特許第6367842号(P6367842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6367842フォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367842
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】フォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20180723BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G03F7/42
   H01L21/30 572B
   H01L21/304 647A
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-560109(P2015-560109)
(86)(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公表番号】特表2016-511843(P2016-511843A)
(43)【公表日】2016年4月21日
(86)【国際出願番号】KR2014003732
(87)【国際公開番号】WO2014181992
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年8月31日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0051381
(32)【優先日】2013年5月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0050060
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ラム・イ
(72)【発明者】
【氏名】デ・チュル・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ムン・パク
【審査官】 本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−538456(JP,A)
【文献】 特表2012−514765(JP,A)
【文献】 特表2007−536566(JP,A)
【文献】 特表2008−509554(JP,A)
【文献】 米国特許第06140027(US,A)
【文献】 特開2006−079093(JP,A)
【文献】 特開2008−003594(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/166902(WO,A1)
【文献】 特開2012−118502(JP,A)
【文献】 特開2010−153851(JP,A)
【文献】 特開2005−331913(JP,A)
【文献】 特開2005−043874(JP,A)
【文献】 特開2007−044660(JP,A)
【文献】 特開2002−012897(JP,A)
【文献】 特開2007−188077(JP,A)
【文献】 特開2008−248209(JP,A)
【文献】 特表2007−536565(JP,A)
【文献】 特表2001−520118(JP,A)
【文献】 特表2012−522068(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0170037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のアミン化合物;
非プロトン性極性溶媒、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒、またはこれらの混合物;
ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、アルキレングリコールビス(ヒドロキシエチル)エーテル、および[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノールからなるグループより選択された1種以上の溶媒;および
トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、または
下記化学式1もしくは2の化合物を含む腐食防止剤を含み、
前記アミン化合物は、1種以上の鎖状アミン化合物および1種以上の環状アミン化合物を含むことを特徴とする、フォトレジスト除去用ストリッパー組成物:
【化1】
式中、R9は水素、または炭素数1〜4のアルキル基であり、
R10およびR11は互いに同一または異なり、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であり、
aは1〜4の整数であり、
【化2】
式中、R12は水素、または炭素数1〜4のアルキル基であり、 bは1〜4の整数である。
【請求項2】
前記鎖状アミン化合物は、(2−アミノエトキシ)−1−エタノール[(2−aminoethoxy)−1−ethanol;AEE]、アミノエチルエタノールアミン(aminoethyl ethanol amine;AEEA)、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルエチルアミン(N−methylethylamine;N−MEA)、1−アミノイソプロパノール(1−aminoisopropanol;AIP)、メチルジメチルアミン(methyl dimethylamine;MDEA)、ジエチレントリアミン(Diethylene triamine;DETA)、およびトリエチレンテトラアミン(Triethylene tetraamine;TETA)からなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項3】
