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特許6367943高電圧パワーデバイスのためのエッジ終端方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6367943
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】高電圧パワーデバイスのためのエッジ終端方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20180723BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 29/74 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 21/331 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 29/73 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20180723BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01L29/06 301M
   H01L29/91 D
   H01L29/91 F
   H01L29/06 301G
   H01L29/06 301V
   H01L29/86 301E
   H01L29/91 B
   H01L29/78 652P
   H01L29/74 B
   H01L29/72
   H01L29/78 655F
   H01L29/48 E
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-534575(P2016-534575)
(86)(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公表番号】特表2016-532293(P2016-532293A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】US2014041680
(87)【国際公開番号】WO2015023349
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年4月25日
(31)【優先権主張番号】13/968,740
(32)【優先日】2013年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】クリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブラント エドワード ロバート
(72)【発明者】
【氏名】パーラ ヴィピンタス
(72)【発明者】
【氏名】チェン リン
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル アナント クマー
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−038308(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0080422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 21/329
H01L 21/331
H01L 29/47
H01L 29/73
H01L 29/739
H01L 29/74
H01L 29/78
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ダイであって、
半導体素子と、
半導体素子の周囲のエッジ終端領域におけるエッジ終端構造と、を備え、前記エッジ終端構造は、前記半導体素子の主接合のエッジから前記エッジ終端領域のエッジへ所望のドーズ分布に近似しており、
前記エッジ終端構造は、
前記エッジ終端領域内に少なくとも2つの同心の開始ゾーンを定義する1つ以上の負の段と、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの各ゾーンについて、前記所望のドーズ分布に応じて前記ゾーン内のドーズを変化させる、少なくとも2つの、ゾーンにおける負の特徴と、を備え、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの少なくとも1つのゾーンについて、前記少なくとも1つのゾーンにおける前記少なくとも2つの負の特徴が、幅が広がる少なくとも2つの溝を含み、それにより減少するドーズが、前記半導体素子の主接合のエッジから離れて前記エッジ終端領域のエッジに向かって横方向に移動する、半導体ダイ。
【請求項2】
前記所望のドーズ分布が、前記半導体素子の主接合のエッジから前記エッジ終端領域のエッジへ略直線的に減少するドーズである、請求項1に記載の半導体ダイ。
【請求項3】
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの少なくとも1つのゾーンについて、前記少なくとも1つのゾーンにおける少なくとも2つの負の特徴が、複数のくぼみを含む、請求項1に記載の半導体ダイ。
【請求項4】
半導体ダイであって、
半導体素子と、
半導体素子の周囲のエッジ終端領域におけるエッジ終端構造と、を備え、前記エッジ終端構造は、前記半導体素子の主接合のエッジから前記エッジ終端領域のエッジへ所望のドーズ分布に近似しており、
前記エッジ終端構造は、
