特許第6369428号(P6369428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369428
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス組立品の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20180730BHJP
   H01B 13/34 20060101ALI20180730BHJP
   H01B 7/36 20060101ALI20180730BHJP
   H01B 7/00 20060101ALN20180730BHJP
【FI】
   H01B13/012 Z
   H01B13/34 Z
   H01B7/36 Z
   !H01B7/00 301
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-179470(P2015-179470)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-54765(P2017-54765A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年7月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 賢司
(72)【発明者】
【氏名】長埜 一成
(72)【発明者】
【氏名】越川 清一
(72)【発明者】
【氏名】青木 克樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 優
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/181060(WO,A1)
【文献】 特開2007−241755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
H01B 7/36
H01B 13/34
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスの組立工程に対応した画像を前記組立工程の進行に応じて切り替えて表示部に表示し、前記ワイヤーハーネスの組立工程を経て組み立てられたワイヤーハーネス組立品の検査方法であって、
前記ワイヤーハーネスを構成する電線に接続されるコネクタに付されたコネクタ識別情報と前記画像に含まれるコネクタ画像に対応して表示されたコネクタ識別情報とを読み取り装置により読み取る工程と、
読み取られた前記コネクタに付されたコネクタ識別情報と前記コネクタ画像に表示されたコネクタ識別情報とが一致するか否かを判定部により判定する工程と、
判定した結果を前記ワイヤーハーネス組立品の識別情報に関連付けて前記組立工程ごとに作業履歴情報として記憶部に記憶する工程と、
前記組立工程ごとの前記作業履歴情報に基づいて前記ワイヤーハーネス組立品を検査する工程と、
を含むワイヤーハーネス組立品の検査方法。
【請求項2】
ワイヤーハーネスの組立工程に対応した画像を前記組立工程の進行に応じて切り替えて表示部に表示し、前記ワイヤーハーネスの組立工程を経て組み立てられたワイヤーハーネス組立品の検査方法であって、
前記ワイヤーハーネスを構成する電線に付された電線識別情報と前記画像に含まれる電線画像に対応して表示された電線識別情報とを読み取り装置により読み取る工程と、
読み取られた前記電線に付された電線識別情報と前記電線画像に表示された電線識別情報とが一致するか否かを判定部により判定する工程と、
判定した結果を前記ワイヤーハーネス組立品の識別情報に関連付けて前記組立工程ごとに作業履歴情報として記憶部に記憶する工程と、
前記組立工程ごとの前記作業履歴情報に基づいて前記ワイヤーハーネス組立品を検査する工程と、
を含むワイヤーハーネス組立品の検査方法。
【請求項3】
ワイヤーハーネスの組立工程に対応した画像を前記組立工程の進行に応じて切り替えて表示部に表示し、前記ワイヤーハーネスの組立工程を経て組み立てられたワイヤーハーネス組立品の検査方法であって、
前記ワイヤーハーネスを構成する電線に付された電線識別情報と前記画像に含まれる電線画像に対応して表示された電線識別情報とを読み取り装置により読み取る工程と、
読み取られた前記電線に付された電線識別情報と前記電線画像に表示された電線識別情報とが一致するか否かを判定部により判定する工程と、
前記電線に接続されるコネクタに付されたコネクタ識別情報と前記画像に含まれるコネクタ画像に対応して表示されたコネクタ識別情報とを前記読み取り装置により読み取る工程と、
読み取られた前記コネクタに付されたコネクタ識別情報と前記コネクタ画像に表示されたコネクタ識別情報とが一致するか否かを判定部により判定する工程と、
前記電線及び前記コネクタについて判定した結果を前記ワイヤーハーネス組立品の識別情報に関連付けて前記組立工程ごとに作業履歴情報として記憶部に記憶する工程と、
前記組立工程ごとの前記作業履歴情報に基づいて前記ワイヤーハーネス組立品を検査する工程と、
を含むワイヤーハーネス組立品の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネス組立品の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスの組立ては、一般的には、組立用図板にワイヤーハーネスの原寸図を貼り付けて布線板を作製し、その布線板に布線用治具を取り付けたものを用いている。原寸図には、組立ての作業手順や付属部品の取付指示等の作業指示が示されており、作業者はその作業指示に従って電線を布線し、布線した電線や電線束の所定位置に付属部品を取り付けてワイヤーハーネスの組立てを行う。
【0003】
