特許第6367763号(P6367763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367763ウェーハ乾燥装置およびウェーハ乾燥方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367763
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ウェーハ乾燥装置およびウェーハ乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   H01L21/304 651L
   H01L21/304 651G
   H01L21/304 622Q
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-124538(P2015-124538)
(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-11083(P2017-11083A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年9月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今井 正芳
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 聡美
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−278606(JP,A)
【文献】 特開2011−009599(JP,A)
【文献】 特開2001−170578(JP,A)
【文献】 特開2013−230424(JP,A)
【文献】 特開平10−050650(JP,A)
【文献】 特開2013−258397(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0250444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室内でウェーハを搬送する搬送機構と、
前記搬送機構の上方に配置され、不活性ガスの下降噴流を形成する不活性ガス噴射ノズルと、
前記ウェーハの搬送方向に関して前記不活性ガス噴射ノズルの上流側に配置された下流側液吸引ノズルと、前記下流側液吸引ノズルの上流側に配置された上流側液吸引ノズルとを備え、
前記下流側液吸引ノズルおよび前記上流側液吸引ノズルと、前記搬送機構によって搬送されるときのウェーハの表面との距離は、1mm〜2mmであり、
前記下流側液吸引ノズルと前記上流側液吸引ノズルとの間の距離は、ウェーハの直径の3分の1〜ウェーハの直径の2分の1であることを特徴とするウェーハ乾燥装置。
【請求項2】
前記液吸引ノズルは円筒状であることを特徴とする請求項1に記載のウェーハ乾燥装置。
【請求項3】
前記不活性ガス噴射ノズルは、ウェーハの直径よりも長いスリットノズルから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のウェーハ乾燥装置。
【請求項4】
前記不活性ガス噴射ノズルは、前記搬送機構によって搬送されるときのウェーハの表面に対して、45度〜85度の範囲内の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のウェーハ乾燥装置。
【請求項5】
前記不活性ガス噴射ノズルは、前記搬送機構によって搬送されるときのウェーハの表面から1mm〜4mmの距離に位置していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のウェーハ乾燥装置。
【請求項6】
不活性ガスが供給された乾燥室内でウェーハを搬送する搬送機構と、
前記搬送機構の上方に配置され、ウェーハに対して不活性ガスの下降噴流を形成するための不活性ガス噴射ノズルと、
ウェーハの搬送方向に関して前記不活性ガス噴射ノズルの上流側に配置された下流側液吸引ノズルと、前記下流側液吸引ノズルの上流側に配置された上流側液吸引ノズルとを備え、
前記下流側液吸引ノズルと前記不活性ガス噴射ノズルとの距離が、1mm〜5mmであり、
前記下流側液吸引ノズルと前記上流側液吸引ノズルとの間の距離は、ウェーハの直径の3分の1〜ウェーハの直径の2分の1であることを特徴とするウェーハ乾燥装置。
【請求項7】
乾燥室内に不活性ガスの下降噴流を形成し、
表面に液膜が存在するウェーハを前記乾燥室内で搬送しながら、前記液膜を、下流側液吸引ノズルで吸引するとともに、上流側液吸引ノズルで吸引することで、前記液膜の厚さを2mm以下にし、
前記不活性ガスの下降噴流によって前記液膜をウェーハから押し出し、
前記下流側液吸引ノズルと前記上流側液吸引ノズルとの間の距離は、ウェーハの直径の3分の1〜ウェーハの直径の2分の1であることを特徴とするウェーハ乾燥方法。
【請求項8】
