【文献】
笠川 慎矢,複雑ネットワークからの脳情報に関する信号解析,平成27年度 修士論文 複雑ネットワークからの脳情報に関する信号解析,日本,福井工業大学大学院工学研究科,2016年 2月 4日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
判定結果に基づき、前記α帯域又はθ帯域の脳波成分が同期している前記脳波信号を計測した電極、又は該脳波成分に係る振幅又は強度が閾値以上である前記脳波信号を計測した電極を、他の電極と異なる態様で表示する前記電極の配置画像を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、情報処理システムの構成例を示す模式図である。本実施の形態では、被検者の脳波に基づいてDMNの活動状態を判定する情報処理システムを一例として説明を行う。情報処理システムは、情報処理端末1、計測機器2を含む。情報処理端末1及び計測機器2は、例えば無線LAN(Local Area Network)により通信接続されている。
【0019】
情報処理端末1は、種々の情報処理を行う情報処理装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態において情報処理端末1はスマートフォンであるものとし、以下では簡潔のため、端末1と読み替える。端末1は、計測機器2から被検者の脳波に係るデータを取得し、DMNの活動状態を判定する処理を行う。
【0020】
計測機器2は、いわゆる脳波計である。具体的に計測機器2は、被検者の頭部に装着されるヘッドセット型、キャップ型等のウェアラブル装置であり、多チャンネルの脳波信号を計測する処理を行う。以下では簡潔のため、計測機器2を機器2と読み替える。機器2は多チャンネルの脳波信号を計測するべく、複数の電極26を備え、被検者の頭部に装着された状態において電極26が被検者頭部の所定位置に配置される。機器2は電極26を介して被検者の脳波信号を計測し、計測した脳波信号に係るデータを端末1に出力する。
【0021】
図2は、端末1の構成例を示すブロック図である。端末1は、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14、入力部15を含む。
制御部11はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を含み、記憶部12に記憶されたプログラムPを読み出して実行することにより、端末1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。記憶部12はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部13は通信に関する処理を行うための処理回路等を含み、機器2等と情報の送受信を行う。表示部14は液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画面を有し、制御部11から与えられた画像を表示する。入力部15はタッチパネル等を含み、操作者による操作入力を受け付ける。入力部15は、受け付けた操作内容を制御部21に通知する。
なお、本実施の形態において端末1は上記の構成に限定されず、例えば可搬型記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部、音声の入出力を行うマイク、スピーカ等を含んでもよい。
【0022】
図3は、機器2の構成例を示すブロック図である。機器2は、制御部21、記憶部22、通信部23、信号入力部24、信号処理部25、電極26を含む。
制御部21はCPU、MPU等の演算処理装置を含み、記憶部22に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、機器2に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。記憶部22はRAM、ROM等のメモリ素子を含み、制御部21が処理を実行するために必要なプログラム又はデータ等を記憶している。また、記憶部22は、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部23はアンテナ及び通信処理回路等を含み、無線LANにより端末1等と情報の送受信を行う。なお、例えば端末1及び機器2は有線LANにより通信を行ってもよい。
【0023】
信号入力部24は、電極26から脳波信号の入力を受け付ける入力インターフェイスである。信号処理部25は、信号入力部24に入力された脳波信号を処理するための増幅器、A/D変換器等を含む処理回路である。
