(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検査試料の検査領域がスキャン幅で短冊状に分割された複数のストライプ領域に対してストライプ領域毎に走査してストライプ領域サイズの図形パターンの光学画像データを取得する光学画像取得部と、前記パターンの設計データから前記光学画像データと比較するための前記ストライプ領域サイズよりも小さいフレーム領域サイズの参照画像データを作成する参照画像作成部と、前記ストライプ領域サイズの光学画像を前記フレーム領域サイズの複数のフレーム画像に分割し、対応するフレーム画像と参照画像とを画素毎に比較する比較回路とを有し、前記被検査試料に形成されたパターンの欠陥を検査するパターン検査装置とは独立して配置される計測装置であって、
前記パターン検査装置が前記被検査試料の検査領域がスキャン幅で短冊状に分割された前記ストライプ領域毎に走査した場合に得られる図形パターンの光学画像データであって前記パターン検査装置内での前記比較回路への前記光学画像データの出力とは別に前記パターン検査装置から出力される前記光学画像データを入力する光学画像入力部と、
前記被検査試料に形成されたパターンの設計データを入力する設計データ入力部と、
前記設計データを画像展開して、前記光学画像データと比較するための参照画像データを作成する参照画像作成部と、
前記パターン検査装置から得られた前記ストライプ領域サイズの前記光学画像データを前記参照画像データと同様のサイズに分割する分割部と、
前記パターン検査装置から得られた前記光学画像データと、作成された前記参照画像データとを用いて、前記被検査試料のパターンの位置ずれ量を計測して、位置ずれ量分布を作成する位置ずれ量分布作成部と、
算出された前記被検査試料のパターンの位置ずれ分布を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする計測装置。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。よって、かかる微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細な回路パターンを描画することができる電子ビームを用いたパターン描画装置を用いる。かかるパターン描画装置を用いてウェハに直接パターン回路を描画することもある。或いは、電子ビーム以外にもレーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発が試みられている。
【0003】
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0004】
検査手法としては、拡大光学系を用いてリソグラフィマスク等の試料上に形成されているパターンを所定の倍率で撮像した光学画像と、設計データ、あるいは試料上の同一パターンを撮像した光学画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、パターン検査方法として、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ−ダイ)検査」や、パターン設計されたCADデータをマスクにパターンを描画する時に描画装置が入力するための装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計パターンデータ)を検査装置に入力して、これをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像とを比較する「die to database(ダイ−データベース)検査」がある。かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査し、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
【0005】
パターン検査では、パターン欠陥(形状欠陥)検査の他に、パターンの線幅(CD)ずれの測定や、パターンの位置ずれの測定も要求されている。従来、パターンの線幅(CD)ずれの測定や、パターンの位置ずれの測定は、専用の計測装置に被検査対象試料(実マスク)を配置してパターン欠陥検査とは別に行われていた。一方、パターン欠陥検査装置では、欠陥を見つけるために被検査対象試料のすべての画像およびその位置情報と共に取り込んでいる。よって、パターンの位置ずれの測定等に、パターン欠陥検査で得られたデータを利用できれば、コスト面および検査時間面からメリットが大きい。しかしながら、従来、パターン欠陥検査装置で得られたデータは、十分に利用されているとは言えない状況であった。
【0006】
ここで、CDずれの測定に関しては、設定された領域毎に得られた画像内のパターンの線幅を測定し、設計データとの差を求め、領域内のすべての線幅の差の平均値と閾値とを比較して、CDエラー(寸法欠陥)として線幅異常領域を見つけ出す検査手法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。
図1において、試料、例えばマスクに形成されたパターンの欠陥を検査する検査装置100は、光学画像取得部150、及び制御系回路160(制御部)を備えている。
【0017】