しかし、設計変更に応じて原寸図を貼り替える必要があることから、そのような作業を不要にしたワイヤーハーネス組立用図板装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このワイヤーハーネス組立用図板装置は、ワイヤーハーネスの組立てに必要な各種治具が配設可能な布線板と、布線板に取り付けられ、布線される電線を受け止める組立用治具と、付線板の背面に配置されたスクリーンと、スクリーンの裏面にワイヤーハーネスの組立に必要な画像を投影する光学投影器とを備える。
【0005】
ワイヤーハーネスの組立工程の画像は、電線の付線工程、付属部品の取付工程、及びテープ巻き工程の3つの工程に応じて自動的に切り換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−195352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のワイヤーハーネス組立用図板装置は、電線の布線工程内の作業工程に応じてワイヤーハーネスの組立工程の画像を切り換えるものではないため、長さが近似した電線を布線する場合に、電線や布線場所を間違えるおそれがある。また、投影する画像には、コネクタを示すコネクタ画像が含まれていないため、コネクタの接続を間違うおそれがある。さらに、ワイヤーハーネスの検査は、一般的には、検査員がワイヤーハーネス作業指示書を見ながら行っており、検査時間の短縮、検査の信頼性向上が求められている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、検査時間の短縮、検査の信頼性向上を図ることが可能なワイヤーハーネス組立品の検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]ワイヤーハーネスの組立工程に対応した画像を前記組立工程の進行に応じて切り替えて表示部に表示し、前記ワイヤーハーネスの組立工程を経て組み立てられたワイヤーハーネス組立品の検査方法であって、
前記ワイヤーハーネスを構成する電線に接続されるコネクタに付されたコネクタ識別情報と前記画像に含まれるコネクタ画像に表示されたコネクタ識別情報とを読み取る工程と、
読み取られた前記コネクタに付されたコネクタ識別情報と前記コネクタ画像に表示されたコネクタ識別情報とが一致するか否かを判定する工程と、
判定した結果を前記ワイヤーハーネス組立品の識別情報に関連付けて前記組立工程ごとに作業履歴情報として受け付ける工程と、
前記組立工程ごとの前記作業履歴情報に基づいて前記ワイヤーハーネス組立品を検査する工程と、
を含むワイヤーハーネス組立品の検査方法。
[2]ワイヤーハーネスの組立工程に対応した画像を前記組立工程の進行に応じて切り替えて表示部に表示し、前記ワイヤーハーネスの組立工程を経て組み立てられたワイヤーハーネス組立品の検査方法であって、
前記ワイヤーハーネスを構成する電線に付された電線識別情報と前記画像に含まれる電線画像に表示された電線識別情報とを読み取る工程と、
読み取られた前記電線に付された電線識別情報と前記電線画像に表示された電線識別情報とが一致するか否かを判定する工程と、
判定した結果を前記ワイヤーハーネス組立品の識別情報に関連付けて前記組立工程ごとに作業履歴情報として受け付ける工程と、
前記組立工程ごとの前記作業履歴情報に基づいて前記ワイヤーハーネス組立品を検査する工程と、
を含むワイヤーハーネス組立品の検査方法。
[3]ワイヤーハーネスの組立工程に対応した画像を前記組立工程の進行に応じて切り替えて表示部に表示し、前記ワイヤーハーネスの組立工程を経て組み立てられたワイヤーハーネス組立品の検査方法であって、
前記ワイヤーハーネスを構成する電線に付された電線識別情報と前記画像に含まれる電線画像に表示された電線識別情報とを読み取る工程と、
読み取られた前記電線に付された電線識別情報と前記電線画像に表示された電線識別情報とが一致するか否かを判定する工程と、
前記電線に接続されるコネクタに付されたコネクタ識別情報と前記画像に含まれるコネクタ画像に表示されたコネクタ識別情報とを読み取る工程と、
読み取られた前記コネクタに付されたコネクタ識別情報と前記コネクタ画像に表示されたコネクタ識別情報とが一致するか否かを判定する工程と、
前記電線及び前記コネクタについて判定した結果を前記ワイヤーハーネス組立品の識別情報に関連付けて前記組立工程ごとに作業履歴情報として受け付ける工程と、
前記組立工程ごとの前記作業履歴情報に基づいて前記ワイヤーハーネス組立品を検査する工程と、
を含むワイヤーハーネス組立品の検査方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検査時間の短縮、検査の信頼性向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネス製造装置の概略の構成例を示す断面図である。
図2図2は、管理装置の制御系の一例を示すブロック図である。
図3図3は、プロジェクタの制御系の一例を示すブロック図である。
図4図4は、バーコードリーダの構成の一例を示すブロック図である。
図5図5(a)は、電子ペンシステムの構成の一例を示す図、図5(b)は電子ペンの概略の構成を示す外観図である。
図6図6は、組立用治具を示し、(a)は、スクリーンへの取り付け前を示す正面図、(b)は、(a)の平面図、(c)は、スクリーンへの取り付け後を示す部分断面図である。
図7A図7Aは、1ページ目の投影画像の一例を示す図である。
図7B図7Bは、2ページ目の投影画像の一例を示す図である。
図7C図7Cは、3ページ目の投影画像の一例を示す図である。
図7D図7Dは、4ページ目の投影画像の一例を示す図である。
図7E図7Eは、5ページ目の投影画像の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤーハーネス製造装置の概略の構成例を示す断面図である。
図9図9(a)は、スクリーンの変形例1を示す要部平面図、図9(b)は、スクリーンの変形例2を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネス製造装置の概略の構成例を示す断面図である。