電極26は、被検者の脳波信号を計測するための電極である。機器2は複数の電極26を備え、被検者頭部に装着された状態において各電極26が所定位置に配置される。電極26は、脳神経細胞の活動に起因して生じる電位変化、すなわち脳波信号を検出する。
【0024】
図4は、電極26の配置位置の一例を示す説明図である。以下では情報処理システムが実行する処理の概要について説明する。なお、以下では説明の便宜のため、端末1の処理主体は制御部11とし、機器2の処理主体は制御部21とする。
図4では、電極26の配置位置を簡略化して示す。機器2に係る複数の電極26は、脳波計測時において
図4に示す各位置に配置されている。なお、
図4は被検者の頭部を頭上から俯瞰した図であり、
図4における上方向が被検者の正面方向である。なお、
図4の配置位置は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。機器2の制御部21は各電極26、26、26…を介し、各チャンネルCH1、CH2、CH3…の脳波信号、すなわち各配置位置に対応する脳領域の脳波信号を計測する。なお、Ref1、Ref2は左脳側又は右脳側の基準電位を計測するためのチャンネルであり、制御部21はRef1又はRef2と各チャンネルとの電位差を計測する。
【0025】
例えば端末1の制御部11は、入力部15を介して脳波計測の計測条件(例えばサンプリング時間)等の入力を受け付ける。計測条件の入力を受け付けた場合、制御部11は、脳波計測を行う旨の指令信号を生成し、機器2に送信する。指令信号を受信した場合、機器2の制御部21は、電極26を介して脳波信号の計測を行う。具体的には、電極26は各チャンネルの脳領域における脳神経細胞の活動に起因して発生する電位変化を検知する。検知した電位変化に係る信号は信号処理部25において処理され、制御部21に与えられる。制御部21は、計測した脳波信号に係るデータを端末1に出力する。
【0026】
図5は、脳波信号の時系列データの一例を示す説明図である。
図5では、機器2により計測された脳波信号の時系列データを示す。
図5において横軸は計測時間(s)を、縦軸は電圧(μV)を示す。なお、
図5では便宜上、各チャンネルのデータを縦方向にずらして図示している。従って、例えばCH2の電圧値が必ずしもCH1の電圧値より大きいことを意味するものではない。
図5に示すように、脳波信号は電圧値の時系列変化として計測される。脳波信号に基づいて、被検者の生体活動に関して種々の情報が観測可能である。例えば400s前後の時間において、CH1、CH2、CH3、CH12、CH13、CH14等の脳波信号が大きく変化している。当該変化は、被検者の瞬目によるノイズが脳波信号に混入したためと考えられる。また、600s前後の時間においてCH1、CH2等の脳波信号が大きく変化している。当該変化は、被検者の閉眼動作によるノイズが脳波信号に混入したためと考えられる。
【0027】
また、800〜1200sの時間において、脳波信号に係る電圧値が小刻みに変動している。当該変動は、比較的周波数の小さいα帯域(例えば8〜13Hz)の脳波信号の含有量が多いためと考えられる。すなわち、該当するチャンネルに対応する脳領域において、比較的周波数の大きいβ波(例えば13Hz以上)に対するα波の含有割合が大きいため、周波数の小さいα波成分の発生が小刻みな変動として観測されたものと考えられる。このように、脳波信号の時系列データから、α波、β波、θ波(例えば4〜8Hz)、δ波(例えば1〜4Hz)の発生が観測可能である。
【0028】
端末1の制御部11は、当該脳波信号に基づいて被検者のDMNの活動状態を判定する。具体的に制御部11は、DMNを構成する複数の脳領域においてα帯域の脳波信号が互いに同期しているか否か等を判定する。
【0029】
図6は、脳波信号の周波数スペクトルの一例を示す説明図である。
図6では、横軸が周波数(Hz)を、縦軸が脳波信号の大きさ(dB)を示す。制御部11は、機器2から取得した脳波信号の時系列データを周波数スペクトルに変換する。具体的に制御部11は、当該時系列データに対してFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)の演算処理を実行し、脳波信号を時間領域のデータから周波数領域のデータに変換する。
図6では、CH1の脳波信号について変換処理を行った周波数スペクトルの一例を示す。
図6に示すように、時間領域のデータであった脳波信号が周波数領域に変換されている。
【0030】
制御部11は、当該周波数スペクトルから周波数帯域別の信号成分を抽出する。例えば制御部11は、α帯域、β帯域、θ帯域、δ帯域、その他の周波数帯域に分けて、各周波数帯域の信号成分を抽出する。具体的に制御部11は、周波数スペクトルを各周波数帯域に係るバンド幅に分けるバンドパスフィルタ処理を実行し、各周波数成分を抽出する。
