特許第6368927号(P6368927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6368927シングルレイヤー型検査対象物の検査装置及び検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368927
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】シングルレイヤー型検査対象物の検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20180730BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20180730BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   G01R31/00
   G06F3/044 Z
   G06F3/041 660
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-28781(P2014-28781)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-152530(P2015-152530A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正
(72)【発明者】
【氏名】林 定志
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−9146(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0314621(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3178844(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0000939(US,A1)
【文献】 特許第6248406(JP,B2)
【文献】 特許第6311223(JP,B2)
【文献】 Tsz-Kin HO, Chung-Yung LEE, Man-Chun TSENG, Hoi-Sing KWOK,“32.3: Simple Single-Layer Multi-Touch Projected Capacitive Touch Panel”,SID Symposium Digest of Technical Papers,2009年 6月,Volume 40, Issue 1,pp.447-450,DOI: 10.1889/1.3256812
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1導電体と、複数の第2導電体と、が厚み方向で同一の層に配置されたパネル状の検査対象物であって、
前記第1導電体は、直線状に並べて配置され、
前記第1導電体のそれぞれは、当該第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に細長い長尺状部を有し、
前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向と、前記長尺状部に沿う方向とで、マトリクス状に並べて配置され
前記第2導電体から、引出し部が、前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に引き出され、
前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に並べられる前記第2導電体の間を隔てるように、前記長尺状部の幅方向一側から突出する複数の突出部が形成され、
前記第1導電体と前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向で同一形状のパターンが繰り返されている検査対象物の検査装置であって、
検査時において、複数のうち選択された前記第1導電体に交流信号を供給可能なシグナル部と、
検査時において、前記第2導電体のうち前記第1導電体が並べられる方向で対応するものそれぞれの信号出力を合成するオア部と、
前記オア部の出力を検出する検出部と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
検査時において前記第1導電体のそれぞれに電気的に接続される複数の第1配線体と、
検査時において前記第2導電体のそれぞれに電気的に接続される複数の第2配線体と、
を備え、
前記シグナル部は、複数のうち選択された前記第1導電体に対し、前記第1配線体を介して電気的に接続され、
マトリクス状の前記第2導電体を、前記第1導電体が並べられる方向で対応するものごとにグループ分けしたときに、前記オア部は、同一の前記グループに属する前記第2導電体のそれぞれに接続されている前記第2配線体をワイヤードオア接続するワイヤードオア部であることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検査装置であって、
前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に並べられる複数のセンサ部と、
前記センサ部の出力を検出する測定部と、
を備え、
それぞれの前記センサ部は、複数の前記第2導電体と容量結合できるように、前記第1導電体が並べられる方向に細長く形成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検査装置であって、