前記エッジ終端領域内に少なくとも2つの同心の開始ゾーンを定義する1つ以上の負の段と、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの各ゾーンについて、前記所望のドーズ分布に応じて前記ゾーン内のドーズを変化させる、少なくとも2つの、ゾーンにおける負の特徴と、を備え、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの少なくとも1つのゾーンについて、前記少なくとも1つのゾーンにおける少なくとも2つの負の特徴が、幅が広がる少なくとも2つのくぼみリングを含み、それにより減少するドーズが、前記半導体素子の主接合のエッジから離れて前記エッジ終端領域のエッジに向かって横方向に移動する、半導体ダイ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのゾーンの各ゾーンについて、前記ゾーンにおける少なくとも2つのくぼみリングの各くぼみリング内のくぼみが、すべて同じ大きさであり、前記ゾーンにおける少なくとも2つのくぼみリングの各くぼみリング内のくぼみの数が、前記くぼみリングの幅の関数である、請求項に記載の半導体ダイ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのゾーンの各ゾーンについて、前記ゾーンにおける少なくとも2つのくぼみリングの異なるリング内のくぼみが、様々なサイズのくぼみであり、前記少なくとも2つのくぼみリングの幅が広がるにつれて、前記くぼみのサイズが大きくなる、請求項に記載の半導体ダイ。
【請求項7】
第1のドーピング型の第1層と、
第2のドーピング型の第2層と、をさらに含み、
前記半導体素子が、第2層に対向する第1層の表面上にある第1の接点と、第1層に対向する第2層の表面上にある第2の接点とを備え、前記エッジ終端構造が、第2層に形成される、請求項1に記載の半導体ダイ。
【請求項8】
前記半導体素子が、縦型デバイスである、請求項1に記載の半導体ダイ。
【請求項9】
前記半導体素子が、さらに、パワーデバイスである、請求項に記載の半導体ダイ。
【請求項10】
前記半導体素子が、サイリスタと、溝絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(溝IGBT)と、PiNダイオードと、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)と、溝ジャンクションバリアショットキー(JBS)ダイオードとからなる群の1つである、請求項に記載の半導体ダイ。
【請求項11】
半導体ウエハの半導体ダイ領域に半導体素子を形成する工程と、
前記半導体ダイ領域内のエッジ終端領域において前記半導体素子の周囲に、前記半導体素子の主接合のエッジから前記エッジ終端領域のエッジへ所望のドーズ分布に近似するようにエッジ終端構造を形成する工程と、を含み、
前記エッジ終端構造を形成する工程が、
前記エッジ終端領域内で少なくとも2つの同心の開始ゾーンを定義する前記エッジ終端領域において1つ以上の負の段を提供する工程と、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの各ゾーンについて、前記所望のドーズ分布に応じて前記ゾーン内のドーズを変化させる、少なくとも2つの、ゾーンにおける負の特徴を提供する工程と、を含み、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの少なくとも1つのゾーンについて、少なくとも1つのゾーンの中の前記少なくとも2つの負の特徴が、幅が広がる少なくとも2つの溝を含み、それにより減少するドーズが、前記半導体素子の主接合のエッジから離れて前記エッジ終端領域のエッジに向かって横方向に移動する、方法。
【請求項12】
前記エッジ終端構造を形成する工程が、前記エッジ終端構造により近似される所望のドーズ分布が、任意の所望のドーズ分布であるように、前記エッジ終端構造を形成する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所望のドーズ分布が、前記半導体素子の主接合のエッジから前記エッジ終端領域のエッジへ略直線的に減少するドーズである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
半導体ウエハの半導体ダイ領域に半導体素子を形成する工程と、
前記半導体ダイ領域内のエッジ終端領域において前記半導体素子の周囲に、前記半導体素子の主接合のエッジから前記エッジ終端領域のエッジへ所望のドーズ分布に近似するようにエッジ終端構造を形成する工程と、を含み、
前記エッジ終端構造を形成する工程が、
前記エッジ終端領域内で少なくとも2つの同心の開始ゾーンを定義する前記エッジ終端領域において1つ以上の負の段を提供する工程と、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの各ゾーンについて、前記所望のドーズ分布に応じて前記ゾーン内のドーズを変化させる、少なくとも2つの、ゾーンにおける負の特徴を提供する工程と、を含み、
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの少なくとも1つのゾーンについて、前記少なくとも2つの負の特徴を提供する工程が、幅が広がる少なくとも2つのくぼみリングを形成する工程を含み、それにより減少するドーズが、前記半導体素子の主接合のエッジから離れて前記エッジ終端領域の端部に向かって横方向に移動する、方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの同心の開始ゾーンの少なくとも1つのゾーンについて、前記少なくとも2つの負の特徴を形成する工程が、前記くぼみリングの少なくとも1つに複数のくぼみを形成する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
半導体ダイであって、
半導体素子と、
前記半導体素子の周囲のエッジ終端領域にあるエッジ終端構造と、を備え、前記エッジ終端構造が、前記半導体素子の周囲に少なくとも2つのくぼみリングを有する少なくとも2つの負の特徴を備え、前記少なくとも2つのくぼみリングは広がる幅を有し、これにより減少するドーズが前記エッジ終端領域に向かって横方向に移動する、半導体ダイ。
【請求項17】