前記乾燥室内の酸素濃度を0.5%以下に維持することを特徴とする請求項に記載のウェーハ乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直径300mmのウェーハのみならず、直径450mmまたはそれよりも大きいウェーハを乾燥することができるウェーハ乾燥装置およびウェーハ乾燥方法に関し、特に、研磨されたウェーハを洗浄した後に、該ウェーハを気体噴射により乾燥させる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを化学機械的に研磨するCMP工程は、砥粒を含む研磨液(すなわちスラリー)を研磨面に供給しながら、ウェーハの表面を研磨面に擦り付けることによって行われる。研磨されたウェーハ上には、砥粒や研磨屑が残留する。このため、ウェーハは洗浄室に送られ、洗浄室内でウェーハが洗浄される。ウェーハの洗浄は、薬液の供給、純水によるウェーハのリンスなどから構成される。洗浄されたウェーハはさらに乾燥室に搬送され、ここでウェーハが乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−340184号公報
【特許文献2】特開平10−270392号公報
【特許文献3】特開2002−217151号公報
【特許文献4】特開2006−73573号公報
【特許文献5】特開2005−322936号公報
【特許文献6】特表2001−501030号公報
【特許文献7】特開2006−247618号公報
【特許文献8】特開2010−118644号公報
【特許文献9】特開2004−22940号公報
【特許文献10】国際公開07/108315号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研磨されたウェーハの表面にはシリコンが露出していることがある。シリコン上に純水が存在した状態で、ウェーハを乾燥すると、ウェーハの表面にウォーターマークが生じやすい。ウォーターマークが生成されるメカニズムは、通常次のように考えられている。空気中に存在する酸素がウェーハ上の純水中に溶け込み、シリコンの純水への溶解や、シリコンの酸化物(Sixyなど)の純水への溶解を誘発する。このような純水が蒸発すると、シリコン水和物がウェーハ表面上に析出物として残る。この析出物がウォーターマークである。
【0005】
ウォーターマークは、ウェーハに形成されるデバイスの欠陥や性能低下の原因となる。しかしながら、ウォーターマークが一旦生成されると、これをウェーハから除去することは極めて困難である。したがって、ウェーハの乾燥時にウォーターマークの生成を防止することは極めて重要である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ウォーターマークの生成を防止することができるウェーハ乾燥装置およびウェーハ乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、乾燥室内でウェーハを搬送する搬送機構と、前記搬送機構の上方に配置され、不活性ガスの下降噴流を形成する不活性ガス噴射ノズルと、前記ウェーハの搬送方向に関して前記不活性ガス噴射ノズルの上流側に配置された下流側液吸引ノズルと、前記下流側液吸引ノズルの上流側に配置された上流側液吸引ノズルとを備え、前記下流側液吸引ノズルおよび前記上流側液吸引ノズルと、前記搬送機構によって搬送されるときのウェーハの表面との距離は、1mm〜2mmであり、前記下流側液吸引ノズルと前記上流側液吸引ノズルとの間の距離は、ウェーハの直径の3分の1〜ウェーハの直径の2分の1であることを特徴とするウェーハ乾燥装置である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記液吸引ノズルは円筒状であることを特徴とする
発明の好ましい態様は、前記不活性ガス噴射ノズルは、ウェーハの直径よりも長いスリットノズルから構成されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記不活性ガス噴射ノズルは、前記搬送機構によって搬送されるときのウェーハの表面に対して、45度〜85度の範囲内の角度で傾斜していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記不活性ガス噴射ノズルは、前記搬送機構によって搬送されるときのウェーハの表面から1mm〜4mmの距離に位置していることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様は、不活性ガスが供給された乾燥室内でウェーハを搬送する搬送機構と、前記搬送機構の上方に配置され、ウェーハに対して不活性ガスの下降噴流を形成するための不活性ガス噴射ノズルと、ウェーハの搬送方向に関して前記不活性ガス噴射ノズルの上流側に配置された下流側液吸引ノズルと、前記下流側液吸引ノズルの上流側に配置された上流側液吸引ノズルとを備え、前記下流側液吸引ノズルと前記不活性ガス噴射ノズルとの距離が、1mm〜5mmであり、前記下流側液吸引ノズルと前記上流側液吸引ノズルとの間の距離は、ウェーハの直径の3分の1〜ウェーハの直径の2分の1であることを特徴とするウェーハ乾燥装置である。