【0014】
(全体の構成)
このワイヤーハーネス製造装置1は、スクリーン2と、スクリーン2を支持する筐体3と、筐体3内に配置された複数(本実施の形態では2つ)のミラー4a、4bと、同じく筐体3内に配置され、投影画像をミラー4a及び4bを介してスクリーン2の裏面2bに投影するプロジェクタ5と、ワイヤーハーネスの組立を管理する管理装置6と、バーコードを読み取るバーコードリーダ7と、スクリーン2に投影された投影画像に対して情報を選択又は入力する電子ペン80を有する電子ペンシステム8とを備える。なお、管理装置6は、筐体3内に配置されていてもよい。また、ミラーは2つの限られず、3つ以上でもよい。ミラーを2つ以上にすることにより、筐体3の奥行き方向の小型化が図れる。
【0015】
ここで、スクリーン2及びプロジェクタ5の後述する投影手段50は、表示部の一例である。また、「ワイヤーハーネス」とは、複数の電線を束にし、各電線の両端部にプリント基板や機器に接続するためのコネクタ又は端子を有するものをいう。「ワイヤーハーネスの組立工程」は、例えば、組立用治具取付工程と、電線を布線する工程、及び電線の両端にコネクタを取り付ける工程を含むハーネス布線工程と、布線した電線を束ねる工程とから構成されている。なお、工程はこれらに限られない。また、「ワイヤーハーネス組立品」は、ワイヤーハーネスの組立工程を経て組み立てられたものをいう。
【0016】
スクリーン2は、例えば、アクリル板、ガラス板等の透明板を用いることができる。また、スクリーン2の表面2aは、例えば、組立用治具10が負圧によって吸着できるように平滑な面になっており、裏面2bは、例えば、投影画像が表面2aから視認できるように光散乱面となっている。なお、スクリーン2は、背面投影型のものであれば、特に限定されない。例えば、スクリーン2を透明板の裏面に光散乱シートを貼り付けて構成してもよい。
【0017】
プロジェクタ5は、管理装置6の通信部64から投影画像データを受け取り、その投影画像データをメモリ58に記憶し、入力部62及び電子ペン80の操作により、管理装置6からの投影開始信号、ページ送り信号、ページ戻し信号、組立終了信号等に基づいて、投影画像の投影の開始、投影画像の送り又は戻し、投影画像データの消去等を行うものである。
【0018】
管理装置6は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)により実現される。管理装置6の詳細の構成は後述する。
【0019】
バーコードリーダ7は、バーコードを読み取る機能、及び読み取った2つのバーコードが一致するか否かの判定機能、及び判定結果を表示する機能を有する。バーコードリーダ7の詳細の構成は後述する。
【0020】
電子ペンシステム8は、赤外線81を出射するとともにモードを選択可能な電子ペン80と、赤外線81を受光して受光信号を出力する赤外線カメラ82と、赤外線カメラ82からの受光信号に基づいて電子ペン80の先端部のスクリーン2の表面2a上の座標情報及びモードを示すモード情報を管理装置6に出力する処理部83とを備える。電子ペンシステム8の詳細の構成は後述する。ここで、赤外線カメラ82及び処理部83は、座標取得手段を構成する。
【0021】
(管理装置の構成)
図2は、管理装置6の制御系の一例を示すブロック図である。管理装置6は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、ワイヤーハーネス製造装置1の各部を制御する制御部60と、各種の情報を記憶する記憶部61と、キーボード、マウス等で実現される入力部62と、液晶ディスプレイ等で実現される表示部63と、プロジェクタ5、バーコードリーダ7、電子ペンシステム8を構成する処理部83等の外部装置と通信する通信部64とを備える。
【0022】
記憶部61は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等から構成され、CPUのプログラム610、投影画像データ611、管理データ612等を記憶している。
【0023】
制御部60のCPUは、プログラム610に従って動作し、管理装置6の各部、及びワイヤーハーネス製造装置1全体を制御する。
【0024】
制御部60は、電子ペン80による送りボタン26b、戻しボタン26c、終了ボタン26dの選択に基づいて、ページ送り信号、ページ戻し信号、組立終了信号をプロジェクタ5に送信する。また、制御部60は、入力部62による投影開始を指示する操作に基づいて投影開始信号をプロジェクタ5に送信する。また、制御部60は、電子ペン80によるテンキーボタン26eの操作により作業者IDが入力されたとき、及び電子ペン80による開始ボタン26a、終了ボタン26dが選択されたとき、作業者ID、組立開始日時、組立終了日時の管理情報をワイヤーハーネス組立品IDに関連付けて管理データ612として記憶部61に記憶する。
【0025】
投影画像データ611は、ワイヤーハーネス組立品を識別するワイヤーハーネス組立品ID(識別情報)に対応し、組立工程及び組立工程内の細部の作業工程に対応した複数のページから構成されている。また、投影画像データ611は、スクリーン2の表面2aに負圧によって吸着可能な組立用治具10の位置を示す治具画像を含む。また、投影画像データ611は、スクリーン2に投影されたときに、ワイヤーハーネスの原寸図と等倍、かつ、歪みのない正方形又は長方形で表示されるように予め補正されている。投影画像データ611には、工程名、工程の内容、操作指示のためのボタンをイメージで表示する画像情報、工程の作業内容を文字で表示する文字情報等が含まれる。
【0026】
管理データ612は、例えば、作業者を識別する作業者ID(識別情報)、ワイヤーハーネス組立品ID、作業開始日時(例えば、電子ペン80を用いて開始ボタンが選択された日時)、作業終了日時(例えば、電子ペン80を用いて終了ボタンが選択された日時)、電線及びコネクタのバーコードに関する判定結果等が互いに関係付けられて履歴情報として記憶部61に記憶される。