図6において、各周波数帯域を破線により分けて示す。制御部11は、各周波数帯域のうちα帯域に属する信号成分に基づき、以下の判定を行う。
【0031】
制御部11は、電極26が配置されている複数位置の脳領域において、α帯域の信号成分が互いに同期しているか否かを判定する。例えば制御部11は、
図4で示したCH1、CH5、CH7、CH14、CH10、CH8で計測された脳波信号のα波成分について位相解析を実行し、各チャンネルのα波成分に係る位相の同期性を判断する。CH1、CH5、CH7等はそれぞれ、内側前頭前野、側頭葉、後頭葉等に対応するチャンネルである。当該複数の脳領域は、DMNを構成する脳領域であると考えられている。従って、制御部11は各脳領域のα波成分の同期性を判定することで、DMNの該当領域が互いに同期して活動しているか否かを判定する。なお、上記でDMN該当領域とした脳領域は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
また、上記で制御部11は左脳側のCH1、CH5、CH7、及び右脳側のCH14、CH10、CH8の両方について同期性を判定したが、右脳又は左脳のいずれか一方のみを判定対象として処理を行ってもよい。以下の処理においても同様である。
【0032】
制御部11は上記の同期判定処理を行うと共に、当該複数の脳領域においてα帯域の信号成分の振幅と所定の閾値との大小を判定する処理を行う。具体的に制御部11は、CH1、CH5等の各チャンネルについて、α帯域に含まれる10Hz程度の周波数に係る信号成分の大きさの絶対値をα波成分の振幅値として取る。制御部11は、各チャンネルの当該振幅値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。これにより、制御部11は、DMNに該当する複数の脳領域についてα波成分の振幅が閾値以上であるか否かを判定する。同期判定処理と併せて振幅の大小に係る判定処理を行うことで、制御部11は、DMNに該当する複数領域が同期しながら活発に活動している状態であるか否かを判定する。
【0033】
なお、上記で制御部11はα波成分の振幅が閾値以上であるか否かを判定したが、閾値を超過するか否かを判定してもよいことは勿論である。また、判定対象とする数値はα波成分の振幅ではなく、後述するα波成分の信号強度であってもよい。
【0034】
図7は、脳波信号のパワースペクトルの一例を示す説明図である。
図7において、縦軸は各周波数帯域の信号成分の強度を示している。
制御部11は、上記のα波成分に係る判定処理を行うと同時に、被検者が脳波計測時において覚醒状態であるか否かを判定する。例えば制御部11は、上記の同期判定の対象であるα帯域とは異なるβ帯域の信号成分に基づき、被検者が覚醒状態であるか否かを判定する。
【0035】
具体的に制御部11は、上記で抽出した各周波数帯域の信号成分について信号強度のピーク値、平均値等を取ることでパワースペクトルを算出する。制御部11は、α帯域、β帯域、θ帯域等の周波数帯域別の強度を算出する。
図7では、CH1の脳波信号のパワースペクトルを示す。
制御部11は、上記で算出したβ波成分の強度と、所定の第2閾値との大小を判定する。例えば制御部11は、DMNに係る複数の脳領域においてβ波成分の強度が第2閾値以上であるか否かを判定する。β波は、被検者が覚醒状態から睡眠状態に突入すると減退する傾向がある。そこで制御部11は、β波成分の強度に基づき覚醒状態であるか否かを判定する。
【0036】
なお、上記で制御部11はβ波成分に基づき覚醒判定を行ったが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば制御部11は、θ波、δ波等に基づき判定を行ってもよい。また、例えば制御部11は、機器2から取得した脳波信号に基づき、筋電図、眼球運動、瞬目等を判別することで被検者が覚醒状態であるか否かを判定してもよい。例えば制御部11は、予めモデリングされている脳波信号の発生パターンと、計測された脳波信号の発生パターンとを比較し、高振幅の持続性筋電図が発生したか否かを判定する。また、例えば制御部11は、同様に脳波信号の発生パターンを分析し、レム睡眠初期に発生する急速眼球運動、入眠初期に発生する緩徐眼球運動等を判別してもよい。また、例えば制御部11は、被検者の瞼に近いチャンネルでの脳波信号の急激な時系列変化を判別することで、被検者の瞬目を判別してもよい。このように、制御部11は脳波だけでなく、脳波信号から観測可能な生体情報を判別して被検者の覚醒状態を判定してもよい。
【0037】
上述の如く制御部11は、α波成分の同期判定、振幅の大小判定、被検者の覚醒判定を行う。複数の脳領域においてα波成分が同期しており、振幅が閾値以上であり、かつ、被検者が覚醒状態であると判定した場合、制御部11は、被検者のDMNが活動状態にあると判定する。制御部11は、当該判定結果を被検者等に対して通知する。