前記環状アミン化合物は、イミダゾリル−4−エタノール(Imidazolyl−4−ethanol;IME)、アミノエチルピペラジン(Amino ethyl piperazine;AEP)、およびヒドロキシエチルピペラジン(hydroxy ethylpiperazine;HEP)からなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項4】
前記アミン化合物は、全体組成物に対して、0.1〜10重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項5】
非プロトン性極性溶媒は、N−メチルホルムアミド(NMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジエチルスルホキシド(diethylsulfoxide)、ジプロピルスルホキシド(dipropylsulfoxide)、スルホラン(sulfolane)、N−メチルピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone、NMP)、ピロリドン(pyrrolidone)、N−エチルピロリドン(N−ethyl pyrrolidone)、およびN,N−ジエチルホルムアミドからなる群より選択された1種以上の溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項6】
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項7】
前記非プロトン性極性溶媒、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒、またはこれらの混合物は、全体組成物に対して、合計の含有量で20〜80重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項8】
前記ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、アルキレングリコールビス(ヒドロキシエチル)エーテル、および[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノールからなるグループより選択された1種以上の溶媒は、全体組成物に対して、合計の含有量で10〜70重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項9】
前記腐食防止剤は、全体組成物に対して、0.01〜0.5重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項10】
シリコーン系非イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項11】
前記シリコーン系非イオン性界面活性剤は、ポリシロキサン系重合体を含むことを特徴とする、請求項10に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項12】
前記シリコーン系非イオン性界面活性剤は、ポリエーテル変性アクリル官能性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性ヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン、および変性アクリル官能性ポリジメチルシロキサンからなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項10に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項13】
前記シリコーン系非イオン性界面活性剤は、全体組成物に対して、0.0005〜0.1重量%で含まれることを特徴とする、請求項10に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項14】
銅が含まれている下部膜が形成された基板上にフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンで前記下部膜をパターニングする段階と、
請求項1に記載のストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階とを含むことを特徴とする、フォトレジストの剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストに対する優れた除去および剥離性能を示しながらも、銅などを含む下部膜上の染みまたは異物の発生または残留を効果的に抑制することができるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子の微細回路工程または半導体直接回路製造工程は、基板上に、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、モリブデン、モリブデン合金などの導電性金属膜、またはシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、フォークアクリル絶縁膜などの絶縁膜のような各種下部膜を形成し、このような下部膜上にフォトレジストを均一に塗布し、選択的に露光、現像処理してフォトレジストパターンを形成した後、これをマスクとして下部膜をパターニングする様々な工程を含む。このようなパターニング工程後、下部膜上に残留するフォトレジストを除去する工程を経るが、このために使用されるのがフォトレジスト除去用ストリッパー組成物である。
