【文献】
KANBARA,Takaki et al.,Preparation of Novel Poly(aryleneamine)s by Palladium Complex Catalyzed Polycondensation of Dibromobenzenes with Diamines,Chemistry Letters,1996年,Vol.12,p.1135-1136
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0001】
本質的に導電性の高分子(ICP)は、有機プリント回路、並びに有機発光ダイオード(OLED)、有機光応答素子(特に有機光起電力素子及び有機光センサー)、有機トランジスター及びメモリアレイ素子などの有機電子素子を含む使用における広範囲の用途について知られている。
【0002】
ICPを形成する1つの方法は、パラジウム触媒の存在下で第一級又は第二級アリールアミンを含有するモノマーとアリールジハライドモノマーを反応させるブッフバルト・ハートウィッグ重合プロセスである。バックウォルド・ハートウィッグ重合プロセスにおいて、C−N結合が、芳香族モノマーの芳香族炭素原子とアリールアミンモノマーのN原子との間で形成される。
【0003】
米国特許出願公開第2004/262574号明細書は、以下の一般的なプロセスに従ってポリマーを形成する方法を開示している。
【化1】
【0004】
式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4は芳香族基であり、X
1及びX
2はハロゲンであり、ポリマー端B及びCは水素又はハロゲン原子を表し、mは少なくとも1の整数であり、nは少なくとも2の整数である。
【0005】
米国特許出願公開第2004/262574号明細書は、触媒ジパラジウムトリ(ジベンジリデンアセトン)(Pd
2(dba)
3)の使用を開示している。
【化2】
【0006】
米国特許出願公開第2004/262574号明細書に例示されているほとんどのポリマーは、10,000Da以下の重量平均分子量を有する。
【0007】
ICPを形成する別の方法は、例えば国際公開第00/53656号パンフレット、国際公開第03/035796号パンフレット及び米国特許第5777070号明細書に記載されているスズキ重合である。パラジウム触媒の存在下で起こるスズキ重合の間に、炭素−炭素結合がモノマーの芳香族炭素原子間で形成される。
【0008】
国際公開第00/53656号パンフレットは、芳香族ジハライドモノマーが芳香族ジエステルモノマーと重合されるスズキ重合を開示している。国際公開第00/53656号パンフレットは、以下の反応スキームによるポリ−(9,9−ジ(n−オクチル)フルオレンの形成を開示している。
【化3】
【0009】
本発明は、広い分子量範囲にわたってポリマー分子量の制御を可能にする、ICPを形成する方法を提供することを目的とする。
【0010】
J.Am.Chem.Soc.,2007,129(23),pp7236−7237は、1個の臭素反応性基及び1個のボロン酸エステル反応性基を持つフルオレンモノマーの室温での鎖成長スズキ重合を開示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
触媒
式(III)の触媒はパラジウム(0)又はパラジウム(II)の触媒であってもよい。
【0021】
触媒はホスフィン配位子PR
33を含む。一方又は両方の基PR
33のR
3基は、同じでも異なっていてもよい。一実施形態において、一方又は両方の基PR
33は、異なるR
3基を含む。一方又は両方の基PR
33は、2個の異なるR
3基又は3個の異なるR
3基を含んでいてもよい。1又は2個のR
3基はアルキルであってもよく、残る1又は2個のR
3基は、非置換であってもよく、又は1若しくは複数のアルキル基で置換されていてもよいアリール基、例えばフェニルであってもよい。各基PR
33は、同じでも異なっていてもよい。
【0022】
バックウォルド重合の場合、少なくとも1個の基PR
33の少なくとも1個のR
3はC
1−20アルキルである。
【0023】
例示のホスフィン配位子は、
フェニルジアルキルホスフィン、
トリアルキルホスフィンを含む。
【0024】
ホスフィン配位子のアルキル基は、直鎖、分岐又は環式のアルキル基から選択されてもよい。好ましいアルキル基はt−ブチルである。
【0025】
触媒がPd(II)触媒である場合、陰イオンは、C
1−10アルコキシ、及びハライド、例えばクロリド、ブロミド又はヨージドを含む。
【0027】
触媒は、好ましくは、重合の開始時、重合混合物中に予備形成された状態で準備される。
【0028】
バックウォルド重合
バックウォルド重合プロセスは、芳香族基の炭素原子とアミンのNH基との間のC−N結合の形成を可能にする。
【0029】
