特許第6367941号(P6367941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367941
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】極端紫外光生成装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180723BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20180723BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G03F7/20 503
   H05G2/00 K
   G03F7/20 521
   H05H1/24
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-532385(P2016-532385)
(86)(22)【出願日】2014年7月11日
(86)【国際出願番号】JP2014068582
(87)【国際公開番号】WO2016006100
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2017年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105212
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 延寿
(72)【発明者】
【氏名】植田 篤
(72)【発明者】
【氏名】永井 伸治
(72)【発明者】
【氏名】植野 能史
(72)【発明者】
【氏名】阿部 保
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−171405(JP,A)
【文献】 特開2012−146613(JP,A)
【文献】 特表2012−523666(JP,A)
【文献】 特開2005−235883(JP,A)
【文献】 特開2003−142296(JP,A)
【文献】 特開2010−123929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20 −7/24
H01L 21/027
H05G 2/00
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットにパルスレーザ光を照射することによってプラズマ化して極端紫外光を生成する極端紫外光生成装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された磁石と、
前記磁場に導かれたイオンが衝突するように配置された衝突部を含むイオンキャッチャーと、
を備え
前記イオンキャッチャーは、第1の端部と第2の端部とを有する筒状部材を含み、
前記第1の端部は、前記磁場に沿った方向に開口し、
前記衝突部は、前記第1の端部近傍に配置された第1衝突部と、前記第2の端部近傍に配置され前記第1衝突部との間に空間を有する第2衝突部と、を含む、
極端紫外光生成装置。
【請求項2】
前記第1衝突部は、前記磁場に対して傾斜して配置された複数の衝突面を含む、
請求項1記載の極端紫外光生成装置。
【請求項3】
前記筒状部材の内部のガスを排気する排気ポンプが、前記第1の端部から前記第2の端部までの間に接続されている、
請求項記載の極端紫外光生成装置。
【請求項4】
前記筒状部材の第1の端部から第2の端部までの長さをLとし、前記筒状部材の前記開口の最大径をφとした場合に、L/φ>3.55の関係を満たすように、前記イオンキャッチャーが構成された、
請求項記載の極端紫外光生成装置。
【請求項5】
前記筒状部材はテーパー状である、
請求項記載の極端紫外光生成装置。
【請求項6】
前記筒状部材は多角柱状である、
請求項記載の極端紫外光生成装置。
【請求項7】
前記第2衝突部は、円錐状又は多角錐状の面を含む、
請求項記載の極端紫外光生成装置。
【請求項8】
前記磁石はコイルを含む電磁石であり、
前記筒状部材の少なくとも一部は、前記コイルのボアの中に配置されている、
請求項記載の極端紫外光生成装置。
【請求項9】
前記筒状部材の少なくとも一部は、前記チャンバから突出して配置されている、
請求項記載の極端紫外光生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端紫外光生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成する極端紫外(EUV)光生成装置と縮小投影反射光学系(Reduced Projection Reflective Optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma:レーザ励起プラズマ)方式の装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)方式の装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)方式の装置との3種類の装置が提案されている。
【概要】
【0004】
