0241】
得られた構造型MWWの脱ホウ素化ゼオライト材料を、2.5バールの窒素圧下でろ過により懸濁液から分離し、脱イオン水で4回洗浄した。ろ過後、ろ過ケーキを窒素流中で6時間乾燥させた。
【0242】
4つのバッチで得られた脱ホウ素化ゼオライト材料(全部で625.1kgの窒素乾燥ろ過ケーキ)は、160℃でIR(赤外)スケールを用いて決定して、79%の残留水分含量を有した。
【0243】
b)窒素乾燥ろ過ケーキの噴霧乾燥
上記セクションa)に従って得られた、79%の残留水分含量を有する窒素乾燥ろ過ケーキから、15質量%の固形分を有する水性懸濁液を脱イオン水で調製した。この懸濁液を、以下の噴霧乾燥条件によって噴霧塔中で噴霧乾燥にかけた:
乾燥ガス、ノズルガス: 工業用窒素
温度 乾燥ガス:
− 温度 噴霧塔(内): 304℃
− 温度 噴霧塔(外): 147〜150℃
− 温度 フィルタ(内): 133〜141℃
− 温度 スクラバ(内): 106〜114℃
− 温度 スクラバ(外): 13〜20℃
圧力差 フィルタ: 1.3〜2.3ミリバール
ノズル:
− トップコンポーネントノズル: 供給者Niro、直径4mm
− ノズルガス処理能力: 23kg/時間
− ノズルガス圧: 2.5バール
操作モード: 窒素ストレート
用いた装置: 噴霧塔(1ノズル付き)
配置: 噴霧塔−フィルタ−スクラバ
ガス流量: 550kg/時間
フィルタ材: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
2
可撓性チューブポンプによる投与: VF 10(供給者:Verder)
噴霧塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直配置シリンダからなり、このシリンダは、底部で円錐状に狭かった。円錐の長さは600mmであった。シリンダの頭部に、霧化手段(二成分ノズル)を配置した。
【0244】
噴霧乾燥物質は、噴霧塔のフィルタ下流で乾燥ガスから分離し、次いで、乾燥ガスは、スクラバを通過させた。懸濁液はノズルの内側開口部を通過させ、ノズルガスは、開口部を取り囲む環形状スリットを通過させた。
【0245】
得られた噴霧乾燥MWW物質は、0.08質量%のB含有量、42質量%のSi含有量、および0.23質量%のTOCを有した。
【実施例2】
【0246】
Het
1MWW(Het
1=Ti)の調製
実施例1に従って得られたとおりの脱ホウ素化MWW物質に基づいて、以下でTiMWWと称される、チタン(Ti)を含有する構造型MWWのゼオライト材料を調製した。合成は、a)およびb)として以下に記載する、2つの実験で行った:
a)第1実験
出発物質: 脱イオン水: 244.00kg
ピペリジン: 118.00kg
テトラブチルオルトチタネート: 10.90kg
脱ホウ素化ゼオライト材料: 54.16kg
54.16kgの構造型MWWの脱ホウ素化ゼオライト材料を第1の容器Aに移し入れた。
【0247】
第2の容器Bに、200.00kgの脱イオン水を移し、80r.p.m.で撹拌した。118.00kgのピペリジンを撹拌下で添加し、添加の間に、混合物の温度は約15℃増加した。その後、10.90kgのテトラブチルオルトチタネートおよび20.00kgの脱イオン水を添加した。次いで、撹拌を60分間続けた。
【0248】
次いで、容器Bの混合物を容器Aに移し、容器Aでの撹拌(70r.p.m.)を開始した。24.00kgの脱イオン水を容器Aに充填し、容器Bに移した。
【0249】
次いで、容器B中の混合物を、70r.p.m.で60分間撹拌した。撹拌の始めに、容器B中の混合物のpHは、pH電極で決定して、12.6であった。
【0250】