【0003】
以前から、アミン化合物、プロトン性極性溶媒および非プロトン性極性溶媒などを含むストリッパー組成物が広く知られてきており、なかでも特に、極性プロトン性溶媒としてアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒などが主に使用されてきた。このようなストリッパー組成物は、フォトレジストに対するある程度の除去および剥離力を示すことが知られている。
【0004】
一方、最近では、TFT−LCDが大面積化、超微細化および高解像度化されるに伴い、銅を含有する配線パターンをゲート電極または信号電極などに使用しようと試みられている。しかし、このような銅の特性上、フォトレジストパターンを用いたフォトリソグラフィ工程により銅含有膜をパターニングした後、既に知られたストリッパー組成物を用いて銅含有膜上の残留フォトレジストパターンを剥離および除去すると、銅含有膜上に微細な染みまたは異物が発生して残留する場合が多かった。これは、銅の有する疎水性に起因すると予測される。
【0005】
このような微細な染みまたは異物は、TFT−LCDの表示特性を低下させることがあり、特に、解像度が非常に高くなり、画素が超微細化された最近のTFT−LCDにおいてより大きな問題とされてきている。
【0006】
これによって、前記銅を含む下部膜上に染みまたは異物を発生および残留させることなく、フォトレジストに対する優れた剥離力を有するストリッパー組成物または関連技術の開発が引き続き要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フォトレジストに対する優れた除去および剥離性能を示しながらも、銅などを含む下部膜上の染みまたは異物の発生または残留を効果的に抑制することができるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1種以上のアミン化合物;極性有機溶媒;アルキレングリコール系溶媒;および腐食防止剤を含むフォトレジスト除去用ストリッパー組成物を提供する。
【0009】
本発明はまた、銅が含まれている下部膜が形成された基板上にフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンで前記下部膜をパターニングする段階と、前記ストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階とを含むフォトレジストの剥離方法を提供する。
【0010】
以下、発明の具体的な実施形態に係るフォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法について説明する。
【0011】
発明の一実施形態によれば、1種以上のアミン化合物;極性有機溶媒;アルキレングリコール系溶媒;および腐食防止剤を含むフォトレジスト除去用ストリッパー組成物が提供される。
【0012】
本発明者らの実験結果、アミン化合物、プロトン性極性溶媒および/または非プロトン性極性溶媒などの極性有機溶媒と共に、ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルなどのアルキレングリコール系溶媒を共に用いて、フォトレジストに対する優れた剥離および除去力を示しながらも、銅などを含む下部膜上に染みまたは異物を実質的に発生および残留させないことを確認して、発明を完成した。
【0013】
より具体的には、前記アルキレングリコール系溶媒は、基本的に、前記ストリッパー組成物の表面張力を低くしてフォトレジストに対する湿潤性(濡れ性)を向上させることができ、フォトレジストに対する優れた溶解性を示すことができる。しかも、このようなアルキレングリコール系溶媒は、ストリッパー組成物をなす他の有機物などとの優れた相溶性を示すことができる。したがって、このようなアルキレングリコール系溶媒を含む一実施形態のストリッパー組成物は、フォトレジストに対する優れた剥離および除去力を示すことができる。
【0014】
しかも、前記アルキレングリコール系溶媒は、銅などを含む疎水性下部膜に対しても、ストリッパー組成物の濡れ性を向上させることができる。したがって、これを含む一実施形態のストリッパー組成物は、銅含有下部膜に対して優れたリンス力を示し、ストリッパー組成物の処理後も下部膜上に染みまたは異物をほとんど発生および残留させず、このような染みおよび異物を効果的に除去することができる。
【0015】
したがって、一実施形態のストリッパー組成物は、既存のストリッパー組成物の有する問題を解決し、銅含有下部膜上にも染みまたは異物を実質的に発生および残留させることなく、フォトレジストに対する優れた剥離力を示すことができる。
【0016】
付加して、前記一実施形態のストリッパー組成物は、上述した成分と共に、腐食防止剤を含むことにより、これを用いてフォトレジストを剥離する過程で、前記ストリッパー組成物、例えば、アミン化合物によって、銅などを含む下部膜に腐食が発生するのを抑制することができる。これによって、銅配線パターンなどの電気的特性が低下するのを抑制し、より向上した特性を有する素子を提供することができる。