【0027】
(プロジェクタの構成)
図3は、プロジェクタ5の制御系の一例を示すブロック図である。プロジェクタ5は、投影画像を投影する投影手段50と、CPU等によって構成され、プロジェクタ5の各部を制御する制御部57と、管理装置6から送信された投影画像データ611を記憶するメモリ58とを備える。
【0028】
投影手段50は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する3つのLED光源51と、各LED光源51から出射された赤色光、緑色光、青色光を受けて赤色画像光、緑色画像光、青色画像光をそれぞれ生成するR、G、B用の3つの液晶パネル52と、LED光源51を駆動する光源駆動部53と、液晶パネル52を駆動する液晶パネル駆動部54と、3つの液晶パネル52により生成された赤色画像光、緑色画像光、青色画像光を合成する合成光学系55と、合成光学系55により合成された投影画像をミラー4a及び4bを介してスクリーン2に投影する投影レンズ56とを備える。
【0029】
プロジェクタ5の制御部57は、管理装置6から送信された投影画像データを受け取ると、その投影画像データをメモリ58に記憶する。また、制御部57は、管理装置6からの投影開始信号に基づいて、1ページ目の投影画像データをメモリ58から読み出し、その投影画像データに基づく投影画像をスクリーン2に投影させる。また、制御部57は、管理装置6からのページ送り信号又はページ戻し信号に基づいて、対応するページの投影画像データに基づく投影画像をスクリーン2に投影させる。
【0030】
(バーコードリーダの構成)
図4は、バーコードリーダ7の構成の一例を示すブロック図である。バーコードリーダ7は、CPU等によって構成され、バーコードリーダ7の各部を制御する制御部70と、バーコードを光学的に読み取るバーコードセンサ71と、バーコードセンサ71によって読み取られた電線又はコネクタに付加されたバーコードと投影画像に含まれる電線画像又はコネクタ画像に表示されたバーコードとが一致するか否かの判定を行う判定部72と、判定部72の判定結果を表示する判定結果表示部73と、制御部70により判定結果を管理装置6に送信する通信部74とを備える。ここで、電線又はコネクタに付加されたバーコード、及び電線画像又はコネクタ画像に表示されたバーコードは、コネクタ識別情報の一例である。コネクタ識別情報としては、バーコード等の一次元コードに限られず、QRコード(登録商標)、PDF417、Data Matrix、Maxi Code等の二次元コード、独自コード等の機械読取り可能なコードや、ドットパターン等のパターンでもよい。また、目的に応じて複数種のコードを組み合わせてもよい。
【0031】
判定結果表示部73は、両者のバーコードが一致したときは、例えば「ピンポーン」という一致したこと示す音を発生し、両者のバーコードが不一致のときは、例えば「ブブー」という一致しなかったことを示す音を発生してもよい。また、判定結果表示部73は、両者のバーコードが一致したときは、例えば緑色のランプを点灯させ。両者のバーコードが不一致のときは、例えば赤色のランプを点灯させてもよい。さらに、音と色の両方で判定結果を表示してもよい。
【0032】
(電子ペンシステムの構成)
図5(a)は、電子ペンシステム8の構成の一例を示す図、図5(b)は電子ペン80の概略の構成を示す外観図である。
【0033】
電子ペン80は、円筒状のケース80aと、ケース80aの先端側に出没可能に設けられた透光性を有する先端部80bと、先端部80bの内部に設けられた発光素子80cと、発光素子80cを駆動する駆動回路(図示せず)と、スクリーン2に先端部80bが接触したときにスクリーン2から受ける先端部80bへの圧力を検出する圧力センサ80dと、ケース80aの表面に設けられた外部スイッチ80eと、ケース80aの内部に設けられたCPU(Central Processing Unit)80fと、ケース80aの内部に設けられ、電子ペン80の各部に電源を供給する乾電池、二次電池等の電池とを備える。なお、圧力センサ80dの代わりに先端部80bとスクリーン2との接触を検出する接触センサを用いてもよい。
【0034】
発光素子80cは、特定の波長領域の光線、例えば赤外線81を先端部80bを介して外部に出射する。
【0035】
圧力センサ80dは、マウスのクリックに似た機能を有している。圧力センサ80dは、例えば、先端部80bをスクリーン2の表面2aに軽く1回押し付けると左クリック(例えば選択モード)となり、所定の時間(例えば2秒)以上押し続けると右クリック(例えば入力モード)となる。
【0036】
外部スイッチ80eは、マウスのクリックに似た機能を有している。外部スイッチ80eは、例えば、軽く1回押すと、左クリック(例えば選択モード)となり、所定の時間(例えば2秒)以上押し続けると右クリック(例えば入力モード)となる。
【0037】
CPU80fは、圧力センサ80dが検出した圧力に基づいて選択モード及び入力モードのいずれが選択されたかを判断し、選択されたモードに応じて変調されたパルスで赤外線81を発光素子80cが出射するように駆動回路を制御する。また、CPU80fは、外部スイッチ80eの操作に基づいて選択モード及び入力モードのいずれが選択されたかを判断し、選択されたモードに応じて変調されたパルスで赤外線81を発光素子80cが出射するように駆動回路を制御する。
【0038】
赤外線センサ82は、モードに応じて変調されたパルスの赤外線81を受光することにより電子ペン80の先端部80bの赤外線センサ82上の位置情報及びモードを検出し、位置情報及びモードを含む受光信号を処理部83に出力する。このような赤外線センサ82は、例えば、赤外線81を透過させるフィルタと、フィルタの後方にマトリクス状に配列されて赤外線81を検出する複数のセンサ素子とを備えたものを用いることができる。赤外線センサ82上の位置情報は、スクリーン2上の座標情報に対応している。