【0038】
図8は、DMNの判定結果に係る表示画像の一例を示す説明図である。DMNの活動状態に係る判定結果を被検者等に通知する場合、制御部11は単にDMNが活動状態にある旨をテキスト等により表示してもよいが、
図8に示す形で画像表示を行うとより好適である。具体的に制御部11は、
図4と同様に各チャンネルの位置を示す配置画像において、DMNが活動状態にある様子を再現して表示する。
【0039】
例えば制御部11は、α波成分の同期判定に係る判定結果に基づき、α波成分が同期している脳波信号を計測したチャンネル(電極26)を、他のチャンネルと異なる態様で表示する。例えば制御部11は、α波成分が同期しているチャンネルを点滅表示し、その他は点滅表示を行わない。なお、
図8では点滅表示を行っている様子をハッチングにより示している。なお、表示態様は点滅表示によるもの限定されず、例えば色の変更、明暗の変更等により表示態様を異ならせてもよい。被検者等は
図8に示す配置画像を参考に、DMNが同期している様子を簡単に把握することができる。
【0040】
また、例えば制御部11は、α波成分が同期しているチャンネルではなく、α波成分の振幅が閾値以上であると判定されたチャンネルを配置画像上に示してもよい。具体的に制御部11は、α波成分の振幅の大小に係る判定結果に基づき、α波成分の振幅が閾値以上である脳波信号を計測したチャンネルを、その他のチャンネルと異なる態様で配置画像上に表示する。例えば制御部11は、α波成分の大小に応じて各チャンネルの色を変更する。これにより、被検者等はα波成分の活動が活発なチャンネルを簡単に判別することができる。
なお、例えば制御部11は、α波成分の同期性、又は振幅の大小のいずれかの判定結果だけを表示可能とするだけでなく、いずれの判定結果も表示可能とするべく、入力部15により受け付けた操作内容に基づき、表示画像を各判定結果に係る夫々の配置画像に切り替えることとしてもよい。
【0041】
また、判定結果に係る上記の出力態様は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば制御部11は、上述の如く、DMNが活動状態にあるか否かをテキスト形式で表示してもよい。また、例えば制御部11は、各チャンネルで計測された脳波信号の位相、振幅等の数値を表示してもよい。また、
図6、
図7等で示したように、制御部11は分析結果をグラフ表示してもよい。このように、本実施の形態において判定結果に係る出力態様は特に限定されない。
【0042】
また、例えば制御部11は、DMNの活動状態に係る判定結果を出力するだけでなく、判定結果を記憶部12に登録しておいてもよい。この場合、例えば制御部11は、DMNに係る脳領域の位置情報(判定対象とした各チャンネルの座標)、計測した脳波信号の位相、振幅等に係る情報、計測日時を示す時間情報を互いに対応付けて記憶部12に記憶する。これにより、被検者のDMNに係る活動状態のデータを記録することができる。
【0043】
図9は、情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9に基づいて、情報処理システムが実行する処理内容について説明する。
例えば端末1から脳波計測を開始すべき旨の指令信号を受信した場合、機器2の制御部21は以下の処理を実行する。制御部21は、被検者の頭部の複数位置に配置された電極26を介して脳波信号を計測する(ステップS11)。具体的には、電極26は被検者の脳に係る複数の脳領域に対応する位置に配置されており、脳神経細胞の活動に起因して発生する電位変化を検知する。制御部21は、各電極26が検知した電位変化を脳波信号として計測する。制御部21は、計測した脳波信号に係るデータを端末1に出力する(ステップS12)。
【0044】
端末1の制御部11は、機器2で計測された脳波信号に係るデータを取得する(ステップS13)。制御部11は、予め定められているサンプリング時間を経過したか否かを判定する(ステップS14)。サンプリング時間を経過していないと判定した場合(S14:NO)、制御部11は処理をステップS11に戻す。サンプリング時間を経過したと判定した場合(S14:YES)、制御部11は、取得した脳波信号に係る時系列データを周波数スペクトルに変換する(ステップS15)。例えば制御部11は、当該時系列データに対してFFTの演算処理を実行し、脳波信号のデータを時間領域から周波数領域に変換する。制御部11は、各電極26において計測された各脳波信号の時系列データに対し、変換処理を実行して周波数スペクトルを得る。制御部11は、変換した周波数スペクトルから周波数帯域別の信号成分を抽出する(ステップS16)。具体的に制御部11は、α帯域、β帯域、θ帯域、δ帯域、その他の周波数帯域に分けるバンドパスフィルタ処理を実行し、各周波数帯域の信号成分を抽出する。制御部11は、各電極26において計測された脳波信号について上記の抽出処理を行う。
