(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<リソグラフィー用重合体>
本発明のリソグラフィー用重合体は、極性基を有する構成単位を有することが好ましい。
[極性基を有する構成単位]
「極性基」とは、極性を持つ官能基または極性を持つ原子団を有する基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、フッ素原子を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基、エーテル結合を含む基などが挙げられる。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、極性基を有する構成単位として、ラクトン骨格を有する構成単位を有することが好ましく、さらに後述の親水性基を有する構成単位を有することが好ましい。
【0014】
(ラクトン骨格を有する構成単位・単量体)
ラクトン骨格としては、例えば、4〜20員環程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族または芳香族の炭素環または複素環が縮合していてもよい。
重合体がラクトン骨格を有する構成単位を含む場合、その含有量は、基板等への密着性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0015】
ラクトン骨格を有する単量体としては、基板等への密着性に優れる点から、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体が特に好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
【0016】
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、8−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−3−オン、9−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−3−オン等が挙げられる。また、類似構造を持つ単量体として、メタクリロイルオキシこはく酸無水物等も挙げられる。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
(親水性基を有する構成単位・単量体)
本明細書における「親水性基」とは、−C(CF
3)
2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、親水性基としてヒドロキシ基またはシアノ基を有することが好ましい。
重合体における親水性基を有する構成単位の含有量は、レジストパターン矩形性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
【0018】
親水性基を有する単量体としては、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリ酸エステル;単量体の親水性基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体;環式炭化水素基を有する単量体(例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル等。)が置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性基を有するもの;が挙げられる。
【0019】
親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。基板等に対する密着性の点から、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が好ましい。親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
[酸脱離性基を有する構成単位]
本発明のリソグラフィー用重合体がレジスト用途に用いられる場合、上述した極性基を有する構成単位の他に、酸脱離性基を有する構成単位を有することが好ましく、その他に、必要に応じて公知の構成単位をさらに有していてもよい。
「酸脱離性基」とは、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。
レジスト用組成物において、酸脱離性基を有する構成単位を有する重合体は、酸成分と反応してアルカリ性溶液に可溶となり、レジストパターン形成を可能とする作用を奏する。
酸脱離性基を有する構成単位の割合は、感度および解像度の点から、重合体を構成する全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0021】
酸脱離性基を有する単量体は、酸脱離性基および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
酸脱離性基を有する単量体の具体例として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸脱離性基を有している(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。該脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、または、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、またはオキセパニル基を表す。)が直接または連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