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、ターゲットにパルスレーザ光を照射することによってプラズマ化して極端紫外光を生成する極端紫外光生成装置であって、チャンバと、チャンバ内に磁場を形成するように構成された磁石と、磁場に導かれたイオンが衝突するように配置された衝突部を含むイオンキャッチャーと、を備え、イオンキャッチャーは、第1の端部と第2の端部とを有する筒状部材を含み、第1の端部は、磁場に沿った方向に開口し、衝突部は、第1の端部近傍に配置された第1衝突部と、第2の端部近傍に配置され第1衝突部との間に空間を有する第2衝突部と、を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
図2図2は、第1の実施形態に係るEUV光生成システムの構成を示す一部断面図である。
図3図3A図3Cは、図2に示されるイオンキャッチャー5aの構成例を示す。
図4図4は、別のイオンキャッチャー5bの構成例を示す。
図5図5は、さらに別のイオンキャッチャー5cの構成例を示す。
図6図6は、さらに別のイオンキャッチャー5dの構成例を示す。
図7図7は、さらに別のイオンキャッチャー5eの構成例を示す。
図8図8は、さらに別のイオンキャッチャー5fの構成例を示す。
図9図9は、第2の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。
図10図10は、図9に示される第1衝突部41を拡大して示す。
図11図11は、第3の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。
図12図12は、第4の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。
図13図13は、第5の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。
図14図14は、第6の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。
図15A図15Aは、第7の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。図15AはZX面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示す。
図15B図15Bは、第7の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。図15BはXY面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示す。
図16A図16Aは、第8の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。図16AはZX面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示す。
図16B図16Bは、第8の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。図16BはXY面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示す。
図17図17A図17Iは、上述の各実施形態において用いられる筒状部材40の形状のバリエーションを示す。
【実施形態】
【0006】
<内容>
1.概要
2.用語の説明
3.EUV光生成システムの全体説明
3.1 構成
3.2 動作
4.イオンキャッチャーを含むEUV光生成装置
4.1 全体構成
4.2 レーザ光進行方向制御部
4.3 集光光学系
4.4 磁石
4.5 イオンキャッチャー
5.筒状のイオンキャッチャーを含むEUV光生成装置
6.イオンキャッチャーが排気ポンプを有するEUV光生成装置
6.1 ガス供給システム
6.2 イオンキャッチャー
7.イオンキャッチャーがゲートバルブを有するEUV光生成装置
8.イオンキャッチャーが粉体ポンプを有するEUV光生成装置
9.イオンキャッチャーが筒状部で構成されたEUV光生成装置
10.イオンキャッチャーがオブスキュレーション領域に配置されたEUV光生成装置
11.筒状部材の形状
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0008】
1.概要
LPP方式のEUV光生成装置においては、ターゲット供給部がターゲットを出力し、プラズマ生成領域に到達させてもよい。ターゲットがプラズマ生成領域に到達した時点で、レーザ装置がターゲットにパルスレーザ光を照射してもよい。これによりターゲットがプラズマ化し、このプラズマからEUV光が放射されてもよい。放射されたEUV光は、EUV集光ミラーにより反射されて集光されてもよい。
【0009】
プラズマには高エネルギーのイオンが含まれていてもよい。プラズマに含まれるイオンは、イオンキャッチャーによって捕集されてもよい。しかしながら、高エネルギーのイオンがイオンキャッチャーに衝突すると、イオンが跳ね返って飛散したり、イオンキャッチャーの表面がスパッタされてスパッタ粒子が飛散したりすることがあり得る。飛散したイオンやスパッタ粒子が、EUV集光ミラーなどのチャンバ内の光学素子に付着して、光学素子の特性を悪化させることがあり得る。