前記検査対象物において、それぞれの前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向で対応するように対で配置された導電部を備え、
前記センサ部は、前記導電部の対の一方と他方とにそれぞれ対応するように設けられることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
複数の第1導電体と、複数の第2導電体と、が厚み方向で同一の層に配置されたパネル状の検査対象物であって、
前記第1導電体は、直線状に並べて配置され、
前記第1導電体のそれぞれは、当該第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に細長い長尺状部を有し、
前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向と、それに垂直な方向とで、マトリクス状に並べて配置され
前記第2導電体から、引出し部が、前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に引き出され、
前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に並べられる前記第2導電体の間を隔てるように、前記長尺状部の幅方向一側から突出する複数の突出部が形成され、
前記第1導電体と前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向で同一形状のパターンが繰り返されている検査対象物の検査方法であって、
検査装置が備えるシグナル部によって、複数のうち選択された前記第1導電体に交流信号を供給し、
前記第2導電体のうち前記第1導電体が並べられる方向で対応するものそれぞれの信号出力を、前記検査装置が備えるオア部で合成した上で、合成後の信号出力を、前記検査装置が備える検出部で検査することを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、シングルレイヤー型と呼ばれるパネル状の検査対象物の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タッチ位置を検出するタッチパネル装置の一種として、いわゆる静電容量方式のものが知られている。静電容量式タッチパネル装置のセンサパネルは、例えば、ガラス等で形成された透明な基板に、第1のパターン透明導電層と、第2のパターン透明導電層と、が設けられた構造を有している。このパターン透明導電層は、例えば酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)を用いて成膜することにより形成することができる。
【0003】
このパターン透明導電層は、それぞれが電極として機能する。なお、以下では、第1及び第2のパターン透明導電層を、第1電極及び第2電極と呼ぶことがある。
【0004】
静電容量方式のタッチパネルの構成は様々であるが、よく知られているものとしては、第1電極を直線状にM個並べて配置し、それとは垂直な方向に第2電極をN個並べて配置し、第1電極と第2電極とを、センサパネルの厚み方向の隙間を挟んで対向させ、かつ互いに垂直に交差させたものを挙げることができる。なお、本明細書では、この構造のタッチパネルを「積層型」と呼ぶことがある。
【0005】
積層型のタッチパネルにおいて、第1電極と第2電極との交差部分には一種のコンデンサが形成され、このコンデンサの静電容量が、導電性物体(例えば人体)が接近あるいは接触することで変化する。タッチパネル装置は、この静電容量の変化を検出することにより、センサパネルにタッチされた位置を検出することができる。この方式はいわゆる投影型静電容量方式と呼ばれるものであり、タッチ位置を高精度に検出することができる点で優れている。
【0006】
ところで、タッチパネル装置の製造者にとって、センサパネルの検査を行うことは、不良品の混入を回避して製品の品質を確保するために極めて重要である。そこで、上記の静電容量式のタッチパネルを検査するための装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
特許文献1は、積層型の静電容量式タッチパネルの検査装置を開示する。この特許文献1の検査装置では、検査対象となる被測定電極と当該被測定電極に対抗する対抗電極のうちの特定対抗電極との間における静電容量の両端間の電圧が静電容量検出回路によって監視され、この監視結果に基づいて、被測定電極の状態が判定される。特許文献1は、この装置によれば、被測定電極と対抗電極が一種のコンデンサとして作用することにより発生する微少な静電容量の変化を測定することにより、タッチパネルのセンサ面を直接検査装置で触れることなく、静電容量式タッチパネルにおける被測定電極の状態(例えば、破断や短絡)を判定することができるとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/121862号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に説明したとおり、静電容量式タッチパネルでは、互いに垂直に交差する電極を、センサパネルの厚み方向の隙間を挟んで対向させるように配置する構成が主流になっている。しかし、この積層型の構成では厚み方向のコンパクト化が困難で、近年ますます高まっているスマートフォンやタブレットPC等の薄型化、軽量化の要求に応えるには限界がある。
【0010】