【0045】
制御部11は、電極26が配置されている複数位置の脳領域において、α帯域の信号成分が互いに同期しているか否かを判定する(ステップS17)。具体的に制御部11は、複数の電極26のうち、DMNを構成する脳領域に対応する位置に配置された電極26で計測された脳波信号について、α帯域の信号成分の位相解析を行い、互いに同期しているか否かを判定する。例えば
図4で示した例の場合、制御部11は、DMN該当領域である内側前頭前野、側頭葉、後頭葉に対応するCH1、CH5、CH7等のα波成分について位相解析を行い、互いに同期しているか否かを判定する。つまり制御部11は、DMNを構成する複数の脳領域についてα波の同期性を判定する。なお、上記でDMN該当領域とした脳領域は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0046】
α帯域の信号成分が同期していると判定した場合(S17:YES)、制御部11は、電極26が配置されている複数位置の脳領域において、α帯域の信号成分の振幅と閾値との大小を比較する(ステップS18)。具体的に制御部11は、各位置で計測されたα波成分の振幅が所定の閾値以上であるか否かを判定する。なお、制御部11はα波成分の信号強度の大小を比較してもよい。
【0047】
α帯域の信号成分の振幅が閾値以上であると判定した場合(S18:YES)、制御部11は、ステップS17の同期判定の対象であるα帯域とは異なる周波数帯域の信号成分に基づき、計測時において被検者が覚醒状態であるか否かを判定する(ステップS19)。具体的に制御部11は、β帯域の信号成分の強度と第2閾値との大小を比較することで判定を行う。例えば制御部11は、いずれかの電極26で計測された脳波信号のβ波成分について、強度が第2閾値以上であるか否かを判定する。なお、制御部11はβ波成分ではなく、脳波信号が示すその他の生体情報に基づいて判定を行ってもよい。例えば制御部11は脳波信号の解析を行い、高振幅の持続性筋電図、急速眼球運動、瞬目等の有無を判別する。制御部11は、上記の判別結果に応じて被検者が覚醒状態であるか否かを判定してもよい。
【0048】
被検者が覚醒状態であると判定した場合(S19:YES)、制御部11は、被検者のDMNが活動状態である旨を示す判定結果を出力する(ステップS20)。例えば制御部11は、
図8で例示したように、各電極12の配置位置を示す配置画像を表示し、α波成分が同期している脳波信号を計測した電極12を、他の電極12と表示態様を異ならせて表示する。なお、制御部11はα波成分の同期性ではなく、振幅の大小に応じて表示態様が異なるように配置画像を表示してもよい。また、制御部11は判定結果を出力するだけでなく、各電極26で計測された脳波信号のα波成分に係る位相、強度等の数値を出力してもよい。α帯域の信号成分が同期していないと判定した場合(S17:NO)、α帯域の信号成分の振幅が閾値以上でないと判定した場合(S18:NO)、又は被検者が覚醒状態でないと判定した場合(S19:NO)、制御部11は、被検者のDMNが不活動状態である旨を示す判定結果を出力する(ステップS21)。ステップS20又はS21の処理を実行した後、制御部11は一連の処理を終了する。
【0049】
なお、上記ではα波成分の信号の大きさの絶対値を振幅値として取り、該振幅の大小を判定することとしたが、本実施の形態はこれに限るものではない。例えば端末1は、判定前後に亘るα波成分の大きさの相対値に基づいて判定を行ってもよい。この場合、例えば端末1は、DMNに係る判定処理を行う前に、機器2を介して開眼覚醒状態における被検者の脳波信号を計測して記憶しておく。すなわち端末1は、検査前における被検者の脳波信号のサンプルデータを計測する。そして端末1は、上記と同じく閉眼覚醒状態における被検者の脳波信号を計測する。端末1は、計測された脳波信号の大きさをサンプルデータに係る大きさで除算することで、判定開始前後に亘る相対値を算出する。端末1は、当該相対値に基づいて振幅の大小に係る判定を行う。これにより、上記と同じくDMNの活動状態を判定することができると共に、各被検者の個体差を考慮して正確な判定を行うことが期待できる。
【0050】
また、上記で制御部11はα帯域の信号成分について判定処理を行ったが、判定対象とする信号成分の周波数帯域にはθ帯域を含めてもよい。
【0051】
また、上記で制御部11はα帯域の信号成分について振幅の大小に係る判定処理を行ったが、当該判定処理は行わず、α波成分の同期性、及び被検者の覚醒状態のみに基づいてDMNが活動状態にあるか否かを判定してもよい。すなわちα波成分の振幅が閾値以上であるか否かは、DMNの活動状態に係る判定基準とせずともよい。