イオンに限らず、電気的に中性の粒子がイオンキャッチャーに衝突した場合も同様となり得る。このような電気的に中性の粒子のことを、以下では中性粒子と称する。ここで、イオンキャッチャーとは、イオンおよび/または中性粒子を捕集するように構成されるものであってよい。
【0010】
本開示の1つの観点によれば、EUV光生成装置が、チャンバ内に磁場を形成するように構成された磁石と、磁場に導かれたイオンが衝突するように配置された衝突部を含むイオンキャッチャーと、を備えてもよい。このイオンキャッチャーは、磁場に対して傾斜して配置された複数の衝突面を含んでもよい。
【0011】
2.用語の説明
本願において使用される幾つかの用語を以下に説明する。
「プラズマ生成領域」は、EUV光を生成するためのプラズマの生成が開始される所定領域を意味し得る。
「Y方向」はターゲット27の移動方向とほぼ一致していてもよい。
「Z方向」は、Y方向に垂直な方向でもよい。Z方向は、パルスレーザ光33の進行方向とほぼ一致していてもよい。Z方向は、また、EUV集光ミラー23によって反射された反射光252の進行方向とほぼ一致してもよい。
「X方向」は、Y方向及びZ方向の両方に垂直な方向でもよい。X方向は、磁石6a及び6bによって形成される磁場の中心軸の方向とほぼ一致していてもよい。
【0012】
3.EUV光生成システムの全体説明
3.1 構成
図1に、例示的なLPP方式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2、ターゲット供給部26を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給部26は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給部26から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0013】
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられていてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されるパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されていてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には貫通孔24が設けられていてもよく、貫通孔24をパルスレーザ光33が通過してもよい。
【0014】
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5、ターゲットセンサ4等を含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲット27の存在、軌跡、位置、速度等を検出するよう構成されてもよい。
【0015】
また、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
【0016】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備えてもよい。
【0017】
3.2 動作
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内を進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのターゲット27に照射されてもよい。
【0018】
ターゲット供給部26は、ターゲット27をチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。EUV集光ミラー23は、放射光251に含まれるEUV光を、他の波長域の光に比べて高い反射率で反射してもよい。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光を含む反射光252は、中間集光点292で集光され、露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0019】
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理するよう構成されてもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27を出力するタイミングの制御、ターゲット27の出力方向の制御の内少なくとも一つを制御するよう構成されてもよい。さらに、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミングの制御、パルスレーザ光32の進行方向の制御、パルスレーザ光33の集光位置の制御の内少なくとも一つを制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0020】
4.イオンキャッチャーを含むEUV光生成装置
4.1 全体構成
図2は、第1の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。図2は、ターゲット27の軌道に垂直な面における断面を示している。ターゲット27の軌道に垂直な面は、ZX面にほぼ平行な面であってもよい。
