特許第6367566号(P6367566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367566
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】表示デバイスのドライバ
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20180723BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20180723BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20180723BHJP
   G11C 19/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 623G
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 623H
   G09G3/20 611C
   G02F1/133 505
   G11C19/00 C
   G11C19/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-17236(P2014-17236)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143780(P2015-143780A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2017年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−203388(JP,A)
【文献】 特開昭62−245289(JP,A)
【文献】 特開2007−171597(JP,A)
【文献】 特開平08−286643(JP,A)
【文献】 特開2012−203062(JP,A)
【文献】 特開2003−162262(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0058838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00−3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号によって示される画素毎の輝度レベルに対応した画素駆動電圧を表示デバイスのN個(Nは2以上の自然数)のデータラインに夫々印加する前記表示デバイスのドライバであって、
画素毎の前記輝度レベルを示すN個の画素データ片を、夫々異なるエッジタイミングを有する第1〜第Nの取込クロック信号に同期して取り込んで出力する第1〜第Nのラッチと、
前記映像信号中の水平同期信号に同期したロード信号を、外部供給された基準タイミング信号に同期させて順次、次段にシフトしつつ取り込むN段のシフトレジスタと、を有し、
前記N段のシフトレジスタは、直列に接続され出力を前記第1〜第Nの取込クロック信号として前記第1〜第Nのラッチに夫々供給する第1〜第Nのフリップフロップと
自身が前記ロード信号を外部から受け取った時点から前記画素データをロードする実際の開始時点までの期間をロード遅延時間として特定するためのロード遅延時間情報と、遅延モードを特定するための遅延モード情報とを含む初期設定信号を前記外部から受信し、前記ロード信号を前記外部から受け取った後、その受信初期設定信号の前記ロード遅延時間情報によって特定される前記ロード遅延時間が経過したとき前記ロード信号を出力する遅延設定部と、
前記受信初期設定信号の前記遅延モード情報によって特定される遅延モードに応じて前記第1〜第Nのフリップフロップにおける前記ロード信号のシフト順番を切替えかつ前記遅延設定部から出力された前記ロード信号を前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの前記シフト順番の第1番目のフリップフロップに供給するシフト方向切替部と、を含むことを特徴とするドライバ。
【請求項2】
前記遅延モードは、
前記第1〜第Nのフリップフロップの順に前記ロード信号を次段のフリップフロップにシフトさせる第1シフトモード、
前記第N〜第1のフリップフロップの順に前記ロード信号を次段のフリップフロップにシフトさせる第2シフトモード、及び
前記第1〜第f(fはN未満の自然数)のフリップフロップの順に前記ロード信号を次段のフリップフロップにシフトさせつつ前記第N〜第(f+1)のフリップフロップの順に前記ロード信号を次段のフリップフロップにシフトさせる第3シフトモードのうちの1であることを特徴とする請求項1記載のドライバ。
【請求項3】
前記シフトレジスタは、前記基準タイミング信号の1/2の周波数を有する第1基準タイミング信号に同期させて前記ロード信号を順次、次段にシフトしつつ取り込む第1シフトレジスタと、
前記第1基準タイミング信号と同一周波数を有し且つ前記第1基準タイミング信号とは位相が異なる第2基準タイミング信号に同期させて前記ロード信号を順次、次段にシフトしつつ取り込む第2シフトレジスタと、からなり、
前記第1シフトレジスタは、直列に接続されたフリップフロップ各々の出力を前記第1〜第Nの取込クロック信号のうちの奇数番目の取込クロック信号として前記第1〜第Nのラッチのうちの奇数番目のラッチ各々に供給し、
前記第2シフトレジスタは、直列に接続されたフリップフロップ各々の出力を前記第1〜第Nの取込クロック信号のうちの偶数番目の取込クロック信号として前記第1〜第Nのラッチのうちの偶数番目のラッチ各々に供給することを特徴とする請求項1又は2記載のドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて表示デバイスを駆動する表示デバイスのドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