【0039】
処理部83は、赤外線センサ82からの受信信号に基づいて赤外線センサ82上の位置情報をスクリーン2上の座標情報に変換し、座標情報及びモードを示すモード情報を管理装置6に送信する。
【0040】
(電子ペンシステムの動作)
次に、電子ペンシステム8の動作の一例について説明する。電子ペン80の先端部80bをスクリーン2の裏面2bに投影された投影画像の特定の箇所(例えば、ボタン)に対応する表面2aに軽く1回押付けると、圧力センサ80dが圧力を検出し、その検出結果をCPU80fに送る。CPU80fは、圧力センサ80dが検出した圧力に基づいて選択モードが選択されたと判断し、選択モードに応じて変調されたパルスで赤外線81を発光素子80cが出射するように駆動回路を制御する。発光素子80cは、選択モードに応じて変調されたパルスで赤外線81を出射する。
【0041】
赤外線カメラ82は、発光素子80cから出射された赤外線81を受光して受光信号を処理部83に出力する。処理部83は、赤外線カメラ82からの受光信号に基づいてスクリーン2上の座標情報及び選択モードを示すモード情報を管理装置6に送信する。管理装置6の制御部60は、処理部83から出力された座標情報及びモード情報に基づいて、座標情報に対応したボタン等が選択されたと認識する。
【0042】
電子ペン80の先端部80bをスクリーン2の裏面2bに投影された投影画像の所定の領域に対応する表面2aに対して所定の時間(例えば2秒)以上続けて押して線を引くと、圧力センサ80dが圧力を検出し、その検出結果をCPU80fに送る。CPU80fは、圧力センサ80dが検出した圧力に基づいて入力モードが選択されたと判断し、入力モードに応じて変調されたパルスで赤外線81を発光素子80cが出射するように駆動回路を制御する。発光素子80cは、入力モードに応じて変調されたパルスで赤外線81を出射する。
【0043】
赤外線カメラ82は、発光素子80cから出射された赤外線81を受光して受光信号を処理部83に出力する。処理部83は、赤外線カメラ82からの受光信号に基づいてスクリーン2上の連続した座標情報(線情報)及び入力モードを示すモード情報を管理装置6に送信する。管理装置6の制御部60は、処理部83から出力された線情報及びモード情報に基づいて、線情報で表される線が入力されたと認識する。これにより、例えば投影画像データの編集が可能になる。
【0044】
(組立用治具の構成)
図6は、組立用治具10を示し、(a)は、スクリーン2への取り付け前を示す正面図、(b)は、(a)の平面図、(c)は、スクリーン2への取り付け後を示す部分断面図である。
【0045】
組立用治具10は、ドーム状の本体11と、本体11の内側に配置された吸着盤12と、レバー部13と、支軸14を中心にレバー部13を回転可能に支持するスライド軸15と、スライド軸15の先端に設けられ、スライド軸15を吸着盤12に固定する座部16とを備える。
【0046】
本体11は、その中央にスライド軸15が貫通して上下方向にスライド可能な開口11aが形成されている。
【0047】
レバー部13は、電線又はワイヤーハーネスを支持する一対の支持片130と、一対の支持片130に接続され、レバー部13の回転中心となる支点部131とを備える。支点部131には、カム面131aが形成されている。カム面131aは、図6(a)に示す状態では、本体11の上面に非接触状態となっており、レバー部13を図6(c)に示すように回転させると、カム面131aが本体11の上面に接触し、スライド軸15を上方に引き上げる。スライド軸15が上方に引き上げられると、吸着盤12の中央部が上方に持ち上げられ、吸着盤12の内側の空間が増加して負圧となり、組立用治具10がスクリーン2の表面2aに吸着される。
【0048】
本体11、レバー部13、支軸14、スライド軸15及び座部16は、例えば樹脂又は金属から形成されている。吸着盤12は、例えばゴム等の弾性部材から形成されている。
【0049】
(組立方法)
次に、ワイヤーハーネス組立品の組立方法の一例について図7A図7Eを参照して説明する。図7A図7Eは、スクリーン2を表側から見た投影画像の一例を示す図である。なお、布線工程が3つのワイヤーハーネスの布線工程から構成されている場合について以下に説明する。
【0050】
管理者は、管理装置6の入力部62を操作してワイヤーハーネス識別情報を入力する。制御部60は、入力部62に入力されたワイヤーハーネス識別情報に対応する投影画像データを記憶部61から読み出し、プロジェクタ5に送信する。プロジェクタ5の制御部57は、管理装置6から送信された投影画像データをメモリ58に記憶する。管理者は、管理装置6の入力部62を操作して投影開始を指示する。管理装置6の制御部60は、投影開始信号をプロジェクタ6に送信する。プロジェクタ5の制御部57は、投影開始信号に基づいて1ページ目の投影画像データをメモリ58から読み出し、投影手段50を制御して1ページ目の投影画像データに基づく投影画像をスクリーン2に投影させる。
【0051】
(1)組立用治具取付工程(管理情報の入力を含む)
図7Aは、1ページ目の「組立用治具取付」工程の投影画像の一例を示す図である。同図に示す投影画像20には、「組立用治具取付」の工程名20aと、組立用治具10の取付位置を示す組立用治具10の治具画像21と、電線の布線位置を示す布線指示線22と、操作用のボタンとして、ワイヤーハーネスの組立作業の開始を意味する開始ボタン26a、ページ送りを指示する送りボタン26b、ページ戻しを指示する戻しボタン26c、ワイヤーハーネスの組立作業の終了を意味示する終了ボタン26d、テンキーボタン26eが表示されている。このとき、治具画像21がハイライト表示されてもよい。
【0052】