図2に示されるように、チャンバ2の内部には、集光光学系22aと、EUV集光ミラー23と、EUV集光ミラーホルダ81と、プレート82及びプレート83と、イオンキャッチャー5aとが設けられてもよい。
【0021】
チャンバ2の外部には、レーザ装置3と、レーザ光進行方向制御部34aとが設けられてもよい。
レーザ装置3は、COレーザ装置を含んでいてもよい。レーザ装置3は、パルスレーザ光を出力してもよい。
【0022】
4.2 レーザ光進行方向制御部
レーザ光進行方向制御部34aは、高反射ミラー341及び342を含んでもよい。高反射ミラー341は、ホルダ343によって支持されていてもよい。高反射ミラー342は、ホルダ344によって支持されていてもよい。
【0023】
高反射ミラー341は、レーザ装置3によって出力されたパルスレーザ光31の光路に配置されてもよい。高反射ミラー341は、パルスレーザ光31を高い反射率で反射してもよい。
高反射ミラー342は、高反射ミラー341によって反射されたパルスレーザ光の光路に配置されてもよい。高反射ミラー342は、パルスレーザ光を高い反射率で反射し、この光をパルスレーザ光32として集光光学系22aに導いてもよい。
【0024】
4.3 集光光学系
集光光学系22aは、軸外放物面ミラー221及び平面ミラー222を含んでもよい。軸外放物面ミラー221は、ホルダ223によって支持されてもよい。平面ミラー222は、ホルダ224によって支持されてもよい。ホルダ223及び224は、プレート83に固定されてもよい。EUV集光ミラー23は、EUV集光ミラーホルダ81を介してプレート82に固定されていてもよい。プレート82及びプレート83は、チャンバ2に固定されてもよい。
【0025】
軸外放物面ミラー221は、パルスレーザ光32の光路に配置されてもよい。軸外放物面ミラー221は、パルスレーザ光32を平面ミラー222に向けて反射してもよい。平面ミラー222は、軸外放物面ミラー221によって反射されたパルスレーザ光を、パルスレーザ光33としてプラズマ生成領域25又はその近傍に向けて反射してもよい。パルスレーザ光33は、軸外放物面ミラー221の反射面形状に従い、プラズマ生成領域25又はその近傍において集光されてもよい。
【0026】
プラズマ生成領域25又はその近傍において、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33が照射されてもよい。液滴状のターゲット27にパルスレーザ光33が照射されると、液滴状のターゲット27がプラズマ化し、EUV光が生成され得る。
【0027】
4.4 磁石
磁石6a及び6bの各々は、コイルを含む電磁石でもよい。磁石6a及び6bは、チャンバ2を挟んで対向する位置に、コイルの中心軸が一致するように配置されてもよい。磁石6a及び6bは、チャンバの内部に磁場を形成できるように構成されてもよい。磁石6a及び6bによって形成される磁場は、それぞれのコイルのボアの中心付近で最も強く、磁石6aと磁石6bとの間では若干弱くなっていてもよい。
【0028】
プラズマに含まれるイオンは、プラズマ生成領域25から拡散しようとするときに、磁場の方向と、イオンの移動方向と、の両方に垂直なローレンツ力を受けてもよい。このローレンツ力により、磁場と平行な方向から見たときのイオンの移動軌跡は、ほぼ円の形状となってもよい。すなわち、イオンは磁場に沿ってらせん状に移動してもよい。
【0029】
4.5 イオンキャッチャー
イオンキャッチャー5aは、チャンバ2の内側に取り付けられてもよい。イオンキャッチャー5aは、磁石6a及び6bによって形成される磁場の中心軸上に配置されてもよい。
【0030】
図3A図3Cは、図2に示されるイオンキャッチャー5aの構成例を示す。図3Aはイオンキャッチャー5aを磁場と平行な方向から見た図である。図3B図3Aに示されるイオンキャッチャー5aの側面図である。図3C図3Bに示されるイオンキャッチャー5aの一部を拡大した図である。
【0031】
図3A及び図3Bに示されるように、イオンキャッチャー5aは、円形のプレート51に、複数の断面三角形状の深溝52が形成されたものでもよい。図3Cに示されるように、これらの深溝52により、複数の衝突面53、54が構成されてもよい。複数の衝突面53は、XY面と平行ではなく、傾斜していてもよい。複数の衝突面53は、円形のプレート51に対して垂直に設けられているのではなく、EUV集光ミラー23による反射光252の光路の上流側に傾斜していてもよい。EUV集光ミラー23による反射光252の上流側とは、中間集光点292からEUV集光ミラー23の反射面の中央へ向かう方向でもよい。
【0032】
図3Cに矢印Pで示されるようにイオン又は中性粒子が衝突面53に衝突して、イオン又は中性粒子が反射されても、反射されたイオン又は中性粒子は別の衝突面54に当たって、衝突面54に付着し得る。反射されたイオン又は中性粒子のことを、以下では反射粒子と称する。また、図3Cに矢印Pで示されるようにイオン又は中性粒子が衝突面53に衝突して、衝突面53がスパッタされても、衝突面53から飛び出したスパッタ粒子は別の衝突面54に当たって衝突面54に付着し得る。従って、反射粒子やスパッタ粒子がチャンバ2内に飛散してしまうことを抑制できる。
