特許第6367362号(P6367362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367362保護回路モジュール固定部を含む電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367362
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】保護回路モジュール固定部を含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180723BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20180723BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20180723BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M2/10 Y
   H01M2/34 A
   H01M2/30 B
   H01M2/02 K
   H01M2/34 B
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-560808(P2016-560808)
(86)(22)【出願日】2014年4月29日
(65)【公表番号】特表2017-515264(P2017-515264A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】KR2014003749
(87)【国際公開番号】WO2015167033
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ギュム・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・チョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウン・チェ
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−142043(JP,A)
【文献】 特開2008−293940(JP,A)
【文献】 特開2013−038064(JP,A)
【文献】 特表2014−522089(JP,A)
【文献】 特開2005−158308(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0180260(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0046227(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
H01M 2/30
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封余剰部を含む一側面に電極端子が形成されている板状型電池セルを含み、前記密封余剰部に保護回路モジュール(PCM)が装着されている構造の電池パックであって、
前記板状型電池セルの電極端子は板状型の導電性部材からなっており、
前記PCMは、PCB(保護回路印刷基板)、電池セルの一側の電極端子とPCBとの間に電気的に接続されているか、または前記PCB上に搭載された安全素子、前記PCBの保護回路に電気的に接続されている外部入出力端子、及び前記外部入出力端子が外部に延びた状態で前記PCB及び安全素子が装着される電気絶縁性のモジュールケースを含む構成となっており、
前記モジュールケースは、一側面が外部に開放されたPCB収納部、及び電池セルの密封余剰部に対するモジュールケースの装着のための1つ以上の固定部を含んでおり、
前記PCMは、電池セルの電極端子に電気的に接続されてモジュールケースに収納された状態で、電池セルの密封余剰部上に搭載されており、
前記モジュールケースの固定部は、密封余剰部の端部に結合されるフック構造となっていることを特徴とする、電池パック。
【請求項2】
前記板状型電池セルは、パウチ型二次電池であって、樹脂層と金属層を含むラミネートシートの電池ケースに電極組立体が密封されている構造となっていることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電極組立体は、正極、負極、及び正極と負極との間に介在する分離膜の構造であり、電解液と共に前記電池ケースの内部に密封されていることを特徴とする、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記密封余剰部は、電池ケースの熱融着密封によって形成された上端シーリング部であることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記安全素子は、PTC素子、ヒューズ及びTCOからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記外部入出力端子は、板状型またはワイヤの形態からなることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記モジュールケースの固定部は、モジュールケースの長辺を基準として中央に形成されており、密封余剰部に対面するモジュールケースの両端部位は、前記固定部の大きさに対応する長さで密封余剰部の方向に突出していることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記固定部が形成されているモジュールケースの部位は、密封余剰部の対向方向に湾入していることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記モジュールケースの固定部が結合される密封余剰部には、モジュールケースの方向に突出した装着部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項10】