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、乾燥室内に不活性ガスの下降噴流を形成し、表面に液膜が存在するウェーハを前記乾燥室内で搬送しながら、前記液膜を、下流側液吸引ノズルで吸引するとともに、上流側液吸引ノズルで吸引することで、前記液膜の厚さを2mm以下にし、前記不活性ガスの下降噴流によって前記液膜をウェーハから押し出し、前記下流側液吸引ノズルと前記上流側液吸引ノズルとの間の距離は、ウェーハの直径の3分の1〜ウェーハの直径の2分の1であることを特徴とするウェーハ乾燥方法である。
本発明の好ましい態様は、前記乾燥室内の酸素濃度を0.5%以下に維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ウェーハ上の液体(例えば純水)は、液吸引ノズルによって吸引され、液膜が薄くなる。したがって、液膜中に溶存する酸素の量が低減され、ウォーターマークの生成が防止できる。さらに、乾燥室内には不活性ガスが供給されるので、酸素が乾燥室から追い出される。したがって、ウェーハ上の液膜に酸素が溶け込むことはほとんどない。さらに、厚さが小さくなった液膜中に存在する酸素は、不活性ガスを構成する窒素などの分子に置換され(すなわち液膜から追い出され)、液膜中に溶存する酸素の濃度がさらに低下する。結果として、乾燥処理後に、ウォーターマークがウェーハ上に生成されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るウェーハ乾燥装置を備えたウェーハ処理装置の全体を示す模式図である。
図2】ウェーハ乾燥装置の一実施形態である乾燥ユニットを示す模式図である。
図3図2に示すローラコンベヤ、上側不活性ガス噴射ノズル、および液吸引ノズルを示す上面図である。
図4図4(a)乃至図4(d)は、ウェーハの上面に存在する液体が液吸引ノズルおよび不活性ガスの噴流によって除去される様子を示す図である。
図5】様々な条件下でウェーハを乾燥させた後に、ウェーハの上面に生成されたウォーターマークの数を計測した実験結果を示すグラフである。
図6】上流側液吸引ノズルおよび下流側液吸引ノズルを備えた乾燥ユニットを示す模式図である。
図7図7(a)乃至図7(d)は、ウェーハの上面に存在する液体が液吸引ノズルおよび不活性ガスの噴流によって除去される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るウェーハ乾燥装置を備えたウェーハ処理装置の全体を示す模式図である。ウェーハ処理装置は、ウェーハWを研磨する研磨ユニット1と、研磨されたウェーハWを洗浄する洗浄ユニット2と、洗浄されたウェーハWを乾燥させる乾燥ユニット3とを備えている。乾燥ユニット3は、ウェーハ乾燥装置の一実施形態である。
【0014】
研磨ユニット1は、ウェーハWを化学機械的に研磨する研磨装置である。この研磨ユニット1は、研磨パッド10を支持する研磨テーブル11と、ウェーハWを保持して回転させる研磨ヘッド12と、研磨パッド10上に研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給ノズル15とを備えている。研磨パッド10の上面は、ウェーハWの表面を研磨する研磨面を構成する。研磨テーブル11は図示しないテーブルモータに連結されており、研磨パッド10と研磨テーブル11はテーブルモータによって一体に回転される。研磨ヘッド12は、その下面にウェーハWを真空吸引により保持できるように構成されている。研磨ヘッド12は図示しない回転装置に連結されている。
【0015】
ウェーハWの研磨は次のようにして行われる。研磨テーブル11および研磨パッド10を回転させながら、研磨パッド10の研磨面に研磨液供給ノズル15から研磨液を供給する。この状態で、ウェーハWを保持した研磨ヘッド12は回転しながら、ウェーハWを研磨パッド10の研磨面に対して押し付ける。ウェーハWの表面は、研磨液に含まれる砥粒による機械的作用と、研磨液の化学成分による化学的作用とにより研磨される。このような研磨ユニット1は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置とも呼ばれる。
【0016】
研磨されたウェーハWは、トランスポータ30によって洗浄ユニット2に搬送される。トランスポータ30は、ウェーハWを反転させる機能を有している。トランスポータ30は、研磨されたウェーハWを研磨ユニット1の研磨ヘッド12から受け取り、研磨された面が上を向くようにウェーハWを反転させ、そして、ウェーハWを洗浄ユニット2に搬送する。
【0017】
洗浄ユニット2と乾燥ユニット3は、直列に接続されている。洗浄ユニット2の入口には入口ローラコンベア32が設けられている。ウェーハWは、研磨された面が上を向いた状態で、トランスポータ30によって入口ローラコンベア32上に水平に置かれる。乾燥ユニット3の出口には出口ローラコンベア33が設けられている。