光学画像取得部150は、光源103、照明光学系170、移動可能に配置されたXYθテーブル102、拡大光学系104、及びフォトダイオードアレイ105(センサの一例)、センサ回路106、ストライプパターンメモリ123、リニアスケール測長システム124、及びレーザ測長システム122を有している。XYθテーブル102上には、試料101が配置されている。試料101として、例えば、ウェハにパターンを転写する露光用のフォトマスクが含まれる。また、このフォトマスクには、検査対象となる複数の図形パターンによって構成されたパターンが形成されている。試料101は、例えば、パターン形成面を下側に向けてXYθテーブル102に配置される。
【0018】
制御系回路160では、コンピュータとなる制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、展開回路111、参照回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、センサ回路106は、ストライプパターンメモリ123に接続され、ストライプパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。XYθテーブル102は、ステージの一例となる。
【0019】
検査装置100では、光源103、XYθテーブル102、照明光学系170、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、及びセンサ回路106により高倍率の検査光学系が構成されている。また、XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。XYθテーブル102は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、XYθテーブル102の移動位置はリニアスケール測長システム124より測定され、位置回路107に供給される。XYθテーブル102上に配置された試料101の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。
【0020】
ここで、
図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0021】
図2は、実施の形態1における計測装置の構成を示す構成図である。
図2において、計測装置200は、上述した検査装置100とは独立して配置される。計測装置200内には、磁気ディスク装置等の記憶装置50,52,54,56,58,59,76、入力部60、フレーム分割部61、座標変換部63、位置ずれ量分布作成部64、出力部72、及びメモリ73が配置される。フレーム分割部61、位置合わせ部62、座標変換部63、位置ずれ量マップ作成部70、出力部72、入力部74、及び参照画像作成部76、といった機能は、プログラムといったソフトウェアで構成されても良い。或いは、電子回路等のハードウェアで構成されてもよい。或いは、これらの組み合わせであってもよい。フレーム分割部61、位置合わせ部62、座標変換部63、位置ずれ量マップ作成部70、出力部72、入力部74、及び参照画像作成部76といった機能のいずれかでもソフトウェアで構成される場合には、ソフトウェアで構成される機能に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度、メモリ73に記憶される。
【0022】
位置ずれ量分布作成部64は、位置合わせ部62、及び位置ずれ量マップ作成部70を有している。位置合わせ部62、及び位置ずれ量マップ作成部70といった機能は、プログラムといったソフトウェアで構成されても良い。或いは、電子回路等のハードウェアで構成されてもよい。或いは、これらの組み合わせであってもよい。位置合わせ部62、及び位置ずれ量マップ作成部70といった機能のいずれかでもソフトウェアで構成される場合には、ソフトウェアで構成される機能に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度、メモリ73に記憶される。
【0023】
まず、検査装置100によってデータの生成が行われる。以下、具体的に説明する。
【0024】
光学画像撮像工程(スキャン工程、或いは光学画像取得工程ともいう。)として、光学画像取得部150は、試料101となるフォトマスクの光学画像を取得する。具体的には、以下のように動作する。
【0025】
試料101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が照明光学系170を介して照射される。試料101を透過した光は拡大光学系104を介して、フォトダイオードアレイ105(センサの一例)に光学像として結像し、入射する。フォトダイオードアレイ105として、例えば、TDI(タイム・ディレイ・インテグレーション)センサ等を用いると好適である。
【0026】
図3は、実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。試料101の検査領域10(検査領域全体)は、
図3に示すように、例えばY方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割される。そして、検査装置100では、検査ストライプ20毎に画像(ストライプ領域画像)を取得していく。検査ストライプ20の各々に対して、レーザ光を用いて、当該ストライプ領域の長手方向(X方向)に向かって当該ストライプ領域内に配置される図形パターンの画像を撮像する。XYθテーブル102の移動によってフォトダイオードアレイ105が相対的にX方向に連続移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、