表示デバイスとしての例えば液晶表示パネルには、2次元画面の水平方向に伸張する複数のゲートラインと、2次元画面の垂直方向に伸張する複数のソースラインと、が交叉するように配置されている。更に、液晶表示パネルには、入力映像信号によって表される各画素の輝度レベルに対応した階調表示電圧をソースラインの各々に印加するソースドライバと、走査信号をゲートラインに印加するゲートドライバと、が搭載されている。尚、このようなソースドライバとして、1水平同期期間分の複数の表示データを複数のラッチ各々に個別に取り込み、各ラッチに取り込まれた表示データに対応した階調表示電圧を各ソースラインに印加するようにしたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。かかるソースドライバでは、上記したラッチ各々による表示データの取り込みタイミングをインバータ素子の素子遅延を利用した遅延回路によってずらすことにより、各ソースラインに流れ込む電流の急峻な変化が同時に起こる状態を回避し、このような状態で発生するノイズを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−301946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような遅延回路は予めその遅延量が固定されており、且つその遅延量自体も製造上のバラツキ、並びに環境温度等によって変動する為、各種の表示デバイスの仕様に適合させることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記したノイズの発生を抑制しつつも各種の表示デバイスの仕様に適合させることが可能な表示デバイスのドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示デバイスのドライバは、映像信号によって示される画素毎の輝度レベルに対応した画素駆動電圧を表示デバイスのN個(Nは2以上の自然数)のデータラインに夫々印加する前記表示デバイスのドライバであって、画素毎の前記輝度レベルを示すN個の画素データ片を、夫々異なるエッジタイミングを有する第1〜第Nの取込クロック信号に同期して取り込んで出力する第1〜第Nのラッチと、前記映像信号中の水平同期信号に同期したロード信号を、外部供給された基準タイミング信号に同期させて順次、次段にシフトしつつ取り込むN段のシフトレジスタと、を有し、前記N段のシフトレジスタは、直列に接続され出力を前記第1〜第Nの取込クロック信号として前記第1〜第Nのラッチに夫々供給する第1〜第Nのフリップフロップと自身が前記ロード信号を外部から受け取った時点から前記画素データをロードする実際の開始時点までの期間をロード遅延時間として特定するためのロード遅延時間情報と、遅延モードを特定するための遅延モード情報とを含む初期設定信号を前記外部から受信し、前記ロード信号を前記外部から受け取った後、その受信初期設定信号の前記ロード遅延時間情報によって特定される前記ロード遅延時間が経過したとき前記ロード信号を出力する遅延設定部と、前記受信初期設定信号の前記遅延モード情報によって特定される遅延モードに応じて前記第1〜第Nのフリップフロップにおける前記ロード信号のシフト順番を切替えかつ前記遅延設定部から出力された前記ロード信号を前記第1〜第Nのフリップフロップのうちの前記シフト順番の第1番目のフリップフロップに供給するシフト方向切替部と、を含むことを特徴とする
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造上のバラツキ及び環境温度等の影響を受けにくく且つ各種の表示デバイスの仕様に適合可能な汎用性の高い表示デバイスのドライバを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る表示デバイスのドライバを含む表示装置を示すブロック図である。
図2】ドライバIC3aの内部構成の一例を示すブロック図である。
図3】遅延制御回路134及び第2データラッチ部132の内部構成の一例を示す回路図である。
図4】Lシフトモード時でのシフト方向切替スイッチ311〜31Kのスイッチ状態を示す図である。
図5】Lシフトモード時における遅延制御回路134の内部動作を示すタイムチャートである。
図6】Rシフトモード時でのシフト方向切替スイッチ311〜31Kのスイッチ状態を示す図である。
図7】Rシフトモード時における遅延制御回路134の内部動作を示すタイムチャートである。
図8】Vシフトモード時でのシフト方向切替スイッチ311〜31Kのスイッチ状態を示す図である。
図9】Vシフトモード時における遅延制御回路134の内部動作を示すタイムチャートである。
図10】遅延モード毎に、各データラインに印加する画素駆動電圧Gの遅延形態を示す図である。
図11】データラインD1〜Dnに印加される画素駆動電圧Gの遅延形態と、水平走査ラインS上の各位置における水平走査パルスの遅延形態と、を示す図である。
図12】画面左(又は右)端領域に属するD1(又はDn)、及び画面中央領域に属するデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)に同時に画素駆動電圧を印加した場合における画素駆動電圧及び水平走査パルスの波形を示す図である。
図13】画面左(又は右)端領域に属するD1(又はDn)に対して、画面中央領域に属するデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)に印加する画素駆動電圧を遅延させた場合における画素駆動電圧及び水平走査パルスの波形を示す図である。
図14】遅延制御回路134の内部構成の他の一例を示す回路図である。
図15図14に示す遅延制御回路134をVシフトモードで動作させた際の内部動作を示すタイムチャートである。
図16】ドライバIC3a〜3e各々の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
図17】ドライバIC3a〜3e各々の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る表示デバイスのドライバを含む表示装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、かかる表示装置は、駆動制御部1、走査ドライバ2A及び2B、データドライバ3及び表示デバイス20を含む。
【0011】