【0022】
特に、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト組成物を製造する場合には、酸脱離性基を有する単量体の好ましい例として、例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、イソプロピルアダマンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明におけるリソグラフィー用重合体(以下、単に重合体ということもある。)は、リソグラフィー工程に用いられる重合体であれば、特に限定されずに適用することができる。例えば、レジスト膜の形成に用いられるレジスト用重合体、レジスト膜の上層に形成される反射防止膜(TARC)、またはレジスト膜の下層に形成される反射防止膜(BARC)の形成に用いられる反射防止膜用重合体、ギャップフィル膜の形成に用いられるギャップフィル膜重合体、トップコート膜の形成に用いられるトップコート膜用重合体が挙げられる。
レジスト用重合体の例としては、前記酸脱離性基を有する構成単位の1種以上と、前記極性基を有する構成単位の1種以上とを含む共重合体が挙げられる。
【0024】
反射防止膜用重合体の例としては、吸光性基を有する構成単位と、レジスト膜と混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能なアミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の反応性官能基を有する構成単位とを含む共重合体が挙げられる。吸光性基とは、レジスト組成物中の感光成分が感度を有する波長領域の光に対して、高い吸収性能を有する基であり、具体例としては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環等の環構造(任意の置換基を有していてもよい。)を有する基が挙げられる。特に、照射光として、KrFレーザ光が用いられる場合には、アントラセン環又は任意の置換基を有するアントラセン環が好ましく、ArFレーザ光が用いられる場合には、ベンゼン環又は任意の置換基を有するベンゼン環が好ましい。
上記任意の置換基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、又はアミド基等が挙げられる。これらのうち、吸光性基として、保護された又は保護されていないフェノール性水酸基を有するものが、良好な現像性・高解像性の観点から好ましい。上記吸光性基を有する構成単位・単量体として、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
ギャップフィル膜用重合体の例としては、狭いギャップに流れ込むための適度な粘度を有し、レジスト膜や反射防止膜との混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能な反応性官能基を有する構成単位を含む共重合体、具体的にはヒドロキシスチレンと、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の単量体との共重合体が挙げられる。
液浸リソグラフィーに用いられるトップコート膜用重合体の例としては、カルボキシル基を有する構成単位を含む共重合体、水酸基が置換したフッ素含有基を有する構成単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0026】
<重合体の製造方法>
本発明のリソグラフィー用重合体の製造方法は、概略、単量体を重合させて重合反応溶液を得る重合工程と、重合反応溶液から重合体を析出させて析出物を得る回収工程とを有する。
[重合工程]
重合方法としては溶液重合法を用いる。すなわち、重合溶媒の存在下、重合開始剤を使用して単量体をラジカル重合させて重合反応溶液を得る。
溶液重合法において、単量体および重合開始剤の重合容器への供給は、連続供給であってもよく、滴下供給であってもよい。溶液重合法としては、製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性のある重合体が簡便に得られる点から、単量体および重合開始剤を重合容器内に滴下する滴下重合法が好ましい。
【0027】
滴下重合法においては、重合容器内を所定の重合温度まで加熱した後、単量体および重合開始剤を、それぞれ独立に、または任意の組み合わせで、重合容器内に滴下する。
単量体は、単量体のみで滴下してもよく、単量体を重合溶媒に溶解させた単量体溶液として滴下してもよい。
重合溶媒及び/又は単量体をあらかじめ重合容器に仕込んでもよい。
重合開始剤は、単量体に直接に溶解させてもよく、単量体溶液に溶解させてもよく、重合溶媒のみに溶解させてもよい。
単量体および重合開始剤は、同じ貯槽内で混合した後、重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器に供給する直前で混合し、重合容器中に滴下してもよい。
単量体および重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、単量体または重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
重合温度は、50〜150℃が好ましい。
所定の重合温度で所定時間、重合反応させた後、重合反応を停止させ、重合反応溶液を得る。重合反応を停止させる手法は反応液を冷却させる工程が一般的に用いられるが、ラジカル捕捉剤を投入することによって停止させることもできる。