作業者は、電子ペン80でスクリーン2に表示されたテンキーボタン26eを操作して作業者を識別する作業者IDを入力する。処理部83は、作業者IDに対応する座標情報及びモード情報を管理装置6に送信する。続いて作業者は、電子ペン80でスクリーン2に表示された開始ボタン26aを選択する。処理部83は、開始ボタン26aに対応する座標情報及び選択モードを示すモード情報を管理装置6に送信する。管理装置6の制御部60は、処理部83から送信された座標情報及びモード情報に基づいて、作業者ID及び作業開始日時の管理情報をワイヤーハーネス組立品IDに関連付けて管理データ612として記憶部61に記憶する。
【0053】
作業者は、投影された投影画像20の工程名20aの「組立用治具取付」を確認し、スクリーン2に投影された治具画像21の位置に組立用治具10を取り付ける。作業者は、組立用治具10の取付作業が終わると、電子ペン80で送りボタン26bを選択する操作を行う。処理部83は、送りボタン26bに対応する座標情報及び選択モードを示すモード情報を管理装置6に送信する。管理装置6の制御部60は、処理部83から出力された座標情報及びモード情報に基づいて送りボタン26bが選択されたことを認識し、ページ送り信号をプロジェクタ5に送信する。
【0054】
(2)ハーネス1の布線工程
プロジェクタ5の制御部57は、管理装置6からのページ送り信号に基づいて2ページ目の投影画像データをメモリ58から読み出し、投影手段50を制御して2ページ目の投影画像データに基づく投影画像をスクリーン2に投影させる。ページ送りは、以下のハーネスの付線工程でも同じように行われる。
【0055】
図7Bは、2ページ目の「ハーネス1布線」工程の投影画像を示す図である。同図に示す投影画像20には、図7Aと同様の「ハーネス1布線」の工程名20a、治具画像21、布線指示線22の他に、バーコード28aを含む電線画像23a、コネクタ型式及びバーコード27a、27bを含むコネクタ画像24a、24b、操作用のボタン26a〜26eが表示されている。このとき、電線画像23a及びコネクタ画像24a、24bがハイライト表示されてもよい。なお、布線工程では、電線の仕様(型式、色、長さ等)が投影画像に表示されている。以下の布線工程でも同じ。
【0056】
作業者は、投影された投影画像20の工程名20aの「ハーネス1布線」を確認し、電線画像23aと色が同系色で長さがほぼ同じ電線を選び、選んだ電線を組立用治具10の一対の支持片130間を通る電線画像23a上に配置する。このとき、作業者は、電線に付加されたタグに表示されている電線番号が電線画像23aに表示されている電線番号(図示せず)と一致することを確認する。次に、バーコードリーダ7で電線のタグ側及び電線画像23a側それぞれの電線番号に併記されているバーコード28aを読み取る。判定部72は、両者が一致しているか否かを判定し、判定結果表示部73は、判定結果を表示して作業者に知らせる。また、バーコードリーダ7の制御部70は、判定結果を通信部74を介して管理装置6に送信する。
【0057】
次に、その電線の両端にコネクタ画像24a、24bに対応するコネクタを接続する。このとき、作業者は、コネクタに付加されたコネクタ番号がコネクタ画像24a、24bに表示されているコネクタ番号と一致することを確認した後、コネクタを接続する。具体的には、バーコードリーダ7でコネクタ側及びコネクタ画像24a、24b側のそれぞれのコネクタ番号に併記されているバーコード27a、27bを読み取る。判定部72は、両者が一致しているか否かを判定し、判定結果表示部73は、判定結果を表示して作業者に知らせる。また、バーコードリーダ7の制御部70は、判定結果を通信部74を介して管理装置6に送信する。
【0058】
管理装置6の制御部60は、電線及びコネクタに関する判定結果を通信部64を介して受信し、その判定結果を工程名とともに履歴情報として管理データ612に記憶する。バーコードの読取、判定結果の表示、履歴情報の記憶は、以下のハーネスの布線工程でも同じように行われる。
【0059】
以上のようにしてハーネス1の布線が終わる。作業者は、ハーネス1の布線が終わると、電子ペン80で送りボタン26bを選択する。管理装置6は、処理部83から受信する座標信号及びモード情報に基づいてページ送り信号をプロジェクタ5に送信する。
【0060】
(3)ハーネス2の布線工程
プロジェクタ5の制御部57は、管理装置6からのページ送り信号に基づいて3ページ目の投影画像データをメモリ58から読み出し、投影手段50を制御して3ページ目の投影画像データに基づく投影画像をスクリーン2に投影させる。
【0061】
図7Cは、3ページ目の「ハーネス2布線」工程の投影画像を示す図である。同図に示す投影画像20には、図7Aと同様の「ハーネス2布線」の工程名20a、治具画像21、布線指示線22の他に、バーコード28b、28cを含む電線画像23b、23c、コネクタ型式及びバーコード27c〜27eを含むコネクタ画像24c、24d、24e、操作用のボタン26a−26eが表示され、さらにテープを表してテープ画像25が表示されている。このとき、電線画像23b、23c、コネクタ画像24a〜24e及びテープ画像25がハイライト表示されてもよく、テープ画像25のみがハイライト表示されてもよい。なお、ハーネス1の画像は表示されていない。
【0062】
作業者は、投影された投影画像20の工程名20aの「ハーネス2布線」を確認し、2本の電線画像23b、23cのそれぞれと色が同系色で長さがほぼ同じ2本の電線を選び、選んだ2本の電線を組立用治具10の一対の支持片130間を通る電線画像23b、23c上に配置する。このとき、作業者は、電線に付加されたタグに表示されている電線番号が電線画像23b、23cに表示されている電線番号と一致することを確認する。
【0063】
次に、2本の電線の両端にコネクタ画像24c、24d、24eに対応するコネクタを接続する。このとき、作業者は、コネクタに付加されたコネクタ番号がコネクタ画像24c、24d、24eに表示されているコネクタ番号と一致することを確認した後、コネクタを接続する。次に、テープ画像25が表示されている複数の位置にテープを巻き付けて電線を束ねる。なお、テープの巻き付け作業は、後の工程、例えば電線を束ねる工程で行ってもよい。