【0018】
入口ローラコンベア32は、ウェーハWの搬送方向に沿って所定間隔離間して互いに平行に配置した複数のローラ35を有している。これらのローラ35は、同期して同一方向に回転するように構成されている。出口ローラコンベア33も、ウェーハWの搬送方向に沿って所定間隔離間して互いに平行に配置した複数のローラ36を有しており、これらのローラ36は、同期して同一方向に回転するように構成されている。
【0019】
洗浄ユニット2は、ウェーハWに薬液を供給してウェーハWを洗浄する薬液洗浄部40と、ウェーハWに二流体噴流を当ててウェーハWをさらに洗浄する二流体洗浄部50と、ウェーハWに供給された液体に超音波を当ててウェーハWをさらに洗浄する超音波洗浄部60とを備えている。薬液洗浄部40、二流体洗浄部50、および超音波洗浄部60は、この順に直列に配列されている。
【0020】
薬液洗浄部40は、薬液洗浄室41が内部に形成された構造体42と、薬液洗浄室41内に配置されたローラコンベヤ43と、ローラコンベヤ43によって搬送されているウェーハWの上面に薬液を供給する薬液供給ノズル46と、ウェーハWの下面に純水を供給する純水供給ノズル47とを備えている。ローラコンベヤ43は、ウェーハWの搬送方向に沿って所定間隔離間して互いに平行に配置した複数のローラ44を有している。これらのローラ44は、同期して同一方向に回転するように構成されている。洗浄されるウェーハWは、入口ローラコンベア32によって薬液洗浄室41内に移送され、ローラコンベヤ43に渡される。ウェーハWは、ローラコンベヤ43によって薬液洗浄室41内を水平に搬送される。
【0021】
薬液供給ノズル46は、ローラコンベヤ43の上方に配置され、下方を向いている。純水供給ノズル47は、ローラコンベヤ43の複数のローラ44の頂部から構成されるウェーハ支持面よりも下方に配置され、上方を向いている。薬液供給ノズル46は、ローラコンベヤ43によって搬送されているウェーハWの上面に薬液を供給し、薬液の化学成分によってウェーハWの上面を洗浄する。同時に、純水供給ノズル47は、ローラコンベヤ43によって搬送されているウェーハWの下面に純水を供給し、ウェーハWの下面を洗浄する。薬液洗浄部40で洗浄されたウェーハWは、ローラコンベヤ43によって二流体洗浄部50に搬送される。
【0022】
二流体洗浄部50は、薬液洗浄室41に隣接した二流体洗浄室51が内部に形成された構造体52と、二流体洗浄室51内に配置されたローラコンベヤ53と、ローラコンベヤ53によって搬送されているウェーハWの上面に向かう二流体噴流を形成する二流体噴流ノズル56と、ウェーハWの下面に純水を供給する純水供給ノズル57とを備えている。二流体噴流は、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガスまたは空気)からなる混合流体の噴流である。
【0023】
ローラコンベヤ53は、ウェーハWの搬送方向に沿って所定間隔離間して互いに平行に配置した複数のローラ54を有している。これらのローラ54は、同期して同一方向に回転するように構成されている。薬液洗浄部40で洗浄されたウェーハWは、ローラコンベヤ43によって二流体洗浄室51内に移送され、ローラコンベヤ53に渡される。ウェーハWは、ローラコンベヤ53によって二流体洗浄室51内を水平に搬送される。
【0024】
二流体噴流ノズル56は、ローラコンベヤ53の上方に配置され、下方を向いている。純水供給ノズル57は、ローラコンベヤ53の複数のローラ54の頂部から構成されるウェーハ支持面よりも下方に配置され、上方を向いている。二流体噴流ノズル56は、ローラコンベヤ53によって搬送されているウェーハWの上面に二流体噴流を当てて、研磨液(スラリー)や研磨屑をウェーハWの上面から除去する。同時に、純水供給ノズル57は、ローラコンベヤ53によって搬送されているウェーハWの下面に純水を供給し、ウェーハWの下面を洗浄する。二流体洗浄部50で洗浄されたウェーハWは、ローラコンベヤ53によって超音波洗浄部60に搬送される。
【0025】
超音波洗浄部60は、二流体洗浄室51に隣接した超音波洗浄室61が内部に形成された構造体62と、超音波洗浄室61内に配置されたローラコンベヤ63と、ローラコンベヤ63によって搬送されているウェーハWの上面に液体を供給する上側液体供給ノズル65と、上側液体供給ノズル65から供給された液体中を伝播する超音波を発生する超音波振動子66と、ローラコンベヤ63によって搬送されているウェーハWの下面に液体を供給する下側液体供給ノズル67とを備えている。上側液体供給ノズル65および下側液体供給ノズル67から供給される液体としては、リンス液としても機能する純水を使用することが好ましい。
【0026】
ローラコンベヤ63は、ウェーハWの搬送方向に沿って所定間隔離間して互いに平行に配置した複数のローラ64を有している。これらのローラ64は、同期して同一方向に回転するように構成されている。二流体洗浄部50で洗浄されたウェーハWは、ローラコンベヤ53によって超音波洗浄室61内に移送され、ローラコンベヤ63に渡される。ウェーハWは、ローラコンベヤ63によって超音波洗浄室61内を水平に搬送される。