そこで、すべての電極(パターン透明導電層)を1つの層に配置した、いわゆるシングルレイヤー型のタッチパネルが提案されている。以下、このシングルレイヤー型のタッチパネルの例を、図1を参照して説明する。
【0011】
図1に示すタッチパネル装置のセンサパネル50においては、複数(M個)の第1電極51が直線状に(図1において横方向に)並べて配置されている。第1電極51のそれぞれは、当該第1電極51が並べられる方向と垂直な方向(図1の縦方向)に細長い長尺状部3を有している。また、当該センサパネル50では、複数の第2電極52が、第1電極51が並べられる方向と、前記長尺状部3に沿う方向とで、マトリクス状(M×N個)に並べて配置されている。
【0012】
それぞれの第2電極52は、第1電極51が並べられる方向と垂直な方向で対応するように配置された1対(2つ)の導電部4,4を備えている。従って、このセンサパネル50は、横にM個、縦に2×N個の導電部4が配列されているということができる。それぞれの導電部4は矩形状に構成されている。
【0013】
第1電極51には、並べられた2×N個の導電部4の間を隔てるように、長尺状部3の幅方向一側から垂直に突出する複数の突出部5が形成されている。この結果、第1電極51は、多数の凹部を有する、全体として櫛形のような形に構成されており、1つ1つの凹部の内側に導電部4が配置されるレイアウトとなっている。それぞれの第2電極52,52は引出し部6を備えており、この引出し部6は、同一の第2電極52に属する上記の2つの導電部4,4同士を互いに電気的に接続しつつ、第1電極51が並べられる方向と垂直な方向(長尺状部3に沿う方向、縦方向)に、センサパネル50の縁部に向かって引き出されている。
【0014】
この構成で、第1電極51と第2電極52,52が近接している部分において一種のコンデンサが形成され、このコンデンサの静電容量が、導電性物体(例えば人体)が接近あるいは接触することで変化する。これにより、タッチ位置を検出することができる。
【0015】
複数の第1電極51には、それぞれ第1タブ配線部7が個別に接続される。それぞれの第1タブ配線部7は、第1電極51が有する長尺状部3の一端に接続される。また、複数の第2電極52にも、それぞれ第2タブ配線部8が個別に接続される。それぞれの第2タブ配線部8は、第2電極52が有する引出し部6の一端に接続される。
【0016】
図1に示すセンサパネル50は、第1電極51と第2電極52とが交差する箇所がないため、2つの電極を物理的に単一の層に配置することができ、タッチデバイスの薄型化、構成の簡素化を実現することができる。
【0017】
ところで、このようなシングルレイヤー型のタッチパネルについても、上述した検査の重要性は他のタッチパネルと異なるところがない。そこで、図1に示すセンサパネル50を、上記した特許文献1の検査装置を用いて検査することが考えられる。
【0018】
しかしながら、シングルレイヤー型のタッチパネルは、前述の積層型のタッチパネルと異なり、電極の数が大幅に増加している。具体的に言えば、M×Nのマトリックスを形成する場合、積層型のタッチパネルなら第1電極がM個、第2電極がN個となるが、シングルレイヤー型のセンサパネル50の場合、第1電極がM個、第2電極がM×N個存在することになる。従って、シングルレイヤー型のタッチパネルにおいて各電極間の静電容量を検査するためには多数の回路が必要になり、検査装置の構成の複雑化、高コスト化の原因となっていた。また、検査に長時間が掛かってしまい、タクトタイム短縮の観点からも改善の余地が残されていた。
【0019】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、シングルレイヤー型の検査対象物を検査する検査装置において、検査回路の増加を抑制し、効率良く検査できる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0020】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0021】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の検査装置が提供される。即ち、この検査装置は、複数の第1導電体と、複数の第2導電体と、が厚み方向で同一の層に配置された、以下のような構成のパネル状の検査対象物を検査する。前記第1導電体は、直線状に並べて配置される。前記第1導電体のそれぞれは、当該第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に細長い長尺状部を有する。前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向と、前記長尺状部に沿う方向とで、マトリクス状に並べて配置される。前記第2導電体から、引出し部が、前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に引き出される。前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に並べられる前記第2導電体の間を隔てるように、前記長尺状部の幅方向一側から突出する複数の突出部が形成される。前記第1導電体と前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向で同一形状のパターンが繰り返されている。そして、この検査装置は、シグナル部と、オア部と、検出部と、を備える。前記シグナル部は、検査時において、複数のうち選択された前記第1導電体に交流信号を供給可能である。前記オア部は、検査時において、前記第2導電体のうち前記第1導電体が並べられる方向で対応するものそれぞれの信号出力を合成する。前記検出部は、前記オア部の出力を検出する。