第一級アミンは、反応スキーム1に図示されるバックウォルド重合を受けることができる。
【化9】
【0030】
反応スキーム1
式中、R
1、R
2及びXは、上に記載された通りであり、n’は少なくとも2の正の整数である。
【0031】
ジアミンは、反応スキーム2に図示されるバックウォルド重合を受けることができる:
【化10】
【0032】
反応スキーム2
重合混合物は、式(I)及び式(II)のそれぞれのモノマーのただ1種を含んでいてもよく、その場合、得られたポリマーは位置規則性のABコポリマーになり、又は、重合混合物は、式(I)の複数のモノマー、及び/若しくは式(II)の複数のモノマーを含んでいてもよい。
【0033】
モノマー(I):モノマー(II)のモル比は50:50であってもよく、最大分子量はこのモノマー比を使用して達成することができる。ポリマーの分子量は、モノマーのモル比を変えることにより、例えば<50:50又は50:<50のモノマー(I):モノマー(II)比を与えることによって制御することができる。式(II)の(1又は複数の)モノマーのモル数は、式(I)の(1又は複数の)モノマーのモル数より大きくてもよい。
【0034】
本発明者らは、本発明の方法が、高分子量ポリマー例えば、特に50:50のモノマー(I):モノマー(II)比のとき、少なくとも100,000Da又は少なくとも200,000Da、最大1,000,000Daの重量平均分子量を有するポリマーの形成を可能にすることを見いだした。このモル比を変えることによって、分子量は広い分子量範囲にわたって得ることができる。
【0035】
バックウォルド重合は、重合混合物の還流温度、例えば約60−120℃の範囲で行うことができる。
【0036】
反応は塩基の存在下で行われてもよい。適切な塩基は、無機及び有機塩基、例えば、金属又はNR
4+[式中、各出現におけるR
4は、H又はヒドロカルビルであり、C
1−10アルキルであってもよい。]の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、炭酸水素塩を含む。
【0037】
ポリマーは、末端封鎖反応体の付加によって末端封鎖されてもよい。適切な末端封鎖反応体は、ただ1個の基Xで置換された、又はただ1個のN−H結合を有するアミンで置換された芳香族又はヘテロ芳香族の物質である。末端封鎖反応体は、重合反応中又はその最後に加えられてもよい。
【0038】
重合反応は、反応混合物の成分がすべて溶解した、又は1又は複数の成分が懸濁した単一の有機液相中で行われてもよい。
【0039】
スズキ重合
スズキ重合プロセスを反応スキーム3に図示する。
【0040】
反応スキーム3に図示するように、ハロゲン脱離基Halを有する繰り返し単位R
13を形成するためのモノマーは、ボロン酸又はボロン酸エステル基などの脱離基を有する繰り返し単位R
14を形成するためのモノマーと重合して、R
13とR
14の芳香族炭素原子間に炭素−炭素結合を形成する。
【化11】
【0041】
反応スキーム3
例示のボロン酸エステルは式(VIII)を有する。
【化12】
【0042】
式中、各出現におけるR
11は独立してC
1−20アルキル基であり、*は、ボロン酸エステルの、モノマーの芳香族炭素原子への結合場所を表し、2個の基R
11は連結して環を形成してもよい。好ましい実施形態において、2個の基R
11は連結してボロン酸のピナコールエステルを形成する。
【化13】
【0043】
スズキ重合プロセスにおいて、ジブロモ−モノマーは、重合しても、別のジブロモ−モノマーと直接の炭素−炭素結合を形成することがないことは当業者によって理解されよう。同様に、ジエステルモノマーは、重合しても別のジエステルモノマーと直接の炭素−炭素結合を形成することはない。
【0044】
上のスキーム3の例において、ABコポリマーは、1:1の比の2種のモノマーの共重合によって形成されるが、しかし、2種を超えるモノマーが重合に使用されてもよく、任意のモノマー比が使用されてもよいことは理解されよう。
【0045】
スズキ重合は塩基の存在下で行われる。塩基は有機又は無機の塩基であってもよい。例示の有機塩基には、テトラアルキルアンモニウムの水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩が含まれる。例示の無機塩基には、金属(例えばアルカリ又はアルカリ土類)の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩が含まれる。
【0046】
重合反応は、反応混合物の成分がすべて可溶性である単一の有機液相中で行われてもよい。反応は二相の水−有機系中で行われてもよく、その場合、相間移動剤が使用されてもよい。反応は、二相の水−有機系を乳化剤と混合することにより形成された乳濁液中で行われてもよい。
【0047】