【0064】
以上のようにしてハーネス2の布線が終わる。作業者は、ハーネス2の布線が終わると、電子ペン80で送りボタン26bを選択する。管理装置6は、処理部83から送信された座標情報及びモード情報に基づいてページ送り信号をプロジェクタ5に送信する。
【0065】
(4)ハーネス3の布線工程
プロジェクタ5の制御部57は、管理装置6からのページ送り信号に基づいて4ページ目の投影画像データをメモリ58から読み出し、投影手段50を制御して4ページ目の投影画像データに基づく投影画像をスクリーン2に投影させる。
【0066】
図7Dは、4ページ目の「ハーネス3布線」工程の投影画像を示す図である。同図に示す投影画像20には、図7Aと同様の「ハーネス3布線」の工程名20a、治具画像21、布線指示線22の他に、バーコード28dを含む電線画像23d、コネクタ型式及びバーコード27f、27gを含むコネクタ画像24f、24g、操作用のボタン26a−26eが表示されている。このとき、電線画像23d及びコネクタ画像24f、24gがハイライト表示されてもよい。なお、ハーネス1、2の画像は表示されていない。
【0067】
作業者は、投影された投影画像20の工程名20aの「ハーネス3布線」に従い、電線画像23dと色が同系色で長さがほぼ同じ電線を選び、選んだ電線を組立用治具10の一対の支持片130間を通る電線画像23d上に配置する。このとき、作業者は、電線に付加されたタグに表示されている電線番号が電線画像23dに表示されている電線番号と一致することを確認する。
【0068】
次に、電線の両端にコネクタ画像24f、24gに対応するコネクタを接続する。このとき、作業者は、コネクタに付加されたコネクタ番号がコネクタ画像24f、24gに表示されているコネクタ番号と一致することを確認した後、コネクタを接続する。
【0069】
以上のようにしてハーネス3の布線が終わる。作業者は、ハーネス3の布線が終わると、電子ペン80で送りボタン26bを選択する。管理装置6は、処理部83から受信する座標情報及びモード情報に基づいてページ送り信号をプロジェクタ5に送信する。
【0070】
(5)電線を束ねる工程
プロジェクタ5の制御部57は、管理装置6からのページ送り信号に基づいて5ページ目の投影画像データをメモリ58から読み出し、投影手段50を制御して5ページ目の投影画像データに基づく投影画像をスクリーン2に投影させる。
【0071】
図7Eは、5ページ目の「電線を束ねる」工程の投影画像を示す図である。同図に示す投影画像20には、図7Aと同様の「電線を束ねる」の工程名20a、治具画像21の他に、全てのハーネス1〜3の電線画像23a〜23d、コネクタ画像24a〜24g、操作用のボタン26a〜26eが表示され、さらにスリット入りチューブを表したチューブ画像26が表示されている。なお、チューブ画像26は、目立つようにハイライト表示されてもよい。
【0072】
作業者は、投影された投影画像20の工程名20aの「電線を束ねる」を確認し、チューブ画像26の位置でスリット入りのチューブにより電線を束ねる。
【0073】
以上のようにしてワイヤーハーネス組立品が完成する。作業者は、ワイヤーハーネス組立品が完成すると、電子ペン80で終了ボタン26dを選択する。管理装置6は、処理部83から送信された座標情報及びモード情報に基づいて組立作業終了信号をプロジェクタ5に送信するとともに、組立終了日時をメモリ58に登録する。
【0074】
プロジェクタ5の制御部57は、管理装置6からの組立終了信号に基づいて、メモリ58に記憶されている投影画像データを消去する。
【0075】
(第1の実施の形態の作用、効果)
第1の実施の形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
(a)電線をスクリーン上に線する際に電線に付加されたタグに表示されたバーコードと投影画像に含まれる電線画像に表示されたバーコードを読み取り、両者が一致しているか否かの判定結果を履歴情報として検査時に利用するので、検査時間の短縮、検査の信頼性向上を図ることができる。
(b)電線にコネクタを接続する際にコネクタに付加されたバーコードと投影画像に含まれるコネクタ画像に表示されたバーコードを読み取り、両者が一致しているか否かの判定結果を履歴情報として検査時に利用するので、検査時間の短縮、検査の信頼性向上を図ることができる。
(c)組立用治具を吸着によりスクリーンに取り付けるため、スクリーンを傷つけたり、組立用治具を破損させるおそれが少なくなり、取付作業が容易になる。
【0076】
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤーハーネス製造装置の概略の構成例を示す断面図である。第1の実施の形態では、表示部として、1つのスクリーン2とプロジェクタ5を用いたが、第2の実施の形態は、2つのスクリーン2F、2Rとプロジェクタ5を用いたものであり、他は第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0077】
本実施の形態のワイヤーハーネス製造装置1は、2つのスクリーン2F、2Rと、スクリーン2F、2Rを支持する1つの筐体3aと、筐体3a内に配置されたハーフミラー4cと、同じく筐体3a内に配置され、投影画像をハーフミラー4cを介して2つのスクリーン2F、2Rの裏面2bにそれぞれ投影するプロジェクタ5と、ワイヤーハーネスの組立を管理する管理装置6と、スクリーン2F、2Rに投影された投影画像に対して情報を選択又は入力する電子ペン80を有する2つの電子ペンシステム8とを備える。
【0078】
ハーフミラー4cは、プロジェクタ5の投影画像を透過させてスクリーン2Fに投影し、プロジェクタ5の投影画像を反射させてスクリーン2Rに投影する。なお、ハーフミラー4cの反射光と透過光の強さはほぼ等しいものとする。
【0079】
(第2の実施の形態の作用、効果)
