【実施例】
【0027】
以下、実施例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで理解を容易にするための一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明で説明する実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0028】
(実施例1)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、その外周部に断面V字型の加工溝をターゲットの直径方向に対して平行に、等間隔となるように4ヶ所形成した。このターゲットの写真を
図4に示す。溝の幅を6mm、溝の深さを3mm、溝の長さをフラット部13mm、テーパ部12mmとし、フラット部の加工溝の面積比率を0.24%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を1.1%とした。次に、このターゲットを以下の条件でスパッタリングを実施し、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75%から34.7%まで著しく低下した。
【0029】
(点火試験について)
第1ステップ「ガス安定」(5sec)
Arガスを5sccm導入する。
第2ステップ「イグニッション」(1sec(点火まで5sec))
Arガスを5sccm導入したまま、DC電源で1000W印加する。
(真空度:0.2〜0.3mTorr)
第3ステップ「真空引き」(10sec)
チャンバ内の真空引きを行う(真空度:1〜3μTorr)。
上記3ステップを1サイクルとして、点火試験を実施する。イグニッションの成否は、第2ステップの「イグニッション」において、印可開始から5sec以内に実電力に到達したかで判断する。5sec以内にイグニッションが成功しなかった場合、第2ステップの「イグニッション」の始めに戻り、設定電力を再度印加する。この第2ステップの「イグニッション」で設定電力の印加を3回繰り返し、合計4回行ってもイグニッションが成功しない場合は点火失敗と判断し、処理を停止する。
【0030】
(実施例2)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、その外周部に断面V字型の加工溝をターゲットの直径方向と平行に、等間隔となるように4ヶ所形成した。溝の幅を3mm、溝の深さを3mm、溝の長さをフラット部13mm、テーパ部12mmとし、フラット部の加工溝の面積比率を0.12%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を0.6%とした。次に、このターゲットを実施例1と同条件にて、スパッタを実施して、イグニッションの点火失敗率を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75%から31.6%まで著しく低下した。
【0031】
(実施例3)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、その外周テーパ部のみに断面U字型の加工溝をターゲットの直径方向と平行に、等間隔となるように4ヶ所形成した。溝の幅を3mm、溝の深さを3mm、溝の長さをフラット部0mm、テーパ部12mmとし、フラット部の加工溝の面積比率を0%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を0.6%とした。次に、このターゲットをバッキングプレートに接合した後、以下の条件でスパッタリングを実施し、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75%から33.7%まで著しく低下した。
【0032】
(実施例4)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、その外周テーパ部のみに断面U字型の加工溝をターゲットの直径方向と平行に、等間隔となるように32ヶ所形成した。このターゲットの写真を
図5に示す。溝の幅を3mm、溝の深さを3mm、溝の長さをフラット部0mm、テーパ部12mmとし、フラット部の加工溝の面積比率を0%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を4.5%とした。次に、このターゲットを以下の条件でスパッタリングを実施し、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75%から7.4%まで著しく低下した。
【0033】
(実施例5)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、その外周テーパ部の全てに、断面V字型の加工溝をターゲットの直径方向に対して±45度の角度を成すように1mmの等間隔でナーリング加工して、格子状模様を形成した。このターゲットの加工溝部分の写真を
図6に示す。溝の幅を1mm、溝の深さを0.1mm、フラット部の加工溝の面積比率を0%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を90%とした。次に、このターゲットを以下の条件でスパッタリングを実施し、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75%から3.2%まで著しく低下した。
【0034】
(実施例6)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、その外周テーパ部に断面U字型の加工溝をターゲットの直径方向と平行に、等間隔となるように4ヶ所形成し、溝の幅を3mm、溝の深さを3mm、溝の長さをフラット部0mm、テーパ部12mmとした。合わせて、外周部に断面V字型の加工溝を同心円状に形成し、溝の幅を6mm、深さを3mm、溝の長さを外周約1256mm、内周約1193mmとした。上記2種類の加工溝によりテーパ部の加工溝の面積比率を0.6%とし、フラット部の加工溝の面積比率を9.5%とした。次に、このターゲットを以下の条件でスパッタリングを実施し、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75%から25.3%まで著しく低下した。
【0035】
(比較例1)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、加工溝が無いターゲットを作製した。このターゲットを実施例1と同条件にて、スパッタを実施して、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、点火失敗率は75.0%であった。
【0036】
(比較例2)
直径444mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度3N5以上)において、その外周部に断面V字型の加工溝を同心円状に形成した。このターゲットの写真を
図7に示す。溝の幅を6mm、深さを3mm、溝の長さを外周約1256mm、内周約1193mmとし、フラット部の加工溝の面積比率を9.5%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を0%とした。次に、このターゲットを実施例1と同条件にて、スパッタを実施して、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75.0%から70.9%と大きな低下は見られなかった。
【0037】
(比較例3)
直径444mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度3N5以上)において、その外周部に断面V字型の加工溝を同心円状に形成した。溝の幅は14mm、深さは3mm、溝の長さは外周約1237mm、内周約1150mmとし、フラット部の加工溝の面積比率は11.1%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を0%とした。次に、このターゲットを実施例1と同条件にて、スパッタを実施したところ、スパッタ時の電流値が低下し、スパッタ電力が安定しない現象が見られたため、評価を中止した。
【0038】
(比較例4)
直径444mm、スパッタ面の直径が406mmのタンタルスパッタリングターゲット(純度4N5以上)において、その外周フラット部のみに断面U字型の加工溝をターゲットの直径方向と平行に、等間隔となるように4ヶ所形成した。溝の幅を
6mm、溝の深さを3mm、溝の長さをフラット部13mm、テーパ部0mmとし、フラット部の加工溝の面積比率を0.24%とし、テーパ部の加工溝の面積比率を0%とした。次に、このターゲットをバッキングプレートに接合した後、以下の条件でスパッタリングを実施し、イグニッションの点火失敗率((イグニッション失敗回数/イグニッション実施回数)×100)を調べた。その結果、加工溝がない同型のターゲットに比べて、点火失敗率は、75%から68.5%と大きな低下はみられなかった。
【0039】
以上の結果をまとめたものを表1に示す。
【表1】