ポリマーは、末端封鎖反応体の付加によって末端封鎖されてもよい。適切な末端封鎖反応体は、ただ1個の脱離基で置換された芳香族又はヘテロ芳香族物質である。末端封鎖反応体は、ポリマー鎖末端でボロン酸又はボロン酸エステル基と反応するためのハロゲンで置換された反応体、及びポリマー鎖末端でハロゲンと反応するためのボロン酸又はボロン酸エステルで置換された反応体を含んでいてもよい。例示の末端封鎖反応体は、ハロベンゼン、例えばブロモベンゼン、及びフェニルボロン酸である。末端封鎖反応体は、重合反応中又はその最後に加えられてもよい。
【0048】
モノマーが反応性置換基を持つ場合、反応性置換基は重合中に反応してもよい。例えば、架橋可能な置換基は、重合中に架橋して、扱いにくい架橋ポリマーを反応容器中に形成することがある。
【0049】
スズキ重合は、通常、重合混合物の還流温度で実行される。しかし、本発明者らは、重合が好適な触媒を用いてより低温で起こり得ることを見いだした。より低温の、例えば20−80℃の範囲の、50−80℃であってもよく、20−80℃であってもよいスズキ重合は、重合中の反応性置換基の反応を避けるために使用されてもよい。重合は反応混合物の還流温度未満で実行されてもよい。
【0050】
スズキ重合反応は、式(IV)の2種以上の異なるモノマー、及び/又は式(V)の2種以上の異なるモノマーを含んでいてもよい。式(IV)の異なるモノマーは異なる反応性を有し得るので、重合混合物中の式(IV)の1つのモノマーは、重合混合物中の式(IV)の別のモノマーより速く重合することがある。式(V)の2種以上の異なるモノマーがある場合にも同じことが当てはまる。そのため、ポリマー鎖内に繰り返し単位の不均等分布をもたらすことがあり、低反応性モノマーに由来する繰り返し単位の濃度がポリマー鎖末端でより高くなる。
【0051】
本発明者らは、反応性のこの違いを低温重合によって減らすことができることを見いだした。
【0052】
本明細書に記載されるポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン相当数平均分子量(Mn)は、約1×10
3から1×10
8、好ましくは1×10
4から5×10
6の範囲にあってもよい。本明細書に記載されるポリマーのポリスチレン相当重量平均分子量(Mw)は、1×10
3から1×10
8、好ましくは1×10
4から1×10
7であってもよい。
【0053】
本明細書に記載されるポリマーは、適切には非晶性である。
【0054】
モノマー(I)
式(I)のモノマーは、式(Ia)を有していてもよい。
【化14】
【0055】
式中、各出現におけるAr
2は、独立して、非置換であってもよく、又は1若しくは複数の置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり、wは、正の整数であり、1、2又は3であってもよく;Xは上に記載された通りである。
【0056】
例示のアリール基Ar
2には、フェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン及び9,10−ジヒドロフェナントレンが含まれる。
【0057】
式(I)のモノマーは、式(Ib)を有していてもよい。
【化15】
【0058】
式中、Ar
2、w及びXは上に記載され、Yは連結基である。例示の連結基は、−R
12C=CR
12−、及び分岐、直鎖又は環式のC
1−20アルキルを含み、ここで、1又は複数の隣接していないC原子は、O、S、C=O、COO又はSiR
122[式中、各出現におけるR
12は、H又は置換基であり、H又はC
1−20アルキル基であってもよい。]と置き換えられてもよい。
【0059】
式(Ia)及び(Ib)の例示のモノマーは、以下を含む。
【化16】
【0060】
式中、各出現におけるqは0、1、2、3又は4であり;各出現におけるdは0、1、2又は3であり;R
6は、各出現において独立して置換基であり、2個の基R
6は連結して置換又は非置換の環を形成してもよく;pは1−20であり;R
8は、各出現において独立して置換基であり;Xは上に記載された通りである。
【0061】
R
6及びR
8を含むAr
2の置換基は、以下からなる群から選択されてもよい:
−、C
1−20アルキルであってもよい(ここで、1又は複数の隣接していないC原子は、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=O又は−COO−と置き換えられてもよく、1又は複数のH原子はFと置き換えられてもよい)アルキル;
−非置換であってもよく、又は1若しくは複数の置換基で置換されていてもよいアリール及びヘテロアリール基、好ましくは1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されたフェニル;
−アリール又はヘテロアリール基であって、その基のそれぞれは独立して置換されていてもよい基、例えば式−(Ar