前記くぼみの広がる幅が、前記半導体素子の主接合のエッジから前記エッジ終端領域の前記エッジへ所望のドーズ分布に近似する、請求項16に記載の半導体ダイ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[政府支援]
本発明は、陸軍によって受注された契約番号W911NF−10−2−0038に従い、政府の資金で行われたものである。米国政府は、本発明の権利を有することができる。
【0002】
[開示分野]
本開示は、高電圧半導体パワーデバイスのエッジ終端に関する。
[背景]
シリコンカーバイド(SiC)は、その絶縁破壊電界の高さ、熱伝導性の高さ、およびバンドギャップの広さにより、高電力および高温半導体素子にとって望ましい材料である。しかしながら、高電圧装置で高い絶縁破壊電界を利用するためには、効率的なエッジ終端が必要である。具体的には、デバイスのエッジでの電界集中はデバイスのエッジでの素子絶縁破壊を引き起こし、ひいては、デバイスの阻止電圧を、理想的な阻止電圧(すなわち、理想的な平行平面デバイスの阻止電圧)よりかなり低くする。
【0003】
電界集中は、従来、イオン注入またはエッチングされた接合終端拡張(JTE)を利用して対処されてきた。より具体的には、JTEは、半導体素子の主接合よりも軽いドーピングをなされた薄いイオン注入またはエッチングされた領域を含み、JTEのドーピング型は、半導体素子のドリフト層のドーピング型と反対である。3つのエッチングされた段を含む典型的なエッチングされたJTEを図1に示す。エッチングされた段は、半導体素子の主接合から対応するエッジ終端領域のエッジへ、対応するP型層のドーズ(すなわち、高さ寸法を乗じたドーピング濃度)を次第に減少させる。これにより、エッジ終端領域のエッジに向かって総電界の減少が起きる。しかしながら、エッチングされた段により、総電界の横方向、すなわちx、成分中に、ピークが存在する。これらのピークは、半導体素子の表面に形成された誘電体と包装材料に大きな圧力をかけるため、半導体素子の故障につながることがある。したがって、エッジ終端構造を改良する必要性がある。
【0004】
[概要]
半導体ダイ上に実装された半導体素子と半導体素子の周囲にあるエッジ終端構造とを備える半導体ダイおよびその製造方法の実施形態が開示されている。一実施形態では、半導体ダイは、半導体素子と半導体素子の周囲にあるエッジ終端構造とを備え、エッジ終端構造は、対応するエッジ終端領域でドーズを変化させて所望のドーズ分布に近似させる負の特徴(例えば、溝および/またはくぼみ)を含む。一実施形態では、所望のドーズ分布は、半導体素子の主接合のエッジからエッジ終端領域のエッジへ、実質的に減少または略直線的に減少するドーズである。このように、半導体素子の主接合のエッジでの電界集中は実質的に減少し、ひいては、半導体素子の絶縁破壊電圧を実質的に向上させる。
【0005】
一実施形態では、エッジ終端構造は、半導体素子の周囲に2つ以上の同心の開始ゾーンを定義する1つ以上の負の段を含む。各開始ゾーン内で、エッジ終端構造は、所望のドーズ分布に従って開始ゾーンにおけるドーズを変化させる複数の負の特徴(例えば、溝および/またはくぼみ)を含む。一実施形態では、各開始ゾーン内で、開始ゾーンにおける負の特徴は、ドーズが開始ゾーン内で略直線的に減少するように幅が大きくなる複数の同心の溝を含む。別の実施形態では、各開始ゾーン内で、開始ゾーンにおける負の特徴は、開始ゾーン内でドーズを略直線的に減少させる複数の同心円状のくぼみを含む。
【0006】
別の実施形態では、エッジ終端構造は、エッジ終端領域における半導体素子の周囲に複数のくぼみリングを含む。一実施形態では、くぼみリングの幅は、半導体素子の主接合のエッジからエッジ終端領域のエッジへ所望のドーズ分布を提供する幅に変化する。
【0007】
当業者は、本開示の範囲を理解し、添付の図面に関連する好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、そのさらなる態様を認識するであろう。
本明細書に組み込まれるとともにその一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を例示し、その説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のエッジ終端構造、すなわち、エッチングされた接合終端拡張(JTE)を示す。
図2図2A,2Bは、本開示の一実施形態によるエッジ終端構造についての所望のドーズ分布と、対応する電界分布とを示したものである。
図3図2Aの所望のドーズ分布、ひいては図2Bの所望の電界分布に近似する最先端の段のある負のベベルエッジ終端を示す。
図4】半導体素子の周囲の対応するエッジ終端領域内の複数の同心の開始ゾーンを定義する複数の負の段を含む半導体素子のためのエッジ終端構造を示しており、エッジ終端構造が、各開始ゾーンに、本開示の一実施形態による半導体素子の主接合のエッジおよびエッジ終端領域のエッジからの所望のドーズ分布に近似させる負の特徴を含む。
図5A図1の従来の3つの段がエッチングされたエッジ終端構造、図3の最先端の段のある負のベベルエッジ終端構造、本開示の一実施形態による図4のエッジ終端構造、のための半導体素子のエッジ終端領域における電界の一例をグラフで示したものである。
図5B図1の従来の3つの段がエッチングされたエッジ終端構造、図3の最先端の段のある負のベベルエッジ終端構造、本開示の一実施形態による図4のエッジ終端構造、のための半導体素子のエッジ終端領域における電界の一例をグラフで示したものである。
図5C図1の従来の3つの段がエッチングされたエッジ終端構造、図3の最先端の段のある負のベベルエッジ終端構造、本開示の一実施形態による図4のエッジ終端構造、のための半導体素子のエッジ終端領域における電界の一例をグラフで示したものである。
図6】本開示の一実施形態に係る半導体素子および半導体素子の周囲に図4のエッジ終端構造を含む半導体ダイを示しており、エッジ終端領域の各ゾーンに含まれている負の特徴は、溝である。