【0027】
上側液体供給ノズル65は、ローラコンベヤ63の上方に配置され、斜め下方を向いている。超音波振動子66は、ローラコンベヤ63のウェーハ支持面のやや上方に配置されており、上側液体供給ノズル65に隣接して配置されている。上側液体供給ノズル65から液体がウェーハWの上面に供給されると、ウェーハWの上面には液体の流れが形成され、超音波振動子66は、ウェーハW上を流れる液体に接触する。超音波振動子66は、液体に接触した状態で、超音波を発生する。超音波は液体中を伝搬してウェーハWの上面に到達し、細かいパーティクルをウェーハWの上面から除去する。同時に、下側液体供給ノズル67は、ローラコンベヤ63によって搬送されているウェーハWの下面に液体を供給し、ウェーハWの下面を洗浄する。超音波洗浄部60で洗浄されたウェーハWは、ローラコンベヤ63によって乾燥ユニット3に搬送される。
【0028】
乾燥ユニット3は、洗浄ユニット2に隣接している。この乾燥ユニット3は、洗浄ユニット2で洗浄されたウェーハWを乾燥するウェーハ乾燥装置である。乾燥ユニット3は、洗浄ユニット2に隣接する乾燥室71が内部に形成された構造体72と、乾燥室71内でウェーハWを搬送する搬送機構としてのローラコンベヤ73と、ローラコンベヤ73の上方に配置され、窒素ガスなどの不活性ガスの下降噴流を形成する上側不活性ガス噴射ノズル75と、ローラコンベヤ73のウェーハ支持面74aよりも下方に配置され、窒素ガスなどの不活性ガスの上昇噴流を形成する下側不活性ガス噴射ノズル76と、ウェーハWの搬送方向に関して上側不活性ガス噴射ノズル75の上流側に配置された液吸引ノズル81とを備えている。ローラコンベヤ73、上側不活性ガス噴射ノズル75、下側不活性ガス噴射ノズル76、および液吸引ノズル81は、乾燥室71内に配置されている。
【0029】
ローラコンベヤ73は、ウェーハWの搬送方向に沿って所定間隔離間して互いに平行に配置した複数のローラ74を有している。これらのローラ74は、同期して同一方向に回転するように構成されている。洗浄ユニット2で洗浄されたウェーハWは、ローラコンベヤ63によって乾燥室71内に移送され、ローラコンベヤ73に渡される。ウェーハWは、ローラコンベヤ73によって乾燥室71内を水平に搬送される。
【0030】
図2は、ウェーハ乾燥装置の一実施形態である乾燥ユニット3を示す模式図である。上側不活性ガス噴射ノズル75および下側不活性ガス噴射ノズル76は、ローラコンベヤ73のウェーハ支持面74aの上方および下方に配置されている。ローラコンベヤ73のウェーハ支持面74aは、ローラ74の頂部から構成される。上側不活性ガス噴射ノズル75は斜め下を向き、下側不活性ガス噴射ノズル76は斜め上を向いている。上側不活性ガス噴射ノズル75は、ウェーハWの上面に向かう不活性ガスの下降噴流を形成し、下側不活性ガス噴射ノズル76は、ウェーハWの下面に向かう不活性ガスの上昇噴流を形成する。
【0031】
ローラコンベヤ73によって搬送されているウェーハWの上面に対する上側不活性ガス噴射ノズル75の傾斜角度αは、45度〜85度の範囲内であり、好ましくは60度〜75度の範囲内である。上側不活性ガス噴射ノズル75の傾斜角度は、より少ない不活性ガスの流量でウェーハW上の液体(例えば純水)を効率的に除去できるかの観点から決定される。
【0032】
下側不活性ガス噴射ノズル76も、同様に、ローラコンベヤ73によって搬送されているウェーハWの下面に対して傾斜させている。このように下側不活性ガス噴射ノズル76をウェーハWの下面に対して傾斜させて設置するのは、ウェーハWの下面にも液体が付着しがちであるため、この付着した液体を下側不活性ガス噴射ノズル76からの噴流により適切に吹き飛ばすことができるように、このように下側不活性ガス噴射ノズル76をウェーハWの下面に対して所定の角度で傾斜させておくことが好ましいためである。ウェーハWの下面に対する下側不活性ガス噴射ノズル76の角度は、45度〜85度の範囲内であり、好ましくは60度〜75度の範囲内である。このように構成すれば、ウェーハWの下面に液体が残存してしまうことを防止でき、結果的にウェ―ハの下面にウォーターマークが発生してしまうことを防止することができる。
【0033】