図3に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。言い換えれば、センサの一例となるフォトダイオードアレイ105は、XYθテーブル102(ステージ)と相対移動しながら、検査光を用いて試料101に形成されたパターンの光学画像を撮像する。実施の形態1では、1つの検査ストライプ20における光学画像を撮像した後、Y方向に次の検査ストライプ20の位置まで移動して今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。すなわち、往路と復路で逆方向に向かうフォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の方向で撮像を繰り返す。
【0027】
ここで、撮像の方向は、フォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の繰り返しに限るものではない。一方の方向から撮像してもよい。例えば、FWD−FWDの繰り返しでもよい。或いは、BWD−BWDの繰り返しでもよい。
【0028】
フォトダイオードアレイ105上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ105の各受光素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、検査ストライプ20毎にストライプパターンメモリ123に画素データが格納される。かかる画素データ(ストライプ領域画像)を撮像する際、フォトダイオードアレイ105のダイナミックレンジは、例えば、照明光の光量が100%入射する場合を最大階調とするダイナミックレンジを用いる。その後、ストライプ領域画像は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるフォトマスク101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力されたストライプ領域画像は、図示しないメモリに格納される。
【0029】
フレーム分割工程として、比較回路108内では、検査ストライプ20毎にx方向に所定のサイズ(例えば、スキャン幅Wと同じ幅)で、ストライプ領域画像(光学画像)を複数のフレーム画像(光学画像)に分割する。例えば、512×512画素のフレーム画像に分割する。言い換えれば、検査ストライプ20毎のストライプ領域画像をそれぞれ検査ストライプ20の幅と同様の幅、例えば、スキャン幅Wで複数のフレーム画像(光学画像)に分割する。かかる処理により、複数のフレーム領域に応じた複数のフレーム画像(光学画像)が取得される。複数のフレーム画像は、図示しないメモリに格納される。以上により、検査のために比較される一方の画像(測定された画像)データが生成される。
【0030】
一方、参照画像作成工程として、まず、展開回路111は、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して設計データを読み出し、読み出された設計データに定義された各フレーム領域の各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換して、このイメージデータが参照回路112に送られる。
【0031】
ここで、設計データに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0032】
かかる図形データとなる設計パターンの情報が展開回路111に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計画像データを展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2
8(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして参照回路112に出力する。
【0033】
次に、参照回路112は、送られてきた図形のイメージデータである設計画像データに適切なフィルタ処理を施す。
【0034】
図4は、実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。センサ回路106から得られた光学画像としての測定データは、拡大光学系104の解像特性やフォトダイオードアレイ105のアパーチャ効果等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。このようにしてフレーム画像(光学画像)と比較する設計画像(参照画像)を作成する。作成された参照画像は比較回路108に出力され、比較回路108内に出力された参照画像は、図示しないメモリに格納される。以上により、検査のために比較される他方の画像(参照画像)データが生成される。比較回路108には参照画像データの位置データも合わせて出力されることは言うまでもない。
【0035】
そして、比較工程として、比較回路108は、所定の判定条件で、対応するフレーム画像と参照画像同士を画素毎に比較する。比較回路108は、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。判定条件としては、例えば、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。以上により、高精度なパターン欠陥検査ができる。
【0036】
上述した例ではダイ−データベース検査について説明したが、ダイ−ダイ検査を行っても良い。ダイ−ダイ検査では、試料101の検査領域10に同じパターンが形成された複数のダイが形成される。
【0037】