また、上記で制御部11は、α帯域の信号成分について同期判定処理を行った後で被検者の覚醒判定処理を行ったが、覚醒判定処理を行った後で同期判定処理を行ってもよい。すなわち、一連の判定処理の順序は限定されない。
【0052】
以上より、本実施の形態1によれば、DMNの活動状態を簡便に判定することができる。
【0053】
また、本実施の形態1によれば、α帯域の信号成分の同期性だけでなく、当該信号成分の振幅又は強度の大小を判定することで、DMNの活動状態をより正確に判定することができる。
【0054】
また、本実施の形態1によれば、判定結果を自動的に通知することができる。
【0055】
また、本実施の形態1によれば、判定結果に応じた電極12の配置画像上に表示することで、判定結果を分かり易く通知することができる。
【0056】
また、本実施の形態1によれば、β帯域の信号成分に基づいて被検者の覚醒状態を判定することで、脳波信号が示す生体情報のうち、脳波に係る生体情報のみに基づいて判定を行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態1によれば、筋電図、眼球運動、瞬目等の生体情報に基づいて覚醒状態を判定することもできる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態では、複数人の被検者について並行してDMNの活動状態を判定する形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
図10は、実施の形態2に係る情報処理システムの構成例を示す模式図である。本実施の形態は、例えば複数人が参加する会議のように、被検者が複数人いる場合に適用することができる。本実施の形態に係る情報処理システムは、被検者の人数に合わせて機器2を複数備える。機器2、2、2…は、複数人の被検者がそれぞれ装着する。各機器2の制御部21は、各被検者の脳波計測を行い、脳波信号に係るデータを順次端末1に出力する。
【0059】
端末1の制御部11は、複数人の被検者に係る脳波信号のデータを機器2、2、2…から取得する。制御部11はサンプリング時間が経過するまで脳波信号の取得処理を行い、脳波信号の時系列データを記憶部12に記憶する。
【0060】
制御部11は、複数人の被検者それぞれについてDMNの活動判定処理を行う。例えば制御部11は、サンプリング時間を経過した場合、複数人の被検者それぞれの脳波信号の時系列データについて周波数解析を行い、周波数帯域別の信号成分を抽出する。制御部11は、抽出したα波成分が同期しているか否かを、被検者毎に判定する。同様に、制御部11はα波成分の振幅の大小に係る判定処理、β波成分の信号強度の大小に係る判定処理を、被検者毎に判定する。そして制御部11は、上記の各判定結果に応じて、DMNが活発に活動している状態であるか否かを被検者毎に判定する。このように制御部11は、同時的に脳波計測を行った複数人の被検者それぞれについて、DMNの活動状態に係る判定を行う。
【0061】
全ての被検者について判定処理が完了した場合、制御部11は、複数人の被検者それぞれの判定結果を出力する。例えば制御部11は、被検者毎のDMNの活動又は不活動を示す判定結果を、並列的に表示部14に表示する。具体的には
図10に示すように、制御部11は、各被検者の氏名等に対応する形で、各被検者のDMNに係る判定結果を表示する。これにより、例えば会議時に併せて本情報処理システムによる脳波計測を会議参加者に対して実施することで、どの参加者のDMNが活発に活動していたか、すなわち創造性を発揮していたかを客観的に評価するための参考指標を提供することができる。
【0062】
なお、例えば制御部11は、DMNの活動又は不活動を示す判定結果だけでなく、DMNが活動状態にある時間帯を併せて表示してもよい。例えば制御部11は、被検者のDMNが活動状態にあると判定した場合、当該判定時点の時刻を一時的に記憶部12に記憶しておく。その後、制御部11は継続して脳波信号を機器2から取得し、DMNの活動状態に係る判定処理を実行する。すなわち制御部11は、DMNの活動状態を継続して監視する。被検者のDMNが活動状態から不活動状態になったと判定した場合、当該判定時点の時刻を記憶する。これにより、制御部11はDMNが活動状態である時間帯を判別し、被検者の氏名等と対応付けて表示部14に表示する。以上より、制御部11はDMNが活発に活動している時間帯を被検者毎に割り出し、参考指標として提供することができる。
【0063】
図11は、実施の形態2に係る情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。複数人の被検者がそれぞれ装着する機器2、2、2…が、計測した脳波信号を端末1に出力した後(ステップS12)、端末1の制御部11は以下の処理を実行する。