ローラコンベヤ73上のウェーハWの上面からの上側不活性ガス噴射ノズル75の距離は、1mm〜4mmである。不活性ガスの下降噴流によって後方に押された液体を速やかに吸引し、ウェーハWの上面に残存する液膜の厚みをなるべく薄くするために、液吸引ノズル81は上側不活性ガス噴射ノズル75の近傍に位置させている。より具体的には、液吸引ノズル81と上側不活性ガス噴射ノズル75との距離tは、好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは1mm〜5mmである。この理由の1つは、不活性ガスの下降噴流がウェーハWの上面の液体に当たっている液膜の縁部の厚みを確実に薄くすることである。また、液吸引ノズル81は上側不活性ガス噴射ノズル75の上流にあるので、ローラコンベヤ73によってウェーハWが搬送されると、液吸引ノズル81が先にウェーハWの外周から外側に外れる。液吸引ノズル81と上側不活性ガス噴射ノズル75の間の距離が離れすぎると、液吸引ノズル81がウェーハW上から外れた状態で、ウェーハWの上面に残っている液体の総量が多くなるので、特にウェーハWの搬送スピードを上げて処理時間を短くしようとすると、不活性ガスの噴流によって液膜をウェーハWから吹き飛ばせないおそれが生じてしまう。そこで液吸引ノズル81と上側不活性ガス噴射ノズル75との距離は好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下とすることが好ましい。また、液吸引ノズル81に当たる不活性ガスの流れが変化し、ウェ―ハ周りでのガス流れが不安定とならないように、液吸引ノズル81と上側不活性ガス噴射ノズル75との距離は、0.5mm以上、より好ましくは1mm以上とすることが好ましい。このように構成すれば、ウェーハW上の液膜を適切に除去できるので、ウェーハWの上面に付着していた液体が乾燥処理後も残存してしまうことを防止することができる。
【0034】
上側不活性ガス噴射ノズル75および下側不活性ガス噴射ノズル76は、それぞれ流量制御器(例えばマスフローコントローラ)85,86に接続されており、不活性ガスの流量がこれら流量制御器85,86によって制御されるようになっている。乾燥室71は、上側不活性ガス噴射ノズル75および下側不活性ガス噴射ノズル76から供給される不活性ガスで満たされ、不活性ガス雰囲気が乾燥室71内に形成される。乾燥室71内には酸素濃度計測器88が配置されている。
【0035】
乾燥室71内の酸素濃度が所定の目標値以下に維持されるように、上側不活性ガス噴射ノズル75および下側不活性ガス噴射ノズル76から噴射される不活性ガスの流量は、予め定められた値に制御される。図1から分かるように、乾燥室71は、薬液洗浄室41、二流体洗浄室51、および超音波洗浄室61に連通しており、これら薬液洗浄室41、二流体洗浄室51、および超音波洗浄室61も不活性ガスで満たされる。
【0036】
図2に示すように、液吸引ノズル81は、ウェーハWの搬送方向(白抜きの矢印で示す)に関して、上側不活性ガス噴射ノズル75の上流側に配置されている。液吸引ノズル81は、ローラコンベヤ73のウェーハ支持面74aよりもやや上方に位置している。より具体的には、液吸引ノズル81と、ローラコンベヤ73によって搬送されているウェーハWの表面との距離dは、1mm〜2mmである。液吸引ノズル81は、ウェーハW上に存在する液体(例えば純水)を吸引し、液体の膜(以下、液膜90という)の厚さを低減させるために設けられている。さらに、この液膜90の厚さは、液吸引ノズル81の高さ、および/または、液吸引ノズル81による液体の吸引流量によって調整することができる。さらに、ウォーターマーク発生の原因の一つと考えられる液膜90中に存在する酸素の量を少なくするためには、液膜90の厚さは、2mm以下であることが好ましい。
【0037】
液吸引ノズル81近傍の液膜90の厚さを2mm以下とするために、本実施形態では、液吸引ノズル81と、ローラコンベヤ73によって搬送されているウェーハWの表面との距離dを2mm以下に設定している。また、このように、距離dを2mm以下とすることで、液吸引ノズル81の周りに存在する液膜の厚さを比較的容易に2mm以下とできるので、上側不活性ガス噴射ノズル75から噴射される不活性ガスの噴流によって液膜をウェーハWから容易に吹き飛ばすことができる。
【0038】
さらに、液吸引ノズル81と、ローラコンベヤ73によって一定速度で搬送されるウェーハWの表面との距離dは、液吸引ノズル81の周りで不活性ガスの流れが不安定とならないようにするため、1mm以上とすることが好ましい。ウェーハW上の液膜90の厚さを測定する液膜センサを乾燥室71内に配置して、液膜90の厚さが所定の目標値に維持されるように、液吸引ノズル81の高さ、および/または吸引流量を制御してもよい。
【0039】
図3は、図2に示すローラコンベヤ73、上側不活性ガス噴射ノズル75、および液吸引ノズル81を示す上面図である。図3に示すように、上側不活性ガス噴射ノズル75は、ウェーハWの搬送方向(白抜きの矢印で示す)に対して垂直に延びるスリット75aを有したスリットノズルから構成されている。このスリット75aは、不活性ガスの噴射口であり、スリット75aの長さはウェーハWの直径よりも長く形成されている。したがって、上側不活性ガス噴射ノズル75は、ウェーハWの直径よりも幅の広い不活性ガスの噴流を形成することができ、この不活性ガスの噴流によってウェーハWの上面全体に存在する液体を押し出すことができる。図示しないが、下側不活性ガス噴射ノズル76も、同様に、ウェーハWの直径よりも長いスリット(噴射口)を有するスリットノズルから構成されている。
【0040】