前記70r.p.m.での撹拌後、回転数を50r.p.m.に低下させ、容器B中の混合物を170℃の温度に5時間以内で加熱した。50r.p.m.の一定撹拌速度で、容器B中の混合物の温度を、自生圧力下で170℃の本質的に一定温度で120時間保った。このTiMWWの結晶化の間に、10.6バールまでの圧力増加を認めた。その後、12.6のpHを有するTiMWWを含有する得られた懸濁液を5時間以内で冷却した。
【0251】
冷却した懸濁液をろ過にかけ、分離した母液を廃水排出に移した。ろ過ケーキを、2.5バールの窒素圧下で脱イオン水で4回洗浄した。最後の洗浄工程後、ろ過ケーキを窒素流中で6時間乾燥させた。
【0252】
246kgの前記ろ過ケーキから、15質量%の固形分を有する水性懸濁液を脱イオン水で調製した。この懸濁液を、以下の噴霧乾燥条件によって噴霧塔中で噴霧乾燥にかけた:
乾燥ガス、ノズルガス: 工業用窒素
温度 乾燥ガス:
− 温度 噴霧塔(内): 304℃
− 温度 噴霧塔(外): 147〜152℃
− 温度 フィルタ(内): 133〜144℃
− 温度 スクラバ(内): 111〜123℃
− 温度 スクラバ(外): 12〜18℃
圧力差 フィルタ: 1.8〜2.8ミリバール
ノズル:
− トップコンポーネントノズル: 供給者Niro、直径4mm
− ノズルガス処理能力: 23kg/時間
− ノズルガス圧: 2.5バール
操作モード: 窒素ストレート
用いた装置: 噴霧塔(1ノズル付き)
配置: 噴霧塔−フィルタ−スクラバ
ガス流量: 550kg/時間
フィルタ材: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
2
可撓性チューブポンプによる投与: VF 10(供給者:Verder)
噴霧塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直配置シリンダからなり、このシリンダは、底部で円錐状に狭かった。円錐の長さは600mmであった。シリンダの頭部に、霧化手段(二成分ノズル)を配置した。噴霧乾燥物質は、噴霧塔のフィルタ下流で乾燥ガスから分離し、次いで、乾燥ガスは、スクラバを通過させた。懸濁液はノズルの内側開口部を通過させ、ノズルガスは、開口部を取り囲む環形状スリットを通過させた。
【0253】
第1実験から得られた噴霧乾燥TiMWW物質は、37質量%のSi含有量、2.4質量%のTi含有量、および7.5質量%のTOCを有した。
【0254】
b)第2実験
第2実験は、上記セクションa)で記載した第1実験と同様に行った。第2実験から得られた噴霧乾燥TiMWW物質は、36質量%のSi含有量、2.4質量%のB含有量、および8.0質量%のTOCを有した。
【0255】
TiMWWの酸処理
上記の実施例2、セクションa)およびb)に記載した第1および第2実験で得られたとおりの2種の噴霧乾燥TiMWW物質のそれぞれを、以下でセクションa)およびb)に記載するとおりに酸処理にかけた。以下のセクションc)において、a)およびb)から得られた物質の混合物を噴霧乾燥させる仕方を記載する。以下のセクションd)において、噴霧乾燥された物質をか焼する仕方を記載する。
【0256】
a)実施例2、セクションa)に従って得られた噴霧乾燥物質の酸処理
出発物質: 脱イオン水: 690.0kg
硝酸(53%): 900.0kg
噴霧乾燥Ti−MWW a): 53.0kg
670.0kgの脱イオン水を容器に充填した。900kgの硝酸を添加し、53.0kgの噴霧乾燥TiMWWを、50r.p.m.で撹拌下に添加した。得られた混合物をもう15分間撹拌した。その後、撹拌速度を70r.p.m.に増加させた。
【0257】
1時間以内で、容器中の混合物を100℃に加熱し、撹拌および自生圧力下にこの温度で20時間保った。次いで、このようにして得た混合物を50℃未満の温度に2時間以内で冷却した。
【0258】
冷却した混合物をろ過にかけ、ろ過ケーキを、2.5バールの窒素圧下に脱イオン水で6回洗浄した。最後の洗浄工程後、ろ過ケーキを窒素流中10時間乾燥させた。6回目の洗浄工程後の洗浄水は、約2.7のpHを有した。225.8kgの乾燥ろ過ケーキが得られた。