【0028】
重合溶媒としては、例えば、下記のものが挙げられる。
エーテル類:鎖状エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等。)、環状エーテル(テトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す。)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す。)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と記す。)、シクロヘキサノン等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
重合溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
重合開始剤としては、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましい。例えば、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等。
)、有機過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等。)等が挙げられる。
【0030】
[回収工程]
重合工程で得られた重合体を含む重合体溶液を貧溶媒と混合して、重合体を析出させ、析出物を得る。この手法は再沈殿法と呼ばれ、重合反応溶液中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等を取り除くために有効である。未反応単量体は、そのまま残存しているとレジスト組成物として用いた場合に感度が低下するため、できるだけ取り除くことが好ましい。本発明の製造方法で得られる重合体中の不純物としての単量体含有量は2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましく、0.29質量%以下が特に好ましく、0.25質量%以下が最も好ましい。
【0031】
貧溶媒は、目的の重合体を溶解させる能力が小さくて、該重合体が析出し得る溶媒である。重合体の組成に応じて、公知のものを適宜選択して使用できる。リソグラフィー用重合体に用いられる未反応の単量体、重合開始剤等を効率的に取り除くことができる点で、メタノール、イソプロピルアルコール、ジイソプロピルエーテル、ヘプタン、または水が好ましい。貧溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
回収工程において、好ましくは重合反応溶液を貧溶媒中に滴下して、重合反応溶液中の重合体を析出させる。重合反応溶液を貧溶媒中に滴下する際の貧溶媒の量は、特に限定されないが、未反応単量体をより低減しやすい点で、希釈後溶液と同質量以上が好ましく、質量基準で3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましく、6倍以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、多すぎると後の濾過工程における作業効率が悪くなる。例えば質量基準で10倍以下が好ましい。
【0033】
回収工程において、貧溶媒と混合する重合工程で得られた重合体を含む重合体溶液の濃度は、特に限定されないが、生産性及び、取り扱い性の観点から、10質量%〜60質量%が好ましく、15質量%〜50質量%が更に好ましい。
【0034】
回収工程において、重合体溶液及び貧溶媒の温度をそれぞれ所望の温度となるよう制御することが好ましい。温度制御の方法としては、季節や昼夜による外気温の影響を出来るだけ受けないように、温度制御可能なジャケットを備えた容器等を用いて、内温が所望の温度となるように外温を変更して制御することが好ましい。ジャケットを断熱材等で覆うなどして保温の効果を高めるとさらに良い。また、重合体溶液及び貧溶媒の容器間が配管やチューブなどで連結されている場合、断熱材を使用するなどして連結部分を保温することが好ましい。
各溶液の制御温度としては、特に限定されないが、重合体への影響や溶媒沸点の点から0℃〜60℃が好ましく、不純物除去の点から20℃〜50℃がより好ましい。この時、分子量や残存モノマー量の再現性を高める点から、所望の温度に対する温度の変動幅が±5.0℃以内で温度調節することが好ましく、±3.0℃以内で温度調節することがより好ましく、±1.0℃以内で温度調節することがさらに好ましい。
【0035】
本発明の重合体の製造方法は、前記析出物を得る回収工程において下記式(1)を満足する。
重合反応溶液中の重合体の固形分重量(g)/(貧溶媒容量(L)×重合反応溶液の貧溶媒との混合時間(分))≦2.0 ・・・式(1)
本発明において、上記式(1)の上限は2.0以下であるが、本発明の効果をより良く発揮するためには、1.9以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。
上記式(1)の下限は特に限定されないが、貧溶媒の使用量が多くなり過ぎず、混合時間が長くなりすぎず、生産効率が良い点で、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。
【0036】
なお、本発明において、上記式(1)の「重合反応溶液の貧溶媒との混合時間」とは、
重合体を析出させるために、重合体を含む溶液と貧溶媒とを混合するために要する時間で
ある。
例えば、重合体を含む重合体溶液に貧溶媒を滴下する場合は、該重合体溶液中への該貧