液吸引ノズル81は、上側不活性ガス噴射ノズル75の中心から垂直に延びる直線(想像線)上に位置している。液吸引ノズル81が、ウェーハWの上面上の液体を吸引するとき、液吸引ノズル81の先端は液体に接触する。このとき、液吸引ノズル81に付着しているパーティクルが液体に移動し、ウェーハWの上面に付着することがある。そこで、液吸引ノズル81の先端と液体との接触面積を小さくするために、液吸引ノズル81は、円筒状であり、その口径は2mm〜4mmの範囲内にある。このような形状および口径を有する液吸引ノズル81は、ウェーハW上の液体吸引時に液吸引ノズル81の周りに存在する液体にかかる流体圧が考慮された上で液体を確実に吸引できるように構成されることになるので、結果的に、乾燥後のウェーハ汚染を最小限にすることができる。さらに、ウェーハ汚染を防止するために、液吸引ノズル81は、液体に溶出しにくい材料から構成されていることが好ましい。例えば、液吸引ノズル81は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂から構成されることが好ましい。一実施形態では、液吸引ノズル81は、PFAチューブから構成される。
【0041】
図4(a)乃至図4(d)は、ウェーハWの上面に存在する液体が液吸引ノズル81および不活性ガスの噴流によって除去される様子を示す図である。図4(a)では、液膜90が上面に形成されたウェーハWは、ローラコンベヤ73によって予め設定された速度で液吸引ノズル81および不活性ガス噴流ノズル75,76に向かって搬送される。乾燥室71を不活性ガスで満たすために、ウェーハWが乾燥室71内に搬送される前から、不活性ガスは不活性ガス噴流ノズル75,76から噴射される。図4(b)では、液吸引ノズル81による液体(液膜90)の吸引が開始され、その直後に上側不活性ガス噴射ノズル75によって形成された不活性ガスの下降噴流が、液膜90を後方に押す。下側不活性ガス噴射ノズル76からは不活性ガスの上昇噴流がウェーハWの下面に向けて形成される。
【0042】
図4(c)では、ウェーハWの進行に伴って不活性ガスの下降噴流が液膜90を後方に押しながら、液吸引ノズル81により液体が吸引される。液膜90の厚さが目標値以下(例えば2mm以下)に維持されるように液吸引ノズル81が液体を吸引でき、かつスループットを上げるために、ローラコンベヤ73によって搬送されるウェーハWの速度は、5mm/秒〜20mm/秒であることが好ましい。このように、液吸引ノズル81によって液体が吸引されるため、液膜90の厚さが減少するのみならず、ウェーハWの下面に移動する液体の量も減少する。図4(d)では、ウェーハWの全体が不活性ガスの下降噴流を通過し、結果として、液膜90が不活性ガスの下降噴流によってウェーハWの上面から押し出される。
【0043】
液体が純水である場合、ウェーハWの表面状態にもよるが、ウェーハW上の液膜90は、最大で約3.8mmの厚さを有する。上述した実施形態によれば、ウェーハW上の液体(例えば純水)は、液吸引ノズル81によって吸引され、液膜90が薄くなる。したがって、液膜90中に溶存する酸素の量が低減され、ウォーターマークの生成が防止できる。さらに、乾燥室71内には不活性ガスが供給されるので、酸素が乾燥室71から追い出される。したがって、ウェーハW上の液膜90に酸素が溶け込むことはほとんどない。さらに、厚さが小さくなった液膜90中に存在する酸素は、不活性ガスを構成する窒素などの分子に置換され(すなわち液膜90から追い出され)、液膜90中に溶存する酸素の濃度がさらに低下する。結果として、ウォーターマークの生成を防止することができる。
【0044】
図5は、様々な条件下でウェーハを乾燥させた後に、ウェーハの上面に生成されたウォーターマークの数を計測した実験結果を示すグラフである。図5の縦軸はウェーハ乾燥条件を示し、横軸はウォーターマークの数を示している。図5に示す酸素濃度(この単位は、体積%である)は、乾燥室71内の酸素濃度である。実験は、上述した乾燥ユニット3を用いて行われた。実験では、純水の膜が上面に形成されたシリコンウェーハを乾燥室71内で搬送しながら、シリコンウェーハの上面に上側不活性ガス噴射ノズル75から不活性ガスを吹き付けてシリコンウェーハを乾燥した。
【0045】
実験結果は、乾燥室71内の酸素濃度が低くなるほど、ウォーターマークの数が少なくなることを示している。しかしながら、シリコンウェーハの上面から純水を吸引しなかった場合には、シリコンウェーハ上にウォーターマークが観察された。これに対し、酸素濃度を0.5%未満に維持しながら、シリコンウェーハの上面から純水を吸引した場合では、生成されたウォーターマークの数はほぼ0であった。この実験結果から分かるように、不活性ガスの供給によって乾燥室71内の酸素を追い出しながら、ウェーハから液体を吸引することにより、ウォーターマークの生成を防止することができる。ウォーターマークの生成を防止するために、乾燥室71内の酸素濃度は、0.5%以下(この単位は、体積%である)に維持されることが好ましい。
【0046】