5)
r[式中、各Ar
5は独立してアリール又はヘテロアリール基であり、rは少なくとも2である。]の基の直鎖又は分岐鎖、好ましくはフェニル基であって、そのそれぞれは、非置換であってもよく、又は1若しくは複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよいフェニル基の分岐鎖又は直鎖;及び
−架橋可能な基、例えばビニル又はアクリレート基などの二重結合を含む基、又はベンゾシクロブタン基。
【0062】
R
6又はR
8がアリール又はヘテロアリール基、アリール又はヘテロアリール基の直鎖又は分岐鎖を含む場合、各アリール又はヘテロアリール基は、以下からなる群から選択される1又は複数の置換基R
7で置換されていてもよい:
アルキル、例えばC
1−20アルキル、(ここで、1又は複数の隣接していないC原子は、O、S、置換されたN、C=O及び−COO−と置き換えられてもよく、アルキル基の1又は複数のH原子はFと置き換えられてもよい);
NR
92、OR
9、SR
9、SiR
93及び
フッ素、ニトロ及びシアノ;
[式中、各R
9は、アルキル、好ましくはC
1−20アルキル;及び1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、好ましくはフェニルからなる群から独立して選択される。]。
【0063】
置換されたNは、存在する場合、−NR
9−[式中、R
9は上に記載された通りである。]であってもよい。
【0064】
好ましくは、各R
6及び、存在する場合、R
8は、C
1−40ヒドロカルビルから独立して選択され、より好ましくはC
1−20アルキル;非置換フェニル;1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されたフェニル;フェニル基であって、各フェニルは非置換であってもよく、1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよいフェニル基の直鎖又は分岐鎖;及び架橋可能な基から選択される。
【0065】
モノマー(II)
式(II)のモノマーのAr
1は、非置換、又は1若しくは複数の置換基で置換された単環式又は多環式アリール基、例えば、非置換又は置換のフェニレン、ナフタレン、アントラセン及びフルオレンであってもよい。
【0066】
nは1、2又は3であってもよい。好ましくは、Ar
1がフェニルである場合、nは1又は2であり、Ar
1が多環式芳香族基である場合、1である。
【0067】
式(II)のモノマーにおいて、R
2は、m>1である場合、各出現において同じでも異なっていてもよく、好ましくはアルキル、例えばC
1−20アルキル、Ar
7、Ar
7基の分岐鎖又は直鎖、又は架橋可能な置換基からなる群から選択され、ここで、各出現におけるAr
7は、独立して置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールである。Ar
7は、非置換であってもよく、又は1若しくは複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよいフェニルである。
【0068】
式(II)の繰り返し単位中の、Ar
1及び、存在する場合、Ar
7のいずれかは、直接結合又は二価の連結原子又は基によって、Ar
1及びAr
7の他方と連結していてもよい。好ましい二価の連結原子及び基は、O、S;置換されたN;及び置換されたCを含む。
【0069】
Ar
7は1又は複数の置換基で置換されていてもよい。例示の置換基は置換基R
12であって、各R
12は、以下からなる群から独立して選択されてもよい:
−C
1−20アルキルであってもよい(ここで、1又は複数の隣接していないC原子は、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=O又は−COO−と置き換えられてもよく、1又は複数のH原子はFと置き換えられてもよい)置換又は非置換アルキル;及び
−架橋可能な基。
【0070】
例示の基Ar
1は以下を含む。
【化17】
【0071】
式中、R
8、R
6及びdは上に記載された通りである。
【0072】
式(II)の例示のモノマーは以下を含む。
【化18】
【0073】
式中、uは0、1、2、3、4又は5である。
【0074】
本明細書のどこかに記載される架橋可能な置換基は、以下の式の群から選択されてもよい。
【化19】
【0075】
式中、Spはスペーサ基であり;tは0又は1であり;各出現におけるR
10は、H、C
1−10アルキル又はC
1−10アルコキシであり;R
11はH又はC
1−10アルキルであり;*は、架橋可能な置換基のモノマーとの結合場所を表す。例示のスペーサ基は、C
1−20アルキル、フェニル及びフェニル−C