【0022】
即ち、上記のように構成されたシングルレイヤー型の検査対象物においては、パターン上の特徴から、第2導電体のうち第1導電体の並べられる方向で対応するもの同士は互いに短絡しないものとみなすことができる。そこで、電極の数が多数に上るシングルレイヤー型の検査においても、本発明のように信号出力を合成した上で検査することで、少ない検査回路でも十分な検査を行うことができる。この結果、検査装置の著しい簡素化、低コスト化を実現できるとともに、検査効率を向上することができる。
【0023】
前記の検査装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この検査装置は、複数の第1配線体と、複数の第2配線体と、を備える。前記第1配線体は、検査時において前記第1導電体のそれぞれに電気的に接続される。前記第2配線体は、検査時において前記第2導電体のそれぞれに電気的に接続される前記シグナル部は、複数のうち選択された前記第1導電体に対し、前記第1配線体を介して電気的に接続される。マトリクス状の前記第2導電体を、前記第1導電体が並べられる方向で対応するものごとにグループ分けしたときに、前記オア部は、同一の前記グループに属する前記第2導電体のそれぞれに接続されている前記第2配線体をワイヤードオア接続するワイヤードオア部である。
【0024】
これにより、同一グループに属する第2導電体の信号出力の合成を、簡素かつ合理的に行うことができる。
【0025】
前記の検査装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この検査装置は、複数のセンサ部と、測定部と、を備える。前記センサ部は、前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に並べられる。前記測定部は、前記センサ部の出力を検出する。それぞれの前記センサ部は、複数の前記第2導電体と容量結合できるように、前記第1導電体が並べられる方向に細長く形成されている。
【0026】
これにより、検査対象物の電極パターンの良/不良を検査できるだけでなく、センサ部の信号出力に基づいてパターン不良箇所を容易に特定することができる。また、マトリクス状に配置された第2導電体の複数と容量結合できるようにセンサ部が細長く構成されているので、簡素な構成のセンサ部で、不良箇所の特定を十分に行うことができる。
【0027】
前記の検査装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記検査対象物において、それぞれの前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向で対応するように対で配置された導電部を備える。前記センサ部は、前記導電部の対の一方と他方とにそれぞれ対応するように設けられる。
【0028】
これにより、パターン不良箇所をより詳細に特定することができる。
【0029】
本発明の第2の観点によれば、以下の検査方法が提供される。即ち、この検査方法は、複数の第1導電体と、複数の第2導電体と、が厚み方向で同一の層に配置された、以下のような構成のパネル状の検査対象物を検査するものである。前記第1導電体は、直線状に並べて配置される。前記第1導電体のそれぞれは、当該第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に細長い長尺状部を有する。前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向と、それに垂直な方向とで、マトリクス状に並べて配置される。前記第2導電体から、引出し部が、前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に引き出される。前記第1導電体が並べられる方向と垂直な方向に並べられる前記第2導電体の間を隔てるように、前記長尺状部の幅方向一側から突出する複数の突出部が形成される。前記第1導電体と前記第2導電体は、前記第1導電体が並べられる方向で同一形状のパターンが繰り返されている。そして、当該検査方法においては、検査装置が備えるシグナル部によって、複数のうち選択された前記第1導電体に交流信号を供給し、前記第2導電体のうち前記第1導電体が並べられる方向で対応するものそれぞれの信号出力を、前記検査装置が備えるオア部で合成した上で、合成後の信号出力を、前記検査装置が備える検出部で検査する。
【0030】
即ち、上記のように構成されたシングルレイヤー型の検査対象物においては、パターン上の特徴から、第2導電体のうち第1導電体の並べられる方向で対応するもの同士は互いに短絡しないものとみなすことができる。そこで、電極の数が多数に上るシングルレイヤー型の検査においても、本発明のように信号出力を合成した上で検査することで、少ない検査回路でも十分な検査を行うことができる。この結果、検査装置の著しい簡素化、低コスト化を実現できるとともに、検査効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】シングルレイヤー型タッチパネル装置のセンサパネルにおける電極パターンを模式的に示す平面図。
図2】本発明の第1実施形態に係るセンサパネル検査装置の全体的な構成を示す概念図。
図3】センサパネル検査装置がセンサパネルにおける位置(1,4)を検査する場合の形成回路を示す図。
図4】形成回路を簡略的に表した図。