光学画像撮像工程(スキャン工程、或いは光学画像取得工程ともいう。)として、光学画像取得部150は、試料101となるフォトマスクの光学画像を取得する。光学画像撮像工程の内容はダイ−データベース検査と同様である。その結果、ダイ−データベース検査と同様、検査ストライプ20毎にストライプパターンメモリ123に画素データが格納される。その後、ストライプ領域画像は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるフォトマスク101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力されたストライプ領域画像は、図示しないメモリに格納される。
【0038】
ダイ−ダイ検査では、ストライプパターンデータに、異なるダイの同じパターン同士が撮像されている。よって、以下のフレーム分割によって、ダイ毎のフレーム画像(光学画像)に分割する。
【0039】
フレーム分割工程として、比較回路108内では、検査ストライプ20毎にx方向に所定のサイズ(例えば、スキャン幅Wと同じ幅)で、ストライプ領域画像(光学画像)を複数のフレーム画像(光学画像)に分割する。例えば、512×512画素のフレーム画像に分割する。言い換えれば、検査ストライプ20毎のストライプ領域画像をそれぞれ検査ストライプ20の幅と同様の幅、例えば、スキャン幅Wで複数のフレーム画像(光学画像)に分割する。かかる処理により、複数のフレーム領域に応じた複数のフレーム画像(光学画像)が取得される。複数のフレーム画像は、図示しないメモリに格納される。以上により、検査のために比較される一方のダイの画像(測定された画像)データと他方のダイの画像(測定された画像)データとが生成される。
【0040】
そして、比較工程として、比較回路108は、所定の判定条件で、一方のダイの画像(測定された画像)データと他方のダイの画像(測定された画像)データとを画素毎に比較する。比較回路108は、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。判定条件としては、例えば、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。以上により、高精度なパターン欠陥検査ができる。
【0041】
ここで、実施の形態1では、かかる検査装置100において生成された光学画像データと参照画像データを計測装置200に出力して利用する。
【0042】
図5は、実施の形態1における計測装置と検査装置との関係を示す概念図である。上述したように、検査装置100では、光学画像取得部150によって試料101のストライプ毎の光学画像データ(ストライプデータ)が取得される。また、同時に、リニアスケール測長システム124よってXYθテーブル102の位置(x,y座標)が測定される。また、レーザ測長システム122によって、XYθテーブル102上に配置された試料101の位置(x,y座標)が測定される。実施の形態1では、位置データを伴う光学画像データ(ストライプデータ)を検査装置100から入力する。なお、実施の形態1では、光学画像データの位置データとして、リニアスケール測長システム124により測定された座標系の位置データ1と、レーザ測長システム122により測定された座標系の位置データ2といった異なる複数の座標系の位置データを入力する。但し、これに限るものではない。一方の座標系の位置データだけでも構わない。以下、計測装置200内での動作について説明する。
【0043】
光学画像データ入力工程として、入力部60(光学画像データ入力部の一例)が、検査装置100が被検査試料101の検査領域10を走査した場合に得られる図形パターンの光学画像データを入力する。また、入力部60は、さらに、光学画像データの位置データを入力する。入力されたストライプデータとその位置データ1,2は、記憶装置52に一時的に格納される。
【0044】
ここで、参照画像データはフレーム領域サイズで作成されているが、ストライプデータはフレーム領域サイズよりも大きいので、参照画像データのサイズに合わせる。
【0045】
フレーム分割工程として、フレーム分割部61は、記憶装置52からストライプデータを読み出し、検査ストライプ20毎にx方向に所定のサイズ(例えば、スキャン幅Wと同じ幅)で、ストライプ領域画像(光学画像)を複数のフレーム画像(光学画像)に分割する。例えば、512×512画素のフレーム画像に分割する。言い換えれば、検査ストライプ20毎のストライプ領域画像をそれぞれ検査ストライプ20の幅と同様の幅、例えば、スキャン幅Wで複数のフレーム画像(光学画像)に分割する。かかる処理により、複数のフレーム領域に応じた複数のフレーム画像(光学画像)が取得される。複数のフレーム画像は、記憶装置54に格納される。
【0046】
設計データ入力工程として、入力部74(設計データ入力部の一例)は、外部の記憶装置300から被検査試料101に形成されたパターンの設計データを入力する。入力された設計データは、記憶装置76に一時的に格納される。ここでは、検査装置100以外の外部の記憶装置300から入力される。或いは、検査装置100がダイ−データベース検査を行った場合には検査装置100から参照画像作成前の設計データを入力してもよい。
【0047】
参照画像作成工程として、参照画像作成部78は、設計データを画像展開して、光学画像データ(フレーム画像)と比較するための参照画像データを作成する。参照画像作成部78は、記憶装置76から設計データを読み出し、読み出された設計データに定義された各フレーム領域の各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換(画像展開)して、参照画像データを作成する。