表示デバイス20は、例えば液晶又は有機ELパネル等からなる。表示デバイス20には、夫々が2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査ラインS1〜Smと、夫々が2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータラインD1〜Dnとが形成されている。水平走査ライン及びデータラインの各交叉部には、画素を担う表示セルが形成されている。
【0012】
駆動制御部1は、映像信号中から水平同期信号を抽出しこれを水平同期信号HSとして走査ドライバ2A及び2Bに供給すると共に、この水平同期信号に同期して、画素データの取り込み開始タイミングを示すロード信号LDを生成しこれをデータドライバ3に供給する。また、駆動制御部1は、かかる映像信号に基づき、各画素毎にその画素の輝度レベルを例えば8ビットで表す画素データPDの系列を生成し、これにクロック信号のタイミングを表す基準タイミング信号RSを重畳した画素データ信号PDSをデータドライバ3に供給する。更に、駆動制御部1は、データドライバ3内に形成されているドライバIC(後述する)各々の初期設定を行う為の初期設定信号ISSをデータドライバ3に供給する。尚、初期設定信号ISSは、例えば、上記したロード信号LDが供給されてから実際に画素データのロードを開始するまでのロード遅延時間に対応した情報を指定するロード遅延時間情報LI、及び遅延モード(後述する)を指定する遅延モード情報DMを示す。
【0013】
走査ドライバ2Aは水平走査ラインS1〜Sm各々の一端に接続されており、走査ドライバ2Bは水平走査ラインS1〜Sm各々の他端に接続されている。走査ドライバ2A及び2Bは、上記した水平同期信号HSに同期させて水平走査パルスSPを生成し、これを表示デバイス20の水平走査ラインS1〜Sm各々に順次印加する。
【0014】
データドライバ3は、上記した初期設定信号ISSに基づいて設定された動作モード(後述する)に従って、画素データ信号PDS中の画素データPDの系列をロード信号LDに応じて取り込む。そして、1水平走査ライン分、つまりデータラインの総数であるn個の画素データPDの取り込みが為される度に、データドライバ3は、取り込んだn個の画素データPDを、夫々が示す輝度レベルに対応した電圧値を有する画素駆動電圧に変換して表示デバイス20のデータラインD1〜Dnに印加する。
【0015】
尚、データドライバ3は、夫々が同一回路構成を有する複数の半導体IC(Integrated Circuit)チップ、例えば図1に示す実施例では、5つのドライバIC3a〜3eによって形成されている。この際、ドライバIC3aは、1水平走査ライン分のn個の画素データPDのうちから表示デバイス20の第1列〜第K列(Kは2以上の自然数)に対応したK個の画素データPDを取り込み、夫々が示す輝度レベルに対応した画素駆動電圧G1〜GKを表示デバイス20のデータラインD1〜DKに印加する。ドライバIC3bは、1水平走査ライン分のn個の画素データPDのうちから表示デバイス20の第(K+1)列〜第L列(Lは2・K)に対応したK個の画素データPDを取り込み、夫々が示す輝度レベルに対応した画素駆動電圧GK+1〜GLを表示デバイス20のデータラインDK+1〜DLに印加する。ドライバIC3cは、1水平走査ライン分のn個の画素データPDのうちから表示デバイス20の第(L+1)列〜第Y列(Yは3・K)に対応したK個の画素データPDを取り込み、夫々が示す輝度レベルに対応した画素駆動電圧GL+1〜GYを表示デバイス20のデータラインDL+1〜DYに印加する。ドライバIC3dは、1水平走査ライン分のn個の画素データPDのうちから表示デバイス20の第(Y+1)列〜第Q列(Qは4・K)に対応したK個の画素データPDを取り込み、夫々が示す輝度レベルに対応した画素駆動電圧GY+1〜GQを表示デバイス20のデータラインDY+1〜DQに印加する。ドライバIC3eは、1水平走査ライン分のn個の画素データPDのうちから表示デバイス20の第(Q+1)列〜第n列に対応したK個の画素データPDを取り込み、夫々が示す輝度レベルに対応した画素駆動電圧GQ+1〜Gnを表示デバイス20のデータラインDQ+1〜Dnに印加する。
【0016】
すなわち、表示デバイス20の画面左領域の駆動を担うドライバIC3a及び3b、画面中央領域の駆動を担うドライバIC3c、画面右領域の駆動を担うドライバIC3d及び3eが、図1に示すように、表示デバイス20の一辺に沿って配置されているのである。
【0017】
尚、各ドライバIC3a〜3e内に形成されている回路は同一であるので、以下に、ドライバIC3aを抜粋して各ドライバICに形成されている構成について説明する。
【0018】
図2は、ドライバIC3a内に形成されている回路を示すブロック図である。図2に示すように、各ドライバICには、受信回路131、第1データラッチ部132、第2データラッチ部133、遅延制御回路134、階調電圧変換回路135、及び出力アンプ回路136が形成されている。
【0019】
受信回路131は、駆動制御部1から供給された画素データ信号PDS中から画素データPDの系列を取り込み、1水平走査ライン分(n個)の画素データPDを画素データP1〜PKとして第1データラッチ部132に供給する。更に、受信回路131は、画素データ信号PDS中から基準タイミング信号RSを抽出し、当該基準タイミング信号RSに位相同期した基準クロック信号CKを再生して遅延制御回路134に供給する。
【0020】
第1データラッチ部132は、受信回路131から供給された画素データP1〜PKの各々を供給された順に取り込み、夫々を画素データR1〜RKとして次段の第2データラッチ部133に供給する。
【0021】
遅延制御回路134は、駆動制御部1から供給された初期設定信号ISSに応じて初期設定を行う。そして、遅延制御回路134は、その初期設定に基づく動作モードにて、上記したロード信号LDに応じて、基準クロック信号CKに同期した、夫々エッジタイミングが異なる遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成し、これらを第2データラッチ部133に供給する。
【0022】
図3は、第2データラッチ部133及び遅延制御回路134各々の内部構成の一例を示す回路図である。遅延制御回路134は、遅延設定部30、K個のシフト方向切替スイッチ311〜31K、及びK個のDフリップフロップ(以下、DFFと称する)321〜32Kを含む。