【0017】
以下、一実施形態のストリッパー組成物を各構成成分別により具体的に説明する。
【0018】
前記一実施形態のストリッパー組成物は、基本的に、フォトレジストに対する剥離力を示す成分のアミン化合物を含む。このようなアミン化合物は、フォトレジストを溶かしてこれを除去する役割を果たすことができる。
【0019】
一実施形態のストリッパー組成物の優れた剥離力などを考慮して、前記アミン化合物は、鎖状アミン化合物および環状アミン化合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。より具体的には、前記鎖状アミン化合物としては、(2−アミノエトキシ)−1−エタノール[(2−aminoethoxy)−1−ethanol;AEE]、アミノエチルエタノールアミン(aminoethyl ethanol amine;AEEA)、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルエチルアミン(N−methylethylamine;N−MEA)、1−アミノイソプロパノール(1−aminoisopropanol;AIP)、メチルジメチルアミン(methyl dimethylamine;MDEA)、ジエチレントリアミン(Diethylene triamine;DETA)、およびトリエチレンテトラアミン(Triethylene tetraamine;TETA)からなる群より選択された1種または2種以上の混合物を使用することができ、なかでも、(2−アミノエトキシ)−1−エタノールまたはアミノエチルエタノールアミンを適切に使用することができる。また、前記環状アミン化合物としては、イミダゾリル−4−エタノール(Imidazolyl−4−ethanol;IME)、アミノエチルピペラジン(Amino ethyl piperazine;AEP)、およびヒドロキシエチルピペラジン(hydroxy ethylpiperazine;HEP)からなる群より選択された1種または2種以上の混合物を使用することができ、イミダゾリル−4−エタノールを適切に使用することができる。
【0020】
このようなアミン化合物のうち、環状アミン化合物は、フォトレジストに対するより優れた剥離力を示すことができ、鎖状アミン化合物は、フォトレジストに対する剥離力と共に、下部膜、例えば、銅含有膜上の自然酸化膜(銅酸化膜など)を適切に除去して、銅含有膜とその上部の絶縁膜、例えば、シリコン窒化膜などとの膜間の接着力をより向上させることができる。
【0021】
一実施形態のストリッパー組成物が示すより優れた剥離力および自然酸化膜の除去性能を考慮して、前記鎖状アミン化合物と環状アミン化合物との混合比率は、鎖状アミン化合物:環状アミン化合物の重量比が約5:1〜1:5、あるいは約3:1〜1:3になってもよい。
【0022】
上述したアミン化合物は、全体組成物に対して、約0.1〜10重量%、あるいは約0.5〜7重量%、あるいは約1〜5重量%、あるいは約1.5〜3重量%の含有量で含まれてもよい。このようなアミン化合物の含有量範囲により、一実施形態のストリッパー組成物が優れた剥離力などを示すことができながらも、過剰のアミンによる工程の経済性および効率性の低下を低減することができ、廃液などの発生を低減することができる。仮に、大きすぎる含有量のアミン化合物が含まれる場合、これによる下部膜、例えば、銅含有下部膜の腐食がもたらされ、これを抑制するために多量の腐食防止剤を用いる必要が生じ得る。この場合、多量の腐食防止剤によって下部膜の表面に相当量の腐食防止剤が吸着および残留して、銅含有下部膜などの電気的特性を低下させることがある。
【0023】
一方、一実施形態のストリッパー組成物は、極性有機溶媒を含む。このような極性有機溶媒は、前記アミン化合物を良好に溶解させることができながら、一実施形態のストリッパー組成物を除去されるべきフォトレジストパターンおよびその下部膜上に適切に染み込ませて、前記ストリッパー組成物の優れた剥離力およびリンス力などを担保することができる。
【0024】
より具体的には、前記極性有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒などのプロトン性極性溶媒、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0025】
このうち、非プロトン性極性溶媒としては、N−メチルホルムアミド(NMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジエチルスルホキシド(diethylsulfoxide)、ジプロピルスルホキシド(dipropylsulfoxide)、スルホラン(sulfolane)、N−メチルピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone、NMP)、ピロリドン(pyrrolidone)、N−エチルピロリドン(N−ethyl pyrrolidone)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(DPE)、およびN,N’−ジアルキルカルボキサミドからなる群より選択された1種以上の溶媒を使用することができ、その他ストリッパー組成物に使用可能と知られている多様な非プロトン性極性溶媒を使用することができる。