【0048】
設計データに定義される図形は、上述したように、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0049】
かかる図形データとなる設計パターンの情報が参照画像作成部78に入力されると、検査装置100の展開回路111と同様、図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計画像データを展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2
8(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして記憶装置50に出力される。記憶装置50には、かかる画像の位置データも格納される。
【0050】
なお、検査装置100では、その後に適切なフィルタ処理を施したが、計測装置200では、形状欠陥を判定するわけではなく位置ずれ量を計測するので、かかるフィルタ処理は省略してもよい。但し、検査装置100と同様、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせても好適である。かかる場合には、参照画像作成部78内、或いは、その他の機能により、検査装置100の参照回路112と同様の処理を行えばよい。
【0051】
位置ずれ量分布作成工程として、位置ずれ量分布作成部64は、検査装置100から得られた光学画像データ(ここでは、フレーム分割後のフレーム画像)と参照画像データとを用いて、被検査試料10のパターンの位置ずれ量を計測して、位置ずれ量分布(位置ずれ量マップ)を作成する。まず、フレーム領域毎に、位置合わせをおこなって、フレーム領域内の図形パターン全体の位置ずれ量を計測する。ここでは、フレーム画像の位置データが示す位置に対応する位置の参照画像を用いて位置合わせを行う。言い換えれば、位置ずれ量分布作成部64は、光学画像データ(ここでは、フレーム分割後のフレーム画像)と参照画像データの他に、さらに、光学画像データの位置データと参照画像データの位置データとを用いて位置ずれ量分布を作成する。
【0052】
位置合わせ工程として、位置合わせ部62は、複数のフレーム画像の各フレーム画像と、複数の参照画像の対応する参照画像との位置合わせを行って、フレーム画像(フレーム領域)毎に、当該フレーム画像と、対応する参照画像と、の間での位置ずれ量を計測(演算)する。位置合わせは、フレーム領域全体を移動させながら合わせる。例えば、最小2乗法等を用いてサブ画素単位で合わせると好適である。これにより、フレーム領域の位置に依存した位置ずれ誤差を把握できる。そして、演算されたフレーム領域毎の位置ずれ量(位置ずれ量A)は、記憶装置58に格納される。
【0053】
図6は、実施の形態1における位置ずれ量の一例を示す図である。
図6(a)では、例えば、実マスクである試料101から得られたフレーム画像内のパターン12と参照画像内のパターン14とをx方向に位置合わせさせた際の位置ずれ量ΔPosの一例を示している。
図6(b)では、例えば、実マスクである試料101から得られたフレーム画像内のパターン12と参照画像内のパターン15とをy方向に位置合わせさせた際の位置ずれ量ΔPosの一例を示している。
図6(a)と
図6(b)の例では、共に、図形が1つしか示されていないが、位置合わせは、実マスクである試料101から得られたフレーム画像と参照画像とを用いて、フレーム領域全体を一様に移動させながら合わせる。例えば、最小2乗法等を用いてサブ画素単位で合わせると好適である。これにより、ラインパターンと矩形パターンについて、x方向の位置ずらし量に応じた位置ずれ量と、y方向の位置ずらし量に応じた位置ずれ量とをそれぞれ求めることができる。
【0054】
位置ずれ量は、例えば、x方向ラインアンドスペースパターンのフレーム領域については、x方向の位置ずれ量が得られれば足りる。y方向ラインアンドスペースパターンのフレーム領域については、y方向の位置ずれ量が得られれば足りる。複数の矩形パターンのフレーム領域については、x,y方向の位置ずれ量が得られれば足りる。また、フレーム画像内には複数の図形パターンが配置されていることが多いので、かかる場合には、フレーム領域内で最も一致した位置関係における最大ずれ量を求めればよい。
【0055】
次に、位置ずれ量マップ作成工程として、位置ずれ量マップ作成部70は、記憶装置58からフレーム領域毎の位置ずれ量(位置ずれ量A)を読み出し、各位置ずれ量をマップ値とする、検査領域10全体での位置ずれ量マップを作成する。
【0056】
図7は、実施の形態1における位置ずれ量マップの一例を示す図である。試料101の検査領域10を複数のフレーム領域30に分割して、各フレーム領域30での位置ずれ量を当該フレーム領域30でのマップ値とすればよい。これにより、試料101の検査領域10全体での位置ずれ量分布が得られる。
【0057】
出力工程として、出力部72は、算出された被検査試料101のパターンの位置ずれ量マップ(位置ずれ分布)を出力する。例えば、図示しない磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、CRT、パターンモニタ、或いはプリンタに出力される。或いは、外部に出力されても構わない。
【0058】
ここで、光学画像データの位置データは、1つの座標系のデータだけであれば、その位置データを使用すればよい。しかし、上述したように、異なる座標系の2つの位置データがある場合には、一方の位置データを使用してもよい。但し、より高精度な計測を求めるには、以下のように座標系を校正すると好適である。