【0023】
図3において、遅延設定部30は、先ず、駆動制御部1から供給された初期設定信号ISSにて示されるロード遅延時間情報LI及び遅延モード情報DMを内蔵レジスタ(図示せぬ)に記憶する。遅延設定部30は、上記遅延モード情報DMにて指定された遅延モードがLシフトモード(第1シフトモード)である場合には、論理レベル0の切替信号C1をシフト方向切替スイッチ311〜31(K/2)に供給すると共に論理レベル0の切替信号C2をシフト方向切替スイッチ31(1+K/2)〜31Kに供給する。また、この遅延モード情報DMにて指定された遅延モードがRシフトモード(第2シフトモード)である場合には、遅延設定部30は、論理レベル1の切替信号C1をシフト方向切替スイッチ311〜31(K/2)に供給すると共に論理レベル1の切替信号C2をシフト方向切替スイッチ31(1+K/2)〜31Kに供給する。また、この遅延モード情報DMにて指定された遅延モードがVシフトモード(第3シフトモード)である場合には、遅延設定部30は、論理レベル0の切替信号C1をシフト方向切替スイッチ311〜31(K/2)に供給すると共に論理レベル1の切替信号C2をシフト方向切替スイッチ31(1+K/2)〜31Kに供給する。
【0024】
更に、遅延設定部30は、駆動制御部1からロード信号LDが供給された場合には、このロード信号LDを受け取ってから、ロード遅延時間情報LIにて示されるロード遅延時間が経過した時点で単一パルスのロード信号LPを生成し、これを方向切替スイッチ311及び31Kに供給する。
【0025】
DFF321〜32Kは、夫々のクロック入力端子に基準クロック信号CKが共通に供給されており、且つ図3に示すように、夫々の前段に設けたシフト方向切替スイッチ31を介して直列に接続されている。すなわち、シフト方向切替スイッチ311〜31K及びDFF321〜32Kは、ロード信号LPを基準クロック信号CKに応じて順次、次段のDFF32にシフトさせて行くシフトレジスタとして動作し、DFF321〜32K各々の出力が遅延取込クロック信号CL1〜CLKとして第2データラッチ部133に供給される。ここで、シフト方向切替スイッチ31W(Wは、2〜[K−1]の自然数)は、DFF32W-1から出力された遅延取込クロック信号CLW-1及びDFF32W+1から出力された遅延取込クロック信号CLW+1のうちの一方を切替信号C1又はC2に応じて選択し、これをDFF32Wに供給する。シフト方向切替スイッチ311は、上記したロード信号LP及びDFF322から出力された遅延取込クロック信号CL2のうちの一方を切替信号C1に応じて選択し、これをDFF321に供給する。シフト方向切替スイッチ31Kは、上記したロード信号LP及びDFF32K-1から出力された遅延取込クロック信号CLK-1のうちの一方を切替信号C2に応じて選択し、これをDFF32Kに供給する。
【0026】
かかる構成により、遅延モード情報DMにて指定された遅延モードがLシフトモードである場合には、論理レベル0の切替信号C1又はC2に応じて、シフト方向切替スイッチ31S(Sは、2〜Kの自然数)は、図4に示すように、DFF32S-1から出力された遅延取込クロック信号CLS-1を選択しこれをDFF32Sに供給する。更に、かかるLシフトモード時には、シフト方向切替スイッチ311は、ロード信号LPを選択してこれをDFF321に供給する。これにより、Lシフトモード時には、ロード信号LPが基準クロック信号CKに同期して先ず、DFF321に取り込まれ、引き続き基準クロック信号CKに同期してDFF322、323、・・・、32K-1、32Kの順に次段のDFFにシフトしつつ取り込まれる。これにより、DFF321〜32Kは、図5に示すように、CL1、CL2、CL3、・・・、CLK-1、CLKの順に夫々のエッジタイミングが基準クロック信号CKの1周期分ずつ遅延した遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成し、これらを第2ラッチ部133に供給する。
【0027】
また、遅延モード情報DMにて指定された遅延モードがRシフトモードである場合には、論理レベル1の切替信号C1又はC2に応じて、シフト方向切替スイッチ31J(Jは1〜K−1の自然数)は、図6に示すように、DFF32J+1から出力された遅延取込クロック信号CLJ+1を選択しこれをDFF32Jに供給する。更に、かかるRシフトモード時には、シフト方向切替スイッチ31Kは、ロード信号LPを選択してこれをDFF32K-1に供給する。これにより、Rシフトモード時には、ロード信号LPが、先ず、基準クロック信号CKに同期してDFF32Kに取り込まれ、引き続き基準クロック信号CKに同期して32K-1、32K-2、・・・、323、322、321の順に次段のDFFにシフトしつつ取り込まれる。これにより、DFF321〜32Kは、図7に示すように、CLK、CLK-1、・・・、CL3、CL2、CL1の順に、夫々のエッジタイミングが基準クロック信号CKの1周期分ずつ遅延した遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成し、これらを第2ラッチ部133に供給する。
【0028】
また、遅延モード情報DMにて指定された遅延モードがVシフトモードである場合には、図8に示すように、シフト方向切替スイッチ311〜31Kのうちの左領域LAに属するシフト方向切替スイッチ31T(Tは2〜K/2の自然数)は、DFF32T-1から出力された遅延取込クロック信号CLT-1を選択しこれをDFF32Tに供給する。更に、かかるVシフトモード時には、左領域LAに属するシフト方向切替スイッチ311は、ロード信号LPを選択してこれをDFF321に供給する。また、Vシフトモード時には、シフト方向切替スイッチ311〜31Kのうちの右領域RAに属するシフト方向切替スイッチ31H(Hは1+K/2〜K−1の自然数)は、DFF32H+1から出力された遅延取込クロック信号CLH+1を選択しこれをDFF32Hに供給する。更に、かかるVシフトモード時には、右領域RAに属するシフト方向切替スイッチ31Kは、ロード信号LPを選択してこれをDFF32Kに供給する。