図7】本開示の一実施形態に係る半導体素子および半導体素子の周囲に図4のエッジ終端構造を含む半導体ダイを示しており、エッジ終端領域の各ゾーンに含まれている負の特徴は、くぼみである。
図8】半導体素子および対応するエッジ終端構造が本開示の一実施形態に従って製造された半導体ウエハを示す。
図9A】本開示の一実施形態による、図8の半導体ウエハの半導体ダイ領域の1つにおいて、半導体素子および半導体素子の周囲のエッジ終端構造を製造する処理を図示したものである。
図9B】本開示の一実施形態による、図8の半導体ウエハの半導体ダイ領域の1つにおいて、半導体素子および半導体素子の周囲のエッジ終端構造を製造する処理を図示したものである。
図9C】本開示の一実施形態による、図8の半導体ウエハの半導体ダイ領域の1つにおいて、半導体素子および半導体素子の周囲のエッジ終端構造を製造する処理を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[詳細な説明]
以下に記載する実施形態は、当業者が実施形態を実施するのを可能にするために必要な情報を提示し、実施形態を実施する最良の形態を説明する。添付の図面に照らして以下の説明を読めば、当業者は、本開示の概念を理解し、特に本明細書中で扱われていないこれらの概念の応用を認識するであろう。これらの概念および応用は、本開示および添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解されるべきである。
【0010】
第1、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書中で使用することができるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1要素は第2要素と呼ぶことができ、同様に、第2要素は、第1要素と呼ぶことができる。本明細書において、用語「および/または」は、1つ以上の列挙された関連項目の任意および全ての組み合わせを含む。
【0011】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に」存在するまたは「上に」延在するものとして言及される場合、その要素は、他の要素の上に直接存在するまたは要素上に直接に延在することができる、あるいは介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が、別の要素の「上に直接」存在するまたは「上に直接」延在するものとして言及される場合、介在する要素は存在しない。同様に、そのような層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上方に」存在するまたは「上方に」延在するものとして言及される場合、その要素は、他の要素の上方に直接存在するまたは上方に直接延在することができる、あるいは介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が、別の要素の「上方に直接」存在するまたは「上方に直接」延在するものとして言及される場合、介在する要素は存在しない。また、ある要素が、別の要素に「接続され」るまたは「結合され」るものとして言及される場合、その要素は、他の要素に直接接続されるまたは結合されることができる、あるいは介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が、別の要素に「直接接続され」るまたは「直接結合され」るものとして言及される場合、介在する要素は存在しない。
【0012】
「下」または「上」または「上部」または「下部」または「水平」または「垂直」のような相対的な用語は、図に示すように、ある要素、層または領域の、別の要素、層、または領域に対する関係を説明するために使用されることができる。これらの用語および上述の用語は、図に示された方位に加えて、デバイスの異なる向きを包含することが意図されていることが理解されるであろう。
【0013】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、その開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」および/または「含む(including)」は、記載の特徴、整数、段、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、段、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解されるであろう。
【0014】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本明細書中で使用される用語は、明示的にそのように本明細書に定義されない限り、本明細書の文脈および関連技術における用語の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味に解釈されないことが理解されるであろう。
【0015】
半導体ダイ上に実装された半導体素子と半導体素子の周囲にあるエッジ終端構造とを有する半導体ダイおよびその製造方法の実施形態が開示されている。一実施形態では、半導体ダイは、半導体素子と半導体素子の周囲にあるエッジ終端構造とを有し、エッジ終端構造は、対応するエッジ終端領域でドーズを変化させて所望のドーズ分布に近似させる負の特徴(例えば、溝および/またはくぼみ)を含む。一実施形態では、所望のドーズ分布は、半導体素子の主接合のエッジからエッジ終端領域のエッジへ、実質的に減少または略直線的に減少するドーズである。このように、半導体素子の主接合のエッジでの電界集中は、実質的に減少し、ひいては、半導体素子の絶縁破壊電圧を実質的に向上させる。
【0016】