溶媒の滴下時間であり、貧溶媒中へ重合体を含む重合体溶液を滴下する場合には、該
貧溶
媒中への該重合体溶液の滴下時間である。
【0037】
重合反応溶液を貧溶媒と混合する前に、必要に応じて重合反応溶液を希釈溶媒で適当な溶液粘度に希釈してもよい。希釈溶媒としては、1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、PGME、乳酸エチル等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
希釈を行う場合、希釈後の重合反応溶液中の溶媒(重合溶媒と希釈溶媒の混合物)の溶解度パラメーター(以下、SP値とも記す。)と、再沈殿に用いられる貧溶媒のSP値の差は、重合体の良好な分散性が得られ、効率的に単量体を除去できる点で、小さい方が好ましい。
溶媒のSP値は、例えば、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」、第4版、VII−675頁〜VII−711頁に記載の方法により求めることができ、具体的には、表1(VII−683頁)、表7〜8(VII−688頁〜VII−711頁)に記
載されている。また、複数の溶媒の混合溶媒におけるSP値は、公知の方法により求めることができる。例えば、混合溶媒のSP値は、加成性が成立するとして、各溶媒のSP値と体積分率との積の総和として求めることができる。
【0038】
回収工程において、貧溶媒中で析出した析出物を濾別することにより、目的の重合体が湿粉の状態で得られる。
または、濾別した湿粉を再び貧溶媒に分散させた後に濾別する操作を繰り返して、目的の重合体の析出物を得ることもできる。この工程は、リスラリと呼ばれ、湿粉中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等の不純物をより低減させるために有効である。
重合体を高い生産性を維持したまま取得できる点では、リスラリを行わず、再沈殿法のみで重合体の析出物を回収することが好ましい。
【0039】
[乾燥工程]
本発明では、回収工程で得られた析出物を乾燥させることで粉体として得ることができる。
【0040】
乾燥方法は、湿粉を、所定の固形分含有量になるように乾燥できればよく、公知の乾燥方法を用いることができる。より短い時間で乾燥できる点で、乾燥雰囲気下で減圧する減圧乾燥法、乾燥雰囲気下で加熱する加熱乾燥法、または乾燥雰囲気下で減圧および加熱を行う減圧加熱乾燥法が好ましく、特に減圧加熱乾燥法が好ましい。
減圧を行う場合の減圧度は、50kPa以下が好ましく、40kPa以下がより好ましく、30kPa以下がさらに好ましい。該減圧度の下限値は特に限定されないが、現実的には0.01kPa以上である。
加熱を行う場合の加熱温度としては30℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。加熱温度の上限は、重合体の熱劣化を防ぐ点で100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
【0041】
[溶解工程]
前記回収工程で得られた重合体湿粉、または前記乾燥工程で得られた重合体粉体を必要に応じて良溶媒に溶解させてもよい。これにより目的の重合体が良溶媒に溶解された溶液が得られる。
良溶媒は、目的の重合体を溶解させることができる公知の溶媒を用いることができ、上記に重合溶媒として挙げた溶媒を用いることができる。目的の重合体をレジスト組成物の製造に用いる場合、該レジスト組成物におけるレジスト溶媒と同じ溶媒を、溶解工程における良溶媒として使用することが好ましい。
本発明において、室温で良溶媒に溶解させるとは、所定の室温(雰囲気温度)中で恒温に達している良溶媒に、積極的な冷却または加熱を行わずに溶解させることを意味する。該室温(雰囲気温度)は0〜40℃であり、16〜30℃が好ましい。
微乾燥粉末を良溶媒と混合する直前における、該微乾燥粉末の温度は、前記所定の室温(雰囲気温度)中で恒温に達していることが好ましい。すなわち、混合させる微乾燥粉末と良溶媒との温度差の絶対値は、積極的な冷却または加熱を行わなくて済む点で小さい方が好ましい。具体的には該温度差の絶対値は20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましい。
また微乾燥粉末を良溶媒に溶解させる際、保存安定剤等の添加剤を適宜添加してもよい。すなわち前記重合体溶液は保存安定剤等の添加剤を含んでもよい。
【0042】
[濃縮工程]
前記溶解工程で得られた溶液を濃縮して、目的の重合体が良溶媒に溶解された濃縮液としてもよい。濃縮を行うことで、残留する低沸点化合物を除去することができる。
公知の濃縮方法を用いることができる。短い時間で濃縮できる点で減圧濃縮することが好ましい。減圧濃縮を行う場合の減圧度は、50kPa以下が好ましく、40kPa以下がより好ましく、30kPa以下がさらに好ましい。該減圧度の下限値は特に限定されないが、現実的には0.05kPa以上である。
また、減圧濃縮中に加熱することも短い時間で濃縮できる点で好ましい。加熱温度としては20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。また、重合体の熱劣化を防ぐ点で加熱温度は100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
濃縮中は突沸を防ぐ点で攪拌しながら行うのが好ましい。また、圧力制御ができ、熱伝導性に優れ反応温度制御が容易になる点で、耐圧製金属反応容器内で濃縮することが好ましい。金属としては耐食性が高く重合体への金属不純物の混入が低減できる点でステンレス鋼(以下SUSとも言う)が好ましい。