これにより、Vシフトモード時には、ロード信号LPが基準クロック信号CKに同期して先ず、DFF321及び32Kの各々に取り込まれ、引き続き基準クロック信号CKに同期して、以下のように左領域LA及び右領域RA各々に属する各DFF32に取り込まれる。すなわち、左領域LAでは、ロード信号LPが、DFF322、323、・・・、32(K/2)-1、32K/2の順に次段のDFFにシフトしつつ取り込まれ、右領域RAでは、ロード信号LPがDFF32K-1、32K-2、32K-3、・・・、32(K/2)+1の順に次段のDFFにシフトしつつ取り込まれる。これにより、左領域LAに属するDFF321〜32K/2は、図9に示すように、CL1、CL2、CL3、・・・、CLK/2の順に夫々のエッジタイミングが基準クロック信号CKの1周期分ずつ遅延した遅延取込クロック信号CL1〜CLK/2を生成し、これらを第2ラッチ部133に供給する。一方、右領域RAに属するDFF32(K/2)+1、32(K/2)+2、・・・、32K-1、32Kは、図9に示すように、CLK、CLK-1、CLK-2、・・・、CL(K/2)+1の順に夫々のエッジタイミングが基準クロック信号CKの1周期分ずつ遅延した遅延取込クロック信号CL(K/2)+1〜CLKを生成し、これらを第2ラッチ部133に供給する。
【0029】
第2データラッチ部133は、第1データラッチ部132から供給された画素データR1〜RKを、上記した遅延取込クロック信号CL1〜CLKに同期して個別に取り込み、夫々を画素データY1〜YKとして階調電圧変換回路135に供給するK個のラッチ331〜33Kを有する。
【0030】
階調電圧変換回路135は、上記画素データY1〜YKを、夫々の輝度レベルに対応した電圧値を有する画素駆動電圧V1〜VKに変換して出力アンプ回路136に供給する。出力アンプ回路136は、画素駆動電圧V1〜VKの各々を所望に増幅したものを画素駆動電圧G1〜GKとして表示デバイス20のデータラインD1〜DKに夫々印加する。
【0031】
以上の構成により、ドライバIC3a〜3eの各々は、上記した画素駆動電圧G1〜GKを、ロード信号LDを受けてからロード遅延時間情報LIにて示されるロード遅延時間が経過した時点から、更に、遅延モード情報DMで指定された遅延モードに基づく遅延を経て表示デバイス20の各データラインDに印加する。例えば、遅延モード情報DMで指定された遅延モードがLシフトモードである場合には、ドライバIC3a〜3eの各々は、図10(a)に示すように、画素駆動電圧G1、G2、G3、・・・、GKの順にその印加タイミングを遅らせて各画素駆動電圧GをデータラインDに印加する。また、かかる遅延モードがRシフトモードである場合には、ドライバIC3a〜3eの各々は、図10(b)に示すように、画素駆動電圧GK、GK-1、GK-2、・・・G2、G1の順にその印加タイミングを遅らせて各画素駆動電圧GをデータラインDに印加する。また、かかる遅延モードがVシフトモードである場合には、ドライバIC3a〜3eの各々は、図10(c)に示すように、画素駆動電圧(G1、GK)、(G2、GK-1)、(G3、GK-2)、・・・、(GK/2、G(K/2)+1)の順にその印加タイミングを遅らせて各画素駆動電圧GをデータラインDに印加する。
【0032】
次に、上記した駆動制御部1及びドライバIC3a〜3eによる動作について説明する。
【0033】
先ず、駆動制御部1は、データドライバ3のドライバIC3a〜3eの各々に対して、初期設定を行うべき初期設定信号ISSをデータドライバ3に供給する。
【0034】
つまり、駆動制御部1は、表示デバイス20の画面左領域の駆動を担うドライバIC3a及び3bに対しては、Lシフトモードを指定する遅延モード情報DMを含む初期設定信号ISSを供給する。この際、最も左端に配置されているドライバIC3aに対しては、駆動制御部1は、ロード遅延時間としてゼロ、つまり遅延時間無しを示すロード遅延時間情報LIを更に含ませた初期設定信号ISSを供給する。また、左端から2番目に配置されているドライバIC3bに対しては、駆動制御部1は、ロード遅延時間T1を示すロード遅延時間情報LIを更に含ませた初期設定信号ISSを供給する。尚、ロード遅延時間T1は、例えば遅延ロード信号LDが供給されてから、左側に隣接するドライバIC3aにおいて最も遅く印加される画素駆動電圧Gの印加開始時点までの時間である。
【0035】
また、駆動制御部1は、表示デバイス20の画面中央領域の駆動を担うドライバIC3cに対しては、Vシフトモードを指定する遅延モード情報DM、並びにロード遅延時間T2を示すロード遅延時間情報LIを含ませた初期設定信号ISSを供給する。尚、ロード遅延時間T2は、例えば遅延ロード信号LDが供給されてから、左側に隣接するドライバIC3bにおいて最も遅く印加される画素駆動電圧Gの印加開始時点までの時間である。
【0036】
また、駆動制御部1は、表示デバイス20の画面右領域の駆動を担うドライバIC3d及び3eに対しては、Rシフトモードを指定する遅延モード情報DMを含む初期設定信号ISSを供給する。この際、最も右端に配置されているドライバIC3eに対しては、駆動制御部1は、ロード遅延時間としてゼロ、つまり遅延時間無しを示すロード遅延時間情報LIを更に含ませた初期設定信号ISSを供給する。また、右端から2番目に配置されているドライバIC3dに対しては、駆動制御部1は、ロード遅延時間T2を示すロード遅延時間情報LIを更に含ませた初期設定信号ISSを供給する。尚、ロード遅延時間Tは、例えば遅延ロード信号LDが供給されてから、右側に隣接するドライバIC3eにおいて最も遅く印加される画素駆動電圧Gの印加開始時点までの時間である。
【0037】
上記した初期設定信号ISSに基づく初期設定が為されると、ドライバIC3a〜3eは、図11に示すように、各ドライバICに接続されているデータラインDの各々に対して、ロード遅延時間情報LI及び遅延モード情報DMに従った遅延形態をもって画素駆動電圧Gを印加する。
【0038】