ウォーターマークの生成を防止する観点から、ウェーハ上の液体はできるだけ速やかに除去することが好ましい。加えて、不活性ガスの噴流によって液体が後方に押されたときでも、ウェーハWの上面全体での液膜90の厚さは目標値以下(例えば2mm以下)に維持されることが好ましい。これらの観点から、ウェーハWの搬送方向に沿って配列された複数の液吸引ノズルを設けてもよい。図6に示す一実施形態では、液吸引ノズル81の上流側に液吸引ノズル91がさらに設けられている。以下の説明では、液吸引ノズル81を下流側液吸引ノズル81という。上流側液吸引ノズル91は、下流側液吸引ノズル81と同じ形状および口径を有している。上流側液吸引ノズル91とウェーハWの上面との距離は、下流側液吸引ノズル81とウェーハWの上面との距離d(図2参照)と同じである。
【0047】
図7(a)乃至図7(d)は、ウェーハWの上面に存在する液体が液吸引ノズルおよび不活性ガスの噴流によって除去される様子を示す図である。この実施形態でも、乾燥室71を不活性ガスで満たすために、ウェーハWが乾燥室71内に搬送される前から、不活性ガス噴流ノズル75,76から不活性ガスが噴射される。図7(a)では、ウェーハWが乾燥室71に搬入された直後に、ウェーハWの上面に存在する液体が上流側液吸引ノズル91によって吸引され、これにより液膜90の厚さが減少する。ウェーハWはローラコンベヤ73によって予め設定された速度で搬送され、図7(b)に示すように、下流側液吸引ノズル81による液体の吸引が開始される。その直後に上側不活性ガス噴射ノズル75によって形成された不活性ガスの下降噴流によって液膜90が後方に押される。下側不活性ガス噴射ノズル76からは不活性ガスの上昇噴流がウェーハWの下面に向けて形成される。
【0048】
図7(c)では、ウェーハWの進行に伴って不活性ガスの下降噴流が液膜90を後方に押しながら、下流側液吸引ノズル81により液体が吸引される。このとき、ウェーハWは既に上流側液吸引ノズル91を通過しており、上流側液吸引ノズル91はもはや液体を吸引しない。図7(d)では、ウェーハWの全体が不活性ガスの下降噴流を通過し、結果として、液膜90が不活性ガスの下降噴流によってウェーハWの上面から押し出される。
【0049】
本実施形態によれば、ウェーハWの搬送方向に沿って配列された2つの液吸引ノズルがウェーハW上の液体を吸引するので、乾燥室71に搬送されたウェーハWから速やかに液体を吸引することができるとともに、不活性ガスの下降噴流によって後方に押された液膜90の厚さの増加を防ぐことができる。したがって、ウォーターマークの生成を確実に防止することができる。
【0050】
乾燥室71に搬送されたウェーハWから速やかに液体を吸引すること、および液膜90の厚さの増加を防止する観点から、下流側液吸引ノズル81と上流側液吸引ノズル91との距離は、ウェーハWの直径の3分の1〜ウェーハWの直径の2分の1であることが好ましい。すなわち、例えば、ウェーハ直径が300mmであれば、下流側液吸引ノズル81と上流側液吸引ノズル91との距離は100mm〜150mmの範囲であることが好ましい。不活性ガスの下降噴流の後方にあるウェーハW上の液体は、自身の表面張力の作用で液膜厚さが増加する(特に、後方最端部)が、この液膜厚さの増加分については、この膜厚が増加した位置付近で下流側液吸引ノズル81でウェーハW上にある液体を吸引するとともに、下流側液吸引ノズル81から上流側に100mm〜150mmの距離で設置された上流側液吸引ノズル91でウェーハW上にある液体を吸引することで、ウェーハW上にある液体の液膜90を所定の目標値以下(例えば2mm以下)とすることがより容易となるため、不活性ガスの下降噴流によって後方に押された液膜90の厚さの増加を防ぐことができる。
【0051】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 研磨ユニット
2 洗浄ユニット
3 乾燥ユニット
10 研磨パッド
11 研磨テーブル
12 研磨ヘッド
15 研磨液供給ノズル
30 トランスポータ
32 入口ローラコンベア
33 出口ローラコンベア
35,36 ローラ
40 薬液洗浄部
41 薬液洗浄室
42 構造体
43 ローラコンベヤ
44 ローラ
46 薬液供給ノズル
47 純水供給ノズル
50 二流体洗浄部
51 二流体洗浄室
52 構造体
53 ローラコンベヤ
54 ローラ
56 二流体噴流ノズル
57 純水供給ノズル
60 超音波洗浄部
61 超音波洗浄室
62 構造体
63 ローラコンベヤ
64 ローラ
65 上側液体供給ノズル
66 超音波振動子
67 下側液体供給ノズル
71 乾燥室
72 構造体
73 ローラコンベヤ
74 ローラ
74a ウェーハ支持面
75 上側不活性ガス噴射ノズル
76 下側不活性ガス噴射ノズル
81 液吸引ノズル(下流側液吸引ノズル)
85,86 流量制御器
88 酸素濃度計測器
90 液膜
91 上流側液吸引ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7