【0026】
ただし、なかでも、N,N’−ジエチルカルボキサミドなどのN,N’−ジアルキルカルボキサミド、あるいはN−メチルホルムアミドなどを好ましく使用することができ、特に、N,N’−ジエチルカルボキサミドを最も好ましく使用することができる。
【0027】
前記N,N’−ジアルキルカルボキサミド、あるいはN−メチルホルムアミドなどを使用することにより、一実施形態のストリッパー組成物を下部膜上により良く染み込ませて、一実施形態のストリッパー組成物がより優れたフォトレジスト剥離力およびリンス力などを示すようにすることができる。
【0028】
しかし、このうち、N−メチルホルムアミドおよびN,N’−ジメチルカルボキサミドは、生体に毒性を示すことが知られており、また、経時的にアミンの分解を誘発して、一実施形態のストリッパー組成物の剥離力およびリンス力を経時的に低下させることがある。これに対し、前記N,N’−ジエチルカルボキサミドを含むストリッパー組成物は、前記N−メチルホルムアミドやN,N’−ジメチルカルボキサミドを含む組成物に準じるか、これよりも優れたフォトレジスト剥離力およびリンス力を示すことができながらも、実質的に生体毒性を示さない。
【0029】
さらに、前記N,N’−ジエチルカルボキサミドは、アミン化合物の分解をほとんど誘発せず、残留フォトレジストがストリッパー組成物中に溶解した場合にも、実質的にアミン化合物の分解をほとんど起こさない。したがって、これを含むストリッパー組成物は、経時的な剥離力などの低下が低減できるので、このようなN,N’−ジエチルカルボキサミドが非プロトン性極性溶媒として最も好ましく使用可能である。
【0030】
このようなN,N’−ジエチルカルボキサミドと比較して、従来ストリッパー組成物に多く使用されていたN−メチルホルムアミド、N,N’−ジメチルカルボキサミド、およびジメチルアセトアミドのような他の非プロトン性極性溶媒の場合、生殖または生体毒性の問題によってディスプレイまたは素子工程中に使用が規制されており、特に、N,N’−ジメチルカルボキサミドは、生殖毒性および特定標的臓器毒性物質であって白血病に関連することが確認され、使用が規制されている。また、従来ストリッパー組成物に使用されていたN−メチルピロリドン(NMP;N−methylpyrrolidone)の非プロトン性極性溶媒も、欧州内でN,N’−ジメチルカルボキサミドおよびジメチルアセトアミドなどと共にSVHC(高危険性物質)として分類されており、使用規制の有無に対する審査が進行中である。付加して、韓国国内でも、N−メチルホルムアミド、N,N’−ジメチルカルボキサミド、およびジメチルアセトアミドと、N−メチルピロリドンなどは、生殖毒性を示すCategory1B(GHS基準)物質として分類および管理されている。これに対し、N,N’−ジエチルカルボキサミドの非プロトン性有機溶媒は、このような生殖および生体毒性を示さないながらも、ストリッパー組成物の優れた剥離力などの優れた物性を達成可能にする。
【0031】
一方、極性有機溶媒として、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒などのプロトン性極性溶媒を含むこともできるが、このようなプロトン性極性溶媒は、一実施形態のストリッパー組成物を下部膜上により良く染み込ませて、前記ストリッパー組成物の優れた剥離力を補助することができる。ただし、このようなプロトン性極性溶媒は、後述するアルキレングリコール系溶媒と異なる種類の溶媒になってもよい。
【0032】
このようなプロトン性極性溶媒としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、またはトリプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒を使用することができ、これらの中から選択された2種以上を使用してもよい。そして、一実施形態のストリッパー組成物の優れた濡れ性およびこれに伴う向上した剥離力などを考慮して、前記プロトン性極性溶媒としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)またはジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)などを適切に使用することができる。
【0033】
上述した非プロトン性極性溶媒またはプロトン性極性溶媒などを含む極性有機溶媒は、全体組成物に対して、約20〜80重量%の含有量で含まれてもよい。そして、前記非プロトン性極性溶媒およびプロトン性極性有機溶媒が共に含まれる場合、非プロトン性極性溶媒が約10〜65重量%、あるいは約15〜60重量%の含有量で含まれてもよく、プロトン性極性溶媒が約5〜60重量%、あるいは約10〜55重量%の含有量で含まれてもよい。このような極性溶媒の含有量範囲により、一実施形態のストリッパー組成物の優れた剥離力などが担保できる。
【0034】
一方、一実施形態のストリッパー組成物は、上述した極性有機溶媒のほか、水をさらに含むことで水系ストリッパー組成物として使用されてもよく、このような水が選択的に含まれる場合、その含有量は、前記極性有機溶媒の含有量範囲中の適切な範囲内で決定可能である。
【0035】