すなわち、駆動制御部1から供給されたロード信号LDに応じて、先ず、ドライバIC3a〜3eのうちの3a及び3eが、各データラインDに対して画素駆動電圧Gの印加を開始する。すなわち、ドライバIC3aは、図10(a)に示すLシフトモードに従ってG1、G2、G3、・・・、GKの順にその印加タイミングを遅らせた画素駆動電圧G1〜GKを、図11に示すように、表示デバイス20のデータラインD1、D2、D3、・・・DKに順次印加して行く。一方、ドライバIC3eは、図10(b)に示すRシフトモードに従ってGK、GK-1、GK-2、・・・G2、G1の順にその印加タイミングを遅らせた画素駆動電圧G1〜GKを、図11に示すように、データラインDn、Dn-1、Dn-2、・・・、DQ+1に順次印加して行く。
【0039】
ここで、ロード信号LDの供給時点から、ロード遅延時間情報LIにて示されるロード遅延時間T1が経過すると、ドライバIC3b及び3dが、各データラインDに対して画素駆動電圧Gの印加を開始する。すなわち、ドライバIC3bは、図10(a)に示すLシフトモードに従ってG1、G2、G3、・・・、GKの順にその印加タイミングを遅らせた画素駆動電圧G1〜GKを、図11に示すように、表示デバイス20のデータラインDK+1、DK+2、DK+3、・・・、DLに順次印加して行く。一方、ドライバIC3dは、図10(b)に示すRシフトモードに従ってGK、GK-1、GK-2、・・・G2、G1の順にその印加タイミングを遅らせた画素駆動電圧G1〜GKを、図11に示すように、表示デバイス20のデータラインDQ、DQ-1、DQ-2、・・・、DY+2、DY+1に順次印加して行く。
【0040】
そして、ロード信号LDの供給時点から、ロード遅延時間情報LIにて示されるロード遅延時間T2が経過すると、ドライバIC3cが、各データラインDに対して画素駆動電圧Gの印加を開始する。すなわち、ドライバIC3cは、図10(c)に示すVシフトモードに従って(G1、GK)、(G2、GK-1)、(G3、GK-2)、・・・、(GK/2、G(K/2)+1)の順にその印加タイミングを遅らせた画素駆動電圧G1〜GKを、図11に示すように、表示デバイス20のデータライン(DL+1、DY)、(DL+2、DY-1)、(DL+3、DY-2)、・・・、(Dn/2、D(n/2)+1)に順次印加して行く。
【0041】
この際、表示デバイス20の水平走査ラインS1〜Smのうちで、水平走査パルスSPが印加された水平走査ラインSに属する表示セルにおいて、データラインD1〜Dn各々に印加された画素駆動電圧Gに対応した輝度の表示が為される。
【0042】
ところで、表示デバイス20が大画面化すると、特に2次元画面の水平方向に伸張する水平走査ラインSの配線抵抗が大となる。そこで、配線抵抗に伴う走査ドライバの負荷を低減する為に、図1に示す表示装置では、走査ドライバ(2A、2B)を水平走査ラインSの両端に設けるようにしている。この際、水平走査ラインS1〜Smの各々上において、走査ドライバ2A及び2Bの双方から遠い位置、つまり画面中央に近い位置ほど、配線抵抗に起因する水平走査パルスSPの遅延量が大きくなる。よって、走査ドライバ2A及び2Bが水平走査パルスSPを水平走査ラインSに印加すると、例えば図12に示すように、画面左(又は右)端領域に属するデータラインD1(又はDn)との交叉部で生じる水平走査パルスSPに対して、画面中央領域に属するデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)との交叉部では時間WDだけ遅れて水平走査パルスSPが到達する。この間、データドライバ3が、水平走査パルスSPの印加に同期して、データラインD1(又はDn)とデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)とに同一の画素駆動電圧Gを同時に印加すると、図12に示すように両データラインDに印加される画素駆動電圧Gは徐々に上昇して略同一タイミングにて所望のピーク電圧PVに到る。この際、水平走査ラインSとデータラインD1(又はDn)との交叉部の表示セルでは、水平走査パルスSPが水平走査ラインSに印加されている間にデータラインD1(又はDn)に印加された画素駆動電圧Gの最大値、例えば図12に示すように画素駆動電圧Gのピーク電圧PVの80%の電圧に対応した輝度表示が為される。一方、水平走査ラインSとデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)との交叉部の表示セルでは、水平走査パルスSPが時間WDだけ遅れて到達することから、この水平走査パルスSPが印加されている間にデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)に印加された画素駆動電圧Gの電圧値は、例えば図12に示すようにピーク電圧PVに到る。よって、水平走査ラインSとデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)との交叉部の表示セルでは、図12に示すように、水平走査パルスSPが水平走査ラインSに印加されている間にデータラインD1(又はDn)に印加された画素駆動電圧Gの最大値、つまりピーク電圧PVに対応した輝度表示が為される。よって、画面左(又は右)端領域に属するデータラインD1(又はDn)に接続されている表示セルと、画面中央領域に属するデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)に接続されている表示セルとで、表示輝度が一致しなくなり、画面内で表示ムラが発生してしまう。
【0043】
そこで、データドライバ3は、水平走査ラインS上において、走査ドライバ2A及び2Bが水平走査パルスSPの印加を開始してから実際に水平走査パルスSPが到達するまでの遅延時間が大となる位置で交叉するデータラインDに対しては、この遅延時間が小となる位置で交叉するデータラインDに比して画素駆動電圧Gの印加タイミングを遅らせるようにしている。例えば、図1に示すように走査ドライバ2A及び2Bを夫々水平走査ラインSの両端に配置した場合には、図11に示すように、水平走査ラインS上において画面右又は左端領域から画面中央領域に向けて水平走査パルスSPが到達するまでの遅延時間が大となる。そこで、この水平走査パルスSPの遅延時間に追従させて、データドライバ3は、図11に示すように、水平走査パルスSPが到達するまでの遅延時間が大となる画面中央に近い位置に配置されているデータラインDほど、画素駆動電圧Gの印加タイミングを大きく遅らせるのである。
【0044】