前記モジュールケースは直方体構造のボックス型構造であることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
前記モジュールケースの内部には1つ以上のPCB固定突出部が形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
前記外部入出力端子を除いたPCMと電池セルの外面を包む形態でラベルが付着していることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項13】
板状型の導電性部材からなる電極端子が上端に形成されている板状型電池セルの密封余剰部上に搭載される保護回路モジュール(PCM)であって、
PCB(保護回路印刷基板)、電池セルの一側の電極端子とPCBとの間に電気的に接続されているか、または前記PCB上に搭載された安全素子、前記PCBの保護回路に電気的に接続されている外部入出力端子、及び前記外部入出力端子が外部に延びた状態で前記PCB及び安全素子が装着される電気絶縁性のモジュールケースを含む構成となっており、
前記モジュールケースは、一側面が外部に開放されたPCB収納部、及び電池セルの密封余剰部に対するモジュールケースの装着のための1つ以上の固定部を含んでおり、
前記PCMは、電池セルの電極端子に電気的に接続されてモジュールケースに収納された状態で、電池セルの密封余剰部上に搭載されおり、
前記モジュールケースの固定部は、密封余剰部の端部に結合されるフック構造となっていることを特徴とする、保護回路モジュール。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれかに記載の電池パックを製造する方法であって、
(a)PCBに外部入出力端子を溶接またはソルダリングによって接続する過程と、
(b)電池セルの電極端子とPCBを溶接またはソルダリングによって接続する過程と、
(c)PCB収納部にPCBを装着する過程と、
(d)PCMを電池セルの密封余剰部上に搭載した後、PCMの固定部を電池セルの密封余剰部に結合する過程と、
(e)外部入出力端子を除いたPCMと電池セルの外面を包む形態でラベルを付着する過程と、
を含むことを特徴とする、電池パック製造方法。
【請求項15】
前記溶接は、スポット溶接、レーザー溶接または超音波溶接であることを特徴とする、請求項14に記載の電池パック製造方法。
【請求項16】
請求項1乃至12のいずれかに記載の電池パックを電源として含むことを特徴とする、モバイルデバイス。
【請求項17】
前記モバイルデバイスは、携帯電話、ノートパソコン、ネットブック、タブレットPCまたはスマートパッドであることを特徴とする、請求項16に記載のモバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路モジュール固定部を含む電池パックに係り、より詳細には、密封余剰部を含む一側面に電極端子が形成されている板状型電池セルを含み、前記密封余剰部に保護回路モジュール(PCM)が装着されている構造の電池パックであって、前記電池セルの電極端子は板状型の導電性部材からなっており、前記PCMは、PCB(保護回路印刷基板)、電池セルの一側の電極端子とPCBとの間に電気的に接続されているか、または前記PCB上に搭載された安全素子、前記PCBの保護回路に電気的に接続されている外部入出力端子、及び前記外部入出力端子が外部に延びた状態で前記PCB及び安全素子が装着される電気絶縁性のモジュールケースを含む構成となっており、前記モジュールケースは、一側面が外部に開放されたPCB収納部、及び電池セルの密封余剰部に対するモジュールケースの装着のための1つ以上の固定部を含んでおり、前記PCMは、電池セルの電極端子に電気的に接続されてモジュールケースに収納された状態で、電池セルの密封余剰部上に搭載されていることを特徴とする電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー密度及び作動電圧が高く、保存及び寿命特性に優れたリチウム二次電池に代表される二次電池は、各種モバイル機器はもとより、様々な電子製品のエネルギー源として広く使用されている。
【0003】
二次電池は、それが使用される外部機器の種類によって、挿入と離脱が自由な着脱式構造で使用されたり、外部機器の内部に埋め込まれる形態の内蔵型構造で使用されたりする。例えば、ノートパソコンのようなデバイスは、使用者の必要に応じて電池の挿入及び離脱が可能である一方、一部の携帯電話などのようなデバイスは、その構造及び容量の問題により内蔵型電池パックの使用が要求されることもある。
【0004】
一方、リチウム二次電池には各種可燃性物質が内蔵されているため、過充電、過電流、その他の物理的な外部衝撃などによって発熱、爆発などの危険性があるため、安全性において大きな欠点を有している。したがって、リチウム二次電池には、過充電、過電流などの異常な状態を効果的に制御できる安全素子として、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子、保護回路モジュール(Protection Circuit Module:PCM)などが電池セルに接続されている。
【0005】