【0259】
b)実施例2、セクションb)に従って得られた噴霧乾燥物質の酸処理
出発物質: 脱イオン水: 690.0kg
硝酸(53%): 900.0kg
噴霧乾燥Ti−MWW b): 55.0kg
実施例2、セクションb)に従って得られた噴霧乾燥物質の酸処理は、上に記載したとおりの実施例2)、セクションa)に従って得られた噴霧乾燥物質の酸処理と同様に行った。6回目の洗浄工程後の洗浄水は、約2.7のpHを有した。206.3kgの乾燥ろ過ケーキが得られた。
【0260】
c)a)およびb)から得られた酸処理物質の混合物の噴霧乾燥
a)およびb)から得られた462.1kgのろ過ケーキの混合物から、15質量%の固形分を有する水性懸濁液を脱イオン水で調製した。この懸濁液を、以下の噴霧乾燥条件によって噴霧塔中で噴霧乾燥にかけた:
乾燥ガス、ノズルガス: 工業用窒素
温度 乾燥ガス:
− 温度 噴霧塔(内): 304〜305℃
− 温度 噴霧塔(外): 151℃
− 温度 フィルタ(内): 141〜143℃
− 温度 スクラバ(内): 109〜118℃
− 温度 スクラバ(外): 14〜15℃
圧力差 フィルタ: 1.7〜3.8ミリバール
ノズル:
− トップコンポーネントノズル: 供給者Niro、直径4mm
− ノズルガス処理能力: 23kg/時間
− ノズルガス圧: 2.5バール
操作モード: 窒素ストレート
用いた装置: 噴霧塔(1ノズル付き)
配置: 噴霧塔−フィルタ−スクラバ
ガス流量: 550kg/時間
フィルタ材: Nomex(登録商標)ニードルフェルト10m
2
可撓性チューブポンプによる投与: VF 10(供給者:Verder)
噴霧塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直配置シリンダからなり、このシリンダは、底部で円錐状に狭かった。円錐の長さは600mmであった。シリンダの頭部に、霧化手段(二成分ノズル)を配置した。噴霧乾燥物質は、噴霧塔のフィルタ下流で乾燥ガスから分離し、次いで、乾燥ガスは、スクラバを通過させた。懸濁液はノズルの内側開口部を通過させ、ノズルガスは、開口部を取り囲む環形状スリットを通過させた。
【0261】
噴霧乾燥酸処理TiMWW物質は、42質量%のSi含有量、1.6質量%のTi含有量、および1.7質量%のTOCを有した。
【0262】
d)c)に従って得られた噴霧乾燥物質のか焼
次いで、噴霧乾燥物質を、回転炉中650℃で2時間か焼にかけた。か焼物質は、42.5質量%のSi含有量、1.6質量%のTi含有量、および0.15質量%のTOC含有量を有した。DIN66134に従って77Kで窒素吸着によって決定したラングミュア表面は、612m
2/gであり、DIN66131に従って77Kで窒素吸着によって決定した多点BET比表面積は、442m
2/gであった。DIN66133に従ってHgポロシメトリにより決定した全侵入容積は、4.9ml/g(ミリリットル/グラム)であり、それぞれの全細孔面積は、104.6m
2/gであった。XRDによって決定した結晶化度は80%であり、平均微結晶サイズは31nmであった。この物質のXRDを
図1に示す。
【実施例3】
【0263】
B−MWWゼオライト材料の調製
3.1 22.050kgの脱イオン水および8.515kgのピペリジンを撹拌槽中で混合した。5.076kgのホウ酸を撹拌下で添加し、撹拌を30分間続けた。次いで、4,900kgのヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200)を添加し、撹拌を2時間続けた。撹拌速度は150r.p.m.であった。その後、得られた懸濁液を170℃の温度に2時間以内で加熱し、この温度で120時間保った。圧力増加は、8.9バールであった。