図5】第2実施形態のセンサパネル検査装置の全体的な構成を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、シングルレイヤー型タッチパネル装置のセンサパネル50における電極パターンを模式的に示す平面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るセンサパネル検査装置1の全体的な構成を示す概念図である。
【0033】
図2に示す第1実施形態のセンサパネル検査装置1は、図1に示すセンサパネル50を検査できるように構成されている。図2には、図1に示すセンサパネル50を検査装置にセットした状態が示されている。
【0034】
検査対象物としてのセンサパネル50は、タッチパネル装置の主要な構成部品であって、ガラス等からなる透明な基板上に、第1電極(第1導電体)51と、第2電極(第2導電体)52と、を設けた構成になっている。このセンサパネル50は、上述したシングルレイヤー型に構成されている。
【0035】
シングルレイヤー型タッチパネル装置におけるセンサパネル50の構成は図1を参照して既に説明したので、ここでは簡単に説明する。第1電極51は、図1の横方向に等間隔でM個並べて設けられている。第2電極52は、図1の横方向に等間隔でM個、縦方向に等間隔でN個、並べて設けられている。この結果、2つの電極51,52によってM×Nのマトリクスが構成されている。なお、以後の説明では、第1電極51が並べられる方向をx方向と、それに垂直な方向をy方向と、それぞれ呼ぶ場合がある。
【0036】
これにより、第1電極51及び第2電極52のうち何れかによって、タッチ位置検出可能な領域(以下、タッチ領域と呼ぶことがある。)のほぼ全体が覆われている。
【0037】
上記のタッチ領域においては、マトリクス状に配置された第1電極51と第2電極52との関係で、センサ座標系が設定されている。この座標系は、上記のx方向及びy方向の座標で表すことができる。具体的には、図1図2におけるタッチ領域の左下隅にある第2電極52の導電部4,4の対応部分が(1,1)、右上隅にある対応部分が(M,N)に設定されている。
【0038】
なお、図1図2のセンサパネル50において、第1電極51及び第2電極52が横に並べられる数は4個とされ(M=4)、第2電極52が縦に並べられる数は4個とされているが(N=4)、この例に限定されず、適宜増減させることができる。また、第1電極51及び第2電極52の形状についても上記に限定されず、事情に応じて様々な形状に変更することができる。
【0039】
第1電極51及び第2電極52は、前述のITOを用いて、スパッタリングや蒸着等の公知の方法でパターン透明導電層を形成することにより構成される。ただし、電極の材料としてはITOを用いることに限定されず、例えば酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide、IZO)等、種々の材料を用いることができる。
【0040】
第1電極51及び第2電極52に接続するようにして、第1タブ配線部7及び第2タブ配線部8が基板上に形成されている。この第1タブ配線部7及び第2タブ配線部8は、上記のタッチ領域を避けた位置に形成され、第1電極51及び第2電極52と、タッチパネル装置のドライバ回路(図略)とを電気的に接続できるように構成されている。
【0041】
本実施形態において、第1タブ配線部7及び第2タブ配線部8は、導電性を有するペースト材料(具体的には、銀ペースト)を用いて、スクリーン印刷により形成されている。ただし、この構成に限られず、銀ペーストに代えて例えば銅ペーストを用いたり、スクリーン印刷に代えて例えばインクジェット印刷等の他の印刷方法を用いたりしても良い。また、導電性を有する各種の金属膜を蒸着した後に選択的なエッチングを行うことで、第1タブ配線部7及び第2タブ配線部8のパターンを形成することもできる。
【0042】
図2に示す本実施形態のセンサパネル検査装置1は、センサパネル50における電極近接部分での静電容量が設計どおりであるか否かを検査するとともに、電極51,52が正確に形成されているか否かを検査するために用いられる。このセンサパネル検査装置1は、第1ケーブル(第1配線体)37と、第2ケーブル(第2配線体)38と、シグナル部11と、シグナル供給切替部31と、検出切替部32と、電流検出部(検出部)41と、コントローラユニット(制御部)45と、を主要な構成として備えている。
【0043】
第1ケーブル37及び第2ケーブル38は、導電性を有する電線で構成されている。センサパネル50がセンサパネル検査装置1にセットされると、第1ケーブル37はセンサパネル50の第1タブ配線部7を介して第1電極51に電気的に接続され、第2ケーブル38はセンサパネル50の第2タブ配線部8を介して第2電極52に電気的に接続される。
【0044】
第1電極51はM個配置されているので、これに対応して、第1ケーブル37もM本備えられる。一方、第2電極52はM×N個配置されているので、第2ケーブル38もM×N本備えられる。
【0045】
ただし、本実施形態では、M×N個配置されている第2電極52を、第1電極51が並べられる方向(x方向)で対応するM個ごとに分けるように、N個のグループが設定されている。言い換えれば、第2電極52が、y=1のグループ、y=2のグループ、・・・というように、y座標ごとにグループ化されている。そして、同一のグループに属する第2電極52に対応する第2ケーブル38同士が、オア部としてのワイヤードオア部39で接続されている。
【0046】