【0043】
[濾過工程]
前記溶解工程で得られた溶液、または前記濃縮工程で得られた濃縮液を必要に応じて濾過してもよい。これにより重合体のゲル物や異物が低減された重合体溶液を得ることができる。
濾過フィルター前後の圧力損失を低く抑えたまま、短時間で濾過できる点では、濃縮工程の前に、記溶解工程で得られた溶液を濾過することが好ましい。
最終製品に混入する恐れのある重合体のゲル物や異物を効率的に低減できる点では、濃縮工程の後に、得られた濃縮液を濾過することが好ましい。
前記溶解工程で得られた溶液と前記濃縮液の両方を濾過してもよい。すなわち溶解工程で得られた溶液を濾過した後、得られた濾液を前記濃縮工程に供して濃縮し、得られた濃縮液を、さらに濾過してもよい。
【0044】
<レジスト組成物の製造方法>
本発明のレジスト組成物の製造方法は、本発明の製造方法により目的の重合体を製造する工程と、得られた重合体と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合とを混合する工程を有する。必要に応じて、さらにレジスト溶媒を加えて混合する。レジスト溶媒としては、上記に重合溶媒として挙げた溶媒を用いることができる。こうして得られるレジスト組成物は化学増幅型レジスト組成物である。
レジスト組成物の製造に用いる重合体は、前記溶解工程で得られた溶液でもよく、その後に濾過した濾液でもよく、前記濃縮工程で得られた濃縮液でもよく、その後に濾過した濾液でもよい。
【0045】
[活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物]
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物は、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択できる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
光酸発生剤の使用量は、重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0046】
[含窒素化合物]
化学増幅型レジスト組成物は、含窒素化合物を含んでいてもよい。含窒素化合物を含むことにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。つまり、レジストパターンの断面形状が矩形により近くなり、また、レジスト膜に光を照射し、ついでベーク(PEB)した後、次の現像処理までの間に数時間放置されることが半導体素子の量産ラインではあるが、そのような放置(経時)したときにレジストパターンの断面形状の劣化の発生がより抑制される。
含窒素化合物としては、アミンが好ましく、第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンがより好ましい。
含窒素化合物の量は、重合体100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましい。
【0047】
[有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体]
化学増幅型レジスト組成物は、有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体(以下、これらをまとめて酸化合物と記す。)を含んでいてもよい。酸化合物を含むことにより、含窒素化合物の配合による感度劣化を抑えることができ、また、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。
有機カルボン酸としては、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が挙げられる。
リンのオキソ酸またはその誘導体としては、リン酸またはその誘導体、ホスホン酸またはその誘導体、ホスフィン酸またはその誘導体等が挙げられる。
酸化合物の量は、重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0048】
[添加剤]
レジスト組成物は、必要に応じて、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。該添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これら添加剤の量は、特に限定されず、適宜決めればよい。
【0049】
<微細パターンが形成された基板の製造方法>
本発明の、微細パターンが形成された基板の製造方法の一例について説明する。
まず、所望の微細パターンを形成しようとするシリコンウエハー等の被加工基板の表面に、本発明の製造方法で得られるレジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、該レジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、基板上にレジスト膜を形成する。
【0050】
ついで、レジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の波長の光を照射して潜像を形成する(露光)。照射光としては、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F
2エキシマレーザー、EUVエキシマレーザーが好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。また、電子線を照射してもよい。