【0033】
図4は、別のイオンキャッチャー5bの構成例を示す。図4Aはイオンキャッチャー5bを磁場と平行な方向から見た図である。図4B図4Aに示されるイオンキャッチャー5bの側面図である。図4C図4Bに示されるイオンキャッチャー5bの一部を拡大した図である。
【0034】
図4A及び図4Bに示されるように、イオンキャッチャー5bは、円形のプレート55に、複数の板56が固定されたものでもよい。図4Cに示されるように、これらの板56により、複数の衝突面57、58が構成されてもよい。複数の衝突面57、58は、XY面と平行でもよい。複数の衝突面57、58は、円形のプレート55に対して垂直に設けられていてもよい。
【0035】
図4Cに矢印Pで示されるようにイオン又は中性粒子が衝突面57に衝突して、イオン又は中性粒子が反射されても、反射粒子は別の衝突面58に当たって衝突面58に付着し得る。また、図4Cに矢印Pで示されるようにイオン又は中性粒子が衝突面57に衝突して、衝突面57がスパッタされても、スパッタ粒子は別の衝突面58に当たって衝突面58に付着し得る。従って、反射粒子やスパッタ粒子がチャンバ2内に飛散してしまうことを抑制できる。
【0036】
図5は、さらに別のイオンキャッチャー5cの構成例を示す。図5においては、イオンキャッチャー5cとEUV集光ミラー23との位置関係も示されている。EUV集光ミラー23の反射面が図5における上を向いているので、図5の下側が、EUV集光ミラー23による反射光252の上流側に相当し得る。
【0037】
イオンキャッチャー5cは、プレート51に複数の断面三角形状の深溝52が形成されたものでもよい。これらの深溝52により、複数の衝突面53、54が構成されてもよい。図5に示されるように、複数の衝突面53、54は、図3に示される複数の衝突面53、54よりも、一層傾斜していてもよい。複数の衝突面53の他に複数の衝突面54も、XY面と平行ではなく、傾斜していてもよい。
【0038】
図6は、さらに別のイオンキャッチャー5dの構成例を示す。図6の下側が、EUV集光ミラー23による反射光252の上流側に相当し得る。
イオンキャッチャー5dは、傾斜したプレート55に、複数の板56が固定されたものでもよい。これらの板56により、複数の衝突面57、58が構成されてもよい。図6に示されるように、複数の衝突面57、58は、XY面と平行ではなく、傾斜していてもよい。複数の衝突面57、58は、円形のプレート55に対して垂直に設けられていてもよい。このように、複数の衝突面57、58がプレート55に対して傾斜していなくても、プレート55を傾斜させることにより、所望の衝突面の傾きを得ることができる。
【0039】
図7は、さらに別のイオンキャッチャー5eの構成例を示す。図7の下側が、EUV集光ミラー23による反射光252の上流側に相当し得る。
イオンキャッチャー5eは、傾斜したプレート55に、複数の板56が固定されたものでもよい。これらの板56により、複数の衝突面57、58が構成されてもよい。図7に示されるように、複数の衝突面57、58は、XY面と平行ではなく、傾斜していてもよい。複数の衝突面57、58は、円形のプレート55に対して垂直に設けられているのではなく、EUV集光ミラー23による反射光252の光路の上流側に傾斜していてもよい。
【0040】
図8は、さらに別のイオンキャッチャー5fの構成例を示す。図8の下側が、EUV集光ミラー23による反射光252の上流側に相当し得る。
イオンキャッチャー5fは、傾斜したプレート55に、湾曲した複数の板56が固定されたものでもよい。これらの板56により、複数の衝突面57、58が構成されてもよい。図8に示されるように、複数の衝突面57、58は、XY面と平行ではなく、傾斜していてもよい。複数の板56が、EUV集光ミラー23による反射光252の光路の上流側に湾曲していてもよい。
【0041】
5.筒状のイオンキャッチャーを含むEUV光生成装置
図9は、第2の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。イオンキャッチャー5gは、筒状部材40と、筒状部材40の第1の端部に設けられた第1衝突部41と、筒状部材40の第2の端部に設けられた第2衝突部42と、を有してもよい。以下の説明において、筒状部材40の第1の端部は、プラズマ生成領域25に近い側の端部であってもよい。筒状部材40の第1の端部は、磁場に沿った方向に開口していてもよい。筒状部材40の第2の端部は、プラズマ生成領域25から遠い側の端部であってもよい。
【0042】
図10は、図9に示される第1衝突部41を拡大して示す。図10Aは第1衝突部41を磁場と平行な方向から見た図である。図10B図10Aに示される第1衝突部41の側面図である。図10C図10Bに示される第1衝突部41の一部を拡大した図である。第1衝突部41は、複数の板部材43を、互いに間隔をあけて斜めに並べることにより構成されてもよい。複数の板部材43の各々は、イオン又は中性粒子が衝突する衝突面を有していてもよい。第1衝突部41は、プレート55(図4A図4C参照)を有しなくてもよい。
【0043】