シグナル部11は、所定の電圧の交流信号を供給する交流電源として構成されている。このシグナル部11が供給する交流信号は、例えば、周波数が10kHz〜1000kHzの範囲内で、電圧の実効値が1V〜10Vの範囲内となるように設定することができる。シグナル部11の一端は接地され、他端はシグナル供給切替部31に電気的に接続される。
【0047】
シグナル部11はコントローラユニット45に接続されており、コントローラユニット45からの制御指令に基づいて、交流信号を発生させることができる。
【0048】
シグナル供給切替部31は、複数の第1電極51から全部又は一部を選択して、この選択された第1電極51と、シグナル部11と、を電気的に接続させることができる。このシグナル供給切替部31は、第1電極51にそれぞれ対応する複数のスイッチを有している。なお、図面では、それぞれのスイッチに「1」〜「4」の番号が付されており、この番号は上記のセンサ座標系におけるx座標に対応する。それぞれのスイッチはON/OFF動作が可能に構成されるとともに、対応する第1電極51に対して、前記第1ケーブル37及び第1タブ配線部7を介して電気的に接続される。
【0049】
シグナル供給切替部31はコントローラユニット45に接続されており、コントローラユニット45からの制御指令に基づいて、前記スイッチのON/OFFをそれぞれ切り替えることができる。
【0050】
検出切替部32は、M×N個配置されている第2電極52を上記のようにグループ分けしたときに、全部又は一部のグループを選択して、この選択された第2電極52のグループと、電流検出部41と、を電気的に接続させることができる。この検出切替部32は、第2電極52のグループにそれぞれ対応する複数のスイッチを有している。なお、図面では、それぞれのスイッチに「1」〜「4」の番号が付されており、この番号は上記のセンサ座標系におけるy座標に対応する。これらのスイッチはON/OFF動作が可能に構成されるとともに、対応する第2電極52のグループに対して、前記第1ケーブル37及び第1タブ配線部7を介して電気的に接続される。
【0051】
検出切替部32もシグナル供給切替部31と同様にコントローラユニット45に接続されており、コントローラユニット45からの制御指令に基づいて、前記スイッチのON/OFFを切り替えることができる。
【0052】
電流検出部41は、複数の第1電極51にそれぞれ対応するように複数配置された電流計を有している。それぞれの電流計は、検出した電流の値を、コントローラユニット45に送信する。
【0053】
コントローラユニット45はマイクロコンピュータとして構成されており、図示しない演算部としてのCPU、及び、記憶部としてのROM、RAM等を備えている。そして、コントローラユニット45の前記ROMには、センサパネル検査装置1を動作させるためのプログラムが記憶されている。そして、前記ハードウェアと前記ソフトウェアとが協働して動作することにより、コントローラユニット45を検査部47として機能させることができるようになっている。
【0054】
検査部47は、センサパネル50がセンサパネル検査装置1にセットされた状態で、シグナル部11、シグナル供給切替部31、検出切替部32、電流検出部41に対して制御信号を送って制御し、センサパネル50の検査を行う。
【0055】
次に、センサパネル50の検査について説明する。図4は、センサパネル検査装置1がセンサパネル50における位置(1,4)を検査する場合の形成回路を示す図である。図5は、形成回路を簡略的に表した図である。
【0056】
最初に、検査の考え方について、図4を参照して説明する。本実施形態のセンサパネル検査装置1は、第1電極51と第2電極52との近接部分における静電容量を測定することができる。また、センサパネル検査装置1は、第1電極51及び第2電極52の抵抗値(あるいは、抵抗値に応じて変化する値)に基づいて、当該第1電極51及び第2電極52の形状の均一性を検査できる構成になっている。これは、電極の導通/短絡だけでなく、電極の太り/細りについても適切に検査できるニーズが高まっていることに対応するものである。
【0057】
以下、抵抗値の検査について詳細に説明する。センサパネル50に配置される第1電極51及び第2電極52は、M×N個の箇所で互いに近接している。前述のとおり、第1電極51と第2電極52との間には隙間が形成されているので、上記の電極近接部分にそれぞれコンデンサが形成されているものと考えることができる。
【0058】
また、第1電極51及び第2電極52は、上述のとおりITO導電膜で形成されており、このITOは他の透明電極材料との関係では優れた低抵抗率を示すものの、相応の電気抵抗値を示す。従って、第1電極51及び第2電極52の形状に異常(例えば、前述の電極の太り/細り)がなく、パターンが均一に形成されている限り、第1電極51、電極近接部分、第2電極52と経由する回路(以下、形成回路と呼ぶことがある)の抵抗は、電極近接部分がタブ配線部7,8から遠くなればなるほど(センサ座標系のy座標が大きければ大きいほど)、ITO導電膜で形成された長い経路を通らなければならないために増大する筈である。一方、第1電極51と第2電極52は、x方向では同一形状のパターンが単純に繰り返された構成になっているため、パターンが均一に形成されている限り、上記の形成回路の抵抗は、電極近接部分のセンサ座標系のx座標が変化しても同一になる筈である。本実施形態のセンサパネル検査装置1では、以上の考え方に基づき、センサパネル50の検査を行う。
【0059】