本開示のエッジ終端構造の実施例を説明する前に、好ましいドーズ分布および対応する電界分布の一例の説明、ならびに好適なドーズ分布に近似する最先端のエッジ終端構造の説明を提供する。この点に関し、図2Aは、半導体素子の主接合のエッジでの電界集中を減少させる好適なドーズ分布の一例を示す。図に示すように、好適なドーズ分布は、主接合のエッジからエッジ終端構造のエッジに向かって(すなわち、対応するエッジ終端領域のエッジへ)略直線的に減少する。破線で示すように、いくつかの実装形態では、実際の好ましいドーズ分布が完全に線形ではない場合、好ましいドーズ分布は、直線的に減少するドーズ分布に近似される。この例では、好ましいドーズ分布は、非線形の尾部を有し、例えば、対称的なブロック構造に使用されるような、高濃度にドープされたドリフト領域の使用により生じる半導体素子のドリフト領域で2D効果を補償するのに望ましい場合がある。
【0017】
図2Aの所望のドーズ分布は、一例に過ぎないことに留意されたい。本明細書に開示されたエッジ終端構造の実施形態およびその製造方法を利用して、任意の所望のドーズ分布を提供することができる。所望のドーズ分布は、減少または実質的に減少するドーズ分布であることが好ましいが、これに限定されない。また、実質的に減少するドーズ分布のいくつかの非限定的な例は、大きさが減少していく正弦波形状であるドーズ分布、1つ以上の隆起(例えば、終端領域のエッジにおける大きさの隆起)を備えた直線的に減少するドーズ分布、あるいは、負の傾き(例えば、xが主接合からエッジ終端領域のエッジに向かう距離を表す場合、所望のドーズ分布は、x?0の場合、−xに等しい)を有する曲線である。
【0018】
電界を支配する方程式は、ポアソン方程式であり、次のとおりである。
【0019】
【数1】
【0020】
この場合、ρは、自由電荷の体積密度であり(座標空間の関数であってもよい)、εは、媒体の誘電率である。半導体分析のために、ポアソン方程式は次のように書くことができる。
【0021】
【数2】
【0022】
この場合、
【0023】
【数3】
【0024】
は、半導体の誘電率であり、εは、自由空間の誘電率である(Kε=ε)。式(2)および(3)から、電界集中は、半導体素子の主接合のエッジ付近のドーズ(すなわち、ドーピング濃度×高さ)を減少させることによって低減できることがわかる。
【0025】
図2Aの好ましいドーズ分布から生じる電界集中の減少を説明するために、図2Bは、図2Aの好ましいドーズ分布を提供するエッジ終端構造を有する半導体素子の一例に対応する電界分布を示す。図に示すように、逆バイアスの下で、電界の縦方向、すなわちy、成分(E)は、好ましいドーズ分布に従って主接合からの距離の増加とともに直線的に減少する。その結果、半導体素子の主接合のエッジでの電界集中は、エッジ終端構造を持たない同一の半導体素子に比べて低減される。また、電界の横方向、すなわちx、成分(E)は、比較的小さい、または、言い換えると、電界の横方向成分(E)が、効果的に終端領域に広がっている。
【0026】
図3は、半導体素子10と、対応するエッジ終端領域14における半導体素子10の周囲に形成された略直線的に減少するドーズ分布に近似する最先端のエッジ終端構造12(以下、複数段の負のベベルエッジ終端構造12と称する)とを示す。シリコンカーバイド(SiC)において滑らかな勾配をエッチングすることは困難なため、複数段の負のベベルエッジ終端構造12は、SiC半導体素子に特に有益である。この例では、半導体素子10がPiNダイオードであり、高濃度にドープされたN型(N+)基板16と、基板16上に低濃度にドープされたN型(N−)ドリフト領域18と、基板16の反対側のドリフト領域18上の、複段の負のベベルエッジ終端構造12が形成されるP型層20と、ドリフト領域18の反対側のP型層20上の非常に高濃度にドープされたP型(P++)陽極領域22とを含む。半導体素子10はまた、P型層20の反対側の陽極領域22に陽極接点24と、ドリフト領域18の反対側の基板16の裏面上に陰極接点26とを含む。
【0027】
複数段の負のベベルエッジ終端構造12は、滑らかな傾斜に近似する。具体的には、複数段の負のベベルエッジ終端構造12は、複数の段、すなわち、より具体的には、エッジ終端領域14における対応するゾーン(ゾーン1からゾーン7)を定義する負の段を含む。7つのゾーンは、この例に示されているが、複数段の負のベベルエッジ終端構造12は、対応する数の負の段によって作成された任意の数のゾーンを含むことができる。しかし、負の段数は、3より大きいことが好ましく、実質的に3より大きいことがさらにより好ましい。本明細書で使用する場合、用語「負の段」は、複数段の負のベベルエッジ終端構造12の段が下向きまたはP型層20に進むことを明確に示すために使用される。複数段の負のベベルエッジ終端構造12に関する詳細について、興味のある読者は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「負のベベルによって終端される高ブロッキング電圧を備えたSICデバイス(SIC DEVICES WITH HIGH BLOCKING VOLTAGE TERMINATED BY A NEGATIVE BEVEL)」と題する、米国特許出願公開第2012/0292636号を参照されたい。複数段の負のベベルエッジ終端構造12は、エッジ終端領域14におけるP型層20のドーズを効果的に減少させ、ドーズ分布を図2Aの好適なドーズ分布に近似させる。そうすることで、主接合28のエッジにおける電界集中を実質的に減少させ、結果として、半導体素子10の耐圧を大幅に増加させる。また、小さな段サイズ(すなわち、エッチング深さに対応する段の高さ)の負の段が複数あるので、従来の3つの段のエッジ終端構造内に存在する電界の横方向、すなわちx成分のピークは、除去されないとしても低減される。
【0028】