【0059】
図8は、実施の形態1における複数の座標系の一例と校正された座標系の一例とを示す図である。
図8(a)では、光学画像データの位置データとして、リニアスケール測長システム124により測定された座標系301の位置データ1と、レーザ測長システム122により測定された座標系302の位置データ2を示している。
図8(a)に示すように、座標系301と座標系302は、軸および原点が異なる。そこで、実施の形態1では、校正データを用いて、座標系を校正する。
【0060】
入力部60は、座標系を校正する校正データを入力する。校正データは、検査装置100によって異なることが想定される。よって、使用する検査装置毎にリニアスケール測長システム124により測定される座標系301とレーザ測長システム122により測定される座標系302とでの誤差を予め実験等により求めておく。そして、両座標系での位置データを用いて、かかる誤差を補正するための変換関数、或いは変換テーブル等を作成しておく。かかる変換関数、或いは変換テーブル等が校正データとなる。座標系301での位置データ(x
1,y
1)と座標系302での位置データ(x
2,y
2)と測定時の温度tとを用いて、校正後の位置データ(x,y)は、例えば、以下の式(1)により求めることができる。
(1) x=f(x
1,y
1)+g(x
2,y
2,t)
y=f’(x
1,y
1)+g’(x
2,y
2,t)
【0061】
レーザ測長システム122は温度tの影響を受けるため、校正する際の変換関数に温度tのパラメータを加えると好適である。
【0062】
以上のように、位置データが校正されたフレーム画像は、記憶装置56に格納される。そして、座標校正データを用いて校正された位置データを用いて位置ずれ量分布を作成する。
【0063】
位置ずれ量分布作成工程として、位置ずれ量分布作成部64は、検査装置100から得られた光学画像データ(ここでは、フレーム分割後のフレーム画像)と参照画像データとを用いて、被検査試料10のパターンの位置ずれ量を計測して、位置ずれ量分布(位置ずれ量マップ)を作成する。まず、フレーム領域毎に、位置合わせをおこなって、フレーム領域内の図形パターン全体の位置ずれ量を計測する。ここでは、フレーム画像の校正位置データが示す位置に対応する位置の参照画像を用いて位置合わせを行う。言い換えれば、位置ずれ量分布作成部64は、光学画像データ(ここでは、フレーム分割後のフレーム画像)と参照画像データの他に、さらに、光学画像データの校正位置データと参照画像データの位置データとを用いて位置ずれ量分布を作成する。その他の処理内容は上述した内容と同様である。
【0064】
このように、光学画像データの位置データとして、複数の座標系の位置データが用いられ、かかる複数の座標系の位置データを校正した位置データを作成することで、より高精度な位置ずれ量を計測できる。
【0065】
ここで、試料101に形成される図形パターンの数は膨大な数に及ぶ。よって、試料101全体でのフレーム画像のデータサイズも膨大となる。そのため、計測装置200にて、試料101全体でのフレーム画像および参照画像のデータを保持するためには、膨大な記憶装置のリソースが必要となる。よって、実施の形態1では、検査装置の検査動作に連動して、リアルタイムに生成された光学画像データ及び参照画像のデータを入力して、入力に連動して位置ずれ量を計測していくと良い。計測後は、入力データを次のデータで上書きしていけばよい。これにより、計測装置200での記憶装置のリソースを大幅に小さくできる。
【0066】
以上のように、実施の形態1によれば、パターン検査装置で得られたデータを利用して、被検査対象試料に形成されたパターンの位置ずれの傾向を取得できる。上述したように、パターン検査装置でダイ−ダイ検査を実施した場合には、パターン検査装置以外から設計データを入力すれば、ダイ−ダイ検査用に得られたデータを利用して、被検査対象試料に形成されたパターンの位置ずれの傾向を取得できる。
【0067】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、実施の形態では、照明光学系170として、透過光を用いた透過照明光学系を示したが、これに限るものではない。例えば、反射光を用いた反射照明光学系であってもよい。或いは、透過照明光学系と反射照明光学系とを組み合わせて、透過光と反射光を同時に用いてもよい。
【0068】
また、上述した位置ずれ量マップは、マッチ値の値を所定の範囲毎に色分けして、表示してもよい。これにより、位置ずれ量の等高線マップが得られる。同じ色で等高線マップを作成してもよい。
【0069】
また、上述した例では、フレーム画像毎に、画像内全体を一様にずらしながら位置ずれ量を求めたが、これに限るものではない。画像内の各図形パターンについて位置ずれ量を演算して、その平均値、中央値、最大値、或いは最小値を求めてマップ値としても良い。
【0070】
また、上述した例では、計測装置200がフレーム画像に分割前のストライプデータを入力したが、これに限るものではない。検査装置100内で分割した後のフレーム画像を計測装置200が入力してもよい。
【0071】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、検査装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0072】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査装置、パターン検査方法、計測装置及び計測方法は、本発明の範囲に包含される。