制御部11は、複数人の被検者に係る脳波信号のデータを機器2、2、2…から取得する(ステップS201)。すなわち制御部11は、各被検者が装着しており、各被検者の脳波計測を行う各機器2から出力された脳波信号のデータを順次取得する。制御部11は、処理をステップS14に移行する。
【0064】
サンプリング時間を経過したと判定した場合(S14:YES)、制御部11は、各被検者の脳波信号の時系列データを周波数スペクトルに変換する(ステップS202)。さらに制御部11は、各被検者の脳波信号に係る周波数スペクトルから、周波数帯域別の信号成分を抽出する(ステップS203)。
【0065】
制御部11は、複数の被検者のうち一の被検者について、α帯域の信号成分が同期しているか否かを判定する(ステップS204)。同期していると判定した場合(S204:YES)、制御部11は、当該一の被検者についてα帯域の信号成分の振幅と閾値との大小を判定する(ステップS205)。α波成分の振幅が閾値以上であると判定した場合(S205:YES)、制御部11は、計測時において当該一の被検者が覚醒状態であるか否かを判定する(ステップS206)。例えば制御部11は、ステップS203で抽出した、当該一の被検者のβ波成分の強度に基づき判定を行う。
【0066】
当該一の被検者が覚醒状態であると判定した場合(S206:YES)、制御部11は、当該一の被検者のDMNが活動状態にあると判定し、判定結果を記憶部12に記憶しておく(ステップS207)。すなわち制御部11は、当該一の被検者について、α帯域の信号成分が同期しており、振幅が閾値以上であり、かつ、覚醒状態である旨の判定結果を記憶しておく。
【0067】
α帯域の信号成分が同期していないと判定した場合(S204:NO)、α帯域の信号成分の振幅が閾値未満であると判定した場合(S205:NO)、又は当該一の被検者が覚醒状態でないと判定した場合(S206:NO)、制御部11は、当該一の被検者のDMNが不活動状態にあると判定し、判定結果を記憶部12に記憶しておく(ステップS208)。
【0068】
制御部11は、全ての被検者についてステップS204〜S208の判定処理を実行したか否かを判定する(ステップS209)。判定処理を実行していない被検者がいると判定した場合(S209:NO)、制御部11は処理をステップS204に戻す。制御部11は当該一の被検者とは異なる別の被検者についてステップS204〜S208の処理を行う。これにより、制御部11は脳波計測を行った全ての被検者についてDMNの活動判定処理を行う。
【0069】
全ての被検者について判定処理を実行したと判定した場合(S209:YES)、制御部11は、複数人の被検者に係る判定結果を出力する(ステップS210)。例えば制御部11は、被検者毎のDMNの活動又は不活動を示す判定結果を、並列的に表示部14に表示する。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0070】
以上より、本実施の形態2によれば、複数人についてDMNの活動状態を並行して判定することができる。
【0071】
(実施の形態3)
本実施の形態では、DMNの活動状態に係る判定結果に被検者等の評価を付して記録する形態について述べる。
図12は、実施の形態3に係る端末1の構成例を示す模式図である。端末1の記憶部12は、評価DB121を記憶している。評価DB121は、後述するように被検者により入力される評価内容を、DMNに係る判定結果と対応付けて記憶している。
【0072】
図13は、実施の形態3に係る評価DB121のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。評価DB121は、日時列、判定列、点数列、コメント列を含む。日時列は、脳波計測を行った日時を記憶している。判定列は、日時と対応付けて、当該日時に行った脳波計測データより判定されるDMNの活動状態の判定結果を記憶している。例えば判定列は、DMNが活動状態にあると判定された場合は「1」を、DMNが不活動状態であると判定された場合は「0」を記憶している。点数列及びコメント列は、日時と対応付けて、被検者により入力される評価内容を記憶している。具体的には、点数列は後述する入力項目への入力内容に応じた評価点数を記憶している。コメント列は、被検者により入力されるテキストデータを記憶している。
【0073】
図14は、実施の形態3に係る入力画面の一例を示す説明図である。入力画面は、DMNの活動状態に係る判定結果に対する評価入力を受け付ける画面である。例えば端末1の制御部11は、脳波信号に基づきDMNの活動状態に関する判定処理を実行した場合、
図14に示す入力画面を表示部14に表示する。なお、