図9を再び参照し、第2衝突部42は、円錐状又は多角錐状の面を有していてもよい。筒状部材40は、磁石6a又は6bを構成するコイルのボアを貫通して位置してもよい。このため、筒状部材40の内部には強い磁場が形成されていてもよい。
【0044】
イオン又は中性粒子が第1衝突部41の複数の衝突面のいずれかに衝突し、反射したとき、第1衝突部41ではイオン又は中性粒子を捕集しきれずに、イオン又は中性粒子が筒状部材40の内部に入ってくる可能性がある。このとき、筒状部材40の内部には強い磁場が形成されているため、イオンは減速されてもよい。中性粒子も、第1衝突部41で反射されるときに減速されてもよい。従って、イオン又は中性粒子は、第2衝突部42では反射されずに第2衝突部42に付着しやすくなってもよい。第2衝突部42で反射されたとしても、イオン又は中性粒子はさらに減速されるので、再び第1衝突部41の間をすり抜けてチャンバ2内に戻る可能性は低くなり得る。すなわち、筒状部材40の内部がイオン又は中性粒子を減速させる緩和空間となり、効率的にイオン又は中性粒子の捕集を行い得る。
【0045】
6.イオンキャッチャーが排気ポンプを有するEUV光生成装置
6.1 ガス供給システム
図11は、第3の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。
図11に示されるように、チャンバ2の内部には、サブチャンバ20が設けられてもよい。チャンバ2には、配管61と、配管63とが取り付けられてもよい。チャンバ2の外部には、調節弁62と、調節弁64と、ガス供給源65とが設けられてもよい。
【0046】
サブチャンバ20の内部には、プレート83及び集光光学系22aが収容されていてもよい。サブチャンバ20は、EUV集光ミラー23を貫通する中空の円錐部70を有していてもよい。円錐部70の底面側と頂点側とはそれぞれ開口していてもよい。パルスレーザ光33が円錐部70の底面側の開口71から頂点側の開口72を通り、プラズマ生成領域25に到達できるようになっていてもよい。すなわち、円錐部70を含むサブチャンバ20は、集光光学系22aとプラズマ生成領域25との間のパルスレーザ光33の光路を囲んでいてもよい。
【0047】
円錐部70の周囲には、外円錐部73が位置していてもよい。外円錐部73は、円錐部70との間に隙間を有してもよい。外円錐部73は、EUV集光ミラー23を貫通しており、EUV集光ミラー23の反射面側において、外方に広がる返し部74を有してもよい。円錐部70の外面には、返し部74との間に隙間を有する返し部75が固定されていてもよい。外円錐部73と円錐部70との間の隙間と、返し部74と返し部75との間の隙間とが繋がってガス通路となっていてもよい。
【0048】
ガス供給源65は、調節弁62及び配管61を介してサブチャンバ20内に接続されていてもよい。
調節弁62は、配管61に供給される水素ガスの流量を変更できるように構成されていてもよい。配管61が、サブチャンバ20内に開口し、ウインドウ21付近に水素ガスを供給してもよい。サブチャンバ20内に水素ガスが供給されることにより、サブチャンバ20内の圧力は、チャンバ2内及びサブチャンバ20外における圧力に対して高くなってもよい。サブチャンバ20内に供給された水素ガスは、円錐部70の頂点側の開口72からプラズマ生成領域25の周辺に向けて流れ出てもよい。
【0049】
サブチャンバ20内に水素ガスを供給してチャンバ2内よりも高圧とすることにより、サブチャンバ20内にターゲット物質のデブリが進入することを抑制し得る。また、サブチャンバ20内の集光光学系22aやウインドウ21にターゲット物質のデブリが堆積したとしても、水素ガスによってデブリをエッチングして除去することができる。
【0050】
ガス供給源65は、さらに、調節弁64及び配管63を介して外円錐部73と円錐部70との間の隙間のガス通路に接続されていてもよい。
調節弁64は、配管63に供給される水素ガスの流量を変更できるように構成されていてもよい。配管63が、円錐部70と外円錐部73との隙間に形成されたガス通路に接続され、当該ガス通路に水素ガスを供給してもよい。水素ガスは、返し部74と返し部75との間の隙間から、EUV集光ミラー23の反射面に沿って、EUV集光ミラー23の中央部から外周側へ向けて放射状に流れてもよい。
【0051】
EUV集光ミラー23の反射面に沿って水素ガスを流すことにより、ターゲット物質のデブリがEUV集光ミラー23の反射面に到達することを抑制し得る。また、EUV集光ミラー23の反射面にターゲット物質のデブリが堆積したとしても、水素ガスによってデブリをエッチングして除去することができる。
【0052】
6.2 イオンキャッチャー
イオンキャッチャー5hは、筒状部材40と、筒状部材40の第1の端部に設けられた第1衝突部41と、筒状部材40の第2の端部に設けられた第2衝突部42と、を有してもよい。第1衝突部41及び第2衝突部42の構成は、図9に示されたものと同様でよい。
【0053】
筒状部材40に、排気流路44を介して排気ポンプ45が接続されていてもよい。また、筒状部材40の長さを比較的長くすることにより、イオン又は中性粒子が筒状部材40の内壁に衝突して減速される可能性を高めてもよい。
【0054】