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に上記(a)〜(c)の作用、効果を奏するとともに、スクリーンを2つとしたため、同時に作業することができワイヤーハーネス製造効率を向上することができる。
【0080】
[変形例1]
上記各実施の形態では、組立用治具として、負圧によってスクリーンの表面に吸着するものについて説明したが、スクリーンは、組立用治具が磁力によってスクリーンの表面に磁気吸着する性質を有するものを用いてもよい。
【0081】
図9(a)は、スクリーンの変形例1を示す要部平面図である。磁気吸着する性質を有するスクリーン2としては、図9(a)に示すように、金属線2cを格子状に配置したものを用いてもよい。この場合、組立用治具は、例えば、回転可能に設けられた永久磁石と、永久磁石を回転させて磁力をオン、オフさせるツマミとを備えたものを用いことができる。そして、組立用治具をスクリーン2の表面2aに吸着させる場合は、ツマミを回転させて磁力をオンにする。組立用治具をスクリーン2から外す場合は、ツマミを回転させて磁力をオフにする。なお、永久磁石の代わりに電磁石を用いてもよい。
【0082】
[変形例2]
図9(b)は、スクリーンの変形例2を示す要部平面図である。図9(b)に示すように、磁性粉2cを含有する透明シート2dをスクリーン2の表面2aに形成したものを用いてもよい。この場合の組立用治具は、変形例1と同じものを用いる。
【0083】
[変形例3]
上記実施の形態では、組立工程毎に投影画像データを用意したが、投影画像データ611は、組立工程毎に投影するオブジェクト(テキスト含む)を変えてもよい。また、大分類の工程はページごとに、小分類の工程はオブジェクトごとに画像を切り替えてもよい。
【0084】
[変形例4]
上記実施の形態では、電子ペン80の操作に基づいて投影画像を切り替えていたが、予め定められた時間ごとに投影画像を切り替えて表示するようにプロジェクタ5を制御してもよい。
【0085】
[他の変形例]
なお、本発明の実施の形態は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々な実施の形態が可能である。上記各実施の形態では、ハーネス1の布線工程、ハーネス2の布線工程、ハーネス3の布工程は、それぞれ画像を切り替えたが、全てのハーネスを明るさを落として表示しておき、当該ハーネスに関係する箇所のみを明るく表示するなどの当該ハーネスに関係する箇所が目立つようにハイライト表示等の強調表示をしてもよい。
【0086】
また、電子ペンシステム8は、スクリーン2の表面2aの座標を読み取れるものであれば他の方式を用いてもよく、例えば、スクリーン2に電子ペンを接触させずに電子ペンからポインティング光(例えば、赤外線、レーザ光)をスクリーン2に照射し、その照射点の座標をカメラで検出するポインティングデバイスを用いることができる。
【0087】
また、上記各実施の形態の電子ペンシステムは、赤外線を出射する電子ペンと赤外線を検出する赤外線カメラを用いた赤外線式であるが、超音波を出射する電子ペンと超音波を検出するセンサを用いた超音波式、カメラを備えた電子ペンと電子ペンの座標を特定するための特別な模様が薄く印刷された半透明シートをスクリーン2の表面2aに貼ったカメラ式でもよい。
【0088】
また、上記各実施の形態では、ワイヤーハーネス識別情報を管理装置6の入力部62を操作して入力したが、電子ペン80を用いて入力してもよい。
【0089】
上記各実施の形態では、表示部としてスクリーンとプロジェクタを用いた場合について説明したが、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ等を用いてもよい。タッチパネルディスプレイを用いた場合は、電子ペンシステムを用いなくてもよい。
【0090】
また、本発明の実施の形態の構成要素の一部を本発明の要旨を逸脱しない範囲内において省いてもよい。
【0091】
また、本発明の要旨を変更しない範囲内で、上記実施の形態の組立工程において、工程の追加、削除、変更、入替え等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、鉄道車両用ハーネス、自動車用ハーネス、医療用ハーネス、機器内ハーネス等に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…ワイヤーハーネス製造装置、2…スクリーン、2a…表面、2b…裏面、
2c…金属線、2c…磁性粉、2d…透明シート、2f…スクリーン、2r…スクリーン、
3、3a…筐体、4a、4b…ミラー、4c…ハーフミラー、5…プロジェクタ、
6…管理装置、7…バーコードリーダ、8…電子ペンシステム、
10…組立用治具、11…本体、11a…開口、12…吸着盤、13…レバー部、
14…支軸、15…スライド軸、16…座部、20…投影画像、20a…工程名、
21…治具画像、22…布線指示線、23a-23d…電線画像、
24a-24f…コネクタ画像、25…テープ画像、26…チューブ画像、
26a…開始ボタン、26b…送りボタン、26c…戻しボタン、26d…終了ボタン、
26e…テンキーボタン、27a-27f、28a-28d…バーコード、
50…投影手段、51…光源、52…液晶パネル、53…光源駆動部、
54…液晶パネル駆動部、55…合成光学系、56…投影レンズ、57…制御部、
58…メモリ、60…制御部、61…記憶部、62…入力部、63…表示部、
64…通信部、70…制御部、71…バーコードセンサ、72…判定部、
73…判定結果表示部、74…通信部、80…電子ペン、80a…ケース、
80b…先端部、80c…発光素子、80d…圧力センサ、80e…外部スイッチ、
81…赤外線、82…赤外線カメラ、83…処理部、130…支持片、
131…支点部、131a…カム面、610…プログラム、611…投影画像データ、
612…管理データ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9