【0264】
合成後、懸濁液を吸引フィルタを用いてろ過にかけた。ろ過ケーキを脱イオン水で洗浄し、ろ液のpHは8.5であった。このようにして洗浄したろ過ケーキを、6m
3/時間の流量で24時間適用される窒素下に置くことによって、100℃で乾燥させた。その後、得られたろ過ケーキをさらに乾燥に2時間かけ、600℃で10時間か焼した。
【0265】
得られたB−MWWは、それぞれの場合に元素として計算された、およびB−MWWの全質量に対して、2.2質量%のB含有量、41質量%のSi含有量、および0.2質量%未満のC含有量(TOC(全有機炭素)を有した。得られたB−MWWのXRDを
図2に示し、SEM画像(二次電子)を
図3に示す。
【0266】
3.2 ビーカー中で、203.1gのホウ酸を、340.6gのピペリジンおよび588.0gの水に溶解させた。この混合物を20分間撹拌した。次いで、撹拌下、490.0gのアンモニア安定化コロイドシリカ(Ludox(登録商標)AS40)を添加した。得られた混合物を1時間撹拌した。次いで、この液体ゲルをオートクレーブに移した。オートクレーブ中で、このゲルを170℃の温度に1時間以内で加熱し、この温度で120時間保った。白色の懸濁液が得られた。
【0267】
この懸濁液をろ過にかけ、脱イオン水で洗浄した。洗浄ろ過ケーキを100℃で16時間乾燥させた。次いで、温度を2℃/分の温度速度で600℃に上昇させ、か焼を空気中この600℃の温度で10時間行った。
【0268】
得られたB−MWWは、1.3質量%のB含有量、および42質量%のSi含有量を有した。
【0269】
3.3 ビーカー中で、181.3.1gのホウ酸を、304.1gのピペリジンおよび525.0gの水に溶解させた。この混合物を20分間撹拌した。次いで、撹拌下、437.5gのアンモニア安定化コロイドシリカ(Ludox(登録商標)AS40)を添加した。得られた混合物を1時間撹拌した。次いで、この液体ゲルをオートクレーブに移した。オートクレーブ中で、このゲルを170℃の温度に1時間以内で加熱し、この温度で120時間保った。白色の懸濁液が得られた。
【0270】
この懸濁液をろ過にかけ、脱イオン水で洗浄した。洗浄ろ過ケーキを100℃で16時間乾燥させた。次いで、温度を2℃/分の温度速度で600℃に上昇させ、か焼を空気中この600℃の温度で10時間行った。
【0271】
得られたB−MWWは、1.3質量%のB含有量、および42質量%のSi含有量を有した。得られたB−MWWのXRDを
図4に示し、SEM画像(二次電子)を
図5に示す。
【実施例4】
【0272】
B−MWWゼオライト材料の脱ホウ素化
4.1 1000gの脱イオン水中、実施例3.1に従って得られた100gの物質の懸濁液を、撹拌下で2時間還流させた。その後、撹拌を止め、懸濁液をろ過にかけた。得られた固体から、試料を採取し、120℃で乾燥にかけた。この試料について、B含有量を決定した。残りの固体を1000gの脱イオン水に懸濁させ、100℃で1時間加熱した。この過程を全部で4回繰り返した。最後に得られた固体を、100℃で24時間乾燥にかけた。以下の表において、試料のB含有量、および最後に得られた固体を示す:
【表1】
【0273】
4.2 4,980.0gの脱イオン水中、実施例3.2から得られた166gのB−MWWの懸濁液を、160r.p.m.で撹拌下に100℃で20時間還流させた。白色の懸濁液をろ過にかけ、脱イオン水で洗浄した。得られた固体を100℃で16時間乾燥にかけた。元素として計算された、得られた固体のB含有量は、0.05質量%未満であり、元素として計算された、Si含有量は44質量%であった。
【0274】
4.3 900.0gのメタノール中、実施例3.2から得られた30.0gのB−MWWの懸濁液を、200r.p.m.での撹拌下64℃で20時間還流させた。白色の懸濁液をろ過にかけ、脱イオン水で洗浄した。得られた固体を100℃で16時間乾燥にかけた。元素として計算された、得られた固体のB含有量は、0.39質量%であり、元素として計算された、Si含有量は、42質量%であった。