排気ポンプ45が筒状部材40の内部のガスを排気することにより、チャンバ2の内部と筒状部材40の内部とに差圧を生じさせ、イオン又は中性粒子を効率的に筒状部材40に吸い込むことができてもよい。また、排気ポンプ45が筒状部材40の内部のガスを排気することにより、イオン又は中性粒子を筒状部材40から排気ポンプ45によって効率的に除去できてもよい。排気ポンプ45が、筒状部材40の中央よりも第2衝突部42寄りの位置に接続されていてもよい。これにより、イオンが筒状部材40の内部を移動する過程で減速され、あるいはガス流に晒されることにより失活し得るので、排気ポンプ45によって効率的に除去できてもよい。
【0055】
7.イオンキャッチャーがゲートバルブを有するEUV光生成装置
図12は、第4の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。イオンキャッチャー5iを構成する筒状部材40は、第1の端部を含む第1部材40aと、第2の端部を含む第2部材40bと、を含み、第1部材40aに対して第2部材40bが分離可能となっていてもよい。第1部材40aと第2部材40bとが図示しないボルト等によって締結され、気密に固定されるようになっていてもよい。
【0056】
筒状部材40の第1の端部には衝突部が設けられなくてもよい。筒状部材40の第1の端部に衝突部が設けられていなくても、イオンは筒状部材40の内部を移動するときに減速され、あるいはガス流に晒されることにより失活してもよい。
筒状部材40の第2の端部には衝突部42aが設けられてもよい。衝突部42aは、複数の断面三角形状の深溝が形成されたものでもよく、その構成は図2及び図3A図3Cに示されたイオンキャッチャー5aの構成と同様でよい。
【0057】
筒状部材40の中央付近に、ゲートバルブ46が設けられていてもよい。また、排気ポンプ45と筒状部材40とを接続する排気流路44に、ゲートバルブ47が設けられていてもよい。衝突部42aを交換する際にはゲートバルブ46が閉められてもよい。排気ポンプ45をメンテナンスする際には、ゲートバルブ47が閉められてもよい。これにより、メンテナンス時におけるチャンバ2内の圧力の変動が抑制されてもよい。
【0058】
8.イオンキャッチャーが粉体ポンプを有するEUV光生成装置
図13は、第5の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。イオンキャッチャー5jを構成する筒状部材40の第2部材40bには、粉体ポンプ49が設けられてもよい。粉体ポンプ49は、気体に分散した粉体を排出する装置であってもよい。粉体ポンプ49と筒状部材40との接続部付近には、衝突部42bが設けられてもよい。衝突部42bは、複数の板部材を斜めに並べたものでもよく、その構成は図10A図10Cに示された第1衝突部41の構成と同様でよい。このような構成によれば、衝突部42bが粉体ポンプ49による粉体の排出を妨げることを抑制し得る。
【0059】
また、筒状部材40と排気流路44との接続部付近に、粉体フィルタ48が設けられてもよい。これにより、排気ポンプ45に粉体が流入することが抑制され、排気ポンプ45の寿命向上が期待できる。
【0060】
9.イオンキャッチャーが筒状部で構成されたEUV光生成装置
図14は、第6の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。第6の実施形態において、イオンキャッチャー5kは、筒状部材40に排気ポンプが設けられていなくてもよい。また、筒状部材40の内部に、斜めの衝突面が設けられなくてもよい。斜めの衝突面がなくても、筒状部材40の長さを十分に長くすることにより、イオン又は中性粒子がチャンバ2内に戻ることを抑制し得る。
【0061】
筒状部材40の第1の端部の開口の最大径をφとした場合、磁場によるイオンの収束ビーム径がφと同等或いはφ以下となるようにしてもよい。この場合、イオンの収束ビーム径は、第1の端部におけるイオンの断面数密度分布がピーク値に対して1/e2以上である領域の径として定義されてもよい。筒状部材40の第1の端部から第2の端部までの長さをLとしてもよい。このとき、筒状部材40に第1の端部から入射するイオンが筒状部材40の第2の端部に達して、第2の端部から反射粒子やスパッタ粒子が等方的に拡散すると仮定してもよい。さらに、第2の端部から等方的に拡散した粒子のうち、立体角Ωの範囲に拡散した粒子が、筒状部材40の第1の端部を通過してチャンバ2内へ戻るものとしてもよい。第2の端部から立体角Ωの範囲以外に拡散した粒子は、筒状部材40の内壁に少なくとも1回衝突して減速され、筒状部材40の内壁に付着するものと仮定してもよい。
【0062】
この場合、チャンバ2内へ戻る粒子が、第2の端部から等方的に拡散した粒子のうちの1%未満となるようにすると、次の(式1)が成り立ってもよい。
Ω/2π < 0.01 ・・・(式1)
【0063】
上記Ωは、次の(式2)で表されてもよい。
Ω = 2π(1−cosα) ・・・(式2)
上記cosαは、次の(式3)で表されてもよい。
cosα = L/√(L+φ/4) ・・・(式3)
なお、√(X)は、Xの正の平方根であってもよい。
【0064】
上記(式1)、(式2)及び(式3)から、次の(式4)が得られてもよい。
L/φ > 3.55 ・・・(式4)