一般に、内蔵型構造の二次電池パックは、電気的接続構造に適した板状型電池セルを使用し、PCMなどは、導電性ニッケルプレートを媒介として溶接またはソルダリング方式で電池セルに接続される。すなわち、ニッケルプレートを電池セルの電極端子にそれぞれ溶接またはソルダリングし、両面テープの一側にはF(flexible)−PCBを溶接し、他側には保護テープを付着して電池セルに密着させた状態で、F−PCBの電極タブとニッケルプレートが溶接される方法で、PCMを電池セルに接続して電池パックを製造する。
【0006】
このようなPCMを含む安全素子は、電極端子と電気的接続を維持すると同時に、電池セルの他の部分とは電気的絶縁状態を維持しなければならない。
【0007】
したがって、PCMをはじめとするそれぞれの部材に対して絶縁性テープを付着し、その他にも、電池セルを内蔵している電池ケースのシーリング部の一部を折り曲げて絶縁性テープを付着したり、バーコードをプリントするなどの非常に複雑な過程を経るようになる。
【0008】
このように、安全な接続形態を構成するためには多数の絶縁性テープまたは多数の部品が要求されるため、電池パックの組立工程を複雑にし、製造コストが上昇するという問題を有している。
【0009】
また、外部から衝撃が加わる場合、電池パックは、機械的剛性の低い絶縁性テープの使用により、PCMが破損したり、寸法安定性が著しく低下するなどの問題を引き起こすこともある。
【0010】
したがって、電池セルに装着される部材の数を減少させて組立工程を簡素化し、電池セルに搭載される部材を相互間に安定的に結合させると同時にPCMを保護することができる技術に対する必要性が高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0012】
具体的に、本発明の目的は、電池パックに必要とされる部品数を減少させて組立工程を簡素化し、優れた構造的安定性を発揮することができる電池パックを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、特定の構造のモジュールケースを電池パックに適用することによって、コンパクトな構造を有すると共に、同一規格の電池パックにおいて電気容量を拡大できる構造の電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明に係る電池パックは、
【0015】
密封余剰部を含む一側面に電極端子が形成されている板状型電池セルを含み、前記密封余剰部に保護回路モジュール(PCM)が装着されている構造の電池パックであって、
【0016】
前記電池セルの電極端子は板状型の導電性部材からなっており、
【0017】
前記PCMは、PCB(保護回路印刷基板)、電池セルの一側の電極端子とPCBとの間に電気的に接続されているか、または前記PCB上に搭載された安全素子、前記PCBの保護回路に電気的に接続されている外部入出力端子、及び前記外部入出力端子が外部に延びた状態で前記PCB及び安全素子が装着される電気絶縁性のモジュールケースを含む構成となっており、
【0018】
前記モジュールケースは、一側面が外部に開放されたPCB収納部、及び電池セルの密封余剰部に対するモジュールケースの装着のための1つ以上の固定部を含んでおり、
【0019】
前記PCMは、電池セルの電極端子に電気的に接続されてモジュールケースに収納された状態で、電池セルの密封余剰部上に搭載されている構成となっている。
【0020】
したがって、本発明の電池パックは、一側面が外部に開放されたPCB収納部を含み、電池セルの密封余剰部に対するモジュールケースの装着のための1つ以上の固定部を含むモジュールケース構造をベースとすることによって、電池パックの部品及び結合構造を簡素化させ、電池パックの製造工程性及び安定性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の電池パックは、前記のような特定の構造のモジュールケースを電池パックに適用することによって、全体的にコンパクトな構造を提供すると共に、同一規格の電池パックにおいて電気容量を増大させることができる。
【0022】
一具体例において、前記板状型電池セルはパウチ型二次電池であってもよい。
【0023】
前記パウチ型二次電池は、具体的に、樹脂層と金属層を含むラミネートシートに電極組立体が密封されている構造であってもよく、前記電極組立体は、正極、負極、及び正極と負極との間に介在する分離膜を含み、電解液と共に、前記電池ケースの内部に密封されている構造であってもよい。
【0024】
前記二次電池は、好ましくは、高いエネルギー密度、放電電圧、及び出力安定性を示すリチウム二次電池であってもよい。このようなリチウム二次電池のその他の構成要素について、以下で詳細に説明する。
【0025】
通常、リチウム二次電池は、正極、負極、分離膜、リチウム塩含有非水電解液などで構成されている。
【0026】
正極は、例えば、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥して製造され、必要によっては、充填剤をさらに添加することもある。負極はまた、負極集電体上に負極材料を塗布、乾燥して作製され、必要に応じて、上述した充填剤がさらに含まれてもよい。
【0027】
前記分離膜は、負極と正極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。
【0028】
リチウム塩含有非水系電解液は、非水電解液及びリチウム塩からなっており、非水電解液としては、液状非水電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0029】