【0275】
4.2に従う水による脱ホウ素化と比較して、脱ホウ素化物質のより高いB含有量が得られた。それにもかかわらず、一価アルコール、すなわち、メタノールからなる液体溶媒は、B−MWWゼオライト材料のB含有量を著しく減少させるために、したがって、B−MWWゼオライト材料を脱ホウ素化するために使用し得ることを示すことができた。
【0276】
比較例
実施例3.3から得られたとおりのB−MWWゼオライト材料を、従来技術の教示(すなわち、硝酸を含有する液体溶媒を脱ホウ素化剤として用いた)を利用して脱ホウ素化にかけた。このB−MWWゼオライト材料は、実施例3.2から得られたとおりのB−MWWゼオライト材料と本質的に同一であり;したがって、この比較例による結果は、実施例4.2に従う脱ホウ素化の結果と容易に比較することができる。
【0277】
4500mlの6モル/l硝酸(水溶液)中、実施例3.3から得られた150gのB−MWWの懸濁液を、200r.p.m.での撹拌下に100℃で20時間還流させた。白色の懸濁液をろ過にかけ、脱イオン水で洗浄した。得られた固体を100℃で16時間乾燥にかけた。元素として計算された、得られた固体のB含有量は、0.09質量%であり、元素として計算された、Si含有量は、40質量%であった。
【0278】
したがって、その他の点で同一の条件(脱ホウ素化時間:20時間;脱ホウ素化温度:100℃;脱ホウ素化撹拌速度:200r.p.m.;乾燥時間:16時間;乾燥温度:100℃)下で、液体溶媒として水による本発明の脱ホウ素化は、従来技術に従って脱ホウ素化された物質(0.09質量%)に比べてより低いB含有量(0.05質量%未満)を有する脱ホウ素化物質をもたらすことが見出された。
【実施例5】
【0279】
B−MWWゼオライト材料の脱ホウ素化
5.1 B−MWW物質(骨格構造MWWのゼオライト材料)の調製
480kgの脱イオン水を容器に準備した。70rpm(1分間当たりの回転数)での撹拌下、166kgのホウ酸を水に室温で懸濁させた。この懸濁液を室温でもう3時間撹拌した。その後、278kgのピペリジンを添加し、この混合物をもう1時間撹拌した。得られた溶液に、400kgのLudox(登録商標)AS−40を添加し、得られた混合物を70rpmで室温にてもう1時間撹拌した。最後に得られた混合物を結晶化容器に移し、自生圧力および撹拌(50rpm)下で170℃に5時間以内で加熱した。170℃の温度を120時間本質的に一定に保った。これらの120時間の間、混合物を50rpmで撹拌した。その後、混合物を50〜60℃の温度に冷却した。B−MWW前駆体を含有する水性懸濁液は、pH感受性電極による測定によって決定して11.3のpHを有した。
【0280】
前記懸濁液から、B−MWW前駆体をろ過により分離した。次いで、洗浄水が700マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、ろ過ケーキを室温にて脱イオン水で洗浄した。
【0281】
次いで、ろ過ケーキを水と混合して、15質量%の固形分を有する懸濁液を得た。この懸濁液を、以下の噴霧乾燥条件によって噴霧塔中で噴霧乾燥にかけた。
【0282】
乾燥ガス、ノズルガス: 工業用窒素
温度 乾燥ガス:
− 温度 噴霧塔(内): 235℃
− 温度 噴霧塔(外): 140℃
ノズル:
− トップコンポーネントノズル: 供給者Gerig;サイズ0
− ノズルガス温度: 室温
− ノズルガス圧: 1バール
操作モード: 窒素ストレート
用いた装置: 噴霧塔(1ノズル付き)
配置: 噴霧塔−フィルタ−スクラバ
ガス流量: 1,500kg/時間
フィルタ材: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