また、一実施形態のストリッパー組成物は、上述したアミン化合物および極性有機溶媒のほか、アルキレングリコール系溶媒をさらに含む。このようなアルキレングリコール系溶媒は、一種のプロトン性有機溶媒であるが、上述したアルキレングリコールモノアルキルエーテルなどのプロトン性極性溶媒とは異なる種類として含まれる。すでに上述したように、前記アルキレングリコール系溶媒が一実施形態のストリッパー組成物に含まれることにより、ストリッパー組成物の表面張力を低くし、除去すべきフォトレジストおよび銅などを含む下部膜に対する湿潤性および濡れ性を向上させることができる。また、このようなアルキレングリコール系溶媒は、フォトレジストに対する優れた溶解性を示すことができ、ストリッパー組成物をなす他の有機物などとの優れた相溶性を示すことができる。したがって、このようなアルキレングリコール系溶媒を含む一実施形態のストリッパー組成物は、フォトレジストに対する優れた剥離および除去力を示すことができ、これと同時に、前記下部膜に対して優れたリンス力を示し、ストリッパー組成物の処理後も下部膜上に染みまたは異物をほとんど発生および残留させず、このような染みおよび異物を効果的に除去することができる。
【0036】
このようなアルキレングリコール系溶媒としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、グリコールビス(ヒドロキシエチル)エーテル、および[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノールからなるグループより選択されたプロトン性有機溶媒、または2種以上の混合物を使用することができ、その他多様なアルキレングリコール系溶媒を使用してもよい。なかでも、フォトレジストおよび下部膜に対するより優れた濡れ性と、これから発現するストリッパー組成物の優れた剥離力およびリンス力などを考慮して、前記ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルが好ましく使用できる。
【0037】
上述したアルキレングリコール系溶媒は、全体組成物に対して、約10〜70重量%、あるいは約20〜60重量%、あるいは約30〜50重量%の含有量で含まれてもよい。このような含有量範囲により、一実施形態のストリッパー組成物の優れた剥離力およびリンス力、特に、銅などを含む下部膜上の優れた染みおよび異物の除去性能が担保できる。
【0038】
一方、上述した一実施形態のストリッパー組成物は、腐食防止剤をさらに含むが、このような腐食防止剤は、ストリッパー組成物を用いたフォトレジストパターンの除去時、銅含有膜などの金属含有下部膜の腐食を効果的に抑制して、前記ストリッパー組成物、特に、これに含まれているアミン化合物による下部膜の電気的特性の低下などを抑制することができる。
【0039】
このような下部膜の腐食を効果的に抑制するために、前記腐食防止剤としては、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、下記化学式1または2の化合物などを使用することができる。
【0040】
【化1】
【0041】
式中、R9は水素、または炭素数1〜4のアルキル基であり、
R10およびR11は互いに同一または異なり、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であり、
aは1〜4の整数であり、
【0042】
【化2】
【0043】
式中、R12は水素、または炭素数1〜4のアルキル基であり、
bは1〜4の整数である。
【0044】
このような腐食防止剤のより具体的な例として、ベンゾトリアゾールまたはテトラヒドロトリルトリアゾールなどのトリアゾール系化合物、5−アミノテトラゾールまたはその水和物のようなテトラゾール系化合物、前記化学式1において、R9はメチル基であり、R10およびR11はそれぞれヒドロキシエチルであり、aは1である化合物、または前記化学式2において、R12はメチル基であり、bは1である化合物などが挙げられ、これらの化合物を用いて、金属含有下部膜の腐食を効果的に抑制しながらも、ストリッパー組成物の剥離力などを優れたものに維持することができる。
【0045】
また、このような腐食防止剤は、全体組成物に対して、約0.01〜0.5重量%、あるいは約0.05〜0.3重量%、あるいは約0.1〜0.2重量%で含まれてもよい。このような含有量範囲により、下部膜上の腐食を効果的に抑制することができながらも、このような腐食防止剤の過剰含有によってストリッパー組成物の物性が低下するのを抑制することができる。仮に、このような腐食防止剤が過剰含有される場合、下部膜上に相当量の腐食防止剤が吸着および残留して、銅含有下部膜などの電気的特性を低下させることもある。
【0046】
そして、上述した一実施形態のストリッパー組成物は、洗浄特性強化のために、界面活性剤を追加的に含むことができる。
【0047】
このような界面活性剤としては、シリコーン系非イオン性界面活性剤を使用することができるが、このようなシリコーン系非イオン性界面活性剤は、アミン化合物などが含まれ、塩基性が強いストリッパー組成物中においても化学的変化、変性または分解を起こさずに安定して維持可能であり、上述した非プロトン性極性溶媒、プロトン性極性溶媒、またはアルキレングリコール系溶媒などとの相溶性が優れたものとなり得る。これによって、前記シリコーン系非イオン性界面活性剤は、他の成分とよく混合され、ストリッパー組成物の表面張力を低くし、前記ストリッパー組成物が除去されるべきフォトレジストおよびその下部膜に対してより優れた湿潤性および濡れ性を示すようにすることができる。その結果、これを含む一実施形態のストリッパー組成物は、より優れたフォトレジスト剥離力を示すことができる上に、下部膜に対して優れたリンス力を示し、ストリッパー組成物の処理後も下部膜上に染みまたは異物をほとんど発生および残留させず、このような染みおよび異物を効果的に除去することができる。