前記集電体、電極活物質、導電材、バインダー、充填剤、分離膜、電解液、リチウム塩などは、当業界に公知となっているので、それについての詳細な説明は本明細書で省略する。
【0030】
このようなリチウム二次電池は、当業界に公知となっている通常の方法によって製造することができる。すなわち、正極と負極との間に多孔性分離膜を挿入し、それに電解液を注入して製造することができる。
【0031】
正極は、例えば、活物質として、リチウム遷移金属酸化物、導電材及びバインダーを含有したスラリーを集電体上に塗布した後、乾燥して製造することができる。同様に、負極は、例えば、炭素活物質、導電材及びバインダーを含有したスラリーを薄い集電体上に塗布した後、乾燥して製造することができる。
【0032】
本発明において、前記密封余剰部は、電池ケースの熱融着密封によって形成された上端シーリング部を意味する。
【0033】
具体的に、電極組立体がラミネートシートの電池ケースに密封されるときに形成される密封された外周面のうち、一面に形成された余分な空間を持つ密封部を密封余剰部という。しかし、同じ意味を内包しているものであれば、前記密封余剰部は、シーリング余剰部、熱融着余剰部、シーリングテラス、密封テラスなどのような用語に代替できることは勿論である。
【0034】
一具体例において、前記安全素子は、電池パックの過充電、過電流などの異常な状態を効果的に制御できる素子であって、安全素子の例としては、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子、ヒューズ(fuse)またはTCO(Thermal Cutoff、Cutout)などがある。
【0035】
前記外部入出力端子は、PCBと電気的に接続され、充電器などのような外部デバイスから電池セルに電流を供給したり、または電池セルから携帯電話などのデバイスに電流を提供できる形態であれば、特に制限されるものではないが、内蔵型電池パックにおいて、好ましくは、板状型またはワイヤの形態であってもよい。
【0036】
一具体例において、前記モジュールケースの固定部は、密封余剰部の端部に結合されるフック(hook)構造であってもよい。
【0037】
また、前記モジュールケースの固定部は、例えば、モジュールケースの長辺を基準として中央に形成されており、密封余剰部に対面するモジュールケースの両端部位は、前記固定部の大きさに対応する長さで密封余剰部の方向に突出している構造であってもよく、前記固定部が形成されているモジュールケースの部位は、密封余剰部の対向方向に湾入している構造であってもよい。このような構造によって、密封余剰部に対するモジュールケースのさらに弾力的な装着が保障される。
【0038】
更に他の具体例において、前記モジュールケースの固定部が結合される密封余剰部には、モジュールケースの方向に突出した装着部が形成されている構造であってもよい。このような構造は、密封余剰部に対するモジュールケースのさらに安定した装着を助ける。
【0039】
また、前記モジュールケースは、直方体構造のボックス型構造であってもよく、モジュールケースの内部には1つ以上のPCB固定突出部が形成されている構造であってもよい。
【0040】
以上のように、特定の構造の固定部、PCB収納部及びPCB固定突出部を含んでいるので、PCB及び安全素子をPCB収納部に容易に収納及び固定することができる。また、モジュールケースは、追加の固定部材または保護部材を必要としない構造となっているので、簡素化された組立工程によって向上した生産効率性を達成することができる。さらに、PCB及び安全素子は、モジュールケースのPCB収納部に収納され、PCB固定突出部によって強固且つ安定的に固定されると同時に、外部から電気的に絶縁及び保護され得るので、PCMの全体的な機械的剛性を高めることができ、従来の内蔵型電池パックと比較して、絶縁性テープの使用量を大幅に減少させることができる。
【0041】
また、このような構造のPCB収納部を含むモジュールケースは、例えば、外観が滑らかな直方体構造であるので、電池セルの密封余剰部上に容易に搭載することができる。
【0042】
結果的に、本発明に係る電池パックは、従来と比較して、さらにコンパクトな構造を達成することができ、従来のPCM、PCM固定部材またはPCM保護部材が占める空間を電気容量の拡大のための空間として活用できるので、同一規格の電池パックにおいて電気的容量の拡大効果を達成することができる。
【0043】
更に他の具体例において、外部入出力端子を除いたPCMと電池セルの外面を包む形態でラベルが付着している構造からなることができ、これによって、全般的に絶縁状態を維持しながら、電池セルの電極端子とPCBとの電気的接続状態をより安定的に担保することができる。
【0044】
本発明はまた、前記電池パックの構成に使用される特定の構造の保護回路モジュールを提供する。
【0045】
具体的に、本発明に係る保護回路モジュールは、板状型の導電性部材からなる電極端子が上端に形成されている板状型電池セルの密封余剰部上に搭載される保護回路モジュール(PCM)であって、
【0046】
PCB(保護回路印刷基板)、電池セルの一側の電極端子とPCBとの間に電気的に接続されているか、または前記PCB上に搭載された安全素子、前記PCBの保護回路に電気的に接続されている外部入出力端子、及び前記外部入出力端子が外部に延びた状態で前記PCB及び安全素子が装着される電気絶縁性のモジュールケースを含む構成となっており、
【0047】
前記モジュールケースは、一側面が外部に開放されたPCB収納部、及び電池セルの密封余剰部に対するモジュールケースの装着のための1つ以上の固定部を含んでおり、
【0048】
前記PCMは、電池セルの電極端子に電気的に接続されてモジュールケースに収納された状態で、電池セルの密封余剰部上に搭載される構成となっている。