複数段の負のベベルエッジ終端構造12の1つの問題は、負の段が、複数のエッチングマスク(すなわち、複数のエッチング段)と、複数段の負のベベルエッジ終端構造12において負の段を作成するために使用されるエッチング深さ(t)の正確な制御を必要とすることである。複数のエッチングマスクを必要とすることに加えて、所定の厚さのP型層20のために段数が増加すると、エッチング深さ(t)の必要な正確さと精度を達成することが困難となる。以下に説明するように、本明細書に開示されたエッジ終端構造は、非常に柔軟であり、一実施形態では、より少ない段を用いて複数段の負のベベルエッジ終端構造12に類似する性能を提供しながら、エッチング深さ(t)の正確さおよび精度の要件も緩和する。
【0029】
この点に関し、図4は、本開示の一実施形態による、対応する終端領域34における半導体素子30と半導体素子30の周囲のエッジ終端構造32とを示す。この例では、半導体素子30は、PiNダイオードであり、N+基板36と、基板36上のN−ドリフト領域38と、基板36の反対側のドリフト領域38上の、エッジ終端構造32が形成されるP型層40と、ドリフト領域38の反対側のP型層40上にP++陽極領域42とを含む。本明細書中で使用される場合、低濃度にドープされた層/領域(例えば、N−ドリフト領域38)は、1×1013〜1×1016cm−3の(あるいはそれより小さい)範囲のドーピング濃度を持つ層/領域であり、高濃度にドープされた層/領域(例えば、N+基板36)は、5×1017×1020〜1cm−3の範囲のドーピング濃度を持つ層/領域であり、非常に高濃度にドープされた層/領域(例えば、P++陽極領域42)は、範囲が5×1017cm−3よりも大きなドーピング濃度を持つ層/領域である。半導体素子30はまた、P型層40の反対側の陽極領域42上における陽極接点44と、ドリフト領域38の反対側の基板36の裏面上における陰極接点46とを含む。
【0030】
図4のPiNダイオードは、エッジ終端構造32が使用可能な半導体素子の一例に過ぎないことに留意されたい。エッジ終端構造32は、任意の適切な半導体素子で使用することができる。半導体素子30が、縦型半導体素子であることが好ましく、垂直高電圧パワー半導体素子であることがより好ましく、垂直高電圧パワーSiC半導体素子であることがさらに好ましい。本明細書で使用される場合、高電圧パワー半導体素子は、3キロボルト(kV)以上、または20kVを超える逆方向絶縁破壊電圧を有する半導体素子である。例えば、半導体素子30は、任意のタイプのパワー半導体素子であってもよく、特に、サイリスタ(例えば、ゲートターンオンサイリスタ(GTO)、または金属酸化物半導体ターンオフサイリスタ(MTO))、溝絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、PiNダイオード、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、および溝接合バリアショットキー(JBS)ダイオードなどのメサ構造を組み込んだものであってもよい。また、エッジ終端構造32は、エッジ終端構造32が半導体素子のドリフト領域の反対側にあるドーピング型を有する層内に形成された、N型またはP型のいずれかの半導体素子に使用することができる。
【0031】
本実施形態では、エッジ終端構造32は、負の段(「開始ゾーン」と呼ぶ)によって作成されたゾーン内で、負の段および負の特徴(例えば、溝および/またはくぼみ)の組み合わせを使用して、半導体素子30の主接合48のエッジからエッジ終端領域34のエッジに所望のドーズ分布を近似させ、所望のドーズ分布に応じて、エッジ終端領域34におけるP型層40の有効ドーズを変化させる。本明細書ではドーズが使用されるが、エッジ終端構造32は、同様に電荷を変化させ、所望のドーズ分布に実質的に対応する所望の電荷分布を得ることが理解されるべきであることに留意されたい。具体的には、エッジ終端構造32は、半導体素子30の周囲のP型層40に形成された複数の負の段を含む。負の段が、半導体素子30の周囲のエッジ終端領域34内の同心の開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)を定義する。負の段は、所望のエッチング深さ(t)に対応する高さを有する。この例では、エッチング深さは、開始ゾーンのすべて(開始ゾーン1から開始ゾーン3)について同じであるが、所望であれば、異なるエッチング深さを負の段について使用することができる。さらに、この例では、3つの開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)と対応する数の負の段とがあるが、任意の負の段数と対応する開始ゾーンとが存在し得ることが理解されるべきである。一実施形態では、少なくとも2つの開始ゾーンを定義する少なくとも1つの負の段がある。しかし、別の実施形態では、負の段が存在しない(すなわち、一実施形態では、エッジ終端領域34全体に対応する1つの開始ゾーンがあるのみである)。
【0032】
開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)は、対応する幅を有している(WSZ)。この例では、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)の各々は、同じ幅を有している(WSZ)。しかし、ある代替実施形態において、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)の幅(WSZ)は変化する。例えば、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)の少なくとも2つは異なる幅(WSZ)を有していてもよい。したがって、一般的には、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)の各々は、任意の所望の幅(WSZ)を有することができる。
【0033】