図14ではDMNが活動状態にあると判定した場合の入力画面を示している。本実施の形態において、例えば脳波計測を受けた被検者自らが、入力画面を介して評価入力を行う。
【0074】
入力画面は、例えばDMNの活動状態に係る判定結果を示すテキストを含む。当該判定結果を参照することで、被検者等はDMNが活発に活動している状態であるか否かを確認することができる。また、入力画面は、当該判定結果に対する評価入力を行うための入力項目131、コメント欄132を含む。入力項目131は、デフォルトで定められている複数の評価項目であり、評価を行う指標がチェックボックスと共に示される。当該指標は、例えば脳波計測時において被検者が新たなアイディアを思い付いたか否か、忘れていた記憶を想起したか否か等であり、被検者の創造性、創作性を問う指標である。なお、当該指標は一例であって、DMNの活動状態を主観的に評価できる指標であればよい。被検者は、脳波計測時において当該指標を満たしていたと考えた場合、チェックボックスへの入力を行う。制御部11は、各入力項目131について評価入力を受け付ける。また、コメント欄132は、被検者が任意にコメントを入力するためのテキスト入力欄である。被検者は、上記の入力項目131以外にも、自由な自己評価をテキスト形式で入力することができる。
なお、上記では被検者が評価入力を行う場合を想定したが、入力者は被検者ではなくその他の第三者であってもよい。
【0075】
制御部11は、受け付けた評価内容を、上記のDMNの活動状態に係る判定結果と対応付けて記憶する。例えば制御部11は、複数の入力項目131への入力数を点数換算し、評価点数を算出する。制御部11は当該評価点数を、DMNの活動又は不活動の判定結果と対応付けて評価DB121に記憶する。同様にして、制御部11はコメント欄132に入力されたコメントに係るテキストデータを、判定結果と対応付けて評価DB121に記憶する。
【0076】
図15は、実施の形態3に係る情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15に基づき、本実施の形態に係る情報処理システムが実行する処理内容について説明する。
被検者が覚醒状態であると判定した場合(S19:YES)、端末1の制御部11は、DMNが活動状態にある旨を示す判定結果と共に、当該判定結果に対する評価入力を受け付ける入力画面を出力する(ステップS301)。すなわち制御部11は、
図14で例示した入力画面を表示部14に表示する。入力画面は、例えばデフォルトで定められている入力項目131、被検者が任意にコメントを入力するコメント欄132等を含む。α帯域の信号成分が同期していないと判定した場合(S17:NO)、α帯域の信号成分の振幅が閾値以上でないと判定した場合(S18:NO)、又は被検者が覚醒状態でないと判定した場合(S19:NO)、制御部11は、DMNが不活動状態である旨を示す判定結果と共に、当該判定結果に対する評価入力を受け付ける入力画面を出力する(ステップS302)。すなわち制御部11は、
図14で例示した入力画面を表示部14に表示する。
【0077】
制御部11は、ステップS301又はS302で出力した判定結果に対する評価入力を受け付ける(ステップS303)。具体的に制御部11は、入力画面を介して、脳波計測時において被検者が創造性、創作性を発揮していたか否かの評価入力を受け付ける。例えば制御部11は、被検者自らによる自己評価の入力を受け付ける。なお、当該評価入力は被検者以外の第三者による評価入力であってもよい。制御部11は、入力画面の入力項目131においてDMNに係る複数の指標項目を示し、当該指標を満たしていたか否かの評価の選択入力を受け付ける。また、制御部11は、コメント欄132において、被検者による任意のテキスト入力を受け付ける。
【0078】
制御部11は、受け付けた評価入力の内容を、ステップS301又はS302に係る判定結果と対応付けて記憶部12に記憶する(ステップS304)。例えば制御部11は、DMNの活動又は不活動に係る判定結果と対応付けて、上記の入力項目131への選択入力内容に応じた評価点数を評価DB121に記憶する。また、例えば制御部11は、判定結果と対応付けて、被検者によるテキスト入力内容、すなわちコメントを評価DB121に記憶する。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0079】
以上より、本実施の形態3によれば、DMNの活動状態に係る判定結果と対応付けて、被検者等により入力される評価内容を記憶する。すなわち評価DB121には、端末1が判定した客観的な判定内容と、被検者等が評価した主観的な評価内容とが併せて記憶される。これにより、被検者のDMNの活動状態について、より効果的な振り返りが可能となる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。