【0049】
一般的な内蔵型電池パックの組立過程では、接続部材、F−PCMなどを結合し、各ステップ毎に絶縁性テープを付着する過程により電池セル上にPCMアセンブリを設置する。したがって、多数の部品などを用いてPCMアセンブリを電池セル上に装着するため、多数の工程が要求され、機械的剛性だけでなく構造的安定性が低いという問題が誘発される。
【0050】
これとは異なり、本発明に係る保護回路モジュールは、安全素子がPCBに結合された状態でモジュールケースに内蔵された構造となっているので、電池パックの構造的安定性が向上し、電池パックの製造工程を大幅に簡素化することができる。
【0051】
一具体例において、前記外部入出力端子は、PCBと電気的に接続され、充電器などのようなデバイスから電池セルに電流を供給したり、または電池セルから携帯電話などのようなデバイスに電流を提供できる形態であれば、特に制限されるものではないが、内蔵型電池パックにおいて、好ましくは、板状型またはワイヤの形態であってもよい。
【0052】
更に他の具体例において、前記モジュールケースの固定部は、密封余剰部の端部に結合されるフック(hook)構造であってもよい。
【0053】
また、前記モジュールケースの固定部は、モジュールケースの長辺を基準として中央に形成されており、密封余剰部に対面するモジュールケースの両端部位は、前記固定部の大きさに対応する長さで密封余剰部の方向に突出している構造であってもよく、前記固定部が形成されているモジュールケースの部位は、密封余剰部の対向方向に湾入している構造であってもよい。
【0054】
更に他の具体例において、前記モジュールケースは、直方体構造のボックス型構造であり、モジュールケースの内部には1つ以上のPCB固定突出部が形成されている構造であってもよい。
【0055】
本発明はまた、前記電池パックを製造する方法を提供する。
【0056】
具体的に、本発明に係る電池パックを製造する方法は、
【0057】
(a)PCBに外部入出力端子を溶接またはソルダリングによって接続する過程と、
【0058】
(b)電池セルの電極端子とPCBを溶接またはソルダリングによって接続する過程と、
【0059】
(c)PCB収納部にPCBを装着する過程と、
【0060】
(d)PCMを電池セルの密封余剰部上に搭載した後、PCMの固定部を電池セルの密封余剰部に結合する過程と、
【0061】
(e)外部入出力端子を除いたPCMと電池セルの外面を包む形態でラベルを付着する過程と、
【0062】
を含む方法で製造することができる。
【0063】
一具体例において、前記溶接は、電気的接続を達成することができる溶接であれば、特に制限されるものではないが、好ましくは、スポット溶接(spot welding)、レーザー溶接(laser welding)または超音波溶接(ultrasonic welding)であってもよい。
【0064】
このような製造方法は、従来の内蔵型電池パックの製造工程と比較して、作業工程数を減少させ、構造的安定性が向上した電池パックを提供することができる。
【0065】
本発明はまた、前記電池パックを電源として含んでいるモバイルデバイスを提供する。
【0066】
本発明に係る電池パックが使用され得るモバイルデバイスの具体的な例としては、携帯電話、ノートパソコン、ネットブック、タブレットPC、スマートパッドなどのようなモバイルデバイスを挙げることができる。
【0067】
前記のようなデバイス乃至装置は当業界に公知となっているので、本明細書では、それについての具体的な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】本発明の一実施例に係る電池パックの斜視図である。
図2図1に示された電池パックの分解斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る電池パックを製造する工程を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る電池パックを製造する工程を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る電池パックを製造する工程を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施例に係る電池パックを製造する工程を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施例に係る電池パックを製造する工程を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施例に係る電池パックを製造する工程を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施例に係るモジュールケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下では、本発明の実施例に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0070】
図1には、本発明の一実施例に係る電池パックの斜視図が示されており、図2には、図1に示された電池パックの分解斜視図が示されている。
【0071】
これら図面を参照すると、電池パック600は、密封余剰部130を含む一側面に電極端子110,120が形成されている板状型電池セル100、及びPCB200を収納する電気絶縁性モジュールケース400を含み、板状型電池セル100及びモジュールケース400は保護ラベル500によって包まれている。
【0072】