例えば図13に示すように、水平走査ラインS上において画面左(又は右)端領域に属するデータラインD1(又はDn)との交叉位置に対して、画面中央領域に属するデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)との交叉位置では時間WDだけ遅れて水平走査パルスSPが到達する場合には、その時間WDの分だけ、画素駆動電圧GをデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)に印加するタイミングを遅らせるのである。
【0045】
これにより、図13に示すように、データラインD1(又はDn)に接続されている表示セル、及びデータラインDn/2(又はD(n/2)+1)に接続されている表示セルでは共に、画素駆動電圧Gのピーク電圧PVの80%の電圧に対応した輝度表示が為されるようになるので、画面内での表示ムラが低減される。
【0046】
また、データドライバ3では、図11に示すように、画素駆動電圧Gを各データラインDに印加するタイミングをずらしているので、各データラインに流れ込む電流の急峻な変化が同時に起こる状態が回避され、このような状態で発生するノイズが抑制される。
【0047】
よって、データドライバ3によれば、水平走査ラインS上の各位置での水平走査パルスSPの到達遅延時間差に起因する画面内での表示ムラを抑えつつ、各データラインに流れ込む電流の急峻な変化が同時に起こる状態が回避され、かかる状態で発生するノイズの抑制が図られるのである。
【0048】
尚、データドライバ3のドライバIC3a〜3eの各々では、画素駆動電圧Gを各データラインDに印加するタイミングをずらす為に、図5に示すように、夫々異なる立ち上がり(又は立ち下がり)エッジタイミングを有する遅延取込クロック信号CL1〜CLKを、第2データラッチ部133のラッチ331〜33Kの各クロック入力端子に夫々供給している。ここで、ドライバIC3a〜3eの各々には、遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成すべく、図3に示すように、夫々が基準クロック信号CKによって動作するクロック同期方式のDFF321〜32Kが直列に接続されてなるシフトレジスタが設けられている。この際、かかるシフトレジスタにおけるDFF321〜32K各々の出力が遅延取込クロック信号CL1〜CLKとして、ラッチ331〜33Kの各クロック入力端子に供給される。
【0049】
よって、図3に示す構成によれば、インバータ素子等の素子自体の出力遅延を利用して、夫々エッジタイミングが異なる遅延取込クロック信号CLを生成する場合に比して、製造上のバラツキ及び環境温度等の影響に伴う、各遅延取込クロック信号CLの遅延量の変動を抑えることが可能となる。
【0050】
更に、図3に示す構成によれば、ドライバIC3a〜3eの外部から供給する基準タイミング信号RSの周波数を変更することにより、各遅延取込クロック信号CLの遅延量を調整することができるので、各種表示デバイスの仕様に適合させることが可能となる。 従って、本発明によれば、各データラインに流れ込む電流の急峻な変化が同時に起こる際に発生するノイズを抑制すると共に、製造上のバラツキ及び環境温度等の影響を受けにくく且つ各種の表示デバイスの仕様に適合可能な汎用性の高いドライバを提供することが可能となる。
【0051】
尚、図3に示す構成では、単一のシフトレジスタ(311〜31K、321〜32K)及び単一のクロック信号(CK)によって夫々タイミングの異なる遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成している。しかしながら、夫々位相の異なるクロック信号で動作する複数のシフトレジスタによって、上記した遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成するようにしても良い。
【0052】
図14は、かかる点に鑑みて為された遅延制御回路134の内部構成の他の一例を示す回路図である。尚、図14に示す構成では、上記したシフト方向切替スイッチ311〜31K及びDFF321〜32Kからなる単一のシフトレジスタを、シフト方向切替スイッチ411〜41(K+1)/2及びDFF421〜42(K+1)/2からなる第1シフトレジスタと、シフト方向切替スイッチ511〜51(K-1)/2及びDFF521〜52(K-1)/2からなる第2シフトレジスタとに分割して構築したものである。この際、遅延設定30については、図3に示されるものをそのまま用いる。ここで、受信回路131は、単一の基準クロック信号CKに代えて、基準クロック信号CKの1/2の周波数を有し、且つ図15に示すように互いに位相が異なる基準クロック信号CK1及びCK2を生成し、CK1を第1シフトレジスタのDFF421〜42(K+1)/2に供給し、CK2を第2シフトレジスタのDFF521〜52(K-1)/2に供給する。そして、遅延設定30から供給されたロード信号LPに応じて第1及び第2シフトレジスタのシフト動作を同時に開始する。これにより、第1シフトレジスタのDFF421〜42(K+1)/2の各々が、例えば図15に示すように、基準クロック信号CK1に同期させて、遅延取込クロック信号CL1〜CLK中の奇数番目の遅延取込クロック信号CL1、CL3、CL5、・・・、CLKを出力する。更に、第2シフトレジスタのDFF521〜52(K-1)/2の各々が、例えば図15に示すように、基準クロック信号CK2に同期させて、遅延取込クロック信号CL1〜CLK中の偶数番目の遅延取込クロック信号CL2、CL4、CL6、・・・、CLK-1を出力する。
【0053】
従って、図14に示す構成によれば、第1及び第2シフトレジスタの各々を動作させる基準クロック信号CK1及びCK2の周波数は、図3に示す単一のシフトレジスタを動作させるべく供給する基準クロック信号CKの1/2となる。これにより、シフトレジスタを確実に動作させる為の動作マージンが向上する。
【0054】
また、図3に示す実施例では、遅延制御回路134は、K個の遅延取込クロック信号CL1〜CLKによって、K個の画素駆動電圧G1〜GK各々の遅延量を制御するようにしているが、2以上の複数の画素駆動電圧Gからなるグループ単位で遅延量を制御するようにしても良い。これにより、生成すべき遅延取込クロック信号CLの本数を減らすことができるので、その分だけ上記したシフトレジスタにおけるDFFの段数も減り、装置規模の縮小化が図られる。