以下、上記のセンサ座標系における(1,4)を検査する場合を例にして、センサパネル検査装置1の具体的な動作を説明する。検査部47は、4個存在する前記第1電極51から検査対象のx座標に対応する第1電極51を選択し、また、4つ存在する前記第2電極52のグループから検査対象のy座標に対応するグループを選択して、これらの電極が検査対象となるようにシグナル供給切替部31及び検出切替部32を制御する。今回の例では、検査部47は、シグナル供給切替部31において「1」のスイッチをONし、検出切替部32において「4」のスイッチをONする。
【0060】
これにより、シグナル部11と電流検出部41の電流計とが、図3に太線で示す回路によって接続される。この太線で描かれた回路は、第1電極51と第1タブ配線部7との接続部分から、上記の(1,4)で表される電極交差部分を経由して、第2電極52と第2タブ配線部8との接続部分に至っている。
【0061】
図4には、センサパネル50における前記形成回路がセンサパネル検査装置1に接続された状態がモデル的に示されている。この回路を流れる交流電流iが、電流検出部41の電流計によって測定される。この図4に示すように、座標(1,4)に対応する回路には、適宜の大きさの抵抗と、上記の電極近接部分に形成されるコンデンサと、が含まれている。
【0062】
なお、上述したとおり、検査したい位置の座標(x,y)に応じて形成回路は様々に変わるため、その抵抗値も様々になる。このことを考慮して、検査部47は、任意の座標(x,y)に対する形成回路の抵抗値を予め計算して、上記のRAM等に記憶している。
【0063】
検査部47は、シグナル部11に交流信号を発生させた状態で、電流検出部41の電流計の出力を位相検波して計算することにより、上記の形成回路における静電容量と、形成回路の抵抗値(形成回路計測値)を取得する。こうして取得された静電容量は所定の判定基準値と比較され、許容範囲を外れた場合は不良品と判定される。また、取得された抵抗値は所定の判定基準値と比較され、許容範囲を外れた場合は、電極51,52の形状に異常がある不良品と判定される。
【0064】
静電容量及び形成回路の抵抗値の取得、並びに不良品か否かの判定は、検査したい位置の座標を(1,1)、(1,2)、・・・、(M−1,N)、(M,N)というように切り替えながら、すべての座標について行われる。以上により、センサパネル50の検査が完了する。ただし、検査する座標の順番は上記に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0065】
ここで、本実施形態では上述したとおり、M×N個配置されている第2電極52をy座標ごとにグループ化した上で、同一のグループの第2電極52に接続される第1ケーブル37が、ワイヤードオア部39にて相互に接続されている。
【0066】
この理由は以下のとおりである。即ち、M×Nでマトリクス状に配置された第2電極52のうち、y座標が等しい任意の2つの電極に着目してみると、この2つの第2電極52,52の間は必ず、第2電極52のマトリクス配置領域全体を仕切るように1本以上配置された第1電極51(長尺状部3)によって隔てられている。このような電極パターンの特徴により、2つの第2電極52の間が(直接)短絡するということは極めて考えにくい。
【0067】
そこで本実施形態では、y座標が同じ第2電極52同士は互いに短絡しないものとみなし、上記のワイヤードオア部39を用いることで、検査回路(具体的には、電流検出部41の電流計)を実質的に共通化している。これにより、検査回路(チャネル)の数が削減でき、検査装置の簡素化、低コスト化を図ることができている。また、検査回数を削減できるので、検査効率の向上も実現される。
【0068】
以下、検査回路の削減効果について具体的に説明する。即ち、図1のように第1電極がM個、第2電極がM×N個並べて配置されたタッチパネルを検査しようとする場合、通常必要となる検査回路の数は、両電極の数を加算して、M+M×N=M×(1+N)個となる。一方、上記のようにワイヤードオア部39で接続する場合、検査回路は、第1電極51のM個について、また、第2電極52のN個のグループについて、それぞれ必要になるだけであるから、必要な回路数はM+N個となる。従って、本実施形態の構成による検査回路削減の効果は高く、特にM,Nが大規模になる大型パネルに関して顕著であることが明らかである。
【0069】
以上に説明したように、本実施形態のセンサパネル検査装置1は、シングルレイヤー型タッチパネル装置のセンサパネル50を検査するものである。検査対象物であるセンサパネル50は、複数の第1電極51と、複数の第2電極52と、が厚み方向で同一の層に配置されて構成される。第1電極51は、直線状に並べて配置される。第1電極51のそれぞれは、当該第1電極51が並べられる方向と垂直な方向に細長い長尺状部3を有する。第2電極52は、第1電極51が並べられる方向と、長尺状部3に沿う方向とで、マトリクス状に並べて配置される。センサパネル検査装置1は、ワイヤードオア部39と、電流検出部41と、を備える。ワイヤードオア部39は、検査時において、第2電極52のうち第1電極51が並べられる方向で対応するものそれぞれの信号出力を合成する。電流検出部41は、ワイヤードオア部39の出力を検出する。
【0070】
即ち、上記のように構成されたシングルレイヤー型タッチパネルのセンサパネル50においては、そのパターン上の特徴から、第2電極52のうち第1電極51の並べられる方向で対応するもの同士は互いに短絡しないものとみなすことができる。そこで、電極の数が多数に上るシングルレイヤー型の検査においても、本実施形態のように信号出力を合成した上で検査することで、少ない検査回路でも十分な検査を行うことができる。この結果、センサパネル検査装置1の著しい簡素化、低コスト化を実現できるとともに、検査効率を向上することができる。
【0071】