開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)の各々の中で、この例では溝50である負の特徴が、半導体素子30の周囲に同心円状のリングを形成する。以下に説明されるように、本実施形態では溝50が示されているが、任意のタイプの負の特徴を使用することができる。本明細書で使用される場合、負の特徴は、溝またはくぼみのような任意のタイプのエッチングされた特徴であるが、これらに限定されない。さらに、溝は、連続する切れ目である。対照的に、くぼみは、所望の形状(例えば、円形のくぼみ、正方形くぼみ等)を有する半導体材料の表面にエッチングされた穴である。溝50はまた、本明細書では、半導体素子30の周囲の溝リングとして参照されることもある。溝50は、対応するリングゾーン(RZ)を定義し、各リングゾーン(RZ)は、対応する溝50の開始端から次の溝50の開始端までのゾーンとして定義されている。開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)のそれぞれは、この例では5つのリングゾーン(RZ1〜RZ5)を含んでいるが、各開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)内に、2つ以上の任意の数のリングゾーン(RZ)が存在してもよい。さらに、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)は、同一または異なる数のリングゾーン(RZ)を有することができる。リングゾーン(RZ)の幅(WRZ)は、必須ではないが同じであることが好ましい。
【0034】
溝50の幅は、P型層40のドーズ、または有効ドーズを、所望のドーズ分布に応じて変化させるように、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)のそれぞれのリングゾーン(RZ)内で変化する。溝50の幅は、エッチング処理の解像度によって課される下限から所望のドーズ分布に応じた対応する開始ゾーンの幅(WSZ)まで変化させることができる。本実施形態では、所望のドーズ分布は、半導体素子30の主接合48のエッジからエッジ終端領域34のエッジへ直線的に、または略直線的に減少するドーズである。このように、まず第1の開始ゾーン(開始ゾーン1)を見ると、リングゾーン1(RZ1)における溝50の幅は、リングゾーン2(RZ2)における溝50の幅よりも小さく、リングゾーン2(RZ2)における溝50の幅は、リングゾーン3(RZ3)における溝50の幅よりも小さい、等々。その結果、リングゾーン1(RZ1)におけるP型層40のドーズは、リングゾーン2(RZ2)におけるP型層40のドーズよりも大きく、リングゾーン2(RZ2)におけるP型層40のドーズは、リングゾーン3(RZ3)におけるP型層40のドーズよりも大きい、等々。このように、P型層40のドーズは第1の開始ゾーン(開始ゾーン1)全体にわたって減少する。
【0035】
第2の開始ゾーン(開始ゾーン2)を見ると、第1の開始ゾーン(開始ゾーン1)と第2の開始ゾーン(開始ゾーン2)との間の負の段は、第1の開始ゾーン(開始ゾーン1)のドーズと比較して第2の開始ゾーン(開始ゾーン2)におけるP型層40のドーズを減少させる。このように、直線的に減少するまたは略直線的に減少するドーズ分布を維持するために、第2の開始ゾーン(開始ゾーン2)における第1の溝50の幅は、第1の開始ゾーン(開始ゾーン1)における最後の溝50の幅よりも小さい。第2の開始ゾーン(開始ゾーン2)における溝50の幅は、第2の開始ゾーン(開始ゾーン2)全体にわたって再び増加し、ドーズは直線的に減少または略直線的に減少し続ける。残りの開始ゾーン(開始ゾーン3)における溝50の幅は、同様に選択される。したがって、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)における溝50の幅は、所望の直線的に減少または略直線的に減少するドーズ分布に近似させるように選択または設計されている。図4の実施形態における所望のドーズ分布は、直線的に減少または略直線的に減少するドーズであるが、エッジ終端構造32は、これに限定されるものではない。溝50の幅は、任意の所望のドーズ分布を提供するように変化させることができる。
【0036】
エッジ終端構造32は、図3の複数段の負のベベルエッジ終端構造12に比べ、複数の利点を提供する。任意の特定の利点によって限定されるものではないが、いくつかの例を提供する。第1の例として、エッジ終端構造32は、負の段を形成するのに必要なエッチングマスクに加えて、単一のエッチングマスクを用いて形成することができる。別の例として、溝50のエッチング深さ、または他の負の特徴を、エッジ終端構造32の開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)において、複数の負の段(例えば、より大きなエッチング深さを使用することができる)を有する複数段の負のベベルエッジ終端構造12におけるものほど、正確かつ精密に制御する必要はない。さらに別の例として、エッジ終端構造32は、現在のフォトリソグラフィ技術によって提供される高分解能を利用して、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)に溝50(または他の負の特徴)を形成する。別の例として、エッジ終端構造32によって提供される、ドーズ分布、または対応する電荷分布は、処理の複雑さまたは処理工程を増加させることなく、フォトリソグラフィ装置によってのみ限定される任意の解像度に対して線形にすることができる。これは、解像度を高めるために(すなわち、エッチング段の数を増やし、各段のエッチング深さを減少させるために)追加のエッチング段と、エッチング深さの追加の制御とを必要とする複数段の負のベベルエッジ終端構造12とは対照的である。
【0037】
図5A〜5Cは、図1の従来のエッチング接合終端拡張(JTE)の一例、図3の複数段の負のベベルエッジ終端構造12の一例、図4のエッジ終端構造32の一例、のための電界(E)の横方向、すなわちx、成分、及び縦方向、すなわちy、成分をそれぞれグラフで示す。図5Aに示すように、図1の3つの段がエッチングされたJTEのための電界の縦方向、すなわちy、成分(E)は、実質的に3段JTEの形状に追従する分布を有する。結果として、半導体素子の主接合付近のかなりの量の電界集中が依然として存在する(すなわち、主接合のエッジ付近のEの大きさが大きい)。また、負の段の位置でのドーズの急激な変化により、電界集中のように、望ましくない電界の横方向、すなわちx、成分(E)において対応するピークが生じる。