【0055】
また、上記した遅延制御回路134では、Vシフトモード時には、左領域LAに属するDFF321〜32K/2に対してはロード信号LPを321〜32K/2の順に次段のDFFにシフトしつつ取り込ませつつ、右領域RAに属するDFF32(K/2)+1〜32Kに対してはロード信号LPを32K〜32(K/2)+1の順に次段のDFFにシフトしつつ取り込ませている。しかしながら、左領域LA(又は右領域RA)に属するDFF32の数は必ずしもK/2個である必要はない。要するに、Vシフトモード時には、左領域LAに属するDFF321〜32f(fは2以上K未満の自然数)に対してはロード信号LPを321〜32fの順に次段のDFFにシフトしつつ取り込ませつつ、右領域RAに属するDFF32f+1〜32Kに対してはロード信号LPを32K〜32f+1の順に次段のDFFにシフトしつつ取り込ませる構成であれば良いのである。
【0056】
ここで、上記実施例では、ドライバIC3a〜3e各々の第2データラッチ部133が全ての画素データを階調電圧変換回路135に供給し終えるまでの間、第1データラッチ部132は、次の1水平走査ラインに対応した画素データの取り込みを開始することができない。よって、例えば、図11に示すような遅延形態をもって1水平走査期間毎に画素駆動電圧Gを表示デバイス20のデータラインDに印加する場合には、ロード信号LDが供給されてから最大の遅延時間TMAXを経過した時点が次の水平走査期間に到らないように、この最大の遅延時間TMAXを制限する、或いは水平走査期間の拡張を行う必要がある。
【0057】
そこで、第2データラッチ部133が全ての画素データを階調電圧変換回路135に供給し終える前に、次の1水平走査ラインに対応した画素データの取り込みを開始できるようにすべく、第1データラッチ部132及び第2データラッチ部133の間に、バッファ用のデータラッチを設けるようにしても良い。
【0058】
図16は、かかる点に鑑みて為されたドライバIC3a〜3e各々の他の内部構成を示すブロック図である。尚、図16に示すドライバICでは、図2に示す第1データラッチ部132及び第2データラッチ部133に代えて第1データラッチ部142及び第2データラッチ部143を設け、更に、この第2データラッチ部143と階調電圧変換回路135との間に第3データラッチ部144を新たに設けた点を除く他の構成は、図2に示すものと同一である。
【0059】
図16において、第1データラッチ部142は、受信回路131から供給された画素データP1〜PKの各々を供給された順に取り込み、夫々を画素データE1〜EKとして次段の第2データラッチ部143に供給する。第2データラッチ部143は、画素データE1〜EKを同時に取り込み、夫々を画素データR1〜RKとして次段の第3データラッチ部144に供給する。第3データラッチ部144は、図3に示す第2データラッチ部133と同一の内部構成を有し、この第2データラッチ部133と同様に、遅延制御回路134から供給された遅延取込クロック信号CL1〜CLKに応じて、上記した画素データR1〜RKの各々を図5図7又は図9に示す遅延形態にて遅延させて取り込んだ画素データY1〜YKを階調電圧変換回路135に供給する。
【0060】
従って、図16に示す構成によれば、第2データラッチ部143がバッファメモリの役目を担うので、第3データラッチ部144による画素データY1〜YKの送出途中でも、第1データラッチ部132が次の1水平走査ラインに対応した画素データの取り込みを開始することが可能となる。これにより、及び画素駆動電圧Gを遅延させて印加する際の最大遅延時間TMAXの制限、及び水平走査期間の拡張が共に不要となる。
【0061】
また、上記実施例では、基準タイミング信号RSを重畳した画素データ信号PDSをドライバIC3a〜3eに供給し、各ドライバIC3内でこの基準タイミング信号RSに基づいて基準クロック信号CKを再生する、いわゆるクロックデータリカバリ方式を採用して、外部からドライバIC3a〜3e各々にクロック信号を供給するようにしている。しかしながら、このようなクロックデータリカバリ方式を採用することなく、駆動制御部1が直接、基準クロック信号CKを各ドライバIC3a〜3eに供給するようにしても良い。
【0062】
図17は、かかる点に鑑みて為された、ドライバIC3a〜3e各々の内部構成を示すブロック図である。尚、図17に示す構成では、受信回路131に代えて受信回路161を採用すると共に、遅延制御回路134に代えて遅延制御回路164を採用した点を除く他の構成は、図2に示すものと同一である。
【0063】
図17において、受信回路161は、受信回路131と同様に駆動制御部1から供給された画素データ信号PDS中から画素データPDの系列を取り込み、1水平走査ライン分(n個)の画素データPDを画素データP1〜PKとして第1データラッチ部132に供給する。ただし、受信回路161は、受信回路131とは異なり、基準クロック信号CKの再生は行わない。この際、駆動制御部1が、上記した基準クロック信号CKを直接、各ドライバIC3a〜3e各々の遅延制御回路164に供給する。遅延制御回路164は、遅延制御回路134と同様に、初期設定信号ISSに応じて初期設定を行い、その後、ロード信号LDに応じて、基準クロック信号CKに同期した遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成し、これらを第2データラッチ部133に供給する。要するに、ドライバIC3a〜3e各々の遅延制御回路に形成されているシフトレジスタは、外部供給された基準タイミング信号としての基準クロック信号CKに同期させて、単一パルスのロード信号を順次、次段にシフトしつつ取り込むことにより、遅延取込クロック信号CL1〜CLKを生成するのである。
【符号の説明】
【0064】
1 駆動制御部
3a〜3c ドライバIC
20 表示デバイス
311〜31K シフト方向切替スイッチ
321〜32K DFF
133 第2データラッチ部
134 遅延制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17