また、電池セル100の密封余剰部130には、モジュールケース400が搭載される方向に突出した装着部131が形成されている。
【0073】
一方、PCB200は、板状型の外部入出力端子300の接続部310と電気的に接続されており、外部入出力端子300は、モジュールケース400から外部に延びて形成されており、外部入出力端子300の端部には、外部デバイスと接続可能なコネクタ320が形成されている。
【0074】
図3乃至図8には、本発明の一実施例に係る電池パックを製造する工程を示す斜視図が示されている。
【0075】
図3図4と共に参照すると、PCB200の端子接続部210,220と板状型電池セル100の電極端子110,120とがスポット溶接(spot welding)111,121によってそれぞれ電気的に接続されている。
【0076】
PCB200と電極端子110,120が電気的に接続された後、PCB200は、板状型電池セル100の上下部面と平行な方向に置かれるように端子接続部210,220が折り曲げ(201)られる。
【0077】
図4を参照すると、PCB200の外部入出力端子接続部230に電気的に接続された外部入出力端子接続部310は、端子接続部210,220の折り曲げによって下方を向いている。電池セル100の密封余剰部130は、PCB200の幅と同一に形成されている。
【0078】
図5乃至図7を参照すると、PCB200は、モジュールケース400に収納された後、電極端子110,120の折り曲げ(202)によって電池セル100の密封余剰部130上に搭載され、固定部410が密封余剰部130の装着部131に締結されながら、モジュールケース400が電池セル100の密封余剰部130上に強固に固定される。
【0079】
具体的に、図7図9と共に参照すると、モジュールケース400の一面に形成された固定部410は下向き折り曲げ形状のフック構造であり、電池セル100の密封余剰部130上に形成された装着部131は、密封余剰部130の一部がモジュールケース400の搭載方向に突出した構造である。
【0080】
一方、モジュールケース400が電池セル100の密封余剰部130に搭載されることによって、モジュールケース400から外部に延びて導出された外部入出力端子300は上方を向くことになる。
【0081】
このとき、電池セル100の密封余剰部130に搭載されたモジュールケース400の幅と長さは、電池セル100の密封余剰部130の幅と長さにほぼ一致する。
【0082】
また、電池セル100の密封余剰部130上に搭載されたモジュールケース400の高さは電池セル100の厚さと同一である形態を備えている。
【0083】
モジュールケース400は、追加の部材がない滑らかな面を有する直方体構造のボックス型構造である。また、モジュールケース400の内部には多数のPCB固定突出部421が形成されている。
【0084】
したがって、PCB200及び安全素子(図示せず)は、モジュールケース400のPCB収納部420に収納されてPCB固定突出部421によって強固且つ安定的に固定されると同時に、外部から電気的に絶縁及び保護され得る。
【0085】
したがって、モジュールケース400は、追加の固定部材または保護部材を必要としない組立式締結構造となっているので、簡素化された組立工程によって向上した生産効率性を達成することができる。
【0086】
また、モジュールケース400の外部面は滑らかな面を有する構造であるため、電池パックの滑らかな外部面を形成できるので、正確な寸法の電池パックを具現することができ、これと同時に美麗な外部を達成することができる。
【0087】
さらに、図6及び図9に示されたように、モジュールケース400は、外観が滑らかな直方体構造であるため、電池セルの密封余剰部上に容易に搭載することができる。
【0088】
結果的に、本発明に係る電池パックは、従来と比較して、より一層コンパクトな構造を達成することができ、従来のPCM、PCM固定部材またはPCM保護部材が占める空間を電気容量の拡大のための空間として活用できるので、電池パックの電気的容量の拡大効果を達成することができる。
【0089】
図8を参照すると、外部入出力端子300を除いた電池セル100の外部面及びモジュールケース400の外部面が保護ラベル500によって包まれている。
【0090】
製品の情報を表示するラベル500は、電池セル100と絶縁状態を維持しながら、電池セル100の電極端子110,120とPCB200との電気的接続状態をさらに安定的に担保する。
【0091】
以上、本発明の実施例に係る図面を参照して説明したが、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上で説明したように、本発明に係る電池パックは、一側面が外部に開放されたPCB収納部を含み、電池セルの密封余剰部に対するモジュールケースの装着のための1つ以上の固定部を含むモジュールケースの構造を電池パックに適用することによって、作業工程を簡素化することができ、構造的安定性を向上させることができ、電池パックのコンパクトな構造を可能にし、同一規格の電池パックにおいて電気容量を拡大することができる。
【符号の説明】
【0093】
100 電池セル
110 電極端子
111 スポット溶接
120 電極端子
121 スポット溶接
130 密封余剰部
131 装着部
200 PCB
210 端子接続部
220 端子接続部
230 外部入出力端子接続部
300 外部入出力端子
310 接続部
320 コネクタ
400 モジュールケース
410 固定部
420 PCB収納部
421 PCB固定突出部
500 保護ラベル
600 電池パック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9