上記(式4)により、チャンバ2内へ戻る粒子が、第2の端部から等方的に拡散した粒子のうちの1%未満となるために、L及びφが満たすべき条件が定義されてもよい。
【0065】
また、チャンバ2内へ戻る粒子が、第2の端部から等方的に拡散した粒子のうちの0.3%未満とする場合には、上述と同様にして、次の(式5)が得られてもよい。
L/φ > 6.46 ・・・(式5)
【0066】
以上の通り、好ましくは、筒状部材の大きさが上記(式4)を満たしてもよい。さらに好ましくは、筒状部材の大きさが上記(式5)を満たしてもよい。例えば、φ=81mm、L=541.5mmとすることにより、L/φ=6.69となるので、上記(式5)を満たしてもよい。
【0067】
10.イオンキャッチャーがオブスキュレーション領域に配置されたEUV光生成装置
図15A及び図15Bは、第7の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。図15AはZX面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示し、図15BはXY面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示す。
【0068】
露光装置の仕様により、EUV光生成システム11には、オブスキュレーション領域OAが存在してもよい。オブスキュレーション領域OAは、EUV光のビーム領域のうちの露光に使用されない領域であってもよい。この場合、EUV光の光路であっても、オブスキュレーション領域OAにイオンキャッチャー5mを配置することができる。
【0069】
図15A及び図15Bに示されるように、筒状部材40の一部が、チャンバ2の内部に位置していてもよい。筒状部材40の一部は、さらにオブスキュレーション領域OAに位置していてもよい。これによれば、筒状部材40の第1の端部が、プラズマ生成領域25の近傍に位置することができる。従って、プラズマ生成領域25において生成されたプラズマに含まれるイオンを、筒状部材40によって効率的に回収することができる。
【0070】
図16A及び図16Bは、第8の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成を示す一部断面図である。図16AはZX面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示し、図16BはXY面に平行で且つプラズマ生成領域25を通る断面を示す。
第8の実施形態においても、オブスキュレーション領域にイオンキャッチャー5nを配置することができる。
【0071】
図16A及び図16Bに示されるように、筒状部材40が、チャンバ2の内部に位置していてもよい。筒状部材40の一部は、オブスキュレーション領域OAに位置していてもよい。これによれば、筒状部材40の第1の端部が、プラズマ生成領域25の近傍に位置することができる。従って、プラズマ生成領域25において生成されたプラズマに含まれるイオンを、筒状部材40によって効率的に回収することができる。
【0072】
筒状部材40の第2の端部には衝突部42aが設けられてもよい。衝突部42aは、複数の断面三角形状の深溝が形成されたものでもよく、その構成は図2及び図3A図3Cに示されたイオンキャッチャー5aの構成と同様でよい。これによれば、筒状部材40がチャンバ2に収まる長さであっても、効率的にイオンを回収することができる。
【0073】
第8の実施形態によれば、磁石6a及び6bのボアの中に筒状部材40を配置しなくてもよい。従って、例えば磁石6a及び6bに対してチャンバ2を移動して交換するような場合に、筒状部材40が邪魔になることを抑制し得る。
【0074】
11.筒状部材の形状
図17A図17Iは、上述の各実施形態において用いられる筒状部材40の形状のバリエーションを示す。上述の各実施形態において、筒状部材40の形状は、円筒形状である場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。なお、図17A図17Iにおいて、筒状部材40の第1の端部が図の上側に示され、筒状部材40の第2の端部が図の下側に示されていてもよい。
【0075】
筒状部材40は、図17Aに示されるような円筒形だけでなく、図17Bに示されるようなテーパー状であってもよい。また、図17Cに示されるように、筒状部材40の第1の端部が、小さな開口40cを残して一部塞がれていてもよい。
【0076】
図17Dに示されるように、筒状部材40は曲がっていてもよい。図17E及び図17Fに示されるように、筒状部材40が円錐状の面を含んでもよい。図17Eにおいては、筒状部材40が円錐状に凹んだ第2の端部を有し、図17Fにおいては、筒状部材40が円錐状に突出た第2の端部を有してもよい。
【0077】
図17Gに示されるように、筒状部材40の形状は多角柱状であってもよい。また、図17Hに示されるように、筒状部材40が多角錐状の面を含んでもよい。また、図17Iに示されるように、筒状部材40が多角錘の形状を有していてもよい。
【0078】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0079】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17