1−20アルキルである。スペーサ基Spのアルキルの1又は複数のC原子は、O又はSと置き換えられてもよい。
【0076】
モノマー(IV)及び(V)
式(IV)及び(V)のモノマーのR
13又はR
14はそれぞれ、以下からそれぞれ選択されてもよい:
(a)式−(Ar
6)
v−の基[式中、各出現におけるAr
6は、独立して、非置換であってもよく、又は1若しくは複数の置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり、vは、正の整数であり、1、2又は3であってもよい。];及び
(b)式(VII)の基:
【化20】
【0077】
[式中、各出現におけるAr
8及びAr
9は、置換又は非置換のアリール又はヘテロアリールから独立して選択され、gは1以上、好ましくは1又は2であり、R
15はH又は置換基、好ましくは置換基であり;c及びdはそれぞれ独立して1、2又は3であり;共通のN原子に直接連結したAr
8、Ar
9及びR
15の任意の2つは、直接結合又は二価の連結基によって連結されていてもよい。]
式−(Ar
6)
v−の例示の基は以下を含む:
【化21】
【0078】
[式中、q、d、R
6及びR
8は上に記載された通りである。]
R13又はR14は下記式を有することができる:
【化22】
【0079】
式中、Ar2、w及びYは上に記載された通りである。この式の例示の繰り返し単位は、pが1−20である以下の構造を有する。
【化23】
【0080】
式(VII)の基に関して、R
15は、g>1の場合の各出現において同じでも異なっていてもよく、好ましくは、アルキル、例えばC
1−20アルキル、Ar
10、Ar
10基の分岐鎖若しくは直鎖、又は式(VII)のN原子に直接結合した、若しくはそこからスペーサ基によって間隔を置いた、架橋可能な単位からなる群から選択され、ここで、各出現におけるAr
10は、独立して置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールである。例示のスペーサ基は、C
1−20アルキル、フェニル及びフェニル−C
1−20アルキルである。
【0081】
同一N原子に直接連結した式(VII)の繰り返し単位中の、Ar
8、Ar
9及び、存在する場合、Ar
10の任意の2つは、直接結合又は二価の連結基によって連結されていてもよい。好ましい二価の連結原子及び基は、O、S;置換されたN;及び置換されたCを含む。
【0082】
Ar
8、Ar
9、及び、存在する場合、Ar
10のいずれかは、1又は複数の置換基で置換されていてもよい。例示の置換基は、置換基R
10であり、ここで、各R
10は、独立して以下からなる群から選択される:
−C
1−20アルキルであってもよい(ここで、1又は複数の隣接していないC原子は、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=O又は−COO−と置き換えられてもよく、1又は複数のH原子はFと置き換えられてもよい)置換又は非置換のアルキル;及び
−架橋可能な基。
【0083】
式(VII)の好ましい繰り返し単位は式1−3を有する:
【化24】
【0084】
好ましい一構成において、R
15はAr
10であり、Ar
8、Ar
9及びAr
10のそれぞれは、独立して1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよい。Ar
8、Ar
9及びAr
10は、好ましくはフェニルを有する。
【0085】
別の好ましい構成において、2個のN原子に連結した式(I)の中央のAr
9基は、非置換であってもよく、又は1若しくは複数の置換基R
10で置換されていてもよい多環式芳香族である。例示の多環式芳香族基は、ナフタレン、ペリレン、アントラセン及びフルオレンである。
【0086】
別の好ましい構成において、Ar
8及びAr
9は、フェニルであって、そのそれぞれは1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されてもよく、R
15は−(Ar
10)
r[式中、rは少なくとも2である。]であり、ここで、基−(Ar
10)
rは、芳香族又はヘテロ芳香族基、例えば3,5−ジフェニルベンゼンの直鎖又は分岐鎖を形成し、ここで、各フェニルは1又は複数のC
1−20アルキル基で置換されていてもよい。別の好ましい構成において、c、d及びgはそれぞれ1であり、Ar
8及びAr
9は、酸素原子によってフェニルが連結されてフェノキサジン環を形成する。
【0087】
式(VII)の基を含むモノマーは、好ましくはハライド、スルホン酸又はスルホン酸エステルの脱離基LG1又はLG2を有する。
【0088】
応用分野