【0038】
対照的に、図5Bに示すように、複数段の負のベベルエッジ終端構造12は、直線的に減少するドーズ分布にかなり近似し、ひいては、電界の縦方向、すなわちy、成分(E)を略直線的に減少させる。このように、主接合28のエッジでの電界集中が実質的に低減される。また、複数段の負のベベルエッジ終端構造12は、図1の3段JTEで見つけられるドーズの大きな変化を含まないため、電界の横方向、すなわちx、成分(E)はピークを含まない、換言すれば、複数段の負のベベルエッジ終端構造12により、エッジ終端領域14上の電界の横方向、すなわちx、成分(E)が、うまく横方向へ広がる。
【0039】
図5Cに示すように、図4のエッジ終端構造32は、略直線的に減少する複数段の負のベベルエッジ終端構造12と同様に機能する。具体的には、エッジ終端構造32は、ドーズ分布をほぼ直線的に減少させ(または、より正確には、直線的に減少または略直線的に減少するドーズ分布にかなり近似させる)、ひいては、電界の縦方向、すなわちy、成分(E)を略直線的に減少させる。このように、主接合48のエッジでの電界集中が実質的に低減する。また、エッジ終端構造32は、図1の3段JTEで見つかったドーズの大きな変化を含まないため、電界の横方向、すなわちx、成分(E)はピークを含まない、換言すれば、複数段の負のベベルエッジ終端構造12により、エッジ終端領域34上の電界の横方向、すなわちx、成分(E)が、うまく横方向へ広がる。
【0040】
図6は、本開示の一実施形態に係る図4の半導体素子30とエッジ終端構造32とを含む半導体ダイ52の上面図である。図に示すように、エッジ終端構造32は、半導体素子30の周囲に延在する。上述したように、終端構造32は、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)のそれぞれのリングゾーン(RZ)に溝50を備える。
【0041】
上述したように、エッジ終端構造32は、溝50を使用することに限定されるものではなく、任意のタイプのまたは任意のタイプの組合せの負の特徴(例えば、溝および/またはくぼみ)を使用することができる。この点に関し、図7は、半導体素子30と、溝50がくぼみリング56で置換された代替的な実施形態のエッジ終端構造32とを含む半導体ダイ54の上面図である。この例では、開始ゾーンごとに3つのくぼみリング56がある。しかしながら、開始ゾーンごとに1つ以上、または好ましくは2つ以上の任意の数のくぼみリング56があってもよい。各くぼみリング56は、対応するリングゾーン(RZ)内の半導体素子30の周囲にくぼみのリングを形成する複数のくぼみを含む。くぼみリング56の幅は、所望のドーズ分布を提供するように変化させられる。くぼみリング56の幅を変化させることに加えて、またはその代替として、くぼみリング56におけるくぼみの幅および/またはくぼみリング56におけるくぼみの濃度は、所望のドーズ分布を提供するように変化させることができる。くぼみリング56を形成するために使用されるくぼみは、任意の所望の形状(例えば、円形、正方形、長方形、三角形、等)であり得る。また、一実施形態では、くぼみリング56におけるくぼみはすべて同じサイズである。別の実施形態では、くぼみリング56におけるくぼみは、異なるサイズを有することができる。例えば、リング幅がより大きなくぼみリング56におけるくぼみは、リング幅がより小さなくぼみリング56におけるくぼみより大きくてもよい。
【0042】
図8および9A〜9Cは、本開示の一実施形態に係る半導体素子30とエッジ終端構造32とを含む半導体ダイを製造するための処理を図示する。具体的に、図8は、処理され、ダイシングされて、図6の複数の半導体ダイ52を提供する半導体ウエハ58を示す。しかし、半導体ウエハ58は、代わりに、処理され、ダイシングされて、図7の複数の半導体ダイ54を提供してもよい。ダイシング後の半導体ダイ52に対応する半導体ウエハ58の領域は、本明細書では、半導体ダイ領域と称される。
【0043】
図9A〜9Cは、本開示の一実施形態による半導体ダイ52の1つに関する半導体ウエハ58の処理を示す。より具体的には、図9A〜9Cは、半導体ウエハ58の対応する半導体ダイ領域内に、半導体素子30と半導体素子30の周囲のエッジ終端構造32とを形成するための半導体ウエハ58の処理を示す。まず、図9Aに示すように、半導体素子30は、適切な処理工程を用いて形成される。次に、図9Bに示すように、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)を定義する負の段は、エッジ終端領域34のP型層40の表面にエッチングされる。最終的に、図9Cに示すように、溝50が、開始ゾーン(開始ゾーン1から開始ゾーン3)のそれぞれにおけるリングゾーン(RZ)のP型層40内にエッチングされる。
【0044】
最後に、本明細書に開示された実施形態は、エッジ終端領域34の開始ゾーンに負の特徴(すなわち、溝および/またはくぼみ)を利用する一方で、本発明はこれに限定されない。ある代替的な実施形態では、1つ以上の、そしておそらくすべての開始ゾーンにおける負の特徴が、インプラント領域で置換される。別の代替実施形態では、インプラント領域は、1つ以上の、そしておそらくすべての開始ゾーンで負の特徴に加えて使用されることができる。
【0045】
当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改良および修正を認識するであろう。すべてのそのような改良および変更は、本明細書に開示された概念および添付の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C