2
可撓性チューブポンプによる投与: SP VF 15(供給者:Verder)
噴霧塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直配置シリンダからなり、このシリンダは、底部で円錐状に狭かった。円錐の長さは600mmであった。シリンダの頭部に、霧化手段(二成分ノズル)を配置した。噴霧乾燥物質は、噴霧塔のフィルタ下流で乾燥ガスから分離し、次いで、乾燥ガスは、スクラバを通過させた。懸濁液はノズルの内側開口部を通過させ、ノズルガスは、開口部を取り囲む環形状スリットを通過させた。
【0283】
次いで、噴霧乾燥物質を、600℃で10時間か焼にかけた。得られたB−MWWは、元素として計算された、1.9質量%のB含有量、および元素として計算された、41質量%のSi含有量を有した。
【0284】
5.2 脱ホウ素化
9kgの脱イオン水、および実施例5.1に従って得られた600gの噴霧乾燥物質を、250r.p.m.の撹拌下100℃で10時間還流させた。得られた脱ホウ素化ゼオライト材料をろ過により懸濁液から分離し、室温にて8lの脱イオン水で洗浄した。ろ過後、ろ過ケーキを120℃の温度で16時間乾燥させた。得られたB−MWWは、元素として計算された、0.07質量%のB含有量、および元素として計算された、42質量%のSi含有量を有した。
【実施例6】
【0285】
B−BEAゼオライト材料の脱ホウ素化
6.1 B−BEA物質(骨格構造BEAのゼオライト材料)の調製
209kgの脱イオン水を容器に準備した。120rpm(1分間当たりの回転数)で撹拌下、355kgのテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを添加し、この懸濁液を室温で10分間撹拌した。その後、61kgのホウ酸を水に懸濁させ、この懸濁液を室温でもう30分間撹拌した。その後、555kgのLudox(登録商標)AS−40を添加し、得られた混合物を70rpmで室温にてもう1時間撹拌した。この液体ゲルは、pH電極による測定によって決定して11.8のpHを有した。最後に得られた混合物を結晶化容器に移し、7.2バールの圧力および撹拌(140rpm)下160℃に6時間以内で加熱した。その後、この混合物を室温に冷却した。混合物を再度160℃に6時間以内で加熱し、140rpmでさらに55時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、その後、混合物を140rpmの撹拌下160℃の温度でさらに45時間加熱した。この懸濁液380kgに、7800kgの脱イオン水を添加した。この懸濁液を70rpmで撹拌し、100kgの10質量%HNO
3水溶液を添加した。この懸濁液から、BEA骨格構造を有するホウ素含有ゼオライト材料をろ過により分離した。次いで、洗浄水が150マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで、ろ過ケーキを室温にて脱イオン水で洗浄した。
【0286】
640kgのこのようにして得たろ過ケーキを水に懸濁させて、35質量%の固形分を有する懸濁液を得た。この懸濁液を、以下の噴霧乾燥条件によって噴霧塔中で噴霧乾燥にかけた:
乾燥ガス、ノズルガス: 工業用窒素
温度 乾燥ガス:
− 温度 噴霧塔(内): 235℃
− 温度 噴霧塔(外): 140℃
ノズル:
− トップコンポーネントノズル: 供給者Gerig;サイズ0
− ノズルガス温度: 室温
− ノズルガス圧: 1バール
操作モード: 窒素ストレート
用いた装置: 噴霧塔(1ノズル付き)
配置: 噴霧塔−フィルタ−スクラバ
ガス流量: 1,500kg/時間
フィルタ材: Nomex(登録商標)ニードルフェルト20m
2
可撓性チューブポンプによる投与: SP VF 15(供給者:Verder)