【0048】
しかも、前記シリコーン系非イオン性界面活性剤は、非常に低い含有量の添加でも上述した効果を示すことができ、その変性または分解による副産物の発生が最小化できる。
【0049】
このような界面活性剤としては、以前から知られているか商用化された通常のシリコーン含有非イオン性界面活性剤、例えば、ポリシロキサン系重合体を含む界面活性剤を特別な制限なくすべて使用することができる。このような界面活性剤の具体例としては、ポリエーテル変性アクリル官能性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性ヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、または変性アクリル官能性ポリジメチルシロキサンやこれらの溶液などが挙げられる。なお、このような界面活性剤は、ストリッパー組成物のフォトレジストおよび下部膜に対する濡れ性などをより向上させられるように、ストリッパーの表面張力を減少させ、下部膜の表面エネルギーを増加させるなどの特性を示すことができる。
【0050】
また、前記シリコーン系非イオン性界面活性剤は、全体組成物に対して、約0.0005〜0.1重量%、あるいは約0.001〜0.09重量%、あるいは約0.001〜0.01重量%の含有量で含まれてもよい。仮に、界面活性剤の含有量が過度に低くなる場合、界面活性剤の添加によるストリッパー組成物の剥離力およびリンス力の向上効果を十分に収めないことがあり、界面活性剤が高すぎる含有量で含まれる場合、ストリッパー組成物を用いた剥離工程の進行時、高圧でバブルが発生して下部膜に染みが発生したり、装備センサが誤作動を起こすなどの問題が発生することがある。
【0051】
さらに、一実施形態のストリッパー組成物は、必要に応じて、通常の添加剤を追加的に含むことができ、その種類や含有量はこの分野における当業者によく知られている。
【0052】
そして、上述した一実施形態のストリッパー組成物は、上述した各成分を混合する一般的な方法により製造可能であり、その製造方法が特に制限されない。このようなストリッパー組成物は、フォトレジストに対する優れた剥離力などを示しながらも、銅含有下部膜上に染みおよび/または異物が発生および残留するのを実質的に防止することができる。これによって、前記染みおよび/または異物によって高解像度TFT−LCDなどの素子の表示特性が低下するのを抑制することができる。
【0053】
そこで、発明の他の実施形態によれば、上述したストリッパー組成物を用いたフォトレジストの剥離方法が提供される。このような剥離方法は、銅が含まれている下部膜が形成された基板上にフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンで前記下部膜をパターニングする段階と、前記一実施形態のストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階とを含む。
【0054】
このような剥離方法においては、まず、パターニングされる銅含有下部膜が形成された基板上にフォトリソグラフィ工程によりフォトレジストパターンを形成することができる。この時、銅含有下部膜は、銅膜の単一膜になるか、その他銅膜およびモリブデン膜などの他の金属膜を含む多重膜構造になってもよい。以降、このようなフォトレジストパターンをマスクとして下部膜をパターニングした後、上述したストリッパー組成物などを用いてフォトレジストを剥離することができる。上述した工程で、フォトレジストパターンの形成および下部膜のパターニング工程は、通常の素子製造工程に従うことができる。
【0055】
一方、前記ストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離すると、下部膜上に微細な異物および/または染みが実質的に発生および残留せず、このような剥離過程で下部膜上に腐食が発生することが抑制可能である。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、フォトレジストに対する優れた剥離および除去力を示しながらも、銅などを含む下部膜上に染みまたは異物を実質的に発生および残留させないフォトレジスト除去用ストリッパー組成物が提供できる。つまり、このようなストリッパー組成物を用いて、銅などを含む下部膜上のフォトレジストを効果的に除去しながらも、優れたリンス力を発現して、ストリッパー組成物の処理後も下部膜上に染みまたは異物をほとんど発生および残留させず、このような染みおよび異物を効果的に除去することができる。
また、前記ストリッパー組成物を用いた処理時に、下部膜の腐食の発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】実施例2のストリッパー組成物を用いて銅ゲートパターンを処理した後の表面形状を示すFE−SEM写真である。
図2】実施例9のストリッパー組成物を用いて銅ゲートパターンを処理した後の表面形状を示すFE−SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、発明の実施例および比較例を参照して、発明の作用、効果をより具体的に説明する。ただし、このような実施例および比較例は発明の例示に過ぎず、発明の権利範囲がこれに限定されるものではない。