本発明の方法によって調製されたポリマーは、有機プリント回路を含むがこれらに限定されない広範囲の用途において、並びに有機発光ダイオード(OLED)、有機光応答素子(特に有機光起電力素子及び有機光センサー)、有機トランジスター及びメモリアレイ素子などの有機電子素子において使用することができる。有機発光素子中のポリマーは、電荷輸送層の電荷輸送物質;発光層の発光物質;又は発光層のホストポリマーとして使用することができる。
【0089】
ポリマーの膜又はパターンは、1又は複数の溶媒中に分散又は溶解されたポリマーを含有する調合物を塗布し、続いて溶媒(複数可)を蒸発することにより表面に適用することができる。適切な堆積法は、被覆及び印刷法を含む。被覆法は、スピンコーティング、浸し塗り、ロールコーティング及びドクターブレードコーティングを含む。印刷法は、フレキソ印刷、ノズル印刷及びインクジェット印刷を含む。
【0090】
特定の堆積法では、調合物が規定された範囲内の粘度を有することを必要とする場合がある。調合物の粘度は、ポリマーの分子量に少なくとも一部依存する場合があり、これは、所望の粘度を与えるために上記のように制御することができる。
【0091】
ポリマーは、n−ドープしてポリマーの伝導率を増加させてもよい。
【0092】
ポリマーは、蛍光又は燐光の発光ドーパントでドープしたホスト材料として使用されてもよい。
【0093】
[実施例]
バックウォルド重合
キシレン中のジアミン−モノマーとジブロモ−モノマーとの混合物を反応フラスコに入れ、窒素で飽和させた。パラジウム触媒及びナトリウムtert−ブトキシドを加え、混合物を115℃に加熱し、4時間撹拌し、その後、新鮮な触媒及び塩基の存在下で14時間、p−ジトリルアミンとともに還流することによって反応を終了した。
【表1】
【0095】
BINAPは以下の構造を有する:
【化26】
【0096】
触媒Pd
2dba
3を使用して形成された比較ポリマー1及び2の分子量は、本発明の方法による触媒を使用して形成された、ポリマー実施例1及び2のものより低い。
【0097】
ポリマー実施例2及びポリマー実施例3の比較によると、アミンモノマー:ジブロモモノマー比を変えることにより分子量の制御を達成することができることを示す。したがって、本発明の方法は、非常に高い分子量まで及ぶ分子量を有するポリマーの形成を可能にすることができる。
【0098】
スズキ重合
ポリマーは、以下に図示するモノマーを使用し、表2に述べる触媒及び重合温度を使用して形成した。
【化27】
【表2】
【0099】
表2に示すように、重合温度が下がるにつれて、比較の触媒PdCl
2(P(PhOMe)
3)
2を使用して形成されたポリマーの分子量は下がる。
【0100】
本発明の実施形態によるPdCl
2(tBu
2PPh)
2触媒を使用する、本発明の方法による65℃での重合は、比較の触媒を使用して形成されたポリマーのいずれよりも高い分子量のポリマーを生成する。
【0101】
[素子実施例]
形成されたポリマーを、以下の構造を有するOLEDの発光物質として使用した:
ITO/HIL/HTL/LE/陰極
ここで、ITOはインジウムスズ酸化物陽極であり;HILは正孔注入層であり;HTLは正孔輸送層であり;LEは発光層であり;陰極は、発光層と接する金属フッ化物の層、及び金属フッ化物の層を覆って形成されたアルミニウムの層を含む。
【0102】
素子を形成するために、ITOを担持する基板をUV/オゾンを使用して浄化した。正孔注入層を、Plextronics,Inc.から入手可能な正孔注入物質の水性調合物のスピンコーティングによって形成した。スズキ重合により、式(VII)のフルオレン繰り返し単位及びアミン繰り返し単位を含有し、ポリマーを加熱により架橋することによって形成された正孔輸送ポリマーをスピンコーティングすることによって、架橋可能な正孔輸送層を20nmの厚さに形成した。発光層は、ポリマー実施例に記載されるポリマーをスピンコーティングすることによって形成した。陰極は、金属フッ化物の第1の層を約2nmの厚さに、アルミニウムの第2の層を約200nmの厚さに、及び銀の第3の層を蒸発させることによって形成した。
【0103】
低温のスズキ重合によって形成された例示のポリマーを含有する素子は、約7.1%の最大量子効率を有し、一方、高温のスズキ重合によって形成された比較のポリマーは約6.4%の量子効率を有していた。2つの素子の使用寿命として初期輝度の50%に下がるのにかかる時間は同じようであった。
【0104】
いかなる理論によっても束縛されたくはないが、ジブロモ−モノマーの反応性の違いはより低い重合温度でより小さく、そのため、これらのモノマーは、高温重合によって形成された比較のポリマー中よりも均一にポリマー鎖中に分布すると考えられる。
【0105】
本発明は、特定の例示の実施形態について記載してきたが、本明細書に開示された特色の様々な変形、変更及び/又は組み合わせが、以下の特許請求の範囲に述べる本発明の範囲から逸脱せずに、当業者には明白であることは理解されよう。