噴霧塔は、2,650mmの長さ、1,200mmの直径を有する垂直配置シリンダからなり、このシリンダは、底部で円錐状に狭かった。円錐の長さは600mmであった。シリンダの頭部に、霧化手段(二成分ノズル)を配置した。噴霧乾燥物質は、噴霧塔のフィルタ下流で乾燥ガスから分離し、次いで、乾燥ガスは、スクラバを通過させた。懸濁液はノズルの内側開口部を通過させ、ノズルガスは、開口部を取り囲む環形状スリットを通過させた。
【0287】
次いで、噴霧乾燥物質を500℃で5時間か焼にかけた。元素として計算された、得られた固体のB含有量は1.5質量%であり、元素として計算されたSi含有量は43質量%であった。
【0288】
6.2 脱ホウ素化
840kgの脱イオン水を、還流コンデンサを備えた容器に準備した。40rpmでの撹拌下、6.1によって得られた28kgの噴霧乾燥物質を用いた。その後、容器を密閉し、還流コンデンサを稼動させた。撹拌速度を70rpmに増加させた。70rpmでの撹拌下、容器の内容物を100℃に1時間以内で加熱し、この温度で20時間保った。次いで、容器の内容物を50℃未満の温度に冷却した。
【0289】
得られた骨格構造型BEAの脱ホウ素化ゼオライト材料を、懸濁液から2.5バールの窒素圧下でろ過により分離し、室温にて脱イオン水で4回洗浄した。ろ過後、ろ過ケーキを窒素流中6時間乾燥させた。次いで、ろ過ケーキを水と混合して、40質量%の固形分を有する懸濁液を得た。このようにして懸濁液を、6.1に記載したとおりの条件下で噴霧乾燥にかけた。
【0290】
次いで、噴霧乾燥物質を550℃で5時間(加熱ランプ2K/分)か焼にかけた。元素として計算された、得られた固体のB含有量は0.03質量%未満であり、元素として計算された、Si含有量は45質量%であった。
【実施例7】
【0291】
B−CHAゼオライト材料の脱ホウ素化
7.1 B−CHA物質(骨格構造CHAのゼオライト材料)の調製
1414gの脱イオン水の合成混合物に基づいて、203.8gの25質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、765.7gの13.26質量%のトリメチル−1−アダマンチルアンモニアヒドロキシド水溶液、31.0gのホウ酸、999.6gのLudox(登録商標)AS40、および20gのシーディング物質を容器に準備し、B−CHAゼオライトを、水熱条件下で、200r.p.m.での撹拌下160℃の温度で72時間合成した。用いたオートクレーブにおいて、圧力は5バールであった。この合成手順の最後で、合成混合物のpHは11.8であった。
【0292】
結晶化から得られた3,340gの懸濁液を、ろ過にかけ、洗浄水の伝導度が50マイクロシーメンス/cm未満になるまで、脱イオン水で洗浄した。853gの湿潤ろ過ケーキを120℃で5時間乾燥させた。元素として計算された、得られた固体のB含有量は、1.1重量%であり、元素として計算された、Si含有量は42質量%であった。
【0293】
7.2 脱ホウ素化
750gの脱イオン水を、還流コンデンサを備えた容器に準備した。40rpmでの撹拌下、7.1によって得られた50kgの乾燥物質を用いた。その後、容器を密閉し、還流コンデンサを稼動させた。撹拌下、容器の内容物を100℃に1時間以内で加熱し、この温度で10時間保った。次いで、容器の内容物を50℃未満の温度に冷却した。
【0294】
得られた骨格構造型CHAの脱ホウ素化ゼオライト材料を、懸濁液からろ過により分離し、洗浄水が10マイクロシーメンス/cm未満の伝導度を有するまで脱イオン水で洗浄した。ろ過後、ろ過ケーキを120℃で一晩乾燥させた。元素として計算された、得られた固体のB含有量は0.09質量%であり、元素として計算された、Si含有量は44質量%であった。
【0295】
か焼試料(空気下600℃でのこの乾燥物質のか焼)のXRDパターンを
図6に示す。