【0059】
<実施例および比較例>フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の製造
下記表1および2の組成により、各成分を混合して、実施例1〜11、比較例1および2によるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物をそれぞれ製造した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
[実験例]ストリッパー組成物の物性評価
1.ストリッパー組成物の剥離力評価
実施例および比較例のストリッパー組成物の剥離力を次の方法で評価した。
まず、100mmx100mmのガラス基板にフォトレジスト組成物(製品名:JC−800;比較的強い強度を有するフォトレジストの形成を可能にすると知られている)3.5mlを滴下し、スピンコーティング装置で、400rmpの速度下、10秒間フォトレジスト組成物を塗布した。このようなガラス基板をホットプレートに装着し、165℃の温度で10分間ハードベイクして、フォトレジストを形成した。
【0063】
前記フォトレジストが形成されたガラス基板を常温で空冷した後、30mmx30mmの大きさに切断して、剥離力評価用試料を用意した。
【0064】
前記実施例および比較例で得られたストリッパー組成物500gを用意し、50℃に昇温させた状態で、ストリッパー組成物でガラス基板上のフォトレジストを処理した。前記フォトレジストが完全に剥離および除去される時間を測定して、剥離力を評価した。この時、フォトレジストの剥離の有無は、ガラス基板上に紫外線を照射してフォトレジストが残留するか否かを観察して確認した。
【0065】
上記の方法により、実施例1〜9、比較例1および2のストリッパー組成物の剥離力を評価して、下記表3に示した。このような評価結果は、フォトレジストのハードベイク条件別にそれぞれ評価して示した。
【0066】
【表3】
【0067】
前記表3を参照すれば、実施例のストリッパー組成物は、比較例のストリッパー組成物に比べて、優れたフォトレジスト剥離力(速い剥離時間)を示すことが確認された。
【0068】
2.ストリッパー組成物のリンス力評価
実施例および比較例のストリッパー組成物のリンス力を次の方法で評価した。
ストリッパー組成物の500gを用意して、50℃の温度に昇温し、150℃で4時間ハードベイクしたフォトレジストパウダーを0〜5重量%に溶解させた。シリコン窒化物からなる絶縁膜ガラス基板上に銅単一膜を形成し、フォトレジストパターンを形成した後、これを前記ストリッパー組成物で処理した。以降、前記ガラス基板を液切りし、超純水を数滴滴下し、30〜90秒間待機した。超純水で再び洗浄し、銅単一膜上の染みおよび異物を光学顕微鏡で観察して、3x3cmの面積内の染みおよびフォトレジスト由来の異物が発生するフォトレジストの濃度を測定した。
【0069】
上記の方法により、実施例1〜9、比較例1および2のストリッパー組成物のリンス力を評価して、下記表4に示した。
【0070】
【表4】
【0071】
前記表4を参照すれば、実施例のストリッパー組成物を使用する場合、比較例に比べて、銅単一膜上に染みおよび異物が非常に小さい個数で発生および残留して、向上したリンス力を示すことが確認された。特に、アルキレングリコール系溶媒と、BDGのようなプロトン性極性溶媒をそれぞれ20〜30重量%で共に使用することにより、リンス力の向上がより目立つことが確認された。そして、全体アルキレングリコール系溶媒およびプロトン性極性溶媒の含有量が45〜55重量%の場合のリンス力がより優れたものになることが確認された。
【0072】
3.銅膜表面の腐食発生の有無評価
銅ゲートパターンが形成されたガラス基板上に、実施例2および9のストリッパー組成物を70℃の温度で10分間処理した。処理後、走査電子顕微鏡(FE−SEM)で表面形状を分析した。このような表面形状の分析と共に、銅ゲートパターン表面の粗さを測定して、腐食の有無を判断した。前記表面形状の分析および粗さ測定方法と、具体的な評価基準は次の通りである。
【0073】
(1)銅ゲート表面の粗さの分析
AFMを用いて銅ゲート表面の粗さを測定して、腐食の有無を判断した。ストリッパー組成物処理前後のゲート表面をAFM測定し、測定条件は、測定面積5x5cm、スキャン速度1Hzに設定した。処理後に、表面の粗さが2.3nm以内の場合、腐食がないと評価し、2.3〜3.0nmの場合、低い水準の腐食が発生したと評価し、3.0〜4.0nmの場合、中間水準の腐食が発生したと評価し、4.0〜5.0nmの場合、高い水準の腐食が発生したと評価し、5.0nm以上の場合、深刻な腐食が発生したと評価した。このような評価結果は、下記表5にまとめて示した。
【0074】
(2)銅ゲート表面形状の分析
FE−SEM写真を肉眼観察して、表面damageが発生しているかを確認した。次の図のように、表面damageの発生の有無を肉眼確認して、表面腐食の発生の有無を評価した。実施例2および9のストリッパー組成物処理後のFE−SEM写真は、それぞれ図1および図2に示された通りである。
【0075】
前記(1)の結果を主に考慮し、(2)の結果を補助的に考慮して、腐食の発生の有無を判断した。
【0076】
【表5】
【0077】
前記表5、図1および図2から確認されるように、実施例のストリッパー組成物は、銅ゲートパターンの処理時、その腐食を実質的に発生させないことが確認された。
図1
図2