また、該レジスト膜と露光装置の最終レンズとの間に、純水、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロトリアルキルアミン等の高屈折率液体を介在させた状態で光を照射する液浸露光を行ってもよい。
【0051】
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、レジスト膜にアルカリ現像液を接触させ、露光部分を現像液に溶解させ、除去する(現像)。アルカリ現像液としては、公知のものが挙げられる。
現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
【0052】
レジストパターンが形成された基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。
エッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、微細パターンが形成された基板が得られる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例、比較例中「部」とあるのは、特に断りのない限り「質量部」を示す。測定方法および評価方法は以下の方法を用いた。
なお、下記の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
【0054】
<重量平均分子量の測定>
重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、下記の条件(GPC条件)でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
[GPC条件]
装置:東ソー社製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)、
分離カラム:昭和電工社製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
試料:重合体の約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:1mL/分、
注入量:0.1mL、
検出器:示差屈折計。
【0055】
検量線I:標準ポリスチレンの約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いて、上記の条件で分離カラムに注入し、溶出時間と分子量の関係を求めた。標準ポリスチレンは、下記の東ソー社製の標準ポリスチレン(いずれも商品名)を用いた。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
【0056】
<残存溶剤の評価>
重合体中の残存溶剤は、下記の条件(GC条件)でガス・クロマトグラフィーにより、内部標準法で求めた。
[GC条件]
装置:アジレント・テクノロジー社製、Agilent Technologies 6890(商品名)、
キャリアガス:He、
全流量:24mL/min、
分離カラム:アジレント・テクノロジー社製、HP−INNWAX(商品名) 長さ30m×内径0.32mm×膜厚0.25μm、
カラム流量:1.5mL/min(40℃)
カラム昇温条件:50℃(10分間保持)→(10℃/minで昇温)→110℃(9分間保持)、
注入口温度:230℃、
検出口温度:230℃、
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
注入量:1μL
試料:重合体の0.1gに5mLのアセトニトリルを加え、12時間・25℃で静置した後、上澄み液を0.98mL分取し、内部標準であるn−ブチルアルコールの1%溶液を20μL添加した溶液。
【0057】
<レジスト組成物の評価>
[感度、現像コントラスト測定]
レジスト組成物を、6インチシリコンウエハー上に回転塗布し、ホットプレート上で120℃、60秒間プリベーク(PAB)して、厚さ300nmの薄膜を形成した。ArFエキシマレーザー露光装置(リソテックジャパン製、商品名:VUVES−4500)を用い、露光量を変えて10mm×10mm
2の18ショットを露光した。次いで110℃、60秒間のポストベーク(PEB)を行った後、レジスト現像アナライザー(リソテックジャパン製。商品名:RDA−800)を用い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間現像し、各露光量における現像中のレジスト膜厚の経時変化を測定した。
【0058】
[解析]
得られたデータを基に、露光量(mJ/cm
2)の対数と、初期膜厚に対する60秒間現像した時点での残存膜厚率(以下、残膜率という)(%)をプロットした曲線(以下、露光量−残膜率曲線という)を作成し、Eth感度(残膜率0%とするための必要露光量であり、感度を表す。)を以下の通り求めた。Eth感度の値が小さいほどレジスト組成物の感度が高いことを示す。
Eth感度:露光量−残膜率曲線が残膜率0%と交わる露光量(mJ/cm
2)。
【0059】
<実施例1>
[重合工程]
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗1個、ジャケット、及び温度計を備えた容量1LのSUS製のフラスコに、乳酸エチル242.0gを入れた。フラスコ内を窒素で置換し、窒素雰囲気を保ったままフラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながらフラスコ内の乳酸エチルの温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物1を滴下漏斗より、4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