また、本実施形態のセンサパネル検査装置1は、第1ケーブル37と、第2ケーブル38と、を備える。第1ケーブル37は、第1電極51のそれぞれに電気的に接続できるように、複数備えられる。第2電極52は、第2電極52のそれぞれに電気的に接続できるように、複数備えられる。そして、マトリクス状の第2電極52を、第1電極51が並べられる方向で対応するものごとにグループ分けしたときに、ワイヤードオア部39は、同一のグループに属する第2電極52のそれぞれに接続されている第2ケーブル38をワイヤードオア接続する。
【0072】
これにより、同一グループに属する第2電極52の信号出力の合成を、簡素かつ合理的に行うことができる。
【0073】
次に、第2実施形態のセンサパネル検査装置1を説明する。図5は、第2実施形態のセンサパネル検査装置1の全体的な構成を示す概念図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0074】
第2実施形態のセンサパネル検査装置1は、第2電極52の導電部4から電気信号を取り出すための複数のセンサ部48を、第1電極51が並べられる方向と垂直な方向に並べて備えている。センサパネル検査装置1にセンサパネル50がセットされると、前記センサ部48は、当該センサパネル50に対して適宜の隙間をあけて対向するように配置される。本実施形態において、センサ部48は導電性の板状部材により構成されており、少なくとも、第2電極52の構成要素である導電部4の全面に対向し得る大きさを有している。
【0075】
センサ部48は、マトリックス状の第2電極52の配置間隔に対応させて、等間隔で並べて配置されている。もっといえば、センサは、第2電極52を構成するために対で配置される導電部4のそれぞれに対応するように並べて配置されている。
【0076】
それぞれのセンサ部48は、電流を測定するための測定部49(具体的には、電流計)に電気的に接続される。測定部49の測定結果は、コントローラユニット45に送信される。
【0077】
以上の構成で、それぞれのセンサ部48が導電部4と容量結合して電気信号を取り出し、この電気信号を測定部49で測定することで、電極51,52に断線などが生じた場合の不良箇所の特定を容易に行うことができる。
【0078】
ところで、近年は、液晶のカラーフィルタ基板と偏光板の間に透明電極パターンを形成した、いわゆるオンセル型のタッチパネルが実用化されており、将来的には、図1に示すようなシングルレイヤー型のタッチパネルについてもオンセル型への移行が進んでいくと考えられる。しかしながら、オンセル型のタッチパネルは高価であるため、検査で不良が発見された場合でも廃棄せずに不良箇所を修復して使いたいという要請がある。この点、本実施形態のセンサパネル検査装置1は、センサパネル50の検査を行うだけでなく、発見された不良箇所を容易に特定できる。従って、その後の修復作業を素早く的確に行うことができる。
【0079】
以上に説明したように、本実施形態のセンサパネル検査装置1は、第1電極51が並べられる方向と垂直な方向に並べられた複数のセンサ部48を備える。それぞれのセンサ部48は、第1電極51が並べられる方向に細長く形成されている。
【0080】
これにより、センサパネル50の電極パターンの良/不良を検査できるだけでなく、センサ部48の信号出力に基づいてパターン不良箇所を容易に特定することができる。また、マトリクス状に配置された第2電極52の複数と容量結合できるようにセンサ部48が細長く構成されているので、簡素な構成のセンサ部48で、不良箇所の特定を十分に行うことができる。
【0081】
また、本実施形態のセンサパネル検査装置1において、それぞれの第2電極52は、第1電極51が並べられる方向と垂直な方向で対応するように対で配置された導電部4,4を備える。センサ部48は、導電部4の対の一方と他方とにそれぞれ対応するように設けられる。
【0082】
これにより、パターン不良箇所をより詳細に特定することができる。
【0083】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0084】
上記実施形態では、同一グループの第2電極52に接続される第2ケーブル38がワイヤードオア部39で接続されている。しかしながら、この接続形態に限定されず、同一グループの第2電極52の信号出力を実質的にオアできるものであれば良い。
【0085】
ワイヤードオア部39を例えばFPGAで構成し、コントローラユニット45の制御により、ワイヤードオア接続の有無を切換可能に構成しても良い。これにより、センサパネル検査装置1の検査の汎用性を増大させることができる。
【0086】
上記実施形態では、センサパネル50とシグナル供給切替部31とが、電線である第1ケーブル37によって接続され、センサパネル50と検出切替部32とが、電線である第2ケーブル38によって接続されている。しかしながら、電線に限らず、例えば回路基板のパターン配線によって電気的接続が行われても良い。
【0087】
本発明の検査装置及び検査方法は、タッチパネル装置のセンサパネルに限定されず、いわゆるシングルレイヤー型の検査対象物を幅広く検査対象とすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 センサパネル検査装置(検査装置)
3 長尺状部
4 導電部
37 第1ケーブル(第1配線体)
38 第2ケーブル(第2配線体)
39 ワイヤードオア部(オア部)
48 センサ部
50 シングルレイヤー型タッチパネル装置のセンサパネル(検査対象物)
51 第1電極(第1導電体)
52 第2電極(第2導電体)
図1
図2
図3
図4
図5