その後、25℃までフラスコ内の反応液を冷却して重合反応を停止させ、重合反応溶液を得た。
[混合物1]
下記式(m1)の単量体を102.00g、
下記式(m2)の単量体を117.60g、
下記式(m3)の単量体を70.80g、
乳酸エチル435.6g、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))8.280g。
各単量体の仕込み割合(モル%)は
(m1)/(m2)/(m3)=40/40/20
である。
【0060】
【化1】
【0061】
[回収工程] 以下、回収工程は、重合工程で得られた重合反応溶液を分割し、15.0℃、20.0℃、22.5℃、25.0℃、27.5℃の室温環境下でそれぞれ行った。
重合工程で得られた重合反応溶液(30質量%)97.63g(固形分量:29.29g)をジャケット及び温度計を備えた容量1LのSUS製のフラスコに入れて、25℃一定となるようジャケット温度を設定し温度制御した。
ジャケット及び温度計を備えた容量1Lの別のSUS製のフラスコに、貧溶媒としてメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=75/25容量比)0.75Lを入れて、25℃一定となるようジャケット温度を設定し温度制御した。
重合反応溶液の入った前記フラスコから貧溶媒の入った前記フラスコへ、該貧溶媒を攪拌しながらポンプを用いて40分かけて一定滴下し、重合体(白色の析出物)を沈殿させた。40℃に加熱し、30分間保持した後、25℃まで冷却して沈殿を濾別し、湿粉49.7gを得た。
【0062】
次に、得られた湿粉の全量を再び貧溶媒(0.75L)と混合した。貧溶媒としてはメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=85/15容量比)を用いた。攪拌しながら40℃に加熱し、30分間保持した後、25℃まで冷却して沈殿を濾別し、湿粉45.5gを得た。
【0063】
[溶解工程]
25℃の雰囲気中で、上記で得られた湿粉の25.0gを、PGMEA(25℃)150.0gに溶解させた。次いで、得られた溶液をナイロン製の孔径0.02μmのフィルターで濾過した。
【0064】
[濃縮工程]
得られた濾液を圧力20kPa、温度50℃の条件で濃縮し、留出液が出なくなった時点で圧力3kPa、温度65℃の条件に変更して、重合体の固形分濃度が25質量%になるまで濃縮を行った。
得られた濃縮液(PGMEA溶液)について、上記の方法で重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)、および残存乳酸エチル量を測定した。それぞれの結果及び標準偏差の3倍(3σ)を表1に示す。
【0065】
[レジスト組成物の評価]
得られた濃縮液を用いてレジスト組成物を調製した。すなわち、該濃縮液の400部に、光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレートの2部を添加し、さらに溶媒であるPGMEAを重合体濃度が12.5質量%になるように加えて混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物を得た。得られたレジスト組成物について上記の方法でEth感度およびγ値を測定した。それぞれの結果及び標準偏差の3倍(3σ)表1に示す。
【0066】
<実施例2>
回収工程において、重合反応溶液を35℃一定となるようジャケット温度を設定し温度制御したこと以外は実施例1と同様に重合体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
回収工程において、重合反応溶液のジャケット温度を34.5℃に設定し、貧溶媒溶液のジャケット温度を25.0℃に設定したこと以外は実施例2と同様に重合体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
<比較例1>
回収工程において、ジャケットを備えていない容量1LのSUS製のフラスコに重合反応溶液を入れ、重合反応溶液の内温を制御しなかったこと以外は実施例1と同様に重合体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0068】
<比較例2>
回収工程において、ジャケットを備えていない容量1LのSUS製のフラスコに貧溶媒を入れ、貧溶媒の内温を制御しなかったこと以外は実施例1と同様に重合体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0069】
<比較例3>
回収工程において、重合反応溶液および貧溶媒のそれぞれを、ジャケットを備えていない容量1LのSUS製の別のフラスコに入れ、内温を制御しなかったこと以外は実施例1と同様に重合体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
上記結果から、本発明による方法(実施例1〜3)によれば、分子量及び不純物量の再現性が良く、レジスト組成物の感度の面からも優れたレジスト性能を有するリソグラフィー用重合体を再現性良く得られることが確認された。
一方、本発明と異なる方法(比較例1〜3)の場合、分子量及び不純物量の再現性が悪く、これを用いたレジスト組成物の感度の再現性も、上記実施例1〜3と比べて劣ることが確認された。